説明

車両用汚物保持具

【課題】 犬の糞が入った袋を車外に積載して持ち帰るための簡便な汚物保持具を提供する。
【解決手段】 可撓製のある台座1と車両に固定するための磁石2と、犬の糞を入れた袋を把持するための把持部3と車の揺れに伴って袋が揺れるのを防止するためのネット4を備える汚物保持具100が提供される。台座に可撓製があるため、車の後部などの曲面部にも容易に取り付けることができる。この汚物保持具100を使用することによって、犬の糞等の汚物が入った袋を車内に持ち込まずに車外に固定して輸送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の汚物保持具に関し、さらに詳細には取付が容易であり、汚物を車外に保持して運搬可能な汚物保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のペットブームに伴い、犬を飼う人の数が大幅に増加している。犬を飼う場合には、犬に適度な運動をさせるために犬を散歩に連れて行くことを欠かすことができない。通常、飼主は散歩にビニール袋を携帯しており、犬が糞をした場合には、その糞を拾ってビニール袋に入れて、自宅に持ち帰るのがマナーとされている。しかし実際には、犬の糞を放置したり、その場に埋めてしまったりするようなマナーの悪い飼い主も多い。放置された犬の糞は美観を損ねるだけでなく、臭い等の衛生面の問題もある。また、犬の糞は回虫やサナダムシなどの寄生虫を人間に媒介する危険があり、放置された糞から寄生虫が地中に逃げ出し、土に触った人間の体内に入ってしまう可能性も指摘されている。そのため、犬の糞の問題は一種の環境問題として捉えられ、犬の糞を放置した飼い主に対して罰金を科す条例を定める自治体もある。しかし、自治体や環境団体の努力だけで、そのようなマナーの悪い飼い主に対して注意を促すのは限界があるため、犬を飼っている人同士がお互いに、マナーアップを訴えていく必要がある。
【0003】
また、都会では年々犬の散歩に適した道や公園が少なくなってきているため、犬を車に乗せて散歩に適した場所まで連れて行き、散歩をさせる機会が非常に多くなっている。散歩中に犬が糞をした場合には、飼主は犬の糞の入ったビニール袋を車内に入れて持ち帰らなければならないが、汚物の臭いが気になる。特に高温時には、密閉された車内空間に悪臭が充満しやすい。また、感覚的に汚物の入った袋を車内に持ち込むことに抵抗を感じる人も多い。そのため、徒歩で犬の散歩に行く場合には犬の糞をきちんと自宅まで持ち帰っている飼い主の中にも、犬を車に乗せて散歩に連れて行った際には、糞を放置して自宅に持ち帰らない者もいると考えられる。
【0004】
荷物を車外に積載するためのルーフキャリアは数多く市販されているが、主にサーフボードやキャンプ用品などの大型積載物を入れる用途に用いられるため、犬の糞などの汚物を積載する用途には不向きである。特許文献1は、マグネットを使用して車外に取り付けることが可能な車外積載装置を開示している。しかし、この車外積載装置は、車のルーフ部に取り付けて長尺の物(例えば傘やスキー板など)を輸送するために使用される装置であるため、これも犬の糞などの汚物を収納する用途に対しては不向きである。
【0005】
【特許文献1】特開平9−188200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
犬の糞に限らず、車内に積載したくない異物も多くある。例えば、釣り餌や釣った魚、幼児のオムツ、土の付いた植物、昆虫などを車内に入れることに抵抗がある場合も少なくない。
【0007】
そこで本発明の第1の目的は、車内に入れて運搬したくない汚物を、車外に簡単に保持して運搬できる保持具を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、犬を車に乗せて散歩に連れて行った際に、犬の糞を入れた袋を車外に保持して持ち帰るための簡便な汚物保持具を提供することにある。本発明の第3目的は、犬の糞を持ち帰らないマナーの悪い飼い主に対して注意を喚起することができる汚物保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
本発明の第1の態様に従えば、車のボディーに取り付けられて汚物を車外に保持するための汚物保持具であって、可撓性のある台座と、台座に設けられて台座を車のボディーに着脱可能に取り付ける取付具と、台座に設けられて汚物を保持するための保持部とを備える汚物保持具が提供される。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、汚物保持具を取付具によって車のボディーに着脱可能に取り付けて、簡便に汚物を車外に保持して運搬することができる。また、台座は可撓性であるためボディーの曲面や窪みまたは突出部でもボディーの形状に応じて変形可能であるので、確実に取付具により台座をボディーに密着できる。また、前記保持部はネットであってもよく、前記取付具は例えば、磁石、吸盤又はフックにし得る。
【0010】
本発明の第2の態様に従えば、車のボディーに取り付けられて汚物を車外に保持する汚物保持具であって、可撓性のある台座と、台座に設けられて台座を車のボディーに磁力で着脱可能に取り付けるための磁石と、台座に設けられて汚物を収納した袋の一部を把持するための把持部を備える汚物保持具が提供される。
【0011】
犬の飼い主は、スーパーやコンビニエンスストアなどで使用するビニール袋に犬の糞を回収する習慣があり、本発明の第2の態様の汚物保持具は、そのような汚物を収納した袋の一部を容易に把持することができる。特に、把持部がクリップ又はスリット付部材であればそのような袋の結び目を挟み込み又は吊り下げることができる。
【0012】
本発明によれば複数の汚物保持具を使用して、それらの把持部の間を連結するように取付可能な汚物保持部を取り付けてもよい。複数の汚物保持具を利用することによって、一個の汚物保持具では保持しきれないような比較的大型のものを保持することができる。また、本発明によれば、可撓性のある台座の形が、犬の足もしくは犬の足跡を模した形であってもよい。こうすることにより、車両が犬を搭乗させているとの情報を発信することができる。また、愛犬家に対して犬の糞を持ち帰るマナーをアピールし、環境保護に貢献することができる。
【0013】
本願において用語「汚物」とは、犬の糞や使用済みのオムツなどのいわゆる社会通念上の汚物のみならず、釣り餌や土の付いた植物や昆虫など車の中に持ち込むことに抵抗を覚えるような異物をも含める意味である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の汚物保持具の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0015】
<第1具体例>
図1(a)〜(c)に示すように、本発明の汚物保持具100は、ゴムなどの可撓性のある材料からできた台座1と、台座1の裏面1bに取り付けられた磁石(マグネット)2と、台座1の表面1aに取り付けられた把持部3及び袋5を保持するネット(保持部)4を備える。
【0016】
台座1は、一辺の長さが約10cmのほぼ正6角形の形状をしており、ゴムなどの可撓性のある材質で作られている。台座1の材料としては、天然ゴムやウレタンゴム、ネオプレンゴム等のゴム材が好適であるが、使用後に洗浄が容易という点で帆布や化繊製の布等の布材が好ましい。
【0017】
磁石2は直径2cm程度の円形のフェライト磁石であり、台座1の各頂点に対応する部分の裏面1bに取り付けられている。磁石の材質は、磁力が強力であるので磁石の小型化が可能であるという点でネオジム磁石はさらに好適である。
【0018】
把持部3は台座1の上部中央に設けられたコの字型の形状のプラスチック製の部材であり、台座1に取り付けられる平板状の基部3aと、基部3aの一端から突出した支部3cと、一端が支部3cと連絡し且つ基部3aとほぼ並行に延在する板バネ部3bを有し、基部3aと板バネ部3bとの間にスリット11が画成されている。板バネ部3bの他端部は開放端であり、返し12が設けられている。
【0019】
保持部としてのネット4は、ナイロン製のメッシュ布であり、上部が開口部となる袋を形成するように台座1の表面1aに取り付けられる。ネット4は把持部3の下側に置かれ、台座1の下半分程度を覆うように取り付けられる。ネット4は縫合等により台座1に固定されていてもよく、フォックやボタンなどによって着脱可能であってもよい。後者の場合、ネットのみ洗浄できるという点で便利である。
【0020】
図1(d)に示すように、本発明の汚物保持具100は台座1に設けられた磁石2の磁力を利用して車のボディーに取り付けられる。この図に示すように、車のバックドア部やトランクルーフ部、リアゲート部、リアフェンダー部等の車体後部に取り付けるのが好適であるが、取付場所はこれらに制限されない。例えばルーフを除き、フロントフェンダーやサイドフェンダーやドアにも装着可能である。
【0021】
次に本具体例の汚物保持具100の使用法について説明する。
【0022】
前述のように犬の散歩をさせる者は、スーパーやコンビニエンスストアなどで使用したビニール袋等の袋を持参することが多い。犬が糞をした場合は、持参したビニール袋5の中に糞を収納した後、袋5の開口部を縛って密封する。その際、袋5の口を縛った箇所に結び目ができる。把持部3のスリット11の幅は袋5を縛ったときにできる結び目の直径よりも小さいので、開口部を縛った袋5の結び目の下側をスリット11に挿入することにより、図1(c)に示すように袋5の開口部の結び目を把持部3に引っかけてあるいは吊して把持することができる。また、把持部3の開口部には返し12が付いているため、スリット11に挿入された袋5が横滑りした際にも、容易に抜け落ちない。
【0023】
把持部3に犬の糞を入れた袋5を把持した際に、車の揺れによって袋5が前後左右に大きく揺れることが予想される。揺れが大きくなりすぎると、犬の糞を入れた袋5が把持部3から外れることもあり得る。本具体例では袋5または汚物の保持具としてネット4を備えており、前記把持部3で把持される袋5をネット4で受け止めることができるようになっている。図1(c)に示すように、袋5の開口部の結び目を把持部3で把持し、かつネット4を用いて袋5を押さえることによって、車が大きく揺れた場合でも確実に袋5を保持することができる。万が一、袋5の結び目が把持部3から外れた場合も袋5がネット4で保持されているので、袋5が路上に落下することを防止することができる。
【0024】
本発明の汚物保持具100は、磁石を使用しているので車両のボディーへの着脱が容易であり、シールや接着剤などと異なり跡が残らないという利点がある。また、本発明の汚物保持具は前述のように車のボディー、特に車体後部に取り付けられて使用されるため、これらの部位の曲面部にも沿うように、台座1はゴムなどの可撓性のある材質で作られている。本発明の汚物保持具は汚物を保持するという用途からすれば、容易に取り外して洗浄可能であることが要望される。この点で台座1の材料としては、前述のように帆布や化繊製の布等の布材が好適である。これらの材料は可撓性があるだけでなく、洗浄可能であるという利点も有する。さらに、磁石2の磁力を利用して車のボディーに取り付ける場合、取り付けた面から引き離す向きの力には十分対抗できるほど強力であるので、本発明の汚物保持具が車の走行中などにボディーから外れてしまう恐れはない。しかし、取り付けた面に沿って動かす力が働いた場合には、横ズレする恐れがある。そのため、このような横ズレを起こしにくくするためには、台座1の材質は、ボディー面との間の摩擦が大きいものであることが望ましい。この点においても、前述のゴム材やボディーに対して摩擦力の高い布材を台座1の材料として使用するのは好適である。
【0025】
ネット4の上部の開口部はファスナー等で開閉可能であってもよく、ウォータープルーフのファスナーであればさらに好適である。また、ネット4の材質はゴム紐で編んだメッシュのように伸縮自在の素材であってもよい。把持部3の材質はプラスチックに限定されず、板バネ部3bが板バネとしての役割を果たすものであれば、例えば金属であっても構わない。また、図1(d)に示すように、台座1の上部にヒモ取付用穴6bを設け、そこにヒモ6aを通して輪状にして、その輪を車のリアワイパーの駆動軸部分7やアンテナ等に引っ掛けて固定することもできる。このようにしてリアワイパー等に固定することによって、万が一車体から磁石が外れてしまった場合においても汚物保持具100が落下することを防止することができる。
【0026】
図1に示した汚物保持具100の把持部3の第1〜第3変形例を図2から図4を用いて説明する。なお、それらの変形例において、把持部3以外の構造については図1に示した第1具体例と同様である。
【0027】
[第1変形例]
図2(a)に示すように、把持部13は、図1に示した台座1に取り付けられる平板状の基部13aと、基部13aの表面から表面に対して垂直に且つ水平方向に延在する平板状のスリット板13bを有する。スリット板13bには、その長手方向に延在するスリット14が形成されている。スリット14の一端14aは開放端であり、スリット板13bのスリット14を画成している両側の縁部にはスリット14を覆うようにブラシ状の毛15が植毛されている。スリット14の幅は、袋の開口部を縛ったときにできる結び目の直径よりも十分狭い。それゆえ、開口部を縛った袋の結び目の下側をスリット14に挿入することにより、把持部13に袋の開口部の結び目を引っかけてあるいは吊り下げて把持することができる。また、スリット14を覆うブラシ状の毛15は、スリット14内で袋がスライド移動する抵抗となるため、スリット14内に挿入された袋が容易に抜け落ちない。
【0028】
[第2変形例]
図2(b)に示すように、把持部23は図2(a)に示したスリット板13bのスリット14に代えて、波形のスリット24を採用した。スリット24の一端24aは開放端である。スリット24の形状は直線ではなく、波形の曲線の形状をしており、長手方向に沿ってスリット間隔の広い部分と狭い部分が交互に形成されている。スリット間隔の広い部位においても、スリット間隔は前記袋の結び目の大きさよりも小さくされている。それゆえ、開口部を縛った前記袋をスリット24に挿入することによって、把持部23に前記袋の開口部の結び目を引っ掛けてあるいは吊り下げて把持することができる。また、スリット間隔の狭い部位は、スリット24内で袋がスライド移動することを防止し、スリット24内に挿入された袋が容易に抜け落ちない。このため、第1変形例で採用したブラシ状の毛を用いる必要がない。また、スリット間隔の広い部位及び狭い部位は交互にいくつか形成されているので、複数の前記袋を固定することができる。
【0029】
[第3変形例]
図3に示したように、把持部33は、図1に示した台座1に取り付けられる平板状の基部33aと、カラビナ34と、基板33aにカラビナ34を取り付けるための取付具33bを有する。カラビナ34は、一端がバネ付勢されて摺動する支点36に固定され、他端がカラビナ内側に回動するフック35を有する。カラビナ34の環の大きさは、前記袋の開口部の結び目の大きさと比べて小さい。それゆえフック35を押してカラビナ34の環の中に前記袋の開口部の結び目を通すことによって、前記袋の開口部の結び目を引っ掛けてあるいは吊り下げて把持することができる。また、前記袋の開口部の結び目の上部には、袋の把手部分の輪もあるので、この輪の部分をカラビナに引っ掛けてあるいは吊り下げて把持してもよい。
【0030】
[第4変形例]
図4に示したように、把持部43は図1に示した台座1に取り付けられる平板状の基部43aとクリップ41とを備える。クリップ41は、基部43aに取り付けられるベース44と、ベース44の一端に回動可能に取り付けられるアーム47と、ベース44の他端に取り付けられるロック45を有する。ベース44の中央部46には、長手方向に延びる半円柱上の凸部が形成されており、凸部はアーム47に形成されている長手方向に伸びる半円柱状の凹部と噛み合わさる形状を有する。ロック45には爪状の突起45aが設けられておりアーム47の先端には、この爪状の突起45aと噛み合う形状の穴47aが形成されている。この把持部で袋を把持するには、アーム47を回動させてクリップを開けて、袋の開口部の結び目の下部をベース44とアーム47の間に挟む。アーム47を閉じた後、ロック45の爪状の突起45aをアーム47の先端部の穴47aに噛み合わせることによって、袋をクリップ基部44とアーム部47で挟み込んだ状態で維持することができる。
【0031】
なお、第3、第4変形例において、基部33a及び43aを省略して、取付具33b及びクリップ41を直接台座1に取り付けてもよい。
【0032】
<第2具体例>
この具体例では、第1具体例の第3変形例で示した把持部33を備える汚物保持具3個と、それらに連結されるメッシュシート41とを使用する例を示す。第1具体例で示した汚物保持具を3個(汚物保持具100a,100b,100c)用意し、それらを図5(b)に示すように、車のテールゲート部に等間隔に横一列に並べて取付ける。メッシュシート41は細長い袋状の網目シートであり、上方にファスナーで開閉可能な開口部41aと前記把持部33に取り付けるための輪状の取付部42a〜42cを有する。このメッシュシート41は、取付部42a,42b,42cを横一列に並んだ汚物保持具100a,100b,100cの把持部33a,33b,33cにそれぞれ取り付けることによって固定される。このメッシュ41の袋の中には、一個の汚物保持具では保持しきれないような比較的長いものを保持して輸送することができる。
【0033】
本具体例では、3個の汚物保持具100を使用したが、2個あるいは4個以上の汚物保持具100を横一列に並べて使用しても構わない。また、本具体例では袋状のメッシュシート41を用いたが、袋の形状や寸法は問わず、開口部41aにはファスナー以外の開閉具、例えばフォックやボタン等を用いてもよい。また、取付部42a、42b、42cを省略して、メッシュシート41の網目に把持部33であるカラビナを直接引っ掛けてもよい。
【0034】
<第3具体例>
図6に、犬の足の裏を模した形状の汚物保持具500の例を示す。この汚物保持具500は犬の足の裏の形をした可撓製のある台座51と、台座51の表面に描かれた犬の足の肉球の部分の裏側に取り付けられている磁石52,53,54,55,56と、把持部57と、ネット58とを備える。
【0035】
本具体例の汚物保持具500は犬を連想させる形態をしているので、本保持具が犬に関するものを積載するために使用されるということは、誰もが容易に想像することができる。また、この保持具を装着した車両に犬が搭乗していることも予測させる。特に愛犬家であれば、本具体例の汚物保持具に犬の糞を入れた袋が取り付けられているところを目にしたときに、それが犬の糞を入れた袋であって、飼い主が犬の糞を自宅まできちんと持ち帰っているということを容易に想像することができる。このことから、本具体例の汚物保持具500を車に取り付けている者が、常に犬の糞を自宅まで持ち帰ることを励行しているマナーの良い飼い主であることを周囲にアピールする効果がある。それと同時に、犬の糞を放置するようなマナーの悪い飼い主に対して、犬の糞を自宅まで持ち帰るようにアピールする効果もある。それゆえ、本発明は環境保護を推進することができる。
【0036】
本具体例の汚物保持具500は、車のリアフェンダーやテールゲートに簡単に取り付けられるため、犬を散歩に連れて行くとき以外にも、常時車に取り付けられていてもよい。その場合には、本具体例の汚物保持具がより多くの人の目に留まることになるため、前述の効果がより大きくなると期待される。
【0037】
<第4具体例>
図7に示すように、本具体例の汚物保持具600はマグネットシート601と揺れ防止板602と把持部603とポーチ605とを備える。
【0038】
マグネットシート601は幅20cm×長さ25cm程度の大きさであり、可撓性のあるゴム部601aの一面に可撓性のあるシート状のマグネット(磁石)601bが貼り合わされている。そのため、このマグネットシート601は可撓性のある台座と磁石の両方を兼ね備えている。
【0039】
揺れ防止板602は、マグネットシート601の表面に平行に取付けられる平板部602aと、平板部602aに対して垂直で、且つ鉛直方向に延在する2枚の突起板602b、602cを有する。2枚の突起板602b、602cの間隔は15cm程度であり、各々の突起板602b、602cの大きさは高さ10cm×長さ15cm程度である。
【0040】
把持部603は第1具体例の第3変形例で示したカラビナを使用しており、突起板602b、602cの間の中央上部に取り付けられている。ポーチ605は本体605aと把手604を備える。ポーチ605の材質に制限はないが、洗浄可能という点で帆布やビニル布等の布材が好ましい。ポーチ605の大きさは、2枚の突起板602b、602cの間に収まる大きさであればよい。
【0041】
本具体例の汚物保持具600を使用する際には、汚物を収納したポーチ605の把手604を把持部603で把持して、2枚の突起板602b、602cの間にポーチ605を取り付ける。ポーチ605の横揺れは、揺れ防止板602によって押さえることができるため、強い揺れによるポーチ605の落下を防ぐことができる。
【0042】
なお、本具体例において、汚物保持具600の大きさは任意である。但し、前述のように、ポーチ600の大きさは突起板602b、602cの間に収まる大きさであることが望ましい。また、ポーチ600は2枚の突起板602b、602cの間にちょうど収まる大きさであるような専用のポーチであっても、ユーザーが所有する適当な大きさのポーチであってもよい。特に愛犬家の飼主は犬の散歩のときに、糞回収用の専用ポーチを持参している場合も多く、使い捨ての袋はポーチ内に収容される。このため、散歩を終えた後、ポーチをそのまま把持部603に直ちに装着できるというメリットもある。また、ポーチに把手が付いていない場合でも、直接把持部603に把持できればよい。
【0043】
上記具体例においては、台座を車のボディーに磁石によって取り付けていたが、磁石に代えて吸盤やフックを台座に取り付けてもよい。吸盤はボディーの平坦部に吸着させることができる。フックはバンパーやけん引用金具などに引っ掛けることができる。
【0044】
本発明を具体例及び変形例によって説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、磁石は台座の表面に取り付けても、台座に埋め込んでもよく、または任意のカバーに覆われていてもよい。こうすることで車両上を磁石がスライド移動することによるボディーの外傷を防止できる。また、磁石を取り付ける位置及び磁石の数は任意である。さらに、本発明の汚物保持具の寸法及び材質は任意である。また、保持部としてネット4を用いた例を示したが、ネット4に限らず任意の袋状部材、例えば開口(網目)のない袋状部材を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の汚物保持具は、汚物の入った袋を車内に持ち込まずに車外に積載して持ち帰ることができるため、犬の散歩の際に糞を入れた袋を積載するのに好適である。犬の糞などの汚物を入れた袋を車内に持ち込むと、臭いが車内にこもるため不快に感じる人が多い。高温時はもちろんのこと、雨が降っていたり冷房を入れたりして、窓を閉め切って車内を密閉する場合には特に臭いがこもりやすくなる。このような理由から、本発明は、犬を車に乗せて散歩に連れて行くことを躊躇していた人や、犬を車に乗せて散歩に連れて行ったときだけ、犬の糞を持ち帰らなかった人などに対して、汚物の入った袋を車内に持ち込まずに自宅まで持ち帰ることを促すことができる。また、複数個の汚物保持具とそれらに取り付けられる袋を使用することによって、一個の汚物保持具では積載できないような長尺物なども積載することができる。さらに、本発明の犬を連想させる形状の汚物保持具は、これを車に取り付けている者がマナーの良い飼い主であることを周囲にアピールすると同時に、犬の糞を放置したりその場で埋めてしまうようなマナーの悪い飼い主に対して、犬の糞を自宅まで持ち帰ることをアピールする効果もある。それゆえ、本発明は環境保護にも貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1(a)は本発明の汚物保持具を上から見た概略図であり、図1(b)は本発明の汚物保持具を正面から見た概略図であり、図1(c)は本発明の汚物保持具に袋を把持したところを正面から見た概略図であり、図1(d)は本発明の汚物保持具を車のリアワイパーに取り付けた概略図である。
【図2】図2(a)はスリットが画成された板を利用した把持部の概略図であり、図2(b)は波形のスリットが画成された板を利用した把持部の概略図である。
【図3】図3はカラビナを利用した把持部の概略図である。
【図4】図4はクリップを利用した把持部の概略図である。
【図5】図5(a)は複数個の本発明の汚物保持具で構成される、比較的大型の荷物を積載するための汚物保持具の概略図であり、図5(b)は複数の本発明の汚物保持具を車のテールゲート部に取り付けた概略図である。
【図6】図6は犬の足の裏もしくは足跡を連想させる形状をした本発明の汚物保持具の概略図である。
【図7】図7(a)はマグネットシート及び揺れ防止板を備える本発明の汚物保持具を正面から見た概略図であり、図7(b)はその汚物保持具を上から見た概略図である。
【符号の説明】
【0047】
1,51 台座
2,52,53,54,55,56 磁石
11,14 スリット
4,58 ネット
601 マグネットシート
602 揺れ防止板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車のボディーに取り付けられて汚物を車外に保持する汚物保持具であって、
可撓性のある台座と、
前記台座に設けられて、台座を車のボディーに着脱可能に取り付ける取付具と、
前記台座に設けられて、前記汚物を保持する保持部とを備える汚物保持具。
【請求項2】
前記保持部がネットであることを特徴とする請求項1に記載の汚物保持具。
【請求項3】
車のボディーに取り付けられて汚物を車外に保持する汚物保持具であって、
可撓性のある台座と、
前記台座に設けられて、台座を車のボディーに磁力で着脱可能に取り付ける磁石と、
前記台座に設けられて、前記汚物を収納した袋の一部を把持する把持部とを備える汚物保持具。
【請求項4】
前記把持部が袋の上部を挟み込むクリップ又はスリット付部材であることを特徴とする請求項3に記載の汚物保持具。
【請求項5】
複数の請求項3に記載の汚物保持具と、
それらの前記把持部を連結するように取り付け可能な汚物保持部とを備える汚物保持具。
【請求項6】
前記可撓性のある台座の形が、犬の足もしくは犬の足跡を模した形であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の汚物保持具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate