説明

車両用導風構造

【課題】所要の導風性能を確保しつつ、導風板を車両前後方向における車両外側から組み付けることができる車両用導風構造を得る。
【解決手段】車両用導風構造10は、バンパリインフォースメント20と、前後骨格部材14と、空冷熱交換器28を支持したラジエータサポートサイド24と、空冷熱交換器28に冷却風を導く左右一対の導風板34とを備える。導風板34は、車両後向きに開口する切欠部34Aにバンパリインフォースメント20を入り込ませることで、前側から組み付け可能である。また、バンパリインフォースメント20と前後骨格部材14とラジエータサポートサイド24とで囲まれた空間Rは、導風板34における切欠部34Aの上下縁から張り出された上カバー板36、下カバー板38にて上下から閉止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に冷却風を導く車両用導風構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フロントグリルから取り入れた走行風をラジエータに導き、エンジンからの熱風の回り込み防止する導風ガイドプレートを設ける構造が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−306047号公報
【特許文献2】特開2004−019487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した技術では、導風ガイドプレートの貫通孔にバンパアーマチャを通す構成であるため、組み付け性の観点から改善の余地がある。
【0005】
本発明は、所要の導風性能を確保しつつ、導風板を車両前後方向における車両外側から組み付けることができる車両用導風構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る車両用導風構造は、両前後方向の前部で車幅方向に延在されたバンパリインフォースメントと、それぞれ車両前後方向長手とされ、前記バンパリインフォースメントの延在方向の両端側に接続された一対の前後骨格部材と、前記バンパリインフォースメントに対する車両前後方向の後側で、かつ一対の前記前後骨格部材に対する車幅方向内側に接触して配置され、車両上下方向に延在する一対の上下骨格部材と、前記一対の上下骨格部材を含む骨格構造にて支持された熱交換器と、車幅方向に対向されると共に車両前後方向の後側に向けて開口する切欠部をそれぞれ有し、前記切欠部に前記バンパリインフォースメントを入り込ませた状態で車両前後方向の後端部が前記上下骨格部材に突き当てられ、前記熱交換器に冷却風を導く一対の導風板と、前記各導風板における前記切欠部の車両上下方向の両縁からそれぞれ車幅方向外向きに張り出され、平面視で前記前後骨格部材と前記上下骨格部材と前記バンパリインフォースメントとで囲まれた空間を、該バンパリインフォースメント及び前記前後骨格部材の車両上下方向に接触しつつ覆う上下一対のカバー板と、を備えている。
【0007】
請求項1記載の車両用導風構造では、それぞれの後端部が上下骨格部材に突き当てられた左右一対の導風板にて、上下骨格部材を含む骨格構造にて支持された熱交換器に向けて冷却風が導かれる。ここで、本車両用導風構造では、導風板に後向きに開口する切欠部が形成されているので、導風板を前後方向の外側(バンパリインフォースメントに対する外側)から組み付けることできる。
【0008】
その一方、本車両用導風構造では、切欠部の後部(バンパリインフォースメントと上下骨格部材との間)が、冷却風の流路に開口する隙間となる。ここで、上下一対のカバー部材が、バンパリインフォースメントと前後骨格部材と上下骨格部材とで囲まれた空間を上下から覆うため、上記した隙間を通じる空気流の経路が閉じられる。このため、導風板による所要の導風性能が確保される。
【0009】
このように、請求項1記載の車両用導風構造では、所要の導風性能を確保しつつ、導風板を車両前後方向における車両外側から組み付けることができる。
【0010】
請求項2記載の発明に係る車両用導風構造は、請求項1記載の車両用導風構造において、前記前後骨格部材は、前後骨格部材本体から車幅方向の内向きに張り出したフランジの車幅方向内端において前記上下骨格部材に接触しており、前記上下一対のカバー板は、平面視で前記前後骨格部材本体と前記フランジと前記上下骨格部材と前記バンパリインフォースメントとで囲まれた空間を覆っている。
【0011】
請求項2記載の車両用導風構造では、前後骨格部材本体と上下骨格部材とが車幅方向に離間しており、より大きな空間が形成されるが、該空間は上下一対のカバー板によって覆われる。
【0012】
請求項3記載の発明に係る車両用導風構造は、請求項1又は請求項2記載の車両用導風構造において、前記一対の導風板と、前記上下一対のカバー板とは、樹脂成形によって一体に形成されている。
【0013】
請求項3記載の車両用導風構造では、左右の導風板に上下一対のカバー板が一体化されたもの同士がさらに一体化(連結)されて1部材として取り扱い可能である。このため、全体としての車両への組み付け性が向上する。
【0014】
請求項4記載の発明に係る車両用導風構造は、請求項3記載の車両用導風構造において、車幅方向一方側の前記導風板、上カバー部材、及び下カバー部材と、車幅方向他方側の前記導風板、上カバー部材、及び下カバー部材とは、独立した機能を有する樹脂製の機能部品にて一体に連結されている。
【0015】
請求項4記載の車両用導風構造では、例えばフロントグリルやバンパアブソーバなどに樹脂製の機能部品を介して左右の導風板(に上下のカバー板が一体化されたもの)が連結されている。このため、左右の導風板を連結する機能の他に独立した機能を有する機能部品を含めた車両への組み付け性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明に係る車両用導風構造は、所要の導風性能を確保しつつ、導風板を車両前後方向における車両外側から組み付けることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用導風構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る車両用導風構造を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る車両用導風構造を示す平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る車両用導風構造を示す側面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る車両用導風構造が適用された自動車を模式的に示す平面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る車両用導風構造を構成する導風板グリル複合構造体を示す斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る車両用導風構造を構成する導風板アブソーバ複合構造体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施形態に係る車両用導風構造10について、図1〜図5に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印Wは、それぞれ車両用導風構造10が適用された自動車の前方向(進行方向)、上方向、車幅方向を示している。以下の説明において、単に前後、上下の方向を用いる場合は、車両前後方向、車両上下方向を示すものとする。
【0019】
図5には、車両用導風構造10が適用された自動車Aの車体前部構造12が模式的な平面図にて示されている。この図に示される如く、車体前部構造12は、それぞれ車両前後方向に長手とされた左右一対の前後骨格部材としての前後骨格部材14を備えている。前後骨格部材14は、前後骨格部材本体としてのフロントサイドメンバ16と、フロントサイドメンバ16の前端に固定されたクラッシュボックス18とを含んで構成されている。
【0020】
具体的には、図1及び図2にも示される如く、フロントサイドメンバ16の前端及びクラッシュボックス18の後端には、それぞれ車両前後方向を向くフランジ16F、18Fが設けられており、これらフランジ16F、18Fが図示しないボルトナットなどで締結されることで、フロントサイドメンバ16の前端にクラッシュボックス18が固定されている。フランジ18Fの車幅方向内端には、後述するラジエータサポートサイド24の外面24Sに接合されるフランジ18FIが形成されている。したがって、この実施形態では、車幅方向内端がラジエータサポートサイド24に接合(接触)されたフランジ18Fを有するクラッシュボックス18が前後骨格部材本体に相当する。
【0021】
図5に戻り、左右のクラッシュボックス18の前端間は、車幅方向に長手とされたバンパリインフォースメント20にて架け渡されている。すなわち、各クラッシュボックス18の前端部は、バンパリインフォースメント20の長手方向の両端側で、該バンパリインフォースメント20の背面に、ボルトナットなどで締結されて固定されている。
【0022】
バンパリインフォースメント20の後方には、車体骨格の一部を成すラジエータサポート22が配置されている。ラジエータサポート22は、左右一対の上下骨格部材としてのラジエータサポートサイド24と、ラジエータサポートサイド24の上端間を架け渡すラジエータサポートアッパ26と、ラジエータサポートサイド24の下端間を架け渡すラジエータサポートロア27(図4参照)とで、正面視で略矩形枠状に形成されている。
【0023】
このラジエータサポート22には、熱交換器としての空冷熱交換器28が、該ラジエータサポート22の枠を埋めるように取り付けられている。空冷熱交換器28は、自動車Aのフロントグリル30から導入される空気流とエンジン冷却水との熱交換を行うラジエータ、及び上記空気流とエアコン冷媒との熱交換を行うコンデンサの少なくとも一方を含んで構成されている。フロントグリル30から導入される空気流は、自動車Aの走行に伴う走行風、空冷熱交換器28の背面側に設けた図示しないファンの作動により生じる空気流を含み、以下、冷却風と言うこととする。
【0024】
そして、車両用導風構造10は、冷却風を空冷熱交換器28に導く左右一対の導風板34を備えている。一対の導風板34は、互いの間にフロントグリル30から空冷熱交換器28へ空気を導くダクト32を形成する寸法形状を有する。各導風板34には、後向きに開口されると共にバンパリインフォースメント20が入り込まされた切欠部34Aが形成されている。
【0025】
図4に示される如く、切欠部34Aは、側面視で前後方向に長い略矩形状に形成されており、その前部にバンパリインフォースメント20を入り込ませている。この状態で導風板34の後端に上下方向に沿って形成されたフランジ34Fが、バンパリインフォースメント20の前面20Fに突き当て状態で接合(固定)されている。この固定構造として、例えばクリップ嵌合、グロメットスクリューによる結合、又はボルトナットによる締結などを採用することができる。また、フランジ34Fとバンパリインフォースメント20の前面20Fとの間には、スポンジ状のシール部材を挟みこんでも良い。
【0026】
切欠部34Aの上縁34AU、下縁34ALは、バンパリインフォースメント20の上面20U、下面20Lに接触又は極近接している。この構成により、バンパリインフォースメント20の背面20Bとラジエータサポートサイド24の前面24Fとの間には、切欠部34Aによって、ダクト32に車幅方向から連通する隙間Gが形成されている。
【0027】
一方、図2及び図3に示される如く、バンパリインフォースメント20と、ラジエータサポートサイド24と、前後骨格部材14のクラッシュボックス18及びフランジ18Fとの間には、空間Rが形成されている。換言すれば、空間Rは、平面視でバンパリインフォースメント20と、ラジエータサポートサイド24と、クラッシュボックス18とで囲まれており、かつ隙間Gにて車幅方向内向きに開口されている。
【0028】
車両用導風構造10は、空間Rを上下から塞ぐ上カバー板36及び下カバー板38を備えている。図1及び図2に示される如く、上カバー板36は、導風板34における切欠部34Aの上縁34AUから車幅方向外向きに張り出されると共に、後方に向けて延出されている。この上カバー板36は、図1に示される如く、バンパリインフォースメント20の上面20U及びクラッシュボックス18の上面18Uに接触しつつ、空間Rを上側から覆って閉止している。上カバー板36の後端36Rは、フランジ18Fに接触又は極近接している。
【0029】
下カバー板38は、導風板34における切欠部34Aの下縁34ALから車幅方向外向きに張り出されると共に、後方に向けて延出されている。この下カバー板38は、図示は省略するが、バンパリインフォースメント20の下面20L及びクラッシュボックス18の下面18Lに接触しつつ、空間Rを上側から覆って閉止している。下カバー板38の後端38Rは、フランジ18Fに接触又は極近接している。
【0030】
これら上カバー板36及び下カバー板38が空間Rを閉止することで、ダクト32の空気が隙間G、空間Rを経由して該ダクト32の外に流出することが防止又は著しく抑制される構成とされている。
【0031】
以上説明した導風板34、上カバー板36、下カバー板38は、樹脂の射出成形等によって一体に形成されている。また、車両用導風構造10では、左右の導風板34を連結する連結部40を有する。連結部40は、樹脂材より成り、左右の導風板34、上カバー板36、下カバー板38と一体に形成されている。したがって、この実施形態では、左右の導風板34、上カバー板36、下カバー板38、及び連結部40にて、一体に取り扱い可能な導風板構造体42が形成されている。
【0032】
なお、連結部40は、フロントグリル30から導入された冷却風が車両下側から排出されることを抑制しつつ、該冷却風を空冷熱交換器28に案内する導風板としても機能する構成とされている。したがって、連結部40は、本発明における機能部品に相当する。
【0033】
次に、第1の実施形態の作用を説明する。
【0034】
上記構成の車両用導風構造10では、導風板34に切欠部34Aが形成されているため、導風板構造体42を車両前側から組み付けることができる。具体的には、バンパリインフォースメント20が左右一対の前後骨格部材14(クラッシュボックス18)の前端に固定された状態から、左右の導風板34の切欠部34Aにバンパリインフォースメント20が入り込ませつつ、導風板構造体42を後方に移動してバンパリインフォースメント20、ラジエータサポート22に組み付けることができる。
【0035】
例えば、バンパリインフォースメント20を導風板の貫通孔に挿通させる構成では、前後骨格部材14への接合前のバンパリインフォースメント20に導風板を固定したり、貫通孔の前後で導風板を2分割にしたりする比較例に係る構成とする必要がある。前者の比較例では、バンパリインフォースメント20の組付(前後骨格部材14への固定)後には車両前側からの導風板の組み付けを行うことができない。後者の比較例では、バンパリインフォースメント20の組付前後に分割された導風板を組み付けることができるものの、前後の導風板間のシールを行う必要があるなど、組み付け工数が増す。
【0036】
これに対して車両用導風構造10では、導風板34には後向きに開口する切欠部34Aが形成されているので、上記の通り導風板構造体42を組み付け後のバンパリインフォースメント20に対し前側から組み付けることができる。
【0037】
この際、バンパリインフォースメント20の後方には隙間Gが形成されるものの、該隙間Gが開口する空間Rが上カバー板36、下カバー板38にて上下から閉止されるので、冷却風が空冷熱交換器28の手前でダクト32から排出されることが防止又は効果的に抑制される。このため、車両用導風構造10では、隙間Gを閉止するためのシール部材が不要され、該シール部材を要する構成と比べて、組み付け工数が減じられる。
【0038】
また、車両用導風構造10では、車両用導風構造10では、左右の導風板34に上下のカバー板36、38が一体化されているので、これらが別部材とである場合と比べて、車両への組み付け性が高い。しかも、車両用導風構造10では、左右の導風板34に上下のカバー板36、38が一体化されたもの同士がさらに連結部40にて一体化(連結)されて、単一部品の導風板構造体42として取り扱い可能である。このため、全体としての車両への組み付け性が向上する。
【0039】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。なお、上記第1の実施形態又は前出の構成と基本的に同一の部品・部分については、上記第1の実施形態又は前出の構成と同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
(第2の実施形態)
図6には、本発明の第2の実施形態に係る車両用導風構造50が、図1に対応する斜視図にて示されている。この図に示される如く、車両用導風構造50は、連結部40に代えて、機能部品としてのグリル52を介して左右の導風板34が連結されている点で、第1の実施形態に係る車両用導風構造10とは異なる。
【0041】
この実施形態では、グリル52は、樹脂材より成り、アッパグリル52U及びロアグリル52Lを含んで構成されている。アッパグリル52Uは、図示しないエンジンフードとバンパカバー上部との間からの空気取入口に設けられている。ロアグリル52Lは、バンパカバー下部に形成された空気取入口に設けられている。この実施形態では、アッパグリル52Uは、導風板34の上端部間を架け渡しており、ロアグリル52Lは、導風板34の下端部間を架け渡している。
【0042】
以上により、車両用導風構造50では、左右の導風板34、上カバー板36、下カバー板38及びグリル52で、樹脂成形により一体に形成された導風板グリル複合構造体54を構成している。車両用導風構造50における他の構成は、図示しない部分を含め車両用導風構造10の対応する構成と同じである。
【0043】
したがって、第2の実施形態に係る車両用導風構造50によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用導風構造10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、車両用導風構造50では、空冷熱交換器28への導風機能とは異なる機能を果たすグリル52を介して左右の導風板34が連結されているので、該異なる機能を果たすグリル52を含めた導風板グリル複合構造体54全体として車両への組み付け性が向上する。
【0044】
(第3の実施形態)
図7には、本発明の第3の実施形態に係る車両用導風構造60が、図1に対応する側断面図にて示されている。この図に示される如く、車両用導風構造60は、連結部40に代えて、機能部品としてのバンパアブソーバ62及びロアアブソーバ64を介して左右の導風板34が連結されている点で、第1の実施形態に係る車両用導風構造10とは異なる。
【0045】
バンパアブソーバ62は、樹脂材より成り、バンパリインフォースメント20の前面20Fに接触又は近接して配置されるようになっている。バンパアブソーバ62は、上下の波型壁62Wと前壁62Fとで後向きに開口するコ字状断面を成し、かつ所要の強度(反力)を確保するためにリブ62Rが形成されている。この実施形態におけるリブ62Rは、格子状に形成されている。
【0046】
ロアアブソーバ64は、樹脂材より成り、側断面視で前後方向に長い偏平上を成している。具体的には、ロアアブソーバ64は、上壁64Uと前後の立壁64Sとで下向きに開口するコ字状断面を成し、かつ所要の強度(反力)を確保するためにリブ64Rが形成されている。この実施形態におけるリブ64Rは、格子状に形成されている。ロアアブソーバ64は、歩行者の衝突時に該歩行者の脚(膝下部分)を払うことで、該歩行者をエンジンフード上に載せるのに寄与する構成とされている。この実施形態では、バンパアブソーバ62は、導風板34の上端部間を架け渡しており、ロアアブソーバ64は、導風板34の下端部間を架け渡している。
【0047】
以上により、車両用導風構造60では、左右の導風板34、上カバー板36、下カバー板38、バンパアブソーバ62及びロアアブソーバ64で、樹脂成形により一体に形成された導風板アブソーバ複合構造体66を構成している。車両用導風構造60における他の構成は、図示しない部分を含め車両用導風構造10の対応する構成と同じである。
【0048】
したがって、第3の実施形態に係る車両用導風構造60によっても、基本的に第1の実施形態に係る車両用導風構造10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、車両用導風構造60では、空冷熱交換器28への導風機能とは異なる機能を果たすバンパアブソーバ62及びロアアブソーバ64を介して左右の導風板34が連結されているので、該異なる機能を果たすバンパアブソーバ62及びロアアブソーバ64を含めた導風板アブソーバ複合構造体66全体として車両への組み付け性が向上する。
【0049】
なお、上記した各実施形態では、連結部40、グリル52、又は、バンパアブソーバ62及びロアアブソーバ64によって左右の導風板34が連結された例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、左右の導風板34が独立して車体(バンパリインフォースメント20)に組み付けられる構成としても良く、連結部40、アッパグリル52U、ロアグリル52L、バンパアブソーバ62、ロアアブソーバ64、他の機能部品の一部又は全部を適宜組み合わせて左右の導風板34を連結することで複合構造体を構成しても良い。他の機能部品としては、バンパカバーなどを挙げることができる。
【0050】
また、上記の実施形態において、上カバー板36、下カバー板38とバンパリインフォースメント20、クラッシュボックス18との間にスポンジ状のシール部材を配置しても良い。シール部材は、予め上カバー板36、下カバー板38に取り付けておくことができる。フランジ34Fとバンパリインフォースメント20との間のシール部材においても、同様に予めフランジ34Fに取り付けておくことができる。
【0051】
さらに、上記の実施形態では、導風板34が平面視で前後方向に長手とされる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、左右の導風板34は、少なくとも一方が前後方向に対し傾斜した状態で車幅方向に対向する構成であっても良い。さらに、導風板34が3枚以上設けられた構成としても良い。
【符号の説明】
【0052】
10 車両用導風構造
14 フロントサイドメンバ(前後骨格部材)
18 クラッシュボックス(前後骨格部材本体)
18F フランジ
20 バンパリインフォースメント
24 ラジエータサポートサイド(上下骨格部材)
28 空冷熱交換器(熱交換器)
34 導風板
36 上カバー板
38 下カバー板
40 連結部(機能部品)
50・60 車両用導風構造
52 グリル(機能部品)
62 バンパアブソーバ(機能部品)
64 ロアアブソーバ(機能部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向の前部で車幅方向に延在されたバンパリインフォースメントと、
それぞれ車両前後方向長手とされ、前記バンパリインフォースメントの延在方向の両端側に接続された一対の前後骨格部材と、
前記バンパリインフォースメントに対する車両前後方向の後側で、かつ一対の前記前後骨格部材に対する車幅方向内側に接触して配置され、車両上下方向に延在する一対の上下骨格部材と、
前記一対の上下骨格部材を含む骨格構造にて支持された熱交換器と、
車幅方向に対向されると共に車両前後方向の後側に向けて開口する切欠部をそれぞれ有し、前記切欠部に前記バンパリインフォースメントを入り込ませた状態で車両前後方向の後端部が前記上下骨格部材に突き当てられ、前記熱交換器に冷却風を導く一対の導風板と、
前記各導風板における前記切欠部の車両上下方向の両縁からそれぞれ車幅方向外向きに張り出され、平面視で前記前後骨格部材と前記上下骨格部材と前記バンパリインフォースメントとで囲まれた空間を、該バンパリインフォースメント及び前記前後骨格部材の車両上下方向に接触しつつ覆う上下一対のカバー板と、
を備えた車両用導風構造。
【請求項2】
前記前後骨格部材は、前後骨格部材本体から車幅方向の内向きに張り出したフランジの車幅方向内端において前記上下骨格部材に接触しており、
前記上下一対のカバー板は、平面視で前記前後骨格部材本体と前記フランジと前記上下骨格部材と前記バンパリインフォースメントとで囲まれた空間を覆っている請求項1記載の車両用導風構造。
【請求項3】
前記一対の導風板と、前記上下一対のカバー板とは、樹脂成形によって一体に形成されている請求項1又は請求項2記載の車両用導風構造。
【請求項4】
車幅方向一方側の前記導風板、上カバー部材、及び下カバー部材と、車幅方向他方側の前記導風板、上カバー部材、及び下カバー部材とは、独立した機能を有する樹脂製の機能部品にて一体に連結されている請求項3記載の車両用導風構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−96752(P2012−96752A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248479(P2010−248479)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】