説明

車両用前照灯

【課題】反射面の蒸着形成時に発生する蒸着溜りにより、反射光が散乱して配光パターンが乱されないようにすることが重要である。
【解決手段】この発明は、半導体型光源2と、反射面12が蒸着により形成されているリフレクタ3と、を備える。反射面12は、半導体型光源2からの光を所定の方向に反射させる有効反射面14と、有効反射面14から延設されていて反射面12の蒸着形成時に発生する蒸着溜り13が形成されるダミー反射面15と、から構成されている。この結果、この発明は、反射面12の蒸着形成時に発生する蒸着溜り13により、有効反射面14における反射光が散乱して配光パターンが乱されないようにすることが確実にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、反射面が蒸着により形成されているリフレクタを備える車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用前照灯について説明する。従来の車両用前照灯は、光源の光をリフレクターの有効反射面で前方に反射して前方所定方向に拡散配光するものである。リフレクターの有効反射面は、蒸着により形成されている。
【0003】
かかる車両用前照灯においては、反射面の蒸着形成時に発生する蒸着溜りにより、反射光が散乱して配光パターンが乱されないようにすることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−20902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、反射面の蒸着形成時に発生する蒸着溜りにより、反射光が散乱して配光パターンが乱されないようにすることが重要である、という点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、半導体型光源と、反射面が蒸着により形成されているリフレクタと、を備え、反射面が、半導体型光源からの光を所定の方向に反射させる有効反射面と、有効反射面から延設されていて反射面の蒸着形成時に発生する蒸着溜りが形成されるダミー反射面と、から構成されている、ことを特徴とする。
【0007】
この発明(請求項2にかかる発明)は、ダミー反射面が、半導体型光源の発光範囲(半導体型光源から光が放射される範囲)外の箇所に設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項3にかかる発明)は、ダミー反射面が、半導体型光源からの光を有効反射面の反射方向と異なる方向に反射させる反射面である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、反射面の蒸着形成時に発生する蒸着溜りがダミー反射面に形成されて有効反射面には形成されないので、半導体型光源からの光を有効反射面において所定の方向に確実に反射させることができる。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、反射面の蒸着形成時に発生する蒸着溜りにより、有効反射面における反射光が散乱して配光パターンが乱されないようにすることが確実にできる。
【0010】
特に、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、光源として、光の放射方向の指向性が、白熱バルブやハロゲンバルブや放電バルブなどのバルブタイプの光源と比較して、高い(強い)半導体型光源を使用するので、蒸着溜りによる反射光の散乱や配光パターンの乱れなどの影響が、バルブタイプの光源と比較して、大きくなる傾向にあるが、蒸着溜りが形成される箇所を有効反射面からダミー反射面に移動させることにより、前記の影響を確実に防止することができる。
【0011】
この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、ダミー反射面を半導体型光源の発光範囲外の箇所に設けるので、蒸着溜りが形成される箇所を半導体型光源の発光範囲内の有効反射面から発光範囲外のダミー反射面に外すことができ、その結果、蒸着溜りによる反射光の散乱や配光パターンの乱れをさらに確実に防止することができる。
【0012】
しかも、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、ダミー反射面を半導体型光源の発光範囲外の箇所に設けるので、半導体型光源の発光範囲と反射面の有効反射面とが合致して、有効反射面を全面に亘って有効に利用することができ、その結果、有効反射面からの反射光の光量を向上させることができる。
【0013】
この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、ダミー反射面が半導体型光源からの光を有効反射面の反射方向と異なる方向に反射させる反射面であるから、半導体型光源からの光がダミー反射面に入射したとしても、半導体型光源からの光をダミー面において有効反射面の反射方向と異なる方向に反射させることができる。これにより、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、蒸着溜りによる反射光の散乱や配光パターンの乱れをさらに確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態1を示す斜視図である。
【図2】図2は、同じく、図1におけるII−II線断面図である。
【図3】図3は、同じく、図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】図4は、同じく、蒸着状態を示す説明図であって、図2に対応する断面説明図である。
【図5】図5は、同じく、蒸着状態を示す説明図であって、図3に対応する断面説明図である。
【図6】図6は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態2を示す縦断面図(垂直断面図)であって、図2に対応する断面図である。
【図7】図7は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態3を示す縦断面図(垂直断面図)であって、図2に対応する断面図である。
【図8】図8は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態4を示す縦断面図(垂直断面図)であって、図2に対応する断面図である。
【図9】図9は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態5を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図10】図10は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態6を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図11】図11は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態7を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態(実施例)のうちの7例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用前照灯を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。
【0016】
(実施形態1の構成の説明)
図1〜図5は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態1を示す。以下、この実施形態1における車両用前照灯の構成について説明する。図中、符号1は、この実施形態1における車両用前照灯(たとえば、ヘッドランプやフォグランプなど)である。
【0017】
前記車両用前照灯1は、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、半導体型光源2と、リフレクタ3と、取付部材4と、保持部材5と、ヒートシンク部材6と、を備えるものである。
【0018】
前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズは、灯室(図示せず)を画成する。前記灯室内には、前記半導体型光源2および前記リフレクタ3および前記取付部材4および前記保持部材5および前記ヒートシンク部材6が配置されている。
【0019】
前記半導体型光源2は、この例では、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源、すなわち、半導体型光源(この実施例ではLED)を使用する。前記半導体型光源2は、基板(図示せず)と、前記基板に適宜に配置されて設けられている1個もしくは複数個の発光チップ(図示せず)と、前記発光チップを封止する封止樹脂部材(図示せず)と、から構成されている。前記半導体型光源2は、前記取付部材4により前記保持部材5に取り付けられている。
【0020】
前記半導体型光源2の発光範囲Aは、図2、図3中の二点鎖線矢印に示すように、光(図2、図3中の実線矢印参照)が前記発光チップから前記封止樹脂部材を経て外部に放射される範囲であって、この例では、約180°〜約200°の範囲である。
【0021】
前記リフレクタ3は、光不透過性の部材、この例では、樹脂部材から構成されている。前記リフレクタ3は、一方側(前方側)7が開口し、かつ、他方側(後方側、上方側、下方側、左方側、右方側)8が閉塞した中空形状をなす。前記閉塞部8の後方側、上方側、左方側、右方側は、回転放物線形状をほぼ2分の1とした湾曲板形状をなす。前記閉塞部8の下方側は、ほぼ水平板形状をなし、前記閉塞部8の奥側(後方側)から前記開口部7側(前方側)にかけて上方側から下方側に傾斜している。前記閉塞部8の下方側の水平板部の傾斜は、前記リフレクタ3の成形金型(図示せず)の抜きのために設けられていて、この例では、約5°である。
【0022】
前記リフレクタ3の前記閉塞部8の水平板部の中央部から後方部にかけての箇所、および、前記リフレクタ3の前記閉塞部8の湾曲板部の中央部の若干の箇所には、窓部9が設けられている。前記窓部9には、前記半導体型光源2および前記取付部材4および前記保持部材5の一部が位置する。前記リフレクタ3の前記閉塞部8の湾曲板部の下部後側には、固定凸部10が一体に設けられている。前記固定凸部10は、前記ヒートシンク部材6にスクリュー11により固定されている。
【0023】
前記リフレクタ3の前記閉塞部8の内面(特に、湾曲板部の内面)には、反射面12が形成されている。すなわち、図4、図5に示すように、前記リフレクタ3の前記開口部7を上側に向けた状態で、前記リフレクタ3の前記閉塞部8の内面に蒸着(図4、図5中の実線矢印参照)を施して、前記反射面12を形成する。
【0024】
前記蒸着の構造は、まず、前記リフレクタ3の母材の表面に密着性を高めるためのアンダーコート層が形成され、つぎに、前記アンダーコート層の上に反射層のアルミ蒸着層が形成され、さらに、前記アルミ蒸着層の上に耐候性を高めるためのトップコート層が形成されてなる構造である。
【0025】
前記蒸着時において、前記リフレクタ3の前記閉塞部8の内面の最下位の箇所であって、図4に示す、前記閉塞部8の前記窓部9のうち湾曲板部側の縁部、および、図5に示す、前記閉塞部8の水平板部と湾曲板部との角部には、蒸着溜り13(図4、図5中の点線で示される箇所を参照)が形成される。すなわち、前記アンダーコート層が形成される際に、前記アンダーコート層が前記の縁部および前記の角部において他の箇所と比較して厚く溜まり易いので、その結果、前記蒸着溜り13が前記の縁部および前記の角部において形成される。
【0026】
前記反射面12は、有効反射面14と、ダミー反射面15と、から構成されている。前記有効反射面14は、自由曲面(NURBS曲面)の反射面である。前記有効反射面14は、前記半導体型光源2からの光を所定の方向に反射させる反射面である。前記有効反射面14は、前記半導体型光源2の発光範囲A内の箇所(図1〜図5中の二点鎖線から矢印I側の箇所)Iに設けられている。
【0027】
前記ダミー反射面15は、前記有効反射面14と同様に、自由曲面(NURBS曲面)の反射面である。前記ダミー反射面15は、前記有効反射面14から一体に延設されている。前記ダミー反射面15は、前記半導体型光源2の発光範囲A外の箇所(図1〜図5中の二点鎖線から矢印O側の箇所)Oに設けられている。前記ダミー反射面15には、前記反射面12の蒸着形成時に発生する前記蒸着溜り13が形成されている。
【0028】
前記有効反射面14および前記ダミー反射面15は、自由曲面(NURBS曲面)の反射面である。このために、前記有効反射面14および前記ダミー反射面15には、複数個に分割されているセグメントが形成されている。前記セグメントの分割線(図示せず)は、図1に示すように、目視できない。なお、前記セグメントの分割線を目視できるように形成しても良い。また、前記ダミー反射面15を自由曲面(NURBS曲面)の反射面以外の反射面であってもよい。
【0029】
前記保持部材5は、板形状のベース形状をなしている。前記保持部材5の上面の前方側には、前記半導体型光源2が前記取付部材4を介して取り付けられている。前記保持部材5の後面は、前記ヒートシンク部材6にスクリュー11により固定されている。この結果、前記ヒートシンク部材6に固定されている前記リフレクタ3の前記窓部9には、前記半導体型光源2および前記取付部材4および前記保持部材5の一部が位置する。
【0030】
前記ヒートシンク部材6は、放熱性が高い部材、たとえば、アルミダイカストや樹脂から構成されている。前記ヒートシンク部材6は、前方側の垂直板部16と、後方側のフィン部17と、から構成されている。前記ヒートシンク部材6の前記垂直板部16には、前記リフレクタ3および前記保持部材5がスクリュー11により固定されている。前記保持部材5と前記ヒートシンク部材6とを一体に構成しても良い。前記保持部材5にフィン部を一体に設けても良い。
【0031】
(実施形態1の作用の説明)
この実施形態1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0032】
半導体型光源2を点灯する。すると、半導体型光源2から放射される光は、図2、図3中の実線矢印に示すように、リフレクタ3の反射面12のうち有効反射面14に入射してその有効反射面14において反射する。この反射光は、所定の配光パターンこの例としてロービーム用配光パターン(すれ違い用配光パターン)として所定の方向この例では車両の前方に照射される。
【0033】
ここで、半導体型光源2からの光は、半導体型光源2の発光範囲A内において放射されている。リフレクタ3の反射面12のうち有効反射面14は、半導体型光源2の発光範囲A内の箇所Iに設けられているので、半導体型光源2から放射される光の全ては、有効反射面14に入射してその有効反射面14において反射する。
【0034】
一方、リフレクタ3の反射面12のうちダミー反射面15は、半導体型光源2の発光範囲A外の箇所Oに設けられているので、半導体型光源2から放射される光は、ダミー反射面15に入射するようなことはない。なお、リフレクタ3の閉塞部8の下方側の水平板部は、後方側から前方側にかけて上方側から下方側に傾斜しているので、半導体型光源2からの光がリフレクタ3の閉塞部8の下方側の水平板部の反射面に直接入射するようなことはない。
【0035】
半導体型光源2の点灯時において、半導体型光源2で発生する熱は、取付部材4、保持部材5を介してヒートシンク部材6の垂直板部16に伝わる。ヒートシンク部材6の垂直板部16に伝わった熱は、ヒートシンク部材6のフィン部17から外部(灯室内)に逃げる。外部(灯室内)に逃げた熱は、ランプハウジングの呼吸孔から灯室外に排出される。
【0036】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0037】
この実施形態1における車両用前照灯1は、反射面12の蒸着形成時に発生する蒸着溜り13がダミー反射面15に形成されて有効反射面14には形成されないので、半導体型光源2からの光を有効反射面14において所定の方向に確実に反射させることができる。この結果、この実施形態1における車両用前照灯1は、反射面12の蒸着形成時に発生する蒸着溜り13により、有効反射面14における反射光が散乱して配光パターンが乱されないようにすることが確実にできる。
【0038】
特に、この実施形態1における車両用前照灯1は、光源として、光の放射方向の指向性が、白熱バルブやハロゲンバルブや放電バルブなどのバルブタイプの光源と比較して、高い(強い)半導体型光源2を使用するので、蒸着溜り13による反射光の散乱や配光パターンの乱れなどの影響が、バルブタイプの光源と比較して、大きくなる傾向にあるが、蒸着溜り13が形成される箇所を有効反射面14からダミー反射面15に移動させることにより、前記の影響を確実に防止することができる。
【0039】
この実施形態1における車両用前照灯1は、ダミー反射面15を半導体型光源2の発光範囲A外の箇所Oに設けるので、蒸着溜り13が形成される箇所を半導体型光源2の発光範囲A内の有効反射面14から発光範囲A外のダミー反射面15に外すことができ、その結果、蒸着溜り13による反射光の散乱や配光パターンの乱れをさらに確実に防止することができる。
【0040】
しかも、この実施形態1における車両用前照灯1は、ダミー反射面15を半導体型光源2の発光範囲A外の箇所Oに設けるので、半導体型光源2の発光範囲Aと反射面12の有効反射面14とが合致して、有効反射面14を全面に亘って有効に利用することができ、その結果、有効反射面14からの反射光の光量を向上させることができる。
【0041】
(実施形態2の説明)
図6は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態2を示す。以下、この実施形態2における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図5と同符号は、同一のものを示す。
【0042】
前記の実施形態1の車両用前照灯1は、ダミー反射面15を反射面12のうち半導体型光源2の発光範囲A外の箇所Oに設けるものである。この実施形態2における車両用前照灯102は、ダミー反射面152を、半導体型光源2からの光を有効反射面14の反射方向L1と異なる方向L2に反射させる反射面とするものである。この実施形態2の車両用前照灯102のダミー反射面152は、反射面12のうち半導体型光源2の発光範囲A内の箇所Iに設けられている。
【0043】
この実施形態2における車両用前照灯102は、前記の実施形態1における車両用前照灯1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。なお、この実施形態2の車両用前照灯102において、ダミー反射面152を、反射面12のうち半導体型光源2の発光範囲A外の箇所Oに設けても良い。このようにすることにより、蒸着溜り13による反射光の散乱や配光パターンの乱れをさらに確実に防止することができる。
【0044】
(実施形態3の説明)
図7は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態3を示す。以下、この実施形態3における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図6と同符号は、同一のものを示す。
【0045】
前記の実施形態1、2の車両用前照灯1、102は、取付部材4を介して半導体型光源2が取り付けられている保持部材5をヒートシンク部材6に水平に固定するものである。この実施形態3における車両用前照灯103は、保持部材5をヒートシンク部材6に、前方側から後方側にかけて上方側から下方側に傾斜した状態で固定するものである。
【0046】
この実施形態3における車両用前照灯103は、前記の実施形態1、2における車両用前照灯1、102とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施形態3における車両用前照灯103は、保持部材5を介して半導体型光源2を前方側から後方側にかけて上方側から下方側に傾斜させているので、半導体型光源2の発光範囲A中の強い光(高光度、高照度、高光量の光)を有効反射面14に確実に入射させることができる。
【0047】
(実施形態4の説明)
図8は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態4を示す。以下、この実施形態4における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図7と同符号は、同一のものを示す。
【0048】
前記の実施形態1、2、3の車両用前照灯1、102、103は、半導体型光源2の発光面が上向きであって、リフレクタ3が半導体型光源2の上方側に配置されているものである。この実施形態4における車両用前照灯104は、半導体型光源2の発光面が下向きであって、リフレクタ3が半導体型光源2の下方側に配置されているものである。
【0049】
この実施形態4における車両用前照灯104は、前記の実施形態1、2、3における車両用前照灯1、102、103とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施形態4における車両用前照灯104は、半導体型光源2の発光面が下向きであって、リフレクタ3が半導体型光源2の下方側に配置されているものであるから、車両用前照灯104の設置スペースや設定デザインの自由度が向上される。
【0050】
(実施形態5の説明)
図9は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態5を示す。以下、この実施形態5における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図8と同符号は、同一のものを示す。
【0051】
前記の実施形態1、2、3、4の車両用前照灯1、102、103、104は、リフレクタタイプの車両用前照灯である。この実施形態5における車両用前照灯105は、横型のプロジェクタタイプの車両用前照灯である。
【0052】
この実施形態5における横型のプロジェクタタイプの車両用前照灯105は、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、半導体型光源2と、リフレクタ18と、投影レンズ(凸レンズ、集光レンズ)19と、シェード兼付加リフレクタ20と、ヒートシンク部材21と、から構成されている。
【0053】
前記リフレクタ18の内面には、楕円を基調とする自由曲面(NURBS曲面)の収束型の反射面22が設けられている。前記反射面22には、前記の実施形態1、2、3、4の車両用前照灯1、102、103、104と同様に、有効反射面14とダミー反射面15とがそれぞれ設けられている。なお、図9中の符号「Z−Z」は、光軸である。
【0054】
この実施形態5における車両用前照灯105は、図9中の実線矢印に示すように、半導体型光源2からの光が反射面22の有効反射面14で反射し、その反射光が投影レンズ19から所定の配光パターン(たとえば、ロービーム用配光パターン)として車両の前方に照射される。
【0055】
この実施形態5における車両用前照灯105は、前記の実施形態1、2、3、4における車両用前照灯1、102、103、104とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施形態5における車両用前照灯105は、横型のプロジェクタタイプの車両用前照灯であるから、横型のプロジェクタタイプの特有の配光パターンが得られ、かつ、車両用前照灯105の設置スペースや設定デザインの自由度が向上される。
【0056】
(実施形態6の説明)
図10は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態6を示す。以下、この実施形態6における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図9と同符号は、同一のものを示す。
【0057】
前記の実施形態1、2、3、4の車両用前照灯1、102、103、104は、1度反射のリフレクタタイプの車両用前照灯であって、前記の実施形態5における車両用前照灯105は、プロジェクタタイプの車両用前照灯である。この実施形態6における車両用前照灯106は、2度反射のリフレクタタイプの車両用前照灯である。
【0058】
この実施形態6におけるプロジェクタタイプの車両用前照灯106は、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、半導体型光源2と、リフレクタ23と、ヒートシンク部材24と、から構成されている。
【0059】
前記リフレクタ23の内面には、楕円を基調とする自由曲面(NURBS曲面)の第1反射面25と、放物線を基調とする自由曲面(NURBS曲面)の第2反射面26と、がそれぞれ設けられている。前記第1反射面25には、前記の実施形態1、2、3、4、5の車両用前照灯1、102、103、104、105と同様に、有効反射面14とダミー反射面15とがそれぞれ設けられている。
【0060】
この実施形態6における車両用前照灯106は、図10中の実線矢印に示すように、半導体型光源2からの光が第1反射面25の有効反射面14で反射し、その反射光が第2反射面26で反射し、その反射光が所定の配光パターン(たとえば、ロービーム用配光パターン)として車両の前方に照射される。
【0061】
この実施形態6における車両用前照灯106は、前記の実施形態1、2、3、4、5における車両用前照灯1、102、103、104、105とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施形態6における車両用前照灯106は、2度反射のリフレクタタイプの車両用前照灯であるから、2度反射のリフレクタタイプの特有の配光パターンが得られ、かつ、車両用前照灯106の設置スペースや設定デザインの自由度が向上される。
【0062】
(実施形態7の説明)
図11は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態7を示す。以下、この実施形態7における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図10と同符号は、同一のものを示す。
【0063】
前記の実施形態1、2、3、4の車両用前照灯1、102、103、104は、1度反射のリフレクタタイプの車両用前照灯であって、前記の実施形態5における車両用前照灯105は、横型のプロジェクタタイプの車両用前照灯であって、前記の実施形態6における車両用前照灯106は、2度反射のリフレクタタイプの車両用前照灯である。この実施形態7における車両用前照灯107は、縦型のプロジェクタタイプの車両用前照灯である。
【0064】
この実施形態7における縦型のプロジェクタタイプの車両用前照灯107は、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、半導体型光源2と、リフレクタ27と、投影レンズ28と、平面反射面29と、ヒートシンク部材30と、から構成されている。
【0065】
前記リフレクタ27の内面には、楕円を基調とする自由曲面(NURBS曲面)反射面31が設けられている。前記反射面31には、前記の実施形態1、2、3、4、5、6の車両用前照灯1、102、103、104、105、106と同様に、有効反射面14とダミー反射面15とがそれぞれ設けられている。なお、図11中の符号「Z1−Z1」は、レンズ光軸である。「Z2−Z2」は、擬似レンズ光軸である。「Z3−Z3」は、反射面の光軸である。
【0066】
この実施形態7における車両用前照灯107は、図11中の実線矢印に示すように、半導体型光源2からの光が反射面31の有効反射面14で反射し、その反射光が平面反射面29で反射し、その反射光が所定の配光パターン(たとえば、ロービーム用配光パターン)として車両の前方に照射される。
【0067】
この実施形態7における車両用前照灯107は、前記の実施形態1、2、3、4、5、6における車両用前照灯1、102、103、104、105、106とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施形態7における車両用前照灯107は、縦型のプロジェクタタイプの車両用前照灯であるから、縦型のプロジェクタタイプの特有の配光パターンが得られ、かつ、車両用前照灯107の設置スペースや設定デザインの自由度が向上される。
【符号の説明】
【0068】
1、102、103、104、105、106、107 車両用前照灯
2 半導体型光源
3 リフレクタ
4 取付部材
5 保持部材
6 ヒートシンク部材
7 開口部
8 閉塞部
9 窓部
10 固定凸部
11 スクリュー
12 反射面
13 蒸着溜り
14 有効反射面
15 ダミー反射面
16 垂直板部
17 フィン部
18 リフレクタ
19 投影レンズ
20 シェード兼付加リフレクタ
21 ヒートシンク部材
22 反射面
23 リフレクタ
24 ヒートシンク部材
25 第1反射面
26 第2反射面
27 リフレクタ
28 投影レンズ
29 平面反射面
30 ヒートシンク部材
31 反射面
A 発光範囲
I 発光範囲内の箇所
O 発光範囲外の箇所
Z−Z 光軸
Z1−Z1 レンズ光軸
Z2−Z2 擬似レンズ光軸
Z3−Z3 反射面の光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体型光源と、
反射面が蒸着により形成されているリフレクタと、
を備え、
前記反射面は、
前記半導体型光源からの光を所定の方向に反射させる有効反射面と、
前記有効反射面から延設されていて、前記反射面の蒸着形成時に発生する蒸着溜りが形成されるダミー反射面と、
から構成されている、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記ダミー反射面は、前記半導体型光源の発光範囲外の箇所に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記ダミー反射面は、前記半導体型光源からの光を前記有効反射面の反射方向と異なる方向に反射させる反射面である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−12344(P2013−12344A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143229(P2011−143229)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】