説明

車両用灯具の洗浄装置

【課題】部品点数の削減とバンパカバーの小型化を図ってコストダウンを図るとともに、バンパカバーの組付性の向上を図ることができる車両用灯具の洗浄装置を提供すること。
【解決手段】シリンダと、ピストンと、該ピストンの先端に取り付けられた噴射ノズル部5と、該噴射ノズル部5に取り付けられたバンパカバー16を備えた車両用灯具の洗浄装置において、前記バンパカバー16の裏面に上下一対の嵌合プレート16Aを一体に形成するとともに、前記噴射ノズル部5に被嵌合部11Aを一体に形成し、これらの嵌合プレート16Aに係合孔16a、被嵌合部11Aに係合爪11cをそれぞれ形成し、被嵌合部11Aに嵌合プレート16Aを嵌合させるとともに、被係合部11Aに形成された係合爪11cを嵌合プレート16に形成された係合孔16aに係合させることによってバンパカバー16を噴射ノズル部5に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドランプ等の車両用灯具に洗浄液を噴射してその表面を洗浄するための洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両前部の左右に配置されたヘッドランプの前面(レンズ面)が埃や泥等の付着によって汚れると光量不足を招く可能性があるため、必要に応じてヘッドランプに向かって洗浄液を噴射して該ヘッドランプの前面を洗浄するための洗浄装置がフロントバンパの裏側に設置されている。この洗浄装置は、洗浄液が供給されるシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌挿されたピストンと、該ピストンの先端に取り付けられた噴射ノズル部と、該噴射ノズル部に取り付けられたバンパカバーを備えている。
【0003】
斯かる洗浄装置を備えた車両のフロントバンパの左右には、ヘッドランプの洗浄時にピストンとその先端に取り付けられた噴射ノズル部が通過して車両前方へと突出するための開口部が形成されている。
【0004】
而して、非洗浄時には噴射ノズル部がフロントバンパの裏側に格納されており、ヘッドランプを洗浄する際には洗浄液の圧力によってピストンと噴射ノズル部がフロントバンパに形成された開口部から車両前方へと突出し、洗浄液の圧力が所定値以上に高くなると、チェックバルブが開いて洗浄液が噴射ノズル部へと供給され、噴射ノズル部から洗浄液がヘッドランプに向かって噴射され、ヘッドランプの前面に付着した埃や泥等が除去される。そして、ヘッドランプの洗浄が終了すると、ピストンと噴射ノズル部はリターンスプリング等の付勢手段によってフロントバンパの裏側の格納位置に戻され、フロントバンパの開口部は噴射ノズル部に取り付けられたバンパカバーによって覆われ、その奥の噴射ノズル部等が外側から見えないようになっている。
【0005】
ところで、バンパカバーの噴射ノズル部への取り付けは、フロントバンパの狭小な開口部からネジ締め等によってなされていたために甚だ作業性が悪いという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献1には、図11に示すようなバンパカバーの取付構造が提案されている。
【0007】
即ち、図11は特許文献1において提案されたバンパカバーの取付構造を示す分解斜視図であり、図示のようにバンパカバー116の裏面には、円筒状の受部116Aと、この受部116Aから左右に水平に延びる板状の係合部116B及び該係合部116Bの左右両端部に形成された縦リブ状の補強リブ116Cが一体に突設されている。ここで、受部116Aの上部には係合切欠き116aが形成され、同受部116Aの左右両側部には受け入れ切欠き116bが形成されている。又、左右の係合部116Bには係合孔116cがそれぞれ形成されている。
【0008】
他方、不図示のピストンの先端に取り付けられた噴射ノズル部105のバルブケース111にはホルダ120が取り付けられており、このホルダ120には、軸状の嵌合軸部120Aとその両側から左右に水平に延びる板状の支持部120Bが形成されている。そして、ホルダ120の軸部120Aの上部には回り止め突条120aが形成されており、左右の支持部120Bには係合爪120bがそれぞれ形成されている。
【0009】
而して、バンパカバー116は以下の要領で噴射ノズル部105に取り付けられる。
【0010】
即ち、不図示のピストンとその先端の噴射ノズル部105が不図示のブラケットを介して車体に取り付けられた状態で、バンパカバー116の受部116Aと係合部116B及び補強リブ116Cをフロントバンパの不図示の開口部から内部に挿入すると、ホルダ120の嵌合軸部120Aに形成された回り止め突条120aが受部116Aの係合切欠き116aに係合するとともに、左右の支持部120Bが受部116Aの受け入れ切欠きに120b嵌合してゆき、バンパカバー116が噴射ノズル部105に対して位置決めされる。そして、その状態を維持しつつバンパカバー116を更に奥へと押し込むと、ホルダ120の左右の支持部120Bに形成された係合爪120bがバンパカバー116側の係合部116Bに形成された係合孔116cに係合し、バンパカバー116がホルダ120を介して噴射ノズル部105に取り付けられる。
【0011】
以上のように、図11に示す取付構造によれば、バンパカバー116の受部116Aとホルダ120の嵌合軸部120Aとを位置合わせした状態で、バンパカバー116を奥側へと押し込むだけで該バンパカバー116を噴射ノズル部105に取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−335275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、図11に示す従来の取付構造にあっては、ホルダ120が必要であるために部品点数が増え、コストアップの原因になるという問題があった。又、バンパカバー116側には受部116Aと横方向に延びる幅広の係合部116B及び補強リブ116Cが設けられているため、バンパカバー116が大きくなり、その受圧面積も大きくなって洗浄時にバンパカバー116が受ける風圧による力が大きくなるという問題もある。洗浄時にバンパカバー116が受ける風圧による力が大きいと、ピストンが伸び切ることができず、その先端に取り付けられた噴射ノズル部105から噴射される洗浄液が目標とするヘッドランプの位置に噴射されず、ヘッドランプの洗浄が不十分となる可能性がある。
【0014】
更に、図11に示す従来の取付構造においては、フロントバンパの狭小な開口部からバンパカバー116の受部16Aを差し込み、これとホルダ120の嵌合軸部120Aとを正確に位置合わせすることは容易ではなく、両者の位置決めには治具等の特別な手段を用いる必要があるという問題がある。
【0015】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、部品点数の削減とバンパカバーの小型化を図ってコストダウンを図るとともに、バンパカバーの組付性の向上を図ることができる車両用灯具の洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、洗浄液が供給されるシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌挿されたピストンと、該ピストンの先端に取り付けられた噴射ノズル部と、該噴射ノズル部に取り付けられたバンパカバーを備え、前記噴射ノズル部の噴射口から洗浄液を車両用灯具に向けて噴射する車両用灯具の洗浄装置において、前記バンパカバーの裏面に上下一対の嵌合プレートを一体に形成するとともに、前記噴射ノズル部に被嵌合部を一体に形成し、これらの嵌合プレートと被嵌合部の一方に係合爪、他方に係合孔をそれぞれ形成し、前記被嵌合部に前記嵌合プレートを嵌合させるとともに、両者の一方に形成された前記係合爪を他方に形成された前記係合孔に係合させることによって前記バンパカバーを前記噴射ノズル部に取り付けたことを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記噴射ノズル部の上下面に、前記バンパカバーの嵌合プレートの左右両端面に摺接してバンパカバーをガイドする左右一対のガイドリブをそれぞれ立設したことを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記ガイドリブの高さを左右で異ならせるとともに、前記嵌合プレートの左右の何れか一方に、高さの高い前記ガイドリブに当接して嵌合ブレートの前記被嵌合部への嵌合を阻止する誤組防止リブを形成したことを特徴とする。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、左右の前記噴射ノズル部を上下を逆にして左右で共用するとともに、左右の前記バンパカバーに形成された前記嵌合プレートに前記誤組防止リブを左右で互いに逆側に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によれば、バンパカバーの裏面に一体に形成された上下一対の嵌合プレートをバンパの開口部から差し込み、該嵌合プレートを噴射ノズル部に形成された被嵌合部の上下面に嵌め込んだ状態で、バンパカバーをそのまま押し込めば、嵌合プレートと被嵌合部の一方に形成された係合爪が他方に形成された係合孔に係合してバンパカバーが噴射ノズル部に取り付けられるため、従来要していたホルダ等の部品が不要となり、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。
【0021】
又、バンパカバーの裏面に形成された上下一対の嵌合プレートの幅は噴射ノズル部の被嵌合部の幅よりも狭く、バンパカバーの大きさは噴射ノズル部を覆う程度で良いため、該バンパカバーを小型化してコストダウンを図ることができる。そして、このようにバンパカバーが小型化されることによって該バンパカバーの受圧面積も小さく抑えられるため、洗浄時にピストンと噴射ノズル部及びバンパカバーがフロントバンパの前方へ突出したときにバンパカバーが受ける風圧による力が小さく抑えられる。このため、ピストンが風圧による力に抗して完全に伸び切ることができ、その先端に取り付けられた噴射ノズル部の噴射口から噴射される洗浄液が目標とする位置に正確に噴射され、車両用灯具の洗浄が十分なされる。
【0022】
請求項2記載の発明によれば、バンパカバーの取り付けに際して、噴射ノズル部の被係合部の上下面に形成されたガイドリブが嵌合プレートの左右両側面に摺接して各ガイドリブの移動を案内するため、バンパカバーの組付性が高められる。
【0023】
請求項3及び4記載の発明によれば、噴射ノズル部の上下面に高さの異なるガイドリブをそれぞれ形成し、バンパカバーの上下一対の嵌合プレートの左右の何れかに、該バンパカバーを正規の状態に対して上下及び左右を入れ違えて組み付けようとしたときに高さの高い方のガイドリブと干渉する誤組防止リブを形成したため、バンパカバーの誤組みが防がれ、バンパカバーを常に正規の状態で取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る洗浄装置の格納時の側面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】(a),(b)は非洗浄時(格納時)と洗浄時の洗浄装置の状態を示す側断面図である。
【図4】本発明に係る洗浄装置のバンパカバーを噴射ノズル部に取り付ける前の状態を示す平面図である。
【図5】本発明に係る洗浄装置のバンパカバーを噴射ノズル部に取り付けた状態を示す平面図である。
【図6】(a),(b)は図5のB−B線断面図である。
【図7】本発明に係る洗浄装置において取付状態にあるバンパカバーと噴射ノズル部を裏側から見た斜視図である。
【図8】本発明に係る洗浄装置の取付状態にあるバンパカバーと噴射ノズル部の背面図である。
【図9】図8のC−C線断面図である。
【図10】本発明に係る洗浄装置において別意匠のバンパカバーを噴射ノズル部に取り付けた状態を示す平面図である。
【図11】特許文献1において提案されたバンパカバーの取付構造を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は本発明に係る洗浄装置の格納時の側面図、図2は図1のA−A線断面図、図3(a),(b)は非洗浄時(格納時)と洗浄時の洗浄装置の状態を示す側断面図であり、本実施の形態に係る洗浄装置1は、車両前部の左右に配置された不図示のヘッドランプの前面(レンズ面)に向かって洗浄液を噴射して該前面を洗浄するための装置であって、図3に示すようにフロントバンパ50の裏側に配置されている。尚、洗浄装置1は左右のヘッドランプに対してそれぞれ設置されているが、その構成及び作用は左右で同じであるため、以下、一方の洗浄装置1についてのみ説明する。
【0027】
図1及び図2に示す洗浄装置1は、円筒状のシリンダ2の内部に円筒状のピストン3を摺動可能に嵌挿し、該ピストン3の先端部にチェックバルブ機構4を介して噴射ノズル部5を取り付けて構成されている。
【0028】
上記シリンダ2は、不図示のウォッシャタンクから洗浄液の供給を受けるものであって、その後端中心部にはプラグ6がシリンダ2の軸方向に対して直角に設けられており、シリンダ2の内部はプラグ6に接続された不図示のホースを介してウォッシャタンクに連通している。又、シリンダ2の前端部内周には有底筒状のカバー7が嵌着されており、このカバー7の外周にはブラケット8が取り付けられている。そして、洗浄装置1はブラケット8を介して図3に示すフロントバンパ50の裏側の車体に取り付けられている。
【0029】
そして、シリンダ2内のピストン3の外周には、図2に示すように、ピストン3をシリンダ2内に引き込む方向に付勢する付勢手段としての圧縮バネ9が巻装されており、この圧縮バネ9は前記カバー7とシリンダ2との間に縮装されている。
【0030】
前記ピストン3の後端の大径部3Aは、ゴム製のシール部材10を介してシリンダ2の内周面に摺接しており、その内部には軸方向に貫通する洗浄液通路3aが形成されている。
【0031】
前記チェックバルブ機構4は、図2に示すように、バルブケース11の内部にバルブ12と、該バルブ12を閉じ方向に付勢するバルブスプリング13を収容して構成されており、全体の横断面形状が横方向に扁平な楕円状とされている。尚、バルブスプリング13のバネ定数は前記圧縮バネ9のバネ定数よりも大きく設定されている。
【0032】
ここで、前記噴射ノズル部5は、チェックバルブ機構4と、該チェックバルブ機構4のバルブケース11の左右に回動可能に支持されたノズルホルダ14と、左右の各ノズルホルダ14に嵌合保持された噴射ノズル15とで構成されており、バルブケース11の幅方向中央に形成された四角筒状の被嵌合部11Aにはバンパカバー16がその裏面から車両後方(図1の左方)に向かって水平に延びる上下一対の嵌合プレート16Aを介して取り付けられている。尚、パンパカバー16は、図3に示すフロントバンパ50に形成された開口部50aを非洗浄時(ピストン3及び噴射ノズル部5が図3(a)に示すようにフロントバンパ50の裏側に格納されているとき)に塞ぐためのものであって、その取付構造の詳細は後述する。
【0033】
次に、以上のように構成された洗浄装置1の作用について説明する。
【0034】
本実施の形態に係る洗浄装置1において、ヘッドランプの洗浄が行われない場合には、ピストン3は圧縮バネ9の付勢力によって図1、図2及び図3(a)に示すようにシリンダ2内に引き込まれており、このとき、チェックバルブ機構4のバルブ12は図2に示すようにバルブスプリング13によって閉じられている。又、噴射ノズル部5は、図3(a)に示すように車両のフロントバンパの50裏側に格納されており、その先端に取り付けられたバンパカバー16はフロントバンパ50に形成された開口部50aを塞いでいる。
【0035】
而して、洗浄装置1によってヘッドランプの洗浄を行う場合には、不図示のウォッシャタンクから不図示のホースを経て高圧の洗浄液が洗浄装置1のシリンダ2へと供給され、この洗浄液の圧力を大径部3Aの端面に受けるピストン3は、圧縮バネ9を押し縮めながら前方へと押し出される。このようにピストン3が前方へと押し出されると、該ピストン3とその先端に設けられた噴射ノズル部5がバンパカバー16と共に図3(b)に示すようにフロントバンパ50に形成された開口部50aから車両前方へと押し出される。この場合、前述のようにバルブスプリング13のバネ定数は圧縮バネ9のバネ定数よりも大きく設定されているため、チェックバルブ機構4のバルブ12は図2に示すように閉じたままであって、洗浄液は噴射ノズル部5には供給されない。
【0036】
上述のようにピストン3が洗浄液の圧力によってシリンダ2の前端まで前進して停止すると、ピストン3はシリンダ2から最も延出する最伸長状態にある。このようにピストン3がシリンダ2から最も引き出された最伸長位置に達した後、洗浄液の圧力が所定値を超えて上昇し、チェックバルブ機構4のバルブ12に作用する洗浄液の圧力に基づく力がバルブスプリング13の付勢力よりも大きくなると、バルブ13は前方へと移動して開くため、洗浄液は、バルブケース11から左右のノズルホルダ14を経て左右の各噴射ノズル15へと供給される。
【0037】
上述のように左右の噴射ノズル15へと供給された洗浄液は、各噴射ノズル15にそれぞれ開口する不図示の噴射口からヘッドランプの前面に向かって噴射され、該ヘッドランプの前面に付着した埃や泥等を洗い流す。そして、ヘッドランプの洗浄が終了してシリンダ2への洗浄液の供給が遮断されると、ピストン3が圧縮バネ9の付勢力によって図3(a)に示すようにシリンダ2内に引き込まれるため、噴射ノズル部5はフロントバンパの50裏側の格納位置に戻され、バンパカバー16はフロントバンパ50の開口部50aを塞ぐとともに、チェックバルブ機構4のバルブ12は図2に示すように再び閉じられる。
【0038】
次に、バンパカバー16の噴射ノズル部5への取付構造を図4〜図9に基づいて以下に説明する。
【0039】
図4はバンパカバーを噴射ノズル部に取り付ける前の状態を示す平面図、図5はバンパカバーを噴射ノズル部に取り付けた状態を示す平面図、図6(a),(b)は図5のB−B線断面図、図7は取付状態にあるバンパカバーと噴射ノズルを裏側から見た斜視図、図8は取付状態にあるバンパカバーと噴射ノズルの背面図、図9は図8のC−C線断面図である。
【0040】
図7及び図8に示すように、バンパカバー16は、フロントバンパ50に形成された開口部50a(図3参照)の形状に合致する形状(本実施の形態では矩形の円弧曲面形状)に樹脂によって一体成形されており、その裏面には上下一対の前記嵌合プレート16Aが車両後方(図4及び図5の下方)に向かって水平且つ平行に一体に形成されている(図9参照)。そして、上下一対の各嵌合プレート16Aの先端部には矩形の係合孔16aがそれぞれ形成されるとともに、その左右方向一端縁(図5及び図6(a)の右端縁)には横断面逆L字状の誤組防止リブ16bが長手方向(車両前後方向)に沿って一体に形成されている。
【0041】
他方、図4、図6、図7及び図8に示すように、噴射ノズル部5に設けられたバルブケース11の上下面の左右には、高さの異なるガイドリブ11a,11bが所定の間隔(嵌合プレート16Aの幅)で車両前後方向(図6の紙面垂直方向)に沿って互いに平行に立設されている。尚、本実施の形態では、後面視において左側のガイドリブ11aが高く、右側のガイドリブ11bが低く形成されている(図6参照)。又、図4及び図9に示すように、バルブケース11の上下面の幅方向中央には係合爪11cがそれぞれ形成されている。
【0042】
而して、前述のように洗浄装置1はブラケット8(図1及び図2参照)を介して図3(a)に示すようにフロントバンパ50の裏側の車体に取り付けられているが、この洗浄装置1の噴射ノズル部5にバンパカバー16が以下の要領で取り付けられる。
【0043】
即ち、バンパカバー16の裏面に形成された上下一対の嵌合プレート16Aをフロントバンパ50の開口部50aに車両前方からそのまま真っ直ぐ車両後方へと挿入すれば、上下一対の嵌合プレート16Aが噴射ノズル部5のバルブケース11の先端部に形成された角筒状の被嵌合部11Aの上下面と該上下面にそれぞれ突設された左右のガイドリブ11a,11bに嵌合する。このような状態でバンパカバー16を更に奥側(車両後方)へと押し込めば、該バンパカバー16の上下一対の嵌合プレート16Aは、その左右両側面が左右のガイドリブ11a,11bに摺接した状態で案内されながらバルブケース1の被嵌合部11Aの上下面に沿って移動し、図5及び図9に示すように、各嵌合プレート16Aに形成された嵌合孔16aにバルブケース11の被嵌合部11Aの上下面に形成された係合爪11cが係合し、バンパカバー16が噴射ノズル部5に固定される。この場合、バンパカバー16の上下が正しい場合には、図6(a)に示すように上下の嵌合プレート16Aに形成された誤組防止リブ16bが高さの低いガイドリブ11b側(図6の右側)に位置しているため、該誤組防止リブ16bがガイドリブ11bと干渉することがなく、バンパカバー16の取り付けが何ら支障なくスムーズになされる。
【0044】
これに対して、作業者がバンパカバー16の上下を逆にしてこれを取り付けようとした場合には、各嵌合プレート16Aに形成された誤組防止リブ16bが図6(b)に示すように高さの高いガイドリブ11a側(図6(b)の左側)に位置するため、該誤組防止リブ16bがガイドリブ11aと干渉してバンパカバー16をそれ以上押し込むことができない。このことによって作業者はバンパカバー16を上下を逆にして取り付けていることに気づき、バンパカバー16の誤組みが確実に防がれる。
【0045】
ところで、バンパカバー16の曲面形状はフロントバンパ50の曲面形状に沿っているため、その形状は左右で異なり、左右のバンパカバー16を逆に取り付ける誤組みを防ぐことも必要となる。
【0046】
本実施の形態では、噴射ノズル部5は左右で共用しており、バルブケース11は左右で上下を逆転して使用する。従って、バルブケース11の上下面に形成された高さの異なる各2つのガイドリブ11a,11bの左右の配置は左右のバルブケース11で互いに逆になる。このため、バンパカバー16の上下一対の嵌合プレート16Aに形成される誤組防止リブ16bの左右位置が左右のバンパカバー16について互いに逆になるようにすれば、作業者がバンパカバー16の左右を取り違えて取り付ける誤組みの発生が確実に防がれる。
【0047】
以上のように、本実施の形態に係る洗浄装置1においては、バンパカバー16の裏面に一体に形成された上下一対の嵌合プレート16Aをフロントバンパ50の開口部50aから差し込み、該嵌合プレート16Aを噴射ノズル部5のバルブケース11に形成された被嵌合部11Aの上下面に嵌め込んだ状態で、バンパカバー16をそのまま押し込めば、嵌合プレート16Aに形成された係合孔16aにバルブケース11の上下面に形成された係合爪11cが係合してバンパカバー16が噴射ノズル部にワンタッチで簡単に取り付けられるため、従来要していたホルダ120(図11参照)等の部品が不要となり、部品点数を削減してコストダウンを図ることができる。そして、バンパカバー16の取り付けに際して、バルブケース11の被係合部11Aの上下面に形成された各ガイドリブ11a,11bが嵌合プレート11Aの左右両側面に摺接して各嵌合プレート16Aの移動を案内するため、バンパカバー16の組付性が高められる。
【0048】
尚、図10に示すような意匠の異なるバンパカバー16’に対しては、その裏面に一体に形成される嵌合プレート16Aの長さを変えるだけで対応することができる。
【0049】
又、バンパカバー16の裏面に形成された上下一対の嵌合プレート16Aの幅は噴射ノズル部5のバルブケース11に形成された被嵌合部11Aの幅よりも狭く、バンパカバー16の大きさは噴射ノズル部5を覆う程度で良いため、該バンパカバー16を小型化してコストダウンを図ることができる。そして、このようにバンパカバー16が小型化されることによって該バンパカバー16の受圧面積も小さく抑えられるため、図3(b)に示すように洗浄時にピストン3と噴射ノズル部5及びバンパカバー16がフロントバンパ50の前方へ突出したときにバンパカバー16が受ける風圧による力が小さく抑えられる。このため、ピストン3が風圧による力及び圧縮バネ9(図2参照)の付勢力に抗して完全に伸び切ることができ、その先端に取り付けられた噴射ノズル部5の噴射にズル15の噴射口から噴射される洗浄液が目標とするヘッドランプの位置に正確に噴射され、ヘッドランプの洗浄が十分なされる。
【0050】
そして、本実施の形態では、噴射ノズル部5のバルブケース11の上下面に高さの異なるガイドリブ11a,11bをそれぞれ形成し、バンパカバー16の上下一対の嵌合プレート16Aの左右の何れかに、該バンパカバー16を正規の状態に対して上下及び左右を入れ違えて組み付けようとしたときに高さの高い方のガイドリブ11aと干渉する誤組防止リブ16bを形成したため、バンパカバー16の誤組みが防がれ、バンパカバー16を常に正規の状態で取り付けることができる。
【0051】
尚、以上の実施の形態では、バンパカバー16側の嵌合プレート16Aに係合孔16aを形成し、バルブケース11の被嵌合部11Aに係合爪11cを形成したが、これとは逆にバンパカバー16側の嵌合プレート16Aに係合爪を形成し、バルブケース11の被嵌合部11Aに係合孔を形成しても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 洗浄装置
2 シリンダ
3 ピストン
3A ピストンの大径部
3a ピストンの洗浄液通路
4 チェックバルブ機構
5 噴射ノズル部
6 プラグ
7 カバー
8 ブラケット
9 圧縮バネ
10 シール部材
11 バルブケース
11A バルブケースの被嵌合部
11a,11b バルブケースのガイドリブ
11c バルブケースの係合爪
12 バルブ
13 バルブスプリング
14 ノズルホルダ
15 噴射ノズル
16,16’ バンパカバー
16A バンパカバーの嵌合プレート
16a バンパカバーの係合孔
16b 誤組防止リブ
50 フロントバンパ
50a フロントバンパの開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液が供給されるシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌挿されたピストンと、該ピストンの先端に取り付けられた噴射ノズル部と、該噴射ノズル部に取り付けられたバンパカバーを備え、前記噴射ノズル部の噴射口から洗浄液を車両用灯具に向けて噴射する車両用灯具の洗浄装置において、
前記バンパカバーの裏面に上下一対の嵌合プレートを一体に形成するとともに、前記噴射ノズル部に被嵌合部を一体に形成し、これらの嵌合プレートと被嵌合部の一方に係合爪、他方に係合孔をそれぞれ形成し、前記被嵌合部に前記嵌合プレートを嵌合させるとともに、両者の一方に形成された前記係合爪を他方に形成された前記係合孔に係合させることによって前記バンパカバーを前記噴射ノズル部に取り付けたことを特徴とする車両用灯具の洗浄装置。
【請求項2】
前記噴射ノズル部の上下面に、前記バンパカバーの嵌合プレートの左右両端面に摺接してバンパカバーをガイドする左右一対のガイドリブをそれぞれ立設したことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具の洗浄装置。
【請求項3】
前記ガイドリブの高さを左右で異ならせるとともに、前記嵌合プレートの左右の何れか一方に、高さの高い前記ガイドリブに当接して嵌合ブレートの前記被嵌合部への嵌合を阻止する誤組防止リブを形成したことを特徴とする請求項2記載の車両用灯具の洗浄装置。
【請求項4】
左右の前記噴射ノズル部を上下を逆にして左右で共用するとともに、左右の前記バンパカバーに形成された前記嵌合プレートに前記誤組防止リブを左右で互いに逆側に形成したことを特徴とする請求項3記載の車両用灯具の洗浄装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−218657(P2012−218657A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88753(P2011−88753)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】