説明

車両用冷却部品支持装置

【課題】バンパリインフォースメントや冷却部品の高さ位置を制限することなく、正面衝突時等に車両前方から荷重が加えられた場合に冷却部品や支持装置が損傷することを抑制する。
【解決手段】ラジエータサポートサイド16、18が所定の回動中心線Oまわりに回動可能にラジエータサポートアッパ12に連結されているとともに、そのラジエータサポートサイド16、18にはバンパリインフォースメント54と対応する高さ位置に当接ブラケット34、36が一体的に固設されて車体側ブラケット38、40に連結され、その当接ブラケット34、36に車両の後側へ向かって所定値以上の荷重Fが加えられるとラジエータサポートサイド16、18と一体的に回動中心線Oまわりに回動して車両の後側へ変位することが許容されるため、低速での正面衝突時等にラジエータ本体20だけでなく車両用冷却部品支持装置10そのものが損傷することが抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用冷却部品支持装置に係り、特に、低速での正面衝突時等に車両前方から荷重が加えられた場合に冷却部品だけでなく支持装置そのものが損傷することを抑制する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(a) 車両の左右方向に配設されて車体に一体的に固設されるとともに、冷却部品の上部を支持するラジエータサポートアッパと、(b) そのラジエータサポートアッパの下方において車両の左右方向に配設されるとともに、前記冷却部品の下部を支持するラジエータサポートロアと、(c) 車両の左右方向に離間して前記ラジエータサポートアッパと前記ラジエータサポートロアとに跨がって上下方向に配設され、それ等を連結する一対のラジエータサポートサイドと、を有し、(d) 車両前方のバンパリインフォースメントの後側に配設されて、前記ラジエータサポートアッパ、前記ラジエータサポートロア、および前記一対のラジエータサポートサイドによって囲まれた略四角形の空間内に前記冷却部品を支持する車両用冷却部品支持装置が知られている。特許文献1に記載の装置はその一例で、低速での正面衝突時等に車両前方から荷重が加えられた場合に、ラジエータサポートロアが車両の後側へ後退させられることにより冷却部品の損傷を抑制するようになっている。。
【特許文献1】特開2004−331002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の冷却部品支持装置においては、正面衝突時等にバンパリインフォースメントがラジエータサポートサイド(特許文献1ではラジエターコアサポート25)に干渉すると、支持装置そのものが損傷する可能性があった。また、バンパリインフォースメントが常にラジエータサポートロアに当接するように設定すると、その高さ位置が制限されるなど、車両設計上の制約を受ける恐れがある。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、バンパリインフォースメントや冷却部品の高さ位置を制限することなく、正面衝突時等に車両前方から荷重が加えられた場合に冷却部品だけでなく支持装置そのものが損傷することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 車両の左右方向に配設されて車体に一体的に固設されるとともに、冷却部品の上部を支持するラジエータサポートアッパと、(b) そのラジエータサポートアッパの下方において車両の左右方向に配設されるとともに、前記冷却部品の下部を支持するラジエータサポートロアと、(c) 車両の左右方向に離間して前記ラジエータサポートアッパと前記ラジエータサポートロアとに跨がって上下方向に配設され、それ等を連結する一対のラジエータサポートサイドと、を有し、(d) 車両前方のバンパリインフォースメントの後側に配設されて、前記ラジエータサポートアッパ、前記ラジエータサポートロア、および前記一対のラジエータサポートサイドによって囲まれた略四角形の空間内に前記冷却部品を支持する車両用冷却部品支持装置において、(e) 前記一対のラジエータサポートサイドは、その上端部においてそれぞれ前記ラジエータサポートアッパに車両の左右方向と略平行な回動中心線まわりに回動可能に連結されている一方、(f) その一対のラジエータサポートサイドの前記バンパリインフォースメントと対応する高さ位置に、それぞれ前記冷却部品よりもそのバンパリインフォースメント側へ突き出すように一体的に固設された一対の当接ブラケットと、(g) 車体に一体的に配設されて前記一対の当接ブラケットにそれぞれ連結され、所定の連結力でその当接ブラケットを位置決めして支持するとともに、その当接ブラケットに車両の後側へ向かって所定値以上の荷重が加えられると、前記ラジエータサポートサイドと一体的にその当接ブラケットが前記回動中心線まわりに回動して車両の後側へ変位することを許容する一対の車体側ブラケットと、を備えていることを特徴とする。
【0006】
第2発明は、第1発明の車両用冷却部品支持装置において、(a) 前記一対のラジエータサポートサイドは、それぞれ前記回動中心線と同心に配設された単一のねじ部材によって前記ラジエータサポートアッパに連結されており、(b) そのねじ部材は、前記ラジエータサポートサイドの下部が車両の後側へ回動変位する方向の力を受けた場合にそれぞれ緩み勝手となってその回動変位を許容するようにねじ山の巻き方向が定められていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このような車両用冷却部品支持装置においては、一対のラジエータサポートサイドが所定の回動中心線まわりに回動可能にラジエータサポートアッパに連結されているとともに、そのラジエータサポートサイドにはバンパリインフォースメントと対応する高さ位置に当接ブラケットが一体的に固設されて車体側ブラケットに連結され、その当接ブラケットに車両の後側へ向かって所定値以上の荷重が加えられるとラジエータサポートサイドと一体的に上記回動中心線まわりに回動して車両の後側へ変位することが許容されるため、低速での正面衝突時等に支持装置によって支持される冷却部品だけでなく支持装置そのものが損傷することが抑制される。その場合に、当接ブラケットは、バンパリインフォースメントの高さ位置に応じてラジエータサポートサイドに固設されるため、そのバンパリインフォースメントや冷却部品の高さ位置等に関して車両設計上の制約を受ける恐れがない。
【0008】
第2発明では、一対のラジエータサポートサイドがそれぞれ前記回動中心線と同心に配設された単一のねじ部材によってラジエータサポートアッパに連結されているとともに、そのねじ部材は、ラジエータサポートサイドの下部が車両の後側へ回動変位する方向の力を受けた場合に緩み勝手となってその回動変位を許容するようにねじ山の巻き方向、すなわち右ねじか左ねじかが定められているため、そのラジエータサポートサイドの車両後側への回動変位を許容しつつ所定の連結強度でラジエータサポートアッパに連結する連結構造を簡単且つ安価に構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の車両用冷却部品支持装置が支持する冷却部品は、主としてエンジン冷却用等の冷却流体を冷却するラジエータ本体であるが、空調設備の空調用コンデンサ等の他の冷却部品を支持する場合にも適用され得る。ラジエータ本体と空調用コンデンサなど複数種類の冷却部品を支持するように構成することも可能である。
【0010】
ラジエータサポートアッパは、例えば車両のフレーム等に一体的に固設されるが、フレーム等と一体に構成することも可能であり、そのラジエータサポートアッパの所定位置に一対のラジエータサポートサイドの上端部が回動中心線まわりに回動可能に連結され、その一対のラジエータサポートサイドの下端に跨がってラジエータサポートロアが一体的に連結される。第2発明では、一対のラジエータサポートサイドがそれぞれ単一のねじ部材によってラジエータサポートアッパに連結されるが、所定の支持軸等に回動可能に連結するだけでも良いなど種々の態様が可能である。
【0011】
当接ブラケットは、例えば溶接やボルト等の固設手段によりラジエータサポートサイドに一体的に固設され、車体側ブラケットは、同じく溶接やボルト等の固設手段により車体のフレーム等に一体的に固設される。当接ブラケットおよび車体側ブラケットは、ラジエータサポートサイドの回動中心線まわりに相対回動できるように、その回動中心線を中心とする円弧形状等の長穴を介して連結され、例えばその長穴内を挿通させられたボルトによって一体的に連結されるとともに、そのボルトの締付力を調整することで、当接ブラケットに所定の荷重が加えられた場合に車体側ブラケットに対して車両後側へ変位することが許容されるように構成される。上記長穴は、例えば車体側ブラケットに設けられるが、当接ブラケットに設けることもできる。当接ブラケットに所定値以上の荷重が加えられた場合に塑性変形する変形部材を介して両ブラケットを連結しても良いなど、種々の態様が可能である。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である車両用冷却部品支持装置10を説明する図で、(a) は概略斜視図、(b) は上方から見た平面図である。この車両用冷却部品支持装置10は、車両前方のバンパリインフォースメント54(図5参照)の後側に配設されて、エンジン冷却用の冷却流体を冷却するラジエータ本体20を支持するもので、車両の左右方向に略水平に配設されるラジエータサポートアッパ12、そのラジエータサポートアッパ12の下方に略平行に配設されるラジエータサポートロア14、および車両の左右方向に離間してラジエータサポートアッパ12とラジエータサポートロア14とに跨がって上下方向(略垂直方向)に配設され、それ等を連結する一対のラジエータサポートサイド16、18とを備えている。そして、それ等のラジエータサポートアッパ12、ラジエータサポートロア14、および一対のラジエータサポートサイド16、18によって略四角形の枠体が構成され、その枠体によって囲まれた略四角形の空間内にラジエータ本体20が一体的に取り付けられて支持されるようになっている。ラジエータ本体20は冷却部品に相当する。
【0013】
前記ラジエータサポートアッパ12は、断面が略コの字状の長手形状を成しているプレス成形品で、コの字状の開口側が下向きとなる姿勢で車両の左右方向に略水平に配設され、図示しない車両のフレーム等に一体的に固設されるとともに、前記ラジエータ本体20の上端を固定するための上側取付部として一対の保持穴22が左右方向に離間して設けられている。保持穴22は、車両への配設状態において略水平となる平坦部、すなわちコの字状の背面部分に、ラジエータサポートアッパ12のプレス成形時に同時にプレス加工によって設けられたバーリング穴で、上方へ突き出す円筒状のフランジを一体に備えており、ゴム等の弾性体を介してラジエータ本体20の上部が一体的に取り付けられるようになっている。
【0014】
前記ラジエータサポートサイド16、18は、ラジエータサポートアッパ12と同様にプレス加工によって形成されたプレス成形品で、ラジエータサポートロア14の長さ寸法に相当する距離だけ左右方向に離間して配設され、それぞれその上端部においてラジエータサポートアッパ12に連結されている。また、前記ラジエータサポートロア14は、ラジエータサポートアッパ12と同様に断面が略コの字状の長手形状を成しているプレス成形品で、コの字状の開口側が下向きとなる姿勢で車両の左右方向に略水平に配設され、その両端部において前記一対のラジエータサポートサイド16、18の下端に溶接やボルト等の固設手段を介して一体的に固設されるとともに、前記ラジエータ本体20の下端を固定するための下側取付部として一対の保持穴28が左右に離間して設けられている。この保持穴28は、前記上側取付部の保持穴22と同様に車両への配設状態において略水平となる平坦部、すなわちコの字状の背面部分に、ラジエータサポートロア14のプレス成形時に同時にプレス加工によって設けられたバーリング穴で、下方へ突き出す円筒状のフランジを一体に備えており、ゴム等の弾性体を介してラジエータ本体20の下部が一体的に取り付けられるようになっている。
【0015】
ここで、一対のラジエータサポートサイド16、18は、ラジエータサポートアッパ12の両端部に設けられた連結部12L、12Rに、それぞれ車両の左右方向と略平行な回動中心線Oまわりに回動可能に連結されている。具体的には、図2に示すように、それぞれ回動中心線Oと同心に配設された単一のねじ部材30、32によってラジエータサポートアッパ12に所定の連結強度で連結されているとともに、それ等のねじ部材30、32は、ラジエータサポートサイド16、18の下部が車両の後側へ回動変位する方向の力を受けた場合に、それぞれ緩み勝手となってその回動変位を許容するようにねじ山の巻き方向、すなわち右ねじか左ねじかが設定されている。上記連結部12L、12Rは、ラジエータサポートアッパ12の両端縁から略垂直に下方へ折り曲げられた折曲げ部である。
【0016】
図2において、(a) の左側連結部では、連結部12Lの内側に溶接等により一体的にナット部材が固設されており、ラジエータサポートサイド16を挿通してねじ部材30がナット部材にねじ込まれることにより、そのラジエータサポートサイド16を連結部12Lに挟圧して連結するが、右ねじのねじ部材30が用いられて右まわりに締め付けられることにより、下部が車両の後側へ回動変位する左まわり方向の力がラジエータサポートサイド16に加えられると、ねじ部材30が緩み勝手となってその左まわり方向すなわち後退方向へ回動変位することが許容される。また、図2(b) の右側連結部では、連結部12Rの内側に溶接等により一体的にナット部材が固設されており、ラジエータサポートサイド18を挿通してねじ部材32がナット部材にねじ込まれることにより、そのラジエータサポートサイド18を連結部12Rに挟圧して連結するが、左ねじのねじ部材32が用いられて左まわりに締め付けられることにより、下部が車両の後側へ回動変位する右まわり方向の力がラジエータサポートサイド18に加えられると、ねじ部材32が緩み勝手となってその右まわり方向すなわち後退方向へ回動変位することが許容される。
【0017】
図1に戻って、上記一対のラジエータサポートサイド16、18の車両左右方向における外側には、それぞれバンパリインフォースメント54と対応する高さ位置、すなわち略同じ高さ位置に、当接ブラケット34、36が溶接等により一体的に固設されている。これ等の当接ブラケット34、36は対称形状を成しており、それぞれ前記冷却部品20よりも車両の前方側、すなわちバンパリインフォースメント54に接近する方向へ突き出し、且つ互いに接近する方向へ略直角に折り曲げられたL字形状を成している。また、その当接ブラケット34、36の車両外側には、車両のフレーム等に溶接またはボルト等により一体的に固設される車体側ブラケット38、40が配設され、それぞれ2本ずつの連結ボルト42を介して所定の連結力で連結されている。当接ブラケット34、36にはナット部材が溶接等により一体的に固設されており、連結ボルト42が車体側ブラケット38、40に設けられた長穴44を挿通してそのナット部材に締め付けられることにより、当接ブラケット34、36が所定の連結力で所定位置に位置決めされる。これにより、車両用冷却部品支持装置10が略鉛直方向に垂下した基準姿勢に位置決めされて支持される。
【0018】
図3および図4は、車両の前方に向かって左側のラジエータサポートサイド16に配設される当接ブラケット34および車体側ブラケット38を説明する図で、一対の長穴44は、上下に離間して設けられているとともに、図4から明らかなようにそれぞれ回動中心線Oを中心とする半径RA、RBの円弧形状を成している。図3および図4では、一対の連結ボルト42および長穴44にそれぞれa、bの符号を付して区別し、上側を連結ボルト42a、長穴44aとし、下側を連結ボルト42b、長穴44bとしたものであり、上側の長穴44aは回動中心線Oを中心とする半径RAの円弧に沿って設けられ、下側の長穴44bは回動中心線Oを中心とする半径RBの円弧に沿って設けられており、何れも回動中心線Oの略真下の位置から車両の後側へ向かって設けられている。これにより、当接ブラケット34に溶接等により一体的に固設されたナット部材43に螺合された連結ボルト42a、42bと共に、その当接ブラケット34、更にはラジエータサポートサイド16が回動中心線Oの左まわり、すなわち車両の後側へ向かって回動することが許容される。すなわち、連結ボルト42a、42bの締付力を調整することで、当接ブラケット34更には車両用冷却部品支持装置10を所定の連結力で図4に示す基準姿勢に位置決めしつつ、低速での正面衝突時等にバンパリインフォースメント54が後退して当接ブラケット34に当接し、所定値以上の荷重Fが加えられた場合には、それ等の当接ブラケット34や車両用冷却部品支持装置10(厳密にはラジエータサポートサイド16、18以下の部分)が車体側ブラケット38に対して車両後側へ回動変位することが許容されるのである。図3の(a) は斜視図で、(b) は上側の連結ボルト42a部分で略水平に破断した横断面図である。なお、車体側ブラケット38は、複数の取付穴46を挿通させられる図示しない固定ボルトにより車両のフレーム等の車体側部材48に一体的に固設される。また、反対側の当接ブラケット36および車体側ブラケット40も、左右対称である点を除いて実質的に図3および図4と同様に構成される。
【0019】
図5は、車両の左側から見た側面図で、車体50に搭載された車両用冷却部品支持装置10の姿勢、およびその車両用冷却部品支持装置10とエンジン52、バンパリインフォースメント54との位置関係を示す図である。図5の(a) は、ラジエータ本体20を支持している車両用冷却部品支持装置10が略鉛直方向に垂下している基準姿勢の状態で、バンパリインフォースメント54との間には所定の隙間が存在する一方、図5の(b) は、低速での正面衝突時等にバンパリインフォースメント54が後退して当接ブラケット34、36に当接し、所定値以上の荷重Fが加えられてその当接ブラケット34、36および車両用冷却部品支持装置10が車両後側へ回動変位した後退姿勢の状態である。この時、当接ブラケット34、36は、ラジエータ本体20よりも前側へ突き出すように設けられているため、ラジエータ本体20を損傷する恐れはなく、また、車両用冷却部品支持装置10自体も回動中心線O(ねじ部材30、32の軸心)まわりに回動可能とされているため、その回動許容範囲内であれば損傷する恐れはない。したがって、連結ボルト42を緩め、車両用冷却部品支持装置10の姿勢を図5の(a) に示す基準姿勢に戻した後、再び連結ボルト42を所定の締付強度で締め付けることにより、元の状態に容易に回復することが可能で、ラジエータ本体20だけでなく連結ブラケット34、36および車体側ブラケット38、40を含めて車両用冷却部品支持装置10全体をそのまま再使用することができる。
【0020】
このように、本実施例の車両用冷却部品支持装置10においては、一対のラジエータサポートサイド16、18が所定の回動中心線Oまわりに回動可能にラジエータサポートアッパ12に連結されているとともに、そのラジエータサポートサイド16、18にはバンパリインフォースメント54と対応する高さ位置に当接ブラケット34、36が一体的に固設されて車体側ブラケット38、40に連結され、その当接ブラケット34、36に車両の後側へ向かって所定値以上の荷重Fが加えられるとラジエータサポートサイド16、18と一体的に回動中心線Oまわりに回動して車両の後側へ変位することが許容されるため、低速での正面衝突時等にラジエータ本体20だけでなく車両用冷却部品支持装置10そのものが損傷することが抑制される。その場合に、当接ブラケット34、36は、バンパリインフォースメント54の高さ位置に応じてラジエータサポートサイド16、18に固設されるため、そのバンパリインフォースメント54やラジエータ本体20の高さ位置等に関して車両設計上の制約を受ける恐れがない。
【0021】
また、本実施例では、一対のラジエータサポートサイド16、18がそれぞれ回動中心線Oと同心に配設された単一のねじ部材30、32によってラジエータサポートアッパ12に連結されているとともに、そのねじ部材30、32は、ラジエータサポートサイド16、18の下部が車両の後側へ回動変位する方向の力を受けた場合に緩み勝手となってその回動変位を許容するように右ねじか左ねじかが定められているため、そのラジエータサポートサイド16、18の車両後側への回動変位を許容しつつ所定の連結強度でラジエータサポートアッパ12に連結する連結構造を簡単且つ安価に構成できる。
【0022】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例である車両用冷却部品支持装置を説明する図で、(a) は斜視図、(b) は平面図である。
【図2】ラジエータサポートアッパとラジエータサポートサイドとの連結部を説明する図で、(a) は左側の連結部を示す左側面図、(b) は右側の連結部を示す右側面図である。
【図3】車両前方に向かって左側に位置するラジエータサポートサイドに配設される当接ブラケットおよび車体側ブラケットを説明する図で、(a) は斜視図、(b) は横断面図である。
【図4】車両前方に向かって左側に位置するラジエータサポートサイド、当接ブラケット、および車体側ブラケットを示す左側面図で、車体側ブラケットに対して回動中心線Oの左まわりに回動可能である点を説明する図である。
【図5】車体に対する搭載姿勢を説明する左側面図で、(a) は基準状態を示す図、(b) は後退状態を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
10:車両用冷却部品支持装置 12:ラジエータサポートアッパ 14:ラジエータサポートロア 16、18:ラジエータサポートサイド 20:ラジエータ本体(冷却部品) 30、32:ねじ部材 34、36:当接ブラケット 38、40:車体側ブラケット 54:バンパリインフォースメント O:回動中心線 F:所定値以上の荷重

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右方向に配設されて車体に一体的に固設されるとともに、冷却部品の上部を支持するラジエータサポートアッパと、
該ラジエータサポートアッパの下方において車両の左右方向に配設されるとともに、前記冷却部品の下部を支持するラジエータサポートロアと、
車両の左右方向に離間して前記ラジエータサポートアッパと前記ラジエータサポートロアとに跨がって上下方向に配設され、それ等を連結する一対のラジエータサポートサイドと、
を有し、車両前方のバンパリインフォースメントの後側に配設されて、前記ラジエータサポートアッパ、前記ラジエータサポートロア、および前記一対のラジエータサポートサイドによって囲まれた略四角形の空間内に前記冷却部品を支持する車両用冷却部品支持装置において、
前記一対のラジエータサポートサイドは、その上端部においてそれぞれ前記ラジエータサポートアッパに車両の左右方向と略平行な回動中心線まわりに回動可能に連結されている一方、
該一対のラジエータサポートサイドの前記バンパリインフォースメントと対応する高さ位置に、それぞれ前記冷却部品よりも該バンパリインフォースメント側へ突き出すように一体的に固設された一対の当接ブラケットと、
車体に一体的に配設されて前記一対の当接ブラケットにそれぞれ連結され、所定の連結力で該当接ブラケットを位置決めして支持するとともに、該当接ブラケットに車両の後側へ向かって所定値以上の荷重が加えられると、前記ラジエータサポートサイドと一体的に該当接ブラケットが前記回動中心線まわりに回動して車両の後側へ変位することを許容する一対の車体側ブラケットと、
を備えていることを特徴とする車両用冷却部品支持装置。
【請求項2】
前記一対のラジエータサポートサイドは、それぞれ前記回動中心線と同心に配設された単一のねじ部材によって前記ラジエータサポートアッパに連結されており、
該ねじ部材は、前記ラジエータサポートサイドの下部が車両の後側へ回動変位する方向の力を受けた場合にそれぞれ緩み勝手となって該回動変位を許容するようにねじ山の巻き方向が定められている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却部品支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−262693(P2009−262693A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112918(P2008−112918)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000241496)豊田鉄工株式会社 (104)
【Fターム(参考)】