説明

車両用機器制御装置

【課題】乗員による車両用機器の操作時に、脇見運転に対する注意喚起を操作状況に応じて行うことができる車両用機器制御装置を提供する。
【解決手段】車載機器10,12,14に設けられた操作パネル11,13,15の操作入力を検出する操作入力検出部21と、操作入力検出部21により検出された操作入力の操作頻度に応じて、乗員の注意を車外へ向けるために車内へ出力する注意喚起音の設定を変更する設定変更部23と、設定変更部23によって変更された設定に基づいて、注意喚起音を出力させるための出力制御信号を出力する出力制御部25と、出力制御手段25からの出力制御信号に基づいて注意喚起音を発生するスピーカ30と、を備えた車両用機器制御装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用機器制御装置に係り、特に車両用機器の操作による脇見運転を回避させるための車両用機器制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両運転中において、カーナビゲーションシステム,オーディオ機器,空調システム等の操作による脇見運転を回避させるための制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の制御装置は、乗員の視線の状態を監視し、乗員の視線が所定時間以上、カーナビゲーションのモニタに向いている場合、乗員による操作入力を無効にしたり、モニタの表示を強制的にオフにしたりするように構成されている。この制御装置では、操作入力無効,モニタの強制オフにより、乗員に注意喚起を行って、所定時間以上、乗員がモニタへ視線を向けることを抑制することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−322699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の制御装置では、乗員によるモニタの注視が所定時間以上継続した場合に、操作入力できなくなったり、モニタがオフになったりするに留まっており、所定時間経過するまでは乗員に運転操作へ意識を向けさせることができず、なお問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、乗員による車両用機器の操作時に、脇見運転に対する注意喚起を操作状況に応じて行うことができる車両用機器制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、車載機器に設けられた操作部の操作入力を検出する操作入力検出手段と、操作入力検出手段により検出された操作入力の操作頻度に応じて、乗員の注意を車外へ向けるために車内へ出力する注意喚起音の設定を変更する設定変更手段と、設定変更手段によって変更された設定に基づいて、注意喚起音を出力させるための出力制御信号を出力する出力制御手段と、出力制御手段からの出力制御信号に基づいて注意喚起音を発生する発生手段と、を備えたことを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、乗員が車載機器の操作部で操作入力を行った頻度に応じて注意喚起音の設定が変更され、操作頻度に応じた注意喚起音が発生手段から出力される。これにより、本発明では、乗員に対して、この注意喚起音及びその設定の変化から、操作パネルでの操作入力を行うことにより運転に対する注意力が低下するおそれがあることを事前に認識させることができ、操作入力を敬遠させて車外又は運転に意識を振り向けるように仕向けることが可能となる。その結果、本発明では、車載機器の操作による連続した長時間の脇見運転を回避させることが可能となる。
【0007】
また、本発明において好ましくは、操作入力検出手段は、複数の車載機器の操作部による操作入力を区別して検出し、設定変更手段は、操作入力検出手段によって検出された操作入力が行われた車載機器に応じて、注意喚起音の設定を変更する。
このように構成された本発明によれば、車載機器の種類に応じて操作入力の運転中における必要性又は緊急度を設定し、機器に応じて設定の変更を行うことが可能となる。
【0008】
また、具体的には、車載機器が、少なくともナビゲーションシステム,空調システム又はオーディオ機器のいずれか1つを含む。
【0009】
また、本発明において好ましくは、設定変更手段は、操作入力検出手段が操作入力を検出しない場合、時間経過と共に、変更した注意喚起音の設定を元の設定に戻す。
このように構成された本発明によれば、操作入力の頻度に応じて車外へ意識を振り向けるように注意喚起音の設定レベルを変更した後、操作入力が検出されなくなった場合、設定レベルを戻すことで、操作性を向上することができる。
【0010】
また、本発明において好ましくは、設定変更手段は、操作入力検出手段により検出された操作入力の操作頻度が高いほど、注意喚起音の音量を大きく又は注意喚起音の高さを高く設定し、出力制御手段は、車載機器の操作音を注意喚起音として出力させるための出力制御信号を出力する。
このように構成された本発明によれば、車載機器の操作入力に伴って、その操作音を発生させることにより、緊張状態を乗員に与えることができる。
【0011】
また、本発明において好ましくは、車室外の車外音を取得する車外音取得手段をさらに備え、設定変更手段は、操作入力検出手段により検出された操作入力の操作頻度が高いほど、注意喚起音の音量を大きく設定し、出力制御手段は、車外音取得手段が取得した車外音を注意喚起音として出力させるための出力制御信号を出力する。
このように構成された本発明によれば、操作入力の頻度が高いほど大きな音量の車外音が出力されるので、操作入力時に車外へ意識を振り向けることができる。
【0012】
また、本発明において好ましくは、設定変更手段は、操作入力検出手段により検出された操作入力の操作頻度が高いほど、注意喚起音の音量を小さく設定し、出力制御手段は、車載オーディオ機器の出力音を注意喚起音として出力させるための出力制御信号を出力する。
このように構成された本発明によれば、操作入力の頻度が高いほど車載オーディオ機器の出力音が小さくなるので、これにより相対的に車外音が大きくなり、乗員の意識を車外へ誘導することができる。
【0013】
また、本発明において好ましくは、駆動音を静音化する静音化装置を備えた車両駆動モータを搭載したハイブリッドエンジン車又は電気自動車に搭載され、発生手段は、注意喚起音としての駆動音を発生する車両駆動モータであり、設定変更手段は、操作入力検出手段により検出された操作入力の操作頻度が高いほど、注意喚起音の音量を小さく設定し、出力制御手段は、静音化装置に駆動音を静音化させるための出力制御信号を設定変更手段による設定に応じて出力する。
このように構成された本発明によれば、操作入力の頻度が高いほど静音化装置による車両駆動モータの静音化のレベルを高くする出力制御信号が静音化装置に出力されるので、これにより車両駆動モータの駆動音が小さく、車外音が相対的に大きくなり、乗員の意識を車外へ誘導することができる。
【0014】
また、本発明において好ましくは、車両の走行状態,車外の障害物又は乗員の状態を監視する監視手段をさらに備え、設定変更手段は、監視手段により検出された監視結果に応じて、注意喚起音の設定を変更する変更度合を変更する。
このように構成された本発明によれば、車両及び乗員の現在の状況に応じて、適切な注意喚起音を出力し、乗員の意識を車外へ振り向けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両用機器制御装置によれば、乗員による車両用機器の操作時に、連続した長時間の脇見運転に対する注意喚起を操作状況に応じて行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。先ず、図1乃至図5により、本発明の第1実施形態による車両用機器制御装置を説明する。
図1は車両用機器制御装置を搭載した車両の説明図、図2は車両用機器制御装置のブロック図、図3は車速と変更ゲインとの関係を表すグラフ、図4は車載機器操作に基づく注意喚起音発生を示すグラフ、図5は車両用機器制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【0017】
まず、図1及び図2により本実施形態の車両用機器制御装置1の概略構成を説明する。
本実施形態の車両用機器制御装置1は、コントローラ20と、発生手段としてのスピーカ30と、車両走行状態を監視する監視手段としての速度センサ40を備えている。コントローラ20は車両2の室内に配置され、スピーカ30は前方シートの側部及び後方シートの後部に配置されている。
車両2には、インストルメントパネルに計器類と共に、オーディオ機器10の操作パネル11,ナビゲーションシステム12の操作パネル13及び空調システム14の操作パネル15が配置されている。
本実施形態では、スピーカ30は、オーディオ機器10の出力音を出力するため、車両2に通常装備されているものを使用しているが、これに限らず、車両用機器制御装置1のための専用のスピーカを配備してもよい。
【0018】
本実施形態の車両用機器制御装置1は、乗員によるオーディオ機器10,ナビゲーションシステム12及び空調システム14の各操作パネルの操作中に、乗員に対して連続した長時間の操作を回避させ、乗員の意識,注意を車外に振り向けさせるように仕向ける注意喚起音をスピーカ30から発生させ、連続した長時間の脇見運転をさせないように構成されている。
【0019】
コントローラ20は、CPU,内部メモリ及びI/Oインターフェース等を備えており、これらにより、図2に示すように、操作入力検出手段としての操作入力検出部21,設定変更手段としての設定変更部23及び出力制御手段としての出力制御部25を構成している。
【0020】
操作入力検出部21は、車載機器であるオーディオ機器10,ナビゲーションシステム12,空調システム14の操作部である操作パネル11,13,15にそれぞれ接続されており、操作パネル11,13,15において乗員により操作入力(例えば操作ボタンの押下等)が行われたことを検出すると共に、操作入力が行われた車載機器を特定するように構成されている。操作入力検出部21は、操作入力を検出すると、操作入力毎(例えば操作ボタンの押下等)に、操作入力が行われたこと及び操作入力が行われた車載機器を表す操作入力検出信号を設定変更部23に出力する。
【0021】
設定変更部23は、受取った操作入力検出信号の受取り頻度(操作入力の頻度)に応じて、後述する変更ゲインを用いて注意喚起音の設定変更(設定レベルの変更)を行う。本実施形態では、この設定には、注意喚起音の音量の設定が含まれる。そして、設定変更部23は、この設定変更した設定レベルを出力制御部25に出力する。本実施形態では、注意喚起音の設定レベルを上げることにより、スピーカ30から出力される注意喚起音の音量が大きくなり、設定レベルを下げることにより、スピーカ30から出力される注意喚起音の音量が小さくなるように構成されている。
【0022】
なお、これに限らず、設定レベルを上げることにより、スピーカ30から出力される注意喚起音の音の高さが高くなり、設定レベルを下げることにより、スピーカ30から出力される注意喚起音の音の高さが低くなるように構成してもよい。また、設定レベルを上げることにより、注意喚起音の音量が大きくなると共に音の高さ(音高)も高くなり、設定レベルを下げることにより、注意喚起音の音量が小さくなると共に音の高さ(音高)も低くなるように構成してもよい。さらには、設定レベルを上げることにより、注意喚起音の音量が大きくなると共に音の高さ(音高)が低くなり、設定レベルを下げることにより、注意喚起音の音量が小さくなると共に音の高さ(音高)が高くなるように構成してもよい。
【0023】
出力制御部25は、車載機器の操作パネルの操作音を音源データ26としてメモリ内に格納している。出力制御部25は、この音源データ26を再生する際の音量を、設定変更部から受取った設定レベルに応じて決定し、出力制御信号を構成する。そして、出力制御部25は、この出力制御信号をスピーカ30に出力する。
なお、本実施形態では、出力制御部25が音源データ26を有しているが、これに限らず、出力制御部25が各車載機器から操作入力時の操作音出力を受け取り、この操作音出力を用いて出力制御信号を構成してもよい。
【0024】
スピーカ30は、受取った出力制御信号により、注意喚起音としての操作音を設定レベルに応じた音量で車室内に向けて発生する。
なお、本実施形態では、出力制御部25がコントローラ20内に設けられているが、これに限らず、出力制御部25をスピーカ30に内蔵してもよい。
【0025】
速度センサ40は、車両走行状態としての車両速度を検出するセンサであり、車速検出信号を設定変更部23に出力する。設定変更部23は、受取った車速検出信号から、監視結果としての車速を算出し、車速の大きさに応じて注意喚起音の設定変更度合である変更ゲインを変更する。すなわち、車速が大きいほど、注意喚起音を聞いたときに乗員が感じる緊急度が高くなり、より安全性を促すように注意喚起音の設定変更度合が変更される。
【0026】
具体的には、図3に示すように、設定変更部23は、車速と変更ゲインとの関係を記憶したデータを有している。このデータに基づいて、設定変更部23は、車両停止時には変更ゲインは「0」であるが、車速が大きくなるほど変更ゲインが大きくなるように、設定度合を変更する。変更ゲインが大きいほど、設定レベル(本実施形態では、操作音の音量レベル)が大きく変更される。
【0027】
図3中、符号L1で示された線がオーディオ機器10の操作に基づく変更ゲインを表し、符合L2で示された線がナビゲーションシステム12及び空調システム14の操作に基づく変更ゲインを表している。本実施形態では、オーディオ機器10の操作の方が、ナビゲーションシステム12及び空調システム14への操作よりも、運転操作において、より緊急度が高いものとして設定されているため、オーディオ機器10の操作に基づく変更ゲインの方が、ナビゲーションシステム12及び空調システム14の操作に基づく変更ゲインよりも、車速増加に対する変更度合が大きく設定されている。
なお、図3では、変更ゲインを示す線が、車速の大きさと比例関係にあるが、これに限らず、車速増加と共に階段状に増加するものであってもよいし、曲線状に増加するものであってもよい。
【0028】
図4に、一例として、操作パネル操作時にスピーカ30から出力される操作音の音量レベル(操作音レベル)の時間的変化を示す。同図(A)が操作音レベルの時間変化、同図(B)が操作パネルの操作タイミングを表している。なお、同図(B)の実線は、オーディオ機器10の操作タイミングを表しており、破線はナビゲーションシステム12又は空調システム14の操作タイミングを表している。すなわち、図4の例では、時間T1−T3及び時間T7−T13にオーディオ機器10の操作パネル11で合計10回の操作入力が行われ、時間T4−T6にナビゲーションシステム12又は空調システム14の操作パネル13,15で合計3回の操作入力が行われている。
【0029】
コントローラ20は、所定時間D毎に操作入力の有無を検出しており、検出する毎に、操作音レベルを変更ゲインだけ上げるように設定変更する。このとき、オーディオ機器10への操作入力の場合は、1回の操作入力につき操作音レベルを変更ゲインL1だけ上げ、ナビゲーションシステム12及び空調システム14への操作入力の場合は、1回の操作入力につき操作音レベルを変更ゲインL2(<L1)だけ上げる。
そして、コントローラ20は、操作入力に連動して、変更した操作音レベルで操作音をスピーカ30から時間d(≦D)だけ発生させる。
【0030】
図4に示すように、時間T1以前は、操作音レベルは「0」(無音)である。ところが、時間T1−T3に、オーディオ機器10で連続して3回の操作入力が行われると、操作音レベルは、1回の操作入力毎に変更ゲインL1だけ上げられ、その度ごとにスピーカ30から操作音が間欠的に発生される。
このように、本実施形態では、操作入力を行うごとに操作音レベルが上げられ、この操作音がスピーカ30から乗員に向けて発生するように構成されている。操作音レベルが上げられることにより、乗員に対して、緊急度合が増していることを警告することができると共に、乗員の意識を間接的に車外に向けさせることができる。これにより、乗員に対して、操作状況に応じて、安全性を意識しながら操作入力を行わせること、又は、機器操作を敬遠させることが可能となる。
【0031】
時間T3以後時間T4までは、操作入力が行われていないので、コントローラ20は、時間D毎に操作音レベルを変更ゲインL3だけ下げていく。これにより、時間T4以前に操作音レベルは「0」に達する。これにより、しばらくの間、操作入力を行わなければ、再び操作入力を行ったときには、操作音レベルが最低の状態から操作音が発生されるようになるので、操作性を向上させることができる。
【0032】
操作音レベルが下がっていく間に、操作入力が行われていないので、スピーカ30から操作音は発生されない。しかしながら、これに限らず、操作音レベルが「0」に達するまで、継続して時間D毎に操作音をスピーカ30から間欠的に発生させるように構成してもよい。なお、本実施形態では、変更ゲインL3は、変更ゲインL1と同じ値に設定されている。
また、本実施形態では、時間経過と共に徐々に段階的に操作音レベルが下げられるように構成されているが、これに限らず、所定時間経過すると操作音レベルが初期値である「0」に段階的にではなく一気に戻るように構成してもよい。
【0033】
また、時間T4−T6に、ナビゲーションシステム12又は空調システム14で連続して3回の操作入力が行われると、操作音レベルは、1回の操作入力毎に変更ゲインL2だけ上げられ、その度ごとにスピーカ30から間欠的に操作音が発生される。
時間T6以後時間T7までは、操作入力が行われていないので、コントローラ20は、時間D毎に操作音レベルを変更ゲインL3だけ下げていく。これにより、時間T7以前に操作音レベルは「0」に達する。
【0034】
また、時間T7−T11に、オーディオ機器10で連続して5回の操作入力が行われると、操作音レベルは、1回の操作入力毎に変更ゲインL1だけ上げられ、その度ごとにスピーカ30から操作音が間欠的に発生される。
時間T11以後時間T12までは、操作入力が行われていないので、コントローラ20は、時間D毎に操作音レベルを変更ゲインL3だけ下げていく。これにより、時間T12直前までで操作音レベルは2段階(2・L3)だけ下げられる。なお、操作音レベルが下がっていく間に、操作入力が行われていないので、スピーカ30から操作音は発生されない。
【0035】
このように、本実施形態では、操作入力の操作頻度が大きいほど、操作時毎に高い操作音レベルで操作音がスピーカ30から出力されるように構成されている。したがって、乗員に対して、車載機器の操作入力を多くの操作回数継続して行ったり、長い操作時間を掛けて繰り返したりすることを敬遠させ、車外へ意識を向け、安全運転に集中させるように仕向けることができる。
【0036】
さらに、時間T12−T13に、オーディオ機器10で連続して2回の操作入力が行われると、操作音レベルは、2段階(2・L1)上げられ、その度ごとにスピーカ30から操作音が間欠的に発生される。
時間T13以降は、操作入力が行われていないので、操作音レベルは、時間経過と共に、L3/Dの割合で下げられ、「0」に達した後は、このレベルに保持される。
【0037】
このように、複数回の操作入力を行った後、短時間経過後に操作入力を再開した場合には、再開した操作入力に対して、スピーカ30から依然として高い操作音レベルの操作音が乗員に対して発生される。これにより、乗員に対して、複数回の操作入力後、すぐに再び操作入力を行うことを敬遠させることができる。
【0038】
次に、図5に基づいて、本実施形態の車両用機器制御装置1のコントローラ20の処理手順について説明する。コントローラ20は、図5に示す処理フローを時間D毎に繰り返し行っている。
コントローラは、まず、操作入力検出部21により車載機器での操作入力の有無を検出する(ステップS1)。
操作入力が無かった場合(ステップS1;No)、コントローラ20は、設定変更部23により、操作音レベルを現在の操作音レベルから変更ゲインL3だけ下げ、出力制御部25からスピーカ30に出力制御信号を出力することなく、処理を終了する。なお、操作音レベルが「0」に達した場合は、操作音レベルは「0」に保持される。
【0039】
操作入力が有った場合(ステップS1;Yes)、コントローラ20は、操作入力検出部21により操作入力の行われた車載機器を特定する(ステップS2)。そして、コントローラ20は、特定した車載機器に応じて、設定変更部23により変更ゲインを読み出す(ステップS3)。具体的には、設定変更部23は、図3に示した車速と変更ゲインの関係を表すデータのうち、特定した車載機器に対応する車速と変更ゲインの関係を表すデータを選択し、これに基づいて、速度センサ40からの車速検出信号によって算出した車速の大きさにおける変更ゲインを読み出す。
【0040】
そして、コントローラ20は、設定変更部23により現在の操作音レベルに、読み出した変更ゲインを加算して新たな操作音レベルを算出し、現在の操作音レベルを算出したレベルに変更する(ステップS4)。
次いで、コントローラ20は、出力制御部により新たに設定変更した操作音レベルで、操作音を発生可能なように、音源データ26を調整して出力制御信号を構成し、この出力制御信号をスピーカ30に出力し(ステップS5)、処理を終了する。
【0041】
次に、図6−図8に基づいて、本発明の第2実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
第1実施形態では、出力制御部25が出力制御信号を構成する際に音源データ26を用いていたが、第2実施形態では、音源データ26の代わりに、車外音集音マイク31を備えている。また、第1実施形態では、1回の操作入力につき連動して、所定時間dだけ注意喚起音として操作音がスピーカ30から発生するように構成されていたが、第2実施形態では、操作入力が行われている間中、注意喚起音として車外音がスピーカ30から発生するように構成されている。
【0042】
図6に示すように、車両2には、車室外の車外音を取得する車外音取得手段としての集音マイク31が設けられている。本実施形態では、この集音マイク31は、車両前方のバンパー付近に設けられている。なお、集音マイク31は、他の例としてエンジンルーム内等の車室外の車外音を取得可能な場所に配置されていればよい。
【0043】
本実施形態の出力制御部25は、集音マイク31に接続されており、集音マイク31が取得した車外音データに基づいて、この車外音(環境音)を発生させる出力制御信号をスピーカ30に出力する。
また、図6の構成に限らず、集音マイク31が直接スピーカ30に接続され、出力制御部25がスピーカ30に対し、スピーカ30が発生する車外音の増幅率を変化させる出力制御信号を出力するように構成してもよい。
【0044】
図7に、第2実施形態の車両用機器制御装置1において、図4と同様に操作パネルを操作した場合に出力される注意喚起音の時間的変化を示す。
図7に示すように、時間T1以前は、車外音レベルは「0」(無音)である。そして、時間T1−T3に、オーディオ機器10で連続して3回の操作入力が行われると、車外音レベルは、1回の操作入力毎に変更ゲインL1だけ上げられる。したがって、操作入力ごとにスピーカ30から発生する車外音の車外音レベルが段階的に大きくなると共に、この車外音レベルに応じてスピーカ30から継続的に車外音が発生される。
【0045】
このように、操作入力を行うごとに車外音レベルが上げられ、この車外音がスピーカ30から乗員に向けて発生するように構成されている。車外音レベルが上げられることにより、乗員に対して、緊急度合が増していることを警告することができると共に、乗員の意識を直接的に車外に向けさせることができる。これにより、乗員に対して、安全性を意識しながら操作入力を行わせること、又は、機器操作を敬遠させることが可能となる。
【0046】
時間T3以後時間T4までは、操作入力が行われていないので、コントローラ20は、時間D毎に操作音レベルを変更ゲインL3だけ下げていく。これにより、時間T4以前に操作音レベルは「0」に達する。車外音レベルが下がっていく間、操作入力は行われていないが、スピーカ30からは継続して車外音が発生される。したがって、この継続した車外音の発生期間中は、乗員に対して、操作入力を控える意識を与えることができる。
【0047】
また、時間T4−T6に、ナビゲーションシステム12又は空調システム14で連続して3回の操作入力が行われると、車外音レベルは、1回の操作入力毎に変更ゲインL2だけ上げられ、車外音レベルに応じて継続的にスピーカ30から車外音が発生される。
時間T6以後時間T7までは、操作入力が行われていないので、コントローラ20は、時間D毎に操作音レベルを変更ゲインL3だけ下げていく。これにより、時間T7以前に操作音レベルは「0」に達する。
【0048】
また、時間T7−T11に、オーディオ機器10で連続して5回の操作入力が行われると、車外音レベルは、1回の操作入力毎に変更ゲインL1だけ上げられ、車外音レベルに応じて継続的にスピーカ30から車外音が発生される。
時間T11以後時間T12までは、操作入力が行われていないので、コントローラ20は、時間D毎に操作音レベルを変更ゲインL3だけ下げていく。これにより、時間T12直前までで操作音レベルは2段階(2・L3)だけ下げられる。なお、操作音レベルが下がっていく間も、継続してスピーカ30から車外音が発生される。
【0049】
さらに、時間T12−T13に、オーディオ機器10で連続して2回の操作入力が行われると、操作音レベルは、2段階(2・L1)上げられ、車外音レベルに応じて継続的にスピーカ30から操作音が発生される。
時間T13以降は、操作入力が行われていないので、操作音レベルは、時間経過と共に、L3/Dの割合で下げられ、「0」に達した後は、このレベルに保持される。
【0050】
このように、複数回の操作入力を行った後、短時間経過後に操作入力を再開した場合には、再開した操作入力により、再び車外音レベルが上げられ、この車外音レベルの車外音が乗員に対して発生される。これにより、乗員に対して、複数回の操作入力後、すぐに再び操作入力を行うことを敬遠させることができる。
【0051】
次に、図8に基づいて、第2実施形態による車両用機器制御装置1のコントローラ20の処理手順について説明する。コントローラ20は、図8に示す処理フローを時間D毎に繰り返し行っている。
コントローラは、まず、操作入力検出部21により車載機器での操作入力の有無を検出する(ステップS11)。
操作入力が無かった場合(ステップS11;No)、コントローラ20は、設定変更部23により、車外音レベルを現在の車外音レベルから変更ゲインL3だけ下げ、スピーカ30に出力制御信号を出力することなく、処理を終了する。なお、車外音レベルが「0」に達した場合は、車外音レベルは「0」に保持される。
【0052】
操作入力が有った場合(ステップS11;Yes)、コントローラ20は、操作入力検出部21により操作入力の行われた車載機器を特定する(ステップS12)。そして、コントローラ20は、特定した車載機器に応じて、設定変更部23により変更ゲインを読み出す(ステップS13)。
そして、コントローラ20は、設定変更部23により現在の車外音レベルに、読み出した変更ゲインを加算して新たな車外音レベルを算出し、現在の車外音レベルを算出したレベルに変更する(ステップS14)。
次いで、コントローラ20は、出力制御部により新たに設定変更した車外音レベルで、車外音を発生可能なように、集音マイク31から取得した車外音データを調整して出力制御信号を構成し、この出力制御信号をスピーカ30に出力し(ステップS15)、処理を終了する。
【0053】
第2実施形態は次のように改変してもよい。
第2実施形態では、集音マイク31からの車外音を注意喚起音として用いていたが、これに限らず、車載のオーディオ機器10からの出力音を注意喚起音として用いてもよい。この場合、オーディオ機器10を出力制御部25に接続し、出力制御部25が、オーディオ機器10の出力音に基づいて、この出力音を発生させる出力制御信号をスピーカ30に出力するように構成することができる。
【0054】
そして、この場合、設定変更部23は、操作入力の操作頻度が高いほどオーディオ機器10からの出力音を小さくするように、設定レベルを下げる設定変更を行うとよい。すなわち、操作入力が頻繁である場合には、オーディオ機器10の出力音を小さくすることにより、乗員には車外音が相対的に聞こえ易くなるため、乗員の意識を車外へ向けることができる。
【0055】
なお、オーディオ機器10の出力音を注意喚起音として用いる場合、出力制御部25が、直接オーディオ機器10の出力レベルを下げるように、オーディオ機器10に対して出力制御信号を出力するように構成してもよい。
また、上記構成以外に、集音マイク31とオーディオ機器10とを選択的に、出力制御部25に接続可能な構成としてもよい。例えば、出力制御部25が、オーディオ機器10の作動時に自動的にオーディオ機器10を出力制御部25に接続し、オーディオ機器10の不作動時に集音マイク31を出力制御部25に接続するように構成することができる。
【0056】
次に、図9に基づいて、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態は、車両用機器制御装置1が、ハイブリッドエンジン車又は電気自動車である車両2に搭載された例である。
第1及び第2実施形態では、スピーカ30から注意喚起音を発生させるように構成されていたが、第3実施形態では、車両2に走行駆動力を与える車両駆動モータ50自体を音源としている。
【0057】
車両駆動モータ50は、直流電源をインバータによりスイッチングして交流電流をモータに与えるように構成されている。本実施形態では、車両駆動モータ50に静音化装置51が組み込まれている。モータからの騒音は、モータに供給される交流電流に重畳する高周波成分等を一因として発生するが、静音化装置51は、この高周波成分等を相殺して騒音の発生を抑制するように構成されている。
第3実施形態では、出力制御部25は、この静音化装置51に出力制御信号を出力して、静音化装置51による静音化レベルを変化させるように構成されている。
【0058】
本実施形態では、設定変更部23によって設定変更された設定レベルに応じて、出力制御部25は、静音化装置51に静音化レベルを変化させるための出力制御信号を出力する。これにより、車両駆動モータ50では、静音化装置51の作動状態が変更され、設定レベルに応じた静音化レベルのモータ駆動音が車両駆動モータ50から車室内に注意喚起音として伝達される。
【0059】
そして、この場合、設定変更部23は、操作入力の操作頻度が高いほど車両駆動モータ50からのモータ駆動音を小さくするように、設定レベルを下げる設定変更を行うとよい。すなわち、操作入力が頻繁である場合には、車両駆動モータ50モータ駆動音を小さくすることにより、車外音が乗員に聞こえ易くなるため、乗員の意識を車外へ向けることができる。
【0060】
上記各実施形態は、以下のように改変することができる。
上記各実施形態では、車載機器として、オーディオ機器10,ナビゲーションシステム12及び空調システム14を例にとって説明したが、これらに限らず、操作パネルを有する車載機器であれば本発明を適用できる。
【0061】
また、上記各実施形態では、時間D毎に操作入力を検出すれば設定レベルを増加し、検出しなければ設定レベルを低下させることで、操作頻度に応じて設定レベルを変更するように構成されていたが、これに限らず、所定単位時間当たりの操作入力回数や、所定時間以内間隔で行われる一連の操作入力の継続時間等により操作頻度を判定し、これにより設定レベルを変更するように構成してもよい。
【0062】
また、上記各実施形態では、監視手段として、速度センサ40が配置されていたが、これに限らず、他の監視手段を配置してもよい。例えば、いずれも公知である乗員の視線を監視する視線監視装置,ステアリングホイール挙動監視装置,前方車両等を検出する障害物検出装置を監視手段として採用することができる。さらには、速度センサ,視線監視装置,ステアリングホイール挙動監視装置,障害物検出装置を併用して、監視手段としてもよい。
【0063】
視線監視装置は、乗員の頭部を撮影するカメラと、カメラの撮影したデータを解析して乗員の視線方向を決定する視線方向決定手段とから構成される。これにより、視線監視装置は、乗員による車両走行状態を監視し、乗員の視線が車両前方ではなく、車載機器に向けられていることを判定する。
ステアリングホイール挙動監視装置は、ステアリングホイールの回動を検出する回動検出センサと、ステアリングホイールの回動状態から乗員の覚醒状態を決定する覚醒状態決定手段とから構成される。覚醒状態決定手段は、乗員状態を監視し、ステアリングホイールの回動操作が、車速に比して不自然に大きい場合や、所定時間以上回動操作されない場合等に、乗員の意識が覚醒されていないと予測する。
障害物検出装置は、電波を発射して反射波を検出することにより、車両前方にある他の車両や設置物等と自車両との距離及び方位を検出するように構成されている。
【0064】
このように、乗員の視線が車両前方を向いていない場合,乗員の意識が覚醒していない場合,車外に障害物がある場合(例えば前方車両との車間距離が小さい場合)に、設定変更部23は、変更ゲインを大きく設定することができる。これにより、乗員の状態に応じた適切な注意喚起音の発生によって、乗員の意識を早期に車外へ向けるように仕向けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1実施形態による車両用機器制御装置を搭載した車両の説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態による車両用機器制御装置のブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態による車速と変更ゲインとの関係を表すグラフである。
【図4】本発明の第1実施形態による車載機器操作に基づく注意喚起音発生を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態による車両用機器制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態による車両用機器制御装置のブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態による車載機器操作に基づく注意喚起音発生を示すグラフである。
【図8】本発明の第2実施形態による車両用機器制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態による車両用機器制御装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0066】
1 車両用機器制御装置
2 車両
10 オーディオ機器
12 ナビゲーションシステム
14 空調システム
11,13,15 操作パネル
20 コントローラ
21 操作入力検出部
23 設定変更部
25 出力制御部
26 音源データ
30 スピーカ
31 集音マイク
40 速度センサ
50 車両駆動モータ
51 静音化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機器に設けられた操作部の操作入力を検出する操作入力検出手段と、
前記操作入力検出手段により検出された操作入力の操作頻度に応じて、乗員の注意を車外へ向けるために車内へ出力する注意喚起音の設定を変更する設定変更手段と、
前記設定変更手段によって変更された設定に基づいて、前記注意喚起音を出力させるための出力制御信号を出力する出力制御手段と、
前記出力制御手段からの出力制御信号に基づいて前記注意喚起音を発生する発生手段と、を備えたことを特徴とする車両用機器制御装置。
【請求項2】
前記操作入力検出手段は、複数の車載機器の操作部による操作入力を区別して検出し、
前記設定変更手段は、前記操作入力検出手段によって検出された操作入力が行われた車載機器に応じて、前記注意喚起音の設定を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両用機器制御装置。
【請求項3】
前記車載機器が、少なくともナビゲーションシステム,空調システム又はオーディオ機器のいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用機器制御装置。
【請求項4】
前記設定変更手段は、前記操作入力検出手段が操作入力を検出しない場合、時間経過と共に、変更した注意喚起音の設定を元の設定に戻すことを特徴とする請求項1に記載の車両用機器制御装置。
【請求項5】
前記設定変更手段は、前記操作入力検出手段により検出された操作入力の操作頻度が高いほど、前記注意喚起音の音量を大きく又は前記注意喚起音の高さを高く設定し、
前記出力制御手段は、前記車載機器の操作音を前記注意喚起音として出力させるための出力制御信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の車両用機器制御装置。
【請求項6】
車室外の車外音を取得する車外音取得手段をさらに備え、
前記設定変更手段は、前記操作入力検出手段により検出された操作入力の操作頻度が高いほど、前記注意喚起音の音量を大きく設定し、
前記出力制御手段は、前記車外音取得手段が取得した車外音を前記注意喚起音として出力させるための出力制御信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の車両用機器制御装置。
【請求項7】
前記設定変更手段は、前記操作入力検出手段により検出された操作入力の操作頻度が高いほど、前記注意喚起音の音量を小さく設定し、
前記出力制御手段は、車載オーディオ機器の出力音を前記注意喚起音として出力させるための出力制御信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の車両用機器制御装置。
【請求項8】
駆動音を静音化する静音化装置を備えた車両駆動モータを搭載したハイブリッドエンジン車又は電気自動車に搭載され、
前記発生手段は、前記注意喚起音としての駆動音を発生する車両駆動モータであり、
前記設定変更手段は、前記操作入力検出手段により検出された操作入力の操作頻度が高いほど、前記注意喚起音の音量を小さく設定し、
前記出力制御手段は、前記静音化装置に駆動音を静音化させるための出力制御信号を前記設定変更手段による設定に応じて出力することを特徴とする請求項1に記載の車両用機器制御装置。
【請求項9】
車両の走行状態,車外の障害物又は乗員の状態を監視する監視手段をさらに備え、
前記設定変更手段は、前記監視手段により検出された監視結果に応じて、前記注意喚起音の設定を変更する変更度合を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両用機器制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−120013(P2009−120013A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295721(P2007−295721)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】