説明

車両用映像記録装置

【課題】過電流による故障を防止しつつ、過電流が流れた場合でもカメラにより撮影された画像を継続的に記録することができる車両用映像記録装置を提供する。
【解決手段】ドライブレコーダ1は、映像を撮影するカメラ11により撮影された映像の記録を制御する制御ユニット12を有している。制御ユニット12は、複数のカメラ11毎に設けられて、カメラ11を作動させる電力を供給する複数の電力供給経路13と、複数の電力供給経路13により複数のカメラ11へそれぞれ電力を供給して、作動したカメラ11により撮影された映像が入力されるCPU21とを有している。CPU21による電力の供給を停止するカメラ電源制御部28は、過電流が流れた電力供給経路13による電力の供給を遮断してCPU21による電力の供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、撮影手段により撮影された映像を記録する車両用映像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載され、カメラにより撮影された映像を記録する記録装置として、特開2010−182214号公報(特許文献1)に記載された記録装置が提案されている。
【0003】
このような記録装置は、ケーブルによって電源に接続された複数のカメラにより撮影された画像を記録装置で記録することにより、記録した画像を車両が事故に遭遇した場合の事故原因の解析等に利用している。
【0004】
そして、上記記録装置は、カメラやケーブルに過電流が流れた場合に、この過電流により記録装置が故障することを防止するため、過電流が流れているカメラと記録装置との接続を一時的に遮断する自動復帰型の過電流保護素子により、記録装置へ過電流が流れることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−182214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記記録装置では、複数のカメラに1本のケーブルから分岐して電源からの電力を供給している。また、このケーブルから分岐して記録装置にも電源を供給している。このため、過電流保護素子が1つのカメラと記録装置との接続を一時的に遮断した場合に、過電流保護素子が復帰するまでの間、接続が遮断されていない他のカメラへ電力が供給されず、映像を撮影することができない。
【0007】
また、過電流保護素子が1のカメラと記録装置との接続を遮断した場合に、過電流が流れたカメラやケーブルを交換しない限り、過電流保護素子が接続の遮断と復帰を繰り返すため、接続が遮断されていない他のカメラで撮影した画像は断片的に記録されることとなる。
【0008】
その上、ケーブル上で過電流が流れている間は、ケーブルから分岐して電源が供給される記録装置に対する供給電圧が低下するので、バックアップ電源を用いて低下した電圧を補わなければ、記録装置を正常に動作させ続けることができなくなってしまう。
【0009】
そこで、本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、過電流による故障を防止しつつ、過電流が流れた場合でもカメラにより撮影された画像を継続的に記録装置で記録させ続けることができる車両用映像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、車両に搭載され、映像を撮影可能な複数の撮影手段と、この複数の撮影手段と接続されて該撮影手段により撮影された映像の記録を制御する制御ユニットと、を有する車両用映像記録装置であって、前記制御ユニットは、前記複数の撮影手段毎に設けられて、自身に供給された電力の一部を、前記撮影手段を作動させる電力として各撮影手段にそれぞれ供給するための複数の電力供給経路と、前記複数の電力供給経路を介して前記複数の撮影手段へそれぞれ電力を供給する電力供給手段と、前記複数の電力供給経路による前記複数の撮影手段への電力の供給を個別に遮断することにより前記電力供給手段による電力の供給を停止する電力供給停止手段と、を有し、前記電力供給停止手段は、前記電力供給経路に所定の電流値を超える過電流が流れた場合に、過電流が流れた電力供給経路による電力の供給を遮断して前記電力供給手段による撮影手段への電力の供給を停止することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用映像記録装置において、前記制御ユニットは、前記複数の電力供給経路のうち少なくとも1つの電力供給経路による電力の供給を遮断して前記電力供給手段による電力の供給を停止した場合に、前記撮影手段への電力の供給の停止に関する情報を記録する停止情報記録手段を更に有することを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両用映像記録装置において、前記制御ユニットは、前記複数の電力供給経路のうち少なくとも1つの電力供給経路による電力の供給を遮断して前記電力供給手段による電力の供給を停止した場合に、前記撮影手段への電力の供給の停止を報知する報知手段を更に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、制御ユニットは、電力供給経路に所定の電流値を超える過電流が流れた場合に、過電流が流れた電力供給経路による電力の供給を遮断して電力の供給を停止する。このため、制御ユニットに対する電源の供給経路の延長線上に存在する電力供給経路の短絡によって制御ユニットにも過電流が流れることによる、制御ユニットの故障を防止することができる。
【0014】
また、制御ユニットは、撮影手段を作動させる電力を供給する電力供給経路を複数の撮影手段毎に設けている。このため、1つの電力供給経路による電力の供給を遮断しても、接続が遮断されていない他のカメラに電力を供給することができる。
【0015】
このため、過電流が流れた1つの電力供給経路による電力の供給を遮断することで、他のカメラによる映像の記録を制御ユニットにおいて継続することができる。
【0016】
従って、1つのカメラやそのカメラへの電力供給系路上での短絡によって、他のカメラや制御ユニットが過電流により故障するのを防止しつつ、そのカメラ以外のカメラにより撮影された画像を制御ユニット側で継続的に記録することができる車両用映像記録装置を提供することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、制御ユニットは、撮影手段への電力の供給を停止した場合に、撮影手段への電力の供給の停止に関する情報を記録する。このため、撮影手段で撮影された映像が記録されていない場合に、電力供給停止に関する情報を参照することにより、映像が記録されていない原因の解析をすることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、制御ユニットは、撮影手段への電力の供給を停止した場合に、撮影手段への電力の供給の停止を報知手段により報知する。このため、電力供給が停止された撮影手段があることを認識させ、その撮影手段乃至電力供給経路を特定して制御ユニットから電気的に切り離させ、あるいは、新しいものと交換させることを、報知手段の報知により促し、過電流状態の早期解消を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る車両用映像記録装置の電力供給停止処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置に記録される記録領域を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置について図面を参照して説明する。はじめに、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置の構成について説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置の構成を示す説明図である。図2は、本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0022】
本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置(ドライブレコーダ)は、カメラ(撮影手段)で撮影された車両の内部及び外部の映像、車両の走行に関する車両情報を記録する記録装置である。
【0023】
そして、本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置(ドライブレコーダ)は、カメラ(撮影手段)に異常が発生すると、カメラへの電力の供給を停止して、車両用映像記録装置の制御ユニットの破損を防止する。
【0024】
図1に示すように、車両用映像記録装置(ドライブレコーダ)1は、車両5に搭載されている。この車両用映像記録装置1は、車両5の映像を撮影可能な複数の撮影手段(カメラ)11(11a、11b)と、このカメラ11と接続されてカメラ11により撮影された映像の記録を制御する制御ユニット12とから略構成されている。
【0025】
この制御ユニット12は、複数のカメラ11(11a、11b)に設けられて、カメラ11を作動させる電力を供給する複数の電力供給経路13(13a、13b、制御ユニット20からカメラ11内部への回路)を有している。
【0026】
つまり、カメラ11aは、電力供給経路13aにより制御ユニット12から作動するために必要な電力が供給され、カメラ11bは、電力供給経路13bにより制御ユニット12から作動するために必要な電力が供給される。
【0027】
次に、図2を参照して、本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置(ドライブレコーダ)1の電気的構成について説明する。制御ユニット12は、ドライブレコーダ1の全体の制御を行う。
【0028】
制御ユニット12は、CPU(Central Processing Unit)21を有している。CPU21は、複数の電力供給経路13(13a、13b)により、バッテリ(図示省略)から供給された電力をカメラ11(11a、11b)へ供給する。
【0029】
本発明の実施形態では、CPU21は、複数の電力供給経路13(13a、13b)により複数のカメラ11(11a、11b)へそれぞれ電力を供給して、作動したカメラ11により撮影された映像が入力される電力供給手段として機能する。
【0030】
このCPU21には、映像を撮影するカメラ11(11a、11b)と、車両5(図1参照)に作用する加速度(G)を検出するGセンサ22と、車両5の走行速度を検出する速度センサ23とがインターフェース(I/F)24〜26を介して接続されている。
【0031】
また、CPU21には、制御ユニット12とカメラ11(11a、11b)間の電流を監視する電流監視部27a、27bと、カメラ11への電力の供給又は供給の停止を制御するカメラ電源制御部28とが接続されている。
【0032】
さらに、CPU21には、カメラ11(11a、11b)で撮影された映像の画像データ等を記録するSDRAM29と、カメラ11に異常が発生したことを報知するLED30及びスピーカ31とが接続されている。CPU21は、SDカード32と接続可能であり、SDRAM27に記録された画像データ等をSDカード32へ出力する。
【0033】
カメラ11(11a、11b)は、インターフェース(I/F)24a、24bを介してCPU21と接続されており、CPU21は、カメラ11で撮影された映像の画像データをインターフェース(I/F)24a、24bを介して取得し、SDRAM29に記録する。
【0034】
Gセンサ22は、インターフェース(I/F)25を介してCPU21と接続されており、CPU21は、Gセンサ22で検出される加速度データをインターフェース(I/F)25を介して取得し、SDRAM29に記録する。
【0035】
速度センサ23は、速度インターフェース(I/F)26介してCPU21と接続されており、CPU21は、速度センサ23で測定された車両5(図1参照)の速度データを速度インターフェース(I/F)26介して取得し、SDRAM29に記録する。
【0036】
電流監視部27a、27bは、カメラ11(11a、11b)毎に設けられており、CPU21からカメラ11へ分配された電力を供給する電力供給経路13(13a、13b)の電圧値を検出してCPU21へ出力する。CPU21は、出力された電圧値に基づいて電力供給経路13に過電流が流れているか否かを判断する。
【0037】
カメラ電源制御部28は、複数のカメラ11(11a、11b)に対して1つ設けられており、CPU21が電力供給経路13(13a、13b)に過電流が流れていると判断した場合に出力する電力供給停止信号に基づいて、電力供給経路13による電力の供給を遮断する。
【0038】
このカメラ電源制御部28は、本発明の実施形態では、複数の電力供給経路13(13a、13b)による電力の供給を個別に遮断することによりCPU21による電力の供給を停止する電力供給停止手段として機能する。
【0039】
そして、電力供給経路13(13a、13b)に所定の電流値を超える過電流が流れた場合に、過電流が流れた電力供給経路13による電力の供給を遮断してCPU21による電力の供給を停止する。
【0040】
SDRAM29は、カメラ11(11a、11b)で撮影された映像の画像データ、カメラ11への電力の供給の停止に関する停止情報データ、Gセンサ22で検出された加速度データ、速度センサ23で測定された速度データ等(車両情報データ)を記録する。
【0041】
このSDRAM29は、本発明の実施形態では、カメラ11(11a、11b)への電力の供給の停止に関する情報を記録する停止情報記録手段として機能する。
【0042】
LED30は、CPU21がカメラ11(11a、11b)への電力の供給経路に過電流が流れていると判断した場合に出力される電力供給停止信号に基づいて、点灯及び点滅することにより、カメラ11への電力の供給が停止したことを報知する。
【0043】
スピーカ31は、CPU21がカメラ11(11a、11b)への電力の供給経路に過電流が流れていると判断した場合に出力される電力供給停止信号に基づいて、警告音を出力することにより、カメラ11への電力の供給が停止したことを報知する。
【0044】
SDカード32は、例えば、制御ユニット12から取り外しが可能なカード型メモリであり、SDRAM29に記録された画像データ、停止情報データ、車両情報データ等を記録する。
【0045】
次に、図3及び図4を参照して、本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置(ドライブレコーダ)1のCPU21が実行する動作について説明する。図3は、本実施形態に係る車両用映像記録装置の電力供給停止処理を示すフローチャートである。図4は、本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置に記録される記録領域を模式的に示した図である。
【0046】
はじめに、車両用映像記録装置(ドライブレコーダ)1の制御ユニット12(図2参照)の電源(図示省略)がONされると、CPU21(図2参照)は、バッテリ(図示省略)から供給された電力を分配して、カメラ11a、11b(図1及び図2参照)へ電力を供給する(ステップS101)。これにより、カメラ11a、11bは、制御ユニット12(CPU21)から供給される電力により作動する。
【0047】
次に、CPU21は、カメラ電圧が正常であるか否かを判断する(ステップS102)。カメラ電圧が正常であるか否かは、電流監視部27a、27b(図2参照)により出力された電力供給経路13a、13bの電圧値が所定の閾値以下であるか否かに基づいて判断する。
【0048】
CPU21は、カメラ電圧が正常であると判断した場合には(ステップS102:YES)、画像記録を開始する(ステップS103)。
【0049】
つまり、CPU21は、電流監視部27a、27b(図2参照)により検出され出力された電力供給経路13の電圧値が所定の閾値以上である場合には、カメラ電圧が正常である(電力の供給経路13に過電流が流れていない)と判断し、カメラ11(11a、11b)により撮影された映像をSDRAM29(図2参照)に記録する。
【0050】
また、Gセンサ22、速度センサ23(図2参照)等で検出及び測定された車両の走行に関する車両情報(加速度データ、速度データ等)をSDRAM29(図2参照)に記録する。
【0051】
一方、CPU21は、カメラ電圧が正常ではないと判断した場合には(ステップS102:NO)、ステップS105へ処理を移す。
【0052】
次に、CPU21は、本体の電源がOFFであるか否かを判断する(ステップS104)。つまり、制御ユニット12に設けられた電源(図示省略)をOFFすることにより、バッテリ(図示省略)からの電力の供給を停止したか否かを判断する。
【0053】
CPU21は、本体の電源がOFFではないと判断した場合には(ステップS104:NO)、ステップS102へ処理を戻し、本体の電源がOFFであると判断した場合には(ステップS104:YES)、電力供給停止制御処理を終了する。
【0054】
なお、ステップS104において、本体の電源がOFFであると電力供給停止制御処理を終了する代わりに、過電流が流れた電力供給経路13がカメラ11(11a、11b)と共に、CPU21から切り離された(CPU21との接続が解消された)ことを検出した場合に、電力供給停止制御処理を終了するものとしてもよい。
【0055】
一方、CPU21は、カメラ電圧が正常ではない(電力供給経路13に過電流が流れている)と判断した場合には(ステップS102:NO)、カメラ電源をOFFにする(ステップS105)。
【0056】
つまり、CPU21は、電流監視部27a、27b(図2参照)により検出した電力供給経路13(13a、13b)の電圧値が所定の閾値以下である場合、CPU21は、電力の供給経路13に過電流が流れていると判断し、カメラ電源制御部28(図2参照)へ電力供給停止信号を出力する。
【0057】
そして、カメラ電源制御部28(図2参照)は、CPU21から入力した電力供給停止信号に基づいて、過電流が流れている電力供給経路13(13a、13b)による電力の供給を遮断してカメラ11(11a、11b)への電力の供給を停止する。
【0058】
これにより、過電流が流れた電力供給経路13(13a、13b)による電力の供給が遮断され、過電流が流れたカメラ11(11a、11b)に対してCPU21による電力の供給を停止する。なお、過電流が流れたカメラ11を含む全てのカメラ11(11a、11b)に対する電力の供給を全て停止するようにしてもよい。また、電力供給停止の対象を、過電流が流れたカメラ11(11a、11b)のみとするか、全てのカメラ11(11a、11b)とするかを、別途ユーザの指定操作によって選択できるようにしてもよい。
【0059】
次に、CPU21は、カメラ異常のログを記録する(ステップS106)。つまり、カメラ電圧が異常である(電力の供給経路に過電流が流れている)場合に、カメラ11(11a、11b)への電力の供給の停止に関する情報をSDRAM29に記録する。
【0060】
SDRAM29に記録される電力の供給の停止に関する情報は、図4(a)に示すように、管理データに対して、種別コードと、オプションデータとが対応づけられて記録される。
【0061】
種別コード42には、図4(b)に示すように、カメラ11(11a、11b)の異常状態の種別(カメラ接続異常、カメラ電流異常、カメラ画像異常等)が複数規定されている。また、オプションデータ43には、図4(c)に示すように、異常が発生したカメラ番号が規定される。
【0062】
そして、カメラ11(11a、11b)への電力の供給を停止すると、SDRAM29には、管理データ41に対して、カメラ電流異常に対応する種別コードと、異常が発生したカメラ番号に対応するオプションデータ43とが記録される。
【0063】
このように、CPU21は、カメラ11(11a、11b)への電力の供給を停止した場合に、カメラ11への電力の供給の停止に関する情報をSDRAM29へ記録する。このため、カメラ11で撮影された映像が記録されていない場合に、停止に関する情報を参照することにより、映像が記録されていない原因の解析をすることができる。
【0064】
つまり、カメラ11により撮影された映像がSDRAM29へ記録されていない場合、カメラ11に過電流が流れていたために映像が記録されていないか、カメラ11が制御ユニット12に接続されていないために映像が記録されていないかを判断することができる。
【0065】
なお、SDRAM29へのログの記録は、カメラ11(11a、11b)への電力の供給を停止した場合以外に、制御ユニット12に設けられた電源(図示省略)がOFFされた場合等に、カメラ11の接続異常等を検出してログを記録するように構成しても良い。
【0066】
次に、CPU21は、カメラ異常を通知する(ステップS107)。つまり、CPU21は、電力の供給経路13(13a、13b)に過電流が流れていると判断した場合に電力供給停止信号をLED30及びスピーカ31(図2参照)へ出力する。
【0067】
電力供給停止信号を入力したLED30は、点灯及び点滅することにより、車両5(図1参照)の運転者にカメラ11(11a、11b)への電力の供給が停止したことを報知する。また、電力供給停止情報信号を入力したスピーカ31は、警告音を出力することにより、カメラ11への電力の供給が停止したことを報知する。
【0068】
次に、CPU21は、本体(制御ユニット)12の電源をOFFしたか否かを判断する(ステップS108)。つまり、制御ユニット12の電源(図示省略)をOFFすることにより、バッテリ(図示省略)からの電力の供給を停止したか否かを判断する。
【0069】
CPU21は、本体(制御ユニット)12の電源(図示省略)をOFFしていないと判断した場合には(ステップS108:NO)、本体(制御ユニット)12の電源がOFFされるまで待機する。
【0070】
つまり、CPU21は、本体(制御ユニット)12の電源がOFFされるまで待機するため、制御ユニット12の電源がOFFされるまで、Gセンサ22(図2参照)で検出された加速度データ、速度センサ23(図2参照)で測定された速度データ等(車両情報データ)をSDRAM29へ記録することができる。
【0071】
このように、制御ユニットは、カメラ11(11a、11b)への電力の供給を停止した場合に(ステップS105)、車両の走行に関する車両情報(加速度データ、速度データ等)を継続して記録する。このため、カメラ11により映像が撮影されていない場合でも車両情報を取得することができる。
【0072】
一方、CPU21は、本体(制御ユニット)12の電源(図示省略)がOFFしたと判断した場合には、(ステップS108:YES)、SDRAM29(図2参照)へ記録した画像データ、停止情報データ、車両情報データ等をSDカード32(図2参照)へ記録して電力供給停止処理を終了する。
【0073】
このように、CPU21は、SDRAM29(図2参照)へ記録した画像データ等をSDカード32(図2参照)へ記録するため、SDカード32に記録した画像データ等を外部機器で読み出してディスプレイ等で表示することができる。
【0074】
このようにして、CPU21は、電力供給経路13(13a、13b)に所定の電流値を超える過電流が流れた場合に、過電流が流れた電力供給経路13による電力の供給を遮断して電力の供給を停止する。このため、過電流が流れた電力供給経路13と電源(図示省略)との間の回路上に位置する制御ユニット12に過電流が流れることによる制御ユニット12の故障を防止することができる。
【0075】
また、CPU21は、カメラ11(11a、11b)を作動させる電力を供給する電力供給経路13(13a、13b)を複数のカメラ11毎に設けている。このため、1つの電力供給経路13による電力の供給を遮断しても、接続が遮断されていない他のカメラ11には制御ユニット12から電力を供給することができ、他のカメラ11による映像を継続して記録することができる。
【0076】
このようにして、本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置(ドライブレコーダ)1は、車両5に搭載され、映像を撮影可能な複数の撮影手段(カメラ11(11a、11b))と、この複数の撮影手段(カメラ11)と接続されて撮影手段(カメラ11)により撮影された映像の記録を制御する制御ユニット12と、を有する車両用映像記録装置(ドライブレコーダ)1であって、制御ユニット12は、複数の撮影手段(カメラ11)毎に設けられて、自身(制御ユニット12)に供給された電力の一部を、撮影手段(カメラ11)を作動させる電力として各撮影手段(カメラ11)にそれぞれを供給するための複数の電力供給経路13(13a、13b)と、複数の電力供給経路13を介して複数の撮影手段(カメラ11)へそれぞれ電力を供給する電力供給手段(CPU)21と、複数の電力供給経路13による複数の撮影手段(カメラ11)への電力の供給を個別に遮断することにより電力供給手段(CPU21)による電力の供給を停止する電力供給停止手段(カメラ電源制御部28)と、を有し、電力供給停止手段(カメラ電源制御部28)は、電力供給経路13に所定の電流値を超える過電流が流れた場合に、過電流が流れた電力供給経路13による電力の供給を遮断して電力供給手段(CPU)21による撮影手段(カメラ11)への電力の供給を停止する。
【0077】
また、本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置(ドライブレコーダ)1は、制御ユニット12は、複数の電力供給経路13(13a、13b)のうち少なくとも1つの電力供給経路13による電力の供給を遮断して電力供給手段(CPU21)による電力の供給を停止した場合に、撮影手段(カメラ11(11a、11b))への電力の供給の停止に関する情報を記録する停止情報記録手段(SDRAM29)を更に有する。
【0078】
さらに、本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置(ドライブレコーダ)1は、制御ユニット12は、カメラ11(11a、11b)により撮影した映像と車両5の走行に関する車両情報とを記録し、複数の電力供給経路13のうち少なくとも1つの電力供給経路13による電力の供給を遮断して電力供給手段(CPU21)による電力の供給を停止した場合でも、車両情報を継続して記録する。
【0079】
そして、本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置(ドライブレコーダ)1によれば、制御ユニット12(CPU21)は、電力供給経路13(13a、13b)に所定の電流値を超える過電流が流れた場合に、過電流が流れた電力供給経路13による電力の供給を遮断して電力の供給を停止する。このため、制御ユニット12に対する電源(図示省略)の供給経路の延長線上に存在する電力供給経路13の短絡によって制御ユニット12にも過電流が流れることによる、制御ユニット12の故障を防止することができる。
【0080】
また、制御ユニット12(CPU21)は、カメラ11(11a、11b)を作動させる電力を供給する電力供給経路13(13a、13b)を複数のカメラ11毎に設けている。このため、1つの電力供給経路13による電力の供給を遮断しても、接続が遮断されていない他のカメラ11に電力を供給することができる。
【0081】
このため、過電流が流れた1つの電力供給経路13による電力の供給を遮断することで、他のカメラ11による映像の記録を制御ユニット12において継続することができる。
【0082】
従って、1つのカメラ11(11a、11b)やそのカメラ11(11a、11b)への電力供給系路上での短絡によって、他のカメラ11(11a、11b)や制御ユニット12が過電流により故障するのを防止しつつ、そのカメラ11(11a、11b)以外のカメラ11(11a、11b)により撮影された画像を制御ユニット12側で継続的に記録することができる車両用映像記録装置(ドライブレコーダ)1を提供することができる。
【0083】
また、本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置(ドライブレコーダ)1によれば、制御ユニット12(SDRAM29)は、カメラ11(11a、11b)への電力の供給を停止した場合に、カメラ11への電力の供給の停止に関する情報を記録する。このため、カメラ11で撮影された映像が記録されていない場合に、停止に関する情報を参照することにより、映像が記録されていない原因の解析をすることができる。
【0084】
さらに、本発明の実施形態に係る車両用映像記録装置(ドライブレコーダ)1によれば、制御ユニット12(CPU21)は、カメラ11(11a、11b)への電力の供給を停止した場合に、車両5の走行に関する車両情報を継続して記録する。このため、カメラ11により映像が撮影されていない場合でも車両情報を取得することができる。
【0085】
以上、本発明の車両用映像記録装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0086】
例えば、本発明の実施形態では、制御ユニット12には2台のカメラ11(11a、11b)が接続されている場合について説明したが、カメラ11の台数は適宜変更が可能である。
【0087】
また、本発明の実施形態では、カメラ電源制御部28は、複数のカメラ11(11a、11b)に対して1つ設けられている場合について説明したが、複数のカメラ11毎に設けられるように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、カメラにより撮影された映像を記録する上で極めて有用である。
【符号の説明】
【0089】
1 ドライブレコーダ(車両用映像記録装置)
5 車両
11 カメラ(撮影手段)
12 制御ユニット
13 電力供給経路
21 CPU
22 Gセンサ
23 速度センサ
27 電流監視部
28 カメラ電源制御部
29 SDRAM
30 LED
31 スピーカ
32 SDカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、映像を撮影可能な複数の撮影手段と、この複数の撮影手段と接続されて該撮影手段により撮影された映像の記録を制御する制御ユニットと、を有する車両用映像記録装置であって、
前記制御ユニットは、前記複数の撮影手段毎に設けられて、自身に供給された電力の一部を、前記撮影手段を作動させる電力として各撮影手段にそれぞれ供給するための複数の電力供給経路と、
前記複数の電力供給経路を介して前記複数の撮影手段へそれぞれ電力を供給する電力供給手段と、
前記複数の電力供給経路による前記複数の撮影手段への電力の供給を個別に遮断することにより前記電力供給手段による電力の供給を停止する電力供給停止手段と、を有し、
前記電力供給停止手段は、前記電力供給経路に所定の電流値を超える過電流が流れた場合に、過電流が流れた電力供給経路による電力の供給を遮断して前記電力供給手段による撮影手段への電力の供給を停止することを特徴とする車両用映像記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用映像記録装置において、
前記制御ユニットは、前記複数の電力供給経路のうち少なくとも1つの電力供給経路による電力の供給を遮断して前記電力供給手段による電力の供給を停止した場合に、前記撮影手段への電力の供給の停止に関する情報を記録する停止情報記録手段を更に有することを特徴とする車両用映像記録装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用映像記録装置において、
前記制御ユニットは、前記複数の電力供給経路のうち少なくとも1つの電力供給経路による電力の供給を遮断して前記電力供給手段による電力の供給を停止した場合に、前記撮影手段への電力の供給の停止を報知する報知手段を更に有することを特徴とする車両用映像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−3903(P2013−3903A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135317(P2011−135317)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(501418498)矢崎エナジーシステム株式会社 (79)
【Fターム(参考)】