車両用前照灯
【課題】最適なロービーム用配光パターンを得ること。
【解決手段】この発明は、半導体型光源2と、リフレクタ3とを備える。半導体型光源2は、4個の発光チップ外列に配列されなる発光部20を有する。発光部20は、長方形形状の発光面21を有する。リフレクタ3は、パラボラ系の自由曲面からなる反射面30を有する。反射面30は、第1反射面31と、第2反射面32L、32Rと、第3反射面33L、33Rと、から構成されている。第1反射面31は、スポット部SPを形成する。第2反射面32L、32Rは、拡散部WPを形成する。第3反射面33L、33Rは、中間部MP1、MP2を形成する。この結果、この発明は、最適なロービーム用配光パターンLPを得ることができる。
【解決手段】この発明は、半導体型光源2と、リフレクタ3とを備える。半導体型光源2は、4個の発光チップ外列に配列されなる発光部20を有する。発光部20は、長方形形状の発光面21を有する。リフレクタ3は、パラボラ系の自由曲面からなる反射面30を有する。反射面30は、第1反射面31と、第2反射面32L、32Rと、第3反射面33L、33Rと、から構成されている。第1反射面31は、スポット部SPを形成する。第2反射面32L、32Rは、拡散部WPを形成する。第3反射面33L、33Rは、中間部MP1、MP2を形成する。この結果、この発明は、最適なロービーム用配光パターンLPを得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体型光源を光源とする車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用前照灯について説明する。従来の車両用前照灯は、複数の半導体発光素子と、リフレクタと、を備え、リフレクタが複数の反射領域に区画され、一方の反射領域が高照度で照射域の狭い集光配光パターンを形成し、他方の反射領域が低照度で照射域が水平方向に広がった拡散配光パターンを形成し、集光配光パターンと拡散配光パターンとを組み合わせて所定の配光パターンを形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−226707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる車両用前照灯においては、最適な配光パターン、たとえば、最適なロービーム用配光パターン(すれ違い用配光パターン)を得ることが重要である。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、最適なロービーム用配光パターンを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、複数個の発光チップが一列に配列されてなる発光部を有する半導体型光源と、パラボラ系の自由曲面からなる反射面を有するリフレクタと、を備え、発光部が、長方形形状の発光面を有し、発光部が、発光面の長手方向の軸と反射面の基準光軸とが直交するように配置されていて、発光面が、鉛直軸方向に向き、発光面の中心が、反射面の基準焦点もしくはその近傍に位置し、かつ、反射面の基準光軸上に位置し、反射面が、発光面に対向する側の空間に配置されていて、発光面から放射される光を反射させてロービーム用配光パターンとして車両の前方に照射する反射面であり、反射面が、中央部に設けられている第1反射面と、第1反射面の両側に設けられている第2反射面と、第2反射面の外側に設けられている第3反射面と、から構成されていて、第1反射面が、ロービーム用配光パターンの中央部の高光度のスポット部を形成する反射面であり、第2反射面が、ロービーム用配光パターンの全体の低光度の拡散部を形成する反射面であり、第3反射面が、スポット部と拡散部とを跨ぐロービーム用配光パターンの中光度の中間部を形成する反射面である、ことを特徴とする。
【0007】
この発明(請求項2にかかる発明)は、第3反射面が、反射面のうち、発光面の中心を中心として、かつ、基準光軸のうち反射面の光反射方向と反対側の軸を基準として、発光面の経度方向で経度90°以上の範囲に設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項3にかかる発明)は、第3反射面が、発光面の経度方向で経度90°以上の範囲のうち、スクリーン上の発光面の反射像の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以下の発光面の反射像が得られる領域に設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
この発明(請求項4にかかる発明)は、第3反射面が、発光面の経度方向で経度90°以上の範囲のうち、スクリーン上のロービーム用配光パターンのカットオフラインの垂直方向のブレがスクリーン上の角度の目盛で±0.5°以下に収まる領域に設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
この発明(請求項5にかかる発明)は、第3反射面が、発光面の経度方向で経度90°以上から、中間部の中央側の端がスクリーン上の垂直線に接する経度まで、の範囲に設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、反射面の中央部に第1反射面を設け、その第1反射面の両側に第2反射面を設け、その第2反射面の外側に第3反射面を設けるものである。これにより、第1反射面において得られるスクリーン上の発光面の反射像(スクリーン写像)は、光度(照度)が高く、また、傾きが0°から所定角度(たとえば±θ1)までの小さい角度の範囲であり、さらに、立体角が大きい。この結果、第1反射面は、前記の反射像を集中してロービーム用配光パターンの中央部でかつカットオフライン近傍の高光度のスポット部を形成するのに適している。また、第2反射面において得られるスクリーン上の発光面の反射像は、光度が第1反射面よりも低く、また、傾きが第1反射面よりも大きい角度の範囲であり、さらに、立体角が第1反射面よりも小さい。この結果、第2反射面は、前記の反射像を広げてロービーム用配光パターンの全体の低光度の拡散部を形成するのに適している。さらに、第3反射面において得られるスクリーン上の発光面の反射像は、光度が第1反射面および第2反射面よりも低く、また、傾きが第1反射面よりも大きい角度の範囲であり、かつ、第2反射面とほぼ同等の角度の範囲であり、さらに、立体角が第1反射面および第2反射面よりも小さい。この結果、第3反射面は、前記の反射像を若干集中してスポット部と拡散部とを跨ぐロービーム用配光パターンのカットオフライン近傍の中光度の中間部を形成するのに適している。このように、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、最適なロービーム用配光パターンを得ることができる。
【0012】
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、従来なかったスポット部と拡散部とを跨ぐ中光度の配光パターンを中光度の中間部として形成するものであるから、最適なロービーム用配光パターンを得ることができる。
【0013】
この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、発光面の経度方向で経度90°以上の範囲に第3反射面を設けるものであるから、第3反射面において得られる反射像の光度、傾き、立体角の条件を前記の請求項1の条件に確実に満足させることができる。
【0014】
この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、第3反射面において得られる反射像の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以下であるから、路面のうち、車両前方10mからさらに前方の路面を照明するのに最適である。
【0015】
この発明(請求項4にかかる発明)の車両用前照灯は、第3反射面において得られるロービーム用配光パターンのカットオフラインの垂直方向のブレがスクリーン上の角度の目盛で±0.5°以下であるから、スポット部と拡散部とを跨ぐロービーム用配光パターンのカットオフライン近傍の中光度の中間部を形成するのに最適である。
【0016】
この発明(請求項5にかかる発明)の車両用前照灯は、第3反射面の範囲を、発光面の経度方向で経度90°以上から、中間部の中央側の端がスクリーン上の垂直線に接する経度まで、の範囲に規制することができるので、リフレクタの基準光軸方向の長さをコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態1を示す概略の斜視図である。
【図2】図2は、図1におけるII−II線断面図である。
【図3】図3は、図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】図4は、遠近法により示す図1におけるIV−IV線矢視図である。
【図5】図5は、反射面のポイントP1、P2、P3、P4において得られるスクリーン上の発光面の反射像を示す説明図である。
【図6】図6は、スクリーン上の発光面の反射像の垂直方向の厚さの分布解析を示す説明図(図4に対応する説明図)である。
【図7】図7は、スクリーン上の発光面の反射像の傾きとスクリーン上の発光面の反射像の垂直方向の厚さとの分布解析を示す説明図(図4に対応する説明図)である。
【図8】図8は、複数個の発光チップの位置のバラツキに対するロバスト性解析(ロービーム用配光パターンのカットオフラインの垂直方向のブレの許容範囲)を示す説明図(図4に対応する説明図)である。
【図9】図9は、第3反射面における反射光の光路とロービーム用配光パターンを示す説明図である。
【図10】図10は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態2を示すロービーム用配光パターンの説明図である。
【図11】図11は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態3を示す第3反射面における反射光の光路とロービーム用配光パターンの説明図である。
【図12】図12は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態4を示す概略の縦断面図(垂直断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態(実施例)のうちの4例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用前照灯を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。さらに、この明細書および特許請求の範囲に記載の「スクリーン」とは、車両用前照灯から前方に10mの位置に配置されたスクリーンである。このスクリーンには、車両用前照灯から照射される配光パターンや光源の発光面の反射像が写し出される。前記スクリーンには、角度の目盛が付されている。この目盛の1目盛をたとえば角度1°とする。
【0019】
図5、図9(A)、図10、図11(A)において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。図5は、コンピュータのシミュレーションで得られたスクリーン上の光源の発光面の反射像を示す説明図である。図9(A)、図10、図11(A)は、コンピュータのシミュレーションで得られたスクリーン上の配光パターンを簡略化して示す光度曲線の説明図である。
【0020】
(実施形態1の構成の説明)
図1〜図9は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態1を示す。以下、この実施形態1における車両用前照灯の構成について説明する。図中、符号1は、この実施形態1における車両用前照灯である。前記車両用前照灯1は、車両(図示せず)の前部の左右両側に装備される。
【0021】
前記車両用前照灯1は、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、半導体型光源2と、リフレクタ3と、取付部材4と、保持部材5と、ヒートシンク部材6と、を備えるものである。
【0022】
前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズは、灯室(図示せず)を画成する。前記灯室内には、前記半導体型光源2および前記リフレクタ3および前記取付部材4および前記保持部材5および前記ヒートシンク部材6が配置されている。
【0023】
前記半導体型光源2は、複数個この例では4個の発光チップ(図示せず)が一列に配列されてなる発光部20を有する。前記リフレクタ3は、パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる反射面30を有する。
【0024】
前記半導体型光源2は、この例では、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源、すなわち、半導体型光源(この実施例ではLED)を使用する。前記半導体型光源2は、基板(図示せず)と、前記基板に適宜に配置されて設けられている複数個(4個)の前記発光チップと、前記発光チップを封止する封止樹脂部材(図示せず)と、から構成されている。前記半導体型光源2は、前記取付部材4により前記保持部材5に取り付けられている。
【0025】
前記半導体型光源2の前記発光部20は、長方形形状の発光面21を有する。前記発光部20は、前記発光面21の長手方向の軸(X軸、水平軸X)と前記反射面30の基準光軸(Z軸)とが直交するように配置されている。前記発光面21は、鉛直軸(Y軸)方向に向いている。前記発光面21の中心Oは、前記反射面30の基準焦点Fもしくはその近傍に位置し、かつ、前記反射面30の基準光軸Z上に位置する。
【0026】
前記水平軸Xと、前記鉛直軸Yと、前記基準光軸Zとは、前記発光面21の中心Oを原点とする直交座標(X−Y−Z直交座標系)を構成する。前記水平軸Xにおいては、右側が+方向であり、左側が−方向である。前記鉛直軸Yにおいては、上側が+方向であり、下側が−方向である。前記基準光軸Zにおいては、前側が+方向であり、後側が−方向である。
【0027】
前記リフレクタ3は、光不透過性の部材、この例では、樹脂部材から構成されている。前記リフレクタ3は、一方側(前方側)7が開口し、かつ、他方側(後方側、上方側、下方側、左方側、右方側)8が閉塞した中空形状をなす。前記閉塞部8の後方側、上方側、左方側、右方側は、回転放物線形状をほぼ2分の1とした湾曲板形状をなす。前記閉塞部8の下方側は、ほぼ水平板形状をなし、前記閉塞部8の奥側(後方側)から前記開口部7側(前方側)にかけて上方側から下方側に傾斜している。前記閉塞部8の下方側の水平板部の傾斜は、前記リフレクタ3の成形金型(図示せず)の抜きのために設けられていて、この例では、約5°である。
【0028】
前記リフレクタ3の前記閉塞部8の水平板部の中央部から後方部にかけての箇所、および、前記リフレクタ3の前記閉塞部8の湾曲板部の中央部の若干の箇所には、窓部9が設けられている。前記窓部9には、前記半導体型光源2および前記取付部材4および前記保持部材5の一部が位置する。前記リフレクタ3の前記閉塞部8の湾曲板部の下部後側には、固定凸部10が一体に設けられている。前記固定凸部10は、前記ヒートシンク部材6にスクリュー11により固定されている。前記リフレクタ3の前記閉塞部8の内面(特に、湾曲板部の内面)には、前記反射面30が形成されている。
【0029】
前記反射面30は、前記発光面21に対向する側(上方側)の空間に配置されている。前記反射面30は、前記発光面21から放射される光L1L、L1Rを反射させてロービーム用配光パターンLPとして車両の前方に照射する反射面である。
【0030】
前記ロービーム用配光パターンLPは、図9(A)に示すように、左右の水平線HL−HR近傍に、上水平カットオフラインCL1、斜めカットオフラインCL2、下水平カットオフラインCL3、エルボー点Eを有し、前記カットオフラインCL1、CL2、CL3よりも下方側の路面(図示せず)を照明する。図9(A)中において、符号「12」は路面のセンターライン、符号「13」は路面の自車の走行車線、符号「14」は対向車線、符号「15」は走行車線側の路肩である。
【0031】
前記反射面30は、図1、図3、図4に示すように、中央部に設けられている第1反射面31と、前記第1反射面31の両側に設けられている第2反射面32L、32Rと、前記第2反射面32L、32Rの外側に設けられている第3反射面33L、33Rと、から構成されている。
【0032】
前記第1反射面31は、前記ロービーム用配光パターンLPの中央部の高光度のスポット部SPを形成する反射面である。前記第2反射面32L、32Rは、前記ロービーム用配光パターンLPの全体の低光度の拡散部WPを形成する反射面である。前記第3反射面33L、33Rは、前記スポット部SPと前記拡散部WPとを跨ぐ前記ロービーム用配光パターンLPの中光度の中間部MP1、MP2を形成する反射面である。
【0033】
前記第1反射面31は、前記反射面30の中央部、すなわち、前記発光面21の中心Oを中心として、かつ、前記基準光軸Zのうち前記反射面30の光反射方向(矢印Z方向参照)と反対側の軸(−方向の基準光軸Z)を基準として、前記発光面21の経度方向で経度0°から経度所定の角度±θ1(たとえば、約45°)までの範囲に設けられている。
【0034】
前記第2反射面32L、32Rは、前記反射面30のうち前記第1反射面31の両側、すなわち、前記発光面21の中心Oを中心として、かつ、前記基準光軸Zのうち前記反射面30の光反射方向(矢印Z方向参照)と反対側の軸(−方向の基準光軸Z)を基準として、前記発光面21の経度方向で経度所定の角度±θ1(たとえば、約45°)から経度所定の角度±θ2(たとえば、約90°)までの範囲に設けられている。
【0035】
前記第3反射面33L、33Rは、前記反射面30のうち前記第2反射面32L、32Rの外側、すなわち、前記発光面21の中心Oを中心として、かつ、前記基準光軸Zのうち前記反射面30の光反射方向(矢印Z方向参照)と反対側の軸(−方向の基準光軸Z)を基準として、前記発光面21の経度方向で経度所定の角度±θ2(たとえば、約90°)以上の範囲に設けられている。そして、前記第3反射面33L、33Rは、前記発光面21の経度方向で経度所定の角度±θ2(たとえば、約90°)以上から、経度所定の角度±θ3(たとえば、約115°)まで、すなわち、前記中間部MP1、MP2の中央側の端がスクリーン上の垂直線VU−VDに接する経度まで、の範囲に設けられている。
【0036】
以下、前記反射面30の前記第1反射面31および前記第2反射面32L、32Rおよび前記第3反射面33L、33Rにおいて得られるスクリーン上の前記発光面21の反射像(スクリーン写像)について、図5を参照して説明する。
【0037】
前記第1反射面31の中央(経度0°)P1においては、図5(A)に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対する傾きがA1(約0°)で、かつ、スクリーン上の垂直方向の厚さがB1である反射像I1が得られる。
【0038】
また、前記第1反射面31と前記第2反射面32L、32Rとの境界(経度45°)P2L、P2Rにおいては、図5(B)に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対する傾きがA2(約45°)で、かつ、スクリーン上の垂直方向の厚さがB2である反射像I2L、I2Rが得られる。
【0039】
さらに、前記第2反射面32L、32Rと前記第3反射面33L、33Rとの境界(経度90°)P3L、P3Rにおいては、図5(C)に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対する傾きがA3(約90°)で、かつ、スクリーン上の垂直方向の厚さがB3である反射像I3が得られる。
【0040】
さらにまた、前記第3反射面33L、33Rの外側端(経度115°)P4L、P4Rにおいては、図5(D)に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対する傾きがA4(約115°)で、かつ、スクリーン上の垂直方向の厚さがB4である反射像I4L、I4Rが得られる。
【0041】
この結果、前記第1反射面31においては、図5(A)に示す傾きがA1で厚さがB1の反射像I1から図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rまでが得られる。また、前記第2反射面32L、32Rにおいては、図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rから図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3までが得られる。さらに、前記第3反射面33L、33Rにおいては、図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3から図5(D)に示す傾きがA4で厚さがB4の反射像I4L、I4Rまでが得られる。
【0042】
ここで、図5(A)に示す傾きがA1で厚さがB1の反射像I1から図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rまでの反射像は、光度が高い反射像であり、また、傾きが0°〜約45°の反射像であり、さらに、立体角が大きい反射像である。この結果、前記第1反射面31で得られる前記反射像I1から前記反射像I2L、I2Rまでの反射像は、集中することによって、前記ロービーム用配光パターンLPのスポット部SP、および、そのスポット部SPにおける上水平カットオフラインCL1、斜めカットオフラインCL2、下水平カットオフラインCL3、エルボー点Eを形成するのに適している反射像である。
【0043】
図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rから図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3までの反射像は、光度が前記第1反射面31で得られる反射像(前記反射像I1から前記反射像I2L、I2Rまでの反射像)よりも低い反射像であり、また、傾きが前記第1反射面31で得られる反射像(前記反射像I1から前記反射像I2L、I2Rまでの反射像)よりも大きい角度約45°〜約90°の反射像であり、さらに、立体角が前記第1反射面31で得られる反射像(前記反射像I1から前記反射像I2L、I2Rまでの反射像)よりも小さい反射像である。この結果、前記第2反射面32L、32Rで得られる前記反射像I2L、I2Rから前記反射像I3までの反射像は、広げることによって、前記ロービーム用配光パターンLPの全体の低光度の拡散部WPを形成するのに適している反射像である。
【0044】
図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3から図5(D)に示す傾きがA4で厚さがB4の反射像I4L、I4Rまでの反射像は、光度が前記第1反射面31で得られる反射像(前記反射像I1から前記反射像I2L、I2Rまでの反射像)および前記第2反射面32L、32Rで得られる反射像(前記反射像I2L、I2Rから前記反射像I3までの反射像)よりも低い反射像であり、傾きが前記第1反射面31で得られる反射像(前記反射像I1から前記反射像I2L、I2Rまでの反射像)よりも大きく、かつ、前記第2反射面32L、32Rで得られる反射像(前記反射像I2L、I2Rから前記反射像I3までの反射像)とほぼ同等の角度約45°〜約90°の反射像であり、さらに、立体角が前記第1反射面31で得られる反射像(前記反射像I1から前記反射像I2L、I2Rまでの反射像)および前記第2反射面32L、32Rで得られる反射像(前記反射像I2L、I2Rから前記反射像I3までの反射像)よりも小さい反射像である。この結果、前記第3反射面33L、33Rで得られる前記反射像I3から前記反射像I4L、I4Rまでの反射像は、若干集中することによって、前記スポット部SPと前記拡散部WPとを跨ぐ前記ロービーム用配光パターンLPの上水平カットオフラインCL1および下水平カットオフラインCL3近傍の中光度の中間部MP1、MP2を形成するのに適している反射像である。
【0045】
図6は、スクリーン上の前記発光面21の反射像の垂直方向の厚さの分布解析を示す説明図である。図7は、スクリーン上の前記発光面21の反射像の傾きとスクリーン上の前記発光面21の反射像の垂直方向の厚さとの分布解析を示す説明図である。前記の図6、図7中の左右のほぼ楕円形状の境界線Cは、スクリーン上の前記発光面21の反射像の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°である。従って、前記境界線Cから外側の範囲は、スクリーン上の前記発光面21の反射像の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以下であり、前記境界線Cから内側の範囲は、スクリーン上の前記発光面21の反射像の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以上である。
【0046】
前記第3反射面33L、33Rは、前記発光面21の経度方向で経度所定の角度±θ2(たとえば、約90°)以上の範囲のうち、スクリーン上の前記発光面21の反射像の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以下の前記発光面21の反射像が得られる領域、すなわち、図6、図7中の前記境界線Cから外側の範囲に設けられている。前記第3反射面33L、33Rにおいて得られる前記反射像I3から前記反射像I4L、I4Rまでの反射像は、垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以下であるから、路面のうち、車両前方10mからさらに前方の路面を照明するのに適している反射像である。
【0047】
図7中の境界線D1は、スクリーン上の前記発光面21の反射像の傾きが±約3°の境界線である。D2は、±約10°の境界線である。D3は、±約20°の境界線である。D4は、±約30°の境界線である。D5は、±約40°の境界線である。D6は、±約50°の境界線である。D7は、±約60°の境界線である。D8は、±約70°の境界線である。D9は、±約80°の境界線である。D10は、±約80°の境界線である。D11は、±約70°の境界線である。D12は、±約60°の境界線である。D13は、±約50°の境界線である。D14は、±約40°の境界線である。D15は、±約30°の境界線である。D16は、±約20°の境界線である。D17は、±約10°の境界線である。なお、境界線D9と境界線D10との中間が約90°である。
【0048】
図8は、複数個の発光チップの位置のバラツキに対するロバスト性解析(ロービーム用配光パターンのカットオフラインの垂直方向のブレの許容範囲)を示す説明図である。前記の図8の境界線G1〜G3において、境界線G1より内側(下側)の範囲は、ロバスト性が低い範囲(スクリーン上の前記ロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2、CL3の垂直方向のブレが大きい範囲)であり、境界線G3よりも外側(上側)の範囲は、ロバスト性が高い範囲(スクリーン上の前記ロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2、CL3の垂直方向のブレが小さい、たとえば、スクリーン上の角度の目盛で±0.5°以下の範囲)である。
【0049】
前記第3反射面33L、33Rは、前記発光面21の経度方向で経度所定の角度±θ2(たとえば、約90°)以上の範囲のうち、スクリーン上の前記ロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2、CL3の垂直方向のブレがスクリーン上の角度の目盛で±0.5°以下に収まる領域、すなわち、図8中の境界線G3よりも外側の範囲に設けられている。前記第3反射面33L、33Rにおいて得られる前記反射像I3から前記反射像I4L、I4Rまでの反射像は、前記ロービーム用配光パターンLPの中間部MP1、MP2の上水平カットオフラインCL1および下水平カットオフラインCL3の垂直方向のブレがスクリーン上の角度の目盛で±0.5°以下であるから、前記スポット部SPと前記拡散部WPとを跨ぐ前記ロービーム用配光パターンLPの上水平カットオフラインCL1および下水平カットオフラインCL3近傍の中光度の中間部MP1、MP2を形成するのに適している反射像である。
【0050】
前記保持部材5は、板形状のベース形状をなしている。前記保持部材5の上面の前方側には、前記半導体型光源2が前記取付部材4を介して取り付けられている。前記保持部材5の後面は、前記ヒートシンク部材6にスクリュー11により固定されている。この結果、前記ヒートシンク部材6に固定されている前記リフレクタ3の前記窓部9には、前記半導体型光源2および前記取付部材4および前記保持部材5の一部が位置する。
【0051】
前記ヒートシンク部材6は、放熱性が高い部材、たとえば、アルミダイカストや樹脂から構成されている。前記ヒートシンク部材6は、前方側の垂直板部16と、後方側のフィン部17と、から構成されている。前記ヒートシンク部材6の前記垂直板部16には、前記リフレクタ3および前記保持部材5がスクリュー11により固定されている。前記保持部材5と前記ヒートシンク部材6とを一体に構成しても良い。前記保持部材5にフィン部17を一体に設けても良い。
【0052】
(実施形態1の作用の説明)
この実施形態1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0053】
半導体型光源2を点灯する。すると、半導体型光源2の発光部20の発光面21から放射される光L1、L1L、L1Rは、図2、図9(B)中の実線矢印に示すように、リフレクタ3の反射面30に入射してその反射面30において反射する。この反射光L2、L2L、L2Rは、ロービーム用配光パターンLPとして車両の前方に照射される。
【0054】
すなわち、反射面の30の第1反射面31において反射した反射光L2は、図5(A)に示す傾きがA1で厚さがB1の反射像I1から図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rまでの反射像で、ロービーム用配光パターンLPのスポット部SPを形成する。
【0055】
また、反射面30の第2反射面32L、32Rにおいて反射した反射光(図示せず)は、図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rから図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3までの反射像で、ロービーム用配光パターンLPの拡散部WPを形成する。
【0056】
さらに、反射面30の左側の第3反射面33Lにおいて反射した反射光L2Lは、図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3から図5(D)に示す傾きがA4で厚さがB4の反射像I4L、I4Rまでの反射像で、スポット部SPと右側の拡散部WPとを跨ぐロービーム用配光パターンLPの中間部MP2を形成する。一方、反射面30の右側の第3反射面33Rにおいて反射した反射光L2Rは、図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3から図5(D)に示す傾きがA4で厚さがB4の反射像I4L、I4Rまでの反射像で、スポット部SPと左側の拡散部WPとを跨ぐロービーム用配光パターンLPの中間部MP1を形成する。
【0057】
このようにして、スポット部SPと拡散部WPと中間部MP1、MP2とが重畳されて、ロービーム用配光パターンLPが車両の前方に照射される。
【0058】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0059】
この実施形態1における車両用前照灯1は、反射面30の中央部に第1反射面31を設け、その第1反射面31の両側に第2反射面32L、32Rを設け、その第2反射面32L、32Rの外側に第3反射面33L、33Rを設けるものである。
【0060】
これにより、第1反射面31において得られるスクリーン上の発光面21の反射像(図5(A)に示す傾きがA1で厚さがB1の反射像I1から図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rまでの反射像)は、光度が高く、また、傾きが0°から所定角度±θ1(約45°)までの小さい角度の範囲であり、さらに、立体角が大きい。この結果、第1反射面31は、図5(A)に示す反射像I1から図5(B)に示す反射像I2L、I2Rまでの反射像を集中してロービーム用配光パターンLPの中央部でかつカットオフラインCL1、CL2、CL3近傍の高光度のスポット部SPを形成するのに適している。
【0061】
また、第2反射面32L、32Rにおいて得られるスクリーン上の発光面21の反射像(図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rから図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3までの反射像)は、光度が第1反射面31で得られる反射像よりも低く、また、傾きが第1反射面31で得られる反射像よりも大きい角度約45°〜約90°であり、さらに、立体角が第1反射面31で得られる反射像よりも小さい。この結果、第2反射面32L、32Rは、図5(B)に示す反射像I2L、I2Rから図5(C)に示す反射像I3までの反射像を広げてロービーム用配光パターンLPの全体の低光度の拡散部WPを形成するのに適している。
【0062】
さらに、第3反射面33L、33Rにおいて得られるスクリーン上の発光面21の反射像(図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3から図5(D)に示す傾きがA4で厚さがB4の反射像I4L、I4Rまでの反射像)は、光度が第1反射面31および第2反射面32L、32Rで得られる反射像よりも低く、また、傾きが第1反射面31で得られる反射像よりも大きく、かつ、第2反射面32L、32Rとほぼ同等の角度約45°〜約90°であり、さらに、立体角が第1反射面31および第2反射面32L、32Rよりも小さい。この結果、第3反射面33L、33Rは、図5(C)に示す反射像I3から図5(D)に示す反射像I4L、I4Rまでの反射像を若干集中してスポット部SPと拡散部WPとを跨ぐロービーム用配光パターンLPの上水平カットオフラインCL1および下水平カットオフラインCL3近傍の中光度の中間部MP1、MP2を形成するのに適している。
【0063】
このように、この実施形態1における車両用前照灯1は、スポット部SPと拡散部WPと中間部MP1、MP2とを重畳することにより、最適なロービーム用配光パターンLPを得ることができる。
【0064】
しかも、この実施形態1における車両用前照灯1は、従来なかったスポット部SPと拡散部WPとを跨ぐ中光度の配光パターンを中光度の中間部MP1、MP2として形成するものであるから、最適なロービーム用配光パターンLPを得ることができる。
【0065】
この実施形態1における車両用前照灯1は、発光面21の経度方向で経度90°以上の範囲に第3反射面33L、33Rを設けるものであるから、第3反射面33L、33Rにおいて得られる反射像(図5(C)に示す反射像I3から図5(D)に示す反射像I4L、I4Rまでの反射像)の光度、傾き、立体角の条件を、ロービーム用配光パターンLPの中間部MP1、MP2を形成する反射像の条件に確実に満足させることができる。
【0066】
この実施形態1における車両用前照灯1は、第3反射面33L、33Rにおいて得られる反射像(図5(C)に示す反射像I3から図5(D)に示す反射像I4L、I4Rまでの反射像)の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以下であるから、路面のうち、車両前方10mからさらに前方の路面を照明するのに最適である。
【0067】
ここの実施形態1における車両用前照灯1は、第3反射面33L、33Rにおいて得られるロービーム用配光パターンLPの上水平カットオフラインCL1および下水平カットオフラインCL3の垂直方向のブレがスクリーン上の角度の目盛で±0.5°以下であるから、スポット部SPと拡散部WPとを跨ぐロービーム用配光パターンLPの上水平カットオフラインCL1および下水平カットオフラインCL3近傍の中光度の中間部MP1、MP2を形成するのに最適である。
【0068】
この実施形態1における車両用前照灯1は、第3反射面33L、33Rの範囲を、発光面の経度方向で経度90°以上から、中間部MP1、MP2の中央側の端(左側の中間部MP1の右側の端、右側の中間部MP2の左側の端)がスクリーン上の垂直線VU−VDに接する経度まで、の範囲に規制することができるので、リフレクタ3の基準光軸Z方向の長さをコンパクトにすることができる。すなわち、図9(B)中の二点鎖線で示す延長リフレクタ18の分リフレクタ3をコンパクトにすることができる。
【0069】
(実施形態2の説明)
図10は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態2を示す。以下、この実施形態2における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図9と同符号は、同一のものを示す。
【0070】
前記の実施形態1の車両用前照灯1は、右側の第3反射面33Rにおいてクロス反射された反射光L2Rにより図9(A)に示す左側の中間部MP1を形成するものである。この実施形態2における車両用前照灯は、右側の第3反射面33Rにおいてオープン反射された反射光L3Rにより図10に示す右側の中間部MP3を形成するものである。この中間部MP3は、左側の第3反射面33Lにおいてクロス反射された反射光L2Lにより図10に示す右側の中間部MP2に重畳される。
【0071】
この実施形態2における車両用前照灯は、前記の実施形態1における車両用前照灯1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施形態2の車両用前照灯は、対向車線14側の下水平カットオフラインCL3近傍に、左側の第3反射面33Lにおいて得られる中間部MP2と右側の第3反射面33Rにおいて得られる中間部MP3とを重畳するので、対向車線14側の光度が向上されて対向車線14側の視認性が向上され、交通安全に貢献することができる。
【0072】
(実施形態3の説明)
図11は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態3を示す。以下、この実施形態3における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図10と同符号は、同一のものを示す。
【0073】
この実施形態3の車両用前照灯は、第3反射面33L、33Rの範囲を、発光面21の経度方向で経度所定の角度±θ2(たとえば、約90°)以上から、経度所定の角度±θ3(たとえば、約115°)を経て、経度約120°まで、の範囲に広げたものである。第3反射面33L、33Rの範囲を広げたことにより、リフレクタ3の左右両端部から延長リフレクタ18が延設される。この延長リフレクタ18には、延長第3反射面34L、34Rが延設される。
【0074】
この実施形態3の車両用前照灯は、以上のごとき構成からなるので、延長第3反射面34L、34Rにおいてクロス反射された反射光L4L、L4Rにより、中間部MP4、MP4の中央側の端(左側の中間部MP4の右側の端、右側の中間部MP5の左側の端)がスクリーン上の垂直線VU−VDを跨いで反対側の中間部MP5、MP4に若干重畳される。
【0075】
この実施形態3における車両用前照灯は、前記の実施形態1、2における車両用前照灯1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施形態3における車両用前照灯は、中間部MP4、MP5の中央側の端がスクリーン上の垂直線VU−VDを跨ぐので、ロービーム用配光パターンLPの中央部すなわち走行車線13側の光度が向上されて走行車線13側の視認性が向上され、交通安全に貢献することができる。
【0076】
(実施形態4の説明)
図12は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態4を示す。以下、この実施形態4における車両用前照灯100について説明する。図中、図1〜図11と同符号は、同一のものを示す。
【0077】
前記の実施形態1、2、3の車両用前照灯1は、半導体型光源2の発光部20の発光面21が上向きであって、リフレクタ3が半導体型光源2の上方側に配置されているものである。この実施形態4における車両用前照灯100は、半導体型光源2の発光部20の発光面21が下向きであって、リフレクタ3が半導体型光源2の下方側に配置されているものである。
【0078】
この実施形態4における車両用前照灯100は、前記の実施形態1、2、3における車両用前照灯1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施形態4における車両用前照灯100は、半導体型光源2の発光部20の発光面21が下向きであって、リフレクタ3が半導体型光源2の下方側に配置されているものであるから、車両用前照灯100の設置スペースや設定デザインの自由度が向上される。
【符号の説明】
【0079】
1、100 車両用前照灯
2 半導体型光源
20 発光部
21 発光面
3 リフレクタ
30 反射面
31 第1反射面
32L、32R 第2反射面
33L、33R 第3反射面
34L、34R 延長第3反射面
4 取付部材
5 保持部材
6 ヒートシンク部材
7 開口部
8 閉塞部
9 窓部
10 固定凸部
11 スクリュー
12 センターライン
13 走行車線
14 対向車線
15 走行車線側の路肩
16 垂直板部
17 フィン部
18 延長リフレクタ
A1、A2、A3、A4 反射像の傾き
B1、B2、B3、B4 反射像の厚み
C 反射像の厚みが3.5°の境界線
CL1 上水平カットオフライン
CL2 斜めカットオフライン
CL3 下水平カットオフライン
D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8、D9、D10、D11、D12、D13、D14、D15、D16、D17 反射像の傾きの所定角度の境界線
E エルボー点
F 基準焦点
G1、G2、G3 ロバスト性の高低の境界線
HL−HR スクリーンの左右の水平線
I1、I2L、I2R、I3、I4L、I4R 反射像
LP ロービーム用配光パターン
L1、L1L、L1R 発光面からの光
L2、L2L、L2R、L3R、L4L、L4R 反射面からの反射光
MP1、MP2、MP3、MP4、MP5 中間部
O 発光面の中心
P1、P2L、P2R、P3L、P3R 反射面のポイント
SP スポット部
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
WP 拡散部
X 水平軸
Y 鉛直軸
Z 基準光軸
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体型光源を光源とする車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用前照灯について説明する。従来の車両用前照灯は、複数の半導体発光素子と、リフレクタと、を備え、リフレクタが複数の反射領域に区画され、一方の反射領域が高照度で照射域の狭い集光配光パターンを形成し、他方の反射領域が低照度で照射域が水平方向に広がった拡散配光パターンを形成し、集光配光パターンと拡散配光パターンとを組み合わせて所定の配光パターンを形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−226707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる車両用前照灯においては、最適な配光パターン、たとえば、最適なロービーム用配光パターン(すれ違い用配光パターン)を得ることが重要である。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、最適なロービーム用配光パターンを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、複数個の発光チップが一列に配列されてなる発光部を有する半導体型光源と、パラボラ系の自由曲面からなる反射面を有するリフレクタと、を備え、発光部が、長方形形状の発光面を有し、発光部が、発光面の長手方向の軸と反射面の基準光軸とが直交するように配置されていて、発光面が、鉛直軸方向に向き、発光面の中心が、反射面の基準焦点もしくはその近傍に位置し、かつ、反射面の基準光軸上に位置し、反射面が、発光面に対向する側の空間に配置されていて、発光面から放射される光を反射させてロービーム用配光パターンとして車両の前方に照射する反射面であり、反射面が、中央部に設けられている第1反射面と、第1反射面の両側に設けられている第2反射面と、第2反射面の外側に設けられている第3反射面と、から構成されていて、第1反射面が、ロービーム用配光パターンの中央部の高光度のスポット部を形成する反射面であり、第2反射面が、ロービーム用配光パターンの全体の低光度の拡散部を形成する反射面であり、第3反射面が、スポット部と拡散部とを跨ぐロービーム用配光パターンの中光度の中間部を形成する反射面である、ことを特徴とする。
【0007】
この発明(請求項2にかかる発明)は、第3反射面が、反射面のうち、発光面の中心を中心として、かつ、基準光軸のうち反射面の光反射方向と反対側の軸を基準として、発光面の経度方向で経度90°以上の範囲に設けられている、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項3にかかる発明)は、第3反射面が、発光面の経度方向で経度90°以上の範囲のうち、スクリーン上の発光面の反射像の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以下の発光面の反射像が得られる領域に設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
この発明(請求項4にかかる発明)は、第3反射面が、発光面の経度方向で経度90°以上の範囲のうち、スクリーン上のロービーム用配光パターンのカットオフラインの垂直方向のブレがスクリーン上の角度の目盛で±0.5°以下に収まる領域に設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
この発明(請求項5にかかる発明)は、第3反射面が、発光面の経度方向で経度90°以上から、中間部の中央側の端がスクリーン上の垂直線に接する経度まで、の範囲に設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、反射面の中央部に第1反射面を設け、その第1反射面の両側に第2反射面を設け、その第2反射面の外側に第3反射面を設けるものである。これにより、第1反射面において得られるスクリーン上の発光面の反射像(スクリーン写像)は、光度(照度)が高く、また、傾きが0°から所定角度(たとえば±θ1)までの小さい角度の範囲であり、さらに、立体角が大きい。この結果、第1反射面は、前記の反射像を集中してロービーム用配光パターンの中央部でかつカットオフライン近傍の高光度のスポット部を形成するのに適している。また、第2反射面において得られるスクリーン上の発光面の反射像は、光度が第1反射面よりも低く、また、傾きが第1反射面よりも大きい角度の範囲であり、さらに、立体角が第1反射面よりも小さい。この結果、第2反射面は、前記の反射像を広げてロービーム用配光パターンの全体の低光度の拡散部を形成するのに適している。さらに、第3反射面において得られるスクリーン上の発光面の反射像は、光度が第1反射面および第2反射面よりも低く、また、傾きが第1反射面よりも大きい角度の範囲であり、かつ、第2反射面とほぼ同等の角度の範囲であり、さらに、立体角が第1反射面および第2反射面よりも小さい。この結果、第3反射面は、前記の反射像を若干集中してスポット部と拡散部とを跨ぐロービーム用配光パターンのカットオフライン近傍の中光度の中間部を形成するのに適している。このように、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、最適なロービーム用配光パターンを得ることができる。
【0012】
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、従来なかったスポット部と拡散部とを跨ぐ中光度の配光パターンを中光度の中間部として形成するものであるから、最適なロービーム用配光パターンを得ることができる。
【0013】
この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、発光面の経度方向で経度90°以上の範囲に第3反射面を設けるものであるから、第3反射面において得られる反射像の光度、傾き、立体角の条件を前記の請求項1の条件に確実に満足させることができる。
【0014】
この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、第3反射面において得られる反射像の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以下であるから、路面のうち、車両前方10mからさらに前方の路面を照明するのに最適である。
【0015】
この発明(請求項4にかかる発明)の車両用前照灯は、第3反射面において得られるロービーム用配光パターンのカットオフラインの垂直方向のブレがスクリーン上の角度の目盛で±0.5°以下であるから、スポット部と拡散部とを跨ぐロービーム用配光パターンのカットオフライン近傍の中光度の中間部を形成するのに最適である。
【0016】
この発明(請求項5にかかる発明)の車両用前照灯は、第3反射面の範囲を、発光面の経度方向で経度90°以上から、中間部の中央側の端がスクリーン上の垂直線に接する経度まで、の範囲に規制することができるので、リフレクタの基準光軸方向の長さをコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態1を示す概略の斜視図である。
【図2】図2は、図1におけるII−II線断面図である。
【図3】図3は、図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】図4は、遠近法により示す図1におけるIV−IV線矢視図である。
【図5】図5は、反射面のポイントP1、P2、P3、P4において得られるスクリーン上の発光面の反射像を示す説明図である。
【図6】図6は、スクリーン上の発光面の反射像の垂直方向の厚さの分布解析を示す説明図(図4に対応する説明図)である。
【図7】図7は、スクリーン上の発光面の反射像の傾きとスクリーン上の発光面の反射像の垂直方向の厚さとの分布解析を示す説明図(図4に対応する説明図)である。
【図8】図8は、複数個の発光チップの位置のバラツキに対するロバスト性解析(ロービーム用配光パターンのカットオフラインの垂直方向のブレの許容範囲)を示す説明図(図4に対応する説明図)である。
【図9】図9は、第3反射面における反射光の光路とロービーム用配光パターンを示す説明図である。
【図10】図10は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態2を示すロービーム用配光パターンの説明図である。
【図11】図11は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態3を示す第3反射面における反射光の光路とロービーム用配光パターンの説明図である。
【図12】図12は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態4を示す概略の縦断面図(垂直断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態(実施例)のうちの4例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用前照灯を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。さらに、この明細書および特許請求の範囲に記載の「スクリーン」とは、車両用前照灯から前方に10mの位置に配置されたスクリーンである。このスクリーンには、車両用前照灯から照射される配光パターンや光源の発光面の反射像が写し出される。前記スクリーンには、角度の目盛が付されている。この目盛の1目盛をたとえば角度1°とする。
【0019】
図5、図9(A)、図10、図11(A)において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。図5は、コンピュータのシミュレーションで得られたスクリーン上の光源の発光面の反射像を示す説明図である。図9(A)、図10、図11(A)は、コンピュータのシミュレーションで得られたスクリーン上の配光パターンを簡略化して示す光度曲線の説明図である。
【0020】
(実施形態1の構成の説明)
図1〜図9は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態1を示す。以下、この実施形態1における車両用前照灯の構成について説明する。図中、符号1は、この実施形態1における車両用前照灯である。前記車両用前照灯1は、車両(図示せず)の前部の左右両側に装備される。
【0021】
前記車両用前照灯1は、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、半導体型光源2と、リフレクタ3と、取付部材4と、保持部材5と、ヒートシンク部材6と、を備えるものである。
【0022】
前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズは、灯室(図示せず)を画成する。前記灯室内には、前記半導体型光源2および前記リフレクタ3および前記取付部材4および前記保持部材5および前記ヒートシンク部材6が配置されている。
【0023】
前記半導体型光源2は、複数個この例では4個の発光チップ(図示せず)が一列に配列されてなる発光部20を有する。前記リフレクタ3は、パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる反射面30を有する。
【0024】
前記半導体型光源2は、この例では、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源、すなわち、半導体型光源(この実施例ではLED)を使用する。前記半導体型光源2は、基板(図示せず)と、前記基板に適宜に配置されて設けられている複数個(4個)の前記発光チップと、前記発光チップを封止する封止樹脂部材(図示せず)と、から構成されている。前記半導体型光源2は、前記取付部材4により前記保持部材5に取り付けられている。
【0025】
前記半導体型光源2の前記発光部20は、長方形形状の発光面21を有する。前記発光部20は、前記発光面21の長手方向の軸(X軸、水平軸X)と前記反射面30の基準光軸(Z軸)とが直交するように配置されている。前記発光面21は、鉛直軸(Y軸)方向に向いている。前記発光面21の中心Oは、前記反射面30の基準焦点Fもしくはその近傍に位置し、かつ、前記反射面30の基準光軸Z上に位置する。
【0026】
前記水平軸Xと、前記鉛直軸Yと、前記基準光軸Zとは、前記発光面21の中心Oを原点とする直交座標(X−Y−Z直交座標系)を構成する。前記水平軸Xにおいては、右側が+方向であり、左側が−方向である。前記鉛直軸Yにおいては、上側が+方向であり、下側が−方向である。前記基準光軸Zにおいては、前側が+方向であり、後側が−方向である。
【0027】
前記リフレクタ3は、光不透過性の部材、この例では、樹脂部材から構成されている。前記リフレクタ3は、一方側(前方側)7が開口し、かつ、他方側(後方側、上方側、下方側、左方側、右方側)8が閉塞した中空形状をなす。前記閉塞部8の後方側、上方側、左方側、右方側は、回転放物線形状をほぼ2分の1とした湾曲板形状をなす。前記閉塞部8の下方側は、ほぼ水平板形状をなし、前記閉塞部8の奥側(後方側)から前記開口部7側(前方側)にかけて上方側から下方側に傾斜している。前記閉塞部8の下方側の水平板部の傾斜は、前記リフレクタ3の成形金型(図示せず)の抜きのために設けられていて、この例では、約5°である。
【0028】
前記リフレクタ3の前記閉塞部8の水平板部の中央部から後方部にかけての箇所、および、前記リフレクタ3の前記閉塞部8の湾曲板部の中央部の若干の箇所には、窓部9が設けられている。前記窓部9には、前記半導体型光源2および前記取付部材4および前記保持部材5の一部が位置する。前記リフレクタ3の前記閉塞部8の湾曲板部の下部後側には、固定凸部10が一体に設けられている。前記固定凸部10は、前記ヒートシンク部材6にスクリュー11により固定されている。前記リフレクタ3の前記閉塞部8の内面(特に、湾曲板部の内面)には、前記反射面30が形成されている。
【0029】
前記反射面30は、前記発光面21に対向する側(上方側)の空間に配置されている。前記反射面30は、前記発光面21から放射される光L1L、L1Rを反射させてロービーム用配光パターンLPとして車両の前方に照射する反射面である。
【0030】
前記ロービーム用配光パターンLPは、図9(A)に示すように、左右の水平線HL−HR近傍に、上水平カットオフラインCL1、斜めカットオフラインCL2、下水平カットオフラインCL3、エルボー点Eを有し、前記カットオフラインCL1、CL2、CL3よりも下方側の路面(図示せず)を照明する。図9(A)中において、符号「12」は路面のセンターライン、符号「13」は路面の自車の走行車線、符号「14」は対向車線、符号「15」は走行車線側の路肩である。
【0031】
前記反射面30は、図1、図3、図4に示すように、中央部に設けられている第1反射面31と、前記第1反射面31の両側に設けられている第2反射面32L、32Rと、前記第2反射面32L、32Rの外側に設けられている第3反射面33L、33Rと、から構成されている。
【0032】
前記第1反射面31は、前記ロービーム用配光パターンLPの中央部の高光度のスポット部SPを形成する反射面である。前記第2反射面32L、32Rは、前記ロービーム用配光パターンLPの全体の低光度の拡散部WPを形成する反射面である。前記第3反射面33L、33Rは、前記スポット部SPと前記拡散部WPとを跨ぐ前記ロービーム用配光パターンLPの中光度の中間部MP1、MP2を形成する反射面である。
【0033】
前記第1反射面31は、前記反射面30の中央部、すなわち、前記発光面21の中心Oを中心として、かつ、前記基準光軸Zのうち前記反射面30の光反射方向(矢印Z方向参照)と反対側の軸(−方向の基準光軸Z)を基準として、前記発光面21の経度方向で経度0°から経度所定の角度±θ1(たとえば、約45°)までの範囲に設けられている。
【0034】
前記第2反射面32L、32Rは、前記反射面30のうち前記第1反射面31の両側、すなわち、前記発光面21の中心Oを中心として、かつ、前記基準光軸Zのうち前記反射面30の光反射方向(矢印Z方向参照)と反対側の軸(−方向の基準光軸Z)を基準として、前記発光面21の経度方向で経度所定の角度±θ1(たとえば、約45°)から経度所定の角度±θ2(たとえば、約90°)までの範囲に設けられている。
【0035】
前記第3反射面33L、33Rは、前記反射面30のうち前記第2反射面32L、32Rの外側、すなわち、前記発光面21の中心Oを中心として、かつ、前記基準光軸Zのうち前記反射面30の光反射方向(矢印Z方向参照)と反対側の軸(−方向の基準光軸Z)を基準として、前記発光面21の経度方向で経度所定の角度±θ2(たとえば、約90°)以上の範囲に設けられている。そして、前記第3反射面33L、33Rは、前記発光面21の経度方向で経度所定の角度±θ2(たとえば、約90°)以上から、経度所定の角度±θ3(たとえば、約115°)まで、すなわち、前記中間部MP1、MP2の中央側の端がスクリーン上の垂直線VU−VDに接する経度まで、の範囲に設けられている。
【0036】
以下、前記反射面30の前記第1反射面31および前記第2反射面32L、32Rおよび前記第3反射面33L、33Rにおいて得られるスクリーン上の前記発光面21の反射像(スクリーン写像)について、図5を参照して説明する。
【0037】
前記第1反射面31の中央(経度0°)P1においては、図5(A)に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対する傾きがA1(約0°)で、かつ、スクリーン上の垂直方向の厚さがB1である反射像I1が得られる。
【0038】
また、前記第1反射面31と前記第2反射面32L、32Rとの境界(経度45°)P2L、P2Rにおいては、図5(B)に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対する傾きがA2(約45°)で、かつ、スクリーン上の垂直方向の厚さがB2である反射像I2L、I2Rが得られる。
【0039】
さらに、前記第2反射面32L、32Rと前記第3反射面33L、33Rとの境界(経度90°)P3L、P3Rにおいては、図5(C)に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対する傾きがA3(約90°)で、かつ、スクリーン上の垂直方向の厚さがB3である反射像I3が得られる。
【0040】
さらにまた、前記第3反射面33L、33Rの外側端(経度115°)P4L、P4Rにおいては、図5(D)に示すように、スクリーンの水平線HL−HRに対する傾きがA4(約115°)で、かつ、スクリーン上の垂直方向の厚さがB4である反射像I4L、I4Rが得られる。
【0041】
この結果、前記第1反射面31においては、図5(A)に示す傾きがA1で厚さがB1の反射像I1から図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rまでが得られる。また、前記第2反射面32L、32Rにおいては、図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rから図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3までが得られる。さらに、前記第3反射面33L、33Rにおいては、図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3から図5(D)に示す傾きがA4で厚さがB4の反射像I4L、I4Rまでが得られる。
【0042】
ここで、図5(A)に示す傾きがA1で厚さがB1の反射像I1から図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rまでの反射像は、光度が高い反射像であり、また、傾きが0°〜約45°の反射像であり、さらに、立体角が大きい反射像である。この結果、前記第1反射面31で得られる前記反射像I1から前記反射像I2L、I2Rまでの反射像は、集中することによって、前記ロービーム用配光パターンLPのスポット部SP、および、そのスポット部SPにおける上水平カットオフラインCL1、斜めカットオフラインCL2、下水平カットオフラインCL3、エルボー点Eを形成するのに適している反射像である。
【0043】
図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rから図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3までの反射像は、光度が前記第1反射面31で得られる反射像(前記反射像I1から前記反射像I2L、I2Rまでの反射像)よりも低い反射像であり、また、傾きが前記第1反射面31で得られる反射像(前記反射像I1から前記反射像I2L、I2Rまでの反射像)よりも大きい角度約45°〜約90°の反射像であり、さらに、立体角が前記第1反射面31で得られる反射像(前記反射像I1から前記反射像I2L、I2Rまでの反射像)よりも小さい反射像である。この結果、前記第2反射面32L、32Rで得られる前記反射像I2L、I2Rから前記反射像I3までの反射像は、広げることによって、前記ロービーム用配光パターンLPの全体の低光度の拡散部WPを形成するのに適している反射像である。
【0044】
図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3から図5(D)に示す傾きがA4で厚さがB4の反射像I4L、I4Rまでの反射像は、光度が前記第1反射面31で得られる反射像(前記反射像I1から前記反射像I2L、I2Rまでの反射像)および前記第2反射面32L、32Rで得られる反射像(前記反射像I2L、I2Rから前記反射像I3までの反射像)よりも低い反射像であり、傾きが前記第1反射面31で得られる反射像(前記反射像I1から前記反射像I2L、I2Rまでの反射像)よりも大きく、かつ、前記第2反射面32L、32Rで得られる反射像(前記反射像I2L、I2Rから前記反射像I3までの反射像)とほぼ同等の角度約45°〜約90°の反射像であり、さらに、立体角が前記第1反射面31で得られる反射像(前記反射像I1から前記反射像I2L、I2Rまでの反射像)および前記第2反射面32L、32Rで得られる反射像(前記反射像I2L、I2Rから前記反射像I3までの反射像)よりも小さい反射像である。この結果、前記第3反射面33L、33Rで得られる前記反射像I3から前記反射像I4L、I4Rまでの反射像は、若干集中することによって、前記スポット部SPと前記拡散部WPとを跨ぐ前記ロービーム用配光パターンLPの上水平カットオフラインCL1および下水平カットオフラインCL3近傍の中光度の中間部MP1、MP2を形成するのに適している反射像である。
【0045】
図6は、スクリーン上の前記発光面21の反射像の垂直方向の厚さの分布解析を示す説明図である。図7は、スクリーン上の前記発光面21の反射像の傾きとスクリーン上の前記発光面21の反射像の垂直方向の厚さとの分布解析を示す説明図である。前記の図6、図7中の左右のほぼ楕円形状の境界線Cは、スクリーン上の前記発光面21の反射像の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°である。従って、前記境界線Cから外側の範囲は、スクリーン上の前記発光面21の反射像の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以下であり、前記境界線Cから内側の範囲は、スクリーン上の前記発光面21の反射像の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以上である。
【0046】
前記第3反射面33L、33Rは、前記発光面21の経度方向で経度所定の角度±θ2(たとえば、約90°)以上の範囲のうち、スクリーン上の前記発光面21の反射像の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以下の前記発光面21の反射像が得られる領域、すなわち、図6、図7中の前記境界線Cから外側の範囲に設けられている。前記第3反射面33L、33Rにおいて得られる前記反射像I3から前記反射像I4L、I4Rまでの反射像は、垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以下であるから、路面のうち、車両前方10mからさらに前方の路面を照明するのに適している反射像である。
【0047】
図7中の境界線D1は、スクリーン上の前記発光面21の反射像の傾きが±約3°の境界線である。D2は、±約10°の境界線である。D3は、±約20°の境界線である。D4は、±約30°の境界線である。D5は、±約40°の境界線である。D6は、±約50°の境界線である。D7は、±約60°の境界線である。D8は、±約70°の境界線である。D9は、±約80°の境界線である。D10は、±約80°の境界線である。D11は、±約70°の境界線である。D12は、±約60°の境界線である。D13は、±約50°の境界線である。D14は、±約40°の境界線である。D15は、±約30°の境界線である。D16は、±約20°の境界線である。D17は、±約10°の境界線である。なお、境界線D9と境界線D10との中間が約90°である。
【0048】
図8は、複数個の発光チップの位置のバラツキに対するロバスト性解析(ロービーム用配光パターンのカットオフラインの垂直方向のブレの許容範囲)を示す説明図である。前記の図8の境界線G1〜G3において、境界線G1より内側(下側)の範囲は、ロバスト性が低い範囲(スクリーン上の前記ロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2、CL3の垂直方向のブレが大きい範囲)であり、境界線G3よりも外側(上側)の範囲は、ロバスト性が高い範囲(スクリーン上の前記ロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2、CL3の垂直方向のブレが小さい、たとえば、スクリーン上の角度の目盛で±0.5°以下の範囲)である。
【0049】
前記第3反射面33L、33Rは、前記発光面21の経度方向で経度所定の角度±θ2(たとえば、約90°)以上の範囲のうち、スクリーン上の前記ロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2、CL3の垂直方向のブレがスクリーン上の角度の目盛で±0.5°以下に収まる領域、すなわち、図8中の境界線G3よりも外側の範囲に設けられている。前記第3反射面33L、33Rにおいて得られる前記反射像I3から前記反射像I4L、I4Rまでの反射像は、前記ロービーム用配光パターンLPの中間部MP1、MP2の上水平カットオフラインCL1および下水平カットオフラインCL3の垂直方向のブレがスクリーン上の角度の目盛で±0.5°以下であるから、前記スポット部SPと前記拡散部WPとを跨ぐ前記ロービーム用配光パターンLPの上水平カットオフラインCL1および下水平カットオフラインCL3近傍の中光度の中間部MP1、MP2を形成するのに適している反射像である。
【0050】
前記保持部材5は、板形状のベース形状をなしている。前記保持部材5の上面の前方側には、前記半導体型光源2が前記取付部材4を介して取り付けられている。前記保持部材5の後面は、前記ヒートシンク部材6にスクリュー11により固定されている。この結果、前記ヒートシンク部材6に固定されている前記リフレクタ3の前記窓部9には、前記半導体型光源2および前記取付部材4および前記保持部材5の一部が位置する。
【0051】
前記ヒートシンク部材6は、放熱性が高い部材、たとえば、アルミダイカストや樹脂から構成されている。前記ヒートシンク部材6は、前方側の垂直板部16と、後方側のフィン部17と、から構成されている。前記ヒートシンク部材6の前記垂直板部16には、前記リフレクタ3および前記保持部材5がスクリュー11により固定されている。前記保持部材5と前記ヒートシンク部材6とを一体に構成しても良い。前記保持部材5にフィン部17を一体に設けても良い。
【0052】
(実施形態1の作用の説明)
この実施形態1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0053】
半導体型光源2を点灯する。すると、半導体型光源2の発光部20の発光面21から放射される光L1、L1L、L1Rは、図2、図9(B)中の実線矢印に示すように、リフレクタ3の反射面30に入射してその反射面30において反射する。この反射光L2、L2L、L2Rは、ロービーム用配光パターンLPとして車両の前方に照射される。
【0054】
すなわち、反射面の30の第1反射面31において反射した反射光L2は、図5(A)に示す傾きがA1で厚さがB1の反射像I1から図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rまでの反射像で、ロービーム用配光パターンLPのスポット部SPを形成する。
【0055】
また、反射面30の第2反射面32L、32Rにおいて反射した反射光(図示せず)は、図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rから図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3までの反射像で、ロービーム用配光パターンLPの拡散部WPを形成する。
【0056】
さらに、反射面30の左側の第3反射面33Lにおいて反射した反射光L2Lは、図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3から図5(D)に示す傾きがA4で厚さがB4の反射像I4L、I4Rまでの反射像で、スポット部SPと右側の拡散部WPとを跨ぐロービーム用配光パターンLPの中間部MP2を形成する。一方、反射面30の右側の第3反射面33Rにおいて反射した反射光L2Rは、図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3から図5(D)に示す傾きがA4で厚さがB4の反射像I4L、I4Rまでの反射像で、スポット部SPと左側の拡散部WPとを跨ぐロービーム用配光パターンLPの中間部MP1を形成する。
【0057】
このようにして、スポット部SPと拡散部WPと中間部MP1、MP2とが重畳されて、ロービーム用配光パターンLPが車両の前方に照射される。
【0058】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1における車両用前照灯1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0059】
この実施形態1における車両用前照灯1は、反射面30の中央部に第1反射面31を設け、その第1反射面31の両側に第2反射面32L、32Rを設け、その第2反射面32L、32Rの外側に第3反射面33L、33Rを設けるものである。
【0060】
これにより、第1反射面31において得られるスクリーン上の発光面21の反射像(図5(A)に示す傾きがA1で厚さがB1の反射像I1から図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rまでの反射像)は、光度が高く、また、傾きが0°から所定角度±θ1(約45°)までの小さい角度の範囲であり、さらに、立体角が大きい。この結果、第1反射面31は、図5(A)に示す反射像I1から図5(B)に示す反射像I2L、I2Rまでの反射像を集中してロービーム用配光パターンLPの中央部でかつカットオフラインCL1、CL2、CL3近傍の高光度のスポット部SPを形成するのに適している。
【0061】
また、第2反射面32L、32Rにおいて得られるスクリーン上の発光面21の反射像(図5(B)に示す傾きがA2で厚さがB2の反射像I2L、I2Rから図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3までの反射像)は、光度が第1反射面31で得られる反射像よりも低く、また、傾きが第1反射面31で得られる反射像よりも大きい角度約45°〜約90°であり、さらに、立体角が第1反射面31で得られる反射像よりも小さい。この結果、第2反射面32L、32Rは、図5(B)に示す反射像I2L、I2Rから図5(C)に示す反射像I3までの反射像を広げてロービーム用配光パターンLPの全体の低光度の拡散部WPを形成するのに適している。
【0062】
さらに、第3反射面33L、33Rにおいて得られるスクリーン上の発光面21の反射像(図5(C)に示す傾きがA3で厚さがB3の反射像I3から図5(D)に示す傾きがA4で厚さがB4の反射像I4L、I4Rまでの反射像)は、光度が第1反射面31および第2反射面32L、32Rで得られる反射像よりも低く、また、傾きが第1反射面31で得られる反射像よりも大きく、かつ、第2反射面32L、32Rとほぼ同等の角度約45°〜約90°であり、さらに、立体角が第1反射面31および第2反射面32L、32Rよりも小さい。この結果、第3反射面33L、33Rは、図5(C)に示す反射像I3から図5(D)に示す反射像I4L、I4Rまでの反射像を若干集中してスポット部SPと拡散部WPとを跨ぐロービーム用配光パターンLPの上水平カットオフラインCL1および下水平カットオフラインCL3近傍の中光度の中間部MP1、MP2を形成するのに適している。
【0063】
このように、この実施形態1における車両用前照灯1は、スポット部SPと拡散部WPと中間部MP1、MP2とを重畳することにより、最適なロービーム用配光パターンLPを得ることができる。
【0064】
しかも、この実施形態1における車両用前照灯1は、従来なかったスポット部SPと拡散部WPとを跨ぐ中光度の配光パターンを中光度の中間部MP1、MP2として形成するものであるから、最適なロービーム用配光パターンLPを得ることができる。
【0065】
この実施形態1における車両用前照灯1は、発光面21の経度方向で経度90°以上の範囲に第3反射面33L、33Rを設けるものであるから、第3反射面33L、33Rにおいて得られる反射像(図5(C)に示す反射像I3から図5(D)に示す反射像I4L、I4Rまでの反射像)の光度、傾き、立体角の条件を、ロービーム用配光パターンLPの中間部MP1、MP2を形成する反射像の条件に確実に満足させることができる。
【0066】
この実施形態1における車両用前照灯1は、第3反射面33L、33Rにおいて得られる反射像(図5(C)に示す反射像I3から図5(D)に示す反射像I4L、I4Rまでの反射像)の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以下であるから、路面のうち、車両前方10mからさらに前方の路面を照明するのに最適である。
【0067】
ここの実施形態1における車両用前照灯1は、第3反射面33L、33Rにおいて得られるロービーム用配光パターンLPの上水平カットオフラインCL1および下水平カットオフラインCL3の垂直方向のブレがスクリーン上の角度の目盛で±0.5°以下であるから、スポット部SPと拡散部WPとを跨ぐロービーム用配光パターンLPの上水平カットオフラインCL1および下水平カットオフラインCL3近傍の中光度の中間部MP1、MP2を形成するのに最適である。
【0068】
この実施形態1における車両用前照灯1は、第3反射面33L、33Rの範囲を、発光面の経度方向で経度90°以上から、中間部MP1、MP2の中央側の端(左側の中間部MP1の右側の端、右側の中間部MP2の左側の端)がスクリーン上の垂直線VU−VDに接する経度まで、の範囲に規制することができるので、リフレクタ3の基準光軸Z方向の長さをコンパクトにすることができる。すなわち、図9(B)中の二点鎖線で示す延長リフレクタ18の分リフレクタ3をコンパクトにすることができる。
【0069】
(実施形態2の説明)
図10は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態2を示す。以下、この実施形態2における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図9と同符号は、同一のものを示す。
【0070】
前記の実施形態1の車両用前照灯1は、右側の第3反射面33Rにおいてクロス反射された反射光L2Rにより図9(A)に示す左側の中間部MP1を形成するものである。この実施形態2における車両用前照灯は、右側の第3反射面33Rにおいてオープン反射された反射光L3Rにより図10に示す右側の中間部MP3を形成するものである。この中間部MP3は、左側の第3反射面33Lにおいてクロス反射された反射光L2Lにより図10に示す右側の中間部MP2に重畳される。
【0071】
この実施形態2における車両用前照灯は、前記の実施形態1における車両用前照灯1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施形態2の車両用前照灯は、対向車線14側の下水平カットオフラインCL3近傍に、左側の第3反射面33Lにおいて得られる中間部MP2と右側の第3反射面33Rにおいて得られる中間部MP3とを重畳するので、対向車線14側の光度が向上されて対向車線14側の視認性が向上され、交通安全に貢献することができる。
【0072】
(実施形態3の説明)
図11は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態3を示す。以下、この実施形態3における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図10と同符号は、同一のものを示す。
【0073】
この実施形態3の車両用前照灯は、第3反射面33L、33Rの範囲を、発光面21の経度方向で経度所定の角度±θ2(たとえば、約90°)以上から、経度所定の角度±θ3(たとえば、約115°)を経て、経度約120°まで、の範囲に広げたものである。第3反射面33L、33Rの範囲を広げたことにより、リフレクタ3の左右両端部から延長リフレクタ18が延設される。この延長リフレクタ18には、延長第3反射面34L、34Rが延設される。
【0074】
この実施形態3の車両用前照灯は、以上のごとき構成からなるので、延長第3反射面34L、34Rにおいてクロス反射された反射光L4L、L4Rにより、中間部MP4、MP4の中央側の端(左側の中間部MP4の右側の端、右側の中間部MP5の左側の端)がスクリーン上の垂直線VU−VDを跨いで反対側の中間部MP5、MP4に若干重畳される。
【0075】
この実施形態3における車両用前照灯は、前記の実施形態1、2における車両用前照灯1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施形態3における車両用前照灯は、中間部MP4、MP5の中央側の端がスクリーン上の垂直線VU−VDを跨ぐので、ロービーム用配光パターンLPの中央部すなわち走行車線13側の光度が向上されて走行車線13側の視認性が向上され、交通安全に貢献することができる。
【0076】
(実施形態4の説明)
図12は、この発明にかかる車両用前照灯の実施形態4を示す。以下、この実施形態4における車両用前照灯100について説明する。図中、図1〜図11と同符号は、同一のものを示す。
【0077】
前記の実施形態1、2、3の車両用前照灯1は、半導体型光源2の発光部20の発光面21が上向きであって、リフレクタ3が半導体型光源2の上方側に配置されているものである。この実施形態4における車両用前照灯100は、半導体型光源2の発光部20の発光面21が下向きであって、リフレクタ3が半導体型光源2の下方側に配置されているものである。
【0078】
この実施形態4における車両用前照灯100は、前記の実施形態1、2、3における車両用前照灯1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施形態4における車両用前照灯100は、半導体型光源2の発光部20の発光面21が下向きであって、リフレクタ3が半導体型光源2の下方側に配置されているものであるから、車両用前照灯100の設置スペースや設定デザインの自由度が向上される。
【符号の説明】
【0079】
1、100 車両用前照灯
2 半導体型光源
20 発光部
21 発光面
3 リフレクタ
30 反射面
31 第1反射面
32L、32R 第2反射面
33L、33R 第3反射面
34L、34R 延長第3反射面
4 取付部材
5 保持部材
6 ヒートシンク部材
7 開口部
8 閉塞部
9 窓部
10 固定凸部
11 スクリュー
12 センターライン
13 走行車線
14 対向車線
15 走行車線側の路肩
16 垂直板部
17 フィン部
18 延長リフレクタ
A1、A2、A3、A4 反射像の傾き
B1、B2、B3、B4 反射像の厚み
C 反射像の厚みが3.5°の境界線
CL1 上水平カットオフライン
CL2 斜めカットオフライン
CL3 下水平カットオフライン
D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8、D9、D10、D11、D12、D13、D14、D15、D16、D17 反射像の傾きの所定角度の境界線
E エルボー点
F 基準焦点
G1、G2、G3 ロバスト性の高低の境界線
HL−HR スクリーンの左右の水平線
I1、I2L、I2R、I3、I4L、I4R 反射像
LP ロービーム用配光パターン
L1、L1L、L1R 発光面からの光
L2、L2L、L2R、L3R、L4L、L4R 反射面からの反射光
MP1、MP2、MP3、MP4、MP5 中間部
O 発光面の中心
P1、P2L、P2R、P3L、P3R 反射面のポイント
SP スポット部
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
WP 拡散部
X 水平軸
Y 鉛直軸
Z 基準光軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の発光チップが一列に配列されてなる発光部を有する半導体型光源と、
パラボラ系の自由曲面からなる反射面を有するリフレクタと、
を備え、
前記発光部は、長方形形状の発光面を有し、
前記発光部は、前記発光面の長手方向の軸と前記反射面の基準光軸とが直交するように配置されていて、
前記発光面は、鉛直軸方向に向き、
前記発光面の中心は、前記反射面の基準焦点もしくはその近傍に位置し、かつ、前記反射面の基準光軸上に位置し、
前記反射面は、前記発光面に対向する側の空間に配置されていて、前記発光面から放射される光を反射させてロービーム用配光パターンとして車両の前方に照射する反射面であり、
前記反射面は、中央部に設けられている第1反射面と、前記第1反射面の両側に設けられている第2反射面と、前記第2反射面の外側に設けられている第3反射面と、から構成されていて、
前記第1反射面は、前記ロービーム用配光パターンの中央部の高光度のスポット部を形成する反射面であり、
前記第2反射面は、前記ロービーム用配光パターンの全体の低光度の拡散部を形成する反射面であり、
前記第3反射面は、前記スポット部と前記拡散部とを跨ぐ前記ロービーム用配光パターンの中光度の中間部を形成する反射面である、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記第3反射面は、前記反射面のうち、前記発光面の中心を中心として、かつ、前記基準光軸のうち前記反射面の光反射方向と反対側の軸を基準として、前記発光面の経度方向で経度90°以上の範囲に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記第3反射面は、前記発光面の経度方向で経度90°以上の範囲のうち、スクリーン上の前記発光面の反射像の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以下の前記発光面の反射像が得られる領域に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記第3反射面は、前記発光面の経度方向で経度90°以上の範囲のうち、スクリーン上の前記ロービーム用配光パターンのカットオフラインの垂直方向のブレがスクリーン上の角度の目盛で±0.5°以下に収まる領域に設けられている、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記第3反射面は、前記発光面の経度方向で経度90°以上から、前記中間部の中央側の端がスクリーン上の垂直線に接する経度まで、の範囲に設けられている、
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
【請求項1】
複数個の発光チップが一列に配列されてなる発光部を有する半導体型光源と、
パラボラ系の自由曲面からなる反射面を有するリフレクタと、
を備え、
前記発光部は、長方形形状の発光面を有し、
前記発光部は、前記発光面の長手方向の軸と前記反射面の基準光軸とが直交するように配置されていて、
前記発光面は、鉛直軸方向に向き、
前記発光面の中心は、前記反射面の基準焦点もしくはその近傍に位置し、かつ、前記反射面の基準光軸上に位置し、
前記反射面は、前記発光面に対向する側の空間に配置されていて、前記発光面から放射される光を反射させてロービーム用配光パターンとして車両の前方に照射する反射面であり、
前記反射面は、中央部に設けられている第1反射面と、前記第1反射面の両側に設けられている第2反射面と、前記第2反射面の外側に設けられている第3反射面と、から構成されていて、
前記第1反射面は、前記ロービーム用配光パターンの中央部の高光度のスポット部を形成する反射面であり、
前記第2反射面は、前記ロービーム用配光パターンの全体の低光度の拡散部を形成する反射面であり、
前記第3反射面は、前記スポット部と前記拡散部とを跨ぐ前記ロービーム用配光パターンの中光度の中間部を形成する反射面である、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記第3反射面は、前記反射面のうち、前記発光面の中心を中心として、かつ、前記基準光軸のうち前記反射面の光反射方向と反対側の軸を基準として、前記発光面の経度方向で経度90°以上の範囲に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記第3反射面は、前記発光面の経度方向で経度90°以上の範囲のうち、スクリーン上の前記発光面の反射像の垂直方向の厚さがスクリーン上の角度の目盛で3.5°以下の前記発光面の反射像が得られる領域に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記第3反射面は、前記発光面の経度方向で経度90°以上の範囲のうち、スクリーン上の前記ロービーム用配光パターンのカットオフラインの垂直方向のブレがスクリーン上の角度の目盛で±0.5°以下に収まる領域に設けられている、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記第3反射面は、前記発光面の経度方向で経度90°以上から、前記中間部の中央側の端がスクリーン上の垂直線に接する経度まで、の範囲に設けられている、
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−25981(P2013−25981A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158816(P2011−158816)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】
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