説明

車両用照明装置

【課題】車室内の床面を十分な照度によって、インストルメントパネル、座席等の介在物で光路を阻まれることなく確実に照らすことができ、しかも、乗降時におけるユーザの足元周辺の床面を確実に照らすことができる車両用照明装置を提供する。
【解決手段】インナーシルカバー7の車室面7a側に、車室内の床面2を照射するインナーシル照明部11を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明装置に関し、特に車室内の床面照明に係わる。
【背景技術】
【0002】
車両用照明装置には、従来より車室内の床面を照らすものが種々提案されている。特許文献1及び特許文献2には、インストルメントパネルの下部に床面照射部が設けられたものが開示されている。特許文献3には、ハンドルカバーに床面照射部が設けられたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−124346号公報
【特許文献2】特開平4−129856号公報
【特許文献3】実開平6−33738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の各車両用照明装置では、床面照射部の位置がいずれも床面より遠いため、十分な照度を持って床面を照射することができない。又、床面照射部の位置と床面との距離が遠いため、インストルメントパネル、座席等の介在物で光路が阻まれることがあり、床面を確実に照らすことができない恐れがある。
【0005】
特許文献1及び特許文献2の車両用照明装置では、着座時におけるユーザの足元周辺の床面を照らすことができるが、乗降時におけるユーザの足元周辺の床面を確実に照らすことができない。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、車室内の床面を十分な照度によって、インストルメントパネル、座席等の介在物で光路を阻まれることなく確実に照らすことができ、しかも、乗降時におけるユーザの足元周辺の床面を確実に照らすことができる車両用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、ドア開口部の下方の車室内側に、車室内の床面を照射する床面照明部が設けられていることを特徴とする車両用照明装置である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の車両用照明装置であって、前記床面照明部は、ドア開口部の下方の車室内側に位置するインナーシルカバーに設けられていることを特徴とする車両用照明装置である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2記載の車両用照明装置であって、前記床面照明部は、前記インナーシルカバーの車室面側に配置されたことを特徴とする車両用照明装置である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3記載の車両用照明装置であって、前記床面照明部は、前記インナーシルカバーの長手方向に沿って配置され、光入射面より内部に進入した光を乱反射させつつ光射出面より出射する扁平長尺状の導光プレートと、前記導光プレートの長尺方向に間隔を置いて配置され、前記光入射面に光を射出する複数の光源とを備えたことを特徴とする車両用照明装置である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の車両用照明装置であって、
ドアの開閉を検出するドア開閉検出手段を有し、前記ドア開閉検出手段が前記ドアの開放を検出すると、前記インナーシル照明部を点灯することを特徴とする車両用照明装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、床面照明部が車室内の床面に近い箇所に配置されているため、車室内の床面を十分な照度によって、インストルメントパネル、座席等の介在物で光路を阻まれることなく確実に照らすことができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、床面照明部が車室内の床面に近いインナーシルカバーに配置されているため、車室内の床面を十分な照度によって、インストルメントパネル、座席等の介在物で光路を阻まれることなく確実に照らすことができる。
【0014】
また、インナーシルカバーは、ユーザが乗り込む際に足を置いたり、ユーザが車両より降りようとする際に足を置く床面のすぐ横位置に立設されているため、乗降時におけるユーザの足元周辺の床面を確実に照らすことができ、夜間におけるユーザの乗降が容易になる。
【0015】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、インナーシルカバーの実質的な高さが床面照明部によって高くならないため、ユーザのスムーズな乗降動作をほとんど妨げない。
【0016】
請求項4の発明によれば、請求項1〜請求項3の発明の効果に加え、床面照明部を扁平長尺状に形成できるため、床面照明部がインナーシルカバーの車室面側にあまり突出せず、しかも、広い範囲で光を照射できるため、ユーザの居住空間をほとんど狭めることなく、広い範囲を照らすことができる。光射出面からは、長手方向に対しほぼ均一な照度の光を射出することができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、請求項1〜請求項4の発明の効果に加え、夜間におけるユーザの車両への乗降がスムーズになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示し、車室内の一部斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、(a)はドアが閉じている時のインナーシル照明部の位置を示す断面図、(b)はドアが開いている時のインナーシル照明部の位置を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、インナーシル照明部の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、インナーシル照明部の分解斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、インナーシル照明部の照射範囲を示す車両の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1〜図5は本発明の一実施形態を示し、図1は車室内の一部斜視図、図2(a)はドア5が閉じている時のインナーシル照明部11の位置を示す断面図、図2(b)はドア5が開いている時のインナーシル照明部11の位置を示す断面図、図3はインナーシル照明部11の断面図、図4はインナーシル照明部11の分解斜視図、図5はインナーシル照明部11の照射範囲を示す車両の概略平面図である。
【0021】
図1、図2(a)、(b)及び図5に示すように、車両1の車室内の床面2には、座席3が前方に2つ、後方に2つで計4つ配置されている。各座席3に対応する車両1の側面には、ドア開口部4がそれぞれ設けられている。各ドア開口部4は、各ドア5によってそれぞれ開閉される。各ドア開口部4の下方の車両外側ボディーパネル8には、キッキングプレート6が固定されている。各キッキングプレート6の直ぐ車室内側の位置には、インナーシルカバー7が固定されている。各インナーシルカバー7は、キッキングプレート6に平行に配置されている。各インナーシルカバー7は、キッキングプレート6より高さが高く設定されている。
【0022】
車両用照明装置10は、床面照射部である4つのインナーシル照明部11を有する。各インナーシル照明部11は、各インナーシルカバー7の車室面7a側に配置されている。各インナーシル照明部11は、各座席3の前方に位置する床面2を広い範囲で照射する。インナーシル照明部11の詳しい構成は、下記する。
【0023】
車両用照明装置10は、各ドア5の開閉をそれぞれ検出するドア開閉スイッチ(図示せず)と、インナーシル照明部11の点灯・消灯をユーザが操作できる床面照明スイッチ(図示せず)と、各ドア開閉スイッチの検出情報及び床面照明スイッチの操作情報が出力される制御部(図示せず)とを有する。制御部は、ドア開閉スイッチがドア5の開放を検出すると、当該ドア5に対応するインナーシル照明部11を点灯させ、ドア開閉スイッチがドア5の閉塞を検出すると、当該ドア5に対応するインナーシル照明部11を消灯させるよう制御する。又、制御部は、床面照明スイッチがオンされると、ドア5が閉塞状態であってもインナーシル照明部11を点灯させるよう制御する。
【0024】
次に、インナーシル照明部11の構成を説明する。図3及び図4に示すように、インナーシル照明部11は、遮光性のある樹脂製のベース部材12と、このベース部材12の表面に両面テープ13によって固着され、配線パターンが形成された基板14と、この基板14の表面に間隔を置いて固定された複数の光源である発光ダイオード15と、ベース部材12に両面テープ16によって固着された導光プレート17と、この導光プレート17に両面テープ18によって固着され、基板14等を覆う遮光カバー19とを備えている。ベース部材12、基板14、導光プレート17、遮光カバー19は、すべて扁平長尺状であり、これによって、インナーシル照明部11は、扁平長尺状に構成され、インナーシルカバー7の長手方向に沿って配置されている。
【0025】
インナーシル照明部11は、ベース部材12の裏面側が両面テープ20によってインナーシルカバー7の長尺方向(車両前後方向)に沿って固着されている。
【0026】
導光プレート17は、扁平長尺状で、乳白色の光透過部材である。導光プレート17は、光入射面17aより内部に進入した光を乱反射させつつ光射出面17bより出射する。従って、発光ダイオード15が間隔を置いて配置されているが、光射出面17bからは、長手方向に対しほぼ均一な照度の光が射出される。光射出面17bは、ベース部材12と遮光カバー19より露出されている。光射出面17bは、車両1の前後方向に沿って配置され、光が車室の床面2に向かって射出するよう設定されている。
【0027】
各発光ダイオード15は、その光射出面が導光プレート17の光入射面17aに対向配置されている。
【0028】
次に、車両用照明装置10の照明動作を説明する。
【0029】
ユーザが車両1に近づき、ドア5を開ける。すると、これを当該ドア5に対応するドア開閉スイッチ(図示せず)が検出し、インナーシル照明部11が点灯する。全てのドア5が開けられると、図5に示すように、全てのインナーシル照明部11が点灯する。このようにドア5を開けると、ユーザが乗り込む室内の床面2がインナーシル照明部11によって照らされるため、夜間においてユーザがスムーズに車両1に乗り込むことができる。ユーザがドア5を閉じると、これを当該ドア5に対応するドア開閉スイッチ(図示せず)が検出し、インナーシル照明部11が消灯する。
【0030】
運転時等にあって、ユーザが床面照射スイッチ(図示せず)をオンすると、当該座席3に対応するインナーシル照明部11が点灯する。これにより、ユーザの足元の床面2がインナーシル照明部11によって照らされる。例えば、床面2への落とし物を容易に見つけることができる。
【0031】
降車するべくユーザがドア5を開ける。すると、これを当該ドア5に対応するドア開閉スイッチ(図示せず)が検出し、インナーシル照明部11が点灯する。全てのドア5が開けられると、図5に示すように、全てのインナーシル照明部11が点灯する。このようにドア5を開けると、ユーザが降りるまで足を置いている床面2がインナーシル照明部11によって照らされるため、夜間においてユーザがスムーズに車両1より降りることができる。ユーザがドア5を閉じると、これを当該ドア5に対応するドア開閉スイッチ(図示せず)が検出し、インナーシル照明部11が消灯する。
【0032】
以上説明したように、インナーシルカバー7に、車室内の床面2を照射するインナーシル照明部11が設けられている。従って、インナーシル照明部11が車室内の床面2に近いインナーシルカバー7に配置されているため、車室内の床面2を十分な照度によって、インストルメントパネル、座席3等の介在物で光路を阻まれることなく確実に照らすことができる。
【0033】
また、インナーシルカバー7は、ユーザが乗り込む際に足を置いたり、ユーザが車両1より降りようとする際に足を置く床面2のすぐ横位置に立設されているため、乗降時におけるユーザの足元周辺の床面2を確実に照らすことができ、夜間におけるユーザの乗降が容易になる。
【0034】
インナーシル照明部11は、インナーシルカバー7の車室面7a側に配置されているので、インナーシルカバー7の実質的な高さがインナーシル照明部11によって高くならないため、ユーザのスムーズが乗降動作をほとんど妨げない。
【0035】
インナーシル照明部11は、インナーシルカバー7の長手方向に沿って配置され、光入射面17aより内部に進入した光を乱反射させつつ光射出面17bより出射する扁平長尺状の導光プレート17と、導光プレート17の長尺方向に間隔を置いて配置され、光入射面17aに光を射出する複数の発光ダイオード15とを利用して構成されている。従って、この実施形態のようにインナーシル照明部11を扁平長尺状に形成できるため、インナーシル照明部11がインナーシルカバー7の車室面7a側にあまり突出せず、しかも、広い範囲で光を照射できるため、ユーザの居住空間をほとんど狭めることなく、広い範囲を照らすことができる。又、光射出面17bからは、長手方向に対しほぼ均一な照度の光を射出することができる。
【0036】
ドア5の開閉を検出するドア開閉検出手段(図示せず)を有し、ドア開閉検出手段(図示せず)がドア5の開放を検出すると、インナーシル照明部11を点灯させたので、夜間におけるユーザの車両1への乗降がスムーズになる。
【0037】
この実施形態では、床面照明部は、インナーシル照明部11にて構成されているが、ドア開口部4の下方の車室内側の箇所であれば、インナーシルカバー7以外の位置に設けても良い。つまり、ドア開口部4の下方の車室内側の箇所であれば、床面2に近い箇所であるため、車室内の床面2を十分な照度によって、インストルメントパネル、座席3等の介在物で光路を阻まれることなく確実に照らすことができる。
【0038】
この実施形態では、インナーシル照明部11は、ドア5を開けると点灯するが、インナーシル照明部11の点灯タイミングは、適宜決定される。例えば鍵若しくは、車両への接近を感知できる送信機等を持ったユーザが接近した事を感知した時点や、リモートキー等でも解錠を感知した時点でも良い。
【0039】
この実施形態では、インナーシル照明部11は、ドア5を閉じると消灯するが、インナーシル照明部11の消灯タイミングは、適宜決定される。例えば乗車時にあっては、イグニッションキーがオフからオンされた時点でも良い。
【0040】
この実施形態では、インナーシル照明部11は、ベース部材12の裏面側が両面テープ20によってインナーシルカバー7に固着されているが、固着手段は、適宜決定される。例えば、スクリューボルトやリテーナー(ブラケット)を用いたり、両面テープと組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 車両
2 床面
5 ドア
7 インナーシルカバー
7a インナーシルカバーの車室面
10 車両用照明装置
11 インナーシル照明部(床面照明部)
15 発光ダイオード(光源)
17 導光プレート
17a 光入射面
17b 光射出面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア開口部の下方の車室内側に、車室内の床面を照射する床面照明部が設けられていることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用照明装置であって、
前記床面照明部は、ドア開口部の下方の車室内側に位置するインナーシルカバーに設けられていることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項3】
請求項2記載の車両用照明装置であって、
前記床面照明部は、前記インナーシルカバーの車室面側に配置されたことを特徴とする車両用照明装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車両用照明装置であって、
前記床面照明部は、前記インナーシルカバーの長手方向に沿って配置され、光入射面より内部に進入した光を乱反射させつつ光射出面より出射する扁平長尺状の導光プレートと、前記導光プレートの長尺方向に間隔を置いて配置され、前記光入射面に光を射出する複数の光源とを備えたことを特徴とする車両用照明装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の車両用照明装置であって、
ドアの開閉を検出するドア開閉検出手段を有し、
前記ドア開閉検出手段が前記ドアの開放を検出すると、前記インナーシル照明部を点灯することを特徴とする車両用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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