説明

車両用地図データ更新装置

【課題】地図データをより正確に更新することが可能な車両用地図データ更新装置を提供すること。
【解決手段】自車両において検出された道路に関する情報に基づいて、地図データを更新する車両用地図データ更新装置1であって、自車両の走行車線を検出する走行車線検出手段と、自車両の車線変更を検出する車線変更検出手段と、車線変更検出手段により検出された車線変更に基づいて、自車両が走行していない車線の存在を推定する車線推定手段と、を備え、走行車線検出手段により検出された自車両の走行車線と、車線推定手段により推定された車線の存在と、に基づいて地図データを更新することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用地図データ更新装置に関し、特に、情報量の少ない既存の地図データを、自車両において検出された道路に関する情報に基づいて更新する車両用地図データ更新装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的なナビゲーション装置等が備える地図データは、地図上の交差点等の座標を示すノードと、ノードを連結する(すなわち道路を表す)リンクと、から構成されている。このような態様の地図データでは、通常、各ノードに付随して交差点ノードであるか単純ノードであるかの別が、また、各リンクに付随して大まかな幅員情報や道路種別が、それぞれ記憶されている。
【0003】
ところが、近年、車載カメラにより白線等の道路区画線を認識して車線維持支援制御や車線逸脱警報制御等を行なうシステムが用いられている。この種のシステムでは、走行中の道路の車線数の情報や各車線のより正確な幅員情報等を予め取得することができれば、装置負担を軽減してより正確に車両制御を行なうことができる。しかしながら、上記の如く、一般的なナビゲーション装置の地図データは、車両制御に用いるには不十分なものである場合が多い。
【0004】
そこで、本出願人は、自車両の走行履歴やカメラセンサーの画像に基づいて地図データを更新する地図データ更新方法を提案している(特許文献1参照)。この地図データ更新方法では、車線数を取得する手法として、過去にGPS装置等により取得した自車両の走行軌跡が集中している部分を車線の中央部であると推定し、その部分の本数により車線数を取得することを例示している。また、カメラセンサーにより撮像された白線等の道路区画線の数により車線数を取得することも例示している。
【特許文献1】特開2005−98853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術において、GPS装置等により取得した自車両の走行軌跡に基づいて車線数を取得する場合、過去に走行していない車線を車線数に算入することができない。
【0006】
また、カメラセンサーの画像に基づいて車線数を取得する場合、隣接車線を走行する車両の存在により自車両から遠い側の道路区画線が撮像できなかったり、カメラセンサーの撮像範囲に道路区画線が収まらなかったりすることにより、自車両から遠い側の道路区画線を正確に検出することができず、したがって隣接車線を正確に検出できない場合が生じ得る。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、地図データをより正確に更新することが可能な車両用地図データ更新装置を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、自車両において検出された道路に関する情報に基づいて、地図データを更新する車両用地図データ更新装置であって、自車両の走行車線を検出する走行車線検出手段と、自車両の車線変更を検出する車線変更検出手段と、車線変更検出手段により検出された車線変更に基づいて、自車両が走行していない車線の存在を推定する車線推定手段と、を備え、走行車線検出手段により検出された自車両の走行車線と、車線推定手段により推定された車線の存在と、に基づいて地図データを更新することを特徴とするものである。ここで、車線の検出とは、車線を区画する道路区画線の検出と換言しても装置としては等価である。
【0009】
この本発明の一態様によれば、自車両の車線変更を検出する車線変更検出手段により推定された車線の存在に基づいて地図データを更新するから、地図データをより正確に更新することができる。
【0010】
また、本発明の一態様において、車線推定手段は、例えば、車線変更検出手段により自車両が右側車線に車線変更したことが検出された場合には、検出された車線変更に係る車線変更地点の前方における第1の所定範囲内で自車両が走行した車線の左側に車線が存在すると推定すると共に、車線変更地点の後方における第2の所定範囲内で自車両が走行した車線の右側に車線が存在すると推定し、車線変更検出手段により自車両が左側車線に車線変更したことが検出された場合には、検出された車線変更に係る車線変更地点の前方における第1の所定範囲内で自車両が走行した車線の右側に車線が存在すると推定すると共に、車線変更地点の後方における第2の所定範囲内で自車両が走行した車線の左側に車線が存在すると推定するものである。
【0011】
また、本発明の、第1の所定範囲内と第2の所定範囲内で車線の存在を推定する態様において、地図データが、ノードと、ノードを連結するリンクと、から構成されている場合、車線推定手段は、好ましくは、車線変更地点から車線変更地点の前方における最も近いノードまでの範囲を第1の所定範囲として定め、車線変更地点から車線変更地点の後方における最も近いノードまでの範囲を第2の所定範囲として定める手段である。
【0012】
また、本発明の、第1の所定範囲内と第2の所定範囲内で車線の存在を推定する態様において、地図データが、交差点を示す交差点ノードを含むノードと、ノードを連結するリンクと、から構成されている場合、車線推定手段は、好ましくは、車線変更地点から車線変更地点の前方における最も近い交差点ノードまでの範囲を第1の所定範囲として定め、車線変更地点から車線変更地点の後方における最も近い交差点ノードまでの範囲を第2の所定範囲として定める手段である。
【0013】
また、本発明の、第1の所定範囲内と第2の所定範囲内で車線の存在を推定する態様において、車線推定手段は、好ましくは、車線の存在確率を推定する手段であり、車線変更検出手段により検出された車線変更地点から遠くなるに従って、車線の存在確率が低くなるように車線の存在確率を推定する手段である。
【0014】
また、本発明の、第1の所定範囲内と第2の所定範囲内で車線の存在を推定する態様において、地図データに交差点に関する情報が記憶されている場合、車線推定手段は、好ましくは、車線の存在確率を推定する手段であり、交差点手前における第3の所定範囲内で車線変更検出手段により自車両が右側車線に車線変更したことが検出された場合には、第3の所定範囲外で車線変更検出手段により自車両が右側車線に車線変更したことが検出された場合に比して、第2の所定範囲内で自車両が走行した車線の右側に車線が存在する存在確率を低く推定する手段である。
【0015】
また、本発明の一態様において、走行車線検出手段を、自車両の走行車線を区画する道路区画線検出手段に、車線推定手段を、車線変更検出手段により検出された車線変更に基づいて、自車両が走行していない車線を区画する道路区画線の存在を推定する道路区画線推定手段に、それぞれ置換して構成されるものとしてもよいし、更に、車線の存在確率を、車線を区画する道路区画線の存在確率に置換して構成されるものとしてもよい。
【0016】
また、本発明の一態様において、車線変更検出手段は、例えば、自車両の周辺を撮像する撮像手段を備え、撮像手段の撮像した画像を解析して自車両の車線変更を検出する手段である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、地図データをより正確に更新することが可能な車両用地図データ更新装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【0019】
以下、図1〜8を用いて、本発明に係る車両用地図データ更新装置の一実施例について説明する。図1は、本発明の一実施例に係る車両用地図データ更新装置1の全体構成の一例を示す図である。図示する如く、車両用地図データ更新装置1は、カメラ10と、ナビゲーション装置20と、を備える。
【0020】
カメラ10は、例えば、ウインドシールド中央上部に配設された、CCDやCMOS等の撮像素子を利用したカメラであり、車両前方の斜め下方に向いた光軸を有し、車両前方の道路を撮像する。カメラ10の撮像した画像は、ナビゲーション装置20に送信される。なお、カメラ10は、周知の車線維持支援制御(レーンキーピングアシスト)や車線逸脱警報制御(レーンデパーチャワーニング)に用いられる車線認識用のカメラ装置と共用されてよい。
【0021】
ナビゲーション装置20は、自車両の現在位置を特定するためのGPS受信機22及びINS(Inertial Navigation Sensor)24と、地図データベース26と、地図更新用メモリ28と、各種演算や制御を実行するナビゲーション装置用電子制御ユニット(以下、ナビゲーション装置用ECUと称する)30と、を備える。なお、本発明の中核をなさないものであるが、運転者に経路案内を行なうための液晶表示部やスピーカー、入力部等を備えてもよい。
【0022】
GPS受信機22は、衛星からの衛星信号に基づいて自車両の現在位置(具体的には、緯度,経度,高度)を計測する。尚、車両の位置の測位手法としては、単独測位や干渉測位(キネマティック法(RTK−GPS測位アルゴリズム))に基づくものであってもよい。
【0023】
INS24は、例えば、車両を中心に定義されるボデー座標系の3軸まわりの回転パラメータを検出するジャイロセンサ、及び、同3軸の各方向の加速度を検出する加速度センサにより構成される。
【0024】
地図データベース26には、地図データが格納されている。地図データは、交差点や高速道路の合流点/分岐点に対応する各ノード(以下、交差点ノードと称する;リンクが3つ以上接続されたものをいう)の座標情報、その他の各ノード(以下、単純ノードと称する;リンクが2つ以下接続されたものをいう)の座標情報、隣接するノードを接続するリンク情報、各リンクに対応する道路の幅員情報や道路種別を含む。ここで、道路の幅員情報は、例えば、2〜3[m]、3〜5[m]、5〜8[m]等の、大まかな分類が記憶されている。
【0025】
地図更新用メモリ28は、例えば、ハードディスクやDVD、CD−ROM等の読書き可能なメモリであり、後述する如く作成される、車線数や各車線の幅員を含む2次元データを上記リンクに対応付けて記憶する。
【0026】
ナビゲーション装置用ECU30は、例えば、CPUを中心としてROMやRAM等が図示しないバスを介して相互に接続されたコンピューターユニットであり、その他、通信ポートやタイマー、カウンター等を備える。また、ナビゲーション装置用ECU30は、このようなハードウエア構成により実現される主要な機能ブロックとして、現在位置特定部32と、地図更新部34と、を備える。
【0027】
現在位置特定部32は、GPS受信機22とINS24の検出結果を考慮して、自車両の現在位置を特定する。例えば、GPS受信機22の受信状態が良好でない場合(典型的には、電波遮断時)に、GPS受信機22の受信状態が回復するまで、INS24の検出結果に基づいて計算された自車両の移動量により補完される。
【0028】
地図更新部34は、上記の如く特定した自車両の現在位置や地図データ、及びカメラ10の画像を解析した結果に基づいて、地図データの更新(具体的には、車線数や各車線の幅員を含む2次元データを、地図データのリンクに対応付けて記憶する;以下、単に「地図データの更新」と称する)を行なう。以下、その具体的手法について述べる。
【0029】
まずは、カメラ10の撮像画像から道路区画線を検出して行なう、基本的な手法について説明する。地図更新部34は、例えば、カメラ10により撮像された画像に設定された検出エリアにおいて道路区画線(白線や黄線、破線、ボッツドッツ等をいう)を認識する。道路区画線の認識は、当該検出エリアで2値化処理や特徴点抽出処理を行うことにより、道路区画線に該当すると考えられる画素(道路区画線候補点)を選出し、選出した道路区画線候補点のうち直線的に並んだものを道路区画線であると認識する。なお、この他にも、パターンマッチング等、種々の手法により道路区画線を認識することが可能である。図2において、カメラ10により撮像された画像の一例を示す。
【0030】
そして、認識した道路区画線の幅から当該車線の幅員を計算する。この計算は、検出エリアにおける道路区画線の幅に所定の係数を乗じて求めることができる。こうして道路区画線と幅員を得ると、これを自車両の走行に応じて道路長手方向にプロットした2次元データを、当該道路に相当するリンクに対応付けて、地図更新用メモリ28に記憶する。図3に、この2次元データの一例を示す。
【0031】
ところで、上記の基本的な手法のみでは、走行していない車線に係る道路区画線を認識して地図更新用メモリ28に反映させることができない。図2に示す如く、自車両の走行している走行車線を区画する道路区画線(A)、(B)は、検出エリアにおいて十分に認識可能であるが、隣接車線を区画する道路区画線の存在は不明である。なお、この問題は、カメラ10の撮像範囲を拡大したとしても、隣接車両を走行する車両の存在等により、依然として残ることとなる。従って、カメラ10では、自車両の走行車線を区画する道路区画線を撮像して検出可能であるとするのが、現実的である。
【0032】
そこで、本発明の一実施例に係る車両用地図データ更新装置1では、地図更新部34において、カメラ10の画像解析により自車両の車線変更を検出すると共に、これを加味して道路区画線の存在に関する推定を行なうこととした。
【0033】
図4を用いて、自車両の車線変更の検出について説明する。自車両が車線変更を行なったことの判定は、例えば図4に示す如く、カメラ10の画像の下部に領域A、領域B、領域Cを画像幅方向に並べて設定し、道路区画線が領域Aで検出され、次に領域Bで検出され、最後に領域Cで検出された場合に、自車両が右側車線に車線変更したと判定できる(左側車線への車線変更はこの逆)。このように、カメラ10の画像解析により自車両の車線変更を検出するから、カーブ路等の、GPSシステム等により車線変更を検出するのが困難な局面においても、車線変更を適切に検出することができる。
【0034】
そして、右側に車線変更した場合、車線変更前に走行していた車線の右側に、車線変更後に走行した車線の左側に、それぞれ道路区画線が(従って車線が)存在するものと推定する。図5(A)は、リンクの途中で右側車線へ車線変更を行なった場合に、上記の基本的な手法のみを用いて作成された2次元データの一例を示す図である。これに対し図5(B)は、当該推定を加えて作成された2次元データの一例を示す図である。なお、推定された道路区画線により区画される車線の幅員は、カメラ10により検出された道路区画線により区画される車線の幅員と同じと推定するものとした。
【0035】
このように、自車両の車線変更を検出して道路区画線の存在を推定するから、実際に走行していない車線を区画する道路区画線を反映させて、地図データの更新を行なうことができる。また、推定された道路区画線に係る車線の幅員も同時に記憶されるから、これを用いて種々の車両制御を行なうことができる。
【0036】
ここで、道路区画線の推定の適用範囲をどの程度にするか、についての手法が種々考えられる。例えば、適用範囲を各ノード間にするものとしてもよいし、適用範囲を交差点ノード間にするものとしてもよい。図6に、適用範囲を各ノード間にした場合(図6(A))と、交差点ノード間にした場合(図6(B))の、車線数の推定結果の一例を示す。なお本図では、各車線の幅員についての記載を省略したが、実際には2次元データとして地図更新用メモリ28に記憶されている。なお、これらの手法は、本装置が使用される道路の状況やユーザー(運転者)の好みにより任意に選択されてよい。また、切替え可能に構成されてもよい。更に、ノードに拘らずに(例えば、所定距離以内等)適用範囲を定めても構わない。
【0037】
ところで、カメラ10による道路区画線の検出においては、ノイズによる誤検出の可能性が排除できない。また、道路の形態は一様でないため、上記推定についても、必ずしも正しく行なわれるとは限らない。従って、一度の検出や推定により道路区画線が存在すると断定するよりも、検出又は推定がなされる度に存在確率を設定し、これを累積加算等するのがより好適である。そこで、本実施例では、道路区画線存在確率を設定し、これを累積加算して地図データの更新を行なうものとした。
【0038】
道路区画線存在確率の基本的な設定手法は、例えば、カメラ10により実際に検出された部分に対しては、第1の確率(例えば、50〜80[%]等)を設定し、車線変更に伴って推定された部分に対しては、第2の確率(例えば、20〜50[%]等)を設定する。この道路区画線存在確率の利用方法としては、出力の際(例えば、ナビゲーション装置20の経路案内の際に液晶表示部に表示する際)において、累積加算された道路区画線存在確率(又は累積加算された道路区画線存在確率を検出回数で除した確率係数等)が閾値(例えば、60[%]等)を超えたもののみを表示する、或いは、道路区画線存在確率に応じた色彩をもって表示する、等の利用法が考えられる。
【0039】
道路区画線存在確率は、上記の如く検出又は推定された部分に対して一様に設定するだけでなく、より実際の道路態様に即した設定を行なうことが可能である。本実施例では、交差点手前の所定範囲(例えば、数[m]〜数十[m]等)で右側に車線変更した場合は、車線変更地点の後方における右側の道路区画線存在確率を上記第2の確率よりも低く設定している。これは、道路に右折レーンが設定されている可能性を考慮したものである。図7に、このような局面で設定される道路区画線存在確率の一例を示す。図示する如く、車線変更地点の後方右側における推定部分では、前方左側における推定部分よりも道路区画線存在確率が低く推定されている。これにより、本来道路区画線がない可能性が高い部分については道路区画線存在確率を低く推定し、装置が誤った出力をするのを抑制することができる。
【0040】
また、推定に係る道路区画線存在確率を車線変更地点から遠くなるに従って漸減させることも考えられる。この場合、道路区画線存在確率を漸減させる基準となる車線変更地点からの距離は、各ノードと無関係に定めてよい。この場合の、推定された道路区画線存在確率の一例を、図8に示す。なお、道路区画線存在確率を前述した道路区画線の推定の適用範囲(ノード間、又は交差点ノード間)と組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【0041】
このように、本発明の一実施例に係る車両用地図データ更新装置1によれば、自車両の車線変更を検出して道路区画線の存在を推定するから、実際に走行していない車線を区画する道路区画線及び各車線の幅員を反映させて、地図データの更新を行なうことができる。また、これを用いて種々の車両制御を行なうことができる。
【0042】
また、検出された部分であるか、又は推定された部分であるか、等に基づいて道路区画線存在確率を推定するから、検出又は推定の確からしさに応じて装置が適切な出力をすることができる。特に交差点手前の所定範囲内では、右折レーンが設けられていることが多いため、この可能性を考慮して道路区画線存在確率を低く推定し、装置が誤った出力をするのを抑制することができる。
【0043】
以上、本発明を実施するための最良の形態について一実施例を用いて説明したが、本発明はこうした一実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した一実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0044】
例えば、道路区画線を検出する手段については、実施例のものに限られない。例えば、車両の後方を撮像するカメラであってもよいし、道路に埋設された磁気マーカを検出するものであってもよい。
【0045】
また、道路区画線存在確率を推定せず、存在するか否かのみを推定しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、少なくとも地図データを更新する車載用装置に利用できる。搭載される車両の外観、重量、サイズ、走行性能等は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例に係る車両用地図データ更新装置1の全体構成の一例を示す図である。
【図2】カメラ10により撮像された画像の一例を示す図である。
【図3】地図更新部34により作成される2次元データの一例を示す図である。
【図4】自車両の車線変更の検出を行なう様子を示す図である。
【図5】リンクの途中で右側車線へ車線変更を行なった場合に基本的な手法のみを用いて作成された2次元データの一例と、推定を加えて作成された2次元データの一例を示す図である。
【図6】適用範囲を各ノード間にした場合と、交差点ノード間にした場合の、車線数の推定結果の一例を示す図である。
【図7】交差点手前で右側に車線変更した局面で設定される道路区画線存在確率の一例を示す図である。
【図8】推定に係る道路区画線存在確率を車線変更地点から遠くなるに従って漸減させる場合の、推定された道路区画線存在確率の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 車両用地図データ更新装置
10 カメラ
20 ナビゲーション装置
22 GPS受信機
24 INS
26 地図データベース
28 地図更新用メモリ
30 ナビゲーション装置用電子制御ユニット
32 現在位置特定部
34 地図更新部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両において検出された道路に関する情報に基づいて、地図データを更新する車両用地図データ更新装置であって、
自車両の走行車線を検出する走行車線検出手段と、
自車両の車線変更を検出する車線変更検出手段と、
該車線変更検出手段により検出された車線変更に基づいて、自車両が走行していない車線の存在を推定する車線推定手段と、を備え、
前記走行車線検出手段により検出された自車両の走行車線と、前記車線推定手段により推定された車線の存在と、に基づいて地図データを更新することを特徴とする、車両用地図データ更新装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用地図データ更新装置であって、
前記車線推定手段は、
前記車線変更検出手段により自車両が右側車線に車線変更したことが検出された場合には、該検出された車線変更に係る車線変更地点の前方における第1の所定範囲内で自車両が走行した車線の左側に車線が存在すると推定すると共に、該車線変更地点の後方における第2の所定範囲内で自車両が走行した車線の右側に車線が存在すると推定し、
前記車線変更検出手段により自車両が左側車線に車線変更したことが検出された場合には、該検出された車線変更に係る車線変更地点の前方における第1の所定範囲内で自車両が走行した車線の右側に車線が存在すると推定すると共に、該車線変更地点の後方における第2の所定範囲内で自車両が走行した車線の左側に車線が存在すると推定する、
ことを特徴とする、車両用地図データ更新装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用地図データ更新装置であって、
前記地図データは、ノードと、該ノードを連結するリンクと、から構成されており、
前記車線推定手段は、前記車線変更地点から該車線変更地点の前方における最も近いノードまでの範囲を前記第1の所定範囲として定め、該車線変更地点から該車線変更地点の後方における最も近いノードまでの範囲を前記第2の所定範囲として定める手段である、
車両用地図データ更新装置。
【請求項4】
請求項2に記載の車両用地図データ更新装置であって、
前記地図データは、交差点を示す交差点ノードを含むノードと、該ノードを連結するリンクと、から構成されており、
前記車線推定手段は、前記車線変更地点から該車線変更地点の前方における最も近い交差点ノードまでの範囲を前記第1の所定範囲として定め、該車線変更地点から該車線変更地点の後方における最も近い交差点ノードまでの範囲を前記第2の所定範囲として定める手段である、
車両用地図データ更新装置。
【請求項5】
請求項2に記載の車両用地図データ更新装置であって、
前記車線推定手段は、車線の存在確率を推定する手段であり、前記車線変更検出手段により検出された車線変更地点から遠くなるに従って、車線の存在確率が低くなるように車線の存在確率を推定する、
ことを特徴とする、車両用地図データ更新装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載の車両用地図データ更新装置であって、
前記地図データには、交差点に関する情報が記憶されており、
前記車線推定手段は、車線の存在確率を推定する手段であり、
交差点手前における第3の所定範囲内で前記車線変更検出手段により自車両が右側車線に車線変更したことが検出された場合には、該第3の所定範囲外で前記車線変更検出手段により自車両が右側車線に車線変更したことが検出された場合に比して、前記第2の所定範囲内で自車両が走行した車線の右側に車線が存在する存在確率を低く推定する、
ことを特徴とする、車両用地図データ更新装置。
【請求項7】
前記走行車線検出手段を、自車両の走行車線を区画する道路区画線検出手段に、
前記車線推定手段を、前記車線変更検出手段により検出された車線変更に基づいて、自車両が走行していない車線を区画する道路区画線の存在を推定する道路区画線推定手段に、
それぞれ置換して構成される、請求項1ないし4のいずれかに記載の車両用地図データ更新装置。
【請求項8】
前記走行車線検出手段を、自車両の走行車線を区画する道路区画線検出手段に、
前記車線推定手段を、前記車線変更検出手段により検出された車線変更に基づいて、自車両が走行していない車線を区画する道路区画線の存在を推定する道路区画線推定手段に、
車線の存在確率を、車線を区画する道路区画線の存在確率に、
それぞれ置換して構成される、請求項5又は6に記載の車両用地図データ更新装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の車両用地図データ更新装置であって、
前記車線変更検出手段は、自車両の周辺を撮像する撮像手段を備え、該撮像手段の撮像した画像を解析して自車両の車線変更を検出する手段である、
車両用地図データ更新装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−241470(P2007−241470A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60227(P2006−60227)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】