説明

車両用充電装置

【課題】例えば12ボルトのバッテリ2を補助充電することのできる太陽電池1であれば、充電中は出力電圧は16ボルト以下であるが、バッテリ2が満充電状態になったり、バッテリ2が取り外されて、電流値が減少すると出力電圧は40ボルト程度まで上昇する。すると、12ボルトのバッテリ2によって作動するように設計されている電装装置7に40ボルト程度の高電圧が印加されることになり、電装装置7が破損するおそれが生じる。
【解決手段】太陽電池とバッテリとの間に介設したスイッチ3が、バッテリが充電用コードに接続され、かつバッテリの電圧が満充電された状態での電圧より低く、さらに太陽電池の出力電圧がバッテリの充電のために設定された所定の充電電圧より低い場合に、オンするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された充電式のバッテリの充電を太陽電池によって補助する車両用充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンを駆動用の動力とする車両では、エンジンをスタートさせる際にセルモータを電力により駆動する必要がある。また、エンジンのコントロールを行う制御装置やライト、オーディオ装置、その他の電装装置を作動させるためにも電力を必要とする。そのため、車両には充電式のバッテリが搭載されている。そして、エンジンが作動している状態ではエンジンにより発電機を駆動し、電装装置の作動用の電力を発生させると共にバッテリの充電を行っている。
【0003】
このように、バッテリの充電のためにエンジンの出力の一部を使用するため、エンジンの燃料の一部が充電に用いられている。そこで、エンジンの燃料の消費量を軽減するために、車両に太陽電池を搭載して、太陽電池が発電する電力によってバッテリの充電を補助するようにしたものが各種知られている。
【0004】
例えば、バッテリに対して発電機と太陽電池とを並列に接続し、発電機と太陽電池との双方でバッテリを充電できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−253504号公報(図1)
【特許文献2】特開2008−172959号公報(図1,図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えばバッテリの出力電圧が12ボルトの場合、バッテリに充電する場合には外部から16ボルト程度の電圧を印加する必要がある。一方、太陽電池の出力特性は消費電流が低下するに従って出力電圧が急激に上昇する。
【0007】
バッテリに対して16ボルト程度の電圧で充電に必要な電流を出力できる太陽電池であれば、電流が減少すると、出力電圧は40ボルト程度まで上昇する。そのため、例えばバッテリが満充電され、太陽電池からバッテリへ流れ込む電流が減少したり、あるいはバッテリを交換等のため取り外すことにより太陽電池の負荷が減少すると、太陽電池の出力電圧は上述のように40ボルト程度まで上昇する。
【0008】
バッテリには電装装置が接続されているので、太陽電池の出力電圧が40ボルト程度まで上昇すると、その高電圧がそのまま電装装置に印加され、電装装置が破損するおそれが生じる。
【0009】
なお、電装装置自体の許容電圧を上げた、太陽電池により補助充電される車両専用のものを開発すれば上述の不具合は解消されるものの、これまでの電装装置の他に新たな電装装置を開発することはコスト面等の理由から現実的ではない。
【0010】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、太陽電池によってバッテリを補助充電しても電装装置が破損するおそれのない車両用充電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明による車両用充電装置は、車両に搭載された電装機器の電源として機能する充電式のバッテリを、太陽電池から供給される電力で補助充電する車両用充電装置において、太陽電池とバッテリとの間にスイッチを介設し、このスイッチがオンの状態で太陽電池からの電力でバッテリが充電されるように構成すると共に、バッテリが充電用コードに接続され、かつバッテリの電圧が満充電された状態での電圧より低く、さらに太陽電池の出力電圧がバッテリの充電のために設定された所定の充電電圧より低い場合に、上記スイッチをオンするようにしたことを特徴とする。
【0012】
自動車用のバッテリは4年程度で交換する必要が生じる。交換の場合にはバッテリの電極からコードを外し、交換した新しいバッテリの電極にコードを接続し直す必要がある。その際に、コードを電極にプラスマイナスを逆に接続すると、上記スイッチ類が破損するおそれがある。そこで、バッテリの極性が逆に誤接続された場合に、車両用充電装置に対して逆電圧が印加されることを防止するダイオードを設けておくことが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明は、太陽電池と太陽電池との間にスイッチを設け、電装装置に高電圧が印加される状態ではスイッチをオフにして、太陽電池からの高電圧が電装装置に印加されないようにした。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、1は図示しない乗用車の後部窓の上部若しくは屋根面に取り付けられた太陽電池である。この太陽電池1は太陽光線等の光を受講して電力を発生する。バッテリ2は図示しない発電機によって通常は充電されるが、昼間など太陽電池1が発電する状態では太陽電池1が発電する電力によって補助的に充電されるものである。
【0016】
太陽電池1とバッテリ2との間にはスイッチ3が配設されている。このスイッチ3がオン状態であれば太陽電池1からの電力がバッテリ2に供給され、オフの状態では太陽電池1の発電する電力はバッテリ2には供給されない。
【0017】
スイッチ3はアンド回路4によってONにされるものであり、アンド回路4に入力される3つの条件がすべてそろった状態でのみスイッチ3がONになるように構成されている。この3つの条件とは、コンパレータ51,52の出力が共にハイであり、かつバッテリ有無判定回路6の出力がハイの状態である。バッテリ有無判定回路6はバッテリ2が接続されている状態で出力がハイになり、バッテリ2が取り外されている状態では出力はローになる。
【0018】
コンパレータ51,52は共に電源回路5から主力される電力で作動するものであり、さらに電源回路5の出力電圧からシャントレギュレータで基準電圧を生成し、太陽電池1の出力電圧が本実施の形態では16ボルト以下の場合にコンパレータ51の出力がハイになるようにした。従って、太陽電池1の出力電圧が16ボルトを超えればコンパレータ51の出力はローになり、スイッチ3はオフになる。
【0019】
また、コンパレータ52はバッテリ2の出力電圧を元にシャントレギュレータで生成される基準電圧とバッテリ2の出力電圧とを比較して、本実施の形態ではバッテリ2の電圧が16ボルト以下の場合にコンパレータ52の出力がONとなるようにした。従って、バッテリ2が満充填された状態などで出力電圧が16ボルトを超えると、スイッチ3はオフになる。
【0020】
バッテリ2には自動車の各種作動制御を行う制御装置やオーディオ装置等の電装装置7が接続されている。なお、81は電流の逆流防止のための逆流防止用ダイオードであり、82はバッテリ2が逆接続された場合に逆電圧が各要素に印加されることを防止するための逆電圧防止用ダイオードである。
【0021】
上記構成で、バッテリ2が放電して充電を必要としている状態で太陽電池1が太陽光を受光すると、太陽電池1の電力はバッテリ2に供給されてバッテリ2を補助充電する。その際、太陽電池1にはバッテリ2という負荷が接続され電流が消費されることになるので、太陽電池1の出力電圧は16ボルト以下になる。バッテリ2の端子間電圧も16ボルトを下回っている。従って、スイッチ3はオン状態を保持し、太陽電池1によってバッテリ2は充電し続けられることになる。
【0022】
バッテリ2の充電が進み満充電に近づくと、バッテリ2の端子間で夏が16ボルトを超える。あるいは、太陽電池1の出力電流が減少することによって太陽電池1の出力電圧が上昇し16ボルトを超える。いずれか一方が16ボルトを超えた時点でスイッチ3はオフになり、太陽電池1の出力電圧は一気に40ボルト程度まで上昇する。そのため、スイッチ3はオフ状態を継続する。
【0023】
また、バッテリ2を交換するため取り外すと、バッテリ有無判定回路6は太陽電池1からの電力によってバッテリ2が接続されているものと判断し続けるが、太陽電池1の出力電圧が16ボルトを超えた時点で須知委3はオフになる。
【0024】
太陽電池11がフル発電状態でスイッチ3がオフになると、上述のように太陽電池1の出力電圧は40ボルト程度まで上昇するので、新たなバッテリが接続されてもスイッチ3はオフのまま保持される。太陽が陰ったり、日陰に入ることにより太陽電池1の出力で夏が16ボルト以下に下がると再びスイッチ3がONになる。
【0025】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0026】
1 太陽電池
2 バッテリ
3 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電装機器の電源として機能する充電式のバッテリを、太陽電池から供給される電力で補助充電する車両用充電装置において、太陽電池とバッテリとの間にスイッチを介設し、このスイッチがオンの状態で太陽電池からの電力でバッテリが充電されるように構成すると共に、バッテリが充電用コードに接続され、かつバッテリの電圧が満充電された状態での電圧より低く、さらに太陽電池の出力電圧がバッテリの充電のために設定された所定の充電電圧より低い場合に、上記スイッチをオンするようにしたことを特徴とする車両用充電装置。
【請求項2】
バッテリの極性が逆に誤接続された場合に、車両用充電装置に対して逆電圧が印加されることを防止するダイオードを設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用充電装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−175873(P2012−175873A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37831(P2011−37831)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)
【Fターム(参考)】