説明

車両用灯具

【課題】非対称な配光パターンの主光軸方向を大光量で照明しつつ、その周囲をも照明でき、導光体を用いた低コストな車両用灯具を提供すること。
【解決手段】端面111から入射した光を内部で導光して外周面112から出射する導光体11と、導光体11の端面111に光を入射するよう配置された光源12と、導光体11に沿って配置され、導光体11から漏れ出た光を反射するリフレクタ13と、を有し、水平面内において、導光体11から放射される光の光軸Aに対して、リフレクタ13で反射される光の光軸Bが交差するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両外装の灯体内部に設けられる車両用灯具に関するもので、特に導光体を用いた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、テールランプやストップランプ(特許文献1)、ターンランプ(特許文献2)、ポジションランプ(特許文献3)など灯体の様々な部位に、導光体を用いた車両用灯具が用いられている。導光体を用いることで、導光体端面に配置されたLED(発光ダイオード)などの点光源の光を容易に線状・面状に広げることができ、法規等で要求される発光面積を所望の意匠形状にて実現出来るためである。
【0003】
【特許文献1】特開2010−146818
【特許文献2】特開2011−044396
【特許文献3】特開2004−207240
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような発光表示を主とした車両用灯具は、図1に示したよう、法規による非対称な配光特性(所定角度範囲内での視認性)が要求される。例として、テールランプやポジションランプなど車両前後に設けられる場合では、車両前後方向(進行方向)に主光軸L1・L2を有し、この主光軸に対して非対称な、車両側方側へも照射できる配光特性が要求される。
【0005】
しかし、特許文献1・3は、単に発光面積を広げる点のみが開示されているにすぎず、上述の非対称な配光パターンを得るための技術は開示されていない。
一方、特許文献2には、導光体の端面と外周面からの出射光によって異なる領域を照明する技術が開示されている。該方法によれば非対称な配光パターンを得ることができるものの、主光軸周囲の発光領域を導光体外周面での光散乱のみによって形成するため、きめ細かな配光パターンを形成するには改善の余地がある。また光散乱のみでは、主光軸方向への光を出射する導光体端面に到達する前での、導光体外周面での光のロスが多く、導光体端面に十分な光を導光・供給することが困難で、主光軸方向を大光量で照射することが容易でない。
【0006】
またこのような導光体を用いた車両用照明は、車両ボディの曲面やスラント形状にあわせ、多くの場合で曲面状に形成される。このような導光体で、凹凸や光散乱部のみで配光パターンを形成するのは、加工費の向上にもなり好ましくない。
【0007】
そこで本発明の目的は、非対称な配光パターンの主光軸方向を大光量で照明しつつ、その周囲をも照明でき、導光体を用いた低コストな車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用灯具は、第1の特徴として、
端面から入射した光を内部で導光して外周面から出射する導光体と、
前記導光体の端面に光を入射するよう配置された光源と、
前記導光体に沿って配置され、前記導光体から漏れ出た光を反射するリフレクタと、を有し、
水平面内において、前記導光体から放射される光の光軸に対して、前記リフレクタで反射される光の光軸が交差する。
【0009】
第2の特徴として、
前記導光体から放射される光の光軸は、車両前後方向と平行で、
前記リフレクタで反射される光の光軸は、車両前後方向から車両左右方向へ傾斜している。
【0010】
第3の特徴として、
前記導光体は車両前後方向に延出し、
前記光源は、前記導光体の車両側の端面に配置される。
【0011】
第4の特徴として、
前記光源はLEDからなり、その光軸が導光体の延出方向に沿うよう配置される。
【0012】
第5の特徴として、
前記光源の光軸と前記導光体の放射光の光軸とのなす角が、
前記光源の光軸と前記リフレクタの反射光の光軸とのなす角よりも小さい。
【0013】
第6の特徴として、
前記リフレクタと前記導光体との距離は、前記光源の配置された端面の反対側から前記光源に近づくほど離れるよう形成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の特徴によれば、導光体の放射光で主光軸方向を照明しつつ、リフレクタの反射光でその周囲の配光パターンを形成することができ、光を有効利用することができる。また周囲の配光パターンを、導光体の複雑な光拡散・散乱によらずに、リフレクタで光学制御することができ、所望の非対称の配光パターンを容易に形成することができる。
【0015】
第2・6の特徴によれば、特にテールランプやストップランプ、ポジションランプなどの車両前後に設けられる車両用灯具において、車両側方に広がる非対称配光パターンを容易に形成することができる。
【0016】
第3〜5の特徴によれば、導光体において光源の配置された端面の反対側の領域から光をより多く放射することが可能となり、主光軸方向に大光量が必要な用途において、特に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は車両用灯具の配光パターンを表す模式図。
【図2】図2は本発明をテールランプ1に用いた模式図。
【図3】図3は本発明をポジションランプ2に用いた模式図。
【図4】図4は本発明の実施例1の斜視図。
【図5】図5は本発明の実施例1の水平断面図。
【図6】図6は本発明の実施例1の鉛直断面図。
【図7】図7は本発明の実施例2の斜視図。
【図8】図8は本発明の実施例2の水平断面図。
【図9】図9は本発明の実施例2の鉛直断面図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
本発明の車両用灯具について図を引用しながら説明する。
なお、本文中で用いられる「光軸」とは、基準面内(主に水平面内)において光の大部分が進行する主な方向を示すものとする。また「平行」とは、厳密な平行状態のみに限られるものではなく、本発明に記載の作用効果と同等の効果を奏する範囲内(例えばプラスマイナス5度程度の誤差)も許容するものとする。
【0019】
図1はテールランプ1、ポジションランプ2、および参考としてターンランプ3の各灯体の水平面内における配光パターンをそれぞれ示している。図2は車両用灯具10をリアコンビネーションランプのテールランプ1に、図3はポジションランプ2にそれぞれ用いた模式図である。
テールランプ1の光軸L1は車両前後方向に平行で車両後方を向いている。また車両外側に広い配光特性とされており、その必要な配光角は、L1a=45度、L1b=80度である。ポジションランプ2の光軸L2は車両前後方向に平行で車両前方を向いている。また車両外側に広い配光特性とされており、その必要な配光角は、L2a=45度、L2b=80度である。ターンランプ3の光軸L3は適宜設定することができるが(図は例示)、法規上必要な配光角に加えて、多くの場合でサイドミラーの曲面に沿って発光するよう形成されるため、非対称な配光パターンとなりやすい。
【0020】
図4には、本実施例におけるテールランプ1に組み込まれた車両用灯具10の斜視図を示す。図5は車両用灯具10の水平断面図、図6は鉛直断面図である。
図4〜6に示したよう、車両用灯具10は、端面111から入射した光を内部で導光して外周面112から出射する導光体11と、導光体11の端面111に光を入射するよう配置された光源12と、導光体11に沿って配置され、導光体11から漏れ出た光を反射するリフレクタ13と、で構成される。
【0021】
導光体11は、組み付けられるテールランプ1のアウタレンズおよび車両ボディの曲面に沿って、車両前後方向および車両左右方向に延出し、意匠面となる外周面112が車両外側(この場合は車両後方)に向かい凸となるよう弧状に湾曲している。すなわち導光体11は端面111を基準にして、車両側方から車両中央に向かい、かつ車両前方から車両後方へ向かって、湾曲するよう延出している。
端面111から入射して導光体11の内部を導光される光は、外周面112と対向する反射面113により反射され、外周面112を介して外部に放射される。放射光は、その大部分が車両後方に向け放射され、その光軸は水平面内において車両前後方向にほぼ平行である。
外周面112には、水平方向に伸びる溝が2本形成されている。これにより、1つの導光体によりあたかも3つの導光体が存在するかのような美感を奏し、意匠性が向上する。
また、図において反射面113を凹凸状としているが、この形状は所望の発光形状に応じ適宜変更することができる。例えば、離間した溝や窪みなどの凹凸では、擬似発光点が複数形成されて光源を複数配置したように見せることができる。またランダムで微細な凹凸や別途拡散反射層を設けた場合は、反射面113全体が均一に、またはその拡散状態に応じてグラデーション状に発光表示させることができる。このような凹凸形状は公知の技術を組み合わせて適宜使用することができる。
【0022】
光源12は、赤色発光LEDで構成されている。本実施例においてはテールランプ1を構成するため赤色としているが、ポジションランプ2に用いる場合は白色、ターンランプ3に用いる場合は黄色、その他イルミネーションでは青色など、発光色はその用途に応じて各種法規の範囲内で適宜変更することができる。
またテールランプ1に用いた本実施例における光源12は、導光体11の車両側の端面111となる、導光体11の車両前方側(車両ボディ側)の端面111に配置され、その光軸Cは導光体11の延出方向に沿って車両後方を向いている。このため、光源12の放射光の大部分が、光源12対向する端面111の反対側の端面や周辺の外周面112まで到達しやすくなり、光軸A方向への放射強度を高めることができる。
さらに光源12を電球に比べて指向性のあるLEDとしたことで、光軸C方向への発光強度が増し、導光体11からの放射光強度をより一層高めることができる。
【0023】
リフレクタ13は、導光体11に沿って導光体11の反射面113と間隔をあけて対向するように配置され、導光体11が車両外側に向かい凸状に湾曲するのに対して車両ボディ側に向かい凸となるよう湾曲している。またリフレクタ13は、リアコンビネーションランプのエクステンションリフレクタの一部として一体化されて構成されており、表面に金属メッキが施されている。これにより導光体11から漏れ出た光を有効的に用いることができるほか、リフレクタ13を別途製造する必要がなくなり、部品点数の低減による低コスト化が可能となる。
リフレクタ13と導光体11との間隔は、導光体11の光源12が配置された端面111の反対側から、光源側に近づくほど離れるように形成されている。これにより、導光体11からリフレクタ13側に漏れ出た光が、導光体11の放射光の光軸Aと交差するよう、車両左右方向に向かって反射されるようになる。こうして形成されたリフレクタ13による反射光の光軸Bは、導光体11の放射光の光軸Aと交差して、水平面内において車両前後方向から車両左右方向へ傾斜するため、導光体11による配光パターンよりも車両側方側を照明する。
本実施例におけるテールランプ1の配光特性を得るためには、導光体11の光軸Aとリフレクタ13の光軸Bとは、互いに70〜110度の範囲で交差するように構成することが望ましい。このようにリフレクタ13を配置することで、車両側方を好適に照明・発光表示することができるためである。ここで、光軸Aと光軸Bとの交差角度を70〜90度とした場合は、車両後方から側方にかけて連続して発光させることができ、灯体としての一体感が向上する。90〜110度とした場合は、車両後方を向く灯体と車両側方を向く灯体との2つの灯体があたかも別々に配置されたかのような美感を奏するため、2つの灯体を配置するコストを低減することができる。
【0024】
上述の構成によれば、導光体11の放射光によってテールランプ1の主光軸方向となる車両後方を照明しつつ、リフレクタ13の反射光によって車両側方をも照明することができ、光を有効利用することができる。また導光体のみで配光形成する場合と比べて、導光体11に複雑な反射面113を形成する必要がないため、製造コストを低減させつつ、簡単な構成でテールランプ1で要求される非対称な配光パターンを得ることが出来る。
また全体として、光源12の光軸Cと導光体11の光軸Aとのなす角が、光源12の光軸Cとリフレクタ13の光軸Bとのなす角より小さく、光源12の光を導光体11から放射させやすくしていることで、導光体11の放射光強度がより高まり、導光体11とリフレクタ13による光のコントラスト差が大きくなり、テールランプ1の発光表示時の視認性がより一層高まる。
【実施例2】
【0025】
次に実施例2の車両用灯具について図7〜9を引用しながら説明する。
図7には、図3のポジションランプ2に組み込まれた車両用灯具20の斜視図を示す。図8は車両用灯具20の水平断面図、図9は鉛直断面図である。実施例1との違いは、取付部位がテールランプ1ではなくポジションランプ2としている点、導光体21の形状が実施例1では1枚の湾曲板状であったのに対してU字型の棒状とした点、リフレクタ23の形状、などである。
以下、実施例1との相違点を中心に説明し、重複する部位については説明を省略する。また特に説明のない場合は実施例1を参照するものとするが、実施例1のテールランプ1と本実施例のポジションランプ2では灯体(車両用灯具)の主光軸方向が前後で異なるため、この点は適宜読み替える必要がある。
【0026】
導光体21は、組み付けられるポジションランプ2のアウタレンズおよび車両ボディの曲面に沿って、車両前後方向および車両左右方向に延出し、意匠面となる外周面212が車両外側(この場合は車両前方)に向かい凸となるよう弧状に湾曲している。すなわち導光体21は端面211を基準にして、車両側方から車両中央に向かい、かつ車両後方から車両前方へ向かって、湾曲するよう延出している。
導光体21は、正面視でU字状に形成されており、実施例1の導光体11とは異なる美感を奏することができる。
【0027】
光源22は白色発光LEDで構成されており、図示したよう、青色発光LEDの素子が、凹状パッケージ内に配置されて蛍光体含有樹脂で封止された白色発光LEDを用いている。光源22は、導光体21の車両側の端面211となる、導光体21の車両後方側(車両ボディ側)の端面211に配置されている。
凹状パッケージを用いたLEDとしたことで、実施例1のLEDと比べて指向角を狭めることができ、導光体21との結合効率(導光効率)が向上する。
【0028】
リフレクタ23は、ヘッドランプのエクステンションリフレクタの一部として一体化されて構成されており、表面に金属メッキが施されている。
またリフレクタ23は、導光体21に沿ってその反射面213と間隔をあけて対向するように配置され、導光体21が車両外側に向かい凸状に湾曲するのに対応して車両外側に向かって凸となるよう湾曲している。しかし本実施例においても実施例1と同様に、リフレクタ23と導光体21との間隔が、導光体21の光源22が配置された端面211の反対側から、光源側に近づくほど離れるように形成されている。これにより実施例1と同様に、導光体21からリフレクタ23側に漏れ出た光が、導光体21の放射光の光軸Aと交差するよう、車両左右方向に向かって反射されるようになる。さらにリフレクタも車両外側に向かって凸状に湾曲しているため、従来よりも小型化できる。
本実施例におけるポジションランプ2の配光特性を得るためには、導光体21の光軸Aとリフレクタ23の光軸Bとは、互いに70〜110度の範囲で交差するように構成することが望ましい。このようにリフレクタ23を配置することで、車両側方を好適に照明・発光表示することができるためである。
【0029】
上述の構成によれば、導光体21の放射光によってポジションランプ2の主光軸方向となる車両前方を照明しつつ、リフレクタ23の反射光によって車両側方をも照明することができ、光を有効利用することができる。また導光体のみで配光形成する場合と比べて、導光体21に複雑な反射面213を形成する必要がないため、製造コストを低減させつつ、簡単な構成でポジションランプ2で要求される非対称な配光パターンを得ることが出来る。
また全体として、光源22の光軸Cと導光体21の放射光軸Aとのなす角が、光源22の光軸Cとリフレクタ23の反射光軸Bとのなす角より小さく、光源22の光を導光体21から放射させやすくしていることで、導光体21の放射光強度がより高まり、導光体21とリフレクタ23による光のコントラスト差が大きくなり、ポジションランプ2の発光表示時の視認性がより一層高まる。
さらに導光体21をU字状としつつリフレクタ23と組み合せたことで、法規で要求される発光面積を確保しつつ、実施例1の全体が板状のものと比べて導光体21の使用量を減らすことができ、生産コストを低減することができる。
【0030】
本発明は、灯体の光軸に対して非対称な配光パターンを必要とするものに適用できる。上述の実施例においてはテールランプやポジションランプの場合を示したが、同様に非対称な配光パターンを有するターンランプやその他の灯体にも、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 テールランプ
2 ポジションランプ
3 ターンランプ
10、20 車両用灯具
11、21 導光体
12、22 光源
13、23 リフレクタ
111、211 端面
112、212 外周面
113、213 反射面
A 導光体の放射光の光軸
B リフレクタの反射光の光軸
C 光源の光軸
L1、L2、L3 各灯体の光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面から入射した光を内部で導光して外周面から出射する導光体と、
前記導光体の端面に光を入射するよう配置された光源と、
前記導光体に沿って配置され、前記導光体から漏れ出た光を反射するリフレクタと、を有し、
水平面内において、前記導光体から放射される光の光軸に対して、前記リフレクタで反射される光の光軸が交差する、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記導光体から放射される光の光軸は、車両前後方向と平行で、
前記リフレクタで反射される光の光軸は、車両前後方向から車両左右方向へ傾斜している、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記導光体は車両前後方向に延出し、
前記光源は、前記導光体の車両側の端面に配置される、
ことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記光源はLEDからなり、その光軸が導光体の延出方向に沿うよう配置される、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光源の光軸と前記導光体の放射光の光軸とのなす角が、
前記光源の光軸と前記リフレクタの反射光の光軸とのなす角よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記リフレクタと前記導光体との距離は、前記光源の配置された端面の反対側から前記光源に近づくほど離れるよう形成される、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車両用灯具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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