説明

車両用温度警報装置

【課題】車室内の高温化または低温化に関するトラブルを未然に防ぐことを支援する車両用温度警報装置を提供する。
【解決手段】
警報手段1,2と、この警報手段1,2を動作させる制御手段4とを備え、制御手段4は外気温情報(所定情報)に基づいて車室内が警報必要温度に至るか否かを予測し、警報必要温度に至ると予測される場合は起動スイッチオフのタイミングにて警報手段1,2を警報動作させることにより、降車のタイミングにて予測に基づく警報が行われるため、車室内の高温化または低温化に関するトラブルを未然に防ぐことを支援することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の車室温度に関して警報を発する車両用温度警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用温度警報装置として、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。この車両用温度警報装置は、車室内の温度を検知し、車室内の温度が高温になったときに通信端末を通じて利用者に警報を発するようにしたものである。利用者はその警報を聞くことにより、車室内の温度が上昇したことを認識することができ、万が一車室内にライターを置き忘れたり、新鮮な野菜や果物等を置き忘れた場合でも、対処することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−348546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1記載の車両用温度警報装置は、車室内の温度が高温になったときに利用者に知らせるものであるため、対処が間に合わない場合や通信端末の不携帯、通信エラー、通信端末又は同システムの故障等により利用者が警報を聞き逃した場合は、温度上昇に関する対処ができない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は前述した問題点に着目し、車室内の高温化または低温化に関するトラブルを未然に防ぐことを支援する車両用温度警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するため、警報手段と、この警報手段を動作させる制御手段とを備え、前記制御手段は所定情報に基づいて車室内が警報必要温度に至るか否かを予測し、警報必要温度に至ると予測される場合は所定のタイミングにて前記警報手段を警報動作させることを特徴とする。
このように構成したことにより、所定のタイミングにて予測に基づく警報が行われるため、車室内の高温化または低温化に関するトラブルを未然に防ぐことを支援することができる。
【0007】
また本発明は、前記所定のタイミングが起動スイッチのオフ時、シートベルトの解除時、サイドブレーキのオン時、シフトレバーのパーキング位置への切替時、ドアの開閉時の少なくとも何れかであることを特徴とする。
このように構成したことにより、適切なタイミングで警報を行うことができる。
【0008】
また本発明は、前記所定情報が車室内温度情報、外気温情報、日付情報、時刻情報の少なくとも何れか一つであることを特徴とする。
このように構成したことにより、適切な予測が可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所定のタイミングにて、予測に基づく警報が行われるため、車室内の高温化または低温化に関するトラブルを未然に防ぐことを支援することが可能な車両用温度警報装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態による車両用温度警報装置のシステム構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図1を用いて説明する。
本実施形態の車両用温度警報装置は、視覚情報出力手段(警報手段)1と、聴覚情報出力手段(警報手段)2と、記憶手段3と、制御手段4とを有し、車室内に搭載される。
【0012】
視覚情報出力手段1は、例えば液晶表示器からなり、制御手段4の制御のもと、例えば燃料量、燃費、外気温、車室内温度(内気温)、日付、時刻、走行距離に係わる様々な車両情報を視覚情報として表示(出力)する。
【0013】
聴覚情報出力手段2は、例えばスピーカからなり、制御手段4の制御のもと、例えば燃料、外気温、内気温に係わる様々な車両情報を聴覚情報として出力する。
【0014】
記憶手段3は、例えば後述する入力情報に応じて視覚情報出力手段1と聴覚情報出力手段2を動作させるに必要なデータ(描画データや音声データ)やプログラムを格納するROM、RAM、フラッシュメモリ等からなる。
【0015】
制御手段4は、例えばマイクロコンピュータからなり、CAN通信等の通信手段からの入力情報を受信する入力端子41を有し、この入力端子41を通じて受信した入力情報に応じて視覚情報出力手段1に聴覚情報出力手段2とに前記車両情報を前記視覚情報または前記聴覚情報として出力させる。なお前記入力情報としては、視覚情報出力手段1と聴覚情報出力手段2による出力情報のもとになる情報の他、例えば起動スイッチ(イグニッションスイッチ)や視覚情報出力手段1の切替や表示情報のリセットを行う操作スイッチ等のスイッチ類からの情報も含まれる。
【0016】
具体的には制御手段4は、視覚情報出力手段1に前記車両情報として燃料量、燃費、外気温、内気温、日付、時刻、走行距離を表示させると共に例えば燃料量が所定量を下回った場合は「給油して下さい」なるテキスト(メッセージ)情報、外気温が所定温度以下の時は「凍結注意」なるテキスト(メッセージ)情報を出力させる。
【0017】
また制御手段4は、視覚情報出力手段1に前記テキスト情報を出力させる際、当該テキスト情報を音声情報として同時に出力させる。
【0018】
さらに制御手段4は、前記車両情報としての外気温情報(所定情報)に基づいて、車室内が警報必要温度に至るか否かを予測する。
【0019】
車室内の温度が警報必要温度に至るか否かの予測は、本実施形態の場合、その時の外気温によって一義的に定まるものである。
【0020】
すなわち、ある時点での外気温が第1の所定値(例えば第1の警報必要温度として設定される15度C〜18度C)以上であれば、その時点で利用者が車両を降車して所定時間が経過した場合、車室内は高温化し、反対に外気温が第1の所定値未満であれば、その時点で利用者が車両を降車して所定時間が経過しても車室内は高温化しないものと予測する。
また、ある時点での外気温が第2の所定値(例えば第2の警報必要温度として設定される5度C)以下であれば、その時点で利用者が車両を降車して所定時間が経過した場合、車室内は低温下し、反対に外気温が第2の所定値未満であれば、その時点で利用者が車両を降車して所定時間が経過しても車室内は低温化しないものと予測する。
【0021】
そして制御手段4は、外気温が第1の警報必要温度以上または第2の警報必要温度以下の場合は、利用者の降車に関連する所定のタイミング、例えば起動スイッチのオフのタイミングにて「車内高温(低温)化注意」や「○○放置禁止」なるテキスト(メッセージ)を視覚情報出力手段1に表示させると共に、聴覚情報出力手段2に当該表示情報を読み上げる音声出力を行わせる。これらの出力は、利用者が前記スイッチ類を操作するまで継続してもよいし、出力開始が所定時間経過後に出力をオフするようにしてもよい。
【0022】
以上のように本実施形態では、警報手段1,2と、この警報手段1,2を動作させる制御手段4とを備え、制御手段4は外気温情報(所定情報)に基づいて車室内が警報必要温度に至るか否かを予測し、警報必要温度に至ると予測される場合は起動スイッチオフのタイミングにて警報手段1,2を警報動作させることにより、降車のタイミングにて予測に基づく警報が行われるため、車室内の高温化または低温化に関するトラブルを未然に防ぐことを支援することができる。
【0023】
また本実施形態では、起動スイッチオフのタイミングで警報を行うことにより、適切なタイミングで警報を行うことができる。
【0024】
なお警報を行うタイミングは、シートベルトの解除、サイドブレーキのオン、シフトレバーのパーキング位置への切替、ドアの開または閉の少なくとも何れかであってもよい。
【0025】
また本実施形態では、所定情報として例えば起動スイッチオフ直前のタイミングにおいて最新の外気温情報に基づいて車室内温度を予測することにより、適切な予測が可能となる。
【0026】
なお車室内温度の予測は、外気温情報の他にも、例えば車室内温度情報、日付情報、時刻情報の少なくとも何れか一つに基づいて予測してもよい。
【0027】
また外気温や内気温等の温度情報を用いる場合、例えば最新の温度情報と過去の温度情報から直線近似等を行い、その直線の傾きに基づいて警報必要温度に至るか否かを予測してもよい。
【0028】
また温度情報を用いる場合、センサ等の実測値に替えて、図示しないナビゲーションシステムを通じて得られる予想気温に基づいて警報必要温度に至るか否かを予測してもよい。
【0029】
また車室内温度の予測は、例えば内外気温情報、車室内温度情報、日付情報、時刻情報等、複数の情報を用いて予測してもよい。
【0030】
また本実施形態では、警報手段として、視覚情報出力手段1と、聴覚情報出力手段2の双方を適用したが、何れか一方を適用してもよい。
【0031】
また聴覚情報出力手段2はスピーカではなく、ブザー等の発音素子であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 視覚情報出力手段(警報手段)
2 聴覚情報出力手段(警報手段)
3 記憶手段
4 制御手段
41 入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警報手段と、この警報手段を動作させる制御手段とを備え、前記制御手段は所定情報に基づいて車室内が警報必要温度に至るか否かを予測し、警報必要温度に至ると予測される場合は所定のタイミングにて前記警報手段を警報動作させることを特徴とする車両用温度警報装置。
【請求項2】
前記所定のタイミングが起動スイッチのオフ時、シートベルトの解除時、サイドブレーキのオン時、シフトレバーのパーキング位置への切替時、ドアの開閉時の少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1記載の車両用温度警報装置。
【請求項3】
前記所定情報が車室内温度情報、外気温情報、日付情報、時刻情報の少なくとも何れか一つであることを特徴とする請求項1記載の車両用温度警報装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−20594(P2011−20594A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168372(P2009−168372)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】