説明

車両用灯具

【課題】洗浄液をスムーズに流して流動損失とそれに伴う噴射圧力と噴射速度の低下を防ぐことができる車両用灯具の洗浄装置を提供すること。
【解決手段】洗浄液が供給されるシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌挿されたピストンと、該ピストンをシリンダ内に引き込む方向に付勢する付勢手段と、洗浄液を車両用灯具に向けて噴射するノズル4と、洗浄液の圧力が所定値以上になると開いて洗浄液を前記ノズル4に供給するチェックバルブ機構3を備えた車両用灯具の洗浄装置において、前記チェックバルブ機構3のバルブ8の移動方向を前記ピストンの摺動方向(洗浄液の流れ方向)と同方向とする。又、前記チェックバルブ機構3の横断面形状を楕円とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドランプ等の車両用灯具に洗浄液を噴射してその表面洗浄するための洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の例えばヘッドランプの前面が埃や泥等の付着によって汚れると光量不足を招く可能性があるため、必要に応じてヘッドランプに向かって洗浄液を噴射して該ヘッドランプの前面を洗浄するための洗浄装置がフロントバンパの裏側に設置されている。この洗浄装置は、洗浄液が供給されるシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌挿されたピストンと、該ピストンをシリンダ内に引き込む方向に付勢する付勢手段と、洗浄液をヘッドランプに向けて噴射するノズルと、洗浄液の圧力が所定値以上になると開いて洗浄液を前記ノズルに供給するチェックバルブ機構を備えている。
【0003】
斯かる洗浄装置においては、非使用時にはノズルがフロントバンパの裏側に格納されており、ヘッドランプを洗浄する際には洗浄液の圧力によってノズルがフロントバンパに形成された開口部から車両前方へと突出し、洗浄液の圧力が所定値以上に高くなると、チェックバルブ機構のバルブが開いて洗浄液がノズルへと供給され、ノズルに開口する噴射口から洗浄液がヘッドランプに向かって噴射され、ヘッドランプの前面に付着した埃や泥等が除去される。そして、ヘッドランプの洗浄が終了すると、ノズルはスプリング等の付勢手段によってフロントバンパの裏側の格納位置に戻される。尚、ノズルがフロントバンパの裏側に格納されているときには、フロントバンパに形成された開口部は、ノズルの先端に取り付けられたノズルカバーによって覆われて外観性の低下が防がれる。
【0004】
ところで、車両用灯具の洗浄装置には図8に示すようなチェックバルブ機構が用いられていた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
即ち、図8は従来の洗浄装置のチェックバルブ機構の縦断面図であり、(a)はバルブが閉じている状態を示し、(b)はバルブが開いている状態を示しており、図示のチェックバルブ機構101には、不図示のピストンの摺動方向(図8の左右方向)に対して直交する方向(図8の上下方向)にバルブ102が移動して開閉動作する方式が採用されている。
【0006】
図示のチェックバルブ機構101においては、バルブ102が皿バネ状のスプリング103によって上方に付勢されており、図8(a)に示すように連通孔104がバルブ102によって閉じられている状態から、圧力形成部105内の洗浄液の圧力が設定値以上に上昇すると、バルブ102は洗浄液の圧力を上面に受け、スプリング103の付勢力に抗して下方へと移動して図8(b)に示すように連通孔104を開く。すると、連通孔104と流出孔106が連通し、圧力形成部105内の洗浄液は図(8b)に矢印にて示すように連通孔104及び流出孔106を通って不図示のノズルへと供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−151150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の洗浄装置においては、図8に示すようにピストンの摺動方向(図8の左右方向)に対して直交する方向(図8の上下方向)にバルブ102が移動して開閉動作する方式が採用されているため、図8(b)に示すようにバルブ102が開いたときに該バルブ102を通過する洗浄液の流れの方向が変化し、洗浄液は複雑な経路を通過して流れるために流動損失が大きく、これに伴って洗浄液の噴射圧力と噴射速度が低下するという問題がある。
【0009】
従って、本発明の第1の目的は、洗浄液をスムーズに流して流動損失とそれに伴う噴射圧力と噴射速度の低下を防ぐことができる車両用灯具の洗浄装置を提供することにある。
【0010】
又、従来の洗浄装置においては、チェックバルブ機構には円筒状のバルブケースが用いられていたため、上下方向の厚みが大きくなり、車体への取り付けに大きなスペースを要し、レイアウトの自由度が制限されるという問題もあった。
【0011】
従って、本発明の第2の目的は、取付スペースを小さく抑えてレイアウトの自由度を高めることができる車両用灯具の洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、洗浄液が供給されるシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌挿されたピストンと、該ピストンをシリンダ内に引き込む方向に付勢する付勢手段と、洗浄液を車両用灯具に向けて噴射するノズルと、洗浄液の圧力が所定値以上になると開いて洗浄液を前記ノズルに供給するチェックバルブ機構を備えた車両用灯具の洗浄装置において、前記チェックバルブ機構のバルブの移動方向を前記ピストンの摺動方向と同方向としたことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記チェックバルブ機構の横断面形状を楕円としたことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記チェックバルブ機構のバルブを移動可能に保持するガイドを楕円筒状のバルブケース内に設け、前記バルブを閉じ方向に付勢するスプリングを該バルブと前記ガイド間に縮装したことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記バルブの弁軸を角柱状に形成し、該弁軸を前記ガイドの円筒部内に摺動可能に嵌挿したことを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項3又は4記載の発明において、前記ガイドに、前記バルブケース内に嵌合するフランジ部を形成し、該フランジ部に前記ノズルに連通する開口部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、チェックバルブ機構のバルブの移動方向をピストンの摺動方向、つまり洗浄液の流れ方向と同方向としたため、バルブが開いたときには洗浄液は方向を変えることなくバルブを通過してノズルへ真っ直ぐとスムーズに流れ、その圧力損失が低く抑えられ、ノズルからの洗浄液の噴射圧力及び噴射速度の低下が防がれる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、チェックバルブ機構の横断面形状を扁平な楕円としたため、該チェックバルブ機構の上下方向の厚みが薄くなり、当該洗浄装置の車体への取付スペースが小さく抑えられ、洗浄装置のレイアウトの自由度が高められる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、ガイドはバルガイドとスプリングガイドとして機能し、バルブが偏りなく直線移動して開閉動作が安定的に行われる。又、ガイドは、スプリングの反力によってバルブケース内の端面に押圧されて固定されるため、これを溶着したり、締結する必要がなく、部品点数の削減と組み立ての簡略化を図ることができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、バルブの弁軸を角柱状としてガイドの円筒部内に摺動可能に嵌挿したため、弁軸が角柱の稜線でガイドの円筒部内面に線接触することとなり、バルブの摺動抵抗が小さく抑えられ、該バルブのスムーズな開閉動作が可能となる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、ガイドに形成されたフランジ部が楕円筒状のバルブケース内に嵌合することによって、ガイドの位置決めと回り止めがなされる。そして、バルブを通過した洗浄液は、ガイドのフランジ部に形成された開口部を通ってノズルへと供給され、ノズルから車両用灯具に向かって噴射されて車両用灯具表面の洗浄に供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る洗浄装置の側面図である。
【図2】本発明に係る洗浄装置の平面図である。
【図3】本発明に係る洗浄装置のチェックバルブ機構の分解斜視図である。
【図4】(a),(b)は本発明に係る洗浄装置のチェックバルブ機構部及びノズル部分の平断面図である 。
【図5】図4(a)のA−A線断面図である。
【図6】図4(a)のB−B線断面図である。
【図7】図4(a)のC−C線断面図である。
【図8】(a),(b)は従来の洗浄装置のチェックバルブ機構の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は本発明に係る洗浄装置の側面図、図2は同洗浄装置の平面図、図3は同洗浄装置のチェックバルブ機構の分解斜視図、図4(a),(b)は同洗浄装置のチェックバルブ機構部及びノズル部分の平断面図、図5は図4(a)のA−A線断面図、図6は図4(a)のB−B線断面図、図7は図4(a)のC−C線断面図である。
【0025】
本実施の形態に係る洗浄装置1は、不図示のヘッドランプの前面に向かって洗浄液を噴射して該前面を洗浄するための装置であって、不図示のフロントバンパの裏側に配置されている。尚、洗浄装置1は左右のヘッドランプに対してそれぞれ設置されているが、その構成及び作用は同じである。
【0026】
図1及び図2に示す洗浄装置1は、円筒状のシリンダ2の内部に不図示のピストンを摺動可能に嵌挿し、該ピストンの先端部にチェックバルブ機構3を介してノズル4を取り付けて構成されている。
【0027】
上記シリンダ2は、不図示のウォッシャタンクから洗浄液の供給を受けるものであって、その後端にはプラグ5が設けられており、シリンダ2の内部はプラグ5に接続された不図示の配管を介してウォッシャタンクに連通している。そして、シリンダ2の前端部外周にはブラケット6が取り付けられており、洗浄装置1はブラケット6を介して不図示のフロントバンパの裏側に取り付けられている。尚、図示しないが、シリンダ2とその内部に摺動可能に嵌挿されたピストンとの間には、ピストンをシリンダ2内に引き込む方向に付勢する付勢手段としてのリターンスプリングが介装されている。
【0028】
次に、前記チェックバルブ機構3の構成の詳細を図3〜図7に基づいて説明する。
【0029】
チェックバルブ機構3は、図3及び図4に示すように、バルブケース7の内部にバルブ8と、該バルブ8を摺動可能に保持するガイド9と、バルブ8を閉じ方向に付勢するバルブスプリング10を収容して構成されており、全体の横断面形状が横方向に扁平な楕円状とされている。
【0030】
上記バルブケース7は前後に2分割されたケース半体7A,7B同士を結合一体化して構成されており、一方のケース半体7Aは、円筒部7aと扁平な楕円筒部7bとを組み合わせて構成されており、楕円筒部7bの全周4箇所には矩形状の係合孔11(図3には上の2つのみ図示)が形成され、楕円筒部7bの開口端面の一部(上部)にはV字状の嵌合溝12が形成されている。そして、図4に示すように、ケース半体7Aの円筒部7aと楕円筒部7bとを仕切る壁13の中心部には円筒状の弁座14が形成されている。
【0031】
又、他方のケース半体7Bは、扁平な楕円筒部7cとその先端に連なる角柱部7dとで構成されており、楕円筒部7cは、外径が小さくて薄肉の小径部7c1と外径が大きくて厚肉の大径部7c2とで構成されている。そして、楕円筒部7cの小径部7c1の外周の4箇所(他方のケース半体7Aの楕円筒部7bに形成された係合孔11に対応する箇所)には係合爪15(図3には上の2つのみ図示)が突設されている。又、楕円筒部7cの大径部7c2の小径部7c1との境(段差部)の一部(他方のケース半体7Aの楕円筒部7bに形成された嵌合溝12に対応する部分)にはV字状の嵌合突起16が形成されている。
【0032】
更に、ケース半体7Bの先端部に形成された角柱部7dの左右には円筒7eが角柱部7dに対して軸直角方向に形成されており、これらの円筒7eにはノズル本体4Aがそれぞれ嵌合保持されている。そして、ケース半体7Bの角柱部7dと左右一対の円筒7e及びノズル本体4Aによってノズル4が構成されており、図3に示すように、各ノズル本体4Aには不図示のヘッドランプの前面に向かって開口する噴射口17がそれぞれ形成されている。
【0033】
而して、一方のケース半体7Aの楕円筒部7bを他方のケース半体7Bの楕円筒部7cの小径部7c1の外周に嵌め込み、小径部7c1の外周に形成された前記係合爪15を楕円筒部7cに形成された前記係合孔11に係合させれば、ケース半体7B側の嵌合突起16がケース半体7A側の嵌合溝12に嵌合し、2つのケース半体7A,7B同士が位置決めされつつ結合されて1つのバルブケース7が組み立てられる。
【0034】
前記バルブ8は、円板状の弁体8aと該弁体8aの中心から軸直角方向に一体に延びる弁軸8bとで構成されており、図4に示すように、弁体8aの弁座14に着座する部分にはリング状のシール部材18が組み付けられている。又、図7に示すように、弁軸8bは三角柱状に成形されており、その底面は、ガイド9の円筒部9A内の底部に長手方向(図7の紙面垂直方向)に沿って平行に形成された2本のガイドリブ19によって支持されている。
【0035】
前記ガイド9は、小径の円筒部9Aとその先端に一体に形成された楕円板状のフランジ部9Bとで構成されており、図6に示すように、フランジ部9Bの端面の上下左右の4箇所には矩形状の嵌合溝20が形成されている。又、図5に示すように、フランジ部9Bの円筒部9Aを境としてこれの左右には前記ノズル4に連通する三日月状の開口部9aが形成されている。
【0036】
そして、図4に示すように、ガイド9の円筒部9A内には前記バルブ8の三角柱状の弁軸8bが摺動可能に嵌合しており、従って、バルブ8はバルブケース7内の中心部に前後方向(図4の左右方向)に移動可能に支持されており、該バルブ8は、前記バルブスプリング10によって閉じ方向(弁座14に着座する方向)に付勢されている。ここで、バルブスプリング10は、ガイド9の円筒部9Aの外周に挿通され、バルブ8の弁体8aとガイド9のフランジ部9B間に縮装されている。尚、バルブスプリング10のバネ定数は前記リターンスプリング(不図示)のバネ定数よりも大きく設定されている。
【0037】
而して、ガイド9はバルブガイドとしての機能とスプリングガイドとしての機能を兼備しており、バルブケース7内においては、ガイド9は、図4に示すようにバルブスプリング10の反力によってバルブケース7内の壁21に押圧されて位置が固定されるとともに、図6に示すように、フランジ部9Bの端面の上下左右に形成された前記嵌合溝20にバルブケース7内の壁21の4箇所(嵌合溝20に対応する箇所)に突設された嵌合突起22が嵌合することによってバルブケース7内での位置決めがなされている。
【0038】
以上のように構成された洗浄装置1において、ヘッドランプの洗浄が行われない場合には、不図示のピストンはリターンスプリングの付勢力によって図1及び図2に示すようにシリンダ2内に引き込まれており、このとき、チェックバルブ機構3のバルブ8は図4(a)に示すようにバルブスプリング10によって弁座14に押圧されて閉じ状態にある。又、ノズル4は不図示のフロントバンパの裏側に格納されている。
【0039】
而して、洗浄装置1によってヘッドランプの洗浄を行う場合には、不図示のウォッシャタンクから不図示の配管を経て高圧の洗浄液が洗浄装置1のシリンダ2へと供給される。すると、ピストンは洗浄液の圧力によってシリンダ2内を前方へと摺動し、その先端に設けられたノズル4をフロントバンパに形成された開口部(不図示)から車両前方へと押し出す。この場合、前述のようにバルブスプリング10のバネ定数はリターンスプリングのバネ定数よりも大きく設定されているため、チェックバルブ機構3のバルブ8は図4(a)に示すように閉じたままであって、洗浄液はノズル4には供給されない。
【0040】
上述のようにピストンが洗浄液の圧力によって前進した後、洗浄液の圧力が所定値を超えて上昇し、チェックバルブ機構3のバルブ8に作用する洗浄液の圧力に基づく力がバルブスプリング10の付勢力よりも大きくなると、バルブ8は図4(b)に示すようにガイド9に沿って前方へと移動して弁座14から離れるため、該バルブ8が開状態となって洗浄液は図4(b)に矢印にて示すようにバルブケース7内を前方に向かって流れ、ガイド9のフランジ部9Bに形成された左右の開口部9aを通過してノズル4へと供給される。そして、ノズル4へと供給された洗浄液は、左右に分岐して左右のノズル本体4Aに開口する噴射口17(図3参照)からヘッドランプに向かって噴射され、ヘッドランプの前面に付着した埃や泥等を洗い流す。そして、ヘッドランプの洗浄が終了すると、ピストンがリターンスプリングによってシリンダ2内に引き込まれるため、ノズル4はフロントバンパの裏側の格納位置に戻され、チェックバルブ機構3のバルブ8は図4(a)に示すように再び閉じられる。
【0041】
以上のように、本発明に係る洗浄装置1によれば、チェックバルブ機構3のバルブ8の移動方向をピストンの摺動方向、つまり洗浄液の流れ方向と同方向としたため、バルブ8が図4(b)に示すように開いたときには洗浄液は方向を変えることなくバルブ8を通過してノズル4へと真っ直ぐスムーズに流れる。このため、洗浄液の圧力損失が低く抑えられ、ノズル4からの洗浄液の噴射圧力及び噴射速度の低下が防がれ、洗浄装置1は高い洗浄能力を安定して維持することができる。尚、洗浄液はガイド9の左右の開口部9aで分岐した後、ノズル4へ流れる直前に合流しているが、これは洗浄液をほぼ均等にノズル4へ分配するためである。
【0042】
又、本実施の形態では、チェックバルブ機構3の横断面形状を扁平な楕円としたため、該チェックバルブ機構3の上下方向の厚みが薄くなり、当該洗浄装置1の車体への取付スペースが小さく抑えられ、洗浄装置1のレイアウトの自由度が高められる。
【0043】
更に、本実施の形態では、ガイド9はバルガイド及びスプリングガイドとして機能し、バルブ8がガイド9によって案内されて偏りなく直線移動するため、該バルブ8の開閉動作が安定的に行われる。そして、本実施の形態では、バルブ8の弁軸8bを三角柱状としてガイド9の円筒部9A内に摺動可能に嵌挿したため、弁軸8bが三角柱の稜線8cでガイド9の円筒部9Aの内面に線接触することとなり、バルブ8の摺動抵抗が小さく抑えられ、該バルブ8の更なるスムーズな開閉動作が可能となる。尚、本実施の形態では弁軸8bを三角柱状としたが、これに限定されることはなく、弁軸8bは三角柱以外に四角柱等の多角柱状としても同様の効果が得られる。
【0044】
又、ガイド9は、バルブスプリング10の反力によってバルブケース7内の壁21に押圧されて固定されるため、これを溶着したり、締結する必要がなく、部品点数の削減と組み立ての簡略化を図ることができる。この場合、ガイド9に形成されたフランジ部9Bが楕円筒状のバルブケース7内に嵌合することによって、ガイド9の位置決めと回り止めがなされる。そして、バルブ8を通過した洗浄液は、ガイド9のフランジ部9Bに形成された左右の開口部9aを通ってノズル4へと供給され、ノズル4からヘッドランプに向かって噴射されてヘッドランプ表面の洗浄に供される。
【0045】
尚、以上は本発明をヘッドライトの洗浄に供される洗浄装置に適用した形態について説明したが、本発明は、ヘッドライト以外の他の任意の車両用灯具の洗浄に供される洗浄装置に対しても同様に適用可能であることは勿論である。又、以上は本発明をピストン摺動式の洗浄装置に適用した形態について説明したが、本発明は、固定式の洗浄装置に対しても同様に適用可能である。その場合、摺動のためのピストン関連の部品を省略することができ、主要部品であるシリンダ2とチェックバルブ機構3及びノズル4を組み合わせた構成によって前記と同等の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 洗浄装置
2 シリンダ
3 チェックバルブ機構
4 ノズル
4A ノズル本体
5 プラグ
6 ブラケット
7 バルブケース
7A,7B ケース半体
7a ケース半体の円筒部
7b,7c ケース半体の楕円筒部
7c1 楕円筒部の小径部
7c2 楕円筒部の大径部
7d ケース半体の角柱部
7e 角柱3部の円筒
8 バルブ
8a 弁体
8b 弁軸
8c 弁軸の稜線
9 ガイド
9A ガイドの円筒部
9B ガイドのフランジ部
9a フランジ部の開口部
10 バルブスプリング
11 係合孔
12 嵌合溝
13 バルブケース内の壁
14 弁座
15 係合孔
16 嵌合突起
17 噴射口
18 シール部材
19 ガイドリブ
20 嵌合溝
21 バルブケース内の壁
22 嵌合突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液が供給されるシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌挿されたピストンと、該ピストンをシリンダ内に引き込む方向に付勢する付勢手段と、洗浄液を車両用灯具に向けて噴射するノズルと、洗浄液の圧力が所定値以上になると開いて洗浄液を前記ノズルに供給するチェックバルブ機構を備えた車両用灯具の洗浄装置において、
前記チェックバルブ機構のバルブの移動方向を前記ピストンの摺動方向と同方向としたことを特徴とする車両用灯具の洗浄装置。
【請求項2】
前記チェックバルブ機構の横断面形状を楕円としたことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具の洗浄装置。
【請求項3】
前記チェックバルブ機構のバルブを移動可能に保持するガイドを楕円筒状のバルブケース内に設け、前記バルブを閉じ方向に付勢するスプリングを該バルブと前記ガイド間に縮装したことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用灯具の洗浄装置。
【請求項4】
前記バルブの弁軸を角柱状に形成し、該弁軸を前記ガイドの円筒部内に摺動可能に嵌挿したことを特徴とする請求項3記載の車両用灯具の洗浄装置。
【請求項5】
前記ガイドに、前記バルブケース内に嵌合するフランジ部を形成し、該フランジ部に前記ノズルに連通する開口部を形成したことを特徴とする請求項3又は4記載の車両用灯具の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−221782(P2010−221782A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69834(P2009−69834)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】