説明

車両用温度測定装置

【課題】ファンおよび集熱部材を用いず、後部座席周辺にも容易に取り付けが可能な車両用温度測定装置を提供する。
【解決手段】筒形状をなし、その両端部の近傍にそれぞれ第1開口部,第2開口部を有する本体部と、本体部における第1開口部と第2開口部との間に取り付けられ、該本体部の内部の空気を加熱するための発熱部と、本体部における第1開口部と第2開口部との間に取り付けられ、該本体部の内部の空気の温度を測定するための温度測定部と、を備え、発熱部は、温度測定部よりも、第2開口部により近い位置に取り付けられ、本体部は、第2開口部が第1開口部よりも上方に位置するように、車両の予め定められた位置に取り付けられることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に用いられる車両用温度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの車両には、空調装置(エアコン)が備えられており、車室内の温度を測定し、乗員が設定した温度(あるいは運転モード)に応じて風量・風向を調節し、乗員に快適な環境を提供している。
【0003】
車室内の温度を測定するセンサとしてサーミスタが広く用いられ、以下のような方法を用いて車室内の温度を測定している。
(1)センサをエアコンのダクトに取り付けられたホースの先端に取り付け、ダクト内を空気が流れることにより発生する、車室内からダクトへ向かうホース内の空気の流れをサーミスタに当てて温度を測定する。
(2)センサにファンが取り付けられ、ファンにより車室内の空気をサーミスタに当てて温度を測定する。
(3)車室内(ピラー,アームレスト取付部近傍など)に熱伝導性の高いアルミのような集熱部材を設け、その集熱部材の温度を測定する。
【0004】
ファンの回転やファンモータによる騒音および振動の発生をなくすことを目的としたものとして、煙突部の内部に加熱ヒータを配置して、この加熱ヒータを加熱することで、煙突部内に流体が煙突状の物体の中で起こす熱対流の性質である煙突効果を生じさせ、ファンモータを用いることなく、被排気機器内部で発生する温熱を大気中に排気するファンレス排気装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、寒冷期における狭い居室や寝室の換気を、外壁の貫通孔に装着した、電熱器を内蔵する簡単なL型の換気ダクトによって、室温を殆ど下げることなく、騒音も発生することなく行う寒期用換気装置が考案されている(特許文献2参照)。
【0006】
また、熱電素子を冷却・加熱に利用し、冷却による下降気流、加熱による上昇気流とそれを加速する煙突効果により効果的な空気流を発生させることができ、全て静止部品だけで構成した高湿度耐性を備えた除湿装置が考案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−277703号公報
【特許文献2】実開平05−054942号公報
【特許文献3】特開2003−093829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の車室内の温度測定方法では、それぞれ以下のような問題がある。
(1)エアコンのユニットは車両の前部にあるので、運転席近傍はホースの取り回しが可能であるが、後部座席ではホースの取り回しが難しい。
(2)ファンの音が、車室内の快適さを損なうこともある。
(3)集熱部材は金属であり、車室内の内装色との色を合わせるためには塗装する必要があるが、内装色毎に集熱部材を準備する必要があるため、部品管理が煩雑となる。また、内装色と塗装色とが必ずしも一致するわけではなく、車室内に露出した状態で取り付けることもあって、車室内の見栄えを損なうこともある。
【0009】
特許文献1〜3では、換気・除湿等の空調のファンレス化には効果はあるものの、車両の空調制御に適用することについては、開示・示唆ともない。
【0010】
上記問題点を背景として、本発明の課題は、ファンおよび集熱部材を用いず、後部座席周辺にも容易に取り付けが可能な車両用温度測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0011】
上記課題を解決するための車両用温度測定装置は、筒形状をなし、その両端部の近傍にそれぞれ第1開口部,第2開口部を有する本体部と、本体部における第1開口部と第2開口部との間に取り付けられ、該本体部の内部の空気を加熱するための発熱部と、本体部において第1開口部と第2開口部との間に取り付けられ、該本体部の内部の空気の温度を測定するための温度測定部と、を備え、発熱部は、温度測定部よりも、第2開口部により近い位置に取り付けられ、本体部は、第2開口部が第1開口部よりも上方に位置するように、車両の予め定められた位置に取り付けられることを特徴とする。
【0012】
本発明は、煙突効果を利用して車室内の空気を温度測定部に導入して温度を測定するものである。上記構成によって、ホースの取りまわしが不要となり、後部座席をはじめとして、車室内の任意の場所に取り付けが可能となる。また、ファンが不要となり無音で車室内の空気をセンサ部へ取り込むが可能となる。さらに、集熱部材および塗装も不要で、車室内の見栄えにも影響を与えない。
【0013】
また、本発明の車両用温度測定装置は、本体部の、発熱部の取り付け位置と温度測定部の取り付け位置との間に、発熱部が発生する熱の伝導を抑制するための遮熱部が形成される。
【0014】
上記構成によって、温度測定部は発熱部が発生する熱の影響を受けることなく、正確に車室内の温度を測定することができる。また、温度測定部と発熱部との距離を縮めることができるので、車両用温度測定装置の小型化が可能となる。
【0015】
また、本発明の車両用温度測定装置における遮熱部は、本体部の内壁面に取り付けられ、発熱部の取り付け位置と温度測定部の取り付け位置との間に形成される空気の流路を確保可能とする、予め定められた形状をなす板状部材として形成される。
【0016】
上記構成によって、簡易な構成で遮熱部を形成することができる。また、後述するベンチュリ効果も期待でき、温度測定部に導入される空気の量が増加し、より正確に車室内の温度を測定することができる。
【0017】
また、本発明の車両用温度測定装置における遮熱部は、発熱部の取り付け位置と温度測定部の取り付け位置との間に最小径部を有し、最大径部を有する該発熱部の取り付け位置および該温度測定部の取り付け位置に向けて内面に滑らかに連続する括れ通路を有するベンチュリ管部として形成される。
【0018】
上記構成によって、ベンチュリ管部では空気の流速が速くなり、入口(第1開口部)よりも圧力が減少するので、入口からより多くの空気を導入でき、これにより、より正確に車室内の温度を測定することができる。
【0019】
また、本発明の車両用温度測定装置における発熱部は、本体部における該発熱部の取り付け位置において、該本体部に固着あるいは該本体部と一体的に形成され、該本体部を加熱する。
【0020】
上記構成によって、空気の流れを妨げることなく、本体部の内部の空気を加熱することが可能となる。
【0021】
また、本発明の車両用温度測定装置は、本体部の外壁面の少なくとも一部が断熱材で覆われている。
【0022】
上記構成によって、効率よく本体部の内部の空気を加熱することが可能となる。また、周囲の部材に及ぼす熱の影響を低減することもできる。
【0023】
また、本発明の車両用温度測定装置における本体部は、車両に用いられている筒状の部材と一体的に形成される。
【0024】
上記構成によって、車両用温度測定装置の取り付け場所の制約を緩和することが可能となるとともに、車両の部品点数を減らすことも可能となる。
【0025】
また、本発明の車両用温度測定装置は、乗員の操作入力情報に基づいて、あるいは該操作入力情報と空調用センサからの検出結果情報とに基づいて、車室内の空調制御を行う車両用空調装置における空調用センサに含まれる。
【0026】
近年、車両用空調装置は、運転席と助手席、あるいは前部座席と後部座席といったように、座席毎(あるいはエリア毎)に空調を行うものが増えている。このような空調を行う場合、座席毎に週辺の空気の温度を測定する必要がある。上記構成によって、車両用温度測定装置は取り付け場所の制約が少ないため、とりわけ個別の空調を行う車両用空調装置への使用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】車両用温度測定装置の構成を示す断面図。
【図2】車両用温度測定装置の本体部を上方から見た上面図。
【図3】車両用温度測定装置の構成の別例を示す断面図。
【図4】車両用温度測定装置の構成の別例を示す断面図。
【図5】車両用温度測定装置の発熱部の構成の別例を示す断面図。
【図6】車両用温度測定装置の発熱部の構成の別例を示す断面図。
【図7】車両用温度測定装置の遮熱部の構成例を示す図。
【図8】車両用温度測定装置の遮熱部の構成の別例を示す断面図。
【図9】車両用空調装置の全体構成を示すブロック図。
【図10】車室内における吹き出し口の構成および車両用温度測定装置の取り付け例を示す図。
【図11】ドアにおける車両用温度測定装置の取り付け例を示す正面図。
【図12】図11の車両用温度測定装置の取り付け例の詳細を示す断面図。
【図13】車両用温度測定装置を車両に用いられている筒状の部材と一体的に形成する例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の車両用温度測定装置の一実施例を、図面を用いて説明する。図1に、車両用温度測定装置1の中心軸Pに沿った断面図を示す。車両用温度測定装置1は、発熱部2,例えば耐熱性を有する樹脂製の本体部3(金属製,セラミック製でもよい),本発明の温度測定部に相当するサーミスタ4,およびコネクタ5を含んで構成される。
【0029】
発熱部2は、例えばニクロム線ヒータとして構成され、第2開口部11寄りに(すなわち、サーミスタ4よりも、第2開口部11により近い位置)に取り付けられている。なお、発熱部2とコネクタ5とを接続するためのリード線2a,2bのうち、リード線2aは本体部3の内部に配線され、リード線2bは本体部3の内壁面上に配線されているが、2本とも本体部3の内部に配線してもよいし、本体部3の内壁面上に配線してもよい。
【0030】
図1の例では、発熱部2は、本体部3の中心軸Pの近傍に突出するように取り付けられているが、本体部3の内壁面の周方向に沿うように、内壁面に取り付けてもよい。また、本体部3の外壁面の周方向に沿うように、外壁面に巻き付けてもよい。また、周知のインサート成型方法により、発熱部2が本体部3に含まれるように、本体部3と発熱部2とを一体化して構成してもよい。
【0031】
本体部3の両端には、第1開口部10,第2開口部11とが設けられ、本体部3の内部を、車両用温度測定装置1の外部の空気が流通可能となっている。本体部3は、第2開口部11が第1開口部10よりも上方に位置するように車両に取り付けられ、図1の例では、本体部3の中心軸Pが、基準面(例えば地面)の垂直方向と平行になっている。
【0032】
サーミスタ4は、より多くの空気にあたるように、本体部3の中心軸Pに近傍に突出するように、第1開口部10寄りの本体部3の内部に取り付けられている。フィルム状の温度センサを本体部3の内壁面に沿って貼り付ける構成としてもよい。
【0033】
コネクタ5は、制御ユニット(例えば図9のエアコンECU101)とケーブル(図示せず)を介して接続するためのものである。制御ユニットからはケーブルを介して、発熱部2を発熱させるための電源が供給され、サーミスタ4の出力電圧が温度信号として、ケーブルを介して制御ユニットへ送られる。コネクタ5を用いず、発熱部2のリード線2a,2bおよびサーミスタ4のリード線4a,4bにケーブルを直に制御ユニットに接続してもよい。
【0034】
上記構成によって、車両用温度測定装置1は、制御ユニット(図示せず)から供給される電源によって発熱部2が発熱し、発熱部2周辺の空気の温度が上昇する。暖められた空気は、第2開口部11に向かって上昇し、これにより煙突効果が生じ、第1開口部10から車室内の空気が流入し、本体部3の内部では矢印で示すように下方(第1開口部10)から上方(第2開口部11)への空気の流れが生ずる。よって、サーミスタ4で、第1開口部10から流入した空気、すなわち車室内の空気の温度を測定することができる。
【0035】
図2に、本体部3を上方から見た上面図を示す。本体部3の断面形状は筒状であればよく、略円形状(図2(a)),多角形状(図2(b)),凹形状(図2(c))のいずれでもよい。図2(c)の例では、車両側に凸部を設ければ、その凸部に凹部を嵌合することで、車両用温度測定装置1を車両に取り付けることができる。
【0036】
図3に、車両用温度測定装置1の構成の別例を示す。なお、本実施例は、図1の構成の変形例であるため、同一の符号を付与して(一部の符号は省略)、ここでの詳細な説明は割愛する。図1の構成と異なる点は、第1開口部および第2開口部の開口位置のみである。図3(a)のように、本体部3の両端部の近傍の側面(壁部)に、それぞれ第1開口部10aおよび第2開口部11aが形成されている。第1開口部10aと第2開口部11aとの位置関係は、図3(a)の例に制約されず、向かって左側に開口している第2開口部11aの開口位置を、正面に開口するようにしてもよい。
【0037】
なお、図3(a)の構成では、図3(b)のように、本体部3の中心軸Pが基準面(例えば地面)の垂直方向との角度θ1が90°近く(すなわち基準面と略平行な状態)になっても、第2開口部11aが第1開口部10aよりも上方に位置するため、発熱部2を発熱させると矢印で示される第1開口部10aから第2開口部11aへの空気の流れが生じ、図1の例と同様に、サーミスタ4により車室内の温度を測定することができる。
【0038】
図4に、車両用温度測定装置1の構成の別例を示す。本実施例は、第2開口部11は図1と同様の構成をとり、第1開口部が形成される本体部3の端部を所定角度(例えば90°)だけ曲げ、さらに所定の長さLだけ曲げられた方向に伸ばし、空気導入部6を形成したものである。曲げ角度および長さLは任意であるので、本体部3から離れた場所に第1開口部10bを形成でき、その第1開口部10b周辺の空気の温度を測定することができる。
【0039】
また、図4において、空気導入部6を本体部3とは別部品として構成してもよい。そして、空気導入部6の形状を、車種や本体部3の取り付け位置に応じたものとすることで、本体部3の構成・形状は1つでよくなり、部品管理が煩雑とならない。
【0040】
図5に、発熱部の構成の別例を示す。本構成例は、発熱部15を本体部3の内壁の周方向の壁面に取り付けたものである。発熱部15は、ニクロム線でも周知のセラミックヒータでもよい。また、フィルム状のヒータを用いてもよい。無論、本体部3には、発熱部15の発熱に対して変形・溶解等しない十分な耐熱性を有する素材を用いる。また、発熱部15が本体部3の内部に突出しているが、発熱部15が本体部3の内壁面と同一面なるように、発熱部15と本体部3を一体成型してもよい。
【0041】
また、図5において、本体部3の外壁面の少なくとも一部(例えば、発熱部15が取り付けられている位置の周辺)を、断熱材16で覆ってもよい。断熱材16は、本体部3の外壁面に貼り付けるシート状のものでもよいし、本体部3を、断熱効果を有する樹脂で形成してもよい。
【0042】
図6に、図5における発熱部の構成の別例を示す。図6の例は、発熱部17を、本体部3と同様の断面形状を有する筒状部品として形成し、例えば耐熱性を有する接着剤を用いて本体部3の上部に固着したものである。ここで、断熱材16を、発熱部17と本体部3との両方を覆うように巻きつければ、発熱部17と本体部3該接合部との強度を高め、外部からの衝撃から該接合部を保護することができる。
【0043】
図7に、遮熱部の構成例を示す。図7(a)のように、遮熱部18は、例えば本体部3と同じ材質の樹脂を用いた板状部材で、本体部3の発熱部2の取り付け位置とサーミスタ4の取り付け位置との間の内壁に形成される。遮熱部18と本体部3とのなす角度θ2は、特に制約はないが、空気の流れを考慮すると90°より小さいことが望ましい。図7(b)に、本体部を上方から見た状態(発熱部2は図示略)を示す。図7(b)のように、遮熱部18は、本体部3の内部における空気の流通を妨げることがないように、開口部18aを形成している。図7(b)の例では、開口部18aの形状は略半円形状であるが、形状に特に制約はなく、矩形状でもよい。また、図7(c)のように、遮熱部18が本体部3の内壁の全体に接し、その略中央に開口部18aを形成してもよい。
【0044】
図8に、遮熱部の構成の別例を示す。遮熱部19は、本体部3の発熱部2の取り付け位置とサーミスタ4の取り付け位置との間(例えば、両者の中間部)に最小径部19aを有し、最大径部を有する発熱部2の取り付け位置およびサーミスタ4の取り付け位置に向けて内面に滑らかに連続する括れ通路を有するベンチュリ管部として形成される。図8のように、本体部3の遮熱部19(すなわちベンチュリ管部)における外径を、括れに応じて細くするのではなく、本体部3の他の部分と同一になるように形成することで、本体部3の強度を強化あるいは維持することができる。
【0045】
図9に、エアコンECU101と、該エアコンECU101により制御されるエアコンユニットUとからなる車両用空調装置100の全体構成を概略的に示す。車両用空調装置100の主制御部をなすエアコンECU101には、空調用センサ120、および空調用操作部140が接続する構成を有している。エアコンユニットUは、いわゆるHVAC(Heating, Ventilating and Air-Conditioning)ユニットであり、車室内の空調状態を運転席(2D)側と助手席(2P)側(図10参照)とで独立して調整可能に構成されている。
【0046】
エアコンユニットUのダクト28には、車内空気を循環させるための内気吸込口42と、車外の空気を取込む外気吸込口41とが形成されており、内外気切替ダンパー24によりいずれかに切り替えて使用される。これら内気吸込口42ないし外気吸込口41からの空気は、ブロワ21によってダクト28内に吸い込まれる。ダクト28内には、吸い込まれた空気を冷却して冷気を発生させるためのエバポレータ22が設けられている。そして、エバポレータ22よりも下流側(吹出口側)は、運転席側の吹出口43〜45へ至る経路と助手席側の吹出口46,47へ至る経路に分岐している。
【0047】
なお、図10に示すように、エアコンユニットUには吹出口として、フロントガラス曇り止め用のデフロスタ吹出口43がフロントガラスの内面下縁に対応するインパネ上方奥に、運転席側フェイス吹出口45がインパネの正面中央右寄りと右隅に、助手席側フェイス吹出口46がインパネの正面中央左寄りと左隅に、運転席側フット吹出口44がインパネ下面右奥の運転席側足元に、助手席側フット吹出口47がインパネ下面左奥の助手席側足元に、それぞれ開口しており、図9の吹出口切替用ダンパー32〜36によってそれぞれ開閉状態が切り替えられる。
【0048】
図9に戻り、エアコンECU101には、エアミックスダンパー25,26、上記吹出口切替用ダンパー32〜36の開閉状態を切り替えるダンパー駆動ギア機構31、内外気切替ダンパー24、それらを駆動するサーボモータ71〜74、およびサーボモータ71〜74を駆動する駆動回路131〜134を含む空調用駆動部130が接続されている。これらサーボモータ71〜74は、エアコンECU101によって回転制御されるとともに、ロータの回転位置や回転速度等の情報を検出してエアコンECU101にフィードバックする。具体的には、駆動回路131〜134がエアコンECU101から駆動指令信号の入力を受けて、対応するサーボモータ71〜74を駆動する。
【0049】
エアコンECU101に接続される空調用センサ120は、車内温度を検出する内気温センサ、車外温度を検出する外気温センサ、エバポレータを通過した直後の空気の温度を検出するエバポレータ後センサ、および日射量を検出する日射センサ等の周知の空調用センサを含んで構成される。
【0050】
エアコンECU101に接続される空調用操作部140は、運転者及び助手席搭乗者により操作可能なインパネ正面中央に設けられたエアコンパネル141に設けられており、ON/OFFスイッチ、風量切替スイッチ、温度設定スイッチ、吹出口切替スイッチ(MODEスイッチ)、内外気切替スイッチ、デフロスタスイッチ、A/Cスイッチ、独立/一括制御切替スイッチ(DUALスイッチ)といったスイッチを含んで構成される。これらのスイッチは、各々周知の押圧操作部やダイアル操作部として構成されている。
【0051】
エアコンECU101は、CPU、ROM、RAM等を備える周知の構成を有し、各種空調用操作部140の操作状態や各種空調用センサ120の検出結果に基づいて空調用駆動部130を駆動制御することにより、吹出温度制御、風量制御、内気吸気・外気吸気切替制御、および吹出口切替制御等の周知の空調制御を実行する。これらの空調制御は、エアコンECU101のCPUが自身のROMに格納される空調制御プログラムを実行する形で実行される。
【0052】
本発明の車両用温度測定装置1は、車両用空調装置100の空調用センサ120のうちの、内気温センサとして用いられる。図10に、車両用温度測定装置1の取り付け位置の例を示す。車両用温度測定装置1は、例えば、フロントピラー(Aピラーともいう)PF,センターピラー(Bピラーともいう)PC,リアピラー(Cピラーともいう)PRの内側、あるいは運転席ドアDFR,運転席側後部座席ドアDRRのようなドアの内側に取り付けられる。ここで、「内側」とは、車室内の内装部材(内張りともいう)とボデー外板との間の空間を示している。また、インパネ下面奥の運転席側あるいは助手席側の足元に取り付けてもよい。
【0053】
図4の構成の車両用温度測定装置1を、センターピラーPCの基部(車室内の床面に近い箇所)に取り付け、空気導入部6を内装部材に設けられた開口部からさらに車室内の例えば後部座席(図示せず)中央の足元付近まで延長すれば、その位置の空気の温度を測定することができる。
【0054】
図11を用いて、車両用温度測定装置1を運転席側後部座席ドアDRRの内側に取り付ける例を説明する。運転席側後部ドアDRRは、ドアインナパネル61に固定されたドアインサイドハンドル62,ドアインサイドハンドル62の周囲を覆うエスカッション部63,車室内からドア(DRR)を開閉するためのドアグリップ64,およびドアグリップ64の取り付け・支持部を兼ねるドアアームレスト65等を含んで構成される。
【0055】
図11の例では、車両用温度測定装置1は、ドアインナパネル61の概ね下部に取り付けられているが、図12に取り付け例の詳細を示す。図12は、運転席側後部ドアDRRおよび車両用温度測定装置1を車両の前方(FR)から後方(RR)に向かって見た断面図である。車両用温度測定装置1は、例えば図4の構成を用いることができる。無論、図3の構成を用いてもよいし、発熱部の構成を図5,図6のようにしてもよいし、図7,図8のように遮熱部を設けてもよい。ドアインナパネル61に開口部が設けられ、その開口部に車両用温度測定装置1の第1開口部10bが接続されて、車室内の空気を車両用温度測定装置1の本体部3の内側に導入可能となっている。
【0056】
車両用温度測定装置1のドアインナパネル61への取り付け方法は、接着剤を用いてもよいし、別体あるいは本体部3と一体的に形成された取り付け用ステー(図示せず)を用いてビス止めしてもよい。車両用温度測定装置1を各ピラー(PF,PC,PR)に取り付ける方法も、図11,図12の例に準ずる。
【0057】
また、図11のように、ドアグリップ64内に図3の構成を用いた車両用温度測定装置1を取り付けてもよい。この場合、ドアグリップ64のドアインナパネル61側に開口部を設け(つまり、乗員からは開口部は見えない)、その開口部に図3の第1開口部10aを延長したものを接続する。この場合、第2開口部11aを第1開口部10aと同じ側に設ければよい。
【0058】
図13を用いて、図5の構成の車両用温度測定装置1を、車両に用いられている筒状の部材と一体的に形成する例について説明する。例えば、センターピラーCF(図10参照)の内部に車体の強度を補強するために筒状の補強部材68が使用されている場合、車両用温度測定装置1を補強部材68の一部として構成する。第1開口部10cは、補強部材68から分岐して形成され、車室内(あるいは内装部材の開口部)まで延長される。補強部材68は金属製の場合が多いので、本体部3も金属製となる。金属は熱伝導性が高く本体部3の周囲に熱が放射され易いので、図5の構成を用いれば、本体部3を内側から加熱し、その周囲を遮熱材16で覆うことで、補強部材68の強度を損なうことなく、熱の放射を抑制し、正確に車室内の温度を測定することが可能となる。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 車両用温度測定装置
2,15,17 発熱部
3 本体部
4 サーミスタ(温度測定部)
5 コネクタ
6 空気導入部
10,10a,10b,10c 第1開口部
11,11a 第2開口部
16 断熱材
18 遮熱部(板状部材)
19 遮熱部(ベンチュリ管部)
68 補強部材
100 車両用空調装置
120 空調用センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状をなし、その両端部の近傍にそれぞれ第1開口部,第2開口部を有する本体部と、
前記本体部において前記第1開口部と前記第2開口部との間に取り付けられ、該本体部の内部の空気を加熱するための発熱部と、
前記本体部における前記第1開口部と前記第2開口部との間に取り付けられ、該本体部の内部の空気の温度を測定するための温度測定部と、
を備え、
前記発熱部は、前記温度測定部よりも、前記第2開口部により近い位置に取り付けられ、
前記本体部は、前記第2開口部が前記第1開口部よりも上方に位置するように、車両の予め定められた位置に取り付けられることを特徴とする車両用温度測定装置。
【請求項2】
前記本体部の、前記発熱部の取り付け位置と前記温度測定部の取り付け位置との間に、前記発熱部が発生する熱の伝導を抑制するための遮熱部が形成される請求項1に記載の車両用温度測定装置。
【請求項3】
前記遮熱部は、前記本体部の内壁面に取り付けられ、前記発熱部の取り付け位置と前記温度測定部の取り付け位置との間に形成される空気の流路を確保可能とする、予め定められた形状をなす板状部材として形成される請求項2に記載の車両用温度測定装置。
【請求項4】
前記遮熱部は、前記発熱部の取り付け位置と前記温度測定部の取り付け位置との間に最小径部を有し、最大径部を有する該発熱部の取り付け位置および該温度測定部の取り付け位置に向けて内面に滑らかに連続する括れ通路を有するベンチュリ管部として形成される請求項2に記載の車両用温度測定装置。
【請求項5】
前記発熱部は、前記本体部における該発熱部の取り付け位置において、該本体部に固着あるいは該本体部と一体的に形成され、該本体部を加熱する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用温度測定装置。
【請求項6】
前記本体部の外壁面の少なくとも一部が断熱材で覆われている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用温度測定装置。
【請求項7】
前記本体部は、車両に用いられている筒状の部材と一体的に形成される請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用温度測定装置。
【請求項8】
前記車両用温度測定装置は、乗員の操作入力情報に基づいて、あるいは該操作入力情報と空調用センサからの検出結果情報とに基づいて、車室内の空調制御を行う車両用空調装置における前記空調用センサに含まれる請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両用温度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−169614(P2011−169614A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31098(P2010−31098)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】