説明

車両用吸気ダクト

【課題】車両用吸気ダクトにおいて、空気流の圧力損失を低減する。
【解決手段】車両用吸気ダクト30は、開口面が斜め上方に臨むよう形成された取込口38を有し、空気流通方向と交差する横方向に広がる扁平形状に形成された導入部36と、導入部36の空気流通路34に設けられ、該空気流通路34の左右方向に延在する整流板44とを備えている。整流板44は、取込口38に臨む前端部の下面に、空気流通方向前側から後側に向かうにつれて下方傾斜する案内面44aを備えると共に、該案内面44aの傾斜下端から空気流通方向後側に向かうにつれて上下の厚みが薄くなる形状に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンに空気を導入する車両用吸気ダクトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、自動車の車体10に搭載されたエンジンEGには、車両用吸気ダクトDCから導入された外部の空気がエアクリーナーACを介して供給される(例えば、特許文献1)。車両用吸気ダクトDCは、インジェクション成形またはブロー成形等で成形された合成樹脂製であって、内部に空気流通路20が画成されている。また車両用吸気ダクトDCは、図8に示すように、空気の取込口24を有する導入部22が横長扁平形状に形成されると共に、エアクリーナーACに接続する送出口28を有する導出部26が略矩形状に形成されている。更に車両用吸気ダクトDCは、導入部22から導出部26に至る途中部分で屈曲する形状となっている。そして、車両用吸気ダクトDCは、導入部22がボルト等の取付手段BLでラジエターサポート16の上面へ取り付けられ、エンジンルーム12を閉成するエンジンフード14とラジエターサポート16との間の隙間Sに取込口24が臨むように配設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−322434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年では、歩行者保護に関する安全対策の確立が希求されており、歩行者が衝突した際にはエンジンフード14が適度に下方へ変形することで、衝撃の吸収を図っている。このため、エンジンフード14の真下に位置する車両用吸気ダクトDCは、エンジンフード14の変形を阻害しないことが要求される。また車両用吸気ダクトDCは、エンジンフード14の変形を許容するだけでなく、エンジンフード14を介して入力される衝撃を吸収することも求められる。
【0005】
前述のように、車両用吸気ダクトDSの導入部22は、狭い隙間Sに配設されるので、導入部22の開放端を下方から上方に向かうにつれて後側に傾斜するように形成することで、エンジンフード14の変形ストロークを確保することがなされている。すなわち、導入部22の開口端に開設される取込口24は、斜め上方を臨むように傾斜している。空気は、取込口24の開口面に対して直交する角度で流入する性質があり、車両用吸気ダクトDCにおいて、空気は取込口24から斜め下方に流入した後に、導入部22における空気流通路20を構成する壁部内面に沿って水平方向へ流通する(図7参照)。このように、取込口24から取り込まれた空気は、斜め下方へ向かう入射ラインに沿って流通しようとするので、空気流が導入部22の上壁部内面から剥離して、空気流が空気流通路20の下側領域に偏る傾向がある。そして、導入部22における空気流通路20の天井領域Rでは、空気流の逆流が発生してしまう。このように、導入部22の空気流通路20では、取込口24の開口面を斜めに形成することによって空気流の偏りや空気流の逆流が生じ、これらが抵抗となって吸気ダクトの通風性能が悪化してしまう問題が指摘される。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る車両用吸気ダクトに内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、衝撃吸収性能を備える車両用吸気ダクトを提供することを目的とする。更に、車両用吸気ダクトにおいて、取込口を斜めに形成した際に、通風性能の悪化の原因となる導入部における空気流の偏りおよび空気流の逆流の発生も抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の車両用吸気ダクトは、
取込口から送出口に連通する空気流通路が画成された車両用吸気ダクトであって、
開口面が斜め上方に臨むよう形成された前記取込口を有し、該取込口から前記送出口に至る空気流通方向と交差する横方向に広がる扁平形状に形成された導入部と、
前記導入部の内部に画成される前記空気流通路に設けられ、該導入部の対向した側壁部の間に亘って前記空気流通方向と交差する横方向に延在する板体とを備え、
前記板体は、前記取込口に臨む前端部の下面に、空気流通方向前側から後側に向かうにつれて下方傾斜する案内面を備えると共に、該案内面の傾斜下端から空気流通方向後側に向かうにつれて上下の厚みが薄くなる形状に形成されたことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、導入部における空気流通方向に交差する上下方向の面が押圧された場合に、導入部の空気流通路に空気流通方向に交差する横方向に延在している板体が、導入部の両側面の間で弾力的に変形して衝撃吸収が図られる。また、取込口から流入した空気の一部を、板体の整流作用によって空気流通路の上側領域に案内することができる。これにより、取込口を斜めに形成しても、空気流通路における空気流の偏りおよび逆流の発生を抑制することができる。更に、空気を空気流通路における板体の下側領域に円滑に導くことができる。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記板体は、上面が平らに形成されたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車両用吸気ダクトによれば、導入部の空気流通路に設けた板体によって衝撃吸収性能を向上し得る。また、導入部の取込口を斜めに形成しても、板体によって空気流の偏りおよび空気の逆流の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の好適な実施例に係る車両用吸気ダクトを一部切り欠いて示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】実施例の車両用吸気ダクトを取込口側から見た正面図であって、(a)は通常状態を示し、(b)〜(d)は上壁部の変形に伴う該ダクトの変形態様を示す。
【図4】実施例の車両用吸気ダクトにおいて、導入部を拡大して示す側断面図である。
【図5】変更例の車両用吸気ダクトを取込口側から見た正面図である。
【図6】参考例の車両用吸気ダクトを取込口側から見た正面図である。
【図7】従来の車両用吸気ダクトを車体に取り付けた状態で示す側断面図である。
【図8】従来の車両用吸気ダクトを一部切り欠いて示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係る車両用吸気ダクトにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、説明の便宜上、図7に示した車両の構成要素と同一の要素については、同一の符号を使用して詳細な説明は省略する。なお、以下の車両用吸気ダクトの説明では、該車両用吸気ダクトに内部画成される空気流通路において、空気が取込口から送出口に向けて流れる空気流通方向を基準として方向を指称する。すなわち、車両用吸気ダクトでは、空気流通方向の上流側(取込口側)を前側といい、空気流通方向の下流側(送出口側)を後側という。また車両用吸気ダクトでは、該車両用吸気ダクトを車体に設置した際に、前記空気流通方向に直交する横方向を左右方向と指称する。
【実施例】
【0012】
図1または図2に示すように、実施例の車両用吸気ダクト(以下、単に「ダクト」という。)30は、両端が開口したダクト本体32を備え、取込口38から送出口42に連通する空気流通路34がダクト本体32の内部に画成されている。なお、ダクト本体32は、可撓性を有する合成樹脂製の成形品である。ダクト本体32は、空気流通方向前側に位置する導入部36が左右方向に広がった横広扁平状に形成されて、この導入部36の開放端に横広扁平形状の取込口38が設けられている。またダクト本体32は、空気流通方向後側に位置する導出部40が略矩形状に形成されて、この導出部40の開放端に略矩形状の送出口42が設けられる。更にダクト本体32は、取込口38から送出口42に至る前後方向の途中で下方に屈曲した形状とされ、導入部36が車体10への設置時に略水平に延在するように形成されている。
【0013】
前記ダクト30は、導入部36の開放端が下方から上方に向かうにつれて空気流通方向後側へ傾斜するように形成され、導入部36の開放端に開設される取込口38の開口面が斜め上方に臨むようになっている。すなわち、ダクト30では、取込口38から該取込口38の開口面に直交するように取り込まれる空気の入射ラインと(図4の二点鎖線参照)、略水平に延在する導入部36の壁部32a,32b,32cにより案内される空気流通路34の流通ラインとが交差する関係になっている。そして、ダクト30は、エンジンルーム12の前側に配置された車体構成部材であるラジエターサポート16とエンジンフード14との間の隙間Sに、導入部36の取込口38を臨ませた状態で取り付けられる。
【0014】
前記ダクト30は、導入部36の内部に設けられて、空気流通路34の左右方向に延在する整流板(板体)44を備えている(図3(a)参照)。整流板44は、可撓性を有する合成樹脂製の板状体であって、板面を下壁部32aおよび上壁部32bに臨ませた状態で空気流通路34における上下方向の中間部に配置されている(図2参照)。ここで、実施例のダクト30では、ダクト本体32における側壁面を構成する左右の側壁部32c,32cの間に亘って整流板44が延在するよう設けられ、整流板44によって空気流通路34を下側領域と上側領域とに区分している。
【0015】
前記整流板44は、空気流通方向前側に位置する前端が、空気流通路34において導入部36の開口端と整合する位置または該開口端より後側に配置される。また整流板44の前端は、取込口38の最上端から下壁部32aへ向けて取り込まれる空気の入射ラインより前側に配置するのが好ましい。そして、整流板44は、空気流通方向後側に位置する後端を、取込口38の最上端から下壁部32aへ向けて取り込まれる空気の入射ラインより後側であって、ダクト本体32の空気流通路34が屈曲する部分より前側に配置するとよい。整流板44は、取込口38からの空気の入射ラインと交差する位置に配置されていない場合、取込口38から取り込んだ空気を、空気流通路34の上側領域に案内するという機能が弱くなる。また、整流板44が取込口38から外側に突出していると、整流板44で区切られた取込口38の下側領域から取り込まれる空気流に対して整流板44が邪魔になる。そして、整流板44がダクト本体32の屈曲部分まで延在していると、空気流通路34において空気流の圧力損失に繋がる。
【0016】
前記整流板44は、断面形状が空気流通路34を流通する空気の流れに合わせた流線形状となるよう形成される(図4参照)。実施例の整流板44は、前後方向に略水平に延在するダクト本体32の上面を構成する上壁部32bの内面に平行な関係で、上面が平らに形成されている。一方、整流板44の下面は、該整流板44の前端から空気流通方向後側に向かうにつれて下方傾斜する案内面44aを備えると共に、案内面44aの傾斜下端から空気流通方向後側に向かうにつれて上方傾斜するよう形成されている。すなわち、整流板44の断面形状は、下方に膨出した肉厚の前端部から空気流通方向後側に向かうにつれて厚みが薄くなっている。実施例の案内面44aは、取込口38からの空気の入射ラインに合わせて形成されている。なお、整流板44の案内面44aは、平面に限られず、曲面で構成してもよく、案内面44aを曲面で構成する場合は、整流板44の前端と案内面44aの傾斜下端とを結んだ弦が、空気の入射ラインに合うように形成すると好ましい。
【0017】
前記ダクト30は、ダクト本体32における導入部36の下面を構成する下壁部32aと整流板44との間に設けられた第1支持部46と、導入部36の上面を構成する上壁部32bと整流板44との間に設けられた第2支持部48とを備えている。第1支持部46および第2支持部48は、合成樹脂製の板状体であって、空気流通方向に沿って板面が延在するよう配設されている。実施例の第1支持部46は、下壁部32aと整流板44の下面との間に亘って設けられ、上端が整流板44の下面に接続される一方、下端が下壁部32aに当接するものの、該下端と下壁部32aとが互いに自由状態になっている。また第2支持部48は、上壁部32bと整流板44の上面との間に亘って設けられ、上端が上壁部32bに接続される一方、下端が整流板44の上面に当接するものの、該下端と整流板44とが互いに自由状態になっている。
【0018】
前記第1支持部46と第2支持部48とは、整流板44を挟んで上下に異なる位置に配置される。すなわち、第1支持部46と第2支持部48とは、左右方向または前後方向に互いに重ならない位置に配置され、実施例のダクト30では、第1支持部46と第2支持部48とが左右方向に互いに外れた位置に設けられている(図3(a)参照)。具体的には、実施例のダクト30では、2本の第1支持部46,46が左右方向に離間して配設され、これら2本の第1支持部46,46の中間部に対応する位置に1本の第2支持部48が配設されている。
【0019】
前記ダクト30は、ブロー成形またはインジェクション成形等によって成形され、整流板44、第1支持部46および第2支持部48をダクト本体32と一体に成形しても、別体に成形したものを組み付ける構成であってもよい。なお、実施例のダクト30は、ブロー成形によってダクト本体32を形成し、ダクト本体32と別に成形した整流板44、第1支持部46および第2支持部48をダクト本体32に組み付ける構成である。
【0020】
前記ダクト30によれば、空気流通路34の導入部36側に左右方向に延在させて整流板44を設けることで、斜め上方に臨む取込口38から取り込まれた空気の一部を、整流板44で案内して空気流通路34の上側領域に流通させることができる(図4参照)。すなわち、取込口38の上側領域から取り込まれた空気は、前記入射ラインに沿って斜め下方へ向けて流通するが、該入射ライン上に配置した整流板44の上面に沿って案内される。これにより、ダクト30では、空気流が空気流通路34の上側領域に導かれて、下側領域に空気流が偏ることが抑制される。また、ダクト30では、空気流が空気流通路34の上側領域を流通するので、空気流通路34の天井領域で生じる上壁部32b内面からの空気流の剥離を抑えることができる。このように、ダクト30は、導入部36における空気流通路34の天井領域において、空気流の剥離を抑えることで、空気流の逆流および負圧の発生を最小限に抑えることができる。従ってダクト30は、取込口38の開口面を斜めに形成しても、導入部36の空気流通路34において空気流の圧力損失を抑えることができ、エンジンEGに適切に空気を供給し得る。
【0021】
前記整流板44は、空気流に合わせた流線形状とすることで、空気流の圧力損失をより低減することができる。また整流板44は、前端部の下面に取込口38からの空気流に合わせた案内面44aを備えているので、この案内面44aに沿って取込口38から空気が空気流通路34の下側領域に円滑に導かれる。すなわち、ダクト30は、整流板44を設けても下側領域に流入する空気流への影響を最小限に抑えることができる。更に、第1支持部46および第2支持部48は、空気流に沿わせて板面が前後方向に延在しているので、空気流を阻害することを回避して空気流の圧力損失を低減することができる。
【0022】
前記ダクト30は、整流板44が下壁部32aと整流板44との間に介在させた第1支持部46により支持されて、また上壁部32bが整流板44と上壁部32bとの間に介在させた第2支持部48で支持される(図3(a)参照)。これによりダクト30は、エンジンEGの駆動時における空気流通路34の負圧化やエンジンルーム12内の温度上昇によってダクト本体32が軟化しても、ダクト本体32の変形が抑制される。すなわち、ダクト30は、通常の使用状態において空気流通路34の断面積を確保でき、空気をエンジンEGに適切に供給し得る。
【0023】
次に、エンジンフード14への物体の衝突時のように、変形したエンジンフード14によってダクト30の上壁部32bが下方へ押圧された場合について、図3を参照して説明する。ダクト30は、上壁部32bが下方へ押圧された場合に、上壁部32bの変形に伴って第2支持部48が下方へ変位して、第2支持部48が整流板44を押圧する。このとき、ダクト本体32の左右の側壁部32c,32cは、上壁部32bの下方変位につれて下端を支点して互いに近接する方向へ倒れ込もうとする。しかし、ダクト30では、左右の側壁部32c,32cの間に介在している整流板44が突っ張って、左右の側壁部32c,32cの変位に抵抗を与える(図3(b)参照)。また整流板44は、第2支持部48により下方へ押圧された際に、その可撓性により2本の第1支持部46,46間が板バネの如く機能し、弾力的に変形することで第2支持部48の下方変位に抵抗を与える。ここで、第1支持部46と第2支持部48とが、整流板44を挟んで上下に異なる位置に配置されているので、第2支持部48の下方変位を受けた整流板44の変形が第1支持部46で妨げられず、整流板44の弾力性が適切に発揮される。
【0024】
前記ダクト30は、整流板44の下方変位が更に進行すると、各第1支持部46の下端が下壁部32aに固定されていないので、整流板44に押された第1支持部46が上端を支点として左右方向に変形する。ダクト30は、整流板44と下壁部32aとの間で突っ張りとして機能していた第1支持部46が斜めに変形することで、整流板44の更なる変形が許容される。同様に、上壁部32bの下方変位が更に進行すると、第2支持部48の下端は、整流板44に固定されていないので、上壁部32bに押された第2支持部48が上端を支点として左右方向に変形する。そしてダクト30は、整流板44と上壁部32bとの間で突っ張りとして機能していた第2支持部48が斜めに変形することで、上壁部32bの更なる変形が許容される。従ってダクト30は、第1支持部46および第2支持部48も変形する構成であるので、上壁部32bの変形ストロークを稼ぐことができる。このように、ダクト30は、エンジンフード14の変形に伴って適切に変形するものの、エンジンフード14の変形に対して抵抗しつつ変形するので、衝撃を吸収することができる。
【0025】
(変更例)
前述した実施例に限られず、以下の如き構成も採用することができる。
(1)第1支持部および第2支持部は、互いに上下方向に重ならなければ設置数および配置位置は特に限定されない。例えば図5に示す変更例の車両用吸気ダクト50のように、左右方向に延在する板体としての整流板44のみを空気流通路34に設け、第1支持部および第2支持部を設けない構成であってもよい。なお、図5において、実施例の構成と同様の構成には同一符号を付してある。
(2)板体は、上下方向に多段に設けてもよい。
(3)第1支持部および第2支持部は、板状体に限定されず、例えば断面角形や円形等の柱形状、または断面形状が空気の流れに合わせた流線形状とした構成を採用し得る。
(4)板体としての整流板は、ダクト本体の上壁部に沿う形状としてもよい。すなわち、上壁部が左右方向に湾曲する形状であれば、整流板(板体)が上壁部に沿って左右方向に全体的に湾曲する形状とされる。
(5)第1支持部および第2支持部の接続態様は、実施例に限定されず、整流板(板体)およびダクト本体の壁部の何れにも接続する構成であってもよい。そして、第1支持部は、上壁部と自由状態で整流板(板体)の上面に接続する構成であってもよく、また第2支持部は、整流板(板体)と自由状態で下壁部に接続する構成も採用し得る。
(6)車両用吸気ダクトは、導入部の開口端である取込口の開口面を導入部の壁部に対して垂直に臨ませる構成であってもよい。この場合、取込口から空気流通路に取り込まれる空気の入射ラインと、導入部の壁部により案内される空気流通路の流通ラインとが合致して、導入部における空気流の圧力損失を低減し得る。また板体は、横長扁平形状の導入部に内部画成される空気流通路に、左右の側壁部間に延在させた状態で設けられる。なお板体は、導入部に内部画成される空気流通路であれば、空気流通方向前後の何れの位置に配置してもよい。車両用吸気ダクトは、上壁部が下方へ押圧された場合に、ダクト本体の左右の側壁部が上壁部の下方変位につれて下端を支点して互いに近接する方向へ倒れ込もうとするが、板体が左右の側壁部間で突っ張って弾力的に変形することでダクト本体の変形に抵抗を与える。このように、車両用吸気ダクトは、エンジンフードの変形に伴って適切に変形するものの、エンジンフードの変形に対して抵抗しつつ変形するので、衝撃を吸収することができる。
【符号の説明】
【0026】
32c 側壁部,34 空気流通路,36 導入部,38 取込口,42 送出口,
44 整流板(板体),44a 案内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取込口から送出口に連通する空気流通路が画成された車両用吸気ダクトであって、
開口面が斜め上方に臨むよう形成された前記取込口を有し、該取込口から前記送出口に至る空気流通方向と交差する横方向に広がる扁平形状に形成された導入部と、
前記導入部の内部に画成される前記空気流通路に設けられ、該導入部の対向した側壁部の間に亘って前記空気流通方向と交差する横方向に延在する板体とを備え、
前記板体は、前記取込口に臨む前端部の下面に、空気流通方向前側から後側に向かうにつれて下方傾斜する案内面を備えると共に、該案内面の傾斜下端から空気流通方向後側に向かうにつれて上下の厚みが薄くなる形状に形成された
ことを特徴とする車両用吸気ダクト。
【請求項2】
前記板体は、上面が平らに形成された請求項1記載の車両用吸気ダクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−246933(P2012−246933A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−207366(P2012−207366)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【分割の表示】特願2008−102833(P2008−102833)の分割
【原出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)