説明

車両用洗浄装置

【課題】操作性が高く、簡単で安価な車両用洗浄装置を提供すること。
【解決手段】車両用洗浄装置は、給送された洗浄液を車両後部に配置された車載カメラ10のガラス窓10aに向けて噴射するためのカメラ・ウォッシャノズルN2と、給送された洗浄液をリアウィンド4に噴射するためのリア・ウォッシャノズルN1と、タンクTに貯留された洗浄液を給送するための第1及び第2電動ポンプP1,P2と、第1及び第2電動ポンプP1,P2を駆動するための駆動信号Aを出力するウォッシャスイッチSW1と、車両が後進状態であることを示す後進状態信号Bの非入力と駆動信号Aの入力とに基づいてリア・ウォッシャノズルN1に接続された第1電動ポンプP1を駆動し、後進状態信号Bの入力と駆動信号Aの入力とに基づいてカメラ・ウォッシャノズルN2に接続された第2電動ポンプP2を駆動する制御部11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を後退させる際に、車両後方の状況を車両後部に配置した車載カメラにて撮影して、その撮影映像をカーナビゲーション用のモニタに表示させて確認できるようにしたものが知られている。この車載カメラは、車両の外部に配置されるためにレンズに泥等が付着すると車両の後方状況が十分に撮影できず、確認し難くなるといった問題がある。
【0003】
そこで、車載カメラのレンズに洗浄液を吹き付けて付着物を除去するノズルを設けるとともに、同ノズルに洗浄液を送るポンプを設けた車両用洗浄装置が提案されている(特許文献1)。この車両用洗浄装置では、車両後進走行時に作動するバックアラームやバックランプの電源回路の電源を利用してバックアラーム及びバックランプと同期して、若しくは専用のスイッチを操作することで電動モータを駆動させてポンプを回転させる。これによって、ドライバは運転席に居ながら車載カメラを洗浄することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−255018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記車両用洗浄装置では、カメラ洗浄専用のスイッチを有していたため、その信号線等を含めて複雑化し高価となってしまうという問題があった。又、カメラ洗浄専用のスイッチでは、その操作に戸惑い(例えば、何処にあったか?どう操作するか?といった戸惑い)や煩わしさを感じることが予想される。
【0006】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、操作性が高く、簡単で安価な車両用洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、給送された洗浄液を車両後部に配置された車載カメラの撮像面に向けて噴射するためのカメラ洗浄ノズルと、給送された洗浄液を車両ウィンドに噴射するためのウィンド洗浄ノズルと、タンクに貯留された洗浄液を給送するための電動ポンプと、前記電動ポンプを駆動するための駆動信号を出力するウォッシャスイッチと、車両が後進状態であることを示す後進状態信号の非入力と前記駆動信号の入力とに基づいて前記ウィンド洗浄ノズルに洗浄液を給送すべく前記電動ポンプを駆動し、前記後進状態信号の入力と前記駆動信号の入力とに基づいて前記カメラ洗浄ノズルに洗浄液を給送すべく前記電動ポンプを駆動する洗浄制御手段とを備え車両用洗浄装置を要旨とする。
【0008】
同構成によれば、例えば、後進状態信号が非入力状態で駆動信号が入力されるとウィンド洗浄ノズルに洗浄液が給送され、例えば、後進状態信号が入力状態で駆動信号が入力されるとカメラ洗浄ノズルに洗浄液が給送されるようにすることができる。よって、カメラ洗浄用とウィンド洗浄用の別個のスイッチを必要とせず、単一の共用のウォッシャスイッチとすることができるので、必要な信号線を(並列に設ける場合に比べて)短くできることや、例えば既設のウォッシャスイッチを利用することなどにより、簡単で安価な構成にて各洗浄を行わせることができる。又、運転手の操作が単一のウォッシャスイッチに集約されるので、洗浄操作の戸惑い(例えば、別個とした場合のカメラ洗浄専用のスイッチが何処にあったか?どう操作するか?といった戸惑い)や煩わしさを軽減することができ、操作性を向上させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用洗浄装置において、前記電動ポンプは、前記ウィンド洗浄ノズルに洗浄液を給送するための第1電動ポンプと、前記カメラ洗浄ノズルに洗浄液を給送するための第2電動ポンプとを有し、前記洗浄制御手段は、前記後進状態信号の非入力と前記駆動信号の入力とに基づいて前記第1電動ポンプを駆動し、前記後進状態信号の入力と前記駆動信号の入力とに基づいて前記第2電動ポンプを駆動することを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、第1電動ポンプと第2電動ポンプとによって、請求項1に記載の発明の効果を得ることができる。又、同構成によれば、例えば、第1電動ポンプと第2電動ポンプの仕様を異ならせることなどによって、ウィンド洗浄ノズルとカメラ洗浄ノズルとに給送する洗浄液の量や圧力等を容易に異ならせることができ、容易にそれぞれ最適な洗浄を行わせることが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両用洗浄装置において、前記電動ポンプは、正逆転駆動可能な電動モータの回転方向によって2つの吐出口から択一的に洗浄液を吐出するダブルアウトレットポンプであって、前記洗浄制御手段は、前記後進状態信号の非入力と前記駆動信号の入力とに基づいて前記ウィンド洗浄ノズルに洗浄液を給送すべく前記ダブルアウトレットポンプの前記電動モータを正転駆動し、前記後進状態信号の入力と前記駆動信号の入力とに基づいて前記カメラ洗浄ノズルに洗浄液を給送すべく前記ダブルアウトレットポンプの前記電動モータを逆転駆動することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、ダブルアウトレットポンプによって、請求項1に記載の発明の効果を得ることができる。又、同構成によれば、2つの別個の電動ポンプを用いる場合に比べて、電動モータの数を少なく(1つに)することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用洗浄装置において、前記後進状態信号は、前記車両の変速装置を構成するシフトレバーの各ポジションのうち、後進ポジションの電気信号であることを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、後進状態信号は、シフトレバーの後進ポジションの電気信号であって、運転手が自らの意志で直接操作したシフトレバーから略直結した信号であるので、運転手の後進しようとする意志に対応して迅速且つ正確な制御を行うことが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用洗浄装置において、前記車両ウィンドを払拭するワイパの駆動用のワイパモータを備え、前記洗浄制御手段は、前記後進状態信号の非入力と前記駆動信号の入力とに基づいて前記ワイパモータを駆動することを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、洗浄液が車両ウィンドに噴射された際は、ワイパも連動して車両ウィンドに噴射された洗浄液が迅速に払拭されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、操作性が高く、簡単で安価な車両用洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態の車両用洗浄装置を備えた車両の概略構成図。
【図2】第1の実施形態の制御部に関連した電気的構成を説明するための電気回路図。
【図3】第2の実施形態の車両用洗浄装置を備えた車両の概略構成図。
【図4】第2の実施形態の制御部に関連した電気的構成を説明するための電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明の車両用洗浄装置の第1の実施形態を図1及び図2に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、運転席の横に変速装置2のシフトレバー3が設けられ、同シフトレバー3を各ポジションに操作することによって車両1は変速する。シフトレバー3を1速位置に操作すると、変速装置2は車両1の変速比を1速にシフトチェンジさせる。シフトレバー3を2速位置に操作すると、変速装置2は車両1の変速比を2速にシフトチェンジさせる。また、シフトレバー3を中立位置に操作すると、変速装置2は車両1の変速比を中立にシフトチェンジさせる。
【0020】
さらに、シフトレバー3を後進位置(後進ポジション)に操作すると、変速装置2は車両1を後進させる(後進可能な後進状態とする)。この時、シフトレバー3が後進位置にシフトされている間、車両1の後部に設けられたバックランプBLが点灯されるようになっている。
【0021】
また、車両1のコンソールパネルには、ナビゲーション装置において現在位置やその他地図表示等に利用される表示装置DSPが設置されている。
車両1の後部中央位置であって車両ウィンドとしてのリアウィンド4の下側には、リア用のワイパ装置6が設けられている。ワイパ装置6は、ワイパモータWMが駆動されることによってワイパ(ワイパブレード)7がリアウィンド4の外側面を払拭動作する。
【0022】
車両1の後部中央位置であってリアウィンド4の上側には、ウィンド洗浄ノズルとしてのリア・ウォッシャノズルN1が設けられている。リア・ウォッシャノズルN1は、そのノズル口が下方のリアウィンド4に向けられ、そのノズル口から洗浄液がリアウィンド4の払拭面に噴射されるようになっている。
【0023】
リア・ウォッシャノズルN1は、車両1の前部エンジンルームに設けられた第1電動ポンプP1と配管8aを介して接続されている。第1電動ポンプP1は、同じくエンジンルームに設けられたタンクTに貯留された洗浄液を、配管8aを介してリア・ウォッシャノズルN1に給送する電動ポンプである。
【0024】
車両1の後部外側であって、本実施形態では前記ワイパ装置6よりもさらに後部位置には、バックモニタ用の車載カメラ10が設置されている。車載カメラ10は、本実施形態では、後方視認用のリアビューカメラであって、車載カメラ10が撮像した画像は、画像データとして車両1のコンソールパネルに設けた表示装置DSPに出力される。表示装置DSPは、その画像データに基づいて車載カメラ10が撮像した画像を画面に表示するようになっている。
【0025】
なお、車載カメラ10は、変速装置2のシフトレバー3を後進位置に操作したとき、撮像動作を開始しその画像データを表示装置DSPに出力する。また、シフトレバー3が後進位置からそれ以外の位置にシフトされたとき、車載カメラ10は撮像動作を終了する。
【0026】
車載カメラ10に隣接した位置であって、車載カメラ10の後方撮像視野角から外れた位置には、カメラ洗浄ノズルとしてのカメラ・ウォッシャノズルN2が設けられている。カメラ・ウォッシャノズルN2は、そのノズル口が車載カメラ10のレンズを泥、埃、塵等から保護するために設けられた撮像面としてのガラス窓10aに向けられ、そのノズル口から洗浄液が車載カメラ10のガラス窓10aに噴射されるようになっている。
【0027】
カメラ・ウォッシャノズルN2は、車両1の前部エンジンルームに設けられた第2電動ポンプP2と配管8bを介して接続されている。第2電動ポンプP2は、前記タンクTに貯留された洗浄液を、配管8bを介してカメラ・ウォッシャノズルN2に給送する電動ポンプである。
【0028】
又、運転席には、前記第1及び第2電動ポンプP1,P2を駆動するための駆動信号Aを出力するウォッシャスイッチSW1が設けられている。
又、車両1には、車両が後進状態であることを示す後進状態信号Bの非入力と前記駆動信号Aの入力とに基づいて前記第1電動ポンプP1を駆動し、前記後進状態信号Bの入力と前記駆動信号Aの入力とに基づいて前記第2電動ポンプP2を駆動する洗浄制御手段としての制御部11が設けられている。
【0029】
具体的には、前記制御部11に関連した電気的構成は、図2に示すように構成されている。
まず制御部11は、前記シフトレバー3が後進位置(後進ポジション)に操作された際の動作に伴った電気信号である後進状態信号Bの入力によって励磁コイルが励磁されてオンするバックランプリレー12を有する。このバックランプリレー12には、前記バックランプBLが接続される。バックランプリレー12は、オンするとバックランプBLに電流を供給し、バックランプBLを点灯させる。
【0030】
又、制御部11は、前記バックランプリレー12への後進状態信号Bの入力によって(バックランプリレー12のオンと同時に)、a接点に接続されたc(共通)接点をb接点に接続するスイッチを有した切替リレー13を備える。
【0031】
そして、切替リレー13のa接点は、第1電動ポンプP1の駆動源である第1電動モータM1の一方の電源端子に接続され、b接点は、第2電動ポンプP2の駆動源である第2電動モータM2の一方の電源端子に接続されている。これら第1及び第2電動モータM1,M2の他方の電源端子は、フューズF1を介してプラスの電源線L+に接続されている。又、切替リレー13のc(共通)接点は、ウォッシャスイッチSW1を介してグランドに接続されている。
【0032】
よって、切替リレー13は、後進状態信号Bが非入力のときはc(共通)接点がa接点に接続され、その状態でウォッシャスイッチSW1がオンされると(c接点がグランドに接続されることによる駆動信号Aが入力されると)、第1電動モータM1、ひいては第1電動ポンプP1を駆動する。
【0033】
又、切替リレー13は、後進状態信号Bが入力されているときはc(共通)接点がb接点に接続され、その状態でウォッシャスイッチSW1がオンされると(c接点がグランドに接続されることによる駆動信号Aが入力されると)、第2電動モータM2、ひいては第2電動ポンプP2を駆動する。
【0034】
次に、上記実施の形態の作用(動作)について説明する。
まず例えば、シフトレバー3が後進位置以外の位置にある状態で、ウォッシャスイッチSW1がオフの状態では、制御部11に後進状態信号B及び駆動信号Aが共に非入力であるため、c(共通)接点がa接点に接続された状態が保持されるが、第1電動モータM1に電流が流れることはなく、第1電動ポンプP1は駆動しない。
【0035】
又、例えば、シフトレバー3が後進位置以外の位置にある状態で、ウォッシャスイッチSW1がオンされると、制御部11に後進状態信号Bが非入力状態で駆動信号Aが入力されるため、c(共通)接点がa接点に接続された状態が保持されて、第1電動モータM1に電流が流れて、第1電動ポンプP1が駆動される。すると、タンクTに貯留された洗浄液は、配管8aを介してリア・ウォッシャノズルN1に給送され、該リア・ウォッシャノズルN1からリアウィンド4に噴射される。
【0036】
又、例えば、シフトレバー3が後進位置にある状態で、ウォッシャスイッチSW1がオンされると、制御部11に後進状態信号Bが入力された状態で駆動信号Aが入力されるため、c(共通)接点がb接点に接続された状態で、第2電動モータM2に電流が流れて、第2電動ポンプP2が駆動される。すると、タンクTに貯留された洗浄液は、配管8bを介してカメラ・ウォッシャノズルN2に給送され、該カメラ・ウォッシャノズルN2から車載カメラ10のガラス窓10aに噴射される。
【0037】
次に、上記第1の実施形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)カメラ洗浄用とウィンド洗浄用の別個のスイッチを必要とせず、単一の共用のウォッシャスイッチSW1とすることができるので、必要な信号線を(並列に設ける場合に比べて)短くできることや、例えば既設のウォッシャスイッチを利用することなどにより、簡単で安価な構成にて各洗浄を行わせることができる。又、運転手の操作が単一のウォッシャスイッチSW1に集約されるので、洗浄操作の戸惑い(例えば、別個とした場合のカメラ洗浄専用のスイッチが何処にあったか?どう操作するか?といった戸惑い)や煩わしさを軽減することができ、操作性を向上させることができる。
【0038】
(2)上記実施の形態では、特に言及していないが、例えば、第1電動ポンプP1と第2電動ポンプP2の仕様を異ならせることなどによって、リア・ウォッシャノズルN1とカメラ・ウォッシャノズルN2とに給送する洗浄液の量や圧力等を容易に異ならせることができ、容易にそれぞれ最適な洗浄を行わせることが可能となる。例えば、本実施の形態では、カメラ・ウォッシャノズルN2から噴射される洗浄液は、その噴射のみで洗浄を行うことから、高圧とすることが望ましく、高圧で噴射可能に第2ポンプP2の仕様を設定すればよい。
【0039】
(3)車両が後進状態であることを示す後進状態信号Bは、シフトレバー3の後進位置(後進ポジション)の電気信号であって、運転手が自らの意志で直接操作したシフトレバー3から略直結した信号であるので、運転手の後進しようとする意志に対応して迅速且つ正確な制御を行うことが可能となる。
【0040】
(第2の実施形態)
以下、本発明の車両用洗浄装置の第2の実施形態を図3及び図4に従って説明する。尚、第2の実施形態は、第1の実施形態の一部を変更した構成であるため、第1の実施形態と同様の部分については、同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。第2の実施形態は、電動ポンプとしてダブルアウトレットポンプDPを用いている点と、ダブルアウトレットポンプDPを用いたことにより第1の実施形態の制御部11と異なる回路構成の制御部21を用いている点が、第1の実施形態との主な変更部分である。
【0041】
ダブルアウトレットポンプDPは、図3に示すように、正逆転駆動可能な電動モータM3(図4参照)の回転方向によって2つの吐出口22,23から択一的に洗浄液を吐出することが可能な電動ポンプである。尚、本実施の形態ダブルアウトレットポンプDPは、公知のものであって、電動モータM3にて回転駆動されるインペラの正回転時及び逆回転時に2つの吐出口22,23のうちの一方側と他方側に生じる圧力差を利用して2つの吐出口22,23のうちの一方を遮蔽するバルブ機構を備えたものである。
【0042】
そして、一方の吐出口22には、配管8aを介してリア・ウォッシャノズルN1が接続され、他方の吐出口23には、配管8bを介してカメラ・ウォッシャノズルN2が接続されている。
【0043】
制御部21は、図4に示すように、前記後進状態信号Bの入力によって励磁コイルが励磁されてオンするバックランプリレー12を有する。このバックランプリレー12には、前記バックランプBLが接続される。バックランプリレー12は、オンするとバックランプBLに電流を供給し、バックランプBLを点灯させる。
【0044】
又、制御部21は、前記バックランプリレー12への後進状態信号Bの入力によって(バックランプリレー12のオンと同時に)、a接点に接続されたc(共通)接点をb接点に接続する一対のスイッチ24a,24bを有した切替リレー24を備える。
【0045】
そして、切替リレー24の一方のスイッチ24aにおけるa接点は、他方のスイッチ24bにおけるb接点に接続されるとともに、フューズF2を介してプラスの電源線L+に接続されている。又、切替リレー24の一方のスイッチ24aにおけるb接点は、他方のスイッチ24bにおけるa接点に接続されるとともに、ウォッシャスイッチSW1を介してグランドに接続されている。又、切替リレー24の一方のスイッチ24aにおけるc接点は、電動モータM3の一方の電源端子に接続され、他方のスイッチ24bにおけるc接点は、電動モータM3の他方の電源端子に接続されている。
【0046】
よって、切替リレー24は、後進状態信号Bが非入力のときは両スイッチ24a,24bでc(共通)接点がa接点に接続され、その状態でウォッシャスイッチSW1がオンされると(駆動信号Aが入力されると)、電動モータM3を正転駆動し、一方の吐出口22からリア・ウォッシャノズルN1に洗浄液を給送する。
【0047】
又、切替リレー24は、後進状態信号Bが入力されているときは両スイッチ24a,24bでc(共通)接点がb接点に接続され、その状態でウォッシャスイッチSW1がオンされると(駆動信号Aが入力されると)、電動モータM3を逆転駆動し、他方の吐出口23からカメラ・ウォッシャノズルN2に洗浄液を給送する。よって、第2の実施形態の車両用洗浄装置においても、第1の実施形態と同様の洗浄動作が行われる。
【0048】
上記第2の実施形態では、第1の実施形態の効果(1)、(3)と同様の効果を得ることができるとともに、以下の効果を得ることができる。
即ち、電動ポンプをダブルアウトレットポンプDPとしたため、2つの別個の電動ポンプを用いる場合(例えば第1の実施形態の場合)に比べて、電動モータの数を少なく(電動モータM3のみに)することができる。
【0049】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、特に言及していないが、洗浄制御手段(制御部11,21)は、前記後進状態信号Bの非入力と駆動信号Aの入力とに基づいてワイパモータWMを駆動するようにしてもよい。このようにすると、洗浄液がリアウィンド4に噴射された際は、ワイパ7も連動してリアウィンド4に噴射された洗浄液が迅速に払拭されるようにすることができる。又、このワイパモータWMの駆動(ワイパ7の連動)は、例えば、噴射と同時に行われるようにしてもよいし、噴射が終了した直後に予め設定された時間だけ行われるようにしてもよい。
【0050】
・上記各実施形態では、ウォッシャスイッチSW1がオンされている時間と同じ時間だけ電動ポンプ(第1及び第2電動ポンプP1,P2、ダブルアウトレットポンプDP)を駆動する洗浄制御手段(制御部11,21)としたが、これに限定されず、タイマー等を用いて、予め設定された時間だけ駆動する洗浄制御手段としてもよい。又、勿論、洗浄制御手段(制御部11,21)の回路構成は変更してもよい。
【0051】
・上記各実施形態では、車両1が後進状態であることを示す後進状態信号Bは、シフトレバー3の後進位置(後進ポジション)の電気信号であるとしたが、後進(可能)状態であることを示す他の信号であってもよく、例えば、機械的に変更された後進ギヤの検知信号等に変更してもよい。
【0052】
・上記各実施形態では、対象となる車両ウィンドをリアウィンド4とするとともにウィンド洗浄ノズルをリア・ウォッシャノズルN1としたが、対象となる車両ウィンドをフロントウィンドとするとともにウィンド洗浄ノズルをフロント・ウォッシャノズルとしてもよい。
【0053】
・上記第1の実施形態では、タンクTを1つとしたが、電動ポンプ(第1及び第2電動ポンプP1,P2)毎に別々のタンクを備えた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…車両、2…変速装置、3…シフトレバー、4…リアウィンド(車両ウィンド)、7…ワイパ、10…車載カメラ、10a…ガラス窓(撮像面)、11,21…制御部(洗浄制御手段)、22,23…吐出口、A…駆動信号、B…後進状態信号、T…タンク、DP…ダブルアウトレットポンプ(電動ポンプ)、N1…リア・ウォッシャノズル(ウィンド洗浄ノズル)、N2…カメラ・ウォッシャノズル(カメラ洗浄ノズル)、M3…電動モータ、P1…第1電動ポンプ(電動ポンプ)、P2…第2電動ポンプ(電動ポンプ)、WM…ワイパモータ、SW1…ウォッシャスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給送された洗浄液を車両後部に配置された車載カメラの撮像面に向けて噴射するためのカメラ洗浄ノズルと、
給送された洗浄液を車両ウィンドに噴射するためのウィンド洗浄ノズルと、
タンクに貯留された洗浄液を給送するための電動ポンプと、
前記電動ポンプを駆動するための駆動信号を出力するウォッシャスイッチと、
車両が後進状態であることを示す後進状態信号の非入力と前記駆動信号の入力とに基づいて前記ウィンド洗浄ノズルに洗浄液を給送すべく前記電動ポンプを駆動し、前記後進状態信号の入力と前記駆動信号の入力とに基づいて前記カメラ洗浄ノズルに洗浄液を給送すべく前記電動ポンプを駆動する洗浄制御手段と
を備えたことを特徴とする車両用洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用洗浄装置において、
前記電動ポンプは、前記ウィンド洗浄ノズルに洗浄液を給送するための第1電動ポンプと、前記カメラ洗浄ノズルに洗浄液を給送するための第2電動ポンプとを有し、
前記洗浄制御手段は、前記後進状態信号の非入力と前記駆動信号の入力とに基づいて前記第1電動ポンプを駆動し、前記後進状態信号の入力と前記駆動信号の入力とに基づいて前記第2電動ポンプを駆動することを特徴とする車両用洗浄装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用洗浄装置において、
前記電動ポンプは、正逆転駆動可能な電動モータの回転方向によって2つの吐出口から択一的に洗浄液を吐出するダブルアウトレットポンプであって、
前記洗浄制御手段は、前記後進状態信号の非入力と前記駆動信号の入力とに基づいて前記ウィンド洗浄ノズルに洗浄液を給送すべく前記ダブルアウトレットポンプの前記電動モータを正転駆動し、前記後進状態信号の入力と前記駆動信号の入力とに基づいて前記カメラ洗浄ノズルに洗浄液を給送すべく前記ダブルアウトレットポンプの前記電動モータを逆転駆動することを特徴とする車両用洗浄装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用洗浄装置において、
前記後進状態信号は、前記車両の変速装置を構成するシフトレバーの各ポジションのうち、後進ポジションの電気信号であることを特徴とする車両用洗浄装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用洗浄装置において、
前記車両ウィンドを払拭するワイパの駆動用のワイパモータを備え、
前記洗浄制御手段は、前記後進状態信号の非入力と前記駆動信号の入力とに基づいて前記ワイパモータを駆動することを特徴とする車両用洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−79002(P2013−79002A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220203(P2011−220203)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】