説明

車両用機器の操作装置

【課題】車両走行中の運転者による操作を的確に禁止しつつ他の乗員による操作の利便性を適切に向上させる。
【解決手段】車両用機器の操作装置10は、車両用機器10aを操作する操作部21と、車両の走行中には操作部21の操作を禁止する制御部22とを備え、車両の運転席以外の座席に配置された電磁波発生装置12と、操作部21に接続されて操作部21に照射された電磁波を検出する電磁波検出装置13とを備え、制御部22は、電磁波発生装置12から出力された電磁波が電磁波検出装置13により検出された場合に、操作部21の操作の禁止を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用機器の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両走行中にナビゲーション装置を操作可能な操作装置に対して、この操作装置が運転席に接近した場合には、操作装置によるナビゲーション装置の操作を禁止する車載用ナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−113298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係る車載用ナビゲーション装置によれば、操作装置を操作する操作者が車両の運転者であるか否か、あるいは同乗者であるか否かに関わらずに、単に、操作装置が運転席に接近しただけで操作装置によるナビゲーション装置の操作が禁止されてしまうことから、たとえ同乗者が操作装置を操作する状態であっても、操作が禁止されてしまう場合が有り、装置の利便性が損なわれてしまうという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両走行中の運転者による操作を的確に禁止しつつ他の乗員による操作の利便性を適切に向上させることが可能な車両用機器の操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係る車両用機器の操作装置は、車両用機器を操作する操作部(例えば、実施の形態での操作部21)と、車両の走行中には前記操作部の操作を禁止する禁止手段(例えば、実施の形態での制御部22)とを備える車両用機器の操作装置であって、車両の運転席以外の座席に配置された電磁波発生装置(例えば、実施の形態での電磁波発生装置12)と、前記操作部に接続されて該操作部に照射された電磁波を検出する電磁波検出装置(例えば、実施の形態での電磁波検出装置13)と、前記禁止手段は、前記電磁波発生装置から出力された前記電磁波が前記電磁波検出装置により検出された場合に、前記操作部の操作の禁止を解除する。
【0007】
さらに、本発明の第2態様に係る車両用機器の操作装置では、前記電磁波発生装置は、前記座席に配置されたアンテナ電極(例えば、実施の形態でのアンテナ電極32)と、該アンテナ電極に接続されて該アンテナ電極の周囲に前記電磁波を発生させる発振装置(例えば、実施の形態での発振装置31)とを備え、前記アンテナ電極への人体の接近を検出する乗員検出装置(例えば、実施の形態での乗員検出装置14)を備え、前記禁止手段は、前記発振装置から発生された前記電磁波が前記電磁波検出装置によって検出され、かつ前記アンテナ電極への人体の接近が前記乗員検出装置によって検出された場合に、前記操作部の操作の禁止を解除する。
【0008】
さらに、本発明の第3態様に係る車両用機器の操作装置では、前記乗員検出装置は、前記アンテナ電極に接近した人体が子供か大人かを判定する判定手段(例えば、実施の形態での乗員検出装置14が兼ねる)を備え、前記禁止手段は、前記判定手段により前記アンテナ電極に接近した人体が子供であると判定された場合には、前記操作部の操作の禁止を維持する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1態様に係る車両用機器の操作装置によれば、電磁波発生装置から出力されて運転席以外の座席に着座した乗員を介して操作部に照射された電磁波が電磁波検出装置により検出された場合には、運転席以外の座席の乗員つまり運転者以外の乗員により操作部が操作されると判断して、操作部の操作の禁止を解除する。これにより、車両走行中の運転者による操作を的確に禁止しつつ他の乗員による操作の利便性を適切に向上させることができる。
【0010】
さらに、本発明の第2態様に係る車両用機器の操作装置によれば、電磁波発生装置から出力された電磁波が電磁波検出装置により検出され、かつアンテナ電極への人体の接近が乗員検出装置によって検出された場合に、操作部の操作の禁止を解除する。これにより、車両走行中の運転者による操作を、より一層、的確に禁止しつつ他の乗員による操作の利便性を適切に向上させることができる。
【0011】
さらに、本発明の第3態様に係る車両用機器の操作装置によれば、子供による不適切な操作を禁止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用機器の操作装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両用機器の操作装置の構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両用機器の操作装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の車両用機器の操作装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による車両用機器の操作装置10は、例えばナビゲーション装置などの車両用機器10aを操作するものであって、図1に示すように、操作制御装置11と、電磁波発生装置12と、電磁波検出装置13と、乗員検出装置14と、車両状態センサ15とを備えて構成されている。
【0014】
操作制御装置11は、例えば操作部21と、制御部22とを備えて構成されている。
操作部21は、車両の乗員により操作されるスイッチおよびタッチパネルおよび遠隔操作機器などの各種の入力操作機器を備え、入力操作機器に対する乗員の操作に応じた信号を出力する。この操作部21には、後述する電磁波検出装置13が接続されている。
【0015】
制御部22は、操作部21から出力される信号に基づき、車両用機器10aの動作を制御する。
また、制御部22は、後述する電磁波検出装置13および乗員検出装置14から出力される信号と、車両状態センサ15から出力される検出信号とに基づき、操作部21の動作(つまり、乗員の操作に応じた信号の出力、あるいは乗員の操作に応じて出力された信号に基づく車両用機器10aの作動)を許可または禁止する。
なお、車両状態センサ15は、例えば車両の速度を検出する速度センサなどを備えている。
【0016】
電磁波発生装置12は、例えば、発振装置31と、複数のアンテナ電極32と、電流変化出力部33とを備えて構成されている。
発振装置31は、例えば高周波発振回路などからなり、複数のアンテナ電極32のうちから何れか1つアンテナ電極32を順次切り替えつつ選択して高周波の電磁波による通電を行ない、アンテナ電極32の周囲に電界を発生させる。
複数のアンテナ電極32は、車両の運転席以外の座席毎に配置され、例えば座席のシートバックにおいて少なくとも異なる高さ位置毎に各所定形状のアンテナ電極32が配置されている。
【0017】
電流変化出力部33は、発振装置31からアンテナ電極32に通電が行なわれている状態でアンテナ電極32に流れる電流の変化に応じた信号を、各アンテナ電極32毎に出力する。
この電流の変化は、座席のアンテナ電極32と人体との距離および対向面積が変化することに起因して生じるものであって、例えば、空気に比べて誘電率が大きい人体が座席のアンテナ電極32に接近することに伴い、アンテナ電極32に流れる電流は増大傾向に変化し、人体が座席のアンテナ電極32から離れることに伴い、アンテナ電極32に流れる電流は低下傾向に変化する。
【0018】
電磁波検出装置13は、操作制御装置11の操作部21に接続され、例えば図2に示すように、発振装置31から座席Sに配置されたアンテナ電極32に通電された高周波の電磁波のうち、人体を介して操作部21に伝達された電磁波Rを検出し、検出結果の信号を出力する。
すなわち、電磁波検出装置13は、アンテナ電極32から放射されて、この座席に着座あるいは所定の程度以上に接近(例えば、ほぼ座席に着座するようにして人体の所定面積以上の領域が所定距離以下に座席に接近)した状態で操作部21に接触あるいは所定距離以下に接近した人体Hの内部を伝達して、人体Hから放射されて、操作部21に伝達された電磁波Rを検出する。
【0019】
乗員検出装置14は、電磁波発生装置12の電流変化出力部33から各アンテナ電極32毎に出力された信号に基づき、座席に着座した人体の大きさおよび姿勢を検出し、この検出結果に基づき、人体の種別つまり子供であるか否か、あるいは大人であるか否かを判定して、判定結果の信号を出力する。
【0020】
例えば、乗員検出装置14は、座席のシートバックにおいて異なる高さ位置毎に配置された複数のアンテナ電極32を、発振装置31からの通電時に所定変化以上の電流変化が生じたアンテナ電極32と、発振装置31からの通電時に電流変化が所定変化未満であってアンテナ電極32とに区分する。そして、この区分の境界位置に対応する高さ位置が所定高さ以下であるか否かに応じて、座席に着座した人体が子供であるか否かを判定する。
また、例えば、乗員検出装置14は、座席のシートバックにおいて異なる位置(高さ位置および横方向位置)毎に配置された複数の所定形状のアンテナ電極32を、発振装置31からの通電時に所定変化以上の電流変化が生じたアンテナ電極32と、電流変化が所定変化未満であったアンテナ電極32とに区分し、この区分の境界の形状に基づき、座席に着座した人体の姿勢および大きさを検出する。
【0021】
操作制御装置11の制御部22は、例えば、車両状態センサ15の速度センサから出力された検出信号によって、車両の速度が所定速度以上であれば、車両の走行中であると判断して、操作部21の動作を禁止する。
また、制御部22は、車両の走行中であると判断した場合であっても、電磁波検出装置13から出力された信号によって、発振装置31から出力された電磁波が電磁波検出装置13により検出され、かつ乗員検出装置14から出力された信号によって、アンテナ電極32への人体(ただし、子供以外)の所定の程度以上の接近が乗員検出装置14によって検出された場合には、運転者以外の乗員によって操作部21が操作されると判断して、操作部21の動作の禁止を解除する。ただし、発振装置31から出力された電磁波が電磁波検出装置13により検出され、かつアンテナ電極32への人体の所定の程度以上の接近が乗員検出装置14によって検出された場合であっても、人体が子供であると乗員検出装置14によって判定された場合には、操作部21の動作の禁止を維持する。
【0022】
この実施の形態による車両用機器の操作装置10は上記構成を備えており、次に、この車両用機器の操作装置10の動作について説明する。
【0023】
先ず、例えば図3に示すステップS01においては、車両の走行中であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS02に進み、このステップS02においては、操作部21の動作(つまり、乗員の操作に応じた信号の出力、あるいは乗員の操作に応じて出力された信号に基づく車両用機器10aの作動)を許可し、エンドに進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS03に進む。
【0024】
そして、ステップS03においては、操作部21の操作者が運転席以外の乗員であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、つまり操作部21の操作者が運転席の運転者である場合には、後述するステップS05に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS04に進む。
【0025】
そして、ステップS04においては、操作部21の操作者が子供であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS02に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS05に進み、このステップS05においては、操作部21の動作(つまり、乗員の操作に応じた信号の出力、あるいは乗員の操作に応じて出力された信号に基づく車両用機器10aの作動)を禁止し、エンドに進む。
【0026】
上述したように、本実施の形態による車両用機器の操作装置10によれば、電磁波発生装置12から出力されて運転席以外の座席に着座した乗員を介して操作部21に照射された電磁波が電磁波検出装置13により検出され、かつアンテナ電極32への人体の接近が乗員検出装置14によって検出された場合には、運転席以外の座席の乗員つまり運転者以外の乗員により操作部21が操作されると判断して、操作部21の操作の禁止を解除する。これにより、車両走行中の運転者による操作を的確に禁止しつつ他の乗員による操作の利便性を適切に向上させることができる。
また、操作部21の操作者が子供であるか否かを判定して、子供であれば操作部21の動作の禁止を維持することから、子供による不適切な操作を禁止することができる。
【0027】
なお、上述した実施の形態においては、制御部22は、車両走行中に発振装置31から出力された電磁波が電磁波検出装置13により検出され、かつアンテナ電極32への人体の接近が乗員検出装置14によって検出された場合に、操作部21の動作の禁止を解除するとしたが、これに限定されず、車両走行中に発振装置31から出力された電磁波が電磁波検出装置13により検出されただけで、操作部21の動作の禁止を解除してもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 車両用機器の操作装置
12 電磁波発生装置
13 電磁波検出装置
14 乗員検出装置(判定手段)
21 操作部
22 制御部(禁止手段)
31 発振装置
32 アンテナ電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用機器を操作する操作部と、車両の走行中には前記操作部の操作を禁止する禁止手段とを備える車両用機器の操作装置であって、
車両の運転席以外の座席に配置された電磁波発生装置と、
前記操作部に接続されて該操作部に照射された電磁波を検出する電磁波検出装置と、
前記禁止手段は、前記電磁波発生装置から出力された前記電磁波が前記電磁波検出装置により検出された場合に、前記操作部の操作の禁止を解除することを特徴とする車両用機器の操作装置。
【請求項2】
前記電磁波発生装置は、前記座席に配置されたアンテナ電極と、該アンテナ電極に接続されて該アンテナ電極の周囲に前記電磁波を発生させる発振装置とを備え、
前記アンテナ電極への人体の接近を検出する乗員検出装置を備え、
前記禁止手段は、前記発振装置から発生された前記電磁波が前記電磁波検出装置によって検出され、かつ前記アンテナ電極への人体の接近が前記乗員検出装置によって検出された場合に、前記操作部の操作の禁止を解除することを特徴とする請求項1に記載の車両用機器の操作装置。
【請求項3】
前記乗員検出装置は、前記アンテナ電極に接近した人体が子供か大人かを判定する判定手段を備え、
前記禁止手段は、前記判定手段により前記アンテナ電極に接近した人体が子供であると判定された場合には、前記操作部の操作の禁止を維持することを特徴とする請求項2に記載の車両用機器の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−122893(P2011−122893A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279818(P2009−279818)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】