説明

車両用制御装置

【課題】車両用制御装置において、ユーザが、部品を交換する度に、部品交換履歴情報を入力する必要をなくし、ユーザフレンドリーなシステムを構築するとともに、ユーザ自身の手入力ではなく、部品交換履歴情報が自動的に更新させ、入力ミスの発生を回避させ、システムの信頼性を向上することにある。
【解決手段】部品に取り付けられた無線タグの情報中のシリアル番号を受信手段により受信し、この受信したシリアル番号が予め記憶している部品の情報中のシリアル番号と一致するか否かを判定する判定手段を設け、受信したシリアル番号が予め記憶しているシリアル番号と一致していないと判定手段により判定された場合には、部品の部品交換履歴情報を更新する制御手段を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用制御装置に係り、特に部品交換履歴情報(データ)を記憶するものにおいてユーザフレンドリーなシステムを構築するとともに、システムの信頼性を向上する車両用制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両においては、構成部品が消耗した等で、部品を交換した場合に、ユーザが車載機器にその部品の交換履歴情報(データ)を入力して記憶させ、部品を管理している。
【0003】
従来、このような部品の交換履歴情報を記憶するシステムには、インターネットを介し、走行距離データに基づき、記憶された部品交換履歴情報や部品交換情報を用い、サーバで部品交換の必要性を判断するとともに、交換が必要と判断された部品の情報をサーバから車両に送信するものがある。
また、製品の管理には、箱にシリアル番号を示す無線タグを取り付け、この無線タグに対応する部分に無線タグの存在を表示する管理用のマークを付したものがある。
【特許文献1】特開2003−76803号公報
【特許文献2】特開2004−115057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、車両用制御装置において、部品を交換した際に、ユーザ自身が部品交換履歴を入力しているので、その入力作業が煩雑であり、入力をしなかったり等の入力ミスが発生し、改善が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、車両を構成する部品に無線タグを取り付けて設け、この無線タグの情報を受信する受信手段を設け、前記部品の情報を予め記憶するとともに前記部品を交換した部品交換履歴情報を記憶する記憶手段を設けた車両用制御装置において、前記部品に取り付けられた無線タグの情報中のシリアル番号を前記受信手段により受信し、この受信したシリアル番号が予め記憶している前記部品の情報中のシリアル番号と一致するか否かを判定する判定手段を設け、前記受信したシリアル番号が前記予め記憶しているシリアル番号と一致していないと前記判定手段により判定された場合には、前記部品の部品交換履歴情報を更新する制御手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明の車両用制御装置は、受信したシリアル番号が予め記憶しているシリアル番号と一致していない場合に、部品の部品交換履歴情報を自動的に更新することにより、ユーザが、部品を交換する度に、部品交換履歴情報を入力する必要がなくなり、ユーザフレンドリーなシステムを構築するとともに、ユーザ自身の手入力ではなく、部品交換履歴情報が自動的に更新されることから、入力ミスの発生を回避させ、システムの信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
この発明は、ユーザフレンドリーなシステムを構築したり、システムの信頼性を向上するために、部品交換履歴情報を自動的に更新して実現するものである。
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体的に説明する。
【実施例】
【0008】
図1〜図4は、この発明の実施例を示すものである。
【0009】
図4において、2は車両である。この車両2には、該車両2を構成する部品として、例えば、前後の車輪4−1A・4−1B、バッテリ4−2、ワイパーブレード4−3等の各部品4が備えられている。また、この車両2には、これら各部品4を管理する車両用制御装置(部品管理システム)6が設けられている。
【0010】
この車両用制御装置6には、図3に示す如く、部品4に取り付けられた無線タグ8と、この無線タグ8に連絡して車両2に搭載された車載機器10とが設けられている。
【0011】
無線タグ8は、非接触型で、各種情報が書き込み・読み出されるメモリ8Aを有している。そして、この無線タグ8には、該無線タグ8が取り付けられた部品4の部品情報として、図2に示す如く、部品名、シリアル番号、品番等の各情報(データ)が書き込まれて記憶される。
【0012】
車載機器10には、制御手段12と、受信手段(無線タグ情報受信手段)14と、記憶手段(メモリ)16と、判定手段18とが設けられている。
【0013】
制御手段12は、車両用制御装置6の全体をプログラムに沿って制御するものである。受信手段14は、部品4の無線タグ8に書き込まれている部品4のシリアル番号等の情報を受信するものである。
【0014】
記憶手段16は、部品4が車両2に取り付けられた時点で、上述同様に、図2に示す如く、該部品4の部品情報として、部品名、シリアル番号、品番等の各情報(データ)を記憶する部品情報データベース20と、部品4を交換したときにその部品交換履歴情報(データ)を記憶する部品交換履歴部22とを備えている。
【0015】
判定手段18は、前記受信手段14により受信した部品4のシリアル番号が、前記部品情報データベース16に予め記憶している部品4のシリアル番号と一致するか否かを判定するものである。
【0016】
そして、制御手段12は、前記受信手段14により受信した部品4のシリアル番号が、部品情報データベース16に予め記憶している部品4のシリアル番号と一致していないと判定手段18で判定された場合には、部品4の部品交換履歴情報を、部品交換履歴部22で自動的に更新する。
【0017】
次に、この実施例の作用を、図1のフローチャートに基づいて説明する。
【0018】
車載機器10の制御手段12においてプログラムがスタートすると(ステップ102)、部品4の無線タグ8の情報を受信手段14により受信する(ステップ104)。
【0019】
そして、この受信手段14により受信した部品4のシリアル番号が、部品情報データベース16に予め記憶している部品4のシリアル番号と一致しているか否かを判定手段18により判定する(ステップ106)。
【0020】
このステップ106がNOの場合には、受信した部品4のシリアル番号が予め記憶している部品4のシリアル番号と一致していないと判定し、つまり、部品が交換されたと判断し(ステップ108)、部品交換履歴情報を、部品交換履歴部22で自動的に更新させる(ステップ110)。
【0021】
そして、この部品交換履歴部22における部品交換履歴情報の更新に伴い、部品情報データベース16において部品情報を自動的に更新させ(ステップ112)、プログラムをエンドとする(ステップ114)。
【0022】
一方、前記ステップ106で、YESの場合には、受信手段14により受信した部品4のシリアル番号が、部品情報データベース16に予め記憶している部品4のシリアル番号と一致するので、部品の交換が無かったと判断し、部品交換履歴情報の更新をせずに、直ぐに、プログラムをエンドとする(ステップ114)。
【0023】
この結果、部品4に取り付けられた無線タグ8の情報中のシリアル番号を受信手段14により受信し、この受信したシリアル番号が予め記憶している部品4の情報中のシリアル番号と一致するか否かを判定する判定手段18を設け、受信したシリアル番号が予め記憶しているシリアル番号と一致していないと判定手段18により判定された場合には、部品4の部品交換履歴情報を更新することから、無線タグから受信したシリアル番号が予め記憶しているシリアル番号と一致していない場合に、部品の部品交換履歴情報を自動的に更新することができ、ユーザが、部品を交換する度に、部品交換履歴情報を入力する必要がなくなり、ユーザフレンドリーなシステムを構築するとともに、ユーザ自身の手入力ではなく、部品交換履歴情報が自動的に更新されることから、入力ミスの発生を回避させ、システムの信頼性を向上することができる。
【0024】
なお、この発明の変形例においては、図5に示す如く、受信手段14を、車載機器10に内蔵せず、この車載機器10外で、無線タグ8と車載機器10との間に設けることも可能である。これにより、車載機器10の構成を簡単にすることが可能となる。
【0025】
また、記憶手段には、前回の部品が何年使ってどのように劣化した等の情報を記憶させるとともに、次の部品の交換時期のデータ等を管理させ、ユーザーへのサービスを向上することも可能である。
【0026】
更に、制御手段においては、新たに交換した部品によって省エネ走行等ができるように、エンジンの運転状態を変えて、エンジン性能を最大に引き出すようにすることも可能である。更にまた、部品情報の中の品番が変更になった場合においても、部品が交換されたと認識することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
車両の部品交換履歴情報を自動的に更新することを、他のシステムにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】車両用制御のフローチャートである。
【図2】部品情報の内容を説明する図である。
【図3】車両用制御装置のシステム構成図である。
【図4】車両の概略構成図である。
【図5】変形例における車両用制御装置のシステム構成図である。
【符号の説明】
【0029】
2 車両
4 部品
6 車両用制御装置
8 無線タグ
10 車載機器
12 制御手段
14 受信手段
16 記憶手段
18 判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を構成する部品に無線タグを取り付けて設け、この無線タグの情報を受信する受信手段を設け、前記部品の情報を予め記憶するとともに前記部品を交換した部品交換履歴情報を記憶する記憶手段を設けた車両用制御装置において、前記部品に取り付けられた無線タグの情報中のシリアル番号を前記受信手段により受信し、この受信したシリアル番号が予め記憶している前記部品の情報中のシリアル番号と一致するか否かを判定する判定手段を設け、前記受信したシリアル番号が前記予め記憶しているシリアル番号と一致していないと前記判定手段により判定された場合には、前記部品の部品交換履歴情報を更新する制御手段を設けたことを特徴とする車両用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−48356(P2006−48356A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228117(P2004−228117)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】