説明

車両用情報提供装置、車載情報提示装置、車両用情報提供方法、および、車両用情報提供システム

【課題】情報送信の緊急度合に基づいて、通信方式を決定する。
【解決手段】情報センター20から車載機1に情報を送信するシステムにおいて、情報センター20は、車載機1に送信する情報の緊急度合を判定し、緊急度合が高いと判定すると、通信速度の速いパケット通信方式で情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗員が希望する情報をデータ通信を介して車両に提供する車両用情報提供装置、車両用情報提供方法および車両用情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等の通信端末にデータを送信する際に、送信するデータ量に応じて、パケット交換呼と回線交換呼のうち、通信料金が低廉になる方の回線を選択して、データを送信する技術が知られている(特許文献1参照)。通常、回線交換方式によるデータ通信では、パケット通信方式によるデータ通信に比べて通信時間が長くなる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−40463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、通信料金が低廉になる方の回線を選択するため、緊急性を要するデータが通信料金の安い回線交換方式のデータ通信で送信されることがある。この場合、緊急性を要するデータを必要時間内に送信することができない場合が生じるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明による車両用情報提供システムは、データ通信にて、情報センターから車載機に情報を送信するシステムにおいて、情報センターは、車載機に送信する情報を早急に送信すべきか否かの緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定し、決定した通信方式にて、情報の送信を要求してきた車載機に情報を送信することを特徴とする。
(2)本発明による車両用情報提供システムは、データ通信にて、情報センターから車載機に情報を送信するシステムにおいて、車載機は、情報センターに送信を要求する情報の送信緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定し、決定した通信方式によって、情報センターとの間のデータ通信を開始して、情報センターから情報を受信することを特徴とする。
(3)本発明による車両用情報提供装置は、データ通信にて、車載機に情報を送信する装置において、車載機に送信する情報を早急に送信すべきか否かの緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定し、決定した通信方式にて、情報の送信を要求してきた車載機に情報を送信することを特徴とする。
(4)本発明による車載情報提示装置は、データ通信にて情報センターから取得した情報をユーザに提示する装置において、情報センターに送信を要求する情報の送信緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定し、決定した通信方式によって、情報センターとの間のデータ通信を開始して、情報センターから情報を受信することを特徴とする。
(5)本発明による車両用情報提供方法は、データ通信にて、情報センターから車載機に情報を送信する方法において、情報センターは、車載機に送信する情報を早急に送信すべきか否かの緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定し、決定した通信方式にて、情報の送信を要求してきた車載機に情報を送信することを特徴とする。
(6)本発明による車両用情報提供方法は、データ通信にて、情報センターから車載機に情報を送信する方法において、車載機は、情報センターに送信を要求する情報の送信緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定し、決定した通信方式によって、情報センターとの間のデータ通信を開始して、情報センターから情報を受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
(1)本発明による車両用情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法によれば、車載機に送信する情報を早急に送信すべきか否かの緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定するので、ユーザが必要とする情報を迅速に車載機に送信することができる。
(2)本発明による車載情報提示装置によれば、情報センターに送信を要求する情報の送信緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定し、決定した通信方式によって、情報センターとの間のデータ通信を開始して、情報センターから情報を受信するので、ユーザが必要とする情報を迅速に取得して提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明による車両用情報提供システムの一実施の形態の全体構成を示す図である。この車両用情報提供システムを利用するユーザは、情報センター20(車両用情報提供装置)に発呼して、希望する情報を情報センター20のオペレータに伝え、オペレータが検索システム34により検索した情報がデータ通信によって、車載機1に送信される。
【0008】
車載機1は、ナビゲーションユニット2と、モニタ3と、通信アダプタ5と、携帯電話4および通信アダプタ5を接続するための電話ハーネス6と、データ通信用電話7と、マイク8と、スピーカ9と、GPSアンテナ10と、操作スイッチ11と、オペレータ呼び出しスイッチ12と、車速センサ16とを備える。
【0009】
モニタ3には、後述するナビゲーションユニット2からの指示に基づいて、車両の現在地周辺の地図や、目的地までの推奨経路等が表示される。携帯電話4は、ユーザが情報センター20に待機しているオペレータと会話する際に用いる電話であり、データ通信用電話7は、情報センター20との間で、データ通信を行う際に用いられる電話である。
【0010】
マイク8は、ユーザ(ドライバ)がハンズフリーシステムを利用して、情報センター20のオペレータと会話する際に用いられる。スピーカ9は、ユーザがハンズフリーシステムを利用して、オペレータと会話する際に、相手側の会話内容を音声出力したり、ナビゲーションユニット2による経路案内を行う際の音声を出力する。GPSアンテナ10は、車両の現在位置情報を取得するために、図示しないGPS衛星からの電波を受信する。車速センサ16は、車両の速度を検出する。
【0011】
操作スイッチ11は、モニタ3に表示される画面の操作、ハンズフリーシステムを利用するための操作、ナビゲーションユニット2の操作、データ通信を行う際の操作等、ユーザが各種の操作を行うために用いられる。オペレータ呼び出しスイッチ12は、情報センター20に発呼する際に用いられるスイッチである。
【0012】
通信アダプタ5は、情報センター20との間の通信制御を行う。通信アダプタ5には、後述する情報センター20のオペレーションセンター30の電話番号が登録されており、ユーザが、オペレータ呼び出しスイッチ12を押すと、携帯電話4を介して、自動的にオペレーションセンター30に電話がかかる。オペレーションセンター30の電話番号は、例えば、通信アダプタ5が工場から出荷される前に登録される。
【0013】
図2は、ナビゲーションユニット2の詳細な構成を示す図である。ナビゲーションユニット2は、地図データ部18および保存部21と、内部で行われる処理機能上、表示処理部13、通信処理部14、音声制御部15、位置演算部17、入力処理部19、および、統合演算部22とを備える。
【0014】
表示処理部13は、統合演算部22からの指令に基づいて、モニタ3への表示指示を行う。通信処理部14は、通信アダプタ5との間でデータの授受を行うための制御を行う。音声制御部15は、統合演算部22からの指令に基づいて、例えば、経路案内のための音声出力をスピーカ9に指示する。位置演算部17は、GPSアンテナ10で受信された電波および車速センサ16によって検出された車速に基づいて、車両の現在位置を求める。地図データ部18は、例えば、ハードディスク装置(HDD)であり、地図データを格納している。
【0015】
入力処理部19は、ユーザが操作スイッチ11やオペレータ呼び出しスイッチ12によって入力した指令を、統合演算部22に出力する。保存部21は、予めユーザが操作スイッチ11を使って設定した登録地(例えば、自宅の位置)や、過去に走行した道路等のデータを記憶する。保存部21には、ユーザによる操作スイッチ11の各種操作履歴や、ユーザが施設等の検索を行った結果の履歴を保存する履歴保存部23が含まれる。
【0016】
統合演算部22は、表示処理部13、通信処理部14、音声制御部15、位置演算部17、入力処理部19、地図データ部18、および、保存部21との間で、様々なデータをやり取りするとともに、ナビゲーションユニット2の総合的な処理を行う。ナビゲーションユニット2の総合的な処理には、施設の検索処理や、目的地までの推奨ルートの演算処理が含まれる。
【0017】
情報センター20は、オペレーションセンター30と、情報データベース群40と、車両用情報センター50と、カスタマーセンター60とにより構成されている。オペレーションセンター30は、電話回線の制御を行うPBX/CTI31と、検索システム34とを備える。検索システム34には、検索処理端末32、電話機33、ヘッドセット36、モニタ38、および、入力機器39が含まれる。入力機器39には、キーボードおよびマウスが含まれる。
【0018】
PBX(Private Branch Exchanger)は、通常、企業ビル内などに設置されるものであって、外線電話と内線電話、および、内線電話どうしを交換する。また、CTI(Computer Telephony Integration)は、PBXなどの電話系通信システムと、コンピュータやデータベースなどの情報系システムとを統合し、相互に連動できるようにするものである。すなわち、PBX/CTI31は、ユーザからかかってきた電話を空きオペレータに接続したり、空きオペレータがいない場合には、待ち音声案内を流すなどの電話回線の制御を行う。なお、PBX/CTI31は、一般電話回線網55と接続することができる。
【0019】
オペレーションセンター30に勤務しているオペレータは、電話機33またはヘッドセット36を用いて、ユーザと会話し、ユーザが要求する情報を確認する。オペレータは、ユーザから聞いた情報に基づいて、ユーザが希望する情報を検索処理端末32を用いて検索する。検索処理端末32は、例えば、パソコンである。検索システム34は、情報データベース群40を構成する複数のデータベース41〜45,56とLANなどのネットワーク37を通じて接続されている。
【0020】
情報データベース群40は、位置/電話情報データベース41と、交通情報データベース42と、天気予報データベース43と、各種情報データベース44と、案内音声データベース45と、ユーザプロファイルデータベース56とを備える。位置/電話情報データベース41には、飲食店や公共施設などの各種施設の名称、位置情報、および、電話番号情報等が格納されている。交通情報データベース42には、一般道や有料道路などの交通情報が格納されている。天気予報データベース43には、各地の天気予報情報が格納されている。各種情報データベース44には、上述した各種施設に関する情報、交通情報、天気情報以外の情報が格納されている。案内音声データベース45には、ユーザに音声案内を行うための音声データが格納されている。ユーザプロファイルデータベース56には、予めユーザ登録されているユーザの氏名、住所、携帯電話番号、データ通信用電話の電話番号などのユーザ情報が格納されている。ユーザ登録の方法については後述する。
【0021】
車両用情報センター50は、パケット通信用インタフェース51と、回線交換用インタフェース52と、情報処理端末54aおよび54bとを備える。情報処理端末54aは、パケット通信用インタフェース51を介して、パケット通信方式にて、車載機1に情報を送信するなどの様々なデータ処理を行う。また、情報処理端末54bは、回線交換用インタフェース52を介して、回線交換方式にて、車載機1に情報を送信するなどの様々なデータ処理を行う。例えば、検索システム34において、ユーザが希望する情報が検索された場合には、検索された情報を、パケット通信用インタフェース51または回線交換用インタフェース52を介して車載機1に送信する。パケット通信用インタフェース51、および、回線交換用インタフェース52は、一般回線網55と接続されている。
【0022】
カスタマーセンター60は、カスタマー登録システム62と、カスタマー管理サーバ66とを備える。カスタマー登録システム62は、ユーザの登録や、登録されているユーザの個人情報の変更を行う。カスタマー登録システム62と接続されているカスタマー管理サーバ66は、ユーザ情報を管理するためのサーバである。
【0023】
オペレーションセンター30、情報データベース群40、車両用情報センター50およびカスタマーセンター60が接続されているネットワーク37には、インターネット63も接続されている。従って、情報センター20は、インターネット63を介して、コンテンツプロバイダ/アプリケーションサービスプロバイダ群64と各種情報の授受を行う。また、ユーザが後述するユーザ登録を行う際に、カスタマーセンター60のオペレータを介さずに、インターネット63と接続されているパソコンなどの端末65を用いて行うこともできる。
【0024】
一実施の形態における車両用情報提供システムを利用するユーザは、予めユーザ登録する必要がある。ユーザ登録するための1つ目の方法としては、所定の申込書にユーザの氏名、住所、生年月日などの一般情報と共に、本システムを利用する際に使用する携帯電話4の電話番号を記入し、情報センター20のカスタマーセンター60に郵送する。カスタマーセンター60のオペレータは、申込書の内容を確認した後、カスタマー登録システム62を使用して、カスタマー管理サーバ66にユーザ登録処理を行う。登録されたユーザ情報は、ユーザプロファイルデータベース56に格納される。
【0025】
ユーザ登録するための二つ目の方法は、上述したように、インターネット63と接続されているパソコンなどの端末65を用いて、カスタマー管理サーバ66に直接登録する方法である。また、車載機1がオンライン登録機能を備えている場合には、車載機1を用いてカスタマー管理サーバ66に直接登録することもできる。
【0026】
一実施の形態における車両用情報提供システムでは、情報センター20から車載機1に送信する情報の緊急度合、および、送信する情報のデータサイズに基づいて、情報を送信する際の通信方式を決定する。
【0027】
図3および図4は、車載機1および情報センター20がそれぞれ行う処理内容を示すフローチャートである。ステップS10〜ステップS60の処理は、車載機1側で行われる処理であり、ステップS100〜ステップS270の処理は、情報センター20側で行われる処理である。
【0028】
ステップS10において、ナビゲーションユニット2の統合演算部22は、入力処理部19から入力される信号に基づいて、オペレータ呼び出しスイッチ12がオンされたか否かを判定する。オペレータ呼び出しスイッチ12がオンされていないと判定するとオンされるまでステップS10で待機し、オンされたと判定するとステップS20に進む。
【0029】
ステップS20では、音声モードにより、情報センター20のオペレーションセンター30に電話をかける。なお、音声モードとは、ユーザとオペレータとが音声会話を行うためのモードである。上述したように、通信アダプタ5にはオペレーションセンター30の電話番号が予め登録されているので、ユーザがオペレータ呼び出しスイッチ12を押すことにより、ナビゲーションユニット2、通信アダプタ5、携帯電話4経由で、自動的にオペレーションセンター30に電話がかかる。この時、通信アダプタ5は、オペレーションセンター30の電話番号の前に、発信者番号を通知するために「186」の番号を付して発呼する。すなわち、携帯電話4には、発信者番号を非通知とするための機能を備えたものもあるため、情報センター20側で発信者を特定できるようにするために、発信者番号が通知される形で電話をかけるようにする。
【0030】
情報センター20側で行われる処理のうち、ステップS100〜ステップS150の処理は、オペレーションセンター30のPBX/CTI31で行われる。ステップS100では、ユーザからの電話の着信があるか否かを判定する。着信がないと判定すると着信が有るまでステップS100で待機し、着信があると判定するとステップS110に進む。ステップS110では、発信者電話番号の取得処理を行う。この時に、発信者非通知設定の状態で電話がかかってきており、発信者電話番号がない場合には、例えば、案内音声データベース45に予め登録されている「発信者番号が通知されていません」のようなメッセージを再生して、電話回線を切断する。
【0031】
ステップS120では、ステップS110で取得した発信者電話番号に基づいて、電話番号の認証を行う。この認証は、発信者電話番号がユーザプロファイルデータベース56に登録されているか否かに基づいて行う。ステップS120に続くステップS130では、ステップS120で行った電話番号の認証結果に基づいて、認証がOKであるか否かを判定する。取得した発信者電話番号がユーザプロファイルデータベース56に登録されており、認証がOKであると判定するとステップS150に進む。一方、認証がNGであると判定すると、ステップS140に進み、案内音声データベース45に予め登録されている「電話番号が登録されていないため、サービスを受けることができません」などのメッセージを再生して、電話回線を切断する。
【0032】
ステップS150では、ユーザからの電話を、電話回線が空いているオペレータにつないで、ステップS160に進む。ただし、空いている回線が無い場合には、例えば、案内音声データベース45に予め登録されている「ただ今、回線が混みあっております」のようなメッセージを再生する。
【0033】
ユーザからの電話がオペレータに接続されると、ユーザは車載機1への送信を希望する情報をオペレータに伝える。オペレータは、ユーザとの会話によって、ユーザが希望する情報を把握して、検索処理端末32を用いて、ユーザの希望する情報を検索する。検索する情報が施設の場所に関する場合には、例えば、検索対象の施設の名称や、検索対象エリア、ジャンル等を入力して検索することになる。
【0034】
ステップS160からステップS180の処理は、検索システム34によって行われる。ステップS160では、オペレータによって、ユーザが希望する情報を検索するために必要な情報が検索処理端末32に入力されて、検索実行の指令が出されたか否かを判定する。検索に必要な情報が検索処理端末32に入力されて、検索実行の指令が出されたと判定するとステップS170に進み、検索実行の指令が出されていないと判定すると、ステップS160で待機する。
【0035】
ステップS170では、入力された情報に基づいて、情報データベース群40に含まれるデータベース41〜44を参照することにより、車載機1に送信するための情報を検索する。車載機1に送信するための情報を検索すると、ステップS180に進む。ステップS180では、検索した情報をユーザプロファイルデータベース56に一時的に保存する。ここでは、情報の送信を要求してきたユーザのユーザ情報に対応させて、情報を保存しておく。
【0036】
車載機1に送信するためのデータ(情報)をユーザプロファイルデータベース56に保存すると、オペレータは、操作スイッチ11に含まれるダウンロードボタンの操作をユーザに促す。なお、案内音声データベース45に、ダウンロードボタンの操作を促す音声案内のデータを登録しておき、車載機1に送信するデータ(情報)の保存後に、自動的に音声案内を行うようにしてもよい。
【0037】
ステップS30において、ナビゲーションユニット2の統合演算部22は、入力処理部19から入力される信号に基づいて、操作スイッチ11に含まれるダウンロードボタンが押された否かを判定する。ダウンロードボタンが押されていないと判定すると、ダウンロードボタンの操作が行われるまでステップS30で待機し、ダウンロードボタンが押されたと判定すると、ステップS300に進む。
【0038】
ステップS300では、オペレーションセンター30と接続されていた電話を一旦切断する。一旦電話を切断するのは、音声モードにより接続していた電話を、データモードで接続し直して、情報センター20のユーザプロファイルデータベース56に保存されているデータをデータ通信によりダウンロードするためである。なお、データモードとは、データ通信によりデータを授受するためのモードである。
【0039】
続いて、図4に示すフローチャートのステップS40から説明を続ける。操作スイッチ11に含まれるダウンロードボタンが押されることにより、ステップS40では、データモードにより、自動的に車両用情報センター50に発呼する。この場合にも、発信者番号を通知するために、車両用情報センター50の電話番号の前に「186」を付して、発呼する。
【0040】
ダウンロードボタン(操作スイッチ11)、ナビゲーションユニット2、通信アダプタ5、データ通信用電話7を介して発信された電話は、一般回線網55を経由して、車両用情報センター50のパケット通信用インタフェース51に着信する。ステップS190では、車両用情報センター50のパケット通信用インタフェース51に着信があるか否かを判定する。着信がないと判定すると着信があるまでステップS190で待機し、着信があると判定するとステップS200に進む。
【0041】
車載機1のナビゲーションユニット2は、データ通信用電話7を介して、携帯電話4の電話番号を車両用情報センター50に送信する。ステップS200において、情報処理端末54aは、発信者電話番号の取得処理を行って、ステップS210に進む。ステップS210〜ステップS280までの処理は、情報処理端末54aまたは54bにて行われる。ステップS210では、ユーザからかかってきた電話が情報処理端末54aに接続されて、データモード確立のためのデータモードネゴシエーションが行われる。ステップS210に続くステップS220では、データモードネゴシエーション完了後に、電話番号の認証処理を行う。この認証処理の方法は、上述したステップS120の処理と同じである。
【0042】
次のステップS230では、ステップS220で行った認証処理の結果、発信者電話番号がユーザプロファイルデータベース56に格納されているか否かを判定する。発信者電話番号がユーザプロファイルデータベース56に格納されており、認証OKであると判定すると、ステップS250に進む。一方、発信者番号がユーザプロファイルデータベース56に格納されておらず、認証NGであると判定すると、ステップS240に進む。ステップS240では、「電話番号が登録されていないため、サービスを受けることができません」などのNGメッセージを再生して、電話回線を切断する。
【0043】
ステップS250では、ユーザプロファイルデータベース56に格納されているデータ、すなわち、ステップS180にて、ユーザプロファイルデータベース56に保存したデータを取得する。データの取得は、ステップS220で行った電話番号の認証結果に基づいて行う。すなわち、電話番号の認証により一致した電話番号と対応付けて格納されているデータを取得する。データの取得処理を行うと、ステップS260に進む。
【0044】
ステップS260では、ステップS250で取得したデータの通信方式を特定する。通信方式の詳細な特定方法を以下で詳しく説明する。
【0045】
図5(a)は、データ通信の通信方式別に、送信するデータ量と通信時間との関係を示す図である。図5(a)に示すように、データ量に関わらず、回線交換方式よりパケット通信方式の方が通信時間が短い。すなわち、データ量が同じであれば、パケット通信方式の方が短時間でデータ送信を行うことができる。
【0046】
図5(b)は、データ通信の通信方式別に、送信するデータ量と通信料金との関係を示す図である。図5(b)に示すように、データ量が約30kbyteまでは、パケット通信方式の方が通信料金が安いが、データ量が大きくなると、回線交換方式の方が通信料金が安くなる。
【0047】
一実施の形態における車両用情報提供システムでは、データ量とデータ送信の緊急性とに基づいて、パケット通信方式で送信するか、回線交換方式で送信するかを決定する。図6は、データ量とデータ送信の緊急性とに基づいて、パケット通信方式または回線交換方式を決定するための図である。図6では、緊急性が最も高いものを二重丸で示し、緊急性がやや高いものを丸で、緊急性が低いものを三角で示している。データごとの緊急性の高低については後述する。また、データ量は、大、中、小の3段階に区分している。
【0048】
図6に示すように、データ送信の緊急性が最も高いデータは、データ量に関わらず、パケット通信方式で送信する。これにより、データ送信の緊急性が高いデータを迅速に、車載機1に送信することができる。また、データ量が小さい場合、すなわち、データ量が約30kbyte未満の場合にもパケット通信方式で送信する。この場合には、回線交換方式に比べて、安い通信料金で迅速にデータ送信を行うことができる。
【0049】
データ量が大きい場合であって、データ送信の緊急性がやや高いか低い場合には、回線交換方式でデータを送信する。また、データ量が中程度で、データ送信の緊急性がやや高いか低い場合には、送信するデータ内容に応じて、パケット通信方式か回線交換方式かを選択する。
【0050】
図7は、情報センター20から車載機1に送信される情報の種類ごとに、データ送信の緊急性、データサイズ、および、推奨通信方式をまとめた図である。例えば、交通情報のデータは、ユーザの行動に及ぼす影響が高いため、他の情報に比べて、データ送信の緊急性を高めに設定する。ここでは、交通情報のエリアを現在地周辺、目的地までの経路途中、および、目的地周辺の3つに分けて、エリアごとに緊急性の高低を決定している。すなわち、現在地周辺の交通情報の緊急性は最も高く、目的地までの経路途中の交通情報の緊急性は最も高いか、やや高いに設定している。また、目的地周辺の交通情報の緊急性は、やや高いに設定している。
【0051】
図7では、車載機1に送信するデータとして、交通情報の他に、天気、ニュース、目的地および経由地、POI付帯情報、映画情報、電話接続先の情報、交通機関情報、占い、料理レシピを示している。POI付帯情報には、例えば、観光地の情報、駐車場の情報、飲食店の情報などが含まれ、文字だけのテキスト情報と、画像が含まれる画像情報とに区別して、データ送信の緊急性、データサイズ、および、推奨通信方式を記載している。
【0052】
なお、データ送信の緊急性やデータサイズは、実際に車載機1に送信されるデータによって変化する。従って、図7では、データ送信の緊急性やデータサイズに関する目安を示している。例えば、目的地までの経路途中の交通情報では、現在地に近い道路の渋滞情報と、現在地から遠い道路の渋滞情報とでは、データ送信の緊急性が変わってくる。従って、データ送信の緊急性や、データサイズ、および、推奨通信方式は、実際に送信するデータに基づいて、決定する必要がある。
【0053】
図4に示すフローチャートのステップS260において、車載機1に送信するデータの通信方式を決定すると、ステップS270に進む。ステップS270では、ステップS250で取得したデータを、ステップS260で決定した通信方式で車載機1に送信する。ステップS260で決定した通信方式がパケット通信方式の場合には、車載機1と車両用情報センター20との間で接続されている通信方式がパケット通信方式であるため、このままデータ送信を開始する。一方、ステップS260で決定した通信方式が回線交換方式である場合には、回線交換方式で接続し直す旨の信号を車載機1に送信する。この信号を受け取った車載機1は、回線交換方式で接続し直して、情報をダウンロードする。
【0054】
車載機1は、ステップS50において、車両用情報センター50がステップS270において送信したデータを受信したか否かを判定する。データを受信していないと判定すると、受信するまでステップS50で待機し、受信したと判定するとステップS60に進む。ステップS60では、受信データ(ダウンロードデータ)の処理を行う。例えば、受信したデータが交通情報であれば、交通情報をモニタ3に表示する。また、受信したデータがニュース情報であれば、スピーカ9からニュース情報を音声にて出力するとともに、モニタ3にニュースの内容を表示する。受信データの処理が行われると、ステップS310において、車載機1と車両用情報センター50との間で接続されている回線を切断する。
【0055】
一実施の形態における車両用情報提供システムによれば、データ通信によって情報センター20から車載機1に情報を送信するシステムにおいて、情報センター20は、車載機に送信する情報を早急に送信すべきか否かの緊急度合を判定し、判定した緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定するので、早急に送信すべき情報を迅速に送信することができる。すなわち、データ送信の緊急度合が高い情報を、通信速度の速いパケット通信方式にて送信するので、通信速度の遅い回線交換方式で送信する場合に比べて、より速く送信することができる。
【0056】
また、一実施の形態における車両用情報提供システムによれば、送信する情報の緊急度合およびデータサイズに基づいて、データ通信の通信方式を決定するので、より効果的に情報を送信することができる。さらに、一実施の形態における車両用情報提供システムによれば、車載機1に送信する情報がユーザの行動に与える影響度に基づいて、データ送信の緊急度合を判定するので、データ送信の緊急度合および通信方式を的確に判断することができる。
【0057】
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、図3および図4に示すフローチャートでは、情報センター20から車載機1に1つのデータを送信する例を挙げて説明したが、複数の情報を送信することもできる。
【0058】
図8は、複数の情報を車載機1に送信する場合の送信方法の一例を示す図である。図8に示すサービス例1は、カーナビゲーションユニット2に設定する目的地のデータを送信する例である。カーナビゲーションユニット2に設定する目的地のデータは緊急性が最も高いデータであるため、パケット通信方式にて送信する。
【0059】
図8に示すサービス例2は、カーナビゲーションユニット2に設定する目的地のデータとともに、画像データを含む目的地周辺の飲食店の情報を送信する例である。目的地周辺の飲食店の情報は、データサイズが大きく、かつ、データ送信の緊急性が低いため、回線交換方式で送信すべきものである。従って、まず始めに、カーナビゲーションユニット2に設定する目的地のデータをパケット通信方式にて送信し、その後、目的地周辺の飲食店の情報を回線交換方式で送信する。
【0060】
図8に示すサービス例3は、カーナビゲーションユニット2に設定する目的地のデータとともに、現在地周辺の交通情報、ニュース、および、目的地の天気の情報を送信する例である。現在地周辺の交通情報は、データ送信の緊急性が最も高いため、パケット通信方式で送信すべきものであり、ニュースは、データサイズが小さいため、パケット通信方式で送信すべきものである。また、目的地の天気は、データ送信の緊急性が低く、かつ、データサイズは中程度のものであるため、回線交換方式で送信すべきものである。従って、まず始めに、カーナビゲーションユニット2に設定する目的地のデータ、現在地周辺の交通情報、および、ニュースをパケット通信方式にて送信し、その後、目的地の天気の情報を回線交換方式で送信する。
【0061】
図9(a)〜(c)は、複数の情報を情報センター20から車載機1に送信する場合に、通信方式を切り替える方法を説明するための図である。図9(a)は、通信方式を自動的に切り替える例を示し、図9(b)は、ユーザが通信方式を手動で切り替える例を示している。また、図9(c)は、情報センター20からの指示に基づいて、ユーザが通信方式に対応したボタンを押して、データのダウンロードを行う例を示している。
【0062】
図9(a)に示す例では、車載機1は、始めに、パケット通信方式で車両用情報センター50のパケット通信用インタフェース51に接続して、パケット通信方式で受信すべきデータをダウンロードする。データをダウンロードすると、車載機1は、パケット通信を切断する旨の指示をパケット通信用インタフェース51に出す。パケット通信用インタフェース51は、回線交換方式によるデータ通信を自動的に開始する旨のデータを車載機1に送信して、パケット通信を切断する。
【0063】
回線交換方式によるデータ通信を自動的に開始する旨のデータを受信した車載機1は、車両用情報センター50の回線交換用インタフェース52に回線交換方式で接続して、回線交換方式で受信すべきデータをダウンロードする。データをダウンロードすると、車載機1は、回線交換方式によるデータ通信を切断する旨の指示を回線交換用インタフェース52に出して、データ通信を切断する。この方法によれば、パケット通信によるデータのダウンロードと、回線交換方式によるデータのダウンロードとを自動的に行うことができる。
【0064】
図9(b)に示す例では、車載機1は、図9(a)に示す例と同様に、始めに、パケット通信方式で車両用情報センター50のパケット通信用インタフェース51に接続して、パケット通信方式で受信すべきデータをダウンロードする。データをダウンロードすると、車載機1は、パケット通信を切断する旨の指示をパケット通信用インタフェース51に出す。パケット通信用インタフェース51は、図9(b)に示すようなダウンロードボタン91を車載機1のモニタ3に表示させるためのデータを車載機1に送信して、パケット通信を切断する。車載機1のモニタ3には、ダウンロードボタン91が表示される。
【0065】
ユーザがモニタ3に表示されたダウンロードボタン91を押すと、車両用情報センター50の回線交換用インタフェース52に回線交換方式でデータ通信が接続され、回線交換方式で受信すべきデータのダウンロードが開始される。この方法によれば、パケット通信によるデータのダウンロード後に、ユーザが手動で回線交換方式によるデータ通信を開始する必要があるが、データの取得タイミングをユーザが決定することができる。また、必要ないと判断すれば、回線交換方式によるデータ通信をやめることもできる。
【0066】
図9(c)に示す例では、オペレーションセンター30において、車載機1に送信するデータがパケット通信で送信すべきデータか、回線交換方式で送信すべきデータかの判定が行われ、判定結果に応じた指示が車載機1に送信される。図9(c)に示す例では、データ送信の緊急性が高いデータ、および、データ送信の緊急性は高くはないが、データサイズが小さいデータに対しては、パケット通信方式によるデータ通信指示を車載機1に出すとともに、それ以外のデータに対しては、回線交換方式によるデータ通信指示を車載機1に出している。これらの指示は、オペレーションセンター30のオペレータから、車載機1のユーザに出される。
【0067】
ユーザは、オペレータからの指示がパケット通信方式によるデータ通信であれば、車載機1の操作スイッチ11に含まれるパケット通信ボタン92(図9(c)参照)を押す。これにより、パケット通信方式によるデータ通信が開始される。また、オペレータからの指示が回線交換方式によるデータ通信であれば、ユーザは、操作スイッチ11に含まれる回線交換ボタン93(図9(c)参照)を押す。これにより、回線交換方式によるデータ通信が開始される。
【0068】
なお、パケット通信方式によるデータのダウンロードが終了した後、回線交換方式によって車載機1にダウンロードするデータが存在している場合には、上述した図9(a)または図9(b)を用いて説明した方法で、回線交換方式によるデータ通信を開始する。また、回線交換方式によるデータのダウンロードが終了した場合には、車載機1と車両用情報センター50との間のデータ通信は切断する。
【0069】
上述した一実施の形態では、データ送信の緊急性を3段階に分けるとともに、データサイズを3段階に分けて、パケット通信方式を利用すべきか、回線交換方式を利用すべきかを決定した。しかし、データ送信の緊急性を緊急性の有無によって2段階に分けてもよいし、4段階以上の複数の区分に分類してもよい。また、データ量も2段階または4段階以上の複数の区分に分類することもできる。
【0070】
データ送信の緊急性およびデータサイズは、図7に示すように、送信する情報の種類に応じて一義的に設定してもよいが、データの送信エリア(都市部/郊外)や時間帯、および、曜日などに基づいて、設定してもよい。これは、情報の送信エリア、時間帯および曜日ごとに、送信されたデータのサイズおよび緊急性の統計を取って、統計的に設定することができる。
【0071】
上述した一実施の形態では、ユーザからの要求に応じた情報を情報センター20から車載機1に送信するシステムについて説明したが、ユーザからの要求が無くても、情報センター20が予め用意した情報を車載機1に送信するシステムに適用することもできる。
【0072】
上述した一実施の形態における車両用情報提供システムでは、情報センター20側において、データ通信の方式を決定したが、車載機1側でデータ通信方式を決定することもできる。車載機1側でデータ通信方式を決定する方法を図10および図11を用いて、以下で説明する。
【0073】
図10は、情報センター20にデータの送信を要求する際に、車載機1のモニタ3に表示される画面の一例を示す図である。初期画面100には、交通情報、飲食店情報、天気予報など、情報センター20からダウンロードできる様々な情報が表示されている。ユーザは、操作スイッチ11を操作することにより、希望する情報を選択する。
【0074】
図10に示す画面101は、初期画面100において「交通情報」が選択された場合に表示される画面であり、現在地周辺の交通情報、目的地までの交通情報など、より詳細な交通情報を選択するための画面である。同様に、図10に示す画面102は、初期画面100において「飲食店」が選択された場合に表示される画面であり、画面103は、「おすすめ情報パック」が選択された場合に表示される画面である。また、画面104は、画面102において、「現在地周辺の飲食店」が選択された場合に表示される画面である。ユーザは、画面104において、現在地を中心として飲食店を検索する距離、飲食店のジャンル、画像データの有無を入力して、データの送信要求を情報センター20に出す。画面104の例では、現在地を中心とする5km以内のイタリアンレストランの情報の送信要求が情報センター20に出されることになる。
【0075】
車載機1は、ユーザにより選択された情報、すなわち、情報センター20からのダウンロードを要求する情報の緊急性およびデータサイズに基づいて、データ通信の通信方式を決定する。図11は、ダウンロードを要求する情報の種類ごとに、データサイズ、データ送信の緊急性、および、データ通信方式をまとめた図である。例えば、現在地周辺の飲食店情報の場合、画像付きの情報であれば、回線交換方式でデータ通信を行い、画像無しの情報であれば、パケット通信方式でデータ通信を行う。通信方式の決定は、例えば、ナビゲーションユニット2の統合演算部22が行うことができる。この方法によれば、情報センター20が通信方式を決定する必要がないので、情報センター20側の処理負荷を軽減することができる。
【0076】
上述した一実施の形態では、オペレーションセンター30のオペレータが検索処理端末32を利用して情報の検索を行ったが、オペレータを介在させずに、検索処理端末32が自動的に情報検索を行うようにしてもよい。
【0077】
上述した一実施の形態では、パケット通信用インタフェース51および回線交換用インタフェース52を車両用情報センター50内に設置したが、インターネット接続サービスを提供しているプロバイダを介して、車載機1と情報センター20との間で通信を行う場合等には、パケット通信用インタフェース51および回線交換用インタフェース52をプロバイダまたは通信事業者に設置することもできる。
【0078】
上述した一実施の形態では、データ通信の通信方式として、パケット通信方式と回線交換方式の2つを挙げて説明したが、通信方式はこの2つに限定されることはない。
【0079】
上述した一実施の形態では、ユーザがオペレータと会話するための携帯電話4とは別に、データ通信を行うためのデータ通信用電話7を設ける例を挙げて説明したが、音声による会話と、データ通信とを行える電話機を1台だけ設けるようにしてもよい。また、上述した一実施の形態では、音声通信とデータ通信とを別々の回線によって行うようにしたが、データ通信回線上に音声信号をのせるシステム等を利用して、音声通信とデータ通信とを1つの回線で行うこともできる。
【0080】
図3に示すフローチャートのステップS120では、携帯電話番号に基づいて、ユーザの認証を行っているが、ユーザ登録が行われた後に発行されるユーザIDに基づいてユーザ認証を行うこともできる。また、車載機1に固有の車載機IDに基づいてユーザ認証を行ってもよい。この場合、車載機IDは、例えば、車載機1の工場出荷時にシリアルIDを書き込んでおき、ユーザ登録時にユーザが申込書に車載機シリアルIDを記載して申し込むようにする。すなわち、発呼してきたユーザが利用している車載機1が特定できて、データ通信を行う際に、特定した車載機1に対して、データが送信できれば良く、車載機1を特定するためのユーザ認証方法は、上述した方法に限定されることはない。
【0081】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。請求項1〜請求項9および請求項19〜請求項27との対応関係では、情報処理端末54a,54bが緊急度合判定手段、通信方式決定手段およびデータサイズ特定手段を、パケット通信用インタフェース51および回線交換用インタフェース52が送信手段を、車載機1のデータ通信用電話7が受信手段をそれぞれ構成する。また、請求項10〜請求項18および請求項28〜請求項36との対応関係では、ナビゲーションユニット2の統合演算部22が緊急度合判定手段、通信方式決定手段およびデータサイズ特定手段を、データ通信用電話7が通信手段を、パケット通信用インタフェース51および回線交換用インタフェース52が送信手段をそれぞれ構成する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明による車両用情報提供システムの一実施の形態の全体構成を示す図
【図2】ナビゲーションユニットの詳細な構成を示す図
【図3】車載機および情報センターがそれぞれ行う処理内容を示すフローチャート
【図4】図3に示すフローチャートの処理に続く処理内容を示すフローチャート
【図5】図5(a)は、データ通信時の通信方式別に、送信するデータ量と通信時間との関係を示す図、図5(b)は、データ通信時の通信方式別に、送信するデータ量と通信料金との関係を示す図
【図6】データ量とデータ送信の緊急性とに基づいて、パケット通信方式または回線交換方式を決定するための図
【図7】情報センターから車載機に送信される情報の種類ごとに、データ送信の緊急性、データサイズ、および、推奨通信方式をまとめた図
【図8】複数の情報を車載機に送信する場合の送信方法の一例を示す図
【図9】図9(a)〜(c)は、複数の情報を情報センターから車載機に送信する場合に、通信方式を切り替える方法を説明するための図
【図10】情報センターにデータの送信を要求する際に、車載機のモニタに表示される画面の一例を示す図
【図11】ダウンロードを要求する情報の種類ごとに、データサイズ、データ送信の緊急性、および、データ通信方式をまとめた図
【符号の説明】
【0083】
1…車載機、2…ナビゲーションユニット、3…モニタ、4…携帯電話、5…通信アダプタ、6…電話ハーネス、7…データ通信用電話、8…マイク、9…スピーカ、10…GPSアンテナ、11…操作スイッチ、12…オペレータ呼び出しスイッチ、13…表示処理部、14…通信処理部、15…音声制御部、16…車速センサ、17…位置演算部、18…地図データ部、19…入力処理部、20…情報センター、21…保存部、22…統合演算部、30…オペレーションセンター、31…PBX/CTI、32…検索処理端末、33…電話機、34…情報検索システム、36…ヘッドセット、37…ネットワーク、39…入力機器、40…情報データベース群、41…位置/電話情報データベース、42…交通情報データベース、43…天気予報データベース、44…各種情報データベース、45…案内音声データベース、50…車両用情報センター、51…パケット通信用インタフェース、52…回線交換用インタフェース、54a,54b…情報処理端末、55…一般電話回線網、56…ユーザプロファイルデータベース、60…カスタマーセンター、62…カスタマー登録システム、63…インターネット、65…ユーザPC、66…カスタマー管理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ通信にて、情報センターから車載機に情報を送信する車両用情報提供システムにおいて、
情報センターは、車載機に送信する情報を早急に送信すべきか否かの緊急度合を判定する緊急度合判定手段と、
前記緊急度合判定手段によって判定された緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定する通信方式決定手段と、
前記通信方式決定手段によって決定された通信方式にて、情報の送信を要求してきた車載機に情報を送信する送信手段とを備え、
車載機は、情報センターから送信されてくる情報を受信する受信手段を備えることを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記通信方式決定手段は、前記緊急度合判定手段によって、緊急度合が高いと判定された情報の通信方式を、通信速度の速い通信方式に設定することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記通信速度の速い通信方式は、パケット通信方式であることを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の車両用情報提供システムにおいて、
情報センターは、車載機に送信する情報のデータサイズを特定するデータサイズ特定手段をさらに備え、
前記通信方式決定手段は、前記緊急度合判定手段によって判定された緊急度合、および、前記データサイズ特定手段によって特定されたデータサイズに基づいて、データ通信の通信方式を決定することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記通信方式決定手段は、前記データサイズ特定手段によって特定されたデータサイズが所定サイズ未満の通信方式を、パケット通信方式に設定することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項6】
請求項4または5に記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記通信方式決定手段は、前記緊急度合判定手段によって、緊急度合が低いと判定され、かつ、前記データサイズ特定手段によって特定されたデータサイズが所定サイズ以上の情報の通信方式を、回線交換方式に設定することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載の車両用情報提供システムにおいて、
車載機に送信する情報が複数あり、前記通信方式決定手段によって、各情報ごとの通信方式が決定されると、前記送信手段は、前記通信方式決定手段によって通信方式をパケット通信方式に設定された情報を車載機に最初に送信し、その後、通信方式を回線交換方式に設定された情報を車載機に送信することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項8】
請求項7に記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記送信手段は、パケット通信方式で車載機に情報を送信した後、回線交換方式で情報センターに接続し直す旨の信号を車載機に送信し、
車載機は、前記回線交換方式で情報センターに接続し直す旨の信号を受信すると、パケット通信方式によるデータ通信を切断するとともに、回線交換方式によるデータ通信を開始することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記緊急度合判定手段は、車載機に送信する情報がユーザの行動に与える影響度に基づいて、前記緊急度合を判定することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項10】
データ通信にて、情報センターから車載機に情報を送信する車両用情報提供システムにおいて、
車載機は、情報センターに送信を要求する情報の送信緊急度合を判定する緊急度合判定手段と、
前記緊急度合判定手段によって判定された緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定する通信方式決定手段と、
前記通信方式決定手段によって決定された通信方式によって、情報センターとの間のデータ通信を開始する通信手段とを備え、
情報センターは、要求された情報を車載機の前記通信手段に送信する送信手段を備えることを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項11】
請求項10に記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記通信方式決定手段は、前記緊急度合判定手段によって、緊急度合が高いと判定された情報の通信方式を、通信速度の速い通信方式に設定することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項12】
請求項11に記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記通信速度の速い通信方式は、パケット通信方式であることを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかに記載の車両用情報提供システムにおいて、
車載機は、情報センターに送信を要求する情報のデータサイズを特定するデータサイズ特定手段をさらに備え、
前記通信方式決定手段は、前記緊急度合判定手段によって判定された緊急度合、および、前記データサイズ特定手段によって特定されたデータサイズに基づいて、データ通信の通信方式を決定することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項14】
請求項13に記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記通信方式決定手段は、前記データサイズ特定手段によって特定されたデータサイズが所定サイズ未満の通信方式を、パケット通信方式に設定することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項15】
請求項13または14に記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記通信方式決定手段は、前記緊急度合判定手段によって、緊急度合が低いと判定され、かつ、前記データサイズ特定手段によって特定されたデータサイズが所定サイズ以上の情報の通信方式を、回線交換方式に設定することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれかに記載の車両用情報提供システムにおいて、
情報センターに要求する情報が複数あり、前記通信方式決定手段によって、各情報ごとの通信方式が決定されると、前記通信手段は、最初にパケット通信方式によるデータ通信を開始して、情報センターから情報を受信し、その後、回線交換方式によるデータ通信を開始して、情報センターから情報を受信することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項17】
請求項16に記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記送信手段は、パケット通信方式で車載機に情報を送信した後、回線交換方式で情報センターに接続し直す旨の信号を車載機に送信し、
車載機の前記通信手段は、前記回線交換方式で情報センターに接続し直す旨の信号を受信すると、パケット通信方式によるデータ通信を切断するとともに、回線交換方式によるデータ通信を開始することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項18】
請求項10〜17のいずれかに記載の車両用情報提供システムにおいて、
前記緊急度合判定手段は、車載機に送信する情報がユーザの行動に与える影響度に基づいて、前記緊急度合を判定することを特徴とする車両用情報提供システム。
【請求項19】
データ通信にて、車載機に情報を送信する車両用情報提供装置において、
ユーザが送信要求する情報を取得する情報取得手段と、
車載機に送信する情報を早急に送信すべきか否かの緊急度合を判定する緊急度合判定手段と、
前記緊急度合判定手段によって判定された緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定する通信方式決定手段と、
前記通信方式決定手段によって決定された通信方式にて、情報の送信を要求してきた車載機に情報を送信する送信手段とを備えることを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項20】
請求項19に記載の車両用情報提供装置において、
前記通信方式決定手段は、前記緊急度合判定手段によって、緊急度合が高いと判定された情報の通信方式を、通信速度の速い通信方式に設定することを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項21】
請求項20に記載の車両用情報提供装置において、
前記通信速度の速い通信方式は、パケット通信方式であることを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項22】
請求項19〜21のいずれかに記載の車両用情報提供装置において、
車載機に送信する情報のデータサイズを特定するデータサイズ特定手段をさらに備え、
前記通信方式決定手段は、前記緊急度合判定手段によって判定された緊急度合、および、前記データサイズ特定手段によって特定されたデータサイズに基づいて、データ通信の通信方式を決定することを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項23】
請求項22に記載の車両用情報提供装置において、
前記通信方式決定手段は、前記データサイズ特定手段によって特定されたデータサイズが所定サイズ未満の通信方式を、パケット通信方式に設定することを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項24】
請求項22または23に記載の車両用情報提供装置において、
前記通信方式決定手段は、前記緊急度合判定手段によって、緊急度合が低いと判定され、かつ、前記データサイズ特定手段によって特定されたデータサイズが所定サイズ以上の情報の通信方式を、回線交換方式に設定することを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項25】
請求項22〜24のいずれかに記載の車両用情報提供装置において、
車載機に送信する情報が複数あり、前記通信方式決定手段によって、各情報ごとの通信方式が決定されると、前記送信手段は、前記通信方式決定手段によって通信方式をパケット通信方式に設定された情報を車載機に最初に送信し、その後、通信方式を回線交換方式に設定された情報を車載機に送信することを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項26】
請求項25に記載の車両用情報提供装置において、
前記送信手段は、車載機がパケット通信方式で送信されてきた情報を受信後に、自動的に回線交換方式によるデータ通信を開始する旨の信号を車載機に送信することを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項27】
請求項19〜26のいずれかに記載の車両用情報提供装置において、
前記緊急度合判定手段は、車載機に送信する情報がユーザの行動に与える影響度に基づいて、前記緊急度合を判定することを特徴とする車両用情報提供装置。
【請求項28】
データ通信にて、情報センターから情報を取得して、ユーザに提示する車載情報提示装置において、
情報センターに送信を要求する情報の送信緊急度合を判定する緊急度合判定手段と、
前記緊急度合判定手段によって判定された緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定する通信方式決定手段と、
前記通信方式決定手段によって決定された通信方式によって、情報センターとの間のデータ通信を開始して、情報を取得する通信手段とを備えることを特徴とする車載情報提示装置。
【請求項29】
請求項28に記載の車載情報提示装置において、
前記通信方式決定手段は、前記緊急度合判定手段によって、緊急度合が高いと判定された情報の通信方式を、通信速度の速い通信方式に設定することを特徴とする車載情報提示装置。
【請求項30】
請求項29に記載の車載情報提示装置において、
前記通信速度の速い通信方式は、パケット通信方式であることを特徴とする車載情報提示装置。
【請求項31】
請求項28〜30のいずれかに記載の車載情報提示装置において、
情報センターに送信を要求する情報のデータサイズを特定するデータサイズ特定手段をさらに備え、
前記通信方式決定手段は、前記緊急度合判定手段によって判定された緊急度合、および、前記データサイズ特定手段によって特定されたデータサイズに基づいて、データ通信の通信方式を決定することを特徴とする車載情報提示装置。
【請求項32】
請求項31に記載の車載情報提示装置において、
前記通信方式決定手段は、前記データサイズ特定手段によって特定されたデータサイズが所定サイズ未満の通信方式を、パケット通信方式に設定することを特徴とする車載情報提示装置。
【請求項33】
請求項31または32に記載の車載情報提示装置において、
前記通信方式決定手段は、前記緊急度合判定手段によって、緊急度合が低いと判定され、かつ、前記データサイズ特定手段によって特定されたデータサイズが所定サイズ以上の情報の通信方式を、回線交換方式に設定することを特徴とする車載情報提示装置。
【請求項34】
請求項31〜33のいずれかに記載の車載情報提示装置において、
情報センターに要求する情報が複数あり、前記通信方式決定手段によって、各情報ごとの通信方式が決定されると、前記通信手段は、最初にパケット通信方式によるデータ通信を開始して、情報センターから情報を受信し、その後、回線交換方式によるデータ通信を開始して、情報センターから情報を受信することを特徴とする車載情報提示装置。
【請求項35】
請求項34に記載の車載情報提示装置において、
前記通信手段は、パケット通信方式で送信されてきた情報を受信後に、自動的に回線交換方式によるデータ通信を開始する旨の信号を情報センターから受信すると、回線交換方式によるデータ通信を開始することを特徴とする車載情報提示装置。
【請求項36】
請求項28〜35のいずれかに記載の車載情報提示装置において、
前記緊急度合判定手段は、車載機に送信する情報がユーザの行動に与える影響度に基づいて、前記緊急度合を判定することを特徴とする車載情報提示装置。
【請求項37】
データ通信にて、情報センターから車載機に情報を送信する車両用情報提供方法において、
情報センターは、車載機に送信する情報を早急に送信すべきか否かの緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定し、決定した通信方式にて、情報の送信を要求してきた車載機に情報を送信することを特徴とする車両用情報提供方法。
【請求項38】
データ通信にて、情報センターから車載機に情報を送信する車両用情報提供方法において、
車載機は、情報センターに送信を要求する情報の送信緊急度合に基づいて、データ通信の通信方式を決定し、決定した通信方式によって、情報センターとの間のデータ通信を開始して、情報を受信することを特徴とする車両用情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−49543(P2007−49543A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233344(P2005−233344)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】