説明

車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置

【課題】本発明は、車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置の提供にある。
【解決手段】 車両2の格納部3と昇降作動部4とをスライド機構26により往復移動するスライドプラットホーム5と前記スライドプラットホーム5を前記車両2の昇降作動部4で車両より外方へ昇降する昇降機構6とからなる車両用昇降装置7において、前記スライドプラットホーム5と前記昇降機構6にスライドロックレバー装置33が配備され、昇降機構6に対してスライドプラットホーム5が昇降作動部4の位置でロックされて昇降作動が行われると共に前記スライドプラットホーム5が昇降作動部6に復帰されたとき、前記スライドロックレバー装置33が解除されて前記スライドプラットホーム5が格納部3方向又は昇降作動部4方向へスライド自在になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、車両用昇降装置7におけるスライドプラットホーム5は、平坦な地面ではスライド駆動モーターのセルフロック性(通電しない時の保持力)で十分だが、車両とスライドプラットホームの着地面に角度が違う場合などの路面状況の悪い場所にスライドプラットホーム5を接地させることがあり、その場合はスライドプラットホーム5に戻り力が働き、昇降機構6とスライドプラットホーム5のスライド機構26の作動及び耐久性に不都合を与える可能性があることがわかった。
【0003】
特許文献1には、荷積みプラットホームを折り畳んで床面下方のスライドレールに干渉する直前の引込みレベルから床面下方に引き込んだ状態で、油圧式リフトシリンダの伸長作動により荷積みプラットホームをスライドレールに押し付け、この押付け動作により一対のロックピン71が一対のフック61の鉤部61aを下方から押圧してフック61をスプリング67のバネ力に抗して反対勢力方向に回動させてロックピン71を鉤部61a上方に通過させ、この通過動作によりフック61をスプリング67のバネ力で勢力方向に回動させて鉤部61がロックピン71に下方から係合して荷積みプラットホームを保持する、車両用荷役装置が提案されている。
【0004】
特許文献2には、観音開き式ドアを有する貨物車両において、ドアを閉じた後にドアの後部に立てて格納するテーブルゲートリフターにおいて、車両の後部門構を構成し、観音開式ドアがヒンジ結合される側柱の後面に後方に向かって突出させて取付けたロックバー取付ブラケット11と、ロックバー取付ブラケットの先端にこれと直交して取付けたスライドロックレバー13と、前記テーブルゲートリフターのフロアプレート5の側縁に横方向に出没自在に設けたスライドバー14と、スライドバーの端部にこれと直交して取付けられ、前記ロックバーが嵌る穴15bを有するロックブラケット16とからなり、前記ドアの側縁に設けたガスケット2がドアの開閉時に前記ロックバー取付ブラケット11の先端と干渉しないようにしてなるものが提案されている。
【0005】
特許文献3には、車体に取り付けられた固定部材と、前記固定部材によって水平方向へスライド可能に支持された支持基部と、前記支持基部を所定位置へスライドさせるスライド機構と、前記支持基部によって支持され、昇降作動をする平行リンクを構成する2つのアームと、前記アームを駆動する昇降駆動機構と、前記アームの先端側に回動可能に接続された荷受台とを備えた荷受台昇降装置であって、前記固定部材は、格納位置と引出位置とに対応する孔を有するスライドレールを含み、前記支持基部により、前記スライドレールに交差する方向に移動可能に支持され、先端の一部にテーパ部を有し、このテーパ部を含む先端部が前記孔に嵌脱可能である係合ピンと、前記係合ピンを前記スライドレールに向けて付勢する弾性部材と、前記係合ピンに接続され、前記テーパ部の向きを変える操作部とからなるスライドロック装置を備えたことを特徴とする荷受台昇降装置と、引き出し位置に対応する前記孔を、スライド方向に複数個設けたことを特徴とする荷受台昇降装置が提案されている。
【特許文献1】特開2008−307922号公開公報
【特許文献2】特開2001−151003号公開公報
【特許文献3】特開2000−108762号公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1は、前述のように、構成されるから、ロックピン71を一対のフック61の鉤部61の係合を開放するには、フック61を手動により回動し、その駒部61aとロックピン71を開放してからロックピン71を下方へ移動させるものであり、そのロック作動と開放作動は2段作動になる欠点がある。
【0007】
前記特許文献2は、前述のように、車両の後部門構を構成し、観音開式ドアがヒンジ結合される側柱の後面に後方に向かって突出させて取付けたロックバー取付ブラケット11と、ロックバー取付ブラケットの先端にこれと直交して取付けたスライドロックレバー13と、前記テーブルゲートリフターのフロアプレート5の側縁に横方向に出没自在に設けたスライドバー14と、スライドバーの端部にこれと直交して取付けられ、前記ロックバーが嵌る穴15bを有するロックブラケット16とからなるものであるから、手動による操作を必要とし、自動化には困難な構造である。
【0008】
前記特許文献3は、荷受台昇降装置であって、固定部材は、格納位置と引出位置とに対応する孔を有するスライドレールを含み、前記支持基部により、前記スライドレールに交差する方向に移動可能に支持され、先端の一部にテーパ部を有し、このテーパ部を含む先端部が前記孔に嵌脱可能である係合ピンと、前記係合ピンを前記スライドレールに向けて付勢する弾性部材と、前記係合ピンに接続され、前記テーパ部の向きを変える操作部とからなるスライドロック装置を備えたことと、前記スライドレールの引き出し位置に対応する前記孔を、スライド方向に複数個設けたことにあるから、係合ピンの移動の方向がスライドレールの交差する方向であるので、スライドレールの方向でないため手動による操作を必要とし、自動化には困難な構造である。
【0009】
本発明の車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置は、下記の点を配慮して昇降下限位置でのブラットホーム戻り防止を目的になされたものである。
1.車両用昇降装置の昇降作動に連動して作動するスライドロック構造であること。すわち、第1に、ベースとサイドフレームの前後上下の距離が変化することを利用したリンクである。第2に、サイドフレームの作動に連動しているので、新たな動力を必要としないため、低コストでの製作が可能である。
2.スライド領域以外ではスライドプラットホームはスライド引出限位置で確実にロックされること。
3.リミットエラーなど電気的トラブルが万一あったとしてもスライド作動しないこと。
【課題を解決するための手段】
【0010】
車両の格納部と昇降作動部にスライド機構により往復移動するスライドプラットホームと、前記車両の昇降作動部で前記スライドプラットホームを車両より外方へ昇降する昇降機構とからなる車両用昇降装置において、前記スライドプラットホームの前端に配備されたロックブロックと前記昇降機構にスプリングに付勢されて定位置に復帰するように配備されたスライドロックレバーとによりロックレバー装置が設けられ、前記昇降機構に対してスライドプラットホームを昇降作動部の位置で前記スライドロックレバーとロックブロックを衝突させて格納方向へロックして昇降作動を行うと共に前記スライドプラットホームを昇降作動部に復帰させたとき、昇降機構の復帰移動により前記スライドロックレバーを車両上に固定した操作子に衝突させて回動し、前記スライドプラットホームのロックブロックとの衝突を解消し、前記スライドプラットホームを格納部方向及び昇降作動部方向へスライド自在にすることを特徴とする車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置にある。
【0011】
前記スライド機構は、前記昇降機構の右下部フレームの外方側にはスライド駆動モーターが支架され、そのスライド駆動モーターの回転を、減速機構を介して出力する出力軸が右下部フレームの内方側に突出して配備され、その出力軸にはスライドピニオンギヤが配備され、前記スライドプラットホームは、その右側上面に前後に離隔して立設された支台柱にスライドラックが袈設され、このスライドラックの歯部とスライドピニオンギヤが噛合され、駆動モーターの回転によりスライドプラットホームは水平方向が維持されて前後にスライドするように設けられてなるものとしてもよいものである。
【0012】
前記スライドロックレバー装置は、スライドロックレバーが前記渡し板部の上面上の支軸に軸支され、その支軸を中心に一方端が前記スライドプラットホームのロックブロックの前端面に当接する当接ロック部に、支軸を中心とする反対側の他方端が車両のベース上に固定配備された操作子に当接する操作子当接部に設けられてなるものとしてもよいものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置は、車両用昇降装置の昇降作動に連動して作動するスライドロック構造であるから、新たな動力を必要としないため、低コストでの製作が可能である。
【0014】
本発明の車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置は、スライド領域以外ではスライドプラットホームはスライド引出限位置で確実にロックされるものである。
【0015】
本発明の車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置は、リミットエラーなど電気的トラブルが万一あったとしてもスライド作動しない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置の実施例を示す全体側面図である。
【図2】図2は、同じく全体平面図である。
【図3】図3は、本発明の車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライド機構及びスライドロックレバー装置の実施例を示す拡大部分平面図である。
【図4】図4は、同じくスライドプラットホームのスライド機構及びスライドロックレバー装置の実施例を示す拡大部分外側面図である。
【図5】図5は、同じく図3のA−A線に沿う拡大部分断面側面図である。
【図6】図6は、同じく本発明の車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置のスライドプラットホームの一部を切り欠きスライドロックレバーと当接するロックブロックを示す全体平面図である。
【図7】図7は、同じく本発明の車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置のスライドプラットホームの実施例を示す全体側面図である。
【図8】図8は、図7のB−B線に沿うスライドプラットホームの拡大部分断面図である。
【図9】図9は、本発明の車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置の実施例のスライドロックレバー装置のロック解除状態を示す作動説明図である。
【図10】図10は、同じくスライドロックレバー装置のロック状態を示す作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
車両2の格納部3と昇降作動部4にスライド機構26により往復移動するスライドプラットホーム5と、前記車両2の昇降作動部4で前記スライドプラットホーム5を車両より外方へ昇降する昇降機構6とからなる車両用昇降装置7において、前記スライドプラットホーム5の前端に配備されたロックブロック8と前記昇降機構6にスプリング9に付勢されて定位置に復帰するように配備されたスライドロックレバー10とによりロックレバー装置33が設けられ、昇降機構6に対してスライドプラットホーム5を昇降作動部4の位置で前記スライドロックレバー10とロックブロック8を衝突させて格納方向へロックして昇降作動を行うと共に前記スライドプラットホーム5を昇降作動部4に復帰させたとき、昇降機構6の復帰移動により前記スライドロックレバー10を車両2上に固定した操作子11に衝突させて回動し、前記スライドプラットホーム5のロックブロック8と衝突を解消し、前記スライドプラットホーム5を格納部3方向及び昇降作動部4方向へスライド自在にすることを特徴とする車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施例の車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置1を構成する各部を、実施の一例を示す図面により詳述する。
【0019】
車両2の格納部3は、スライドプラットホーム5の下面に前後に配備された連接部(図示しない)に連接して支承するL型のガイド面を備える左ガイド枠12aと右ガイド枠12bを備え、また、前記スライドプラットホーム5の下段前端部5aより前方に突設したフック13と係合する格納ロックレバー装置14を備えている。
【0020】
昇降機構6は、車両2において格納部3より乗降口2a側に配置されたベース15の左端部15aと右端部15bに、左右に所要の間隔で立ち上げられて対面する外側軸受板16aと内側軸受板16bを夫々具えた左側軸受板部17aと右側軸受板部17bが設けられ、その左側軸受板部17aと右側軸受板部17bにおいて前後に離隔すると共に前方側が高く後方側が低い上下に段差をもってアッパーアーム下段軸18aとロアアーム下段軸18bが差し渡されて支承され、このアッパーアーム下段軸18aとロアアーム下段軸18bにアッパーアーム19aとロアアーム19bの基端部が夫々回転自在に支承され、このアッパーアーム19aとロアアーム19bの先端部が夫々対応する左サイドフレーム20aと右サイドフレーム20bの夫々の上部に、前記ベース15における左側軸受板部17aのアッパーアーム下段軸18aとロアアーム下段軸18bと同じ前後の間隔と上下の段差間隔をもって配備されたアッパーアーム上段軸21aとロアアーム上段軸21bに前記アッパーアーム19aとロアアーム19bの先端部が夫々回転自在に支承され、アッパーアーム19aとロアアーム19bが平行四辺形リンクに構成され、かつアッパーアーム上段軸21aとロアアーム下段軸18bに拡張型の油圧シリンダー部22aとピストンロッド部22bから構成される油圧シリンダー22が差し渡し配備されてなる。
【0021】
前記昇降機構6の左サイドフレーム20aの下部と右サイドフレーム20bの下部には互いに対面する左下部フレーム20a1と右下部フレーム20b1が一体に配備され、それら左下部フレーム20a1と右下部フレーム20b1の内面には、夫々が前後に離隔すると共に内方側に突出する前ローラ23aと後ローラ23bが回転自在に軸支されて配備され、それら前ローラ23aと後ローラ23bが前記スライドプラットホーム5の左右外側面に設けられる左コ字型レール枠24aと右コ字型レール枠24bに嵌挿され、また、前記前ローラ23aと後ローラ23bとの間に左右の側方を規制する横向き前ローラ23cと横向き後ローラ23dが左コ字型レール枠24aと右コ字型レール枠24bに嵌挿され、前記スライドプラットホーム5は水平前後方向にスライド自在に支袈される。
【0022】
前記昇降機構6の左サイドフレーム20aの左下部フレーム20a1と右下部フレーム20b1には、渡し板部25が接続され、左サイドフレーム20aの左下部フレーム20a1が一体に昇降するように設けられる。
【0023】
前記昇降機構6に対してスライドプラットホーム5を格納部3と昇降作動部4とを往復移動させるスライド機構26は、以下の構成からなる。
【0024】
前記昇降機構6の右下部フレーム20b1の外方側にはスライド駆動モーター27が支架され、そのスライド駆動モーター27の回転を、減速機構を介して出力する出力軸28が右下部フレーム20b1の内方側に突出して配備され、その出力軸28にはスライドピニオンギヤ29が配備されている。
【0025】
前記スライドプラットホーム5は、右コ字型レール枠24bの上面に前後に離隔して前支台柱30aと後支台柱30bが立設され、その前支台柱30aと後支台柱30bの上面にスライドラック31が袈設される。このスライドプラットホーム5は、前述のように、その左右に配備する左コ字型レール枠24aと右コ字型レール枠24bが前記昇降機構6の前ローラ23aと後ローラ23bに嵌挿された状態で前記スライドラック31の歯部31aとスライドピニオンギヤ29が噛合される。スライド駆動モーター27の回転によりスライドプラットホーム5は水平方向が維持されて前後にスライドするように設けられる。前記横向き前ローラ23cと横向き後ローラ23dは、左コ字型レール枠24aと右コ字型レール枠24bの外側面に連接され、左右への動揺が規制されて前後にスライドするように設けられる。
【0026】
本発明の実施例では、前記渡し板部25はメイン渡し板部25aとサブ渡し板部25bから設けられ、そのサブ渡し板部25bの上面には、支軸32に軸支されるスライドロックレバー10を備え、スプリング9に付勢されて定位置に復帰し、その一端は前記スライドプラットホーム5のロックブロック8と当接するスライドロックレバー装置33が配備されている。
【0027】
前記スライドロックレバー10は、支軸32を中心に一方端が前記スライドプラットホーム5のロックブロック8の前端面に当接する当接ロック部10a1に、支軸32を中心とする反対側の他方端が車両2のベース15上に配備された操作子11に当接する操作子当接部10a2に設けられる。前記スライドロックレバー10は、図9及び図10に示すように、前記当接ロック部10a1と操作子当接部10a2が形成される上板10aと、前記スプリング9の一方端と接続する接続レバー部10b1とサブ渡し板部25bの前起立縁25b1の内面に当接してスライドロックレバー10のロック定位置を維持するロックレバー部10b2が形成される下板10bとから構成される。その上板10aと下板10bは一体に設けられる。この両者の一体化は上板10aには凹部10a3が、下板10bには係合突部10b3が夫々形成され、互いに嵌合することにより図られる。前記上板10aと下板10bは互に溶接しても、また、前記上板10aと下板10bを一枚の鋼板から設け、上板10aと下板10bに構成される各部を設けもよいものである。
【0028】
前記操作子11は、ベース15上に固着されたステイ11aに回転自在に軸支される支輪11bから設けられる。
【0029】
前記スプリング9は、その一方端が前記スライドロックレバー10の支軸32と操作子当接部10a2の間である接続レバー部10b1に接続され、他方端が支軸32を一体に支持する支台板34に接続され、その復帰力により前記スライドロックレバー10の当接ロック部10a1がスライドプラットホーム5のロックブロック8の前端面に当接するように回動され、ロックレバー部10b2がサブ渡し板部25bの前起立縁25b1の内面に当接する定位置に復帰させる。前記支台板34はサブ渡し板部25bに固着されている。
【0030】
前記スライドロックレバー装置33は、前記支軸32が前記実施例では縦向きに配置しているが、スライドプラットホーム5を厚みのあるものに構成できる場合は、地面と水平方向に設定し、前記スライドロックレバー10を上下に回動させることも可能である。
【0031】
スライドプラットホーム5の下段前端面5aに配備された支板35には、一部が前記格納部3の終端停止板36と衝突する衝突部35aが設けられ、スライドプラットホーム5の格納停止位置が規制され、スライドプラットホーム5及び格納部3が保護されている。
【0032】
本発明の実施例の車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置1は、以上のように構成されるから、スライドプラットホーム5が図1において2点鎖線で示すように車両2の格納部3に格納されているとき、スライドプラットホーム5のスライドロックレバー10の当接ロック部10a1は、図10に示すように、操作子11の支輪11bに押されてスプリング9を伸長させてスライドプラットホーム5の前後のスライドにしたがって移動するロックブロック8の通路より内側に回動しているから前後方向に移動するロックブロック8と衝突することがない状態にある。ここで、電動スイッチによる格納ロックレバー装置14を開放した後、スライド駆動モーター27を回転させれば、その回転により伝動するスライドピニオンギヤ29によりスライドラック31を後方へ移動し、スライドプラットホーム5を後方へ水平移動させることができる。そして、例えば、右コ字型レール枠24bの前端の前端板37を前ローラ23aに衝突させてスライドプラットホーム5の後進を停止させることができる。
【0033】
次に、前記油圧シリンダー22が単動式の場合は、それに接続する油圧回路を開放し、ハンドル38を持って手動でスライドプラットホーム5を引き出してアッパーアーム18a及びロアアーム18bを、アッパーアーム下段軸18a1及びロアアーム下段軸18b1を中心にスライドプラットホーム5と共に後方へ移動し、その移動により左右下部フレーム20a1及び20b1間の渡し板部25上のスライドロックレバー装置33は後方へ移動するから、スライドロックレバー10は後方へ移動し、操作子当接部10a2は操作子11の支輪11bから離れ、スプリング9の収縮作用により支軸32を中心にスライドロックレバー10は回動し、当接ロック部10a1をスライドプラットホーム5のロックブロック8の先端に係合し、渡し板部25に対してスライドプラットホーム5が前方への移動をストップさせる。このようにスライドプラットホーム5を渡し板部25にロックした状態で、さらにハンドル38をもって後方へ移動させると、その重力作用でピストンロッド22bを押し込み前記油圧シリンダー22内の油を油圧回路へ押出し、定速度でスライドプラットホーム5を降下して路面等の着地面40に接地させる。
【0034】
前記油圧シリンダー22が押上油圧回路と押下油圧回路が接続される復動式の場合は、押上油圧回路を開放し、押下油圧回路を閉じて作動させれば、手動による初動作動を自動化し、以後押下油圧回路も開放して定速度でスライドプラットホーム5を降下して路面等の着地面40に接地させることができる。
【0035】
スライドプラットホーム5が接地した着地面40が図1に示す状態のように前下がりの傾斜面であるとき、スライドプラットホーム5に、矢印Cの方向、即ち前方に力が加えられても、スライドプラットホーム5は、一体のロックブロック8がスライドロックレバー10を介して左右サイドフレーム20a及び20bの渡し板部25に係合されているので、前方への移動はロックされており、この前進力がスライドプラットホーム5上のスライドラック31からスライドピニオンギヤ29にのみ伝達されることがないのである。
【0036】
次に、スライドプラットホーム5を上昇させるには、油圧シリンダー22が単動式の場合は、油圧回路を閉じて油圧を掛けて油を油圧シリンダー22に注入してピストンロッド部22bを押し出すと、アッパーアーム19a及びロアアーム19bは、アッパーアーム下段軸18a及びロアアーム下段軸18bを中心に回動して上昇し、スライドプラットホーム5を昇降機構6と共に前方へ移動し、その移動により左右下部フレーム20a1及び20b1間の渡し板部25上のスライドロックレバー装置33を前方へ移動し、スライドロックレバー10の操作子当接部10a2を車両2上に固定される操作子11の支輪11bに押し当て渡し板部25の前進移動によりスライドロックレバー10が支軸32を中心にスプリング9を伸長してスライドプラットホーム5のロックブロック8より内側に回動され、ロックブロック8の移動通路を避ける位置に回動される。よって、スライドプラットホーム5と昇降機構6とのロックは解除される。
【0037】
油圧シリンダー22が復動式の場合は、押下油圧回路は開放しているので、押上油圧回路を閉じて油圧を掛けて油を油圧シリンダー22に注入してピストンロッド部22bを押し出すことにより上昇し、同様にスライドプラットホーム5と昇降機構6とのロックは解除される。
【0038】
ここで、スライド駆動モーター27を反対に回転し、伝動するスライドピニオンギヤ29によりスライドラック31が前方へ移動し、スライドプラットホーム5を後方へ水平移動させ、スライドプラットホーム5の下段前端面5aに配備された支板35の衝突部35aを前記格納部3の終端停止板36に衝突させて停止し、スライドプラットホーム5を格納部3に格納し、かつスライドプラットホーム5のフック13を格納ロックレバー装置14に係合して格納状態にロックする。後端板39は、右コ字型レール枠24bの後端において、後ローラ23bと衝突しその外止となる。前記前端板37は取り外し自在である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置は以上のようになるから、スライド領域以外ではスライドプラットホームがスライド引出限位置で確実にロックされる。また、昇降作動に連動しているので新たな動力を必要としないため低コストでの製作が可能であり、また、電気的トラブル(リミットエラーなど)が万一あったとしてもスライドロックが解除されないためスライドプラットホームが移動しない。
よって、低コストで、円滑な作動性と安全性が確保された車両用昇降装置を提供できる。
【符号の説明】
【0040】
1 車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置
2 車両
2a 乗降口
3 格納部
4 昇降作動部
5 スライドプラットホーム
5a 下段前端部
6 昇降機構
7 車両用昇降装置
8 ロックブロック
9 スプリング
10 スライドロックレバー
10a 上板
10a1 当接ロック部
10a2 操作子当接部
10a3 凹部
10b 下板
10b1 接続レバー部
10b2 ロックレバー部
10b3 係合突部
11 操作子
11a ステイ
11b 支輪
12a 左ガイド枠
12b 右ガイド枠
13 フック
14 格納ロックレバー装置
15 ベース
15a 左端部
15b 右端部
16a 外側軸受板
16b 内側軸受板
17a 左側軸受板部
17b 右側軸受板部
18a アッパーアーム下段軸
18b ロアアーム下段軸
19a アッパーアーム
19b ロアアーム
20a 左サイドフレーム
20a1 左下部フレーム
20b 右サイドフレーム
20b1 右下部フレーム
21a アッパーアーム上段軸
21b ロアアーム上段軸
22 油圧シリンダー
22a 油圧シリンダー部
22b ピストンロッド部
23a 前ローラ
23b 後ローラ
23c 横向き前ローラ
23d 横向き後ローラ
24a 左コ字型レール枠
24b 右コ字型レール枠
25 渡し板部
25a メイン渡し板部
25b サブ渡し板部
25b1 前起立縁
26 スライド機構
27 スライド駆動モーター
28 出力軸
29 スライドピニオンギヤ
30a 前支台柱
30b 後支台柱
31 スライドラック
31a 歯部
32 支軸
33 スライドロックレバー装置
34 支台板
35 支板
35a 衝突部
36 終端停止板
37 前端板
38 ハンドル
39 後端板
40 着地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両2の格納部3と昇降作動部4にスライド機構26により往復移動するスライドプラットホーム5と、前記車両2の昇降作動部4で前記スライドプラットホーム5を車両より外方へ昇降する昇降機構6とからなる車両用昇降装置7において、前記スライドプラットホーム5の前端に配備されたロックブロック8と前記昇降機構6にスプリング9に付勢されて定位置に復帰するように配備されたスライドロックレバー10とによりスライドロックレバー装置33が設けられ、前記昇降機構6に対してスライドプラットホーム5を昇降作動部4の位置で前記スライドロックレバー10とロックブロック8を衝突させて格納方向へロックして昇降作動を行うと共に前記スライドプラットホーム5を昇降作動部4に復帰させたとき、昇降機構6の復帰移動により前記スライドロックレバー10を車両2上に固定した操作子11に衝突させて回動し、前記スライドプラットホーム5のロックブロック8と衝突を解消し、前記スライドプラットホーム5を格納部3方向及び昇降作動部4方向へスライド自在にすることを特徴とする車両用昇降装置7におけるスライドプラットホームのスライドロック装置。
【請求項2】
前記スライド機構26は、前記昇降機構6の右下部フレーム20b1の外方側にはスライド駆動モーター27が支架され、そのスライド駆動モーター27の回転を、減速機構を介して出力する出力軸28が右下部フレーム20b1の内方側に突出して配備され、その出力軸28にはスライドピニオンギヤ29が配備され、前記スライドプラットホーム5は、その右側上面に前後に離隔して立設された支台柱にスライドラック31が袈設され、このスライドラック31の歯部31aとスライドピニオンギヤ29が噛合され、スライド駆動モーター27の回転によりスライドプラットホーム5は水平方向が維持されて前後にスライドするように設けられてなる請求項1の車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置。
【請求項3】
前記スライドロックレバー装置33は、スライドロックレバー10が前記渡し板部25の上面上の支軸32に軸支され、その支軸32を中心に一方端が前記スライドプラットホーム5のロックブロック8の前端面に当接する当接ロック部10a1に、支軸32を中心とする反対側の他方端が車両2のベース15上に配備された操作子11に当接する操作子当接部10a2に設けられ、前記操作子11は、ベース15上に固着されたステイ11aに回転自在に軸支される支輪11bから設けられてなる請求項1又は請求項2の車両用昇降装置におけるスライドプラットホームのスライドロック装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−218607(P2012−218607A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87246(P2011−87246)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(393011692)和光工業株式会社 (23)