説明

車両用居眠り防止装置

【課題】本発明は、車両用居眠り防止装置に係り、運転者の眠気抑止を、専用の電磁波放射源を用いることなく既存の放射源を用いた簡易な構成で実現することにある。
【解決手段】所定機能を有するコンバータ又はインバータが搭載された車両を運転する運転者の居眠りを防止する車両用居眠り防止装置において、コンバータ又はインバータから発生される電磁波の周波数が、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみとなるように、該コンバータ又はインバータのスイッチング周波数を所定機能を確保しつつ制御する。また、運転者の眠気が検知された場合に、コンバータ又はインバータのスイッチング周波数を可聴領域の周波数に可変する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用居眠り防止装置に係り、特に、所定機能を有するコンバータ又はインバータが搭載された車両を運転する運転者の居眠りを防止するうえで好適な車両用居眠り防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転者の居眠りを防止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術においては、人体に照射されて交感神経を昂進させる電磁波を放射する放射源が車内に設けられている。この放射源から上記の電磁波が運転者に照射されると、その運転者の交感神経が刺激されて、その眠気が抑制される。
【特許文献1】特開2007−195760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した特許文献1記載の技術において、上記の電磁波を放射する放射源は、車両に対して運転者の眠気抑止のために専用に設けたものであるため、製造コストがアップし、また、その専用の放射源を設置するためのスペースを新たに確保することが必要である。
【0004】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、運転者の眠気抑止を、専用の電磁波放射源を用いることなく既存の放射源を用いた簡易な構成で実現することが可能な車両用居眠り防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、所定機能を有するコンバータ又はインバータが搭載された車両を運転する運転者の居眠りを防止する車両用居眠り防止装置であって、前記コンバータ又はインバータから発生される電磁波の周波数が、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみとなるように、該コンバータ又はインバータのスイッチング周波数を前記所定機能を確保しつつ制御する眠気抑制手段を備える車両用居眠り防止装置により達成される。
【0006】
この態様の発明において、車両に搭載されたコンバータ又はインバータは、所定機能を有するが、そのスイッチング周波数は、コンバータ又はインバータから発生される電磁波の周波数が、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみとなるように、その所定機能を確保しつつ制御される。かかる構成においては、コンバータ又はインバータから発生される電磁波を用いて運転者の交感神経が刺激されてその眠気が抑制される。この場合、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制するための専用の電磁波放射源は不要であり、車両において所定機能を有するコンバータ又はインバータを用いることとすればよい。従って、本発明によれば、運転者の眠気抑止を、専用の電磁波放射源を用いることなく簡易な構成で実現することができる。
【0007】
また、上記の目的は、所定機能を有するコンバータ又はインバータが搭載された車両を運転する運転者の居眠りを防止する車両用居眠り防止装置であって、前記コンバータ又はインバータから発生される電磁波の周波数を、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみに限定するフィルタ手段を備える車両用居眠り防止装置により達成される。
【0008】
この態様の発明において、車両に搭載されたコンバータ又はインバータは、所定機能を有するが、そのコンバータ又はインバータから発生される電磁波の周波数は、フィルタ手段により、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみに限定される。かかる構成においては、コンバータ又はインバータから発生される電磁波を用いて運転者の交感神経が刺激されてその眠気が抑制される。この場合、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制するための専用の電磁波放射源は不要であり、車両において所定機能を有するコンバータ又はインバータを用いることとすればよい。従って、本発明によれば、運転者の眠気抑止を、専用の電磁波放射源を用いることなく簡易な構成で実現することができる。
【0009】
尚、上記した車両用居眠り防止装置において、運転者の眠気を検知する眠気検知手段を備え、前記眠気抑制手段は、前記眠気検知手段により運転者の眠気が検知された場合に、前記コンバータ又はインバータから発生される電磁波の周波数が、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみとなるように、前記コンバータ又はインバータのスイッチング周波数の制御を前記所定機能を確保しつつ行うこととしてもよい。
【0010】
また、上記した車両用居眠り防止装置において、運転者の眠気を検知する眠気検知手段を備え、前記フィルタ手段は、前記眠気検知手段により運転者の眠気が検知された場合に、前記コンバータ又はインバータから発生される電磁波の周波数を、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみに限定することとしてもよい。
【0011】
更に、上記した車両用居眠り防止装置において、前記眠気抑制手段は、前記眠気検知手段により運転者の眠気が検知された場合に、前記コンバータ又はインバータのスイッチング周波数を可聴領域の周波数に可変することとすれば、運転者の眠気発生時にコンバータ又はインバータのスイッチングにより音を発生させることができるので、運転者に生じた眠気を解消させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、運転者の眠気抑止を、専用の電磁波放射源を用いることなく既存の放射源を用いた簡易な構成で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施例である車両用居眠り防止装置10のシステム構成図を示す。また、図2は、車両に搭載されるコンバータ又はインバータから放射される電磁波が車両運転者に与える影響を説明するための図を示す。本実施例の車両用居眠り防止装置10は、運転者の運転する車両に搭載されており、その車両運転者の居眠りを防止するための装置である。
【0015】
本実施例において、車両には、スイッチングノイズや電磁波を発生するDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14が搭載されている。DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14は、運転席近傍の、例えば車両の運転席と助手席との間のセンターコンソールボックス内やエンジンルーム内に配置されている。車両は、高圧の直流電圧(例えばDC244ボルト)を出力する車載バッテリ16、及び、駆動車輪に接続するモータ・ジェネレータ18を有するハイブリッド車両である。
【0016】
DC−DCコンバータ12は、車載バッテリ16の直流電圧を昇圧し若しくは降圧するための機器などである。また、DC−ACインバータ14は、DC−DCコンバータ12により昇圧された直流電圧とモータ・ジェネレータ18の交流電圧とを変換するための機器などである。DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14はそれぞれ、複数のパワートランジスタにより構成されており、例えばモータ・ジェネレータ18を用いてハイブリッド車両の駆動力を得たり或いは補機バッテリ(例えば出力電圧DC12ボルト)を充電するために車載バッテリ16を放電させ、或いは、モータ・ジェネレータ18を用いて車載バッテリ16を充電する時などに、それらのパワートランジスタのゲートがオン/オフ(導通/遮断)されてスイッチング作動される。
【0017】
尚、車両は、上記の如く車載バッテリ16とモータ・ジェネレータ18とを有するハイブリッド車両でなくてもよく、この場合は、例えばDC12ボルトのバッテリ電圧をDC42ボルトへ昇圧するDC−DCコンバータ12や、例えばDC12ボルトのバッテリ電圧をAC100ボルトや120ボルトの商用交流電圧へ変換するDC−ACインバータを搭載するものであってもよい。
【0018】
DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14には、マイクロコンピュータを主体に構成された電子制御ユニット(以下、ECUと称す)20が接続されている。ECU20には、運転者状態センサ22及び車両走行状態センサ24が接続されている。運転者状態センサ22は、例えば車両シートのヘッドレストやシートバックなどに設けられており、運転者の眠気に関連する状態(例えば運転者の脳波や心拍数,脈拍,血圧,瞬き回数,開眼検知など)に応じた信号をECU20に向けて出力するセンサである。また、車両走行状態センサ24は、車両の走行に関連する状態(例えば、車両の速度や加速度,操舵角,アクセル開度,シフトポジション,エンジン回転数,現在位置,道路状況,車載バッテリ16の充電状態など)に応じた信号をECU20に向けて出力するセンサである。
【0019】
運転者状態センサ22の出力信号及び車両走行状態センサ24の出力信号はそれぞれ、ECU20に供給される。ECU20は、運転者状態センサ22の出力信号に基づいて運転者の眠気に関連する状態を検出し、車両走行状態センサ24の出力信号に基づいて車両の走行に関連する状態を検出し、それらの各状態に基づいた所望の状態で車両を走行させるべくDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14を制御する。
【0020】
本実施例において、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14の各スイッチング周波数は、それらのDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14から外部へ向けて発生する電磁波の周波数が、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみとなるものに設定されている。すなわち、ECU20は、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14の各スイッチング周波数を、それらのDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14から外部へ向けて発生する電磁波の周波数が、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみとなるように制御する。尚、この際、各スイッチング周波数の制御を、それらのDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14が本来果たすべき機能(例えば、車載バッテリ16の適切な放電や充電)を確保しつつ行う。
【0021】
かかる構成においては、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14が通常どおりスイッチング作動される際、それらのDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14から外部へ向けて発生される電磁波によって、車両運転者の交感神経が刺激されてその眠気が抑制される。この場合、車両運転者の交感神経を刺激してその眠気を抑制するための専用の電磁波放射源を設けることは不要であり、そのため、車両に搭載された既存のDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14を用いることとすればよい。
【0022】
従って、本実施例の車両用居眠り防止装置10によれば、車両運転者の眠気の抑制を、専用の電磁波放射源を用いることなく既存の電磁波放射源(具体的には、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14)を用いた簡易な構成で実現することが可能となっている。このため、車両運転者の眠気を抑制する車両用居眠り防止装置10を、製造コストを上げることなく省スペースで構築することが可能となっている。
【0023】
尚、本実施例の車両用居眠り防止装置10においては、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14が通常どおりのスイッチング作動を行うことで、車両運転者の眠気を抑制することができるため、車両運転者の眠気を、それらのDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14の通常どおりのスイッチング作動を妨げることなくかつその通常どおりのスイッチング作動を行いながら実現することが可能となっている。
【0024】
図3は、本実施例の車両用居眠り防止装置10においてECU20が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。
【0025】
本実施例において、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14は、上記の如く、モータ・ジェネレータ18を用いてハイブリッド車両の駆動力を得たり或いは補機バッテリを充電するために車載バッテリ16を放電させ、或いは、モータ・ジェネレータ18を用いて車載バッテリ16を充電する時にスイッチング作動されるが、その作動タイミングは限定されている。すなわち、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14の通常のスイッチング作動は、車載バッテリ16の放電及び充電の機能を果たすべき時に限定される。
【0026】
本実施例において、ECU20は、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14が通常どおりスイッチング作動されるべきタイミングであるか否かを判別する(ステップ100)。その結果、肯定判定がなされた場合は、以後、何ら処理を進めることなく、今回のルーチンを終了するが、否定判定がなされた場合は、次に、運転者状態センサ22の出力に基づいて検出される車両運転者の眠気に関連する状態からその運転者に眠気が生じているかを検知する(ステップ102)。
【0027】
その結果、運転者の眠気が検知されない場合は、以後、何ら処理を進めることなく、今回のルーチンを終了するが、運転者の眠気が検知された場合は、DC−DCコンバータ12又はDC−ACインバータ14のスイッチング周波数を、それらのコンバータ12又はインバータ14から発生される電磁波の周波数が、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみとなるように、具体的には、可聴領域の周波数(例えば20Hz〜5kHz)となるように可変する(ステップ104)。この際、そのスイッチング周波数を可聴領域内において適宜変更することで、運転者に対して眠気を覚ますメロディを奏でることとするのがよい。
【0028】
かかる処理によれば、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14が通常どおりのスイッチング作動を行わない状況において、運転者の眠気が検知された場合に、それらのDC−DCコンバータ12又はDC−ACインバータ14を、可聴領域の周波数でスイッチング作動させることができる。DC−DCコンバータ12又はDC−ACインバータ14が可聴領域の周波数でスイッチング作動されると、そのスイッチングに起因してDC−DCコンバータ12又はDC−ACインバータ14から外部へ向けて発生される電磁波によって運転者の交感神経を刺激する音が発生するので、その車両運転者の眠気が抑制される。この場合、車両運転者の交感神経を刺激してその眠気を抑制するための専用の電磁波放射源を設けることは不要であり、車両に搭載された既存のDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14を用いることとすればよい。
【0029】
従って、本実施例の車両用居眠り防止装置10によれば、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14が通常どおりのスイッチング作動を行わない状況において、運転者の眠気が検知された際に、その眠気を、専用の電磁波放射源を用いることなく既存の電磁波放射源(具体的には、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14)を用いた簡易な構成で解消させることが可能となっている。このため、この点でも、車両運転者の眠気を抑制する車両用居眠り防止装置10を、製造コストを上げることなく省スペースで構築することが可能となっている。
【0030】
尚、本実施例の車両用居眠り防止装置10においては、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14が通常どおりのスイッチング作動を行わないタイミングで、そのDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14をスイッチング作動させて車両運転者の眠気を抑制することができるため、車両運転者の眠気を、それらのDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14の通常どおりのスイッチング作動を妨げることなく実現することが可能となっている。
【0031】
尚、上記の実施例においては、DC−DCコンバータ12が特許請求の範囲に記載した「コンバータ」に、DC−ACインバータ14が特許請求の範囲に記載した「インバータ」に、それぞれ相当していると共に、ECU20が、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14の各スイッチング周波数を、それらのDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14から外部へ向けて発生する電磁波の周波数が、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみとなるように設定すること、及び、運転者の眠気が検知された場合に、DC−DCコンバータ12又はDC−ACインバータ14のスイッチング周波数を可聴領域の周波数に可変することにより特許請求の範囲に記載した「眠気抑制手段」が、図3に示すルーチン中ステップ102の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「眠気検知手段」が、それぞれ実現されている。
【0032】
ところで、上記の実施例においては、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14の通常のスイッチング作動時に、そのスイッチングに起因してそれらのDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14から外部へ向けて発生される電磁波によって、車両運転者の交感神経を刺激してその眠気を抑制すると共に、かつ、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14の通常のスイッチング作動が行われない状況において、運転者の眠気が検知された際に、そのDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14を強制的にスイッチング作動させて、そのスイッチングによって音を発生させて、車両運転者の交感神経を刺激してその眠気を抑制することとしているが、本発明は運転者の眠気を抑制するうえで上記の双方を行うものに限定されるものではなく、何れか一方のみを行うものとしてもよい。
【0033】
また、上記の実施例においては、車両運転者の眠気を抑制するうえで、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14のスイッチング周波数を、それらのDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14から外部へ向けて発生される電磁波が、車両運転者の交感神経を刺激してその眠気を抑制する特定領域の周波数のみとなるものに制御するが、本発明はDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14のスイッチング周波数を制御するものに限定されるものではなく、それらのDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14から外部へ向けて発生される電磁波を、車両運転者の交感神経を刺激してその眠気を抑制する特定領域の周波数のみとなるものに限定するフィルタ装置を、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14の筐体に設けることとしてもよい。
【0034】
かかる変形例の構成によれば、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14からはスイッチング作動に起因して各周波数の電磁波が発生するが、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14から外部へ放射される電磁波の周波数は、フィルタ装置により、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみに限定されるので、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14の通常のスイッチング作動時に、それらのDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14から発生される電磁波を用いて運転者の交感神経を刺激してその眠気を抑制することが可能となる。
【0035】
この場合も、車両運転者の交感神経を刺激してその眠気を抑制するための専用の電磁波放射源を設けることは不要であり、車両に搭載された既存のDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14を用いることとすればよい。従って、本変形例の車両用居眠り防止装置においても、車両運転者の眠気の抑制を、専用の電磁波放射源を用いることなく既存の電磁波放射源(具体的には、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14)を用いた簡易な構成で実現することが可能となる。かかる変形例においては、フィルタ装置が特許請求の範囲に記載した「フィルタ手段」に相当する。
【0036】
また、かかる変形例において、フィルタ装置は、DC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14の通常のスイッチング作動時に常に、それらのDC−DCコンバータ12及びDC−ACインバータ14から発生される電磁波を、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみに限定するものとしてもよいが、そのフィルタ機能を、車両運転者の眠気が検知された場合にのみ実現させることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例である車両用居眠り防止装置のシステム構成図である。
【図2】車両に搭載されるコンバータ又はインバータから放射される電磁波が車両運転者に与える影響を説明するための図である。
【図3】本実施例の車両用居眠り防止装置において実行される制御ルーチンの一例のフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
10 車両用居眠り防止装置
12 DC−DCコンバータ
14 DC−ACインバータ
20 ECU(電子制御ユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定機能を有するコンバータ又はインバータが搭載された車両を運転する運転者の居眠りを防止する車両用居眠り防止装置であって、
前記コンバータ又はインバータから発生される電磁波の周波数が、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみとなるように、該コンバータ又はインバータのスイッチング周波数を前記所定機能を確保しつつ制御する眠気抑制手段を備えることを特徴とする車両用居眠り防止装置。
【請求項2】
所定機能を有するコンバータ又はインバータが搭載された車両を運転する運転者の居眠りを防止する車両用居眠り防止装置であって、
前記コンバータ又はインバータから発生される電磁波の周波数を、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみに限定するフィルタ手段を備えることを特徴とする車両用居眠り防止装置。
【請求項3】
運転者の眠気を検知する眠気検知手段を備え、
前記眠気抑制手段は、前記眠気検知手段により運転者の眠気が検知された場合に、前記コンバータ又はインバータから発生される電磁波の周波数が、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみとなるように、前記コンバータ又はインバータのスイッチング周波数の制御を前記所定機能を確保しつつ行うことを特徴とする請求項1記載の車両用居眠り防止装置。
【請求項4】
運転者の眠気を検知する眠気検知手段を備え、
前記フィルタ手段は、前記眠気検知手段により運転者の眠気が検知された場合に、前記コンバータ又はインバータから発生される電磁波の周波数を、運転者の交感神経を刺激して眠気を抑制する特定領域の周波数のみに限定することを特徴とする請求項2記載の車両用居眠り防止装置。
【請求項5】
前記眠気抑制手段は、前記眠気検知手段により運転者の眠気が検知された場合に、前記コンバータ又はインバータのスイッチング周波数を可聴領域の周波数に可変することを特徴とする請求項3記載の車両用居眠り防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−297105(P2009−297105A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152279(P2008−152279)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)