説明

車両用冷却部品支持装置

【課題】枠形状の角部を構成するハット断面形状の一対の枠部材を連結する連結構造を、所定の剛性や強度を確保しつつ簡単で且つ安価に構成できるようにする。
【解決手段】ラジエータサポートロア14の凸部26の上壁22に設けられた開口60にラジエータサポートサイド18の凸部36が嵌入され、凸部26、36の側壁24、34同士が重ね合わされて接合されるとともに、開口60の縁部に設けられた接合フランジ62が上壁32に重ね合わされて接合される。また、連結部材40が固設されるとともに、ラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18との間に閉空間52が形成され、硬化性樹脂54が充填されて補強される。これにより、角部の強度や剛性を確保しつつ、ラジエータサポートロア14やラジエータサポートサイド18を全長に亘って一定のハット断面形状とすることができ、形状が単純化されて簡単で且つ安価に構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用冷却部品支持装置に係り、特に、強度や剛性を確保しつつ簡単で且つ安価に構成できるようにする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の枠部材が所定の枠形状を形成するように連結され、その枠形状の内側で冷却部品を支持する車両用冷却部品支持装置が提案されている。特許文献1に記載の装置はその一例で、ラジエータサポートアッパ、ラジエータサポートロア、およびそれ等のラジエータサポートアッパおよびラジエータサポートロアに跨がって上下方向に配設され、それ等を連結する一対のラジエータサポートサイドの4つの枠部材を主体として構成されており、矩形(直角四辺形)の枠形状を形成している。また、それ等の枠部材は何れも凸部の両側に鍔部を有するハット断面形状で、薄板材を用いて軽量且つ安価に構成しつつ、所定の強度や剛性が確保されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−262693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の冷却部品支持装置においては、枠形状の角部の剛性や強度を確保するために、その角部を構成する一対の枠部材の端部の連結構造が複雑になったり大掛かりになったりするなど、未だ改善の余地があった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、枠形状の角部を構成するハット断面形状の一対の枠部材を連結する連結構造を、所定の剛性や強度を確保しつつ簡単で且つ安価に構成できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、第1発明は、複数の枠部材が所定の枠形状を形成するように連結され、その枠形状の内側で冷却部品を支持する車両用冷却部品支持装置において、(a) 前記枠形状の何れかの角部を構成するように連結される一対の枠部材は、それぞれ凸部の両側に鍔部を有するハット断面形状で、且つ、そのハット断面形状のその鍔部側がその枠形状の外向きとなる姿勢で配設されるとともに、(b) 前記一対の枠部材の中の一方の端部の前記凸部の上壁には他方の枠部材の前記凸部が嵌め入れられるように開口が設けられ、その凸部の側壁同士が互いに重ね合わされて接合されるとともに、その開口の縁部には前記上壁から折り曲げられて他方の枠部材の前記凸部の上壁に重ね合わされて接合される接合フランジが設けられている一方、(c) 前記角部の前記枠形状の内側または外側には、前記一対の枠部材の各々の前記凸部の上壁との間に閉空間を形成するように、その一対の枠部材に跨がって連結部材が一体的に固設されており、(d) 前記閉空間には合成樹脂が充填されていることを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明の車両用冷却部品支持装置において、(a) 前記連結部材は、凸部の両側に鍔部を有するハット断面形状を成しているとともに、前記角部に沿って曲げられたL字形状を成していて、その角部を構成している前記一対の枠部材の各々の前記凸部の側壁および上壁に接するように嵌め合わされて一体的に固設されており、(b) その連結部材の前記凸部の上壁には、前記一対の枠部材の各々の前記凸部の上壁との間に閉空間を形成するように凹部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このような車両用冷却部品支持装置においては、互いに連結される一対の枠部材の中の一方の端部の凸部の上壁に設けられた開口内に他方の枠部材の凸部が嵌め入れられ、その凸部の側壁同士が互いに重ね合わされて接合されるとともに、その開口の縁部に設けられた接合フランジが他方の枠部材の凸部の上壁に重ね合わされて接合される。また、角部における枠形状の内側または外側に連結部材が固設されるとともに、一対の枠部材の各々の凸部の上壁と連結部材との間に閉空間が形成されて合成樹脂が充填されるようになっているため、その合成樹脂によって角部が補強される。これにより、一対の枠部材の凸部の側壁同士が重ね合わされて接合されるとともに接合フランジが凸部の上壁に重ね合わされて接合され、且つ一対の枠部材に跨がって連結部材が一体的に固設されることと相まって、角部の強度や剛性を十分に確保できる。その場合に、一対の枠部材に関しては、基本的に全長に亘って一定のハット断面形状のままで良いため、形状が単純化され、車両用冷却部品支持装置が全体として簡単で且つ安価に構成される。
【0009】
第2発明では、連結部材もハット断面形状で、角部に沿って曲げられたL字形状を成しており、一対の枠部材の各々の凸部の側壁および上壁に接するように嵌め合わされて一体的に固設されているため、強度や剛性が一層向上するとともに、連結部材を角部に組み合わせる際の作業が容易である。また、このように枠部材の凸部の側壁および上壁に接するように嵌め合わされることから、連結部材の凸部の上壁に凹部を設けるだけで、枠部材の凸部の上壁との間に所定の閉空間を容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例である車両用冷却部品支持装置を説明する図で、(a) は概略斜視図、(b) は一つの枠部材の断面形状を示す斜視図である。
【図2】図1の(a) における左下角部LUを拡大して示す斜視図である。
【図3】図2の左下角部LUを示す図で、(a) は図2の左下方向から見た正面図、(b) は枠部材の中心部分で切断した縦断面図である。
【図4】図3の(a) におけるIV−IV矢視部分の断面図である。
【図5】発泡、硬化させられる前の発泡性の硬化性樹脂が設けられた連結部材を単独で示す図で、図3の(b) に対応する縦断面図である。
【図6】本発明の他の実施例を説明する図で、図3に対応する図である。
【図7】図6の(a) における VII−VII 矢視部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の車両用冷却部品支持装置が支持する冷却部品は、主としてエンジン冷却用等の冷却流体を冷却するラジエータ本体であるが、空調設備の空調用コンデンサ等の他の冷却部品を支持する場合にも適用され得る。ラジエータ本体と空調用コンデンサなど複数種類の冷却部品を支持するように構成することも可能である。
【0012】
複数の枠部材は、例えば矩形(直角四辺形)の枠形状を形成するように4本用いられるが、車体に設けられた支持フレームに対して3本の枠部材を用いて矩形の枠形状を形成することもできるなど、種々の態様が可能である。また、枠形状は必ずしも矩形である必要はなく、台形などでも良い。枠形状の複数の角部を総て本発明の連結構造で連結することもできるが、複数の角部の一部を本発明の連結構造で連結するだけでも良い。
【0013】
一対の枠部材の凸部の側壁同士が互いに重ね合わされて接合されるとともに、接合フランジが他方の枠部材の凸部の上壁に重ね合わされて接合されるが、この接合方法としてはスポット溶接やアーク溶接等の溶接が簡便で望ましい。リベットや接着剤等の他の接合手段を採用することもできる。角部の内側または外側に固設される連結部材についても、溶接が適当であるが、リベットや接着剤等の他の固設手段を採用しても良い。上記接合フランジは、凸部の外側へ曲げ起こすようにしても良いし、凸部の内側へ曲げ込むようにしても良い。
【0014】
閉空間に充填される合成樹脂としては、例えば150℃〜250℃等の所定温度の加熱処理で発泡、硬化する熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が好適に用いられる。熱硬化性樹脂としては、例えば尿素樹脂やメラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エボナイトなどが知られており、高強度繊維と組み合わせた繊維強化プラスチック(FRP)を採用することもできる。また、ポリブチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド等比較的高い強度を有する熱可塑性樹脂や、高強度繊維と熱可塑性樹脂を組み合わせた繊維強化プラスチック(FRTP)を採用しても良い。
【0015】
第2発明では、凸部の両側に鍔部を有するハット断面形状の連結部材が用いられるが、第1発明の実施に際しては鍔部が無いU字断面(コの字断面)等の連結部材が用いられても良い。また、第2発明ではL字形状の連結部材の上壁に凹部が設けられることにより所定の閉空間が形成されるが、凹部は、一対の枠部材の凸部の上壁から離間させられることによって、その上壁との間に閉空間を形成できれば良く、例えばL字状や円弧状の凹部が設けられるが、角部の内側に三角形の閉空間を形成する傾斜部などでも良い。
【0016】
第2発明では、連結部材がハット断面形状を成しており、枠部材の凸部の側壁および上壁に接するように嵌め合わされて一体的に固設されているが、鍔部についても枠部材の鍔部に重ね合わされるようにしても良い。互いに接する凸部の側壁、上壁、および鍔部の総てをスポット溶接等によって接合しても良いが、それ等の一部を接合するだけでも良い。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である車両用冷却部品支持装置10を説明する図で、(a) は概略斜視図である。この車両用冷却部品支持装置10は、車両前方のバンパリインフォースメントの後側に配設されて、エンジン冷却用の冷却流体を冷却するラジエータ本体20を支持するもので、車両の左右方向に略水平に配設されるラジエータサポートアッパ12、そのラジエータサポートアッパ12の下方に略平行に配設されるラジエータサポートロア14、および車両の左右方向に離間してラジエータサポートアッパ12とラジエータサポートロア14とに跨がって上下方向(略垂直方向)に配設され、それ等を連結する一対のラジエータサポートサイド16、18を備えている。そして、それ等のラジエータサポートアッパ12、ラジエータサポートロア14、および一対のラジエータサポートサイド16、18の各端部が略直角に連結されることにより、略長方形の枠形状が形成され、その枠形状によって囲まれた略四角形の空間内にラジエータ本体20が一体的に取り付けられて支持されるようになっている。ラジエータ本体20は冷却部品に相当する。
【0018】
上記ラジエータサポートアッパ12、ラジエータサポートロア14、および一対のラジエータサポートサイド16、18は枠部材に相当し、何れもプレス成形品で、直線状の長手形状を成しているとともに、その長手方向に対して直角な断面が凸部の両側に鍔部を有するハット断面形状を成している。図1の(b) は、ラジエータサポートロア14の一部を切断して示した斜視図で、平坦な上壁22および一対の側壁24を有するコの字形状の凸部26と、その凸部26の開口縁から互いに反対方向へ略直角に曲げられた一対の鍔部28とを一体に備えており、全体としてハット断面形状を成している。凸部26の一対の側壁24は上壁22に対して略直角に曲げられており、絞り加工乃至は曲げ加工によって形成される。他の枠部材であるラジエータサポートアッパ12および一対のラジエータサポートサイド16、18も、基本的に上記ラジエータサポートロア14と同様に凸部および一対の鍔部を有して構成されており、何れも鍔部側が枠形状の外向きととなる姿勢で配設され、長手方向の端部においてそれぞれ略直角に連結されている。図1(a) のラジエータサポートアッパ12、ラジエータサポートロア14、一対のラジエータサポートサイド16、18にそれぞれ示されている実線は断面形状で、鍔部が外向きの姿勢であることを表している。
【0019】
図2は、図1(a) における左下角部LU、すなわちラジエータサポートロア14とラジエータサポートサイド18との連結部、を拡大して示す斜視図で、連結部材40を用いて一体的に連結されている。図3は、この左下角部LUを図2の左下方向すなわち車両の正面側から見た図で、(a) は正面図、(b) は中心部分で切断した縦断面図、すなわち図4におけるIIIB−IIIB矢視断面で図3(a) における紙面に直角な方向の中心部分で切断した断面図である。また、図4は図3の(a) におけるIV−IV矢視部分の断面図である。他の角部も、基本的にこの左下角部LUと同様に構成されている。なお、以下の説明では、ラジエータサポートサイド18の凸部および一対の鍔部をそれぞれ36、38の符号で示し、凸部36の上壁および一対の側壁をそれぞれ32、34の符号で示す。
【0020】
上記ラジエータサポートロア14の左端部における前記凸部26の上壁22には開口60が設けられ、ラジエータサポートサイド18の下端の凸部36がその開口60内に嵌め入れられるようになっており、それ等の凸部26、36の側壁24、34同士が互いに密着するように重ね合わされてスポット溶接等により一体的に溶接されている。ラジエータサポートロア14の上記開口60の縁部には、上壁22から略直角に曲げ起こされた接合フランジ62が設けられ、ラジエータサポートサイド18の凸部36の上壁32の外側面に密着して重ね合わされるようになっており、それ等の接合フランジ62および上壁32もスポット溶接等により一体的に溶接されている。これにより、ラジエータサポートロア14の左端部とラジエータサポートサイド18の下端部とが略直角に突き合わされた姿勢で一体的に接合される。
【0021】
前記連結部材40は、ラジエータサポートロア14やラジエータサポートサイド18と同様にハット断面形状を成しており、平坦な上壁42および一対の側壁44を有するコの字形状の凸部46と、その凸部46の開口縁から互いに反対方向へ略直角に曲げられた一対の鍔部48とを一体に備えている。また、前記左下角部LUに沿って曲げられたL字形状を成しており、その左下角部LUにおける枠形状の外側すなわち図3の(a) 、(b) における左方向乃至は下方から、その左下角部LUに組み付けられるようになっている。すなわち、連結部材40の凸部46が、ラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の各々の凸部26、36の一対の側壁24、34の間に嵌め入れられるように組み付けられる。これにより、連結部材40の凸部46の上壁42および一対の側壁44が、それぞれラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の各々の凸部26、36の上壁22、32および一対の側壁24、34に密着するように重ね合わされ、それぞれスポット溶接等により一体的に溶接されている。また、鍔部48についても、鍔部28、38に密着するように重ね合わされ、スポット溶接等により一体的に溶接されている。なお、ラジエータサポートサイド18の下端部の凸部36の上壁32には、連結部材40との干渉を回避するために切欠64が設けられている(図3(b) 参照)。
【0022】
上記連結部材40の凸部46の上壁42には、L字状乃至は円弧状の凹部50が設けられており、ラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の各々の凸部26、36の上壁22、32との間にL字状乃至は円弧状の閉空間52が形成される。そして、その閉空間52には合成樹脂として硬化性樹脂54が充填されている。この硬化性樹脂54は、熱硬化性樹脂が加熱により発泡、硬化されたもので、本実施例ではエポキシ系発泡硬化樹脂が用いられている。このように硬化性樹脂54により閉空間52が埋められることにより、連結部材40とラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18とが強固に固定され、左下角部LUが優れた強度、剛性で連結される。
【0023】
上記硬化性樹脂54は、例えば図5に示すように発泡、硬化前の軟質の樹脂シート56を連結部材40の凹部50に貼り付け、その状態で予め溶接固定されたラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の左下角部LUに外側から嵌め付け、スポット溶接等により一体的に固設する。この状態で、樹脂シート56は凹部50に貼り付けられたまま閉空間52内に保持されており、170〜200℃程度まで加熱して約20分間保持することにより、樹脂シート56をその閉空間52内で発泡、硬化させる。これにより、図3(b) および図4に示すように閉空間52内に硬化性樹脂54が充填された左下角部LUが構成される。閉空間52は、必ずしも樹脂の流出を完全に阻止するように密閉する必要はなく、硬化性樹脂54の流出が制限されて、所定の充填密度で硬化性樹脂54が硬化させられれば良く、樹脂が多少流れ出しても差し支えない。
【0024】
このように、本実施例の車両用冷却部品支持装置10においては、左下角部LUを構成するラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の中の一方の枠部材であるラジエータサポートロア14の左端部の凸部26の上壁22に開口60が設けられ、その開口60内に他方の枠部材であるラジエータサポートサイド18の凸部36が嵌め入れられ、それ等の凸部26、36の側壁24、34同士が互いに重ね合わされて接合されるとともに、その開口60の縁部に設けられた接合フランジ62がラジエータサポートサイド18の凸部36の上壁32に重ね合わされて接合される。また、左下角部LUの枠形状の外側から連結部材40が固設されるとともに、上記ラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の各々の凸部26、36の上壁22、32と連結部材40との間に閉空間52が形成され、硬化性樹脂54が充填されるようになっているため、その硬化性樹脂54によって左下角部LUが補強される。これにより、ラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の各々の凸部26、36の側壁24、34同士が重ね合わされて接合されるとともに接合フランジ62が凸部36の上壁32に重ね合わされて接合され、且つラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18に跨がって連結部材40が固設されることと相まって、左下角部LUの強度や剛性を十分に確保できる。その場合に、ラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18に関しては、基本的に全長に亘って一定のハット断面形状のままで良いため、形状が単純化され、車両用冷却部品支持装置10が全体として簡単で且つ安価に構成される。
【0025】
また、本実施例では、連結部材40もハット断面形状で、左下角部LUに沿って曲げられたL字形状を成しており、ラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の各々の凸部26、36の側壁24、34および上壁22、32に接するように嵌め合わされて一体的に固設されているため、強度や剛性が一層向上するとともに、連結部材40を左下角部LUに組み合わせる際の作業が容易である。また、このようにラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の凸部26、36の側壁24、34および上壁22、32に接するように嵌め合わされることから、連結部材40の凸部46の上壁42にL字状乃至は円弧状の凹部50を設けるだけで、ラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の凸部26、36の上壁22、32との間に所定の閉空間52を容易に形成できる。
【0026】
なお、車両用冷却部品支持装置10の他の3箇所の角部も同様に構成されており、ラジエータサポートアッパ12、ラジエータサポートロア14、および一対のラジエータサポートサイド16、18の計4つの枠部材の総てについて、全長に亘って一定のハット断面形状のままで良く、角部の強度や剛性を確保しつつ形状が単純化されて簡単で且つ安価に構成できる。
【実施例2】
【0027】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0028】
図6および図7は、前記図3および図4に対応する図で、図7は図6の(a) におけるVII −VII 矢視部分の断面図である。この実施例は、連結部材70が前記連結部材40と相違し、左下角部LUの枠形状の内側すなわち図6の(a) 、(b) における右方向乃至は上方から、その左下角部LUに組み付けられるようになっている。ラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18は殆ど前記実施例と同じであるが、前記実施例では連結部材40との干渉を避けるためにラジエータサポートサイド18の下端部の凸部36の上壁32に切欠64が設けられるが、本実施例ではこの切欠64は不要で、上壁32が下端まで設けられている。
【0029】
連結部材70は、前記実施例と同様にハット断面形状を成しており、平坦な上壁72および一対の側壁74を有するコの字形状の凸部76と、その凸部76の開口縁から互いに反対方向へ略直角に曲げられた一対の鍔部78とを一体に備えている。また、左下角部LUに沿って曲げられたL字形状を成しており、その左下角部LUの内側から組み付けられるようになっている。すなわち、連結部材70の凸部76が、ラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の各々の凸部26、36の一対の側壁24、34の外側に嵌め合わされるように組み付けられる。これにより、連結部材70の凸部76の上壁72および一対の側壁74が、それぞれラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の各々の凸部26、36の上壁22、32および一対の側壁24、34に密着するように重ね合わされ、それぞれスポット溶接等により一体的に溶接されている。また、鍔部78についても、鍔部28、38に密着するように重ね合わされ、スポット溶接等により一体的に溶接されている。
【0030】
上記連結部材70の凸部76の上壁72には直線状の傾斜部80が設けられており、ラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の各々の凸部26、36の上壁22、32との間に三角形状の閉空間82が形成される。そして、その閉空間82には前記硬化性樹脂54が充填されており、連結部材70とラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18とが強固に固定されて、左下角部LUが優れた強度、剛性で連結されるようになり、前記実施例と同様の作用効果が得られる。上記傾斜部80は、ラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の凸部26、36の上壁22、32から離間させられて閉空間82を形成する凹部として機能する。
【0031】
なお、上記図6および図7の実施例においても、傾斜部80の代わりにL字状乃至は円弧状の凹部を設け、ラジエータサポートロア14およびラジエータサポートサイド18の各々の凸部26、36の上壁22、32との間にL字状乃至は円弧状の閉空間が形成されるようにしても良い。
【0032】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0033】
10:車両用冷却部品支持装置 12:ラジエータサポートアッパ(枠部材) 14:ラジエータサポートロア(枠部材) 16、18:ラジエータサポートサイド(枠部材) 20:ラジエータ本体(冷却部品) 22、32、42、72:上壁 24、34、44、74:側壁 26、36、46、76:凸部 28、38、48、78:鍔部 40、70:連結部材 50:凹部 52、82:閉空間 54:硬化性樹脂(合成樹脂) 60:開口 62:接合フランジ 80:傾斜部(凹部) LU:左下角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の枠部材が所定の枠形状を形成するように連結され、該枠形状の内側で冷却部品を支持する車両用冷却部品支持装置において、
前記枠形状の何れかの角部を構成するように連結される一対の枠部材は、それぞれ凸部の両側に鍔部を有するハット断面形状で、且つ、該ハット断面形状の該鍔部側が該枠形状の外向きとなる姿勢で配設されるとともに、
前記一対の枠部材の中の一方の端部の前記凸部の上壁には他方の枠部材の前記凸部が嵌め入れられるように開口が設けられ、該凸部の側壁同士が互いに重ね合わされて接合されるとともに、該開口の縁部には前記上壁から折り曲げられて他方の枠部材の前記凸部の上壁に重ね合わされて接合される接合フランジが設けられている一方、
前記角部の前記枠形状の内側または外側には、前記一対の枠部材の各々の前記凸部の上壁との間に閉空間を形成するように、該一対の枠部材に跨がって連結部材が一体的に固設されており、
前記閉空間には合成樹脂が充填されている
ことを特徴とする車両用冷却部品支持装置。
【請求項2】
前記連結部材は、凸部の両側に鍔部を有するハット断面形状を成しているとともに、前記角部に沿って曲げられたL字形状を成していて、該角部を構成している前記一対の枠部材の各々の前記凸部の側壁および上壁に接するように嵌め合わされて一体的に固設されており、
該連結部材の前記凸部の上壁には、前記一対の枠部材の各々の前記凸部の上壁との間に閉空間を形成するように凹部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却部品支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−52851(P2013−52851A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194388(P2011−194388)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000241496)豊田鉄工株式会社 (104)
【Fターム(参考)】