説明

車両用収納ボックス

【課題】ボックス本体の内部に物品を収納した場合であっても光源の光が完全に遮られることのない車両用収納ボックスを提供する。光源の光を散光させるための散光部にそれ以外の機能を持たせる。
【解決手段】物品Wを収納するためのボックス本体12と、ボックス本体12の底部14に配設される導光板20と、導光板20の端部20aに対向するように配設される発光体22と、を備える車両用収納ボックス10であって、導光板20の上面には、導光板20の内部に導入された発光体22の光をボックス本体12内に向けて散光させることのできる散光部28が形成されている。散光部28は、発泡インクを用いた立体的な印刷処理により形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用収納ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LEDなどの光源の光を導光体によってボックス本体内に導くことのできる車両用収納ボックスが知られている(例えば特許文献1を参照)。
また、従来、導光体にドット印刷を施すことにより光源の光を均一に散光させることのできる照明技術が知られている(例えば特許文献2を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−144965公報
【特許文献2】特開平6−103804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両用収納ボックスは、ボックス本体の内部に物品を収納したときに、その物品によって光源の光が遮られてしまうために、ボックス本体の内部に収納した物品が見えにくくなってしまうという問題があった。
また、従来の照明技術は、光源の光をドット印刷部によって均一に散光させることができるものの、ドット印刷部に散光以外の機能を持たせるための更なる改良が望まれていた。
【0005】
本発明は上記のような問題に鑑みて創案されたものであって、ボックス本体の内部に物品を収納した場合であっても光源の光が完全に遮られることのない車両用収納ボックスを提供することを目的とする。また、光源の光を散光させるための散光部にそれ以外の機能を持たせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段は、以下の発明である。
第1の発明は、物品を収納するためのボックス本体と、前記ボックス本体の底部に配設される導光板と、前記導光板の端部に対向するように配設される光源と、を備える車両用収納ボックスであって、前記導光板の上面には、前記導光板の内部に導入された前記光源の光を前記ボックス本体内に向けて散光させることのできる散光部が形成されており、前記散光部は、立体的な印刷処理により形成されていることを特徴とする、車両用収納ボックスである。
【0007】
第1の発明によれば、ボックス本体の底部に導光板が配設されており、この導光板の上面に散光部が形成されている。したがって、ボックス本体の底部全体を光らせることが可能であり、ボックス本体に物品を収納した場合であっても光源の光が完全に遮られることがなくなる。
【0008】
また、第1の発明によれば、光源の光をボックス本体内に向けて散光させるための散光部が、立体的な印刷処理によって形成されている。ここでいう「立体的な印刷処理」とは、所定以上の厚みを有するように塗料やインクを付着させる処理のことであり、肉持ち感のある塗料やインクを付着させる処理のことである。これにより、光源の光を散光させるための散光部に、導光板の上面に物品を載置したときの緩衝機能あるいは滑り防止機能を持たせることができる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明の車両用収納ボックスであって、前記散光部は、発泡インクを用いた立体的な印刷処理により形成されていることを特徴とする、車両用収納ボックスである。
【0010】
第2の発明によれば、導光板の上面に散光部が形成されており、この散光部が発泡インクを用いて形成されている。そして、この発泡インクは肉持ち感があってしかも弾性があるために、導光板の上面に物品を載置したときの緩衝機能あるいは滑り防止機能をより効果的に発揮させることが可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ボックス本体の内部に物品を収納した場合であっても光源の光が完全に遮られることのない車両用収納ボックスを提供することが可能である。また、光源の光を散光させるための散光部にそれ以外の機能を持たせることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る車両用収納ボックス10の斜視図である。図2は、車両用収納ボックス10の縦断面図である。図3は、車両用収納ボックス10の平断面図である。
【0013】
本実施形態に係る車両用収納ボックス10は、車両の車室内において運転席と助手席の間に位置するコンソールボックスとして使用されるものである。この車両用収納ボックス10には、カップ、飲料缶、ペットボトル、小銭、音楽CD、カード類、アクセサリ類などの各種の物品を収納することができる。
【0014】
図1〜図3に示すように、車両用収納ボックス10は、上方が開口した箱形状のボックス本体12を備えている。このボックス本体12は、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料により底部14及び側壁部16が一体成形された箱形状の部材である。ボックス本体12の内部には、物品を収納することのできる物品収納空間18が形成されている。
【0015】
図1〜図3に示すように、ボックス本体12の底部14には導光板20が配設されており、この導光板20がボックス本体12の底板としての機能を果たしている。
導光板20は、導光材料が板状に形成されたものである。ここでいう「導光材料」とは、例えばアクリル系樹脂などの光を透過させる材料のことである。このような導光材料としては、例えば、公開特許公報である特開2005−306233や特開平6−75120号等に開示された公知の導光材料を使用することが可能である。
【0016】
図1〜図3に示すように、導光板20の一方の端部20aには、その端部20aに対向するようにして発光体22が配設されている(本実施形態では、4つの発光体22が配設されている)。この発光体22は、導光板20の内部に導入される光の光源である。本実施形態では、この発光体22に発光ダイオード(LED)が使用されている。この発光体22としては、LED以外にも、例えば、白熱電球(バルブ)、蛍光管、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、半導体レーザ(LD)、ガスレーザ、電界発光体、プラズマ発光管等を使用することができる。この発光体22は、制御装置を介して車両に搭載されたバッテリ等の電源に接続されている。
【0017】
発光体22は、合成樹脂材料により中空状に形成されたハウジング24の内部に格納されている。このハウジング24は、ボックス本体12の外側面17に接するように取り付けられている。
ハウジング24の側部には挿通孔26が設けられており(図2参照)、この挿通孔26に導光板20の端部20aが挿通されている。これにより、ハウジング24の内部に格納されている4つの発光体22が、導光板20の端部20aに対向するように配設されている。
【0018】
一方、導光板20の上面には、導光板20の内部に導入された発光体22の光をボックス本体12の内部に向けて散光させるための散光部28が形成されている。この散光部28は、導光板20の上面のほぼ全体にわたって並列に並んだ複数の線状に形成されている。
【0019】
図2に示すように、導光板20端部20aは平坦面となっており、発光体22から放出された光はこの端部20aを通過して導光板20の内部に進入する。導光板20の内部に進入した光は、その導光板20の内周面にて反射しながら導光板20の内部をさらに進行し、導光板20の上面に形成された散光部28にぶつかって少なくともその一部が上方に向かって透過あるいは散光する。これにより、導光板20の上面のほぼ全体において発光体22の光を透過あるいは散光させることが可能となっている。なお、ここでいう「透過」とは、光が導光板20の内部から外部へ通過することを意味しており、「散光」とは、光が散光部28において拡散して広がることを意味している。
【0020】
本実施形態において、散光部28は、立体的な印刷処理によって形成されている。ここでいう「立体的な印刷処理」とは、所定以上の厚みを有するように塗料やインクを付着させる処理のことであり、肉持ち感のある塗料やインクを付着させる処理のことである。これにより、発光体22の光を散光させるための散光部28に、導光板20の上面に物品W(本実施形態において物品Wは飲料用カップである)を載置したときの緩衝機能あるいは滑り防止機能を持たせることができる。
【0021】
立体的な印刷処理を施すためのインクとしては、例えば、発泡インクを使用することができる。この発泡インクとは、発泡膨張して立体的な模様を形成することのできるインクである。この発泡インクとしては、例えば、所定の温度以上に加熱することにより発泡膨張する熱膨張性カプセルを混入したものなどが知られている。この発泡インクとしては、例えば、東洋インキ製造(株)製「SS発泡インキ」などを使用することができる。
【0022】
また、立体的な印刷処理を施すための塗料としては、発泡インク以外にも、所定以上の厚みのある塗膜を形成することが可能であればその他のインクや塗料を使用することができる。例えば、シリコン樹脂やTPO樹脂を主成分とした塗料やインクを使用することができる。
【0023】
なお、散光部28を形成するための印刷処理の手法は特に制限するものではなく、例えば、グラビア印刷やスクリーン印刷などの公知の印刷手法を用いることができる。
【0024】
立体的な印刷処理によって形成される散光部28の厚みは30μm以上であることが好ましい。散光部28の厚みが30μm以上であれば、導光板20に物品Wを載置したときの緩衝機能や滑り防止機能を十分に発揮させることができるからである。
【0025】
以上説明したように、本実施形態の車両用収納ボックス10によれば、導光板20の上面のほぼ全体において発光体22の光を透過あるいは散光させることが可能であるために、ボックス本体12に物品Wを収納した場合であっても、発光体22の光が完全に遮られることがなくなる。したがって、ボックス本体12に収納されている物品Wが夜間であっても見えやすいという効果がある。
【0026】
また、本実施形態の車両用収納ボックス10によれば、発光体22の光を散光させるための散光部28に、導光板20の上面に物品Wを載置したときの緩衝機能あるいは滑り防止機能を持たせることが可能である。
【0027】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、車両用収納ボックス10がコンソールボックスとして使用されるものである例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、車両のインストルメントパネル、ドアトリム、クオータトリム、シートバックボード等に設置される車両用収納ボックスに本発明を適用することも可能である。
(2)上記実施形態では、車両用収納ボックス10が深い底を有するボックス本体12により構成されている例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、ボックス本体12が浅い底を有する場合(例えば、ボックス本体12が浅底の“トレイ”である場合)であっても適用することができる。
(3)上記実施形態では、導光板20の一方の端部20aに発光体22が配設される例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、導光板20の両端部に発光体22が配設されてもよい。
(4)上記実施形態では、散光部28が並列に並んだ複数の線状に形成される例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、導光板20の上面に散光部28が複数のドット状(点状)に形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】車両用収納ボックスの斜視図である。
【図2】車両用収納ボックスの側断面図である。
【図3】車両用収納ボックスの平断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10…車両用収納ボックス
12…ボックス本体
14…底部
20…導光板
20a…端部
22…発光体
28…散光部
W…物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納するためのボックス本体と、前記ボックス本体の底部に配設される導光板と、前記導光板の端部に対向するように配設される光源と、を備える車両用収納ボックスであって、
前記導光板の上面には、前記導光板の内部に導入された前記光源の光を前記ボックス本体内に向けて散光させることのできる散光部が形成されており、
前記散光部は、立体的な印刷処理により形成されていることを特徴とする、車両用収納ボックス。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用収納ボックスであって、
前記散光部は、発泡インクを用いた立体的な印刷処理により形成されていることを特徴とする、車両用収納ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−201218(P2008−201218A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38179(P2007−38179)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000150774)株式会社槌屋 (56)
【Fターム(参考)】