説明

車両用懸架装置の組立方法

【課題】複数種のステアリングナックのうちから選択された一つの所望ナックルの組み付けにより車両用懸架装置の組み立て作業を行う場合において、所望ナックルを選択する際の誤選択を確実かつ容易に防止することにより、組み立て作業が容易にできるようにする。
【解決手段】複数種のステアリングナックル15,15´の互いに相違する位置にそれぞれ突起37,37´を形成する。複数種のナックル15,15´のうちから、一つの所望ナックル15を選択し、所望ナックル15を載置台38上に載置して所定位置に位置決めするとき、載置台38に形成された第1嵌入凹部50に、所望ナックル15に形成された突起37が嵌入されるようにする。次に、載置台38から取り出した所望ナックル15を緩衝器18の所定位置に位置決めするとき、緩衝器18に形成された第2嵌入凹部52に、所望ナックル15に形成された突起37が嵌入されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状が互いに相違する複数種のステアリングナックルを準備し、これらのうちから一つの所望ナックルを選択して、予め準備された緩衝器に締結させるようにした車両用懸架装置の組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記車両用懸架装置の組立方法には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、まず、ブレーキディスクを載置台上に載置して、この載置台上の所定位置に位置決めする。次に、この載置台上の上記ブレーキディスクに対し、ハブユニットやパーキングブレーキなどの各構成部品を順次組み付けてサスペンション組立体を形成する。次に、この組立体を、後工程に向けて搬出することとされている。
【0003】
そして、上記した組立方法によれば、まず、ブレーキディスクを載置台上に載置して位置決めしたことから、このブレーキディスクに対するその後の上記各構成部品の組み立て作業が安定してできることとされている。
【0004】
また、上記と同様な組立方法として、従来、次のようなものが提案されている。即ち、まず、形状が互いに相違する複数種のステアリングナックルを準備し、これら複数種のナックルのうちから、一つの所望ナックルを選択する。次に、この所望ナックルを一旦載置台上に載置してこの載置台上の所定位置に位置決めし、上記所望ナックルに各構成部品を組み付けて組立体を形成する。次に、この載置台から取り出した上記組立体における所望ナックルを、車体に取り付けられて予め準備された緩衝器の所定位置に位置決めした後、この緩衝器に締結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−186635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記したように複数種の各ナックルは形状が互いに相違しているが、通常、この相違は小さいものである。このため、この相違を目視により短時間で識別することは容易でない。よって、上記各ナックルのうちから、一つの所望ナックルを選択する際に、誤選択が発生するおそれがある。
【0007】
そこで、上記所望ナックルを選択する場合に、誤選択が発生しないようにするため、上記各ナックルのそれぞれの一部に色違いのペイントを予め塗布し、これの目視により上記各ナックルを種類分けできるようにして、上記誤選択の発生を防止することが提案されている。しかし、このように、各ナックルのそれぞれの一部にペイントを塗布するという作業は極めて煩雑である。よって、上記車両用懸架装置の組立方法による組み立て作業は煩雑になるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、予め準備された複数種のステアリングナックのうちから、一つの所望ナックルを選択し、この所望ナックルの組み付けにより車両用懸架装置の組み立て作業を行う場合において、上記所望ナックルを選択する際の誤選択を確実かつ容易に防止することにより、上記組み立て作業が容易にできるようにすることである。
【0009】
請求項1の発明は、形状が互いに相違する複数種のステアリングナックル15,15´を準備し、これら複数種のナックル15,15´のうちから、一つの所望ナックル15を選択し、この所望ナックル15を一旦載置台38上に載置してこの載置台38上の所定位置に位置決めし、次に、この載置台38から取り出した上記所望ナックル15を、予め準備された緩衝器18の所定位置に位置決めした後、この緩衝器18に締結するようにした車両用懸架装置の組立方法において、
上記複数種の各ナックル15,15´の互いに相違する位置にそれぞれ突起37,37´を形成し(図3,5)、上記所望ナックル15を上記載置台38上に載置して上記所定位置に位置決めするとき、上記載置台38に形成された第1嵌入凹部50に、上記所望ナックル15に形成された突起37が嵌入されるようにし(図5)、
次に、上記載置台38から取り出した上記所望ナックル15を上記緩衝器18の所定位置に位置決めするとき、上記緩衝器18に形成された第2嵌入凹部52に、上記所望ナックル15に形成された突起37が嵌入されるようにした(図3)ことを特徴とする車両用懸架装置の組立方法である。
【0010】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0011】
本発明による効果は、次の如くである。
【0012】
請求項1の発明は、形状が互いに相違する複数種のステアリングナックルを準備し、これら複数種のナックルのうちから、一つの所望ナックルを選択し、この所望ナックルを一旦載置台上に載置してこの載置台上の所定位置に位置決めし、次に、この載置台から取り出した上記所望ナックルを、予め準備された緩衝器の所定位置に位置決めした後、この緩衝器に締結するようにした車両用懸架装置の組立方法において、
上記複数種の各ナックルの互いに相違する位置にそれぞれ突起を形成し、上記所望ナックルを上記載置台上に載置して上記所定位置に位置決めするとき、上記載置台に形成された第1嵌入凹部に、上記所望ナックルに形成された突起が嵌入されるようにしている。
【0013】
このため、仮に、上記各ナックルのうちから、上記所望ナックルとは種類の異なる他のナックルを誤選択したとし、この他のナックルを上記載置台上に載置させて所定位置に位置決めすると共に、上記他のナックルに形成された突起を上記載置台の第1嵌入凹部に嵌入させようとすると、この嵌入はできないか、もしくは、極めて困難、という組み立て作業上の支障が発生する。よって、このような組み立て作業中における支障の発生により、上記誤選択が知覚され、ここで、所望ナックルを改めて選択するという作業上の修正が直ちに可能となる。
【0014】
また、次に、上記載置台から取り出した上記所望ナックルを上記緩衝器の所定位置に位置決めするとき、上記緩衝器に形成された第2嵌入凹部に、上記所望ナックルに形成された突起が嵌入されるようにし、また、この場合、前記したように、各ナックルに形成された各突起は、上記各ナックルの互いに相違する位置に形成されている。
【0015】
このため、仮に、上記したように各ナックルのうちから誤選択された他のナックルを、上記緩衝器の所定位置に位置決めすると同時に、上記他のナックルに形成された突起を上記緩衝器の第2嵌入凹部に嵌入させようとすると、この嵌入はできないか、もしくは、極めて困難、という組み立て作業上の支障が発生する。よって、このような組み立て作業中における支障の発生により、上記誤選択が知覚され、ここで、再び、所望ナックルを選択するという作業上の修正が可能となる。
【0016】
即ち、上記組立方法によれば、その組み立て作業の途中において、ナックルにつき、少なくとも2回の誤選択の知覚が可能になることから、上記所望ナックルを選択する際に誤選択が発生したとしても、これの修正が容易にできる。よって、上記誤選択は確実かつ容易に防止されて、上記組み立て作業が容易にできることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】車両の部分正面部分断面図である。
【図2】図1で示したものの斜視展開図である。
【図3】図1のIII−III線矢視図である。
【図4】懸架装置の組立方法の前段を示す斜視図である。
【図5】図4の部分拡大平面図である。
【図6】懸架装置の組立方法の後段を示す車両の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の車両用懸架装置の組立方法に関し、予め準備された複数種のステアリングナックのうちから、一つの所望ナックルを選択し、この所望ナックルの組み付けにより車両用懸架装置の組み立て作業を行う場合において、上記所望ナックルを選択する際の誤選択を確実かつ容易に防止することにより、上記組み立て作業が容易にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0019】
即ち、まず、形状が互いに相違する複数種のステアリングナックルを準備し、これら複数種のナックルのうちから、一つの所望ナックルを選択する。次に、この所望ナックルを一旦載置台上に載置してこの載置台上の所定位置に位置決めする。次に、この載置台から取り出した上記所望ナックルを、予め準備された緩衝器の所定位置に位置決めした後、この緩衝器に締結する。
【0020】
上記の場合、複数種の各ナックルの互いに相違する位置にそれぞれ突起を形成し、上記所望ナックルを上記載置台上に載置して上記所定位置に位置決めするとき、上記載置台に形成された第1嵌入凹部に、上記所望ナックルに形成された突起が嵌入されるようにする。
【0021】
次に、上記載置台から取り出した上記所望ナックルを上記緩衝器の所定位置に位置決めするとき、上記緩衝器に形成された第2嵌入凹部に、上記所望ナックルに形成された突起が嵌入されるようにする。
【実施例】
【0022】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0023】
図1〜3,6において、符号1は、自動車で例示される車両である。また、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。
【0024】
上記車両1は、車体2と、この車体2の前部に対し左右の各前車輪3をそれぞれ懸架させる懸架装置4と、上記車体2に支持され、主体がエンジンとされる駆動装置5と、この駆動装置5に上記各車輪3をそれぞれ連動連結させる左右一対の駆動軸6とを備えている。そして、車体2の前部は、上記各車輪3と懸架装置4とにより走行面上に支持される。
【0025】
上記車体2の前部は、その上部を構成し、サスペンションタワー7などを有する車体本体8と、この車体本体8の下方に配置されてこの車体本体8に締結具により着脱可能に締結されて支持されるサブフレーム9とを備えている。上記車体本体8とサブフレーム9とに跨るように上記各懸架装置4が支持され、かつ、上記サブフレーム9に上記駆動装置5が支持されている。
【0026】
上記懸架装置4は、上記サブフレーム9の各側部側からそれぞれ外側方に向かって突出するロアアーム12と、このロアアーム12の突出端部が上下に揺動可能となるようこのロアアーム12の基部を上記サブフレーム9の側部に枢支させる枢支具13と、上記車輪3を支持して上記ロアアーム12の突出端部の上方域に設けられ、その下端部が上記ロアアーム12の突出端部にボールジョイント14により枢結されるステアリングナックル15とを備えている。
【0027】
また、上記懸架装置4は、上下方向に延び、その上端部が上記車体本体8の側部に締結され、下端部が上記ナックル15の上端部に上下一対の締結具17,17により締結される緩衝器18とを備えている。この緩衝器18は、その主体が油圧シリンダ式の緩衝器本体19とされ、この緩衝器本体19の下端部から車体2の外側方に向かって突出し、車体2の前後方向で互いに対面する前、後支持板20,20が設けられている。
【0028】
上記ナックル15は、車体2の幅方向に延びた軸心21上に位置するボス部22と、このボス部22から下方に向かって一体的に延出し、上記ボールジョイント14により上記ロアアーム12の突出端部と互いに枢結される下部延出部23と、上記ボス部22から上方に向かって一体的に突出し、上記緩衝器18の両支持板20,20の間にがたつきなく密に嵌入されて、これら両支持板20,20に上記締結具17により締結される上部延出部24とを備えている。
【0029】
また、上記ナックル15は、上記ボス部22から車体2の後方に向かって一体的に延出し、その延出端部が不図示の操向装置側から延出するタイロッドに連結されるナックルアーム25と、上記ボス部22から車体2の前方に向かって一体的に延出するブラケット26とを備えている。
【0030】
上記ナックル15のボス部22には、これに内嵌された軸受29を介して上記軸心21回りに回転可能となるようハブ30が支承される。このハブ30には締結具31により前記車輪3が締結されると共に、前記駆動軸6の出力側端部がスプライン6aと締結具6bとにより連結される。
【0031】
上記軸心21に沿った方向で、上記車輪3とハブ30との間に介設され、上記ハブ30に締結されるブレーキディスク32と、上記ナックル15のブラケット26に上下一対の締結具33により締結され、上記ブレーキディスク32に摩擦接合可能とされるキャリパ34とが設けられている。また、上記軸心21に沿った方向で、上記ナックル15とブレーキディスク32との間にダストカバー35が介設されている。このダストカバー35は、上記ナックル15のボス部22に外嵌し、かつ、上記締結具33により上記キャリパ34と共に上記ナックル15のブラケット26に締結されている。
【0032】
次に、上記懸架装置4の組立方法につき説明する。
【0033】
図3,5において、上記ナックル15と他のナックル15´とを含み、車両1の各車種毎に形状が互いに相違する複数種のナックル15,15´が準備される。具体的には、これらナックル15,15´の互いの形状の相違とは、上記ナックルアーム25の突出寸法や上記ブラケット26における上下締結具33のピッチ寸法が互いにわずかに相違する、というものである。
【0034】
図1〜3,5において、上記複数種の各ナックル15,15´の互いに相違する位置にそれぞれ突起37,37´が形成されている。具体的には、これら突起37,37´は、上記各ナックル15,15´の上部延出部24,24´の上端面から上方に向かって一体的に突設されている。この場合、上記ナックル15では、その上部延出部24の上端面の前端部位に上記突起37が突設され、上記他のナックル15´では、その上部延出部24´の上端面の後端部位に上記突起37´が突設されている。
【0035】
図4,5において上記複数種のナックル15,15´のうちから、一つの所望ナックルとして上記ナックル15を選択したとする。このナックル15の軸心21を鉛直にさせたこのナックル15の横向き姿勢で、このナックル15を一旦載置させる載置台38が設けられる。この載置台38は、作業面上に支持され、上面が水平方向に延びる基台39と、この基台39の上面に突設され、この基台39の所定位置に上記ナックル15を位置決めする第1〜第3位置決め具40〜42とを備えている。
【0036】
上記第1〜第3位置決め具40〜42の各突出端部はそれぞれ断面が上方に向かって開放されたU字形状とされ、水平方向で互いに対面する一対の対向板45,46と、これら両対向板45,46の各下端部を互いに一体的に結合する底部47とを備えている。
【0037】
上記第1位置決め具40には、上記横向き姿勢のナックル15の下部延出部23の長手方向の中途部が嵌入される。また、上記第2位置決め具41には、上記ナックル15の上部延出部24の延出端部が嵌入される。また、上記第3位置決め具42には、上記ナックル15のナックルアーム25の延出端部が嵌入される。上記各嵌入は、いずれもがたつきなく密になされ、かつ、上記各嵌入後は、上記ナックル15の各下面が上記各底部47の上面に当接することとされている。そして、上記した各嵌入により、上記ナックル15は上記載置台38上の所定位置に位置決めされる。
【0038】
図1,4,5において、上記したように、ナックル15を上記載置台38上の所定位置に位置決めするとき、上記載置台38に形成された第1嵌入凹部50に、上記ナックル15に形成された突起37が嵌入されるようになっている。具体的には、上記第2位置決め具41における一対の対向板45,46間の空間の一部が狭められて、これが上記第1嵌入凹部50とされている。
【0039】
図5中に二点鎖線において、前記他のナックル15´の横向き姿勢で、この他のナックル15´を適正に一旦載置させる他の載置台38´が設けられる。この他の載置台38´は、前記載置台38とほぼ同形同大であるが、次のように構成されている。即ち、前記ナックル15を載置台38上に載置して所定位置に位置決めするときと同様に、上記他のナックル15´を上記他の載置台38´上に載置して所定位置に位置決めするとき、上記他の載置台38´に形成された他の第1嵌入凹部50´に、上記他のナックル15´に形成された突起37´が嵌入されるようになっている。
【0040】
このため、仮に、上記各ナックル15,15´のうちから、所望ナックル15とは種類の異なる他のナックル15´を誤選択したとし、この他のナックル15´を上記載置台38上に載置させて所定位置に位置決めすると共に、上記他のナックル15´に形成された突起37´を上記載置台38の第1嵌入凹部50に嵌入させようとすると、この嵌入はできないか、もしくは、極めて困難、という組み立て作業上の支障が発生する。よって、このような組み立て作業中における支障の発生により、上記誤選択が知覚されて、ここで、所望ナックル15を改めて選択するという作業上の修正が直ちに可能となる。
【0041】
そして、上記所望ナックル15が載置台38上に載置されて位置決めされれば、この載置台38上のナックル15に対し、上記ハブ30、ブレーキディスク32、キャリパ34、およびダストカバー35をそれぞれ締結具33などにより組み付けて、左右一対の組立体15,30,32,34,35を組み立て形成する。
【0042】
次に、上記各組立体におけるナックル15の軸心21が水平となるよう起立させて上記各組立体を起立姿勢にすると共に、これら各組立体を上記載置台38から取り出す。次に、これら各組立体のナックル15を前記ロアアーム12、枢支具13、およびボールジョイント14により上記サブフレーム9に連結すると共に、上記各組立体のハブ30に前記各駆動軸6の出力側端部を連結して、駆動モジュール51を組み立て形成する。
【0043】
図6において、前記車体本体8に対し前記各緩衝器18は締結により組み付けられている。このように予め準備された上記組立体8,18の下方から、上記駆動モジュール51を上昇させて上記緩衝器18の下端部の所定位置、つまり、上記両支持板20,20の間に上記ナックル15の上部延出部24を嵌入させて位置決めした後、このナックル15の上部延出部24を上記緩衝器18の両支持板20,20に締結具17により締結して組み付ける。
【0044】
図3において、上記したように、緩衝器18の下端部の所定位置である両支持板20,20の間に上記ナックル15の上部延出部24を位置決めするとき、上記緩衝器18に形成された第2嵌入凹部52に、上記ナックル15に形成された突起37が嵌入されるようになっている。具体的には、上記両支持板20,20間の空間の一部(上部)が狭められて、これが上記第2嵌入凹部52とされている。
【0045】
図3中二点鎖線において、前記他のナックル15´の上部延出部24´は、予め準備された上記駆動モジュール51とほぼ同構成のものにおける他の緩衝器18´に対し、適性に組み付け可能とされている。この場合、前記駆動モジュール51における緩衝器18の所定位置に対し上記ナックル15の上部延出部24を位置決めするときと同様に、上記他の緩衝器18´の所定位置に対し上記他のナックル15´の上部延出部24´を位置決めするとき、上記他の緩衝器18´に形成された他の第2嵌入凹部52´に、上記他のナックル15´に形成された突起37´が嵌入されるようになっている。
【0046】
ここで、前記したように、各ナックル15,15´に形成された各突起37,37´は、上記各ナックル15,15´の互いに相違する位置に形成されている。
【0047】
このため、仮に、上記したように各ナックル15,15´のうちから誤選択された他のナックル15´を、上記緩衝器18の所定位置に位置決めすると同時に、上記他のナックル15´に形成された突起37´を上記緩衝器18の第2嵌入凹部52に嵌入させようとすると、この嵌入はできないか、もしくは、極めて困難、という組み立て作業上の支障が発生する。よって、このような組み立て作業中における支障の発生により、上記誤選択が知覚され、ここで、再び、所望ナックル15を選択するという作業上の修正が可能となる。
【0048】
即ち、上記組立方法によれば、その組み立て作業の途中において、ナックル15につき、少なくとも2回の誤選択の知覚が可能になることから、上記所望ナックル15を選択する際に誤選択が発生したとしても、これの修正が容易にできる。よって、上記誤選択は確実かつ容易に防止されて、上記組み立て作業が容易にできることとなる。
【0049】
なお、以上は図示の例によるが、複数種の各ナックル15,15´の互いに同じ部位にそれぞれ突起37,37´を形成し、これら各突起37,37´の突出端側を種々の方向に屈曲させたり、形状を相違させたりするなどして、これら各突起37,37´の突出端側の上記ナックル15,15´に対する各位置を互いに相違させるようにしてもよい。
【0050】
また、上記ナックル15を載置台38上に載置する以前に、上記ナックル15に対する突起37の位置をレーザーによる検知器で検出し、これによっても、ナックル15の誤選択を防止するようにしてもよい。
【0051】
また、誤選択された他のナックル15´の突起37´が第1嵌入凹部50や第2嵌入凹部52に嵌入され難いことにより、上記他のナックル15´の姿勢や位置が不適切となった場合において、これを検出するセンサーを設け、その検出信号により、ブザーなどの警報を発して、懸架装置4の組立ラインを停止させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 車両
2 車体
3 車輪
4 懸架装置
8 車体本体
9 サブフレーム
12 ロアアーム
13 枢支具
14 ボールジョイント
15 ナックル
15´ ナックル
17 締結具
18 緩衝器
18´ 緩衝器
19 緩衝器本体
20 支持板
21 軸心
22 ボス部
23 下部延出部
24 上部延出部
24´ 上部延出部
25 ナックルアーム
26 ブラケット
37 突起
37´ 突起
38 載置台
38´ 載置台
39 基台
40 位置決め具
41 位置決め具
42 位置決め具
50 第1嵌入凹部
50´ 第1嵌入凹部
51 駆動モジュール
52 第2嵌入凹部
52´ 第2嵌入凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状が互いに相違する複数種のステアリングナックルを準備し、これら複数種のナックルのうちから、一つの所望ナックルを選択し、この所望ナックルを一旦載置台上に載置してこの載置台上の所定位置に位置決めし、次に、この載置台から取り出した上記所望ナックルを、予め準備された緩衝器の所定位置に位置決めした後、この緩衝器に締結するようにした車両用懸架装置の組立方法において、
上記複数種の各ナックルの互いに相違する位置にそれぞれ突起を形成し、上記所望ナックルを上記載置台上に載置して上記所定位置に位置決めするとき、上記載置台に形成された第1嵌入凹部に、上記所望ナックルに形成された突起が嵌入されるようにし、
次に、上記載置台から取り出した上記所望ナックルを上記緩衝器の所定位置に位置決めするとき、上記緩衝器に形成された第2嵌入凹部に、上記所望ナックルに形成された突起が嵌入されるようにしたことを特徴とする車両用懸架装置の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−168199(P2011−168199A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34774(P2010−34774)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】