説明

車両用室内灯

【課題】イルミネーション灯として機能するときは照明灯用の光源をイルミネーション用の光源と連動させて一つのスイッチで点灯制御させることができ、且つ低照度で点灯させることができる車両用室内灯を提供する。
【解決手段】本車両用室内灯1は、車室内を照射する照明用光源6と、車室内を装飾的に照射するイルミネーション用光源7と、照明用光源を制御するための照明用スイッチ8と、イルミネーション用光源を制御するためのイルミネーション用スイッチ9と、照明用光源の照度を低減させる減光手段13と、を備え、イルミネーション用スイッチをオンとしたときに、イルミネーション用光源が通電してイルミネーション用光源が点灯し、且つ減光手段を通じて照明用光源が通電することにより照明用光源が低照度で点灯することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車室内の天井等に設けられる車両用室内灯に関する。更に詳しくは、室内を明るくする照明灯と、室内を光で装飾するイルミネーション灯との機能を備え、イルミネーション灯として機能するときは照明灯用の光源をイルミネーション用の光源と連動させて一つのスイッチで点灯制御させることができ、且つ低照度で点灯させることができる車両用室内灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車室内を高照度で照射する機能と低照度で照射する機能とを備えた車両用室内灯が知られている。この種の車両用室内灯としては、例えば、複数の照明用LEDと、1個の常夜灯用LEDと、を備えたものが知られている(特許文献1を参照。)。この車両用室内灯では、複数のルームランプ用LEDを同時に照射することにより高照度の照射光を得られると共に、1個の常夜灯用LEDのみを照射することにより低照度のぼんやりとした照射光を得ることができる。
また、他の車両用室内灯としては、例えば、バルブを1つのみ有し、照明スイッチをオンした際に高照度で照射すると共に、ドア連動スイッチをオンにしてドアが開放されたときには抵抗素子を介してバルブに通電されて低照度で照射するようになるものが知られている(特許文献2を参照。)。この車両用室内灯では、1個のバルブに通電する電流を切り換えることにより、照度を変化させている。
また、近年では、高照度のルームランプ機能に加えて、LED等をイルミネーション用光源として使用することにより低照度で装飾的な照射を行うイルミネーション機能を備えた車両用室内灯が開発されている。このイルミネーション機能は、例えば、ルームランプとは異なった色を発することにより意匠性を高めたものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−322860号公報
【特許文献2】特開2004−182012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したイルミネーション機能を備えた車両用室内灯では、照明灯とイルミネーション灯とが個別に制御されており、全体として一体的なイルミネーション機能を有していない。
また、イルミネーション機能を備えた車両用室内灯に、上述した複数のルームランプ用LED及び1個の常夜灯用LEDを備えた車両用室内灯を単に結合することが考えられる。しかし、この場合であっても、高照度用回路、低照度用回路、及びイルミネーション照射用回路が別々に設けられているので、互い連動することはなくスイッチ操作を別個に行う必要があるため、煩雑で操作性が悪い。
更に、イルミネーション機能を備えた車両用室内灯に、上述したバルブを1つのみ有して照明スイッチとドア連動スイッチで高照度と低照度とを切り換える車両用室内灯を単に結合することも考えられる。しかし、この場合も照明機能とイルミネーション機能とが別個の回路であるため、イルミネーションのために複数のスイッチを操作する必要があり操作性が悪い。しかも、ドア連動スイッチをオンにしてドアを開放したときのみ低照度照射がなされるので、例えば夜間の走行中等、任意のときに低照度照射をすることができず、使用性が悪い。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、室内を明るくする照明灯と、室内を光で装飾するイルミネーション灯との機能を備え、イルミネーション灯として機能するときは照明灯用の光源をイルミネーション用の光源と連動させて一つのスイッチで点灯制御させることができ、照明の高照度照射及び低照度照射、イルミネーションの照射を任意かつ操作性良く切り換えることができる車両用室内灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の通りである。
1.車室内を照射する照明用光源と、車室内を装飾的に照射するイルミネーション用光源と、前記照明用光源の点灯を制御するための照明用スイッチと、前記イルミネーション用光源及び前記照明用光源の点灯を制御するためのイルミネーション用スイッチと、該照明用光源の照度を低減させる減光手段と、を備えた車両用室内灯であって、前記イルミネーション用スイッチをオンとしたときに、前記イルミネーション用光源が通電して該イルミネーション用光源が点灯し、且つ前記減光手段を通じて前記照明用光源が通電することにより該照明用光源が低照度で点灯することを特徴とする車両用室内灯。
2.前記減光手段は、前記照明用光源及び前記照明用スイッチの間の配線と、前記イルミネーション用光源及び前記イルミネーション用スイッチの間の配線と、の間を接続して設けられる上記1.記載の車両用室内灯。
3.前記減光手段は抵抗素子、及び前記照明用スイッチによる前記イルミネーション用光源の点灯を防止する逆流防止素子を具備する上記2.記載の車両用室内灯。
4.前記照明用光源はバルブであり、前記イルミネーション用光源はLEDである上記2.又は上記3.記載の車両用室内灯。
【発明の効果】
【0006】
本発明の車両用室内灯によれば、イルミネーション用スイッチの操作により、照明用光源及びイルミネーション用光源が連動して点灯させることができる。また、照明用光源はイルミネーション用として用いるときは低照度で発光する。
このため、従来のように照明用光源及びイルミネーション用光源のスイッチを個別に操作する場合に比べて、一つのイルミネーション用スイッチを操作するだけで行うことができ、操作性を高めることができる。また、乗員は任意のときにイルミネーション用スイッチを操作することにより照明用光源を低照度照射することができるので、従来のようにドアの開放時のみ低照度照射が可能になる場合に比べて、例えば夜間の走行中等、走行の支障が出ない程度の明るさで車室内を光で装飾したいときに有効に活用することができる。
更に、照明用光源を低照度で照射すると同時にイルミネーション用光源も点灯させることができるので、イルミネーション用光源を単独で照射する場合と比べて、色や照射範囲が異なる光源を組み合わせることができるため、更に意匠性を高めることができる。しかも、照明用光源の低照度照射は減光手段により電気的に行っているので、照明用光源の発熱を抑えることができ、照明用光源の寿命を大きく縮めることはなく、また照明用光源のイルミネーションときの発熱によるケーシング等の耐熱性を特に大きくする必要もない。
また、照明用光源とイルミネーション用光源とが1つの車両用室内灯の内部に収容されているので、それぞれの回路の一部を共有することができ、イルミネーション用光源を別個の箇所に設ける場合に比べて部品点数や配線工数を削減することができる。
【0007】
また、照明用光源及び照明用スイッチの間と、イルミネーション用光源及びイルミネーション用スイッチの間と、の間に減光手段を接続した場合は、簡素な回路でイルミネーション用スイッチによる各光源の連動を実現することができる。
更に、減光手段が抵抗素子及び逆流防止素子を具備する場合は、照明用光源を任意の照度とすることができ、且つ照明用スイッチの操作によるイルミネーション用光源の点灯が起きることがない。
また、照明用光源がバルブである場合、照明としての十分な照度を確保することができる。更に、イルミネーション用光源がLEDである場合、消費電力を抑えられると共に、イルミネーションとして各種の色を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施例の車両用室内灯を示す回路図である。
【図2】本実施例の車両用室内灯を示す平面図である。
【図3】車両用室内灯を車両の天井に設けた状態を示す平面図である。
【図4】他の実施例の車両用室内灯を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の車両用室内灯を詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
本発明に係る車両用室内灯は、自動車等の車室内を照射する照明用光源と、車室内を装飾的に照射するイルミネーション用光源と、照明用光源を制御するための照明用スイッチと、イルミネーション用光源を制御するためのイルミネーション用スイッチと、を備えたものである。
前記「照明用光源」は、車室内の物品を見えるようにするために車室内を明るくすることができる高照度で照射可能な光源である限り、その種類、形状、大きさ、材質、構造及び数量等は特に問わない。このような照明用光源としては、例えば、バルブ、蛍光灯及びLED等を挙げることができる。また、照明用光源はルームランプとして車室の全体を照らしてもよいし、マップランプのように車室の限られた場所を照らしてもよい。
前記「イルミネーション用光源」は、車室内を装飾するように発光することができる光源である限り、その種類、形状、大きさ、材質、構造、数量等は特に問わない。このようなイルミネーション用光源としては、例えば、青色、橙色、白色及び緑色等の各色のLED、ネオン管、蛍光灯、バルブ等を挙げることができる。
【0011】
前記「照明用スイッチ」は、照明用光源の点灯及び消灯を制御することができればよく、その形状、大きさ、材質、構造、数量等は特に問わない。照明用スイッチとしては、単に照明用光源のオン・オフを切り換える2接点のスイッチとしたり、オン・オフ切換に加え、ドアの開放時に点灯させるドア連動状態に切換可能なドア連動スイッチとしたりすることを挙げることができる。
「イルミネーション用スイッチ」は、照明用光源及びイルミネーション用光源の点灯及び消灯を制御する限り、その形状、大きさ、材質、構造、数量等は特に問わない。イルミネーション用スイッチとしては、単に照明用光源及びイルミネーション用光源を連動して点灯・消灯を切り換える2接点のスイッチとしたり(例えば図1のスイッチ8を参照)、イルミネーション用光源のオン・オフ切換に加えて、照明用光源及びイルミネーション用光源を連動して点灯・消灯を切り換える連動点灯状態に切換可能な連動スイッチ(例えば図4のスイッチ9’を参照)としたりすることができる。
【0012】
このような照明用スイッチ及びイルミネーション用スイッチの組合せにより、様々な照明用光源及びイルミネーション用光源の点灯を制御することができる。例えば、照明用スイッチがオフのときは、イルミネーション用スイッチにより照明用光源の低照度点灯及びイルミネーション用光源の点灯を連動して行うことができる。また、照明用スイッチがオンのときは、照明用光源を通常の照度で点灯させ、イルミネーション用スイッチによりイルミネーション用光源の点等を制御することができる。
【0013】
また、照明用光源とイルミネーション用スイッチとの間に減光手段が配線されている。前記「減光手段」は、イルミネーション用スイッチからの通電により点灯する照明用の光源の照度、即ち明るさが、照明用スイッチからの通電により点灯する照明用の光源の照度よりも暗くすることができれば良く、その手段を任意に選択することができる。この例として、電流制限用の抵抗素子、半導体等を用いた電流又は電圧制限回路、パルス幅変調等を用いた通電制御回路を挙げることができる。また、減光手段による減光の程度は任意に選択することができるが、通常イルミネーションとして利用する明るさであって、車両の走行時に運転の障害が出ない程度(例えば、車両内の物品がはっきりと見えない程度)とすることができる。また、減光手段は、逆流防止素子を具備することができる。
前記「逆流防止素子」は、イルミネーション用スイッチから照明用光源への通電を有効にし、照明用スイッチからイルミネーション用光源への通電を無効にする手段であり、ダイオード等の素子を例示することができる。
【0014】
ここで、本車両用室内灯の回路としては、例えば、電源の一端側と照明用光源と照明用スイッチと電源の他端側をこの順で接続し、電源の一端側とイルミネーション用光源とイルミネーション用スイッチと電源の他端側をこの順で配線し、減光手段を照明用光源及び照明用スイッチの間の配線と、イルミネーション用光源及びイルミネーション用スイッチの間の配線と、の間を接続するものを例示することができる。照明用スイッチ及びイルミネーション用スイッチの一方又は両方をECU等の回路に接続し、点滅制御を行うことができる。例えば、イルミネーション用スイッチの先にECUを接続し、照明用光源及びイルミネーション用光源の明暗を順次変化させたり、照明用スイッチの先にECUを接続し、走行時に照明用スイッチがオンになっても照明用光源が明るく点灯しないようにすることができる。
【実施例】
【0015】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
1.車両用室内灯の構成
本実施例に係る車両用室内灯1は、図3に示すように、自動車の天井2の中央部に設けられるルームランプである。また、同図中、天井2の前方側Fに設けられている符号3はフロントシート用のマップランプ3である。
そして、この車両用室内灯1は図2に示すように、ドーム状で半透明のケーシング4と、ケーシング4の一部分に設けられている不透明の操作パネル5と、ケーシング4に収容されている照明用光源6及びイルミネーション用光源7と、操作パネル5に設けられている照明用スイッチ8及びイルミネーション用スイッチ9と、を備えている。照明用光源6は車室内を明るく照射する照明用のバルブであり、ケーシング4のほぼ中心部分の半透明の部分に1つ設けられている。また、照明用光源6を点灯させるとケーシング4全体を赤みが含んだ白色に光らせることができる。イルミネーション用光源7は青色LEDであり、操作パネル5の裏側に互いに離隔して2個設けられている。また、イルミネーション用光源7を点灯させると図示しない導光手段によりケーシング4の周縁を青色に光らせることができる。
【0016】
照明用スイッチ8は照明用光源6を制御するものであり、オン/オフ/ドア連動の3種類を切換可能なドア連動スイッチである。また、オンときには接地され、オフ時には開放され、ドア連動時には車両搭載のECU10に接続されるようにしている。イルミネーション用スイッチ9はイルミネーション用光源7を制御するものであり、オン/オフの2種類を切換可能としている。また、オン時には接地され、オフ時には開放されるようにしている。
そして、図1に示すように、電源11と照明用光源6と照明用スイッチ8とが直列接続されている。また、電源11と保護用ダイオード12とイルミネーション用光源7とイルミネーション用スイッチ9とが直列接続されている。更に、照明用光源6及び照明用スイッチ8の間と、イルミネーション用光源7及びイルミネーション用スイッチ9の間とに減光手段13が連結されている。減光手段13は、抵抗素子14と、照明用光源6からイルミネーション用スイッチ9への電流を通過させる逆流防止素子であるダイオード15を直列に接続して構成している。
【0017】
2.車両用室内灯の作用
次に、上記構成の車両用室内灯1の作用について説明する。
各スイッチ8,9の選択モードと各光源6,7の発光状態を表1に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
(1)照明用スイッチ8がオンのとき
表1に示すように照明用スイッチ8をオン、イルミネーション用スイッチ9をオンにしたときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過して照明用スイッチ8から接地される。このため、照明用光源6は通常のルームランプと同じ照度(以下高照度とする)で照射する。更に、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過し、イルミネーション用スイッチ9から接地される。このため、イルミネーション用光源が点灯する。
これによって、ケーシング4の全体が通常の明るさ且つ白色で光り、且つケーシング4の周囲が青く光るといった意匠となる。
照明用スイッチ8をオン、イルミネーション用スイッチ9をオフにしたときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過して照明用スイッチ8から接地される。このため、照明用光源6は高照度で照射する。一方、電源11からの電流は、イルミネーション用スイッチ9がオフで、尚且つ減光手段13のダイオード15によりイルミネーション用光源7を通過しないので、イルミネーションは点灯しない。これにより、車両用室内灯1は通常のルームランプとして機能する。
【0020】
(2)照明用スイッチ8がドア連動のとき
照明用スイッチ8がドア連動で、イルミネーション用スイッチ9をオンにし、更にドアを開いているときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過して照明用スイッチ8から接地される。このため、照明用光源6は高照度で照射する。更に、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過し、イルミネーション用スイッチ9から接地される。このため、イルミネーションが点灯する。
照明用スイッチ8がドア連動で、イルミネーション用スイッチ9をオフにし、更にドアを開いているときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過し、照明用スイッチ8からECU10に接続される。このため、照明用光源6はECU10に制御され、ECU10はドアの開閉状況に応じて点灯制御を行うため、ドアが開いていることから高照度で照射される。一方、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過しないので、イルミネーションは点灯しない。
照明用スイッチ8がドア連動で、イルミネーション用スイッチ9をオンにし、更にドアを閉じているときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過し、減光手段13を通過してイルミネーション用スイッチ9から接地される。このため、照明用光源6は低照度で照射する。更に、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過し、イルミネーション用スイッチ9から接地される。このため、イルミネーションが点灯する。
これによって、ケーシング4の全体が赤みを持った白色で光り、且つケーシング4の周囲が青く光るといった意匠となる。また、車両用室内灯1全体の明るさは、走行の妨げにならない程度である。
照明用スイッチ8がドア連動で、イルミネーション用スイッチ9をオフにし、更にドアを閉じているときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過し、照明用スイッチ8からECU10に接続される。このため、照明用光源6はECU10に制御され、ドアが閉じていることから点灯しない。一方、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過しないので、イルミネーションは点灯しない。
【0021】
(3)照明用スイッチ8がオフのとき
照明用スイッチ8をオフ、イルミネーション用スイッチ9をオンにしたときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過し、減光手段13を通過してイルミネーション用スイッチ9から接地される。このため、照明用光源6は低照度で照射する。一方、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過し、イルミネーション用スイッチ9から接地される。このため、イルミネーションが点灯する。
照明用スイッチ8をオフ、イルミネーション用スイッチ9をオフにしたときは、電源11からの電流はいずれの光源6,7をも通過せず、いずれも点灯しない。
【0022】
3.実施例の効果
このような本実施例の車両用室内灯1によれば、イルミネーション用スイッチ9をオンにすることにより、照明用光源6と減光手段13とイルミネーション用スイッチ9とが導通して照明用光源6が低照度照射するようになる。このため、従来のように高照度照射と低照度照射とイルミネーション照射との操作が別個の場合に比べて、操作性を高めることができる。また、乗員は任意のときにイルミネーション用スイッチ9を操作することにより照明用光源6を低照度照射することができるので、従来のようにドアの開放時のみ低照度照射が可能になる場合に比べて、例えば夜間の走行中等、車室内をぼんやりと照射したいときに有効に活用することができる。
また、イルミネーション用スイッチ9をオンすることで、イルミネーション用光源7を照射すると同時に、照明用光源6も低照度で照射するので、イルミネーション用光源7を単独で照射する場合よりも更に意匠性を高めることができる。
しかも、照明用光源6の低照度照射は減光手段13により電気的に行っているので、照明用光源6の発熱を抑えることができ、長時間の照射を行っても光源の寿命を大きく縮めることはなく、また光源のケーシング4等の耐熱性を特に大きくする必要もない。
更に、照明用光源6とイルミネーション用ランプとが同じケーシング4の内部に収容されているので、それぞれの回路の一部を共有することができ、イルミネーション用光源7を別個の箇所に設ける場合に比べて部品点数や配線工数を削減することができる。
また、照明用光源6及び照明用スイッチ8の間とイルミネーション用光源7及びイルミネーション用スイッチ9の間とに減光手段13を連結しているので、簡素な回路で各ルームランプの連動を実現することができる。しかも、減光手段13が抵抗とダイオードであるので、安価で簡素な回路を実現することができる。
そして、照明用光源6がバルブであるので、ルームランプとしての高照度を確保することができる。また、イルミネーション用光源7が青色LEDであるので、消費電力を抑えられると共に、イルミネーションとしての意匠性を高めることができる。
【0023】
尚、本実施例のイルミネーション用スイッチ9は、一方の端子が単に接地されているだけであるが、これをECU10に接続して、様々な点滅パターンで照明用光源6及びイルミネーション用光源7をイルミネーション動作させることができる。この例として、予め点滅パターンを定め、そのパターンで点滅させることができる。また、ドアのロック状態の変化やエンジンの稼働及び停止に応じて点滅パターンを変化させることができる
更に、照明用スイッチ8は、一方の端子が単に接地されているだけであるが、これをECU10に接続して、前述と同様の様々なパターンの点灯制御をすることができる。更に、走行状態に応じた照明用光源6の明るさ制御を行うことができる。例えば、走行時は照明用光源6が低照度になるように制御することができる。これにより、イルミネーション用スイッチ9をオンにしているときは、常に照明用光源6を低照度で光らせるような動作を行うことができる。
【0024】
4.他の実施例
本他の実施例の車両用室内灯1’は、イルミネーション用スイッチ9を、イルミネーション用光源7だけのオンオフを切り換えるモードに加えて、照明用光源6を低照度照射させる低照度モードをも備えたスイッチ9’としたものである。
この場合、図4に示すように、電源11と照明用光源6と照明用スイッチ8とが直列接続されている。また、電源11と抵抗16とイルミネーション用光源7と保護用のダイオード17とイルミネーション用スイッチ9’とが直列接続されている。また、イルミネーション用光源7と逆流防止用のダイオード18とイルミネーション用スイッチ9’の低照度モード端子19とが直列接続されている。この低照度モード端子19は接地されている。更に、照明用光源6及び照明用スイッチ8の間と、イルミネーション用スイッチ9’の低照度モード端子19とに、減光手段13が連結されている。減光手段13は、抵抗素子14と、照明用光源6からイルミネーション用スイッチ9’への電流を通過させる逆流防止素子であるダイオード15とを直列して構成している。
ここで、各スイッチ8,9’の選択モードと各光源6,7の発光状態を表2に示す。イルミネーション用スイッチ9’の欄における低照度とはイルミネーション用光源7の点灯に加えて照明用光源6を低照度で点灯させる状態、ONとはイルミネーション用光源7のみ点灯させる状態、OFFとはイルミネーション用光源7を点灯させない状態であることを示す。
【0025】
【表2】

【0026】
(1)照明用スイッチ8がオンのとき
表2に示すように照明用スイッチ8をオン、イルミネーション用スイッチ9’を低照度モードにしたときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過し、照明用スイッチ8から接地される。このため、照明用光源6は高照度で照射する。一方、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過し、イルミネーション用スイッチ9’から接地される。このため、イルミネーションが点灯する。
照明用スイッチ8をオン、イルミネーション用スイッチ9’をオンにしたときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過し、照明用スイッチ8から接地される。このため、照明用光源6は高照度で照射する。一方、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過し、イルミネーション用スイッチ9’から接地される。このため、イルミネーションが点灯する。
照明用スイッチ8をオン、イルミネーション用スイッチ9’をオフにしたときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過し、照明用スイッチ8から接地される。このため、照明用光源6は高照度で照射する。一方、電源11からの電流は、イルミネーション用スイッチ9’がオフで、尚且つ減光手段13のダイオード15によりイルミネーション用光源7を通過しないので、イルミネーションは点灯しない。
【0027】
(2)照明用スイッチ8がドア連動であり、ドアが開いているとき
照明用スイッチ8をドア連動、イルミネーション用スイッチ9’を低照度モードにし、更にドアを開いているときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過し、照明用スイッチ8からECU10に接続される。このため、照明用光源6はECU10に制御され、ドアが開いていることから高照度で照射される。一方、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過し、イルミネーション用スイッチ9’から接地される。このため、イルミネーションが点灯する。
照明用スイッチ8をドア連動、イルミネーション用スイッチ9’をオンにし、更にドアを開いているときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過し、照明用スイッチ8からECU10に接続される。このため、照明用光源6はECU10に制御され、ドアが開いていることから高照度で照射される。一方、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過し、イルミネーション用スイッチ9’から接地される。このため、イルミネーションが点灯する。
照明用スイッチ8をドア連動、イルミネーション用スイッチ9’をオフにし、更にドアが開いているときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過し、照明用スイッチ8からECU10に接続される。このため、照明用光源6はECU10に制御され、ドアが開いていることから高照度で照射される。一方、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過しないので、イルミネーションは点灯しない。
【0028】
(3)照明用スイッチ8がドア連動であり、ドアが閉まっているとき
照明用スイッチ8をドア連動、イルミネーション用スイッチ9’を低照度モードにし、更にドアを閉じているときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過し、照明用スイッチ8からECU10に接続される。このため、照明用光源6はECU10に制御され、ドアが閉じていることから低照度で照射される。一方、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過し、イルミネーション用スイッチ9’から接地される。このため、イルミネーションが点灯する。
照明用スイッチ8をドア連動、イルミネーション用スイッチ9’をオンにし、更にドアを閉じているときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過し、照明用スイッチ8からECU10に接続される。このため、照明用光源6はECU10に制御され、ドアが閉じていることから点灯しない。一方、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過し、イルミネーション用スイッチ9’から接地される。このため、イルミネーションが点灯する。
照明用スイッチ8をドア連動、イルミネーション用スイッチ9’をオフにし、更にドアが閉じているときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過し、照明用スイッチ8からECU10に接続される。このため、照明用光源6はECU10に制御され、ドアが閉じていることから点灯しない。一方、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過しないので、イルミネーションは点灯しない。
【0029】
(4)照明用スイッチ8がオフのとき
照明用スイッチ8をオフ、イルミネーション用スイッチ9’を低照度モードにしたときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過し、イルミネーション用スイッチ9’から接地される。このため、照明用光源6は低照度で照射する。一方、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過し、イルミネーション用スイッチ9’から接地される。このため、イルミネーションが点灯する。
照明用スイッチ8をオフ、イルミネーション用スイッチ9’をオンにしたときは、電源11からの電流は照明用光源6を通過しないので、照明用光源6は点灯しない。一方、電源11からの電流はイルミネーション用光源7を通過し、イルミネーション用スイッチ9’から接地される。このため、イルミネーションが点灯する。
照明用スイッチ8をオフ、イルミネーション用スイッチ9’をオフにしたときは、いずれの光源6,7も点灯しない。
【0030】
5.他の実施例の効果
このような他の実施例の車両用室内灯1’によれば、イルミネーション用スイッチ9をオンにしたときは、イルミネーション用光源7のみをイルミネーション用に用いることができ、低照度にしたときはイルミネーション用光源7及び照明用光源6をイルミネーション用に用いることができる。更に照明用光源6をイルミネーション用に用いるときは低照度とすることができる。
【0031】
尚、本発明においては、前記実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した態様とすることができる。前記各実施例では、照明用光源6とECU10が接続された際にEUC10により低照度と高照度と不点灯を選択するようにしたが、これに限定されず、例えば点滅等のイルミネーションのような照射をするようにしてもよい。
また、上記実施例では、イルミネーション用光源7として青色LEDを採用したが、これに限定されず、他の色であってもよい。
また、上記実施例では、減光手段13として抵抗14とダイオード15を直列接続したものとしたが、これに限定されず、電流を低減させる半導体等の部品であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
車両の室内を照射する室内灯の技術として利用される。特に、ルームランプの高照度照射機能及び低照度照射機能と、イルミネーション機能と、を有する室内灯の技術として好適に利用される。
【符号の説明】
【0033】
1;車両用室内灯、4;ケーシング、6;照明用光源、7;イルミネーション用光源、8;照明用スイッチ、9、9’;イルミネーション用スイッチ、10;ECU、11;電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内を照射する照明用光源と、
車室内を装飾的に照射するイルミネーション用光源と、
前記照明用光源の点灯を制御するための照明用スイッチと、
前記イルミネーション用光源及び前記照明用光源の点灯を制御するためのイルミネーション用スイッチと、該照明用光源の照度を低減させる減光手段と、を備えた車両用室内灯であって、
前記イルミネーション用スイッチをオンとしたときに、前記イルミネーション用光源が通電して該イルミネーション用光源が点灯し、且つ前記減光手段を通じて前記照明用光源が通電することにより該照明用光源が低照度で点灯することを特徴とする車両用室内灯。
【請求項2】
前記減光手段は、前記照明用光源及び前記照明用スイッチの間の配線と、前記イルミネーション用光源及び前記イルミネーション用スイッチの間の配線と、の間を接続して設けられる請求項1記載の車両用室内灯。
【請求項3】
前記減光手段は抵抗素子、及び前記照明用スイッチによる前記イルミネーション用光源の点灯を防止する逆流防止素子を具備する請求項2記載の車両用室内灯。
【請求項4】
前記照明用光源はバルブであり、前記イルミネーション用光源はLEDである請求項2又は3記載の車両用室内灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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