説明

車両用制動装置

【課題】マスタシリンダ圧力を検出する圧力センサの零点補正値を適切に更新することができる車両用制動装置を提供する。
【解決手段】マスタシリンダ23により調整された液圧の圧力に対応する出力値を検出する油圧センサ40と、マスタシリンダ23の圧力が0となる油圧センサ40の出力値を零点補正値として記憶し、該零点補正値に基づいて油圧センサ40の出力値を補正してマスタシリンダ圧力を算出するマスタシリンダ圧力算出部52と、を備える車両用制動装置20において、油圧センサ40により検出された出力値が、マスタシリンダ圧力算出部52に記憶されている零点補正値より小さい場合に、該出力値を新たな零点補正値として設定し、零点補正値を更新する零点補正値更新部54を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、運転者の制動操作量に応じて変動するマスタシリンダの圧力を圧力センサ等の検出手段により検出し、この検出されたマスタシリンダ圧力に基づいて、ブレーキランプの点灯状態を制御したり、各車輪の制動を制御する車両用制動装置が知られている。
【0003】
一般に、上記の圧力センサなどのセンサ類では、温度ドリフトなどの経年変化や経年劣化によって零点に対応するセンサ出力値が変動し、実際は圧力がゼロなのにも係らずセンサ出力値はゼロではない現象、所謂零点ズレが発生することがある。
【0004】
上記の車両用制動装置において、マスタシリンダ圧力に基づいてブレーキランプの点灯や各車輪の制動を正確に制御するには、このような圧力センサの零点ズレの影響を解消する必要がある。このため、圧力センサの出力値を任意の零点補正値に基づいて補正して、零点ズレの影響を排除して、マスタシリンダ圧力が算出されている。
【0005】
圧力センサの零点ズレ量は、上述のように経年変化や経年劣化などによって変動することがあるので、圧力センサの零点補正値も適切に更新する必要がある。例えば、特許文献1では、ストップランプスイッチがオフのとき(ブレーキランプが非点灯のとき)に、制動操作が行われていないものと判断し、すなわち、ブレーキペダルが踏み込まれておらず、本来のマスタシリンダ圧力が0であるべき状態と判断し、このタイミングで圧力センサの零点補正値を更新する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−47386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示される圧力センサの補正技術では、運転者の制動操作が行われているか否かを判別するためにストップランプスイッチのオン/オフ状態をみており、ストップランプスイッチがあることを前提としている。このため、ストップランプスイッチがないブレーキシステムの場合や、ストップランプスイッチに異常が発生した場合では、運転者の制動操作を判別することができず、マスタシリンダ圧力を検出する圧力センサの零点補正値を適切に更新することができない虞がある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、マスタシリンダ圧力を検出する圧力センサの零点補正値を適切に更新することができる車両用制動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る車両用制動装置は、運転者の制動操作量に応じて車両の各車輪に制動力を作用させるための液圧を調整するマスタシリンダと、前記マスタシリンダにより調整された前記液圧の圧力に対応する出力値を検出する圧力センサと、前記マスタシリンダの圧力が0となる前記圧力センサの出力値を零点補正値として記憶し、該零点補正値に基づいて前記圧力センサにより検出された出力値を補正して前記圧力を算出する圧力算出部と、を備える車両用制動装置において、前記圧力センサにより検出された出力値が、前記圧力算出部に記憶されている前記零点補正値より小さい場合に、該出力値を新たな零点補正値として設定し、前記零点補正値を更新する零点補正値更新部を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記車両用制動装置は、車両の加速度を検出する加速度センサを備え、前記零点補正値更新部は、前記加速度センサにより検出された車両の加速度が所定値以上のときに、前記圧力センサにより検出された出力値を新たな零点補正値として設定することが好ましい。
【0011】
また、上記車両用制動装置は、車両の進行方向を検出する進行方向検出部を備え、前記零点補正値更新部は、前記加速度センサにより検出された車両の加速度が所定値以上であり、かつ、前記進行方向検出部により検出された車両の進行方向と、加速度の方向とが同一のときに、前記圧力センサにより検出された出力値を新たな零点補正値として設定することが好ましい。
【0012】
また、上記車両用制動装置は、マスタシリンダ圧力の変化量を算出する変化量算出部を備え、前記零点補正値更新部は、前記変化量算出部により算出された変化量が負方向に所定値以上のときに、前記圧力センサにより検出された出力値を前記零点補正値として設定することが好ましい。
【0013】
また、上記車両用制動装置において、前記零点補正値の初期値は、前記マスタシリンダの実際の圧力が0である場合に前記圧力センサが取り得る出力値の所定範囲のうち、最大値とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る車両用制動装置は、零点補正値更新部により、圧力センサの出力値が現在の零点補正値より小さい場合に、このときの出力値が新たな零点補正値として設定され、零点補正値が更新される。従って、圧力センサの出力値と零点補正値とを比較することにより、特に非制動状態か否かを判別しなくても、零点補正値を更新すべき状況を識別することができる。これにより、本発明に係る車両用制動装置は、例えばストップランプスイッチがないブレーキシステムの場合や、ストップランプスイッチに異常が発生した場合でも、マスタシリンダ圧力を検出する圧力センサの零点補正値を適切なタイミングで更新することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る車両用制動装置を有する車両の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示す制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施形態の制動装置による零点補正値の更新処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明にかかる車両用制動装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用制動装置を有する車両の概略構成を示す模式図である。図1に示すように車両10は、車体11と、左フロントタイヤ12と、右フロントタイヤ14と、左リヤタイヤ16と、右リヤタイヤ18と、車両用制動装置20(以下、「制動装置」とする)と、油圧センサ40と、制御装置42と、を有する。なお、図示は省略したが、車両10は、上記構成以外にも、駆動源、動力伝達部、操作部、座席等、車両として必要な各種構成を備えている。
【0018】
車体11は、車両10の筐体、いわゆるボディーである。車体11の内部には、駆動源、動力伝達部、操作部、座席等が設けられている。
【0019】
左フロントタイヤ12と、右フロントタイヤ14と、左リヤタイヤ16と、右リヤタイヤ18は、車体11の四方に配置され、路面に接地している。左フロントタイヤ12と、右フロントタイヤ14と、左リヤタイヤ16と、右リヤタイヤ18は、駆動源及び動力伝達部により回転されることで、駆動力を路面に伝え、車体11を路面に対して移動させる。
【0020】
制動装置20は、運転者が操作するブレーキペダル21と、ブレーキペダル21に入力されたペダル踏力を倍化させる制動倍力装置(ブレーキブースタ)22と、この制動倍力装置22により倍化されたペダル踏力をブレーキ液の液圧(油圧)へと変換するマスタシリンダ23と、マスタシリンダ23から供給される油圧を流通させる第1油圧配管24及び第2油圧配管26と、第1油圧配管24と第2油圧配管26の配管経路中に配置されたブレーキアクチュエータ27と、各タイヤに対応して配置されており、第1油圧配管24及び第2油圧配管26から供給される油圧により制動力を発生させる油圧制動部28lf、28rf、28lr、28rrと、を有する。なお、第1油圧配管24は、油圧制動部28rf及び油圧制動部28lrと接続されている。また第2油圧配管26は、油圧制動部28lf及び油圧制動部28rrと接続されている。また、制動装置20には、油圧センサ(圧力センサ)40の一部機能と、制御装置42の一部機能も含まれる。
【0021】
ブレーキペダル21は、運転者が操作する操作入力機構であり、運転者が踏み込むことで、踏み込み方向に移動する。制動倍力装置22は、ブレーキペダル21に連結されており、ブレーキペダル21が踏み込まれ、移動すると、ブレーキペダル21に入力されたペダル踏力を倍化してマスタシリンダ23に伝達する。マスタシリンダ23は、制動倍力装置22から力が伝達されると、伝達された力に応じた液圧を第1油圧配管24、第2油圧配管26に供給する。ここで、マスタシリンダ23は、制動倍力装置22から伝達された力を伝達するリンク機構と、リンク機構から伝達された力に応じて、第1油圧配管24に油圧を供給する第1シリンダと、リンク機構から伝達された力に応じて、第2油圧配管26に油圧を供給する第2シリンダとを有する。なお、第1シリンダと第2シリンダは、内部に作動油が充填されており、リンク機構から力が伝達され、内部の油圧が高くなると、それぞれの油圧配管に油圧を供給する。また、マスタシリンダ23は、ブレーキペダル21にペダル踏力が付与されていない状態となったら、油圧を基準油圧に回復させブレーキペダル21の位置を基準位置まで押し戻す。
【0022】
ここで、乗員がブレーキペダル21を踏むと、その操作力(踏力)が制動倍力装置22に伝達される。これによりマスタシリンダ23には、操作力を倍力した力が伝達される。マスタシリンダ23は、制動倍力装置22から操作力を倍力した力が伝達されると、リンク機構により、第1シリンダと第2シリンダに力が伝達する。なお、リンク機構は、第1シリンダと第2シリンダとに直列、または、並列で力を伝達する。これにより、第1シリンダと第2シリンダとは、連動して力が伝達される。第1シリンダと第2シリンダは、操作力を倍力した力が伝達されると、シリンダの内部の体積が小さくなり、シリンダ内の油圧が高い状態となる。これにより、第1シリンダは、作動油の油圧が高くなり、作動油を一定の油圧で第1油圧配管24に吐出する。また、第2シリンダも、作動油の油圧が高くなり、作動油を一定の油圧で第2油圧配管26に吐出する。
【0023】
ブレーキアクチュエータ27は、第1油圧配管24と第2油圧配管26の配管経路中に配置されており、マスタシリンダ23から油圧制動部28lf、28rf、28lr、28rrに供給される油圧を調整する。具体的には、ブレーキアクチュエータ27は、ブレーキ液圧調整手段であり、マスタシリンダ23から供給されるマスタシリンダ圧をそのまま又は車輪毎に調圧する。なお、ブレーキアクチュエータ27は、例えば、オイルリザーバ、オイルポンプ、第1油圧配管24、第2油圧配管26のそれぞれに対して、さらには、それぞれの車輪に対応する油圧配管に対して、ブレーキ液圧を各々に増減する為の増減圧制御弁等によって構成されている。また、ブレーキアクチュエータ27は、後述する制御装置42により動作が制御される。
【0024】
油圧制動部28lfは、左フロントタイヤ12に制動力を付与し、油圧制動部28rfは、右フロントタイヤ14に制動力を付与し、油圧制動部28lrは、左リヤタイヤ16に制動力を付与し、油圧制動部28rrは、右リヤタイヤ18に制動力を付与する。油圧制動部28lfは、第2油圧配管26により、マスタシリンダ23から供給されブレーキアクチュエータ27を通過した(ブレーキアクチュエータ27により調整された)油圧が供給されるホイールシリンダ30lfと、車輪(左フロントタイヤ12)とともに回転するブレーキロータ32lfと、回転しないように車体11に支持され、ホイールシリンダ30lfにより位置が変化され制動時にブレーキロータ32lfと接触するブレーキパッド34lfと、を有する。油圧制動部28lfは、以上のような構成であり、マスタシリンダ23からブレーキアクチュエータ27を通過してより高い油圧(制動時の油圧)が供給されると、ホイールシリンダ30lfがブレーキパッド34lfをブレーキロータ32lfに押し付ける方向に移動させる。これにより、ブレーキパッド34lfとブレーキロータ32lfが接触し、ブレーキロータ32lfに対して回転が停止する方向の力を付与する。油圧制動部28lfは、このようにして、マスタシリンダ23からブレーキアクチュエータ27を通過して供給される油圧により、制動力を対向して配置されたタイヤに付与する。
【0025】
次に、油圧制動部28rf、28lr、28rrは、配置位置(対応して配置されるタイヤ)が異なるのみで、基本的に油圧制動部28lfと同様の構成である。油圧制動部28rfは、第1油圧配管24から供給される油圧(つまり、第1油圧配管24により、マスタシリンダ23から供給されブレーキアクチュエータ27を通過して供給される油圧)によりホイールシリンダ30rfの位置が変動され、制動時は、第1油圧配管24から、ホイールシリンダ30rfに高い油圧が供給され、ブレーキパッド34rfとブレーキロータ32rfとを接触させることで、右フロントタイヤ14に制動力を付与する。油圧制動部28lrは、第1油圧配管24から供給される油圧によりホイールシリンダ30lrの位置が変動され、制動時は、第1油圧配管24から、ホイールシリンダ30lrに高い油圧が供給され、ブレーキパッド34lrとブレーキロータ32lrとを接触させることで、左リヤタイヤ16に制動力を付与する。油圧制動部28rrは、第2油圧配管26から供給される油圧によりホイールシリンダ30rrの位置が変動され、制動時は、第2油圧配管26から、ホイールシリンダ30rrに高い油圧が供給され、ブレーキパッド34rrとブレーキロータ32rrとを接触させることで、右リヤタイヤ18に制動力を付与する。
【0026】
制動装置20は、以上のような構成であり、乗員がブレーキペダル21を踏むとマスタシリンダ23から第1油圧配管24及び第2油圧配管26に油圧が吐出される。これにより、マスタシリンダ23の第1液圧室から吐出された油圧は、第1油圧配管24を介して、油圧制動部28rfと油圧制動部28lrに供給される。マスタシリンダ23の第2液圧室から吐出された油圧は、第2油圧配管26を介して、油圧制動部28lfと油圧制動部28rrに供給される。このようにマスタシリンダ23から各油圧制動部に油圧が吐出されることで、各油圧制動部のブレーキロータにブレーキパッドが接触し、タイヤに制動力を付与する。これにより、車両10は、減速され、停止される。
【0027】
油圧センサ(圧力センサ)40は、マスタシリンダ23の油圧を検出する油圧検出素子である。油圧センサ40は、マスタシリンダ23から、第1油圧配管24及び/または第2油圧配管26に供給される作動油の油圧(マスタシリンダ圧力)を検出し、検出結果を制御装置42に送る。
【0028】
次に、制御装置42は、各部から供給されるセンサの検出結果や、入力される操作、設定された条件等に基づいて、車両10の各部の動作を制御する。ここで、図2は、制御装置の概略構成を示すブロック図である。制御装置42は、図2に示すように、車両状態量演算部51と、マスタシリンダ圧力算出部(圧力算出部)52と、変化量算出部53と、零点補正値更新部54と、ブレーキ動作判定部55と、制動制御部56とを有する。
【0029】
制御装置42は、ブレーキアクチュエータ27、油圧センサ40、ブレーキランプ60、加速度センサ61、シフトセンサ(進行方向検出部)62と連結されている。ここで、ブレーキランプ60は、車体11の後方に配置されている発光素子である。ブレーキランプ60は、点灯と消灯を切り換えることで、制動操作を実行しているかを後方の車両に認識させることができる。加速度センサ61は、車両10の加速度を検出し、シフトセンサ62は、シフト位置(運転者が意図している進行方向)を検出する。また、制御装置42は、ブレーキアクチュエータ27、油圧センサ40、ブレーキランプ60以外にも各種制御対象、検出素子と連結している。
【0030】
ここで、制御装置42は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを有する電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)である。図2に示す制御装置42の各機能は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、CPUの制御のもとで車両10内の各種装置を動作させるとともに、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。なお、制御装置42は、上記の各部の機能に限定されず、車両10のECUとして用いるその他の各種機能を備えている。
【0031】
以下、制御装置42の各部について説明する。
【0032】
車両状態量演算部51は、制御装置42の各部から供給される情報に基づいて、車両10の状態を検出、演算することで、算出する。ここで、車両状態量には、加速度センサ61により検出された車両加速度、シフトセンサ62により検出されたシフト位置情報、車輪速度センサ等の他の各種センサによる検出情報、各種制御装置における制御情報、各種アクチュエータの制御情報等、また、走行速度、エンジン回転数、伝達条件、制動動作、回転角等がある。
【0033】
マスタシリンダ圧力算出部52は、油圧センサ40により検出された出力値を補正して、マスタシリンダ23内の液圧の圧力(マスタシリンダ圧力)を算出する。ここで、マスタシリンダ圧力算出部52は、実際のマスタシリンダ圧力が0となる油圧センサ40の出力値を零点補正値として記憶しており、この零点補正値に基づいて現在の油圧センサ40出力値を補正する。
【0034】
マスタシリンダ圧力は負圧とならない特性があるため、本来は油圧センサ40の出力値は負の値を取ることはない。しかし、油圧センサ40が負方向に零点ズレを発生している場合、実際のマスタシリンダ圧力が0であっても、油圧センサ40の出力値は負の値となる。そこで、実際のマスタシリンダ圧力が0となる油圧センサ40の出力値を零点補正値として設定し、例えば、この零点補正値を油圧センサ40の出力値から減算することで、油圧センサ40の出力値を補正し、マスタシリンダ圧力として算出することができる。
【0035】
変化量算出部53は、マスタシリンダ圧力(油圧センサ40の出力値)の変化量を算出する。油圧センサ40の出力値の変化量は、例えば、現在の油圧センサ40の出力値と、直前の出力値との差分を、検出ステップ間の時間間隔で除算して求めることができる。
【0036】
零点補正値更新部54は、マスタシリンダ圧力算出部52に記憶されている零点補正値を更新する。より詳細には、零点補正値更新部54は、以下の条件のいずれかを満たす場合に、このときの油圧センサ40の出力値を新たな零点補正値として設定することで、零点補正値を更新する。
(1)油圧センサ40により検出された出力値が、マスタシリンダ圧力算出部52に記憶されている現在の零点補正値より小さい。
(2)加速度センサ61により検出された車両10の加速度が所定値以上である。
(3)上記(2)に加え、シフトセンサ62のシフト位置情報に基づく車両10の進行方向と、加速度の方向とが同一である。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1つに加え、変化量算出部53により算出されたマスタシリンダ圧力の変化量が負方向に所定値以上である。
これら零点補正値更新部54による零点補正値の更新処理の詳細については図3を参照して後述する。
【0037】
ブレーキ動作判定部55は、制動操作が入力されている状態か、制動操作が入力されていない状態かを判定する。ここで、ブレーキ動作判定部55は、マスタシリンダ圧力算出部52により算出されたマスタシリンダ圧力に基づいて、制動操作が入力されている状態(ブレーキ動作を実行している状態)か、制動操作が入力されていない状態(ブレーキ動作を実行していない状態)かを判定する。具体的には、マスタシリンダ圧力が所定のしきい値以上である場合に、制動操作が入力されブレーキ動作が実行されている状態と判定し、マスタシリンダ圧力がしきい値より小さい場合に、制動操作は入力されておらずブレーキ動作が実行されていない状態と判定する。このしきい値は、予め設定された値であり、ブレーキ動作が実行されているか、つまり制動操作が入力されているかを判定する基準の値である。
【0038】
制動制御部56は、車両状態量演算部51で算出した車両状態量や、ブレーキ動作判定部55の判定結果、操作者によって入力される操作、マスタシリンダ圧力算出部52により算出されたマスタシリンダ圧力に基づいて、ブレーキアクチュエータ27の動作を制御する。例えば、制動制御部56は、マスタシリンダ圧力算出部52により算出されたマスタシリンダ圧力に基づいて、ブレーキアクチュエータ27を制御して、マスタシリンダ23から油圧制動部28に供給されるマスタシリンダ圧力をフィードバック制御し、車両10の各車輪に作用する制動力を制御する。
【0039】
また、制動制御部56は、ブレーキ動作判定部55の判定結果に基づいて、ブレーキランプ60の点灯や、各種制動動作の制御基準状態を決定する。例えば、制動制御部56は、ブレーキ動作判定部55の判定結果が「制動操作が入力されブレーキ動作が実行されている状態」のときにブレーキランプ60を点灯させ、「制動操作は入力されておらずブレーキ動作が実行されていない状態」のときにブレーキランプ60を消灯させる。
【0040】
次に、図3を参照して、本実施形態の零点補正値の更新処理について説明する。図3は、本実施形態の制動装置20による零点補正値の更新処理を示すフロー図である。図3に示す処理は、制御装置42が、油圧センサ40、加速度センサ61、シフトセンサ62などのセンサ類から供給される情報に基づいて、零点補正値更新部54及び変化量算出部53に処理を行わせることで実行することができる。また、図3に示す処理は、車両10のエンジンが起動されたとき(イグニッションがオンとなったとき)に開始され、エンジンが停止されたとき(イグニッションがオフとなったとき)まで繰り返し実行される処理であり、これらの処理が終了した後には、更新された零点補正値はリセットされる。
【0041】
まず、エンジンが起動されたのに応じて、零点補正値更新部54により、油圧センサ40の出力値を補正するための零点補正値の初期値が設定される(S11)。零点補正値の初期値は、予め設定した任意の値とすることができるが、特に、実際にマスタシリンダ圧力が0である場合に油圧センサ40が取り得る出力値の所定範囲のうち、最大値とすることが好ましい。その理由は以下のとおりである。
【0042】
油圧センサ40などの圧力センサは、単品特性、温度ドリフトなど経時変化、経時劣化を考慮して、圧力が0のときに取り得る出力値の所定範囲が予め画定されている。また、近年の自動車では、ブレーキペダル21を踏み込んだ状態でなければエンジンを始動することができない構成が一般的であるので、図3に示す零点補正値の更新処理が開始されたときには、必ずブレーキペダル21が踏み込まれ、マスタシリンダ圧力は0より相当大きい値となっている状態であり、油圧センサ40の出力値は上記の所定範囲より相当大きい値をとっている。さらに、後述のように、油圧センサ40の出力値が、マスタシリンダ圧力が0のときに取り得る所定範囲を外れる場合には、本実施形態では零点補正値は更新されない。つまり、零点補正値の更新処理が開始されてからしばらくの期間は零点補正値を更新することができない。このため、零点補正値の初期値をランダムに定めた場合には、エンジン始動時において、マスタシリンダ圧力算出部52により油圧センサ40の出力値を零点補正値に基づき補正して算出されるマスタシリンダ圧力の精度が低下する虞がある。そこで、本実施形態では、圧力0のときに取り得る範囲の最大値(例えばマスタ圧0の時の出力電圧範囲が1.0〜1.1ボルトとなる特性をもつセンサの場合には最大値の1.1ボルト)を零点補正値の初期値として設定することで、エンジン始動時においてマスタシリンダ圧力の算出制度が低下するのを抑制することができるよう構成されている。
【0043】
次に、零点補正値更新部54により、油圧センサ40の出力値が、現在の零点補正値より小さいか否かが判別される(S12)。この判別処理は、油圧センサ40によりマスタシリンダ圧力に対応する出力値が検出される毎に逐次実行してもよいし、所定回数分の出力値を蓄積した上でまとめて実行してもよい。油圧センサ40の出力値が現在の零点補正値より小さいと判別された場合には、油圧センサ40が負方向に零点ズレを発生しているものとして、ステップS16に移行する。
【0044】
ステップS12において油圧センサ40の出力値が現在の零点補正値以上であると判定された場合には、続いてステップS13〜S15において、油圧センサ40が正方向へ零点ズレを発生しているか否かが判別される。
【0045】
まず、変化量算出部53により油圧センサ40の出力値の変化量が算出され、零点補正値更新部54により、油圧センサ40の変化量が負方向に所定値以上であるか否か、すなわち油圧センサ40の出力値が直前から所定値以上低下しているか否かが判別される(S13)。油圧センサ40の出力値の変化量は、例えば、現ステップの油圧センサ40の出力値と、1ステップ前の出力値との差分を、ステップ間の時間間隔で除算して求められる。油圧センサの出力値の低下が所定値以上であると判別された場合、直前にブレーキペダル21が戻されてマスタシリンダ圧力が低下したことを示し、現在は非制動状態である可能性が高いものとして、ステップS14へ移行する。油圧センサの出力値の低下が所定値より小さい場合には、ブレーキペダル21が踏み込まれ続けている可能性があるため、零点補正値の更新処理は一旦保留され、ステップS12に戻される。
【0046】
ステップS13において、油圧センサの出力値の低下が所定値以上であると判別された場合には、零点補正値更新部54により、加速度センサ61で検出された車両10の加速度が所定値以上であるか否かが判別される(S14)。加速度が所定値以上であると判別された場合、車両10が加速走行しており、非制動状態である可能性が高いものとして、ステップS15へ移行する。加速度が所定値より小さいと判別された場合、車両10は定速走行中または停止状態であり、ブレーキが踏み込まれている可能性があるため、零点補正値の更新処理は一旦保留し、ステップS12に戻される。
【0047】
ステップS14において、車両10の加速度が所定値以上であると判別された場合、零点補正値更新部54により、シフトセンサ62で検出されたシフト位置情報に基づき車両10の進行方向が検出され、車両10の進行方向と、ステップS14で用いた車両10の加速度の方向とが一致しているか否かが判別される(S15)。進行方向と加速方向が一致している場合、車両10は運転者のアクセル操作により加速走行しており、非制動状態である可能性が高いものとして、ステップS16へ移行する。進行方向と加速方向が一致していない場合、例えば坂路などでブレーキ操作しているにもかかわらず進行方向と反対にずり下がるような状況が考えられ、ブレーキが踏み込まれている可能性があるため、零点補正値の更新処理は一旦保留し、ステップS12に戻される。
【0048】
このように、ステップS12において油圧センサ40の出力値が零点補正値より小さいと判別された場合には、油圧センサ40が負方向に零点ズレを発生しているものと考えられる。一方、ステップS13、S14を経て、ステップS15において進行方向と加速方向が一致していると判別された場合、現在、車両10は非制動状態であり、マスタシリンダ圧力が0となる状態であると考えることができるので、もし油圧センサ40が正方向に零点ズレを発生していれば、その零点ズレ量を検知可能であると考えられる。そこで、これらの場合に、以下のステップS16、S17において零点補正値の更新処理を行う。
【0049】
まず、更新処理の前段階として、零点補正値更新部54により、油圧センサ40の出力値が、圧力が0のときに取り得る出力値の所定範囲内であるか否かが判別される(S16)。圧力が0のときに油圧センサ40の出力値が取り得る所定範囲とは、上述のとおり単品特性や経時変化、経時劣化などに基づきセンサ個別に規定することができる。油圧センサ40の出力値が所定範囲内ではないと判別された場合には、今回の出力値の変動は油圧センサ40の零点ズレによるものではなく、ノイズなど他の要因によるものとして、零点補正値の更新処理は一旦保留し、ステップS12に戻される。
【0050】
ステップS16において油圧センサ40の出力値が所定範囲内であると判別された場合には、零点補正値更新部54により、現在の油圧センサ40の出力値が、新たな零点補正値として設定され、零点補正値が更新される(S17)。
【0051】
そして、エンジンが停止され(イグニッションがオフとなり)車両10の運転が終了か否かが判定され(S18)、運転が継続している場合にはステップS12に戻り更新処理が繰り返され、運転が終了した場合には、処理を終了する。
【0052】
なお、上記の零点補正値の更新処理において、油圧センサ40が正方向へ零点ズレを発生しているか否かを判別するためのステップS13〜S15は、これらのステップのうち少なくとも1つを実施するよう構成してもよい。例えば、ステップS14(加速度が所定値以上か否か)及びステップS15(加速方向と進行方向が一致か否か)を実施する構成や、ステップS14のみを実施する構成、ステップS13(圧力センサ低下が所定値以上か否か)及びステップS14を実施する構成としてもよい。
【0053】
また、油圧センサ40が負方向へ零点ズレを発生していると判別された(ステップS12のYES)後に、ステップS13(圧力センサ低下が所定値以上か否か)を追加する構成としてもよい。
【0054】
また、油圧センサ40が正方向へ零点ズレを発生しているか否かを判別するためのステップS13〜S15を含まない構成としてもよい。この場合、ステップS12において油圧センサ40の出力値が現在の零点補正値以上であると判定された場合には、出力値が零点補正値より小さいと判定されるまでステップS12の処理が繰り返される。このように油圧センサ40が負方向へ零点ズレを発生しているか否かのみを判別する構成の場合、1回の運転サイクル(エンジン始動から停止まで)分の油圧センサ40の出力値をまとめて記憶しておき、これらの出力値の中から最小値を抽出して、この最小値を新たな零点補正値として設定してもよい。
【0055】
次に、本実施形態の車両用制動装置20の作用効果について説明する。
【0056】
上述のように、従来の車両用制動装置では、油圧センサ40の経年変化や経年劣化に応じて、油圧センサ40の出力値を補正するための零点補正値を更新されている。この零点補正値を更新する機会は、実際のマスタシリンダ23の圧力が0となっている状態、すなわち運転者による制動操作が行われておらずブレーキペダルが踏み込まれていない状態が好ましい。そこで、従来は、運転者の制動操作が行われていない状態を判別するために、ブレーキランプ点灯/非点灯を示すブレーキランプスイッチの状態を確認し、ブレーキランプスイッチがオフの場合に、制動操作が行われていないものとして、零点補正値を更新していた。
【0057】
これに対して、本実施形態の車両用制動装置20では、零点補正値更新部54が、油圧センサ40の出力値が現在の零点補正値より小さい場合に、このときの出力値を新たな零点補正値として設定し、零点補正値を更新する。
【0058】
マスタシリンダ23の圧力は負圧にはならない特性があるため、油圧センサ40に負方向の零点ズレが発生していなければ、油圧センサ40出力値は現在の零点補正値以上の値しか取り得ないはずである。これに反して油圧センサ40出力値が零点補正値より小さくなる状態とは、本来マスタシリンダ圧力が取り得ない値を検出していることであり、実際のマスタシリンダ圧力が0となる油圧センサ40出力値が、現在設定されている値より小さい方向にドリフトしていることを示している。つまり、「油圧センサ40の出力値が現在の零点補正値より小さい場合」とは、現在のマスタシリンダ圧力は0であり非制動状態とみなすことができるので、零点補正値を更新するのに適したタイミングであると共に、現在設定されている零点補正値では実際のマスタシリンダ圧力とズレが生じているので、零点補正値を更新すべき状況であると考えられる。
【0059】
このように、本実施形態の車両用制動装置20は、油圧センサ40の出力値と零点補正値とを比較することにより、特に非制動状態か否かを判別しなくても、零点補正値を更新すべき状況を識別することができる。このため、例えば、ストップランプスイッチがないブレーキシステムの場合や、ストップランプスイッチに異常が発生した場合でも、マスタシリンダ圧力を検出する油圧センサ40の零点補正値を適切なタイミングで更新することができる。これにより、油圧センサ40の出力値からマスタシリンダ圧力を精度良く算出することが可能となり、運転者の制動操作量を精度良く推定することが可能となる。この結果、推定された制動操作量に基づく、ブレーキランプの点灯/非点灯の切り替え制御や、各車輪の制動制御を精度良く実行することができる。
【0060】
また、車両10の加速度が所定値以上のときは、運転者がアクセルペダルを踏み込み、車両10を加速させている状態であって、同時に制動操作を行うことは考えにくい。つまり、加速度が所定値以上のときには、制動操作が行われていない状態であり、零点補正値を更新することができる時期であるといえる。
【0061】
そこで、本実施形態の車両用制動装置20では、零点補正値更新部54が、加速度センサ61により検出された車両10の加速度が所定値以上のときは、このときの油圧センサ40の出力値を新たな零点補正値として設定する。これにより、油圧センサ40が正方向に零点ズレを発生している場合でも、零点補正値をより一層適切なタイミングで更新することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態の車両用制動装置20では、零点補正値更新部54が、車両10の加速度が所定値以上であり、かつ、シフトセンサ62により検出された車両10の進行方向と、加速度の方向とが同一のとき、このとき油圧センサ40により検出された出力値を新たな零点補正値として設定する。
【0063】
この構成により、車両10が前方に走行しながら前方に加速している状態、または後方に走行しながら後方に加速している状態のときに、非制動状態で加速中であると推定し、零点補正値を更新することができる。一方、例えば坂路でのずり下がりなど、一定以上の加速でも、運転者が意図した進行方向とは異なる方向へ移動している状態では、運転者が意図しない走行であり制動操作を行っている可能性が高いので、このような状況での更新は実行されない。このように、零点補正値をより一層適切なタイミングで更新することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態の車両用制動装置20では、変化量算出部53が油圧センサ40の出力値(マスタシリンダ圧力)の変化量を算出し、零点補正値更新部54が、変化量算出部53により算出された変化量が負方向に所定値以上のとき、このとき油圧センサ40により検出された出力値を零点補正値として設定する。この構成により、負方向に所定値以上のマスタシリンダ圧力の変化量がある状態、すなわち運転者が直前にブレーキを離し、ブレーキペダルが戻っている状態と判別したときに、非制動状態であると推定し、零点補正値を更新することができる。したがって、零点補正値をより一層適切なタイミングで更新することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態の車両用制動装置20では、零点補正値の初期値は、マスタシリンダ23の実際の圧力が0である場合に油圧センサ40が取り得る出力値の所定範囲のうち、最大値とする。この構成により、エンジン始動時において、零点補正値が極端な値をとることを抑制することができ、マスタシリンダ圧力算出部52による零点補正値に基づくマスタシリンダ圧力の算出制度が低下するのを抑制することができる。
【0066】
以上、本発明について好適な実施形態を示して説明したが、本発明はこれらの実施形態により限定されるものではない。上記実施形態では、マスタシリンダ圧力が0のときに油圧センサ40の出力値が取り得る所定範囲の最大値及び最小値や、油圧センサ40の出力値と零点補正値との大小関係については、油圧センサ40の出力値が正の値をとる場合を想定しているものである。油圧センサ40の出力値が負の値をとるよう構成される場合には、マスタシリンダ圧力が大きくなるほど油圧センサ出力値はより小さくなる(負方向に増大する)ので、上記の大小関係については油圧センサ40の出力値の絶対値に基づくものとする。
【符号の説明】
【0067】
20…車両用制動装置、23…マスタシリンダ、40…油圧センサ(圧力センサ)、52…マスタシリンダ圧力算出部(圧力算出部)、53…変化量算出部、54…零点補正値更新部、56…制動制御部、61…加速度センサ、62…シフトセンサ(進行方向検出部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の制動操作量に応じて車両の各車輪に制動力を作用させるための液圧を調整するマスタシリンダと、
前記マスタシリンダにより調整された前記液圧の圧力に対応する出力値を検出する圧力センサと、
前記マスタシリンダの圧力が0となる前記圧力センサの出力値を零点補正値として記憶し、該零点補正値に基づいて前記圧力センサにより検出された出力値を補正して前記圧力を算出する圧力算出部と、
を備える車両用制動装置において、
前記圧力センサにより検出された出力値が、前記圧力算出部に記憶されている前記零点補正値より小さい場合に、該出力値を新たな零点補正値として設定し、前記零点補正値を更新する零点補正値更新部を備えることを特徴とする車両用制動装置。
【請求項2】
車両の加速度を検出する加速度センサを備え、
前記零点補正値更新部は、前記加速度センサにより検出された車両の加速度が所定値以上のときに、前記圧力センサにより検出された出力値を新たな零点補正値として設定することを特徴とする、請求項1に記載の車両用制動装置。
【請求項3】
車両の進行方向を検出する進行方向検出部を備え、
前記零点補正値更新部は、前記加速度センサにより検出された車両の加速度が所定値以上であり、かつ、前記進行方向検出部により検出された車両の進行方向と、加速度の方向とが同一のときに、前記圧力センサにより検出された出力値を新たな零点補正値として設定することを特徴とする、請求項2に記載の車両用制動装置。
【請求項4】
マスタシリンダ圧力の変化量を算出する変化量算出部を備え、
前記零点補正値更新部は、前記変化量算出部により算出された変化量が負方向に所定値以上のときに、前記圧力センサにより検出された出力値を前記零点補正値として設定することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用制動装置。
【請求項5】
前記零点補正値の初期値は、前記マスタシリンダの実際の圧力が0である場合に前記圧力センサが取り得る出力値の所定範囲のうち、最大値とすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用制動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−171546(P2012−171546A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37335(P2011−37335)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】