説明

車両用室内照明装置

【課題】バルブ挿入時に、ソケット穴内部に配されたバネ端子をスムーズにバルブを装着できて、接点不良や保持力不足を解消する車両用室内照明装置を提供する。
【解決手段】電線接続部12を覆う保護カバー50に軸部55を設け、軸部よりソケット穴側へ突出するように、ソケット穴内のバネ端子31の過大変位を防止する過大変位防止片57を設ける。ハウジング10には、軸部を着脱自在に受け入れる軸受部20を設け、軸受部と軸部は、保護カバーを所定の回動角度位置に保持した状態のときにのみ軸受部に軸部を挿入することができるように構成する。過大変位防止片は、保護カバーを所定の回動角度位置に保持して軸部を軸受部に挿入する際に、ソケット穴側への張り出し寸法が略最小の状態となり、保護カバーを下向きに回動させ電線接続部の上面を覆った状態のときに、ソケット穴側への張り出し寸法が大きくなり、バネ端子背後の過大変位規制位置に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室天井部などに搭載される車両用室内照明装置、特にバルブ(電球)やスイッチなどの機能部品を装備した機能部と呼ばれる部分に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の天井部には室内照明装置が装備されており、その一例として、特許文献1に記載のものが知られている。図7(a)は従来の室内照明装置のバルブを装着する前の状態を示す斜視図、(b)は従来の室内照明装置に使用されていた保護カバーの斜視図、図8(a)は同装置のバルブを装着する前の状態を示す平面図、(b)は図8(a)のA−A矢視断面図である。
【0003】
この室内照明装置は、樹脂製のハウジング210と、点灯・消灯を行う例えばオルタネイト型(1回押すごとにON/OFFが交互に切り替わる型)のプッシュスイッチ214と、回路を構成する図示略のバスバー230と、樹脂製の保護カバー215と、光源であるバルブ(電球など)100とを具備している。
【0004】
ハウジング210の一端側には、上方から斜めにバルブ100を装着するためのソケット穴211が設けられ、他端側にはスイッチ214を装着するためのスイッチ装着部213が設けられている。また、ソケット穴211とスイッチ装着部213との間には電線接続部212が設けられ、その電線接続部212にバスバー230の電線圧接端子232が配設されている。バスバー230は、電線Wを圧接接続するための電線圧接端子232とバルブ100に給電するためのバネ端子231とを有するもので、バネ端子231をソケット穴211内に位置させた状態でハウジング210に組み付けられている。
【0005】
保護カバー215は、電線圧接部212を保護するためのものであり、電線Wをバスバー230の電線圧接端子232に圧接した後に、電線接続部212の上面を覆うように、上方からハウジング210に装着固定されている。この保護カバー215は、4箇所にロック部218を持っており、上方からハウジング210に向けて押し込むことにより、ハウジング210に固定することができるようになっている。
【0006】
バルブ100は、ソケット穴211に下端のベース部102を差し込むことで装着固定され、その状態で、ソケット穴211の内部に装着されたバネ端子231とバルブ100のベース部102に露出した端子(図示略)とが接触導通して、バルブ100への通電が可能となり、バルブ100を点灯できるようになっている。
【0007】
この照明装置を組み立てる場合は、最初に、ハウジング210にバスバー230を装着し、次にスイッチ214を組み付け、次にバスバー230の電線圧接端子232に電線Wを圧接した後、保護カバー215を装着して電線を圧接した箇所を保護する。そして最後に、ハウジング210のソケット穴211にバルブ100のベース部102を差し込むと、ソケット穴211の内部に装備されたバネ端子231間にベース部102が挟持され、それにより、バルブ100が保持固定されると共に、バネ端子231とバルブ100が電気接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−245795号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した従来の室内照明装置においては、バスバー230の装着性などを考慮した結果、図8(b)に示すように、保護カバー215に近い方のバネ端子231の背後に大きなスペースSができてしまうため、バルブ100をソケット穴211に挿入する際に、バルブ100のベース部102の挿入角度によって、ソケット穴211内のバネ端子231を無理に変形させてしまう可能性があった。特に斜めにバルブ100を挿入する場合、角度がちょっとでもずれると、挿入しようとするバルブ100のベース部102でバネ端子231を変形させてしまう可能性が高かった。それを防止するためにソケット穴211の周囲にガイドを設けるなどしていることもあるが、それでも、バネ端子231間にバルブ100のベース部102を無理なく挿入するのは難しく、バネ端子231を過大に変形させてしまいやすかった。バネ端子231を過大に変形させてしまうと、ベース部102に対する接圧が弱くなり、接点不良を生じたり、ベース部102を挟持する保持力が弱くなったりして、最悪の場合、バルブ100の装着が不可になるという問題があった。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バルブの挿入時に、ソケット穴の内部に配されたバネ端子を過大に変形させる心配がなく、スムーズにバルブを装着することができて、接点不良や保持力不足を解消することのできる車両用室内照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用室内照明装置は、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) ソケット穴および電線接続部を有する樹脂製のハウジングと、
前記ソケット穴の内部に配される弾性変形可能なバネ端子と前記電線接続部に配される電線接続端子とを有し、前記ハウジングに装着されるバスバーと、
前記バスバーを前記ハウジングに装着して当該バスバーの前記電線接続端子に電線を接続した後で、前記電線接続部の上面を上方から覆うように前記ハウジングに装着される樹脂製の保護カバーと、
前記ハウジングのソケット穴の内部に電球部の下側に配されたベース部を挿入することにより、当該ベース部が前記ソケット穴の内部に配された前記バネ端子に電気的に接続されるバルブと、
を備えた車両用室内照明装置において、
前記保護カバーの前記ソケット穴に隣接する一端側に、軸部が設けられると共に、その軸部より前記ソケット穴側へ突出するように、前記バネ端子の過大変位を防止するための過大変位防止片が設けられ、
一方、前記ハウジングの前記ソケット穴の近傍に、前記保護カバーの軸部を着脱自在に受け入れることで、前記保護カバーを、前記軸部を支点にして上下方向に回動自在に支持する軸受部が設けられ、
前記保護カバーの他端側に、前記軸部を支点にして前記保護カバーを下向きに回動させて、前記保護カバーにより前記電線接続部の上面を覆った状態にしたときに、当該保護カバーを前記ハウジングにロックするロック部が設けられ、
更に、前記軸受部と軸部は、前記保護カバーを所定の回動角度位置に保持した状態のときにのみ前記軸受部に前記軸部を挿入することができ、且つ、前記軸部の挿入後に前記保護カバーを他の回動角度位置に回動させたときに前記軸受部からの軸部の抜けを規制できるように構成され、
前記過大変位防止片は、前記保護カバーを前記所定の回動角度位置に保持して前記軸部を前記軸受部に挿入する際に、前記ソケット穴側への張り出し寸法が略最小の状態となり、且つ、前記保護カバーを下向きに回動させて、該保護カバーにより前記電線接続部の上面を覆った状態にしたときに、前記ソケット穴側への張り出し寸法が大きくなって、前記バネ端子の背後の過大変位規制位置に位置するように構成されていること。
(2) 上記(1)の構成の車両用室内照明装置において、
前記保護カバーには、該保護カバーを下向きに回動させて該保護カバーにより前記電線接続部の上面を覆った状態にしたときに、前記ハウジングに突き当たることでそれ以上の前記保護カバーの回動を規制する回動規制部が設けられていること。
(3) 上記(1)または(2)の構成の車両用室内照明装置において、
前記軸受部には、前記軸部の直径より僅かに大きな直径の軸受孔が設けられると共に、該軸受孔の周壁の一部を切欠くことで前記軸受孔の直径よりも幅が小さく設定された挿入口が設けられ、前記軸部の外周には、該軸部の回動方向の位置を揃えることで前記挿入口からの前記軸部の前記軸受孔への挿入を可能にする切欠が設けられていること。
【0012】
上記(1)の構成の車両用室内照明装置によれば、保護カバーの軸部をハウジングの軸受部に挿入した上で保護カバーを下向きに回動させることにより、ハウジングの電気接続部を覆った状態で、保護カバーをハウジングに装着・固定することができる。この場合、保護カバーを予め決められた回動角度位置に保持した状態で軸部を軸受部に挿入することになるが、その予め決められた回動角度位置で保護カバーを組み付ける際には、過大変位防止片のソケット穴側への張り出し寸法が略最小の状態となるので、過大変位防止片のバネ端子への干渉を避けながら、保護カバーをハウジングに組み付けることができる。そして、その状態から保護カバーを下向きに回動させることで、電線圧接後の電線接続部を覆った状態で、保護カバーをハウジングにロックさせることができる。また、このように保護カバーをロックさせる過程で、保護カバーに設けた過大変位防止片がバネ端子の背後の過大変位規制位置に移動するので、保護カバーの装着後にバルブを挿入する時に、誤ってバネ端子を過大に変位させてしまうことを防止できる。
即ち、本照明装置においては、ハウジングに過大変位防止片を設けるのではなく、バスバーの組み付け後にあとからハウジングに装着する保護カバーに過大変位防止片を設けているので、ハウジングに対してバスバーを装着するときに、過大変位防止片がバスバーの組み付けの邪魔になることが全くない。また、ただ単にハウジングの上から装着する保護カバーに過大変位防止片を設けるだけでは、バネ端子の過大変位を有効に阻止できる位置に過大変位防止片を位置させることは難しいが、保護カバーを敢えて回動させてハウジングに装着する形式にした上で、その保護カバーに過大変位防止片を設けているので、過大変位防止片を、バネ端子の過大変位を一番有効に阻止できる位置に配置することができる。しかも、保護カバーをハウジングに組み付ける段階では、過大変位防止片がソケット穴の方へできるだけ張り出さないようにしているので、バネ端子が保護カバー側へ反り返るような形状をしていても、バネ端子に過大変位防止片が接触しないようにしながら、保護カバーをハウジングに無理なく組み付けることができる。
上記(2)の構成の車両用室内照明装置によれば、ロック部とは別に回動規制部を設けたので、ガタつきなく確実に保護カバーを固定することができる。
上記(3)の構成の車両用室内照明装置によれば、挿入口と軸部の切欠の位置が揃った回動角度位置のときだけ、保護カバーの軸部をハウジングの軸受部に挿入することができる。従って、保護カバーをハウジングに組み付ける時の角度を規制することができ、それによって、特に注意しないでも、また誰によっても、過大変位防止片をバネ端子に接触させないようにしながら、保護カバーをハウジングに容易に組み付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、バルブをソケット穴に挿入する際に、バルブの挿入角度のズレなどによって誤ってバネ端子に無理な力が加わっても、バネ端子が過大に変形することを防止することができる。従って、スムーズにバルブを装着することができて、接点不良や保持力不足を防止することができ、バルブの装着が不可になるという最悪の事態を回避することができる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の車両用室内照明装置の構成図で、(a)はバルブを装着する前の状態を示す斜視図、(b)はバルブを装着した後の状態を示す斜視図である。
【図2】同照明装置の保護カバーの構成図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は側面図である。
【図3】同照明装置のハウジングの構成図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図4】同照明装置のハウジングに電線圧接後に保護カバーを装着するために、ハウジング側の軸受部に保護カバー側の軸部を挿入している途中の状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(a)のB−B矢視断面図である。
【図5】同照明装置のハウジングに保護カバーを装着するために、ハウジング側の軸受部に保護カバー側の軸部を挿入した後の状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(a)のC−C矢視断面図である。
【図6】同照明装置のハウジングへの保護カバーの装着が完了した状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(a)のD−D矢視断面図である。
【図7】従来の照明装置の構成図で、(a)はバルブを装着する前の状態を示す斜視図、(b)は保護カバーの斜視図である。
【図8】(a)は同装置のバルブを装着する前の状態を示す平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態のバルブソケット構造が適用された照明装置の構成図で、(a)はバルブを装着する前の状態を示す斜視図、(b)はバルブを装着した後の状態を示す斜視図、図2は同照明装置の保護カバーの構成図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は側面図、図3は同照明装置のハウジングの構成図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【0018】
また、図4〜図6は同照明装置のハウジングに電線圧接後に保護カバーを装着する過程を示す図で、図4はハウジング側の軸受部に保護カバー側の軸部を挿入している途中の状態を示す図、図5はハウジング側の軸受部に保護カバー側の軸部を挿入した後の状態を示す図、図6はハウジングへの保護カバーの装着が完了した状態を示す図で、各図4〜図6の(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は各(a)のそれぞれB−B、C−C、D−D矢視断面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の照明装置(一般的に車室内天井照明装置の機能部と呼ばれるユニット部分に相当する)は、樹脂製のハウジング10と、ハウジング10のソケット穴11に装着される白熱バルブ(以下、単に「バルブ」という)100と、ハウジング10に装着される2系統のバスバー30と、ハウジング10のスイッチ装着部13に装着されたスイッチ14と、ハウジング10の電線圧接部12を覆う樹脂製の保護カバー50とを備えている。
【0020】
ハウジング10のソケット穴11は、ハウジング10の長手方向の一端側に設けられ、このソケット穴11は、ハウジング10の基準面(図1においては下面)に対して傾斜しており、その基準面に対して、バルブ100が軸線を傾けた姿勢で装着されるようになっている。バルブ100は、円筒形状の電球部101の下側に偏平なベース部102を有するもので、ベース部102の底面から側面にかけて、電球部101の内部からリードが引き出されており、その露出した部分が端子(図示略)となっている。
【0021】
各系統のバスバー30は、一端側にバルブ100に対する給電用のバネ端子31を有し、他端側に電線を接続するための電線圧接端子(図示略)やスイッチ14に接続するための接続端子(図示略)を有している。各バスバー30のバネ端子31は、ハウジング10のソケット穴11の内部に収容されることで、バルブ100のベース部102が挿入された際にベース部102側の端子と接触導通する部分であり、電線圧接端子(図示略)は、ハウジング10の電線圧接部12にセットされることで、その上から電線Wを圧接により接続する部分である。
【0022】
各バスバー30のバネ端子31は、図4〜図6に示すように、ハウジング10の長手方向に対向配置された一対の接点バネ32を有している。これら一対の接点バネ32は、両接点バネ32間にバルブ100のベース部102が挿入された際に、ベース部102の側面を両側から挟持することによりバルブ100を保持し、且つ、その状態でベース部102の側面に露出した端子に接触導通するものである。これら一対の接点バネ32は、ソケット穴11の入口方向(ベース部102の挿入されて来る方向)に自由端を延ばした片持バネ片としてそれぞれ形成されており、各接点バネ32の固定端(基端)と自由端(先端)との間には、互いに向かい合う側が凸になっていてベース部102の側面に圧接する湾曲部(特に符号は付けず)が設けられている。
【0023】
そして、バルブ100のベース部102がソケット穴11の内部に挿入されたときに、ベース部102の側面が一対の接点バネ32の湾曲部に摺動することにより、接点バネ32の自由端(先端)側が外側に押し広げられ、その押し広げられた際の接点バネ32の撓み変形により発生するバネ復元力によって、ベース部102が接点バネ32間に挟持されるようになっている。
【0024】
また、保護カバー50は、図2に示すように、平面形状が略四角形のカバー本体51を有するもので、ソケット穴11に隣接するカバー本体51の一端側に凸壁部52を有し、さらにその凸壁部52の両側面に突出させて一対の略円柱形状の軸部55を有している。また、凸壁部52の下側には、軸部55よりソケット穴11側へ突出するように、前述したバネ端子31の過大変位を防止するための過大変位防止片57を備えている。
【0025】
また、カバー本体51の他端側には、軸部55を支点にして保護カバー50を下向きに回動させて、保護カバー50により電線接続部12の上面を覆った状態にしたときに、保護カバー50をハウジング10にロックするためのロック部58が設けられている。また、保護カバー50には、カバー本体51の四隅に位置させて回動規制部56が設けられている。これらの回動規制部56は、保護カバー50を下向きに回動させて、保護カバー50により電線接続部12の上面を覆った状態にしたときに、ハウジング10の対応箇所に突き当たることで、それ以上の保護カバー50の回動を規制するものである。
【0026】
一方、図3に示すように、ハウジング10のソケット穴11の近傍には、保護カバー50の軸部55を着脱自在に受け入れることで、保護カバー50を、軸部55を支点にして上下方向に回動自在に支持する軸受部20が設けられている。また、ハウジング10の保護カバー50側のロック部58に対応する位置には、保護カバー50側のロック部58と互いに係合することで、保護カバー50をロックするロック部26が設けられている。
【0027】
軸受部20と軸部55は、図4に示すように、保護カバー50を所定の回動角度位置に保持した状態のときにのみ軸受部20に対して軸部55を挿入することができ、且つ、軸部55の挿入後に保護カバー50を他の回動角度位置に回動させたときに軸受部20からの軸部55の抜けを規制できるように構成されている。
【0028】
具体的には、図2及び図3に示すように、軸受部20には、軸部55の直径より僅かに大きな直径の軸受孔21が設けられると共に、該軸受孔21の周壁の一部(上側に位置する周壁部分)を切欠くことで軸受孔21の直径よりも幅が小さく設定された挿入口22が設けられている。また、軸部55の外周には、軸部55の回動方向の位置を揃えることで、挿入口22からの軸部55の軸受孔21への挿入を可能にする切欠55aが設けられている。
【0029】
また、過大変位防止片57は、図4及び図5に示すように、保護カバー50を所定の回動角度位置(図4に示す角度位置)に保持して軸部55を軸受部20に挿入する際に、ソケット穴11側への張り出し寸法が略最小の状態となり(つまり、過大変位防止片57が垂直になることで、ソケット穴11側にほとんど張り出さない状態になり)、且つ、図7に示すように、保護カバー50を下向きに回動させて、保護カバー50により電線接続部12の上面を覆った状態にしたときに、ソケット穴11側への張り出し寸法が大きくなって、バネ端子31(特に電線接続部12側の接点バネ32)の背後の過大変位規制位置に位置するようになっている。
【0030】
次に作用を説明する。
【0031】
この照明装置を組み立てる場合は、図4〜図6に示すように、まず、ハウジング10に2系統のバスバー(図ではバネ端子31のみが示されている)を組み付け、バスバーのバネ端子31をソケット穴11の内部の所定位置に位置決めすると共に、バスバーの電線圧接端子(図示略)を電線接続部12に組み付ける。次いで、バスバーの電線圧接端子(図示略)に電線Wを圧接接続し、スイッチ14をスイッチ装着部13に装着すると共に、保護カバー50の軸部55を、図4(b)中矢印Pのように、上方からハウジング10の軸受部20に挿入した上で、保護カバー50を、図5(c)中矢印Qのように下向きに回動させることにより、ハウジング10の電気接続部12を覆った状態で、保護カバー50をハウジング10に装着・固定する。
【0032】
この場合、保護カバー50は、図4に示すように予め決められた回動角度位置に保持した状態でないと、軸部55を軸受部20に挿入することができないので、まず、その回動角度位置に保護カバー50を保持しながら軸部55を軸受部20に挿入する。つまり、軸受部2の挿入口22と軸部55の切欠55aの位置が互いに揃った状態のときだけしか、保護カバー50の軸部55をハウジング10の軸受部20の軸受孔21に挿入することができないので、まず、保護カバー50の姿勢をその回動角度位置に保った状態で、軸部55を軸受孔21の中に挿入する。
【0033】
このような回動角度位置を保った姿勢で保護カバー50をハウジング10に組み付ける際には、図4(c)に示すように、過大変位防止片57のソケット穴11側への張り出し寸法が略最小の状態となるので、過大変位防止片57のバネ端子31への干渉を避けながら、保護カバー50をハウジング10に組み付けることができる。
【0034】
そして、その状態から保護カバー50を下向きに図5(c)中の矢印Qのように回動させることで、電線圧接後の電線接続部12を覆った状態で、図6に示すように、保護カバー50のロック部58をハウジング10側のロック部26にロックさせることができ、それにより保護カバー50をロックすることができる。また、図6(c)中のN円部で示すように、保護カバー50側の回動規制部56がハウジング10に突き当たることで、それ以上の保護カバー50の回動を阻止し、それによりガタつきのないロック状態を維持することができる。
【0035】
このように保護カバー50を回動させてロックさせる過程で、保護カバー50に設けられた過大変位防止片57は、バネ端子31(電線接続部12側の接点バネ32)の背後の過大変位規制位置に移動する。そして、過大変位規制位置に保護カバー50の過大変位防止片57が位置することにより、図6(c)中のM円部で示すように、バネ端子31の撓みスペースを小さくして、バネ端子31の過大な変形を阻止することができるようになる。
【0036】
従って、この状態でバルブ100を矢印Rのようにソケット穴11に挿入した際に、誤ってベース部102を電線接続部12側の接点バネ32に強く当ててしまった場合にも、当該接点バネ32を過大に変位させてしまうことを防止できる。
【0037】
以上に述べた照明装置では、ハウジング10に過大変位防止片57を設けるのではなく、バスバー30の組み付け後にあとからハウジング10に装着する保護カバー50に過大変位防止片57を設けているので、ハウジング10に対してバスバー30を装着するときに、過大変位防止片57がバスバー30の組み付けの邪魔になることが全くない。また、従来例のように、ただ単にハウジングの上から装着する保護カバーに過大変位防止片を設けるだけでは、バネ端子の過大変位を有効に阻止できる位置に過大変位防止片を位置させることは難しいが、保護カバー50を敢えて回動させてハウジング11に装着する形式にした上で、その保護カバー50に過大変位防止片57を設けているので、過大変位防止片57を、バネ端子31(接点バネ32)の過大変位を一番有効に阻止できる位置に配置することができる。
【0038】
しかも、保護カバー50をハウジング10に組み付ける段階では、図4(c)に示すように、過大変位防止片57がソケット穴11の方へできるだけ張り出さないようにしているので、接点バネ32が図示例のように保護カバー50側へ反り返るような形状をしていても、接点バネ32に過大変位防止片57が接触しないようにしながら、保護カバー50をハウジング10に無理なく組み付けることができる。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0040】
10 ハウジング
11 ソケット穴
12 電線接続部
20 軸受部
21 軸受孔
22 挿入口
30 バスバー
31 バネ端子
32 接点バネ
50 保護カバー
55 軸部
55a 切欠
56 回動規制部
57 過大変位防止片
58 ロック部
100 バルブ
101 電球部
102 ベース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケット穴および電線接続部を有する樹脂製のハウジングと、
前記ソケット穴の内部に配される弾性変形可能なバネ端子と前記電線接続部に配される電線接続端子とを有し、前記ハウジングに装着されるバスバーと、
前記バスバーを前記ハウジングに装着して当該バスバーの前記電線接続端子に電線を接続した後で、前記電線接続部の上面を上方から覆うように前記ハウジングに装着される樹脂製の保護カバーと、
前記ハウジングのソケット穴の内部に電球部の下側に配されたベース部を挿入することにより、当該ベース部が前記ソケット穴の内部に配された前記バネ端子に電気的に接続されるバルブと、
を備えた車両用室内照明装置において、
前記保護カバーの前記ソケット穴に隣接する一端側に、軸部が設けられると共に、その軸部より前記ソケット穴側へ突出するように、前記バネ端子の過大変位を防止するための過大変位防止片が設けられ、
一方、前記ハウジングの前記ソケット穴の近傍に、前記保護カバーの軸部を着脱自在に受け入れることで、前記保護カバーを、前記軸部を支点にして上下方向に回動自在に支持する軸受部が設けられ、
前記保護カバーの他端側に、前記軸部を支点にして前記保護カバーを下向きに回動させて、前記保護カバーにより前記電線接続部の上面を覆った状態にしたときに、当該保護カバーを前記ハウジングにロックするロック部が設けられ、
更に、前記軸受部と軸部は、前記保護カバーを所定の回動角度位置に保持した状態のときにのみ前記軸受部に前記軸部を挿入することができ、且つ、前記軸部の挿入後に前記保護カバーを他の回動角度位置に回動させたときに前記軸受部からの軸部の抜けを規制できるように構成され、
前記過大変位防止片は、前記保護カバーを前記所定の回動角度位置に保持して前記軸部を前記軸受部に挿入する際に、前記ソケット穴側への張り出し寸法が略最小の状態となり、且つ、前記保護カバーを下向きに回動させて、該保護カバーにより前記電線接続部の上面を覆った状態にしたときに、前記ソケット穴側への張り出し寸法が大きくなって、前記バネ端子の背後の過大変位規制位置に位置するように構成されている
ことを特徴とする車両用室内照明装置。
【請求項2】
前記保護カバーには、該保護カバーを下向きに回動させて該保護カバーにより前記電線接続部の上面を覆った状態にしたときに、前記ハウジングに突き当たることでそれ以上の前記保護カバーの回動を規制する回動規制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載された車両用室内照明装置。
【請求項3】
前記軸受部には、前記軸部の直径より僅かに大きな直径の軸受孔が設けられると共に、該軸受孔の周壁の一部を切欠くことで前記軸受孔の直径よりも幅が小さく設定された挿入口が設けられ、前記軸部の外周には、該軸部の回動方向の位置を揃えることで前記挿入口からの前記軸部の前記軸受孔への挿入を可能にする切欠が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用室内照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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