説明

車両用制御装置

【課題】他の制御装置に変更を施すことなく、IG経路の故障を診断することができる車両用制御装置を提供する。
【解決手段】第1ECUは、IGラインを介して入力されたIG信号に基づいてIGスイッチがオフ状態であると判定し(S10)、且つ、他のECUである第2ECU〜第4ECUのいずれか一つから通信ラインを介してオン時通信フレームを受信(S11及びS12でYES判定)し、このオン時通信フレームを所定回数以上受信した場合(S14でYES判定)に、オフ故障していると診断する(S15)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、イグニッションスイッチとの経路(イグニッション経路)の故障を診断する車両用制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、イグニッション(以下IGとも称する)経路の故障を診断する車両用制御装置の一例として、特許文献1に記載のされた車両用制御装置がある。
【0003】
車両用制御装置は、マイコンなどを備えて構成されるものである。このマイコンには、IG信号ラインからIG信号が入力されるとともに、電源から電源電圧が入力される。そして、マイコンは、自身に入力されたIG信号と、他の制御装置から取得したIG信号との比較によりIGスイッチの故障を診断するものである。なお、他の制御装置は、自身で検出したIG情報に基づいたIG信号を出力するものである。
【0004】
マイコンは、自身に入力されたIG信号がオンであるにもかかわらず、他の制御装置から取得したIG信号がオフである状態が所定時間継続すると、IG経路が故障していると診断する。同様に、マイコンは、自身に入力されたIG信号がオフであるにもかかわらず、他の制御装置から取得したIG信号がオンである状態が所定時間継続すると、IG経路が故障していると診断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−117131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の車両用制御装置は、他の制御装置から取得したIG信号を用いて、IG経路の故障診断を行っている。よって、他の制御装置は、自身で検出したIG情報に基づいたIG信号を出力する必要がある。
【0007】
ところが、通常の制御装置は、自身で検出したIG情報に基づいたIG信号を出力することが少ない。換言すると、通常の制御装置は、自身で検出したIG情報に基づいたIG信号を出力する機能を備えていないことが多い。
【0008】
従って、車両用制御装置においてIG経路の故障を診断するためには、他の制御装置に対して、自身で検出したIG情報に基づいてIG信号(オン又はオフの信号)を出力する機能を追加する必要がある。換言すると、車両用制御装置でIGスイッチの故障を診断するために、他の制御装置に変更を施す必要がある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、他の制御装置に変更を施すことなく、IG経路の故障を診断することができる車両用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、
IGスイッチのオン状態とオフ状態とで異なる通信フレームを送信する他の制御装置と共に通信ラインに接続されるとともに、IGスイッチを介してバッテリに接続可能な幹線と幹線に接続された枝線とを含むIGラインにおける枝線に接続され、且つIGスイッチとは非同期に電源が供給されて動作可能な車両用制御装置であって、
IGスイッチのオン状態又はオフ状態を示すIG信号がIGラインを介して入力される入力手段と、
入力手段に入力されたIG信号に基づいてIGイッチのオン状態及びオフ状態を判定する判定手段と、
判定手段の判定結果であるIGスイッチのオン状態とオフ状態に応じて制御内容を切り替える制御手段と、
通信ラインを介して他の制御装置から送信された通信フレームを受信する通信手段と、
電源が供給されて動作可能状態であるときに、判定手段による判定結果と通信手段で受信した通信フレームとに基づいて、枝線及び入力手段の少なくとも一方がオフ故障しているか否かを診断する故障診断手段と、を備え、
故障診断手段は、判定手段にてIGスイッチがオフ状態であると判定され、且つ、通信手段にてIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレーム(以下、オン時通信フレームとも称する)を受信した場合、オフ故障していると診断することを特徴とする。
【0011】
このように、車両用制御装置は、IG信号に基づいてIGイッチのオン状態及びオフ状態を判定する(判定手段)とともに、この判定結果であるIGスイッチのオン状態とオフ状態に応じて制御内容を切り替える(制御手段)ものである。従って、車両用制御装置の制御手段は、自身に接続された枝線及び自身の入力手段の少なくとも一方(つまり、IG経路)がオフ故障した場合、正常な制御を行うことができなくなる。
【0012】
そこで、車両用制御装置は、電源が供給されて動作可能状態であるときに、IG経路がオフ故障しているか否かの診断を行う故障診断手段を備える。この故障診断手段は、判定手段にてIGスイッチがオフ状態であると判定され、且つ、通信手段にてオン時通信フレームを受信した場合、IG経路がオフ故障していると診断する。
【0013】
ところで、通常、車両に搭載された制御装置の制御内容は、IGスイッチのオン状態とオフ状態とで異なるものである。よって、車両に搭載された制御装置においては、IGスイッチのオン状態とオフ状態とで異なる通信フレームを送信することは特別なことではない。また、車両に搭載された制御装置が送信する通信フレームには、IGスイッチのオン状態時にのみ送信されるものもある。つまり、他の制御装置は、車載制御装置におけるオフ故障診断のために、オン時通信フレームを特別に送信しているわけではない。
【0014】
車両用制御装置は、このオン時通信フレームと、判定手段による判定結果(IG信号に基づいて自身での判定した判定結果)とに基づいて、IG経路がオフ故障しているか否かを診断するものである。従って、車両用制御装置は、他の制御装置に変更を施すことなく、IG経路がオフ故障しているか否かを診断することができる。
【0015】
上述のように、制御手段は、IG経路がオフ故障した場合、正常な制御を行うことができなくなる。そこで、請求項2に示すように、故障診断手段にてオフ故障と診断されると、判定手段の判定結果にかかわらず、IGスイッチがオン状態である場合の制御内容に切り替えるようにしてもよい。
【0016】
このようにすることによって、IG経路がオフ故障していても、IGスイッチがオン状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。つまり、IG経路がオフ故障して、判定手段にてIGスイッチがオン状態であると判定できなくても、IGスイッチがオン状態になると、IGスイッチがオン状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。
【0017】
また、請求項3に示すように、制御手段は、故障診断手段にてオフ故障と診断されて、IGスイッチがオン状態である場合の制御内容に切り替えた状態のとき、通信手段にてIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームが受信できなくなった場合、判定手段の判定結果にかかわらず、IGスイッチがオフ状態である場合の制御内容に切り替えるようにしてもよい。
【0018】
このようにすることによって、IG経路がオフ故障している状態で、IGスイッチがオン状態である場合の制御内容に切り替えた場合であっても、IGスイッチがオン状態からオフ状態に切り替わると、IGスイッチがオフ状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。つまり、判定手段がIGスイッチの状態を正しく判定できない状況であっても、IGスイッチがオン状態からオフ状態に切り替わると、IGスイッチがオフ状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。
【0019】
また、請求項4に示すように、制御手段は、故障診断手段にてオフ故障と診断されて、IGスイッチがオン状態である場合の制御内容に切り替えた状態のとき、通信手段にてIGスイッチのオフ状態時にも送信される通信フレーム(以下、オフ時通信フレームとも称する)を受信し、且つIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームが受信できなくなった場合、判定手段の判定結果にかかわらず、IGスイッチがオフ状態である場合の制御内容に切り替えるようにしてもよい。
【0020】
このようにすることによっても、IG経路がオフ故障している状態で、IGスイッチがオン状態である場合の制御内容に切り替えた場合であっても、IGスイッチがオン状態からオフ状態に切り替わると、IGスイッチがオフ状態である場合の制御を行うことができる。つまり、判定手段がIGスイッチの状態を正しく判定できない状況であっても、IGスイッチがオン状態からオフ状態に切り替わると、IGスイッチがオフ状態である場合の制御を行うことができる。さらに、このようにすることによって、通信ラインの断線などによって、オン時通信フレームが受信できなくなった場合に、IGスイッチがオフ状態である場合の制御内容に切り替わることを抑制することができる。なお、他の制御装置は、車載制御装置におけるオフ故障診断のために、オフ時通信フレームを特別に送信しているわけではない。
【0021】
また、請求項5に示すように、故障診断手段は、判定手段にてIGスイッチがオフ状態であると判定され、且つ、通信手段にてIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信したことに加えて、複数の他の制御装置から送信されたIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを通信手段にて受信した場合に、オフ故障していると診断するようにしてもよい。
【0022】
このようにすることによって、判定手段にてIGスイッチがオフ状態であると判定され、且つ、一つの制御装置から送信されたオン時通信フレームを通信手段にて受信したことで、オフ故障していると診断する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0023】
また、請求項6に示すように、故障診断手段は、判定手段にてIGスイッチがオフ状態であると判定され、且つ、通信手段にてIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信したことに加えて、通信手段にてオン時通信フレームを所定回数以上受信した場合に、オフ故障していると診断するようにしてもよい。
【0024】
このようにすることによって、判定手段にてIGスイッチがオフ状態であると判定され、且つ、オン時通信フレームを一回受信したことで、オフ故障していると診断する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0025】
なお、この請求項6と上述の請求項5とを組み合わせて実施する場合、各制御装置から送信されたオン時通信フレームの夫々を所定回数以上受信すると、オフ故障していると診断することになる。このようにすることによって、夫々別に実施する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0026】
また、請求項7に示すように、故障診断手段は、判定手段にてIGスイッチがオフ状態であると判定され、且つ、通信手段にてIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信したことに加えて、通信手段にて通信フレームを所定時間以上受信し続けた場合に、オフ故障していると診断するようにしてもよい。
【0027】
このようにすることによって、判定手段にてIGスイッチがオフ状態であると判定され、且つ、オン時通信フレームを一回受信したことで、オフ故障していると診断する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0028】
なお、この請求項7と上述の請求項5とを組み合わせて実施する場合、各制御装置から送信されたオン時通信フレームの夫々を所定時間以上受信し続けると、オフ故障していると診断することになる。このようにすることによって、夫々別に実施する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0029】
上記目的を達成するために請求項8に記載の発明は、
IGスイッチのオン状態とオフ状態とで異なる通信フレームを送信する他の制御装置と共に通信ラインに接続されるとともに、IGスイッチを介してバッテリに接続可能な幹線と幹線に接続された枝線とを含むIGラインにおける枝線に接続され、且つIGスイッチとは非同期に電源が供給されて動作可能な車両用制御装置であって、
IGスイッチのオン状態又はオフ状態を示すIG信号がIGラインを介して入力される入力手段と、
入力手段に入力されたIG信号に基づいてIGスイッチのオン状態及びオフ状態を判定する判定手段と、
判定手段の判定結果であるIGスイッチのオン状態とオフ状態に応じて制御内容を切り替える制御手段と、
通信ラインを介して他の制御装置から送信された通信フレームを受信する通信手段と、
電源が供給されて動作可能状態であるときに、判定手段による判定結果と通信手段で受信した通信フレームとに基づいて、枝線及び入力手段の少なくとも一方がオン故障しているか否かを診断する故障診断手段と、を備え、
故障診断手段は、判定手段にてIGスイッチがオン状態であると判定され、且つ、通信手段にてIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信できない場合、枝線及び入力手段の少なくとも一方がオン故障していると診断することを特徴とする。
【0030】
このように、車両用制御装置は、IG信号に基づいてIGイッチのオン状態及びオフ状態を判定する(判定手段)とともに、この判定結果であるIGスイッチのオン状態とオフ状態に応じて制御内容を切り替える(制御手段)ものである。従って、車両用制御装置の制御手段は、自身に接続された枝線及び自身の入力手段の少なくとも一方(つまり、IG経路)がオン故障した場合、正常な制御を行うことができなくなる。
【0031】
そこで、車両用制御装置は、電源が供給されて動作可能状態であるときに、IG経路がオン故障しているか否かの診断を行う故障診断手段を備える。この故障診断手段は、判定手段にてIGスイッチがオン状態であると判定され、且つ、通信手段にてオン時通信フレームが受信できない場合、IG経路がオン故障していると診断する。
【0032】
なお、上述のように、他の制御装置は、車載制御装置におけるオン故障診断のために、オン時通信フレームを特別に送信しているわけではない。
【0033】
車両用制御装置は、このオン時通信フレームと、判定手段による判定結果(IG信号に基づいて自身での判定した判定結果)とに基づいて、IG経路がオン故障しているか否かを診断するものである。従って、車両用制御装置は、他の制御装置に変更を施すことなく、IG経路がオン故障しているか否かを診断することができる。
【0034】
上述のように、制御手段は、IG経路がオン故障した場合、正常な制御を行うことができなくなる。そこで、請求項9に示すように、制御手段は、故障診断手段にてオン故障と診断されると、判定手段の判定結果にかかわらず、IGスイッチがオフ状態である場合の制御内容に切り替えるようにしてもよい。
【0035】
このようにすることによって、IG経路がオン故障していても、IGスイッチがオフ状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。つまり、IG経路がオン故障して、判定手段にてIGスイッチがオフ状態であると判定できなくても、IGスイッチがオフ状態になると、IGスイッチがオフ状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。
【0036】
また、請求項10に示すように、制御手段は、故障診断手段にてオン故障と診断されて、IGスイッチがオフ状態である場合の制御内容に切り替えた状態のとき、通信手段にてIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信した場合、判定手段の判定結果にかかわらず、IGスイッチがオン状態である場合の制御内容に切り替えるようにしてもよい。
【0037】
このようにすることによって、IG経路がオン故障している状態で、IGスイッチがオフ状態である場合の制御内容に切り替えた場合であっても、IGスイッチがオフ状態からオン状態に切り替わると、IGスイッチがオン状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。つまり、判定手段がIGスイッチの状態を正しく判定できない状況であっても、IGスイッチがオフ状態からオン状態に切り替わると、IGスイッチがオン状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。
【0038】
また、請求項11に示すように、故障診断手段は、判定手段にてIGスイッチがオン状態であると判定され、且つ、通信手段にてIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信できないことに加えて、通信手段にてIGスイッチのオフ状態時にも送信される通信フレームを受信した場合に、オン故障していると診断するようにしてもよい。
【0039】
このようにすることによって、通信ラインの断線などによって、オン時通信フレームが受信できなくなった場合に、オン故障していると判断することを抑制することができる。
【0040】
また、請求項12に示すように、故障診断手段は、判定手段にてIGスイッチがオン状態であると判定され、且つ、通信手段にてIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信できないことに加えて、複数の他の制御装置から送信されたIGスイッチのオフ状態時にも送信される通信フレームを通信手段にて受信した場合に、オン故障していると診断するようにしてもよい。
【0041】
このようにすることによって、判定手段にてIGスイッチがオン状態であると判定され、且つ、一つの制御装置から送信されたオフ時通信フレームを通信手段にて受信したことで、オン故障していると診断する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0042】
また、請求項13に示すように、故障診断手段は、判定手段にてIGスイッチがオン状態であると判定され、且つ、通信手段にてIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信できないことに加えて、通信手段にてIGスイッチのオフ状態時にも送信される通信フレームを所定回数以上受信した場合に、オン故障していると診断するようにしてもよい。
【0043】
このようにすることによって、判定手段にてIGスイッチがオン状態であると判定され、且つ、オフ時通信フレームを一回受信したことで、オン故障していると診断する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0044】
なお、この請求項13と上述の請求項12とを組み合わせて実施する場合、各制御装置から送信されたオフ時通信フレームの夫々を所定回数以上受信すると、オン故障していると診断することになる。このようにすることによって、夫々別に実施する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0045】
また、請求項14に示すように、故障診断手段は、判定手段にてIGスイッチがオン状態であると判定され、且つ、通信手段にてIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信できないことに加えて、通信手段にてIGスイッチのオフ状態時にも送信される通信フレームを所定時間以上受信し続けた場合に、オン故障していると診断するようにしてもよい。
【0046】
このようにすることによって、判定手段にてIGスイッチがオン状態であると判定され、且つ、オフ時通信フレームを一回受信したことで、オフ故障していると診断する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0047】
なお、この請求項14と上述の請求項12とを組み合わせて実施する場合、各制御装置から送信されたオフ時通信フレームの夫々を所定時間以上受信し続けると、オン故障していると診断することになる。このようにすることによって、夫々別に実施する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0048】
また、請求項15に示すように、故障診断手段は、判定手段にてIGスイッチがオン状態であると判定され、且つ、通信手段にてIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信できないことに加えて、通信手段にてIGスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを所定時間以上受信できない場合に、オン故障していると診断するようにしてもよい。
【0049】
このようにすることによって、判定手段にてIGスイッチがオン状態であると判定され、且つ、オン時通信フレームが受信できなかった場合に、即座にオン故障していると診断するよりも、誤判定を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1実施形態における車載システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における各ECUの入力回路の概略構成を示す回路図である。
【図3】第1実施形態におけるECUの処理動作(オフ故障診断)を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態におけるECUの処理動作におけるタイムチャートである。
【図5】第2実施形態におけるECUの処理動作(オン故障診断)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。本発明の車両用制御装置は、図1に示す車載システム100における第1ECU(Electronic Control Unit)51〜第4ECU54の少なくとも一つに適用される。例えば、本発明の車両用制御装置として第1ECU51を採用し、他の制御装置として第2ECU52〜第4ECU54を採用することができる。また、他の制御装置(例えば第2ECU52〜第4ECU54)は、本発明の車両用制御装置(例えば第1ECU51)と同じ機能(手段)を有していてもよい。本実施形態においては、一例として、第1ECU51〜第4ECU54の四つを含む車載システム100を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。特許請求の範囲に記載の車両用制御装置と他の制御装置を含むものであれば、目的は達成できる。
【0052】
なお、この第1ECU51〜第4ECU54は、構成や機能において共通している部分もある。よって、以下の説明においては、第1ECU51〜第4ECU54で共通している部分を説明する際には、第1ECU51〜第4ECU54を単にECUと省略して記載することもある。つまり、以下の説明において単にECUと記載された箇所は、第1ECU51〜第4ECU54と置き換えることもできる。また、以下の説明における「車両用制御装置であるECU」とは、特許請求の範囲に記載の「車両用制御装置」を示すものであり、第1ECU51〜第4ECU54の少なくとも一つであることを示すものである。また、他のECUとは、特許請求の範囲に記載の「他の制御装置」を示すものである。
【0053】
図1に示すように、車載システム100は、主に、IGライン(幹線10,枝線11〜14)、IGスイッチ20、電源ライン30、通信ライン40、ECU、バッテリ60などを備える。
【0054】
IGラインは、IGスイッチ20を介してバッテリ60に接続可能であり、幹線10と、この幹線10から分岐した枝線11〜14を含む。枝線11は第1ECU51に接続されている。よって、第1ECU51は、枝線11と幹線10を介してIGスイッチ20に接続されている。枝線12は第2ECU52に接続されている。よって、第2ECU52は、枝線12と幹線10を介してIGスイッチ20に接続されている。枝線13は第3ECU53に接続されている。よって、第3ECU53は、枝線13と幹線10を介してIGスイッチ20に接続されている。枝線14は第4ECU54に接続されている。よって、第4ECU54は、枝線14と幹線10を介してIGスイッチ20と接続されている。
【0055】
このIGラインには、IGスイッチ20のオン状態及びオフ状態に伴ってIG信号(IGスイッチ20がオン状態であるかオフ状態であるかを示す信号)が流れる。つまり、IGスイッチ20がオン状態であるとき、IGラインには、IGスイッチ20がオン状態であることを示すIG信号が流れる。一方、IGスイッチ20がオフ状態であるとき、IGラインには、IGスイッチ20がオフ状態であることを示すIG信号が流れる。
【0056】
なお。このIGライン(10,11〜14)を介して、第1ECU51〜第4ECU54の夫々に対して、電源供給することも可能である。しかしながら、ここでは、IGライン(10,11〜14)は、IG信号が流れる信号ラインとして用いる。また、以下の説明、及び図面においては、IGスイッチ20がオン状態であることを単にIGスイッチオン、IGスイッチ20がオフ状態であることを単にIGスイッチオフとも記載する。
【0057】
電源ライン30は、IGスイッチ20を介することなく、バッテリ60に直接接続されている。ECUの夫々は、この電源ライン30を介してバッテリ60からの電源供給が可能となっている。さらに詳細には、ECUの夫々は、IGスイッチ20だけでなく、その他のメインリレーなども介することなく、電源ライン30を介してバッテリ60に直接接続されている。
【0058】
このように、ECUの夫々(少なくとも、車両用制御装置であるECU)は、IGラインとは別の電源系統からの電源供給が可能である。なお、上述のように、ECUの夫々(少なくとも、車両用制御装置であるECU)は、IGライン(10,11〜14)を介して(IGスイッチ20を介した電源系統から)電源供給が可能であったとしても、IGラインとは別の電源系統から電源供給が可能であればよい。
【0059】
通信ライン40は、ECUの夫々に接続されている。この通信ライン40には、ECUの夫々から出力された通信フレームが流れる。つまり、ECUの夫々は、通信ライン40に通信フレームを出力することによって、互いに通信(データ通信、データ転送)を行うことができる(通信手段)。なお、この通信フレームは、例えば、データの種類(種別)を示すID(識別子:Identifier)、具体的なデータ(情報)などを含むものである。
【0060】
なお、本実施形態においては、一例として、第1ECU51〜第4ECU54がCAN(Controller Area Network、CANは登録商標)プロトコルに則った車載LAN(Local Area Network)システムに接続されている例を採用する。よって、本実施形態における通信ライン40はCANバスを示すものである。
【0061】
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ECUは、FlexRay(登録商標)プロトコルやLIN(LocalInterconnect Network)プロトコルに則った車載LANに接続されるものであってもよい。つまり、通信ライン40は、例えばFlexRayバスやLINバスなどを採用することもできる。
【0062】
ECUは、例えばCPU、発振器、記憶装置(例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等))、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどを含むマイコンを主体に構成されている。また、図2に示すように、ECU内のマイコンは、入力回路を介してECU外部と接続されている。なお、図2は、ECU内部とECU外部とのインターフェースを簡略して図示したものである。また、図2中の入力回路は、一例である。
【0063】
なお、ECUとしては、例えば、エンジンコントロールECU、AT(オートマチックトランスミッション)コントロールECU、メータECU、ドアコントロールECUなどを採用する。本実施形態においては、一例として、第1ECU51にエンジンコントロールECU、第2ECU52にATコントロールECU、第3ECU53にメータECU、第4ECU54にドアコントロールECUを適用する。
【0064】
エンジンコントロールECUは、エンジンの制御を行うものである。ATコントロールECUは、オートマチックトランスミッションの制御を行うものである。メータECUは、メータの表示制御を行うものである。ドアコントロールECUは、車両ドアの施解錠制御などを行うものである。これらのECUは、周知技術であるため詳しい説明は省略する。なお、ドアコントロールECU(第4ECU54)には、ドア開閉スイッチ70から出力された信号(車両ドアの開閉状態を示す信号であり、ドア開信号又はドア閉信号)が入力される構成となっている。
【0065】
上記のように構成されたECUは、CPUがROMに記憶されているプログラムを実行することにより、RAMの一時記憶機能を利用しつつ各種演算処理を行うことで各種制御を実行する。例えば、ECU(少なくとも、車両用制御装置であるECU)は、上述のように、通信ライン40に通信フレームを出力することで通信を行なったり(通信手段)、IGラインを介して入力されたIG信号に基づいてIGスイッチ20の状態(IGスイッチオンであるかIGスイッチオフであるか)を判定(認識)したりする(判定手段)。なお、ECUは、自身で判定したIGスイッチ20の状態に応じて制御内容を切り替える(制御手段)。ECUは、このように自身で判定したIGスイッチ20の状態に応じて制御内容を切り替えることで、通信ライン40に出力する通信フレームも切り替える(通信手段)ことになる。
【0066】
通常、車両に搭載されたECUの制御内容は、IGスイッチオンとIGスイッチオフとで異なるものである。よって、車両に搭載されたECUにおいては、IGスイッチオンとIGスイッチオフとで異なる通信フレームを送信することは特別なことではない。
【0067】
また、ECUが他のECU(自身以外のECU)から受信する通信フレームは、IGスイッチ20がオンの時(オン状態時)のみ送信される通信フレーム(オン時通信フレーム)と、IGスイッチ20がオフの時(オフ状態時)にも送信される通信フレーム(オフ時通信フレーム)とがある。つまり、オン時通信フレームは、車載制御装置であるECU(第1ECU51〜第4ECU54の少なくとも一つ)が行うオフ故障診断のために、特別に送信しているわけではない。このオフ故障診断に関しては後ほど説明する。
【0068】
このオン時通信フレームは、IGスイッチ20がオンの時のみECUが行う制御にかかわるデータが含まれている。一例としては、要求トルクを示すデータが含まれた通信フレームなどである。例えば、ATコントロールECU(第2ECU52)は、IGスイッチオンのときのみ、要求トルクを示すデータが含まれた通信フレームをエンジンコントロールECU(第1ECU51)に対して送信する。
【0069】
一方、オフ時通信フレームは、IGスイッチ20がオフの時であっても、ECUに必要なデータが含まれている。一例としては、スリープ許可・不許可を示すデータが含まれた通信フレーム、ドアの開閉状態を示すデータが含まれた通信フレーム、レンジ位置のメータへの表示指示を示すデータが含まれた通信フレーム、車速のメータへの表示指示を示すデータが含まれた通信フレームなどである。
【0070】
なお、スリープ許可・不許可を示すデータが含まれた通信フレームは、ECUから他のECUに対して送信されるものである。例えば、ドアコントロールECU(第4ECU54)は、IGスイッチオフのときにも、ドアの開閉状態を示すデータが含まれた通信フレームをエンジンコントロールECU(第1ECU51)などに対して送信する。また、ATコントロールECU(第2ECU52)は、IGスイッチオフのときにも、レンジ位置のメータへの表示指示を示すデータが含まれた通信フレームをメータECU(第3ECU53)に対して送信する。また、ATコントロールECU(第2ECU52)は、IGスイッチオフのときにも、車速のメータへの表示指示を示すデータが含まれた通信フレームをメータECU(第3ECU53)に対して送信する。
【0071】
当然ながら、オン時通信フレームのIDと、オフ時通信フレームのIDとは異なるものである。よって、ECUは、通信フレームを受信した場合、この通信フレームにおけるIDを確認することで(すなわち、通信フレームにおけるデータを確認することなく)、オン時通信フレームであるかオフ時通信フレームであるかを認識(判定)することができる。
【0072】
また、車両用制御装置であるECUは、このオン時通信フレームやオフ時通信フレームなどを用いて、幹線10と自身とを接続している枝線11〜14や自身の内部回路におけるオフ故障を診断(判定、特定)する。すなわち、幹線10と自身とを接続している枝線11〜14や自身の内部回路において、オフ故障が生じているか否かを診断する。よって、車両用制御装置であるECUは、故障診断装置、又は故障診断機能を有する車両用制御装置とも言い換えることができる。なお、オフ故障の診断方法に関しては、後ほど詳しく説明する。
【0073】
このオフ故障とは、例えば、枝線11〜14が断線した状態、ECUの内部回路におけるIG信号の経路(入力回路などのIG端子からマイコンまでの経路、例えば入力回路の抵抗)が断線した状態(オープン)、ECUの内部回路におけるIG信号の経路がグランドに接触(グランド電位の部位に接触(グランドショート)、例えばオフ固着)した状態などである。換言すると、オフ故障とは、これらの状態の少なくとも一つが生じている状態を示すものである。なお、枝線11〜14、及びECUの内部回路におけるIG信号の経路(入力回路(入力手段)などのIG端子からマイコンまでの経路)は、IG経路とも言い換えることができる。
【0074】
なお、後ほど第2実施形態で説明するが、ECUは、このオン時通信フレームやオフ時通信フレームなどを用いて、幹線10と自身とを接続している枝線11〜14や自身の内部回路におけるオン故障を診断(判定、特定)するようにしてもよい。すなわち、幹線10と自身とを接続している枝線11〜14や自身の内部回路において、オン故障が生じているか否かを診断する。オン故障とは、例えば、枝線11〜14が断線した後に電源に接触(電源電位の部位に接触、例えばオン固着)した状態(電源ショート)、ECUの内部回路におけるIG信号の経路が電源に接触(電源電位の部位に接触、例えばオン固着)した状態(電源ショート)などである。言い換えると、オン故障とは、これらの状態の少なくとも一つが生じている状態を示すものである。
【0075】
このように、車両用制御装置であるECUは、このオン時通信フレームやオフ時通信フレームなどを用いてオフ故障やオン故障を診断するものである。しかしながら、上述のように、オン時通信フレームやオフ時通信フレームは、車両用制御装置であるECUが行うオフ故障やオン故障の診断以外の制御(処理)に必要なものである。つまり、車両用制御装置であるECUは、オフ故障やオン故障の診断を行わない場合であっても送信されるオン時通信フレームやオフ時通信フレームを用いて、オフ故障やオン故障の診断を行うものである。よって、ECU(他の制御装置)は、オフ故障やオン故障の診断を行うために、特別にオン時通信フレームやオフ時通信フレームを送信するように設計されたものではない。
【0076】
また、ECUは、スリープモード(スリープ機能)を有している。つまり、ECUは、スリープモードでない状態で、且つ、車両が所定の状態(例えば駐車状態など)にある場合に、スリープモードに移行する。より詳細には、ECUは、他のECUからスリープ許可を示すデータが含まれた通信フレームを受信すると、スリープモードに移行する。
【0077】
スリープモードとは、ECUにおける電力消費が通常動作モード時に比べて小さい状態である。このスリープモードとしては、例えば、ECUに設けられた発振器を停止したスタンバイモードや、通常動作と異なる低周波数の発振器で動作するスロークロックモードなどがある。また、ECUは、スリープモード中である場合、所定のウェイクアップ信号(すなわちウェイクアップ信号を含む通信フレーム)を受信すると、スリープモードを解除して通常動作モードに復帰(ウェイクアップ、起動)する。なお、ECUにおけるスリープモード、スリープモードからのウェイクアップに関しては、周知技術であるため、詳しい説明は省略する。
【0078】
車両に搭載された電子制御装置には、スリープモード時に、IGスイッチのオンに伴って、バッテリから電源が供給されて起動するものがある。一方、スリープモード時に、通信ラインを介して受信した信号(通信フレーム)によって起動する電子制御装置もある。本実施形態におけるECUは後者である。
【0079】
例えば、第1ECU51〜第3ECU53は、自身がリープモードである時に、通信ライン40を介して、第4ECU54からのウェイクアップ信号を受信するとウェイクアップする。なお、第4ECU54は、自身がリープモードである時に、ドア開閉スイッチ70から出力されたドア開信号を受信するとウェイクアップして、通信ライン40を介してウェイクアップ信号を送信する。つまり、ECU(少なくとも車両用制御装置であるECU)は、IGスイッチ20とは非同期にスリープモードからウェイクアップすることが可能なものである。言い換えると、ECU(少なくとも車両用制御装置であるECU)は、IGスイッチ20とは非同期に電源供給されて動作可能なものである。
【0080】
ここまでに説明したように、本実施形態におけるECU(少なくとも車両用制御装置であるECU)は、IGスイッチ20とは非同期に電源供給されて起動するとともに、自身で判定したIGスイッチ20の状態に応じて、制御内容や通信ライン40に出力する通信フレームを切り替える。
【0081】
ところで、オフ故障やオン故障が生じた場合、ECUは、IGスイッチ20の状態を実際とは異なる状態であると判定してしまう。よって、このような場合、ECUは、実際のIGスイッチ20の状態時に行う制御とは異なる制御を行ったり、実際のIGスイッチ20の状態時に送信する通信フレームとは異なる通信フレームを送信したりすることになる。つまり、ECUは、正常な制御を行うことができなかったり、間違った通信フレームを通信ライン40に出力することになり好ましくない。
【0082】
例えば、枝線11が断線していた場合、第1ECU51は、IGスイッチ20はオンであるあるにもかかわらず、IGスイッチ20がオフであると判定してしまうことになる。そして、第1ECU51は、IGスイッチ20がオフであるときの制御を行ったり、IGスイッチ20がオフであるときの通信フレームを送信したりすることになる。本発明におけるECU(本発明の車両用制御装置としてのECU)は、このような不具合を抑制するために、動作可能状態であるとき、オフ故障の診断やオン故障の診断(第2実施形態)を行う(故障診断手段)。
【0083】
ここで、図3,図4を用いて、ECUによるオフ故障診断処理に関して説明する。なお、図4の「ECUが検出しているスイッチ状態」とは、ECU(本発明の車両用制御装置としてのECU)がIG信号に基づいて判定したIGスイッチ20の状態を示すものである。「ECUが検出しているスイッチ状態」がオンである場合は、ECUがIG信号に基づいてIGスイッチオンと判定していることを示す。一方、「ECUが検出しているスイッチ状態」がオフである場合は、ECUがIG信号に基づいてIGスイッチオフと判定していることを示す。
【0084】
また、図4の「ECU電源」とは、ECU(本発明の車両用制御装置としてのECU)が起動しているか否かを示すものである。「ECU電源」がオンである場合は、ECUが起動していることを示す。一方、「ECU電源」がオフである場合は、ECUがスリープしていることを示す。
【0085】
また、図4におけるの「通信ライン(受信フレーム)」とは、ECU(本発明の車両用制御装置としてのECU)が受信した通信フレームを示すものである。点によるハッチングの通信フレームは、オフ時通信フレームを示す。一方、斜め線によるハッチングの通信フレームは、オン時通信フレームを示す。つまり、図4においては、タイミングt2でIGスイッチ20がオフからオンに切り換わっていることを示している。
【0086】
また、図4における「オフ故障カウンタ」とは、後ほど説明する故障カウンタのカウント値を示す。また、図4における「オフ故障判定結果」とは、ECU(本発明の車両用制御装置としてのECU)がオフ故障と診断したか否かを示す。
【0087】
ECU(本発明の車両用制御装置としてのECU)は、起動中における所定時間(例えば5msなど)毎に、図3のフローチャートに示す処理を実行する。つまり、図4のタイミングt1で示すように、通信によって起動すると図3のフローチャートに示す処理をスタートし、起動中における所定時間毎に図3のフローチャートに示す処理を実行する。なお、ECUは、図4の「ECU電源」に示すように、通信(通信フレームに含まれるウェイクアップ信号)によって起動する(タイミングt1)。
【0088】
図3のステップS10では、ECUは、IGスイッチ20がオンであるか否かを判定する(判定手段)。このとき、ECUは、自身に接続されているIGラインを介して入力されたIG信号に基づいてIGスイッチ20の状態(オン状態であるかオフ状態であるか)を判定する。例えば、第1ECU51は、幹線10と枝線11を介して入力されたIG信号に基づいてIGスイッチ20の状態を判定する。そして、IGスイッチ20がオン状態であると判定した場合はステップS16へ進み、IGスイッチ20がオフ状態である(すなわちオン状態でない)と判定した場合はステップS11へ進む。図4の例においては、「ECUが検出しているスイッチ状態」に示すように、ECUは、タイミングt1以降、IGスイッチ20がオフである(すなわちオンでない)と判定していることになる。
【0089】
図3のステップS16では、ECUは、故障カウンタを0(ゼロ)にする(すなわちクリアする)。そしてステップS17では、ECUは、正常と診断(判定、特定)する。つまり、ECUは、自身に接続されているIGラインを介して入力されたIG信号に基づいてIGスイッチ20がオンである判定した場合、幹線10と自身とを接続している枝線11〜14や、自身の内部回路におけるオフ故障はしていないと診断する。
【0090】
図3のステップS11では、ECUは、オフ故障を診断するために、自身以外の他のECUからの通信フレームを受信したか否かを判定する。例えば、第1ECU51は、オフ故障を診断するために、他のECUである第2ECU52〜第4ECU54のいずれか一つからの通信フレームを受信したか否かを判定する。そして、通信フレームを受信(通信手段)したと判定した場合はステップS12へ進み、通信フレームを受信してないと判定した場合は図3のフローチャートで示す処理を終了する(言い換えるとステップS10へ戻る)。
【0091】
図4の「通信ライン」に示すように、ECUは、自身は起動しているが、IGスイッチ20がオフ状態のとき(タイミングt1からt2になるまでの間)、自身以外の他のECUからオフ時通信フレームを受信することになる。一方、図4の「通信ライン」に示すように、ECUは、自身が起動しており、且つIGスイッチ20がオン状態になると(タイミングt2以降)、自身以外の他のECUからオン時通信フレームを受信することになる。なお、このとき、ECUは、オン時通信フレームとともに、オフ時通信フレームも受信することもある。
【0092】
そこで、図3のステップS12では、ECUは、受信した通信フレームがオン時通信フレームであるか否かを判定する。つまり、ECUは、受信した通信フレームのIDを確認して、この通信フレームがオン時通信フレームであるか否かを判定する。例えば、第1ECU51は、受信した通信フレームがオン時通信フレームであるか否かを判定する。
【0093】
そして、受信した通信フレームがオン時通信フレームであると判定した場合はステップS13へ進む。このとき、ECUは、自身ではIG信号に基づいてIGスイッチオフと認識しているにもかかわらず、自身以外の他のECUからはオン時通信フレームを受信したことになる。つまり、矛盾が生じていることになる。よって、ECUは、受信した通信フレームがオン時通信フレームであると判定した場合、オフ故障の可能性があるとみなしてステップS13へ進む。
【0094】
例えば、第1ECU51が、IGスイッチオフと認識しているにもかかわらず、他のECUである第2ECU52〜第4ECU54のいずれか一つからはオン時通信フレームを受信した場合、幹線10と第1ECU51とを接続している枝線11や、第1ECU51の内部回路におけるオフ故障の可能性がある。
【0095】
オフ故障が生じているECUは、図4の「ECUが検出したIGスイッチ状態」の二点鎖線で示すように、タイミングt2になっても、IG信号に基づいてIGスイッチオンであることを検出できないことになる。しかしながら、図4の「通信ライン」に示すように、オフ故障が生じているECUであっても、タイミングt3からオン時通信フレームを受信することになる。
【0096】
一方、受信した通信フレームがオン時通信フレームでないと判定した場合は図3のフローチャートで示す処理を終了する。このとき、ECUは、自身ではIG信号に基づいてIGスイッチオフと認識しており、自身以外の他のECUからもオン時通信フレームを受信していないことになる。つまり、矛盾は生じていないことになる。よって、ECUは、受信した通信フレームがオン時通信フレームでないと判定した場合、オフ故障は生じていないとみなして、図3のフローチャートで示す処理を終了する(言い換えるとステップS10へ戻る)。
【0097】
図3のステップS13では、ECUは、故障カウンタをカウントアップ(プラス1)する。なお、この故障カウンタとは、オフ故障を診断するためのカウンタである。つまり、ECUが、自身ではIG信号に基づいてIGスイッチオフと認識しているにもかかわらず、自身以外の他のECUからオン時通信フレームを受信した回数をカウントするものである。例えば、第1ECU51は、自身ではIG信号に基づいてIGスイッチオフと認識しているにもかかわらず、他のECUである第2ECU52〜第4ECU54のいずれか一つからオン時通信フレームを受信した場合、自身の故障カウンタをカウントアップする。つまり、ECUは、図4の「オフ故障カウンタ」に示すように、タイミングt3から、IG信号に基づいてIGスイッチオフと認識している状態でオン時通信フレームを受信する度に、カウント値をアップ(プラス1)する。
【0098】
図3のステップS14では、ECUは、故障カウンタのカウンタ値(故障カウンタ値)が所定値に達したか否かを判定する。そして、故障カウンタ値が所定値に達したと判定した場合はステップS15へ進み、故障カウンタ値が所定値に達していないと判定した場合は図3のフローチャートで示す処理を終了する(言い換えるとステップS10へ戻る)。
【0099】
図3のステップS15では、ECUは、幹線10と自身とを接続している枝線11〜14や自身の内部回路におけるオフ故障と診断(判定、特定)する(故障診断手段)。つまり、ECUは、故障カウンタ値が所定値に達したと判定した場合、幹線10と自身とを接続している枝線11〜14や自身の内部回路におけるオフ故障と確定する。例えば、第1ECU51は、幹線10と自身とを接続している枝線11や、自身の内部回路におけるオフ故障と診断する。つまり、ECUは、図4の「オフ故障カウンタ」においてタイミングt3から開始したカウント値が所定値(ここでは、一例として5回)に達した時点(タイミングt4)で、図4の「オフ故障判定結果」に示すようにオフ故障であると確定する。
【0100】
ここまで説明したように、本実施形態におけるECU(車両用制御装置であるECU)は、IG信号に基づいて判定した(自身で判定した)IGスイッチ20の状態と、車載システム100に設けられている自身以外の他のECUが出力する通信フレーム(オン時通信フレーム、オフ時通信フレーム)とに基づいてオフ故障の診断を行うものである。また、このオン時通信フレームやオフ時通信フレームは、オフ故障の診断のために特別に出力されるものではない。つまり、他のECUは、オフ故障やの診断を行うために、特別にオン時通信フレームやオフ時通信フレームを送信するように設計されたものではない。
【0101】
従って、本実施形態におけるECU(車両用制御装置であるECU)は、自身以外の他のECUの構成(回路構成や部品追加や処理動作など)を変更することなく、オフ故障の診断を行うことができる。すなわち、ECUは、自身以外の他のECUがオフ故障の診断のために特別な信号(例えばIG信号)を出力するような構成を有していなくても、オフ故障の診断を行うことができる。
【0102】
換言すると、本実施形態におけるECU(車両用制御装置であるECU)は、他のECUがIG信号を通信フレームに追加したりする構成を有していなくても(通信フレームに情報を追加することなく)、オフ故障の診断を行うことができる。さらに言えば、信号を二重系にするなどの回路変更や部品追加も必要ない。
【0103】
また、オン時通信フレームやオフ時通信フレームは、ウェイクアップ信号を含む通信フレームと同じ通信ライン40を介してECU間で通信されるものである。そして、本実施形態におけるECU(車両用制御装置であるECU)は、ウェイクアップ信号によって起動するものである。よって、本実施形態におけるECU(車両用制御装置であるECU)は、必ず通信ライン40を介した通信を行うための通信部(IG端子や入力回路など)を有していることになる。よって、オフ故障の診断を行うために特別に通信部(例えばセンサなどの検出結果を入力するための入力部)などを設ける必要がない。
【0104】
また、このように、IGスイッチ20がオフ状態であると判定され、且つ、オン時通信フレームを所定回数以上受信した場合に、オフ故障していると診断することによって、オン時通信フレームを一回受信したことで、オフ故障していると診断する場合よりも、診断精度を向上させることができる(誤診断を抑制することができる)。
【0105】
なお、本実施形態においては、故障カウンタ値が所定値(所定回数)に達した場合に、オフ故障と判定する例を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ステップS12でのYES判定が所定時間継続した場合(所定時間以上受信し続けた場合)に、オフ故障と判定するようにしてもよい。つまり、ECU(車両用制御装置であるECU)は、自身でIG信号に基づいてIGスイッチオフと認識しているにもかかわらず、自身以外の他のECUからオン時通信フレームを受信し続ける時間が所定時間継続した場合にオフ故障と診断するようにしてもよい(変形例1−1)。
【0106】
このように、自身でIG信号に基づいてIGスイッチオフと認識しているにもかかわらず、所定時間継続して受信した場合に、オフ故障と判定することによって、診断精度を向上させることができる(誤診断を抑制することができる)。つまり、IGスイッチがオフ状態であると判定され、且つ、オン時通信フレームを一回受信したことで、オフ故障していると診断する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0107】
また、本発明はこれらに限定されるものではない。ECU(車両用制御装置であるECU)は、自身でIG信号に基づいてIGスイッチオフと認識しているにもかかわらず、他のECUからオン時通信フレームを受信した時点で、オフ故障と診断するようにしてもよい(変形例1−2)。つまり、ECUは、自身でIG信号に基づいてIGスイッチオフと認識しているにもかかわらず、一回でも他のECUからオン時通信フレームを受信したらオフ故障と診断するようにしてもよい。このようにすることによって、オフ故障と診断するまでの時間を短縮することができる。
【0108】
また、ECU(車両用制御装置であるECU)は、自身でIG信号に基づいてIGスイッチオフと認識しているときに、他のECUにおける複数の他のECUからオン時通信フレームを受信した場合に、オフ故障と判定するようにしてもよい(変形例1−3)。このようにすることによって、診断精度を向上させることができる。つまり、一つの他のECUから送信されたオン時通信フレームを受信したことで、オフ故障していると診断する場合よりも、診断精度を向上させることができる。よって、故障した他のECUからの通信フレームによって、誤診断することを抑制できる。
【0109】
ところで、従来技術のように、オフ故障の診断のために特別に送信されたIG信号を用いるもので、複数のECUからIG信号を出力させると、オフ故障の診断のために通信ライン40の負荷が増大する可能性がある。しかしながら、上述のように、オフ故障を判定するためのオン時通信フレームやオフ時通信フレームは、オフ故障の診断のために特別に出力されるものではない。よって、オフ故障の診断のために、通信ライン40の負荷が増大することを抑制することができる。
【0110】
なお、車両においては、通信ライン40に接続されるECU(ここでは単に車載制御装置を指している)が年々増加している。よって、通信ライン40の負荷が増大すると、通信ライン40を二重系に増やすなどの処置が必要であり、このことはコストアップにつながる。しかしながら、本発明においては、通信ライン40の負荷が増大することを抑制することができるので、コストアップを抑制することもできる。
【0111】
なお、この変形例1−3と変形例1−1とを組み合わせて実施するようにしてもよい。この場合、ECU(車両用制御装置であるECU)は、自身でIG信号に基づいてIGスイッチオフと認識しているときに、複数の他のECUから送信されたオン時通信フレームの夫々を所定時間以上受信し続けると、オフ故障していると診断することになる。このようにすることによって、夫々別に実施する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0112】
また、上述の実施形態と変形例1−3とを組み合わせて実施するようにしてもよい。この場合、ECU(車両用制御装置であるECU)は、自身でIG信号に基づいてIGスイッチオフと認識しているときに、複数の他のECUから送信されたオン時通信フレームの夫々を所定回数以上受信すると、オフ故障していると診断することになる。このようにすることによって、夫々別に実施する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0113】
上述のように、ECU(車両用制御装置であるECU)は、IG経路がオフ故障した場合、正常な制御を行うことができなくなる。そこで、ECU(車両用制御装置であるECU)は、オフ故障と診断した以降、他のECUからの通信フレームに基づいてIGスイッチ20の状態を判定(推測)するようにしてもよい。そして、この判定(推測)結果に応じて、制御内容や通信ライン40に出力する通信フレームを切り替えるようにしてもよい。
【0114】
例えば、ECU(車両用制御装置であるECU)は、オフ故障と診断すると、IG信号に基づいて判定したIGスイッチ20の状態(判定結果)にかかわらず、IGスイッチ20がオン状態である場合の制御内容に切り替える(制御手段)ようにしてもよい(変形例1−4)。
【0115】
このようにすることによって、ECU(車両用制御装置であるECU)は、IG経路がオフ故障していても、IGスイッチ20がオン状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。つまり、IG経路がオフ故障して、IGスイッチ20がオン状態であると判定できなくても、IGスイッチ20がオン状態になると、IGスイッチ20がオン状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。
【0116】
また、ECU(車両用制御装置であるECU)は、このように、オフ故障と診断して、IGスイッチがオン状態である場合の制御内容に切り替えた状態のとき、オン時通信フレームが受信できなくなった場合、IG信号に基づいて判定したIGスイッチ20の状態(判定結果)にかかわらず、IGスイッチ20がオフ状態である場合の制御内容に切り替える(制御手段)ようにしてもよい(変形例1−5)。
【0117】
このようにすることによって、ECU(車両用制御装置であるECU)は、IG経路がオフ故障している状態で、IGスイッチ20がオン状態である場合の制御内容に切り替えた場合であっても、IGスイッチ20がオン状態からオフ状態に切り替わると、IGスイッチ20がオフ状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。つまり、IG信号に基づいてIGスイッチ20の状態を正しく判定できない状況であっても、IGスイッチ20がオン状態からオフ状態に切り替わると、IGスイッチ20がオフ状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。
【0118】
また、ECU(車両用制御装置であるECU)は、オフ故障と診断して、IGスイッチがオン状態である場合の制御内容に切り替えた状態のとき、オフ時通信フレームを受信し、且つオン時通信フレームが受信できなくなった場合、IG信号に基づいて判定したIGスイッチ20の状態(判定結果)にかかわらず、IGスイッチ20がオフ状態である場合の制御内容に切り替える(制御手段)ようにしてもよい(変形例1−6)。
【0119】
このようにすることによっても、ECU(車両用制御装置であるECU)は、IG経路がオフ故障している状態で、IGスイッチ20がオン状態である場合の制御内容に切り替えた場合であっても、IGスイッチ20がオン状態からオフ状態に切り替わると、IGスイッチ20がオフ状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。つまり、IG信号に基づいてIGスイッチ20の状態を正しく判定できない状況であっても、IGスイッチ20がオン状態からオフ状態に切り替わると、IGスイッチ20がオフ状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。さらに、このようにすることによって、通信ライン40の断線などによって、オン時通信フレームが受信できなくなった場合に、IGスイッチ20がオフ状態である場合の制御内容に切り替わることを抑制することができる。
【0120】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【0121】
(第2実施形態)
なお、上述の実施形態においては、ECUがオフ故障を診断する例を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。本発明におけるECUは、オン故障を診断することもできる。
【0122】
ここで、図5に基づいて、第2実施形態に関して説明する。つまり、ECU(車両用制御装置であるECU)によるオン故障の診断に関して説明する。なお、ECU、及び車載システム100の構成に関しては、上述の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0123】
ECU(車両用制御装置であるECU)は、起動中における所定時間(例えば5msなど)毎に、図5のフローチャートに示す処理を実行する。
【0124】
図5のステップS20では、ECUは、IGスイッチ20がオフであるか否かを判定する(判定手段)。このとき、ECUは、自身に接続されているIGラインを介して入力されたIG信号に基づいてIGスイッチ20の状態(オンであるかオフであるか)を判定する。例えば、第1ECU51は、幹線10と枝線11を介して入力されたIG信号に基づいてIGスイッチ20の状態(オンであるかオフであるか)を判定する。そして、IGスイッチ20がオフであると判定した場合はステップS28へ進み、IGスイッチ20がオンである(すなわちオフでない)と判定した場合はステップS21へ進む。
【0125】
ステップS28では、ECUは、故障カウンタを0(ゼロ)にする(すなわちクリアする)。そして、ステップS29では、ECUは、正常(オフ故障は生じていないと)と診断する。そして、図5のフローチャートで示す処理を終了する(言い換えるとステップS20へ戻る)。つまり、ECUは、自身に接続されているIGラインを介して入力されたIG信号に基づいてIGスイッチ20がオフである判定した場合、幹線10と自身とを接続している枝線11〜14や、自身の内部回路におけるオン故障はしていないと判定する。
【0126】
図5のステップS21では、ECUは、オン故障を診断するために、他のECUからの通信フレームを受信したか否かを判定する。例えば、第1ECU51は、オン故障を診断するために、他のECUである第2ECU52〜第4ECU54のいずれか一つからの通信フレームを受信したか否かを判定する。そして、通信フレームを受信したと判定した場合はステップS22へ進み、通信フレームを受信してないと判定した場合は図5のフローチャートで示す処理を終了する(言い換えるとステップS20へ戻る)。
【0127】
図5のステップS22では、ECUは、受信した通信フレームがIGスイッチオンのときのみ送信される通信フレーム(オン時通信フレーム)であるか否かを判定する。つまり、ECUは、受信した通信フレームのIDを確認して、この通信フレームがオン時通信フレームであるか否かを判定する。例えば、第1ECU51は、受信した通信フレームがオン時通信フレームであるか否かを判定する。
【0128】
そして、受信した通信フレームがオン時通信フレームであると判定した場合はステップS23へ進む。このとき、ECUは、自身ではIG信号に基づいてIGスイッチオンと認識しており、他のECUからもオン時通信フレームを受信していることになる。つまり、矛盾は生じていないことになる。
【0129】
ステップS23では、ECUは、故障カウンタを0(ゼロ)にする(すなわちクリアする)。そして、ステップS24では、ECUは、正常(オン故障は生じていないと)と判定する。つまり、ECUは、自身ではIG信号に基づいてIGスイッチオンと認識しており、且つ、受信した通信フレームがオン時通信フレームであると判定した場合、オン故障は生じていないとみなして、図5のフローチャートで示す処理を終了する(言い換えるとステップS20へ戻る)。
【0130】
一方、受信した通信フレームがオン時通信フレームでないと判定した場合はステップS25へ進む。このとき、ECUは、自身ではIG信号に基づいてIGスイッチオンと認識しているにもかかわらず、他のECUからはオン時通信フレームを受信していないことになる。つまり、矛盾が生じていることになる。例えば、第1ECU51が、IGスイッチオンと認識しているにもかかわらず、他のECUである第2ECU52〜第4ECU54のいずれか一つからオン時通信フレームを受信していない場合、幹線10と第1ECU51とを接続している枝線11や、第1ECU51の内部回路におけるオン故障の可能性がある。よって、ECUは、受信した通信フレームがオン時通信フレームでないと判定した場合、オン故障の可能性があるとみなしてステップS25へ進む。なお、このとき、ECUは、オン時通信フレームを受信していないが、オフ時通信フレームを受信していることになる。
【0131】
図5のステップS25では、ECUは、故障カウンタをカウントアップ(プラス1)する。なお、この故障カウンタとは、オフ故障を診断するためのカウンタである。つまり、ECUが、自身ではIG信号に基づいてIGスイッチオンと認識しているにもかかわらず、他のECUからオン時通信フレームを受信しておらず、オフ時通信フレームのみを受信した回数をカウントするものである。例えば、第1ECU51は、自身ではIG信号に基づいてIGスイッチオンと認識しているにもかかわらず、他のECUである第2ECU52〜第4ECU54のいずれか一つからオン時通信フレームを受信しておらず、オフ時通信フレームのみを受信した場合、自身の故障カウンタをカウントアップする。
【0132】
図5のステップS26では、ECUは、故障カウンタのカウンタ値(故障カウンタ値)が所定値に達したか否かを判定する。そして、故障カウンタ値が所定値に達したと判定した場合はステップS27へ進み、故障カウンタ値が所定値に達していないと判定した場合は図5のフローチャートで示す処理を終了する(言い換えるとステップS20へ戻る)。
【0133】
図5のステップS27では、ECUは、幹線10と自身とを接続している枝線11〜14や自身の内部回路におけるオン故障と診断する。つまり、ECUは、故障カウンタ値が所定値に達したと判定した場合、幹線10と自身とを接続している枝線11〜14や自身の内部回路におけるオン故障と確定する。例えば、第1ECU51は、幹線10と自身とを接続している枝線11や、自身の内部回路におけるオン故障と診断する。
【0134】
ここまで説明したように、本実施形態におけるECU(車両用制御装置であるECU)は、IG信号に基づいて判定した(自身で判定した)IGスイッチ20の状態と、車載システム100に設けられている他のECUが出力する通信フレーム(オン時通信フレーム、オフ時通信フレーム)とに基づいてオン故障の診断を行うものである。また、このオン時通信フレームやオフ時通信フレームは、オン故障の診断のために特別に出力されるものではない。つまり、他のECUは、オン故障の診断を行うために、特別にオン時通信フレームやオフ時通信フレームを送信するように設計されたものではない。
【0135】
従って、本実施形態におけるECU(車両用制御装置であるECU)は、他のECUの構成(回路構成や部品追加や処理動作など)を変更することなく、オン故障の診断を行うことができる。すなわち、本実施形態におけるECU(車両用制御装置であるECU)は、他のECUがオン故障の診断のために特別な信号(例えばIG信号)を出力するような構成を有していなくても、オン故障の診断を行うことができる。
【0136】
換言すると、本実施形態におけるECU(車両用制御装置であるECU)は、他のECUがIG信号を通信フレームに追加したりする構成を有していなくても(通信フレームに情報を追加することなく)、オン故障の診断を行うことができる。さらに言えば、信号を二重系にするなどの回路変更や部品追加も必要ない。
【0137】
また、オン時通信フレームやオフ時通信フレームは、ウェイクアップ信号を含む通信フレームと同じ通信ライン40を介してECU間で通信されるものである。そして、本実施形態におけるECU(車両用制御装置であるECU)は、ウェイクアップ信号によって起動するものである。よって、本実施形態におけるECU(車両用制御装置であるECU)は、必ず通信ライン40を介した通信を行うための通信部(IG端子や入力回路など)を有していることになる。よって、オン故障の診断を行うために特別に通信部(例えばセンサなどの検出結果を入力するための入力部)などを設ける必要がない。
【0138】
また、IGスイッチ20がオン状態であると判定され、且つ、オン時通信フレームを受信できないことに加えて、オフ時通信フレームを所定回数以上受信した場合に、オン故障していると診断することによって、オフ時通信フレームを一回受信したことで、オン故障していると診断する場合よりも、診断精度を向上させることができる(誤診断を抑制することができる)。
【0139】
なお、本実施形態においては、故障カウンタ値が所定値(所定回数)に達した場合に、オン故障と判定する例を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ステップS22でのYES判定が所定時間継続した場合に、オン故障と判定するようにしてもよい(変形例2−1)。つまり、ECU(車両用制御装置であるECU)は、自身でIG信号に基づいてIGスイッチオンと認識しているにもかかわらず、他のECUからオン時通信フレームを受信しておらず、オフ時通信フレームのみを受信し続ける時間が所定時間継続した場合(所定時間以上受信し続けた場合)にオン故障と判定するようにしてもよい。
【0140】
このようにすることによって、IGスイッチ20がオン状態であると判定され、且つ、オン時通信フレームを受信できないことに加えて、オフ時通信フレームを一回受信したことで、オフ故障していると診断する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0141】
また、ECU(車両用制御装置であるECU)は、自身でIG信号に基づいてIGスイッチオンと認識しているときに、他のECUからオン時通信フレームを受信しておらず、他のECUにおける複数のECUからオフ時通信フレームを受信した場合に、オン故障と判定するようにしてもよい(変形例2−2)。
【0142】
このようにすることによって、IGスイッチ20がオン状態であると判定され、且つ、オン時通信フレームを受信できないことに加えて、一つの他のECUから送信されたオフ時通信フレームを通信手段にて受信したことで、オン故障していると診断する場合よりも、診断精度を向上させることができる。また、故障した他のECUからの通信フレームによって、誤診断することを抑制できる。
【0143】
ところで、従来技術のように、オン故障の診断のために特別に送信されたIG信号を用いるもので、複数のECUからIG信号を出力させると、オン故障の診断のために通信ライン40の負荷が増大する可能性がある。しかしながら、上述のように、オン故障を判定するためのオン時通信フレームやオフ時通信フレームは、オン故障の診断のために特別に出力されるものではない。よって、オン故障の診断のために、通信ライン40の負荷が増大することを抑制することができる。
【0144】
なお、車両においては、通信ライン40に接続されるECU(ここでは単に車載制御装置を指している)が年々増加している。よって、通信ライン40の負荷が増大すると、通信ライン40を二重系に増やすなどの処置が必要であり、このことはコストアップにつながる。しかしながら、本発明においては、通信ライン40の負荷が増大することを抑制することができるので、コストアップを抑制することもできる。
【0145】
なお、上述の第2実施形態と変形例2−2とを組み合わせて実施するようにしてもよい。この場合、ECU(車両用制御装置であるECU)は、自身でIG信号に基づいてIGスイッチオンと認識しているときに、オン時通信フレームを受信できないことに加えて、複数の他のECUから送信されたオフ時通信フレームの夫々を所定回数以上受信すると、オン故障していると診断することになる。このようにすることによって、夫々別に実施する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0146】
また、この変形例2−1と変形例2−2とを組み合わせて実施するようにしてもよい。この場合、ECU(車両用制御装置であるECU)は、自身でIG信号に基づいてIGスイッチオンと認識しているときに、オン時通信フレームを受信できないことに加えて、複数の他のECUから送信されたオフ時通信フレームの夫々を所定時間以上受信し続けると、オン故障していると診断することになる。このようにすることによって、夫々別に実施する場合よりも、診断精度を向上させることができる。
【0147】
また、ECU(車両用制御装置であるECU)は、自身でIG信号に基づいてIGスイッチオンと認識しているにもかかわらず、他のECUからオン時通信フレームを受信できなかった時点で、オン故障と判定するようにしてもよい(変形例2−3)。このようにすることによって、オン故障と判定するまでの時間を短縮することができる。
【0148】
また、ECU(車両用制御装置であるECU)は、自身でIG信号に基づいてIGスイッチオンと認識しているにもかかわらず、オン時通信フレームを所定時間以上受信できない場合に、オン故障していると診断するようにしてもよい(変形例2−4)。
【0149】
このようにすることによって、判定手段にてIGスイッチがオン状態であると判定され、且つ、オン時通信フレームが受信できなかった場合に即座にオン故障していると診断するよりも、誤判定を抑制することができる。
【0150】
なお、上述のように、ECU(車両用制御装置であるECU)は、IG経路がオフ故障した場合、正常な制御を行うことができなくなる。そこで、ECU(車両用制御装置であるECU)は、オン故障と診断した以降、他のECUからの通信フレームに基づいてIGスイッチ20の状態を判定(推測)するようにしてもよい。そして、この判定(推測)結果に応じて、制御内容や通信ライン40に出力する通信フレームを切り替えるようにしてもよい。
【0151】
例えば、ECU(車両用制御装置であるECU)は、オン故障と診断して、IG信号に基づいて判定したIGスイッチ20の状態(判定結果)にかかわらず、IGスイッチがオフ状態である場合の制御内容に切り替えるようにしてもよい(変形例2−5)。
【0152】
このようにすることによって、IG経路がオン故障していても、IGスイッチ20がオフ状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。つまり、IG経路がオン故障して、IGスイッチ20がオフ状態であると判定できなくても、IGスイッチ20がオフ状態になると、IGスイッチ20がオフ状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。
【0153】
また、ECU(車両用制御装置であるECU)は、オン故障と診断して、IGスイッチ20がオフ状態である場合の制御内容に切り替えた状態のとき、オン通信フレームを受信した場合、IG信号に基づいて判定したIGスイッチ20の状態(判定結果)にかかわらず、IGスイッチ20がオン状態である場合の制御内容に切り替えるようにしてもよい(変形例2−6)。
【0154】
このようにすることによって、IG経路がオン故障している状態で、IGスイッチ20がオフ状態である場合の制御内容に切り替えた場合であっても、IGスイッチ20がオフ状態からオン状態に切り替わると、IGスイッチ20がオン状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。つまり、IGスイッチ20の状態を正しく判定できない状況であっても、IGスイッチ20がオフ状態からオン状態に切り替わると、IGスイッチ20がオン状態である場合の制御を行うことができるので好ましい。
【符号の説明】
【0155】
10 幹線(IGライン)、11〜14 枝線(IGライン)、20 イグニッションスイッチ、30 電源ライン、40 通信ライン、51 第1ECU、52 第2ECU、53 第3ECU、54 第4ECU、60 バッテリ、70 ドア開閉スイッチ、100 車載システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イグニッションスイッチのオン状態とオフ状態とで異なる通信フレームを送信する他の制御装置と共に該通信ラインに接続されるとともに、前記イグニッションスイッチを介してバッテリに接続可能な幹線と該幹線に接続された枝線とを含むイグニッションラインにおける該枝線に接続され、且つ前記イグニッションスイッチとは非同期に電源が供給されて動作可能な車両用制御装置であって、
前記イグニッションスイッチのオン状態又はオフ状態を示すイグニッション信号が前記イグニッションラインを介して入力される入力手段と、
前記入力手段に入力されたイグニッション信号に基づいて前記イグニッションスイッチのオン状態及びオフ状態を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果である前記イグニッションスイッチのオン状態とオフ状態に応じて制御内容を切り替える制御手段と、
前記通信ラインを介して他の制御装置から送信された通信フレームを受信する通信手段と、
電源が供給されて動作可能状態であるときに、前記判定手段による判定結果と前記通信手段で受信した通信フレームとに基づいて、前記枝線及び前記入力手段の少なくとも一方がオフ故障しているか否かを診断する故障診断手段と、を備え、
前記故障診断手段は、前記判定手段にて前記イグニッションスイッチがオフ状態であると判定され、且つ、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信した場合、前記枝線及び前記入力手段の少なくとも一方がオフ故障していると診断することを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記故障診断手段にてオフ故障と診断されると、前記判定手段の判定結果にかかわらず、前記イグニッションスイッチがオン状態である場合の制御内容に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記故障診断手段にてオフ故障と診断されて、前記イグニッションスイッチがオン状態である場合の制御内容に切り替えた状態のとき、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームが受信できなくなった場合、前記判定手段の判定結果にかかわらず、前記イグニッションスイッチがオフ状態である場合の制御内容に切り替えることを特徴とする請求項2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記故障診断手段にてオフ故障と診断されて、前記イグニッションスイッチがオン状態である場合の制御内容に切り替えた状態のとき、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオフ状態時にも送信される通信フレームを受信し、且つ前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームが受信できなくなった場合、前記判定手段の判定結果にかかわらず、前記イグニッションスイッチがオフ状態である場合の制御内容に切り替えることを特徴とする請求項2に記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記故障診断手段は、前記判定手段にて前記イグニッションスイッチがオフ状態であると判定され、且つ、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信したことに加えて、複数の他の制御装置から送信された前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを前記通信手段にて受信した場合に、オフ故障していると診断することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
【請求項6】
前記故障診断手段は、前記判定手段にて前記イグニッションスイッチがオフ状態であると判定され、且つ、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信したことに加えて、当該通信手段にて当該通信フレームを所定回数以上受信した場合に、オフ故障していると診断することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
【請求項7】
前記故障診断手段は、前記判定手段にて前記イグニッションスイッチがオフ状態であると判定され、且つ、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信したことに加えて、当該通信手段にて当該通信フレームを所定時間以上受信し続けた場合に、オフ故障していると診断することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
【請求項8】
イグニッションスイッチのオン状態とオフ状態とで異なる通信フレームを送信する他の制御装置と共に該通信ラインに接続されるとともに、前記イグニッションスイッチを介してバッテリに接続可能な幹線と該幹線に接続された枝線とを含むイグニッションラインにおける該枝線に接続され、且つ前記イグニッションスイッチとは非同期に電源が供給されて動作可能な車両用制御装置であって、
前記イグニッションスイッチのオン状態又はオフ状態を示すイグニッション信号が前記イグニッションラインを介して入力される入力手段と、
前記入力手段に入力されたイグニッション信号に基づいて前記イグニッションスイッチのオン状態及びオフ状態を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果である前記イグニッションスイッチのオン状態とオフ状態に応じて制御内容を切り替える制御手段と、
前記通信ラインを介して他の制御装置から送信された通信フレームを受信する通信手段と、
電源が供給されて動作可能状態であるときに、前記判定手段による判定結果と前記通信手段で受信した通信フレームとに基づいて、前記枝線及び前記入力手段の少なくとも一方がオン故障しているか否かを診断する故障診断手段と、を備え、
前記故障診断手段は、前記判定手段にて前記イグニッションスイッチがオン状態であると判定され、且つ、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信できない場合、前記枝線及び前記入力手段の少なくとも一方がオン故障していると診断することを特徴とする車両用制御装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記故障診断手段にてオン故障と診断されると、前記判定手段の判定結果にかかわらず、前記イグニッションスイッチがオフ状態である場合の制御内容に切り替えることを特徴とする請求項8に記載の車両用制御装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記故障診断手段にてオン故障と診断されて、前記イグニッションスイッチがオフ状態である場合の制御内容に切り替えた状態のとき、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信した場合、前記判定手段の判定結果にかかわらず、前記イグニッションスイッチがオン状態である場合の制御内容に切り替えることを特徴とする請求項9に記載の車両用制御装置。
【請求項11】
前記故障診断手段は、前記判定手段にて前記イグニッションスイッチがオン状態であると判定され、且つ、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信できないことに加えて、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオフ状態時にも送信される通信フレームを受信した場合に、オン故障していると診断することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
【請求項12】
前記故障診断手段は、前記判定手段にて前記イグニッションスイッチがオン状態であると判定され、且つ、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信できないことに加えて、複数の他の制御装置から送信された前記イグニッションスイッチのオフ状態時にも送信される通信フレームを前記通信手段にて受信した場合に、オン故障していると診断することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
【請求項13】
前記故障診断手段は、前記判定手段にて前記イグニッションスイッチがオン状態であると判定され、且つ、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信できないことに加えて、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオフ状態時にも送信される通信フレームを所定回数以上受信した場合に、オン故障していると診断することを特徴とする請求項11又は12に記載の車両用制御装置。
【請求項14】
前記故障診断手段は、前記判定手段にて前記イグニッションスイッチがオン状態であると判定され、且つ、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信できないことに加えて、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオフ状態時にも送信される通信フレームを所定時間以上受信し続けた場合に、オン故障していると診断することを特徴とする請求項11又は12に記載の車両用制御装置。
【請求項15】
前記故障診断手段は、前記判定手段にて前記イグニッションスイッチがオン状態であると判定され、且つ、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを受信できないことに加えて、前記通信手段にて前記イグニッションスイッチのオン状態時にのみ送信される通信フレームを所定時間以上受信できない場合に、オン故障していると診断することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の車両用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−107602(P2013−107602A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256560(P2011−256560)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)