車両用灯具
【課題】灯具の外観性を向上できる車両用灯具を提供すること。
【解決手段】この車両灯灯具は、光源と、この光源の光を導く導光体3と、この導光体3を通過した光を拡散するレンズとを含んで構成される。そして、導光体3が、光源からの平行光を導光体3の一方の端部3aから他方の端部3bに導く第一導光部31と、この第一導光部31からの平行光の進行方向を反転させる光反転部32と、この光反転部32からの平行光を導光体3の他方の端部3bから一方の端部3aに向けて導く第二導光部33と、この第二導光部33内の平行光を反射して第二導光部33の外部に出射させる光反射部34とを有している。また、第一導光部31および第二導光部33が略均一な肉厚tを有する。
【解決手段】この車両灯灯具は、光源と、この光源の光を導く導光体3と、この導光体3を通過した光を拡散するレンズとを含んで構成される。そして、導光体3が、光源からの平行光を導光体3の一方の端部3aから他方の端部3bに導く第一導光部31と、この第一導光部31からの平行光の進行方向を反転させる光反転部32と、この光反転部32からの平行光を導光体3の他方の端部3bから一方の端部3aに向けて導く第二導光部33と、この第二導光部33内の平行光を反射して第二導光部33の外部に出射させる光反射部34とを有している。また、第一導光部31および第二導光部33が略均一な肉厚tを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用灯具に関し、さらに詳しくは、灯具の外観性を向上できる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に車両用灯具では、点灯時の発光状態を均一化する等により灯具の外観性を向上すべき課題がある。
【0003】
かかる課題に関する従来の車両用灯具には、特許文献1に記載される技術が知られている。従来の車両用灯具(自動車用の照明および合図用の装置)は、内部を伝搬する光が外部に向かって局部的に拡散するような拡散領域、若しくは反射するような反射領域、又は両方の領域を面の一部に有している光ガイドを照射する少なくとも1つの光源と、前記ガイドの内部へ光を反射して戻す反射手段が設けられ、前記光源から離間している少なくとも1つのガイドの端面部とを備える自動車向けの照明および合図用装置において、前記反射手段は、光線が、3つの正方形からなる三面体に、次々と全反射する状態で当たり、光線の三連続反射を生じて、最初の入射方向と実質的に平行に光線がガイド内で戻るように、各ファセットが外側に突出している少なくとも1つの直角コーナー部を光ガイド材に備えているか、または、少なくとも1つの前記直角コーナー部と、前記ガイド内で入射光線が戻るように、2つのファセットが外側に突出している少なくとも1つの斜角コーナー部とを備えていることを特徴とする。
【0004】
【特許文献1】特開2006−80069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、車両用灯具では、車両の車体形状(ボディラインのカーブや傾斜)等との関係により、その設置スペースが制約される場合がある。かかる場合には、例えば、一対の車両用灯具が車両に設置されるときに、これらの車両用灯具における光源と導光体との配置構成が相互に対称となる。すると、これらの車両用灯具における点灯時の発光状態が相異し、灯具の外観性が低下するおそれがある。
【0006】
そこで、この発明は、上記に鑑みてされたものであって、灯具の外観性を向上できる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明にかかる車両灯灯具は、光源と、前記光源の光を導く導光体と、前記導光体を通過した光を拡散するレンズとを含む車両用灯具であって、前記導光体が、前記光源からの平行光を前記導光体の一方の端部から他方の端部に導く第一導光部と、前記第一導光部からの平行光の進行方向を反転させる光反転部と、前記光反転部からの平行光を前記導光体の他方の端部から一方の端部に向けて導く第二導光部と、前記第二導光部内の平行光を反射して前記第二導光部の外部に出射させる光反射部とを含み、且つ、前記第一導光部および前記第二導光部が略均一な肉厚を有することを特徴とする。
【0008】
この車両用灯具では、光源からの平行光が第一導光部を介して導光体の一方の端部3aから他方の端部3bに導かれ、光反転部にて進行方向を略180度反転させる。そして、この平行光が、第二導光部を介して導光体の他方の端部3bから一方の端部3aに向かって導かれ、その途中で光反射部にあたって外部に出射する。かかる構成では、光源が導光体の一方の端部3a側に配置されているにもかかわらず、光源が導光体の他方の端部3b(光源が配置される側に対して反対側の端部)側に配置されているかのように灯具が発光する。したがって、例えば、灯具の設置スペースが車両の車体形状(ボディラインのカーブや傾斜)などにより制約されるときに、光源と導光体との位置関係を選択しつつ灯具の発光状態(外部からの見え方)を調整できる。これにより、灯具の外観性が向上する利点がある。また、光源の配置に関する自由度が拡大される利点がある。
【0009】
また、この発明にかかる車両用灯具は、光源と、前記光源の光を導く導光体と、前記導光体を通過した光を拡散するレンズとをそれぞれ含むと共に、前記導光体に対する光源の配置が相互に対称に配置される一対の車両用灯具であって、片方の前記車両用灯具の前記導光体が、前記光源からの平行光を前記導光体の一方の端部から他方の端部まで導く第一導光部と、前記第一導光部からの平行光の進行方向を反転させる光反転部と、前記光反転部からの平行光を前記導光体の他方の端部から一方の端部に向けて導く第二導光部と、前記第二導光部内の平行光を反射して前記第二導光部の外部に出射させる光反射部とを含み、且つ、前記第一導光部および前記第二導光部が略均一な肉厚を有することを特徴とする。
【0010】
この車両用灯具では、上記した導光体の作用により、光源が導光体に対して実際の配置(一方の端部3a側)とは反対側(他方の端部3b側)にあるように、灯具が発光する。このため、光源と導光体との配置が各車両用灯具間で同一(同じ側)であるかのように、双方の車両用灯具が発光する。これにより、片方の車両用灯具の発光状態と、もう片方の車両用灯具の発光状態とが均一化されて、灯具の外観性が向上する利点がある。
【0011】
また、この発明にかかる車両用灯具は、前記第一導光部および前記第二導光部が長尺形状を有すると共に長手方向を揃えて並列に配置される。
【0012】
この車両用灯具では、灯具が薄型構造を有するので、車両の車体形状に沿った灯具の配置が容易という利点がある。
【0013】
また、この発明にかかる車両用灯具は、前記光反転部が、前記第一導光部からの平行光を導く一または複数の第一傾斜面と、前記第一傾斜面により導かれた平行光を反射して前記光反射部に入射させる第二傾斜面とを有する。
【0014】
この車両用灯具では、第一導光部からの平行光が光反転部の第一傾斜面を介して第二傾斜面に導かれ、この平行光が第二傾斜面にて反射されて第二導光部の光反射部に入射する。これにより、第一導光部からの平行光が略180度反転されて適正に光反射部に導かれる。かかる構成とすれば、簡易な構成にて光の反転構造が構成される利点がある。
【0015】
また、この発明にかかる車両用灯具は、前記第二傾斜面と前記光反射部との相対角度は、前記第二傾斜面にて反射された光が前記光反射部の略全域に渡って導かれるように規定される。
【0016】
この車両用灯具では、光(特に、平行光(制御された光))が光反射部の略全域に導かれて光反射部の略全域が活用されるので、灯具の発光状態が向上する利点がある。
【0017】
また、この発明にかかる車両用灯具は、前記第二傾斜面と前記光反射部との相対角度は、前記第二傾斜面にて反射されて前記光反射部に入射する光と前記光反射部にて反射された光とのなす角θが鈍角となるように規定される。
【0018】
この車両用灯具では、光反転部の第二傾斜面にて反射された光と、光反射部にて反射された光とのなす角θが鈍角となるように、光反転部の第二傾斜面と光反射部との相対角度が規定される。これにより、光反転部からの光を光反射部にて全反射させ得るので、光反射部に反射処理を施す必要がなくなる利点がある。
【0019】
また、この発明にかかる車両用灯具は、前記光反射部が反射プリズムにより構成される。
【0020】
この車両用灯具では、主として第二導光部内の平行光(制御された光)が光反射部にて反射されて灯具の外部に照射されるので、灯具の発光状態の均一化が容易となる利点がある。
【0021】
また、この発明にかかる車両用灯具は、一対の前記導光体が並列に配置されている。
【0022】
この車両用灯具では、導光体が箱型断面を有するので、略L字状断面の導光体が車両あるいは灯具内に設置される構成と比較して、導光体の固定構造が簡素化される利点がある。
【発明の効果】
【0023】
この発明にかかる車両用灯具では、光源からの平行光が第一導光部を介して導光体の一方の端部3aから他方の端部3bに導かれ、光反転部にて進行方向を略180度反転させる。そして、この平行光が、第二導光部を介して導光体の他方の端部3bから一方の端部3aに向かって導かれ、その途中で光反射部にあたって外部に出射する。かかる構成では、光源が導光体の一方の端部3a側に配置されているにもかかわらず、光源が導光体の他方の端部3b(光源が配置される側に対して反対側の端部)側に配置されているかのように灯具が発光する。したがって、例えば、灯具の設置スペースが車両の車体形状(ボディラインのカーブや傾斜)などにより制約されるときに、光源と導光体との位置関係を選択しつつ灯具の発光状態(外部からの見え方)を調整できる。これにより、灯具の外観性が向上する利点がある。また、光源の配置に関する自由度が拡大される利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施例の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のものが含まれる。また、この実施例に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【実施例】
【0025】
図1は、この発明の実施例にかかる車両用灯具を示す断面図である。図2〜図9は、図1に記載した車両用灯具を示す斜視図(図2および図3)、正面図(図4)、A視断面図(図5)、B視断面図(図6)ならびに作用説明図(図7〜図9)である。図10は、図1に記載した車両用灯具の変形例を示す説明図である。
【0026】
[車両用灯具]
車両用灯具1は、例えば、車両のストップランプ、ターンランプ、フォグランプなどとして用いられる。この実施例では、車両用灯具1がストップランプに適用された構成を一例として説明する(図1参照)。なお、図1では、この実施例にかかる車両用灯具1と、既存の車両用灯具11とが一対を一組として車両10に設置される。かかる一対の車両用灯具1、11の関係については、後述する。
【0027】
この実施例にかかる車両用灯具1は、光源2と、導光体3と、レンズ4とを含んで構成される(図1参照)。光源2は、例えば、メタルハライドランプなどの高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯(HID)、LED(light-emitting diode)、白熱バルブなどにより構成され、車両10の電源(図示省略)に接続される。導光体3は、ランプ形状に応じた長尺構造を有する。この導光体3は、光源2の前方に配置されて光源2の光を導く機能を有する。具体的には、導光体3の長手方向にかかる一方の端部3aに光源2が配置され、この位置から導光体3内に光が取り込まれる。レンズ4は、導光体3により導かれた光を拡散(あるいは拡幅)して外部に照射する機能を有する。このレンズ4は、導光体3の側方であって灯具の前面側(灯具の設置状態にて車両10の後方側)に配置される。かかる構成では、光源2が点灯すると、その光が導光体3を介してレンズ4側に導かれ、レンズ4を介して車両10の後方に照射される。
【0028】
[導光体の具体例]
また、この車両用灯具1では、導光体3が、第一導光部31と、光反転部32と、第二導光部33と、光反射部34とを有する(図2〜図6参照)。
【0029】
第一導光部31は、長尺な角柱形状を有し、その長手方向を導光体3の一方の端部3aから他方の端部3bに向けて配置される。そして、この第一導光部31の入口側端部311(導光体3の一方の端部3a)が光源2側に向けられ、この端部から光源2の光が取り込まれる。この第一導光部31は、光源2からの光を導光体3の一方の端部3aから他方の端部(光源2が配置される側に対して反対側の端部)3bまで導く機能を有する。
【0030】
光反転部32は、第一導光部31の出口側端部312(導光体3の他方の端部3b)に配置される。この光反転部32は、第一導光部31からの平行光の進行方向を反転させる機能を有する。具体的には、この光反転部32は、第一導光部31からの平行光の進行方向を略180度反転させて導光体3の他方の端部3bから一方の端部3aに向ける。
【0031】
第二導光部33は、長尺構造を有し、その長手方向を導光体3の他方の端部3bから一方の端部3aに向けて配置される。この第二導光部33は、光反転部32からの光を入口側端部331(導光体3の他方の端部3b)から出口側端部332(導光体3の一方の端部3a)に向けて導く機能を有する。また、第二導光部33は、その長手方向がレンズ4の内面(幅方向)に沿って延在するように配置される。したがって、第二導光部33内では、光がレンズ4の内面に沿って導かれる。なお、この第二導光部33(あるいは導光体3全体)は、レンズ4の内面形状に応じて肉厚に成形される場合がある(図示省略)。
【0032】
光反射部34は、その反射面が導光体3の設置状態にてレンズ4側に向くように、第二導光部33の片面(レンズ4に対して反対側に位置する面)に一体形成される。この光反射部34は、第二導光部33内の光を反射して第二導光部33の外部に出射させる機能を有する。
【0033】
この導光体3では、光源2が点灯すると、平行光が第一導光部31の入口側端部311から第一導光部31に入射し、第一導光部31内を長手方向に直進して光反転部32に入る(図4〜図6参照)。光反転部32では、この平行光の進行方向が180度反転されて導光体3の一方の端部3a側に向けられる。そして、この光反転部32を通過した平行光が第二導光部33の入口側端部331から第二導光部33に入り、第二導光部33の長手方向に沿って直進する。そして、この平行光が第二導光部33内にて光反射部34にあたり、第二導光部33から出射してレンズ4を介して車両10後方に照射される。
【0034】
[効果]
以上説明したように、この車両用灯具1では、光源2からの平行光が第一導光部31を介して導光体3の一方の端部3aから他方の端部3bに導かれ、光反転部34にて進行方向を180度反転させる(図4参照)。そして、この平行光が、第二導光部33を介して導光体3の他方の端部3bから一方の端部3aに向かって導かれ、その途中で光反射部34にあたって外部に出射する。かかる構成では、光源2が導光体3の一方の端部3a側に配置されているにもかかわらず、光源2が導光体3の他方の端部3b(光源2が配置される側に対して反対側の端部)側に配置されているかのように灯具が発光する。したがって、例えば、灯具の設置スペースが車両10の車体形状(ボディラインのカーブや傾斜)などにより制約されるときに、光源2と導光体3との位置関係を選択しつつ灯具の発光状態(外部からの見え方)を調整できる。これにより、灯具の外観性が向上する利点がある。また、光源2の配置に関する自由度が拡大される利点がある。
【0035】
また、この車両用灯具1では、導光体3の第一導光部31および第二導光部33が略均一な肉厚tを有する(図2、図3および図6参照)。かかる構成では、例えば、第二導光部33が断面三角形状を有することにより不均一な肉厚を有する構成(図示省略)と比較して、導光体3の成形が容易という利点がある。また、第二導光部33(および第一導光部31)の肉厚が著しく薄くなる部分が存在しないため、導光体3の構造上の強度が確保される利点がある。なお、この実施例では、第一導光部31および第二導光部33の肉厚tがt=2[mm]〜3[mm]に設定されている。
【0036】
また、一対の車両用灯具1、11が車両10に設置される構成では、例えば、車両10の車体形状により灯具の配置スペースが限定されて、これらの車両用灯具1、11が相互に対称に配置される場合がある(図1参照)。すなわち、車両用灯具1(11)が光源2(12)、導光体3(13)およびレンズ4(14)から成る構成において、光源2(12)と導光体3(13)との位置関係が各車両用灯具1、11間で相互に対称となる場合がある。
【0037】
かかる場合には、片方の車両用灯具がこの実施例にかかる車両用灯具1であることが好ましい。この実施例にかかる車両用灯具1では、上記した導光体3の作用により、光源2が導光体3に対して実際の配置(一方の端部3a側)とは反対側(他方の端部3b側)にあるように、灯具が発光する。このため、光源2(12)と導光体3(13)との配置が各車両用灯具1、11間で同一(同じ側)であるかのように、双方の車両用灯具1、11が発光する。これにより、片方の車両用灯具1の発光状態と、もう片方の車両用灯具11の発光状態とが均一化されて、灯具の外観性が向上する利点がある。また、上記の構成と同様に、導光体3の第一導光部31および第二導光部33が略均一な肉厚tを有するので、導光体3の成形が容易という利点があり、また、導光体3の構造上の強度が確保されるという利点がある。
【0038】
[付加的事項1]
なお、この車両用灯具1では、第一導光部31および第二導光部33が長尺形状を有すると共に長手方向を揃えて並列に配置されることが好ましい(図2〜図4参照)。かかる構成では、第一導光部31内を長手方向に直進する平行光と第二導光部33内を長手方向に直進する平行光とが略平行かつ反対方向となる。このため、例えば、第一導光部と第二導光部とが略直交して配置される構成(図示省略)と比較して、灯具の薄型化が容易という利点がある。また、かかる構成では、灯具が薄型構造を有するので、車両10の車体形状に沿った灯具の配置が容易という利点がある。
【0039】
また、灯具の薄型化の観点では、光源2と長尺な導光体3とが導光体3の長手方向に直線的に配置されることが好ましい(図1参照)。このとき、光源2は、導光体3のいずれかの端部(一方の端部3aあるいは他方の端部3b)に配置されるが、車両の設置スペース等との関係により、必ずしも任意の位置に配置できるとは限らない。この点において、この車両用灯具1では、光源2が導光体3の一方の端部3aに配置された場合にも、あたかも光源2が導光体3の他方の端部3bにあるかのように灯具が発光する。したがって、光源2と導光体3とが直線的に配置される場合にも、灯具の発光状態を適正化できる利点がある。
【0040】
[付加的事項2]
また、この車両用灯具1では、光反転部32が、第一導光部31からの平行光を導く一または複数の第一傾斜面321、322と、これらの第一傾斜面321、322により導かれた平行光を全反射して光反射部34に入射させる第二傾斜面323とを有することが好ましい(図3および図4参照)。すなわち、光反転部32が第一傾斜面321、322および第二傾斜面323を有し、これらの傾斜面321〜323を介して第一導光部31からの平行光が略180度反転される。
【0041】
具体的には、光反転部32が一対の第一傾斜面321、322と第二傾斜面323とを有する(図7参照)。一つ目の第一傾斜面321は、第一導光部31の長手方向(第一導光部31からの平行光の進行方向)に対して略45度の角度で第二導光部33側に傾斜しており、第一導光部31からの平行光を第二導光部33側かつ略垂直方向に全反射する。二つ目の第一傾斜面322は、その平面を第二導光部33の肉厚方向に向けつつ一つ目の第一傾斜面321に対して直交しており、一つ目の第一傾斜面321にて反射した平行光を第二傾斜面323側に全反射する。第二傾斜面322は、第二導光部33の入口側端部331近傍に配置され、二つ目の第一傾斜面322にて反射した平行光を全反射して光反射部34に入射させる。なお、光反転部32は、導光体3の他方の端部3bに形成され、第一導光部31の出口側端部312と第二導光部33の入口側端部331とを接続している。
【0042】
かかる構成では、第一導光部31からの平行光が光反転部32の第一傾斜面321、322を介して第二傾斜面323に導かれ、この平行光が第二傾斜面323にて全反射されて第二導光部33の光反射部34に入射する。これにより、第一導光部31からの平行光が略180度反転されて適正に光反射部34に導かれる。かかる構成とすれば、簡易な構成にて平行光の反転構造が構成される利点がある。
【0043】
また、上記の構成では、第二傾斜面323にて反射された平行光が光反射部34の略全域に渡って導かれるように、第二傾斜面323と光反射部34との相対角度が規定されることが好ましい(図8参照)。これにより、平行光(制御された光)が光反射部34の略全域に導かれて光反射部34の略全域が活用されるので、灯具の発光状態が向上する利点がある。
【0044】
また、導光体3の光反射部34では、光の全反射を利用するために、光反射部34に入射する光反転部32からの平行光と、この光反射部34にて反射された平行光とのなす角θが鈍角であることが好ましい(図9参照)。しかしながら、光源2と導光体3との位置関係が制約される場合には、光反射部34に対する平行光の入射角の範囲が限定されることが多い。このため、角度θが鋭角となり、光の全反射が利用できないために光反射部に反射処理(アルミニウム材の蒸着処理など)が必要となる場合がある。すると、灯具の生産性が悪化すると共に灯具の製造コストが増加するおそれがある。
【0045】
この点において、この車両用灯具1では、光反転部32の第二傾斜面323にて反射された平行光と、光反射部34にて反射された平行光とのなす角θが鈍角となるように、光反転部32の第二傾斜面323と光反射部34との相対角度が規定される(図9参照)。これにより、光反転部32からの平行光を光反射部34にて全反射させ得るので、光反射部34に反射処理を施す必要がなくなる利点がある。
【0046】
具体的には、第二導光部33が一様な肉厚tを有し、その片側の壁面に光反射部34が形成されている。そして、この光反射部34に対して光反転部32の第二傾斜面323が所定の角度で傾斜している。これにより、第二傾斜面323にて反射されて第二導光部33に入射した平行光が、光反射部34の略全面に渡って入射する。また、第二導光部33内の平行光と、その反射光とのなす角θが鈍角となるように、光反転部32に対する傾斜角が規定されている。
【0047】
また、上記の構成では、導光体3の光反射部34が反射プリズムにより構成されることが好ましい(図3、図4および図6参照)。すなわち、上記の構成では、第二導光部33内の平行光を光反射部34にて全反射させ得るので、光反射部34として反射プリズムが採用され得る。かかる構成では、主として第二導光部33内の平行光(制御された光)が光反射部34にて反射されて灯具の外部に照射されるので、灯具の発光状態の均一化が容易となる利点がある。例えば、光反射部34に反射処理(アルミニウム材などの蒸着処理)が施されている構成では、灯具の発光状態が不均一となるおそれがある。
【0048】
なお、上記の構成では、第二傾斜面323が平面により構成される(図3および図4参照)。かかる構成では、第二傾斜面323に入射した平行光が平行光として反射されるので、制御された光(平行光)が光反射部34側に導かれる。これにより、光反射部34での光の反射効率が向上して、灯具の発光状態が向上する利点がある。
【0049】
しかし、これに限らず、第二傾斜面323が曲面により構成されても良い(図示省略)。かかる構成では、第二傾斜面323にて反射した光が平行光ではなくなるが、導光体3の長さや厚さtに応じて第二傾斜面323の形状が任意に設計可能な点で好ましい。
【0050】
[付加的事項3]
また、この車両用灯具1では、一対の導光体3、3が並列に配置されても良い(図10参照)。例えば、各光反射部34、34が同一平面内にて隣接するように、一対の導光体3、3が各第二導光部33、33を当接させつつ並列に配置されて一体成形される。また、この実施例では、導光体3が第一導光部31および第二導光部33により略L字状断面を有するため、一対の導光体3、3が配列されて成る導光体が略U字状断面を有する。かかる構成では、導光体が略箱型断面(略U字状断面)を有するので、単一かつ略L字状断面の導光体3が車両10あるいは灯具内に設置される構成と比較して、導光体の固定構造が簡素化される利点がある。
【0051】
なお、上記の構成では、単一の光源2から各導光体3、3に光が供給されても良いし、各導光体3、3に対してそれぞれ光源2、2が設置されても良い(図示省略)。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明にかかる車両用灯具は、灯具の外観性を向上できる点で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の実施例にかかる車両用灯具を示す断面図である。
【図2】図1に記載した車両用灯具を示す斜視図である。
【図3】図1に記載した車両用灯具を示す斜視図である。
【図4】図1に記載した車両用灯具を示す正面図である。
【図5】図1に記載した車両用灯具を示すA視断面図である。
【図6】図1に記載した車両用灯具を示すB視断面図である。
【図7】図1に記載した車両用灯具を示す作用説明図である。
【図8】図1に記載した車両用灯具を示す作用説明図である。
【図9】図1に記載した車両用灯具を示す作用説明図である。
【図10】図1に記載した車両用灯具の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 車両用灯具
2 光源
3 導光体
3a 一方の端部
3b 他方の端部
4 レンズ
10 車両
11 車両用灯具
31 第一導光部
311 入口側端部
312 出口側端部
32 光反転部
33 第二導光部
34 光反転部
321 一つ目の第一傾斜面
322 二つ目の第一傾斜面
323 第二傾斜面
331 入口側端部
332 出口側端部
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用灯具に関し、さらに詳しくは、灯具の外観性を向上できる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に車両用灯具では、点灯時の発光状態を均一化する等により灯具の外観性を向上すべき課題がある。
【0003】
かかる課題に関する従来の車両用灯具には、特許文献1に記載される技術が知られている。従来の車両用灯具(自動車用の照明および合図用の装置)は、内部を伝搬する光が外部に向かって局部的に拡散するような拡散領域、若しくは反射するような反射領域、又は両方の領域を面の一部に有している光ガイドを照射する少なくとも1つの光源と、前記ガイドの内部へ光を反射して戻す反射手段が設けられ、前記光源から離間している少なくとも1つのガイドの端面部とを備える自動車向けの照明および合図用装置において、前記反射手段は、光線が、3つの正方形からなる三面体に、次々と全反射する状態で当たり、光線の三連続反射を生じて、最初の入射方向と実質的に平行に光線がガイド内で戻るように、各ファセットが外側に突出している少なくとも1つの直角コーナー部を光ガイド材に備えているか、または、少なくとも1つの前記直角コーナー部と、前記ガイド内で入射光線が戻るように、2つのファセットが外側に突出している少なくとも1つの斜角コーナー部とを備えていることを特徴とする。
【0004】
【特許文献1】特開2006−80069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、車両用灯具では、車両の車体形状(ボディラインのカーブや傾斜)等との関係により、その設置スペースが制約される場合がある。かかる場合には、例えば、一対の車両用灯具が車両に設置されるときに、これらの車両用灯具における光源と導光体との配置構成が相互に対称となる。すると、これらの車両用灯具における点灯時の発光状態が相異し、灯具の外観性が低下するおそれがある。
【0006】
そこで、この発明は、上記に鑑みてされたものであって、灯具の外観性を向上できる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明にかかる車両灯灯具は、光源と、前記光源の光を導く導光体と、前記導光体を通過した光を拡散するレンズとを含む車両用灯具であって、前記導光体が、前記光源からの平行光を前記導光体の一方の端部から他方の端部に導く第一導光部と、前記第一導光部からの平行光の進行方向を反転させる光反転部と、前記光反転部からの平行光を前記導光体の他方の端部から一方の端部に向けて導く第二導光部と、前記第二導光部内の平行光を反射して前記第二導光部の外部に出射させる光反射部とを含み、且つ、前記第一導光部および前記第二導光部が略均一な肉厚を有することを特徴とする。
【0008】
この車両用灯具では、光源からの平行光が第一導光部を介して導光体の一方の端部3aから他方の端部3bに導かれ、光反転部にて進行方向を略180度反転させる。そして、この平行光が、第二導光部を介して導光体の他方の端部3bから一方の端部3aに向かって導かれ、その途中で光反射部にあたって外部に出射する。かかる構成では、光源が導光体の一方の端部3a側に配置されているにもかかわらず、光源が導光体の他方の端部3b(光源が配置される側に対して反対側の端部)側に配置されているかのように灯具が発光する。したがって、例えば、灯具の設置スペースが車両の車体形状(ボディラインのカーブや傾斜)などにより制約されるときに、光源と導光体との位置関係を選択しつつ灯具の発光状態(外部からの見え方)を調整できる。これにより、灯具の外観性が向上する利点がある。また、光源の配置に関する自由度が拡大される利点がある。
【0009】
また、この発明にかかる車両用灯具は、光源と、前記光源の光を導く導光体と、前記導光体を通過した光を拡散するレンズとをそれぞれ含むと共に、前記導光体に対する光源の配置が相互に対称に配置される一対の車両用灯具であって、片方の前記車両用灯具の前記導光体が、前記光源からの平行光を前記導光体の一方の端部から他方の端部まで導く第一導光部と、前記第一導光部からの平行光の進行方向を反転させる光反転部と、前記光反転部からの平行光を前記導光体の他方の端部から一方の端部に向けて導く第二導光部と、前記第二導光部内の平行光を反射して前記第二導光部の外部に出射させる光反射部とを含み、且つ、前記第一導光部および前記第二導光部が略均一な肉厚を有することを特徴とする。
【0010】
この車両用灯具では、上記した導光体の作用により、光源が導光体に対して実際の配置(一方の端部3a側)とは反対側(他方の端部3b側)にあるように、灯具が発光する。このため、光源と導光体との配置が各車両用灯具間で同一(同じ側)であるかのように、双方の車両用灯具が発光する。これにより、片方の車両用灯具の発光状態と、もう片方の車両用灯具の発光状態とが均一化されて、灯具の外観性が向上する利点がある。
【0011】
また、この発明にかかる車両用灯具は、前記第一導光部および前記第二導光部が長尺形状を有すると共に長手方向を揃えて並列に配置される。
【0012】
この車両用灯具では、灯具が薄型構造を有するので、車両の車体形状に沿った灯具の配置が容易という利点がある。
【0013】
また、この発明にかかる車両用灯具は、前記光反転部が、前記第一導光部からの平行光を導く一または複数の第一傾斜面と、前記第一傾斜面により導かれた平行光を反射して前記光反射部に入射させる第二傾斜面とを有する。
【0014】
この車両用灯具では、第一導光部からの平行光が光反転部の第一傾斜面を介して第二傾斜面に導かれ、この平行光が第二傾斜面にて反射されて第二導光部の光反射部に入射する。これにより、第一導光部からの平行光が略180度反転されて適正に光反射部に導かれる。かかる構成とすれば、簡易な構成にて光の反転構造が構成される利点がある。
【0015】
また、この発明にかかる車両用灯具は、前記第二傾斜面と前記光反射部との相対角度は、前記第二傾斜面にて反射された光が前記光反射部の略全域に渡って導かれるように規定される。
【0016】
この車両用灯具では、光(特に、平行光(制御された光))が光反射部の略全域に導かれて光反射部の略全域が活用されるので、灯具の発光状態が向上する利点がある。
【0017】
また、この発明にかかる車両用灯具は、前記第二傾斜面と前記光反射部との相対角度は、前記第二傾斜面にて反射されて前記光反射部に入射する光と前記光反射部にて反射された光とのなす角θが鈍角となるように規定される。
【0018】
この車両用灯具では、光反転部の第二傾斜面にて反射された光と、光反射部にて反射された光とのなす角θが鈍角となるように、光反転部の第二傾斜面と光反射部との相対角度が規定される。これにより、光反転部からの光を光反射部にて全反射させ得るので、光反射部に反射処理を施す必要がなくなる利点がある。
【0019】
また、この発明にかかる車両用灯具は、前記光反射部が反射プリズムにより構成される。
【0020】
この車両用灯具では、主として第二導光部内の平行光(制御された光)が光反射部にて反射されて灯具の外部に照射されるので、灯具の発光状態の均一化が容易となる利点がある。
【0021】
また、この発明にかかる車両用灯具は、一対の前記導光体が並列に配置されている。
【0022】
この車両用灯具では、導光体が箱型断面を有するので、略L字状断面の導光体が車両あるいは灯具内に設置される構成と比較して、導光体の固定構造が簡素化される利点がある。
【発明の効果】
【0023】
この発明にかかる車両用灯具では、光源からの平行光が第一導光部を介して導光体の一方の端部3aから他方の端部3bに導かれ、光反転部にて進行方向を略180度反転させる。そして、この平行光が、第二導光部を介して導光体の他方の端部3bから一方の端部3aに向かって導かれ、その途中で光反射部にあたって外部に出射する。かかる構成では、光源が導光体の一方の端部3a側に配置されているにもかかわらず、光源が導光体の他方の端部3b(光源が配置される側に対して反対側の端部)側に配置されているかのように灯具が発光する。したがって、例えば、灯具の設置スペースが車両の車体形状(ボディラインのカーブや傾斜)などにより制約されるときに、光源と導光体との位置関係を選択しつつ灯具の発光状態(外部からの見え方)を調整できる。これにより、灯具の外観性が向上する利点がある。また、光源の配置に関する自由度が拡大される利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施例の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のものが含まれる。また、この実施例に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【実施例】
【0025】
図1は、この発明の実施例にかかる車両用灯具を示す断面図である。図2〜図9は、図1に記載した車両用灯具を示す斜視図(図2および図3)、正面図(図4)、A視断面図(図5)、B視断面図(図6)ならびに作用説明図(図7〜図9)である。図10は、図1に記載した車両用灯具の変形例を示す説明図である。
【0026】
[車両用灯具]
車両用灯具1は、例えば、車両のストップランプ、ターンランプ、フォグランプなどとして用いられる。この実施例では、車両用灯具1がストップランプに適用された構成を一例として説明する(図1参照)。なお、図1では、この実施例にかかる車両用灯具1と、既存の車両用灯具11とが一対を一組として車両10に設置される。かかる一対の車両用灯具1、11の関係については、後述する。
【0027】
この実施例にかかる車両用灯具1は、光源2と、導光体3と、レンズ4とを含んで構成される(図1参照)。光源2は、例えば、メタルハライドランプなどの高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯(HID)、LED(light-emitting diode)、白熱バルブなどにより構成され、車両10の電源(図示省略)に接続される。導光体3は、ランプ形状に応じた長尺構造を有する。この導光体3は、光源2の前方に配置されて光源2の光を導く機能を有する。具体的には、導光体3の長手方向にかかる一方の端部3aに光源2が配置され、この位置から導光体3内に光が取り込まれる。レンズ4は、導光体3により導かれた光を拡散(あるいは拡幅)して外部に照射する機能を有する。このレンズ4は、導光体3の側方であって灯具の前面側(灯具の設置状態にて車両10の後方側)に配置される。かかる構成では、光源2が点灯すると、その光が導光体3を介してレンズ4側に導かれ、レンズ4を介して車両10の後方に照射される。
【0028】
[導光体の具体例]
また、この車両用灯具1では、導光体3が、第一導光部31と、光反転部32と、第二導光部33と、光反射部34とを有する(図2〜図6参照)。
【0029】
第一導光部31は、長尺な角柱形状を有し、その長手方向を導光体3の一方の端部3aから他方の端部3bに向けて配置される。そして、この第一導光部31の入口側端部311(導光体3の一方の端部3a)が光源2側に向けられ、この端部から光源2の光が取り込まれる。この第一導光部31は、光源2からの光を導光体3の一方の端部3aから他方の端部(光源2が配置される側に対して反対側の端部)3bまで導く機能を有する。
【0030】
光反転部32は、第一導光部31の出口側端部312(導光体3の他方の端部3b)に配置される。この光反転部32は、第一導光部31からの平行光の進行方向を反転させる機能を有する。具体的には、この光反転部32は、第一導光部31からの平行光の進行方向を略180度反転させて導光体3の他方の端部3bから一方の端部3aに向ける。
【0031】
第二導光部33は、長尺構造を有し、その長手方向を導光体3の他方の端部3bから一方の端部3aに向けて配置される。この第二導光部33は、光反転部32からの光を入口側端部331(導光体3の他方の端部3b)から出口側端部332(導光体3の一方の端部3a)に向けて導く機能を有する。また、第二導光部33は、その長手方向がレンズ4の内面(幅方向)に沿って延在するように配置される。したがって、第二導光部33内では、光がレンズ4の内面に沿って導かれる。なお、この第二導光部33(あるいは導光体3全体)は、レンズ4の内面形状に応じて肉厚に成形される場合がある(図示省略)。
【0032】
光反射部34は、その反射面が導光体3の設置状態にてレンズ4側に向くように、第二導光部33の片面(レンズ4に対して反対側に位置する面)に一体形成される。この光反射部34は、第二導光部33内の光を反射して第二導光部33の外部に出射させる機能を有する。
【0033】
この導光体3では、光源2が点灯すると、平行光が第一導光部31の入口側端部311から第一導光部31に入射し、第一導光部31内を長手方向に直進して光反転部32に入る(図4〜図6参照)。光反転部32では、この平行光の進行方向が180度反転されて導光体3の一方の端部3a側に向けられる。そして、この光反転部32を通過した平行光が第二導光部33の入口側端部331から第二導光部33に入り、第二導光部33の長手方向に沿って直進する。そして、この平行光が第二導光部33内にて光反射部34にあたり、第二導光部33から出射してレンズ4を介して車両10後方に照射される。
【0034】
[効果]
以上説明したように、この車両用灯具1では、光源2からの平行光が第一導光部31を介して導光体3の一方の端部3aから他方の端部3bに導かれ、光反転部34にて進行方向を180度反転させる(図4参照)。そして、この平行光が、第二導光部33を介して導光体3の他方の端部3bから一方の端部3aに向かって導かれ、その途中で光反射部34にあたって外部に出射する。かかる構成では、光源2が導光体3の一方の端部3a側に配置されているにもかかわらず、光源2が導光体3の他方の端部3b(光源2が配置される側に対して反対側の端部)側に配置されているかのように灯具が発光する。したがって、例えば、灯具の設置スペースが車両10の車体形状(ボディラインのカーブや傾斜)などにより制約されるときに、光源2と導光体3との位置関係を選択しつつ灯具の発光状態(外部からの見え方)を調整できる。これにより、灯具の外観性が向上する利点がある。また、光源2の配置に関する自由度が拡大される利点がある。
【0035】
また、この車両用灯具1では、導光体3の第一導光部31および第二導光部33が略均一な肉厚tを有する(図2、図3および図6参照)。かかる構成では、例えば、第二導光部33が断面三角形状を有することにより不均一な肉厚を有する構成(図示省略)と比較して、導光体3の成形が容易という利点がある。また、第二導光部33(および第一導光部31)の肉厚が著しく薄くなる部分が存在しないため、導光体3の構造上の強度が確保される利点がある。なお、この実施例では、第一導光部31および第二導光部33の肉厚tがt=2[mm]〜3[mm]に設定されている。
【0036】
また、一対の車両用灯具1、11が車両10に設置される構成では、例えば、車両10の車体形状により灯具の配置スペースが限定されて、これらの車両用灯具1、11が相互に対称に配置される場合がある(図1参照)。すなわち、車両用灯具1(11)が光源2(12)、導光体3(13)およびレンズ4(14)から成る構成において、光源2(12)と導光体3(13)との位置関係が各車両用灯具1、11間で相互に対称となる場合がある。
【0037】
かかる場合には、片方の車両用灯具がこの実施例にかかる車両用灯具1であることが好ましい。この実施例にかかる車両用灯具1では、上記した導光体3の作用により、光源2が導光体3に対して実際の配置(一方の端部3a側)とは反対側(他方の端部3b側)にあるように、灯具が発光する。このため、光源2(12)と導光体3(13)との配置が各車両用灯具1、11間で同一(同じ側)であるかのように、双方の車両用灯具1、11が発光する。これにより、片方の車両用灯具1の発光状態と、もう片方の車両用灯具11の発光状態とが均一化されて、灯具の外観性が向上する利点がある。また、上記の構成と同様に、導光体3の第一導光部31および第二導光部33が略均一な肉厚tを有するので、導光体3の成形が容易という利点があり、また、導光体3の構造上の強度が確保されるという利点がある。
【0038】
[付加的事項1]
なお、この車両用灯具1では、第一導光部31および第二導光部33が長尺形状を有すると共に長手方向を揃えて並列に配置されることが好ましい(図2〜図4参照)。かかる構成では、第一導光部31内を長手方向に直進する平行光と第二導光部33内を長手方向に直進する平行光とが略平行かつ反対方向となる。このため、例えば、第一導光部と第二導光部とが略直交して配置される構成(図示省略)と比較して、灯具の薄型化が容易という利点がある。また、かかる構成では、灯具が薄型構造を有するので、車両10の車体形状に沿った灯具の配置が容易という利点がある。
【0039】
また、灯具の薄型化の観点では、光源2と長尺な導光体3とが導光体3の長手方向に直線的に配置されることが好ましい(図1参照)。このとき、光源2は、導光体3のいずれかの端部(一方の端部3aあるいは他方の端部3b)に配置されるが、車両の設置スペース等との関係により、必ずしも任意の位置に配置できるとは限らない。この点において、この車両用灯具1では、光源2が導光体3の一方の端部3aに配置された場合にも、あたかも光源2が導光体3の他方の端部3bにあるかのように灯具が発光する。したがって、光源2と導光体3とが直線的に配置される場合にも、灯具の発光状態を適正化できる利点がある。
【0040】
[付加的事項2]
また、この車両用灯具1では、光反転部32が、第一導光部31からの平行光を導く一または複数の第一傾斜面321、322と、これらの第一傾斜面321、322により導かれた平行光を全反射して光反射部34に入射させる第二傾斜面323とを有することが好ましい(図3および図4参照)。すなわち、光反転部32が第一傾斜面321、322および第二傾斜面323を有し、これらの傾斜面321〜323を介して第一導光部31からの平行光が略180度反転される。
【0041】
具体的には、光反転部32が一対の第一傾斜面321、322と第二傾斜面323とを有する(図7参照)。一つ目の第一傾斜面321は、第一導光部31の長手方向(第一導光部31からの平行光の進行方向)に対して略45度の角度で第二導光部33側に傾斜しており、第一導光部31からの平行光を第二導光部33側かつ略垂直方向に全反射する。二つ目の第一傾斜面322は、その平面を第二導光部33の肉厚方向に向けつつ一つ目の第一傾斜面321に対して直交しており、一つ目の第一傾斜面321にて反射した平行光を第二傾斜面323側に全反射する。第二傾斜面322は、第二導光部33の入口側端部331近傍に配置され、二つ目の第一傾斜面322にて反射した平行光を全反射して光反射部34に入射させる。なお、光反転部32は、導光体3の他方の端部3bに形成され、第一導光部31の出口側端部312と第二導光部33の入口側端部331とを接続している。
【0042】
かかる構成では、第一導光部31からの平行光が光反転部32の第一傾斜面321、322を介して第二傾斜面323に導かれ、この平行光が第二傾斜面323にて全反射されて第二導光部33の光反射部34に入射する。これにより、第一導光部31からの平行光が略180度反転されて適正に光反射部34に導かれる。かかる構成とすれば、簡易な構成にて平行光の反転構造が構成される利点がある。
【0043】
また、上記の構成では、第二傾斜面323にて反射された平行光が光反射部34の略全域に渡って導かれるように、第二傾斜面323と光反射部34との相対角度が規定されることが好ましい(図8参照)。これにより、平行光(制御された光)が光反射部34の略全域に導かれて光反射部34の略全域が活用されるので、灯具の発光状態が向上する利点がある。
【0044】
また、導光体3の光反射部34では、光の全反射を利用するために、光反射部34に入射する光反転部32からの平行光と、この光反射部34にて反射された平行光とのなす角θが鈍角であることが好ましい(図9参照)。しかしながら、光源2と導光体3との位置関係が制約される場合には、光反射部34に対する平行光の入射角の範囲が限定されることが多い。このため、角度θが鋭角となり、光の全反射が利用できないために光反射部に反射処理(アルミニウム材の蒸着処理など)が必要となる場合がある。すると、灯具の生産性が悪化すると共に灯具の製造コストが増加するおそれがある。
【0045】
この点において、この車両用灯具1では、光反転部32の第二傾斜面323にて反射された平行光と、光反射部34にて反射された平行光とのなす角θが鈍角となるように、光反転部32の第二傾斜面323と光反射部34との相対角度が規定される(図9参照)。これにより、光反転部32からの平行光を光反射部34にて全反射させ得るので、光反射部34に反射処理を施す必要がなくなる利点がある。
【0046】
具体的には、第二導光部33が一様な肉厚tを有し、その片側の壁面に光反射部34が形成されている。そして、この光反射部34に対して光反転部32の第二傾斜面323が所定の角度で傾斜している。これにより、第二傾斜面323にて反射されて第二導光部33に入射した平行光が、光反射部34の略全面に渡って入射する。また、第二導光部33内の平行光と、その反射光とのなす角θが鈍角となるように、光反転部32に対する傾斜角が規定されている。
【0047】
また、上記の構成では、導光体3の光反射部34が反射プリズムにより構成されることが好ましい(図3、図4および図6参照)。すなわち、上記の構成では、第二導光部33内の平行光を光反射部34にて全反射させ得るので、光反射部34として反射プリズムが採用され得る。かかる構成では、主として第二導光部33内の平行光(制御された光)が光反射部34にて反射されて灯具の外部に照射されるので、灯具の発光状態の均一化が容易となる利点がある。例えば、光反射部34に反射処理(アルミニウム材などの蒸着処理)が施されている構成では、灯具の発光状態が不均一となるおそれがある。
【0048】
なお、上記の構成では、第二傾斜面323が平面により構成される(図3および図4参照)。かかる構成では、第二傾斜面323に入射した平行光が平行光として反射されるので、制御された光(平行光)が光反射部34側に導かれる。これにより、光反射部34での光の反射効率が向上して、灯具の発光状態が向上する利点がある。
【0049】
しかし、これに限らず、第二傾斜面323が曲面により構成されても良い(図示省略)。かかる構成では、第二傾斜面323にて反射した光が平行光ではなくなるが、導光体3の長さや厚さtに応じて第二傾斜面323の形状が任意に設計可能な点で好ましい。
【0050】
[付加的事項3]
また、この車両用灯具1では、一対の導光体3、3が並列に配置されても良い(図10参照)。例えば、各光反射部34、34が同一平面内にて隣接するように、一対の導光体3、3が各第二導光部33、33を当接させつつ並列に配置されて一体成形される。また、この実施例では、導光体3が第一導光部31および第二導光部33により略L字状断面を有するため、一対の導光体3、3が配列されて成る導光体が略U字状断面を有する。かかる構成では、導光体が略箱型断面(略U字状断面)を有するので、単一かつ略L字状断面の導光体3が車両10あるいは灯具内に設置される構成と比較して、導光体の固定構造が簡素化される利点がある。
【0051】
なお、上記の構成では、単一の光源2から各導光体3、3に光が供給されても良いし、各導光体3、3に対してそれぞれ光源2、2が設置されても良い(図示省略)。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明にかかる車両用灯具は、灯具の外観性を向上できる点で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の実施例にかかる車両用灯具を示す断面図である。
【図2】図1に記載した車両用灯具を示す斜視図である。
【図3】図1に記載した車両用灯具を示す斜視図である。
【図4】図1に記載した車両用灯具を示す正面図である。
【図5】図1に記載した車両用灯具を示すA視断面図である。
【図6】図1に記載した車両用灯具を示すB視断面図である。
【図7】図1に記載した車両用灯具を示す作用説明図である。
【図8】図1に記載した車両用灯具を示す作用説明図である。
【図9】図1に記載した車両用灯具を示す作用説明図である。
【図10】図1に記載した車両用灯具の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 車両用灯具
2 光源
3 導光体
3a 一方の端部
3b 他方の端部
4 レンズ
10 車両
11 車両用灯具
31 第一導光部
311 入口側端部
312 出口側端部
32 光反転部
33 第二導光部
34 光反転部
321 一つ目の第一傾斜面
322 二つ目の第一傾斜面
323 第二傾斜面
331 入口側端部
332 出口側端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源の光を導く導光体と、前記導光体を通過した光を拡散するレンズとを含む車両用灯具であって、
前記導光体が、前記光源からの平行光を前記導光体の一方の端部から他方の端部に導く第一導光部と、前記第一導光部からの平行光の進行方向を反転させる光反転部と、前記光反転部からの平行光を前記導光体の他方の端部から一方の端部に向けて導く第二導光部と、前記第二導光部内の平行光を反射して前記第二導光部の外部に出射させる光反射部とを含み、且つ、前記第一導光部および前記第二導光部が略均一な肉厚を有することを特徴とする車両灯灯具。
【請求項2】
光源と、前記光源の光を導く導光体と、前記導光体を通過した光を拡散するレンズとをそれぞれ含むと共に、前記導光体に対する光源の配置が相互に対称に配置される一対の車両用灯具であって、
片方の前記車両用灯具の前記導光体が、前記光源からの平行光を前記導光体の一方の端部から他方の端部まで導く第一導光部と、前記第一導光部からの平行光の進行方向を反転させる光反転部と、前記光反転部からの平行光を前記導光体の他方の端部から一方の端部に向けて導く第二導光部と、前記第二導光部内の平行光を反射して前記第二導光部の外部に出射させる光反射部とを含み、且つ、前記第一導光部および前記第二導光部が略均一な肉厚を有することを特徴とする車両灯灯具。
【請求項3】
前記第一導光部および前記第二導光部が長尺形状を有すると共に長手方向を揃えて並列に配置される請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記光反転部が、前記第一導光部からの平行光を導く一または複数の第一傾斜面と、前記第一傾斜面により導かれた平行光を反射して前記光反射部に入射させる第二傾斜面とを有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第二傾斜面と前記光反射部との相対角度は、前記第二傾斜面にて反射された光が前記光反射部の略全域に渡って導かれるように規定される請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第二傾斜面と前記光反射部との相対角度は、前記第二傾斜面にて反射されて前記光反射部に入射する光と前記光反射部にて反射された光とのなす角θが鈍角となるように規定される請求項4または5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記光反射部が反射プリズムにより構成される請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
一対の前記導光体が並列に配置されている請求項1〜7のいずれか一つに記載の車両用灯具。
【請求項1】
光源と、前記光源の光を導く導光体と、前記導光体を通過した光を拡散するレンズとを含む車両用灯具であって、
前記導光体が、前記光源からの平行光を前記導光体の一方の端部から他方の端部に導く第一導光部と、前記第一導光部からの平行光の進行方向を反転させる光反転部と、前記光反転部からの平行光を前記導光体の他方の端部から一方の端部に向けて導く第二導光部と、前記第二導光部内の平行光を反射して前記第二導光部の外部に出射させる光反射部とを含み、且つ、前記第一導光部および前記第二導光部が略均一な肉厚を有することを特徴とする車両灯灯具。
【請求項2】
光源と、前記光源の光を導く導光体と、前記導光体を通過した光を拡散するレンズとをそれぞれ含むと共に、前記導光体に対する光源の配置が相互に対称に配置される一対の車両用灯具であって、
片方の前記車両用灯具の前記導光体が、前記光源からの平行光を前記導光体の一方の端部から他方の端部まで導く第一導光部と、前記第一導光部からの平行光の進行方向を反転させる光反転部と、前記光反転部からの平行光を前記導光体の他方の端部から一方の端部に向けて導く第二導光部と、前記第二導光部内の平行光を反射して前記第二導光部の外部に出射させる光反射部とを含み、且つ、前記第一導光部および前記第二導光部が略均一な肉厚を有することを特徴とする車両灯灯具。
【請求項3】
前記第一導光部および前記第二導光部が長尺形状を有すると共に長手方向を揃えて並列に配置される請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記光反転部が、前記第一導光部からの平行光を導く一または複数の第一傾斜面と、前記第一傾斜面により導かれた平行光を反射して前記光反射部に入射させる第二傾斜面とを有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第二傾斜面と前記光反射部との相対角度は、前記第二傾斜面にて反射された光が前記光反射部の略全域に渡って導かれるように規定される請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第二傾斜面と前記光反射部との相対角度は、前記第二傾斜面にて反射されて前記光反射部に入射する光と前記光反射部にて反射された光とのなす角θが鈍角となるように規定される請求項4または5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記光反射部が反射プリズムにより構成される請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
一対の前記導光体が並列に配置されている請求項1〜7のいずれか一つに記載の車両用灯具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−97924(P2008−97924A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276406(P2006−276406)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】
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