説明

車両用照明装置

【課題】意匠性を向上させることが可能な車両用照明装置を提供する。
【解決手段】車両用ドアトリム10に設けられる車両用照明装置40であって、LED61と、加飾パネル41と、LED61からの光が入射される端面63Aと、端面63Aから入射された光を出射させる外周面63Dと、を有する導光体63と、加飾パネル41に設けられ、外周面63Dからの光をハンドル収容部30に投光可能とする第1投光部54B1と、加飾パネル41において、第1投光部54B1よりもLED61から遠い側に設けられ、外周面63Dからの光を被照射面22に投光可能とする第2投光部54B2と、を備え、第2投光部54B2及び被照射面22は、それぞれ外周面63Dの長手方向に沿って延び、導光体63と被照射面22とは、LED61から遠くなるにつれて接近する形で設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用内装材に設けられた機能性部品などを照らすための車両用照明装置が知られている(例えば、下記特許文献1)。特許文献1のものでは、光源と、光源からの光を導光する長手状の導光体を備えている。導光体は、車両用内装材におけるスイッチベース及びインナハンドル(インサイドハンドル)の双方に亘って延びており、導光体から出射される光によって、スイッチベース及びインナハンドルの双方を照らす構成となっている。つまり、導光体を用いることで、1つの光源によって、2箇所を照らすことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−70116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような光源と導光体を用いる構成においては、導光体において光源から遠くなる程、導光体からの出射光が暗くなり(輝度が低くなり)、光源から遠い箇所が光源から近い箇所に比べて暗くなってしまう。言い換えると、光源から遠い箇所を近い箇所よりも明るくするといった照明効果を実現できない。このように、光源と導光体を用いる構成においては、車両用照明装置による照明効果が限定されてしまう結果、意匠性が低下する事態が懸念される。
【0005】
また、従来、車両用内装材において異なる2箇所を照らす場合は、2箇所に対応して光源をそれぞれ設けたり、2股に分岐する導光体を用いたりするなどの構成も知られている。このような構成では、車両用内装材における2箇所の明るさをそれぞれ調整することができる反面、光源数の増加や導光体の構造が複雑になるといった問題点が生じる。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、意匠性を向上させることが可能な車両用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の車両用照明装置は、車両用内装材に設けられ、前記車両用内装材が備える第1被照射部及び第2被照射部を照らすことが可能な車両用照明装置であって、光源と、長手状をなし、前記車両用内装材の少なくとも一部を構成するパネル部材と、前記光源からの光が入射される光入射部と、前記パネル部材の長手方向に沿って延びるとともに前記光入射部から入射された光を出射させる光出射部と、を有し、前記パネル部材に設けられる導光体と、前記パネル部材に設けられ、前記光出射部からの光を前記第1被照射部に投光可能とする第1投光部と、前記パネル部材において、前記第1投光部よりも前記光源から遠い側に設けられ、前記光出射部からの光を前記第2被照射部に投光可能とする第2投光部と、を備え、前記第2投光部及び前記第2被照射部は、それぞれ前記光出射部の長手方向に沿って延び、前記導光体と前記第2被照射部とは、前記光源から遠くなるにつれて接近する形で設けられていることに特徴を有する。
【0008】
本発明においては、導光体からの光によって第1被照射部及び第2被照射部を照らすことができる。そして、本発明では、導光体と第2被照射部とが、光源から遠くなるにつれて接近する形で設けられている。このため、第2被照射部において、光源から近い箇所よりも光源から遠い箇所を明るく照らすことが可能となる。このように、本発明においては、1つの光源のみを備える構成としつつ、光源により近い第1被照射部と、第2被照射部における光源から遠い側とを明るくすることができる。言い換えると、第1被照射部と、第2被照射部における光源から遠い側との各々に対応して光源をそれぞれ配置した構成(光源を2つ備えた構成)と同じ作用を奏することができる。これにより、意匠性の高い車両用照明装置を簡易な構成で実現できる。
【0009】
上記構成において、前記パネル部材は車室内側へ突き出す形状をなす突出壁部を有し、前記突出壁部は、前記導光体の長手方向に沿うとともに前記光源から遠ざかるにつれて前記第2被照射部に向かって湾曲する形で延びており、前記導光体は、前記突出壁部における車室外側に配置されており、前記突出壁部の延設方向に沿う形で前記光源から遠ざかるにつれて前記第2被照射部に向かって湾曲する形状をなしているものとすることができる。
【0010】
このように、導光体を光源から遠ざかるにつれて第2被照射部に向かって湾曲する形状とすることで、導光体と第2被照射部とを、光源から遠くなるにつれて接近させることができる。また、突出壁部も、光源から遠ざかるにつれて第2被照射部に向かって湾曲する形で延びているため、この延設方向(湾曲形状)に沿って、導光体を配置することで、容易に導光体を湾曲させることができる。
【0011】
また、前記第2被照射部は、前記導光体の下方に配されるとともに、車室内側に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面とされ、前記第2被照射部は、水平方向に対する傾斜角度が前記光源から遠ざかるにつれて小さくなるものとすることができる。
【0012】
本発明においては、第2被照射部の水平方向に対する傾斜角度が光源から遠ざかるにつれて小さくなるものとされる。本発明のように、第2被照射部が車室内側に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面である場合、導光体から出射された後、第2被照射部によって、車室内側に反射される光は、水平方向に対する傾斜角度が小さい(水平に近い)程、上方に向かいやすくなる。このため、仮に、乗客の目が第2被照射部よりも上方に配されている場合においては、第2被照射部における光源から遠い箇所(水平方向に対する傾斜角度がより小さい箇所)からの反射光が、乗客の目に到達しやすくなる。この結果、乗客に対して、第2被照射部における光源から遠い箇所をより明るく視認させることができる。
【0013】
また、前記第2被照射部は、前記導光体の下方に配されるとともに、車室内側に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面とされ、前記第2被照射部における上端縁は、前記第2被照射部の延設方向に亘って同じ高さで配され、前記第2被照射部における下端縁は、前記光源から遠ざかるにつれて、前記導光体に向かう形で傾斜するものとすることができる。
【0014】
本発明においては、第2被照射部における上端縁は、前記第2被照射部の延設方向に亘って同じ高さで配される一方で、第2被照射部における下端縁は、前記光源から遠ざかるにつれて、前記導光体に向かう形で傾斜している。つまり、第2被照射部は、光源から遠ざかるにつれて、上下方向の長さが小さくなっている。このような構成とすれば、乗客に対して、第2被照射部における光源から遠い側(上下方向の長さがより短い部分)を、光源から近い側(上下方向の長さがより長い部分)に比べて、より明るく視認させることができ、第2被照射部における光源から遠い側をより一層明るく見せることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、意匠性を向上させることが可能な車両用照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用照明装置が取り付けられた車両用ドアトリムの要部を示す正面図
【図2】図1の車両用照明装置における光源付近を示す断面図(図1のD−D線で切断した図)
【図3】図1の車両用照明装置を示す断面図(図1のA−A線で切断した図)
【図4】図1の車両用照明装置を示す断面図(図1のB−B線で切断した図)
【図5】図1の車両用照明装置を示す断面図(図1のC−C線で切断した図)
【図6】アッパーボード及び加飾パネルを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態を図1ないし図6によって説明する。図1は、本実施形態の車両用照明装置40が取り付けられた車両用ドアトリム10(車両用内装材)の要部を示す正面図である。車両用ドアトリム10は、図示しないインナパネルの車室内側に取り付けられる内装材であって、インナパネルとともに車両用ドアを構成するものである。
【0018】
車両用ドアトリム10は、車室内の見栄えや居住性を向上させるためのもので、トリムボード11を備えている。図1に示すように、トリムボード11は、本体部12と、本体部12の上部に取り付けられるアッパーボード13を少なくとも備えている。なお、トリムボード11は、本体部12とアッパーボード13から分割構成されず、一体部品として成形されるものであってもよい。
【0019】
本体部12とアッパーボード13との結合は、例えば、一方に形成された取付用ボス(図示せず)を他方に形成された貫通孔(図示せず)に挿通した後で、超音波溶着などの溶着手段によって取付用ボスの先端部を溶着することで行われる。なお、本体部12とアッパーボード13の結合は、ビス止めや爪嵌合など様々な結合方法によって行うことができる。
【0020】
トリムボード11は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂材料、あるいは、合成樹脂材料に天然繊維(ケナフなど)を混合した材料等によって形成されている。また、トリムボード11の車室内側には、表皮材15(図3参照)が一部または全部に貼着されている。
【0021】
本体部12には、図1に示すように、乗員の肘掛けとして使用されるアームレスト14が車室内側に張り出す形で形成されている。このアームレスト14の上面14Bは、例えば、水平方向に沿って延びている。また、上面14Bには、上方へ開口する開口部14Aが形成され、この開口部14Aは、乗員が指を差し入れることによって車両用ドアを開閉操作するためのプルハンドル(図示せず)として使用される。
【0022】
アッパーボード13と本体部12との接合部付近には、ハンドル収容部30が設けられており、その内部には車両用ドアの開閉操作を行うためのインサイドハンドル31(より正確にはインサイドハンドル31における把持部31A)が収容されている。また、アームレスト14の上面14Bにおいて、ハンドル収容部30の下方に位置する箇所には、スイッチ操作部(図示せず)を有するスイッチベース16が設けられている。
【0023】
ハンドル収容部30は、図3に示すように、インサイドハンドルベゼル32と、インサイドハンドルカバー37と、インサイドハンドルベゼル32の上部に取り付けられる加飾パネル41(車両用内装材の一部を構成)を主体に構成されている。なお、以下の説明では、インサイドハンドルベゼル32をベゼル32、インサイドハンドルカバー37をカバー37と言う場合もある。
【0024】
ベゼル32は、図3に示すように、車室内側に開口する形で配されている。なお、ベゼル32は、例えば、取付爪(図示せず)を有しており、この取付爪によってトリムボード11に取り付けられている。カバー37は、ベゼル32の奥壁を車室内側から覆う形で取り付けられている。つまり、カバー37は収容部30の奥壁を構成している。
【0025】
本実施形態の車両用照明装置40は、ハンドル収容部30及び本体部12(より具体的には、本体部12の被照射面22)を照らすためのもので、LED61(光源)と、LED61から出射された光を導光可能な導光体63(発光体)と、上述した加飾パネル41(パネル部材)と、を備えている。LED61及び導光体63は、加飾パネル41の車室外側(裏側)に配されている。
【0026】
LED61は、図2に示すように、LED基板62に実装された状態でケース70内部に収容されており、このケース70が加飾パネル41に取り付けられている。また、LED61は、車両に搭載されたバッテリ等の電源装置(図示せず)に接続されている。
【0027】
導光体63は、断面が略円形に形成され、可撓性を有する長尺状(棒状)の導光材料により構成されている。ここでいう「導光材料」とは、例えばアクリル系樹脂などの光を透過させる材料のことであり、その内部において光を導光可能な構成のものである。このような導光材料としては、例えば、公開特許公報である特開2005−306233や特開平6−75120号等に開示された公知の導光材料を使用することが可能である。
【0028】
図2に示すように、導光体63における長手方向の一端部(車両前側の端部)は、ケース70に取り付けられており、一端部側(LED61側)の端面63AがLED61の発光面61Aと対向して配されている。これにより、この一端部側の端面63Aは、LED61から出射された光が入射される光入射面(光入射部)とされる。なお、図1及び図2においては、図の左側が車両前側とされ、図の右側が車両後側とされる。
【0029】
また、ケース70は、LED61を収容するLED収容部71と、導光体63の一端部を固定する導光体固定部81から分割構成されている。LED収容部71は、略箱状をなしており、板状をなす導光体固定部81は、LED収容部71における車両後側の面を覆う形で配されている。導光体63の一端部(LED61側の端部)は、導光体固定部81に設けられた円筒部82内に挿通(嵌合)されることでLED61に対して位置決めがされている。このように、本実施形態においては、LED61と、導光体63と、ケース70とからLEDユニット60が構成されている。
【0030】
また、導光体固定部81には、加飾パネル41(より詳しくは後述する下側パネル50)側に向かって突出する突出部83が設けられている。この突出部83は、下側パネル50を構成する上端部51を車幅方向に貫通することで形成された貫通孔51Bに挿通されており、これにより、車両前後方向において、ケース70が加飾パネル41に対して位置決めされる。なお、ケース70(LED収容部71及び導光体固定部81)には、図示しない取付爪が形成されており、下側パネル50に形成された取付孔(図示せず)に嵌合されることで、下側パネル50に対して固定されている。
【0031】
導光体63の外周面63D(側面)は、例えば、フッ素系樹脂を被覆するなどの処理がなされており、導光体63の内部に導入された光を外部に向かって放出させる構成とされている。導光体63の端面63Aから入射された光は、導光体63内部で全反射を繰り返すことで導光された後、外周面63Dの全面から出射されることが可能となっている。これにより、導光体63全体が線状光源となり、その周囲を照らすことが可能となっている。つまり、導光体63の外周面63Dは、端面63Aから導光体63内部に入射された光を外部に出射させる光出射面(光出射部)とされる。
【0032】
本実施形態においては、図1に示すように、LED61(ケース70)は、加飾パネル41の車室内側において、車両前端部に配されている。また、インサイドハンドルベゼル32(ひいてはハンドル収容部30)と本体部12の被照射面22とは車両前後方向に沿って配列されている。そして、導光体63は、加飾パネル41の延設方向(車両前後方向)に沿う形で、ハンドル収容部30及び被照射面22の全長に亘って延びている。これにより、導光体63からの出射光によって、ハンドル収容部30及び被照射面22を、その全長に亘って照らすことが可能となっている。なお、ここで言う被照射面22とは、本体部12の車室内側の面において、車両用照明装置40(ひいては導光体63)からの光が照射される面(受光部)のことである。
【0033】
次に、加飾パネル41の構成について説明を行う。加飾パネル41は、図3及び図4に示すように、インサイドハンドル31及び本体部12の被照射面22の上方に配されている。加飾パネル41は、アッパーボード13において車室外側に凹む段差状をなす下端部13Aと、ベゼル32において車室外側に凹む段差状をなす上端部32Aとが重なることで形成された収容部(アッパーボード13とベゼル32との接合箇所)にその一部が収容される形で取り付けられている。
【0034】
加飾パネル41は、図1に示すように、車両前後方向に沿って延び、加飾パネル41の上部を構成する上側パネル42と、加飾パネル41の下部を構成する下側パネル50から分割構成されている。上側パネル42は、図3に示すように、車室外側(図3の右側)に向かうにつれて上方に湾曲する形状をなしている。また、下側パネル50は、上側パネル42とベゼル32(又は本体部12の被照射面22)との間に配置されている。
【0035】
上側パネル42における車室外側の面からは、図3に示すように、フランジ部43が延設されており、このフランジ部43には、略円筒状の取付ボス44が車室外側に向かって突設されている。一方、アッパーボード13の下端部13Aには、車幅方向に貫通された挿通孔13Bが、ベゼル32の上端部32Aには、車幅方向に貫通された挿通孔32Bが、それぞれ形成されている。また、下側パネル50の上端部51には車幅方向に貫通された挿通孔51Aが形成されている。
【0036】
挿通孔51A、挿通孔32B、挿通孔13Bには、取付ボス44が挿通可能とされる。また、取付ボス44には、車室外側に開口するビス取付孔44Aが、取付ボス44の中心軸に沿って形成されている。取付ボス44を車室内側から、挿通孔51A、挿通孔32B、挿通孔13Bの順に挿通させた後、ビス取付孔44Aに対して、ビス45を車室内側から挿通させることで、加飾パネル41(上側パネル42及び下側パネル50)が、アッパーボード13及びベゼル32に対して取り付けられる構成となっている。なお、取付ボス44、挿通孔51A、32B、13Bは、車両前後方向において複数個所に設けられている。
【0037】
また、図4に示すように、取付ボス44、挿通孔51A、13Bは、本体部12の被照射面22の上方にも設けられており、本体部12の上端部21には、取付ボス44が挿通可能な挿通孔21Aが形成されている。取付ボス44は、車室内側から挿通孔51A、挿通孔21A、挿通孔13Bの順に挿通された後、車室外側からビス45が挿通されることで固定されている。
【0038】
下側パネル50は、上述した上端部51の下端から車室内側に向かって略水平に延びる上壁部52と、上壁部52における車室内側の端部から下方に延びる側壁部53と、側壁部53における下端部から車室外側に向かって延びる下壁部54とを備えている。
【0039】
上壁部52の先端部52A(上壁部52において、ベゼル32の上壁部32Dよりも車室内側の部分)、側壁部53及び下壁部54によって、ベゼル32の上壁部32Dよりも車室内側へ突き出す形状をなす突出壁部55が形成されている。突出壁部55は、車室外側に開口された断面視略U字状をなすとともに、車両前後方向に沿って延びる形状をなしている。突出壁部55の内部(突出壁部55によって囲まれた空間)には、上述した長尺状の導光体63が突出壁部55の延設方向(車両前後方向)に沿って延びる形で収容されている。つまり、導光体63の外周面63D(光出射面)は、下側パネル50の長手方向に沿って延びる長手状をなしている。
【0040】
より具体的に説明すると、導光体63は、突出壁部55における車室外側の面(下側パネル50の突出端)に配されている。側壁部53は、導光体63を車室内側から覆う形で配されており、加飾パネル41における車室内側の面を構成している。また、下壁部54は、加飾パネル41における下側の面を構成するとともに、導光体63を下側から覆う形で配されている。また、下壁部54における車両前側の部分は、ベゼル32とともにハンドル収容部30を構成している。
【0041】
また、下側パネル50には、図3に示すように、導光体63を車室外側から押さえ付けて固定する導光体固定部材58(発光体固定部材)が取り付けられている。この導光体固定部材58は、例えば、下側パネル50の上端部に設けられた取付ボス(図示せず)に対して取り付けられる構成となっている。
【0042】
導光体固定部材58は、略板状をなし、導光体固定部材58における車室内側の端部は、導光体63に当接する当接部58Eとされる。導光体固定部材58(当接部58E)は、導光体63の延設方向(車両前後方向)に沿って延びる形状をなしており、導光体63をその長手方向に亘って車室外側から押さえ付ける構成となっている。
【0043】
当接部58Eにおいて、導光体63との対向面には導光体63の外周面63Dに対応して凹む凹部58Fが形成されている。この凹部58Fに導光体63の一部が嵌合する構成となっており、導光体63をより確実に固定可能となっている。以上説明したように、本実施形態においては、加飾パネル41(上側パネル42及び下側パネル50)、導光体63、導光体固定部材58が一体的に組み立てられており、ユニット化されている。
【0044】
下側パネル50の下壁部54は、その基端側が車室内側へ向かうにつれて下降傾斜する傾斜部54Aを有している。そして、傾斜部54Aの車室外側の端部(下端部)からは、導光体63から出射された光をハンドル収容部30内及び本体部12の被照射面22に投光可能とする投光部54Bが略水平に延びる形で設けられている。つまり、投光部54Bは、突出壁部55におけるインサイドハンドル31(又は本体部12の被照射面22)と対向する壁部(下壁部54)に設けられている。
【0045】
本実施形態において、下側パネル50は、光透過性の高い(透明度の高い)合成樹脂材料(例えばアクリルやポリカーボネート等)からなる基材57Aと、基材57Aにおける車室内側の面を覆う遮光層57Bから構成されている。投光部54Bは、基材57Aにおいて遮光層57Bが形成されていない箇所とされ、光を透過することで、ハンドル収容部30内(及び本体部12の被照射面22)に投光可能な構成とされる。言い換えると、投光部54Bは、加飾パネル41における車室外側の端部の少なくとも一部を光透過性の高い材質とすることで形成されており、下側パネル50と一体的に形成されている。
【0046】
なお、上述した遮光層57Bは、例えば、基材57Aの表面に遮光性を有する塗装を施したり、遮光性を有するフィルムを貼り付けたりすることなどで形成することができる。遮光層57Bの一例として、例えば、意匠性の高いメッキ塗装などを例示することができるが、これに限定されるものではない。遮光層57Bは遮光性を有するものであれば適宜変更可能である。
【0047】
図3に示すように、ハンドル収容部30付近においては、導光体63が下側パネル50において、投光部54Bよりも車室内側に配されている。また、導光体63は、インサイドハンドル31に対して、車室内外方向(図3及び図4の左右方向)において同じ位置に配されている。
【0048】
投光部54Bは、車両前後方向に沿って形成されており、ハンドル収容部30及び本体部12における被照射面22の上方に亘って延びる形で設けられている。これにより、導光体63から出射される線状の光によって、ハンドル収容部30及び本体部12における被照射面22をその全長に亘って照らすことが可能な構成とされる。
【0049】
言い換えると、投光部54Bは、導光体63(外周面63D)からの光をハンドル収容部30(第1被照射部)に投光可能とする第1投光部54B1と、本体部12における被照射面22(第2被照射部)に投光可能とする第2投光部54B2と、を備えている。なお、図1、図3〜図5においては、導光体63から第1投光部54B1を通じてハンドル収容部30に投光される光を光線L1で図示しており、導光体63から第2投光部54B2を通じて被照射面22に投光される光を光線L2、L3で図示してある。また、図4は、被照射面22における車両前側部分を示す断面図(図1のB−B線で切断した図)であり、図5は、被照射面22における車両後側部分を示す断面図(図1のC−C線で切断した図)である。
【0050】
本実施形態においては、図1に示すように、車両前側から、LED61(ケース70)、ハンドル収容部30、本体部12における被照射面22の順に配列されている。このため、第2投光部54B2は、車両前後方向(導光体63における外周面63Dの長手方向)において第1投光部54B1よりもLED61から遠い側に設けられている。
【0051】
図6に示すように、平面視(上から視た図)において、突出壁部55(加飾パネル41)は、その突出端(図6における下端)が被照射面22の下端縁23よりも車室内側に突出されている。そして、加飾パネル41の突出量は、車両後方(図6の右側)に向かう(光源から遠くなる)につれて小さくなっている。つまり、突出壁部55は、LED61から遠ざかるにつれて、被照射面22に向かって湾曲する形で延びている。
【0052】
導光体63は、突出壁部55の延設方向に沿う形でLED61から遠ざかるにつれて被照射面22に向かって湾曲する形状をなしている。これにより、導光体63と被照射面22とは、LED61から遠くなるにつれて(車両後方に向かうにつれて)接近する形で設けられている(図4及び図5参照)。なお、ここで言う「LED61から遠くなるにつれて導光体63と被照射面22とが接近する」とは、例えば、LED61から遠くなるにつれて導光体63と被照射面22との最短距離が短くなることを言う。
【0053】
第2投光部54B2は、図4に示すように、導光体63を下方から覆う形で配されている。また、本体部12における被照射面22は、図4及び図5に示すように、本体部12において導光体63(ひいては投光部54B)の下方に配される面とされ、車室内側に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面とされる。また、被照射面22は、水平方向に対する傾斜角度(図4及び図5において、それぞれD1、D2で示す)がLED61から遠ざかるにつれて小さくなっている。つまり、図4に示す傾斜角度D1よりも図5に示す傾斜角度D2が小さいものとされる。
【0054】
また、被照射面22は、図1に示すように、正面視において車両前後方向に延びる方形状をなし、その下端縁23が、LED61から遠ざかるにつれて上方(導光体63側)に向かう形で傾斜している。また、被照射面22の上端縁24(第2被照射部における上端縁)は、車両前後方向(被照射面22の延設方向)において、同じ高さで延びている。
【0055】
言い換えると、被照射面22は、車両後方に向かうにつれて上下方向の長さが小さくなる形状をなしている。なお、図4においては、被照射面22の上下方向の長さ(上端縁24と下端縁23の間の長さ)をT1で示し、図5においては、被照射面22の上下方向の長さをT2で示してあり、T2がT1より小さいものとされる。
【0056】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態においては、導光体63からの光によってハンドル収容部30及び本体部12における被照射面22を照らすことができる。これにより、ハンドル収容部30内の視認性を高くすることができるとともに、被照射面22の意匠性を高くすることができる。そして、本実施形態では、導光体63と被照射面22とが、LED61から遠くなるにつれて接近する形で設けられている。このため、被照射面22において、LED61から近い箇所(例えば、図4に示す箇所)よりも、LED61から遠い箇所(例えば、図5に示す箇所)をより明るく照らすことが可能となる。
【0057】
一般的に、導光体63から出射される光は、LED61から遠くなるにつれて暗く(輝度が低く)なる。このため、本実施形態のように、LED61、ハンドル収容部30、被照射面22の順に配列されている構成の場合、通常であれば、ハンドル収容部30、被照射面22におけるLED61から近い箇所、被照射面22におけるLED61から遠い箇所の順に暗くなるような照明効果となる。
【0058】
この点、本実施形態においては、ハンドル収容部30及び被照射面22におけるLED61から遠い箇所とを、被照射面22におけるLED61から近い箇所に比べて、それぞれ明るくすることができる。言い換えると、ハンドル収容部30と、被照射面22におけるLED61から遠い側の各々に対応して光源をそれぞれ配置した構成(光源を2つ備えた構成)と同じ作用を、1つの光源(LED61)のみ備える構成で実現することができる。これにより、意匠性の高い車両用照明装置40をより簡易な構成で実現できる。
【0059】
また、本実施形態においては、加飾パネル41は車室内側へ突き出す形状をなす突出壁部55を有し、突出壁部55は、導光体63の長手方向に沿うとともにLED61から遠ざかるにつれて被照射面22に向かって湾曲する形で延びており、導光体63は、突出壁部55における車室外側に配置されており、突出壁部55の延設方向に沿う形でLED61から遠ざかるにつれて被照射面22に向かって湾曲する形状をなしている。
【0060】
このように、導光体63をLED61から遠ざかるにつれて被照射面22に向かって湾曲する形状とすることで、導光体63と被照射面22とを、LED61から遠くなるにつれて接近させることができる。また、突出壁部55も、LED61から遠ざかるにつれて被照射面22に向かって湾曲する形で延びているため、この延設方向(湾曲形状)に沿って、導光体63を配置することで、容易に導光体63を湾曲させることができる。
【0061】
また、被照射面22は、導光体63に対して下方に配されるとともに、車室内側に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面とされ、被照射面22は、水平方向に対する傾斜角度がLED61から遠ざかるにつれて小さくなっている。
【0062】
本実施形態においては、被照射面22の水平方向に対する傾斜角度がLED61から遠ざかるにつれて小さくなるものとされる。本実施形態のように、被照射面22が車室内側に向かうにつれて下降傾斜する場合、導光体63から出射された後、被照射面22によって車室内側に反射される光は、水平方向に対する傾斜角度が小さい(水平に近い)程、上方に向かいやすくなる。この結果、乗客の目が被照射面22よりも上方に配されている場合においては、被照射面22におけるLED61から遠い箇所からの反射光が、乗客の目に到達しやすくなる。この結果、乗客に対して、被照射面22におけるLED61から遠い箇所をより明るく視認させることができる。
【0063】
また、本実施形態においては、被照射面22における上端縁24は、車両前後方向(被照射面22の延設方向)において同じ高さで配され、被照射面22における下端縁23は、LED61から遠ざかるにつれて、導光体63に向かう形で傾斜するものとされる。つまり、被照射面22は、LED61から遠ざかるにつれて、上下方向の長さが狭くなっている。
【0064】
このような構成とすれば、乗客に対して、被照射面22におけるLED61から遠い側(上下方向の長さがより短い部分)を、LED61から近い側(上下方向の長さがより短い部分)に比べて、より明るく視認させることができ、被照射面22におけるLED61から遠い側をより一層明るく見せることができる。
【0065】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば、次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0066】
(1)上記実施形態においては、車両用照明装置40が設けられる車両用内装材として車両用ドアトリム10を例示したが、これに限定されない。車両用内装材としては、例えば、クォータトリム、デッキサイドトリムなどを挙げることができる。
【0067】
(2)パネル部材は、加飾パネル41に限定されない。パネル部材として、例えばアッパーボード13などを例示することも可能である。
【0068】
(3)上記実施形態においては、第1被照射部としてハンドル収容部30を例示し、第2被照射部として本体部12における被照射面22を例示したが、これに限定されない。第1被照射部及び第2被照射部としては、車両用内装材に設けられるものであれば適宜変更可能であり、例えば、スイッチベースやドアポケットなどを例示することができる。
【0069】
(4)上記実施形態では、光源としてLED61を例示したが、これに限定されない。光源としては、LED以外にも、例えば、白熱電球(バルブ)、蛍光管、ハロゲンランプなど、様々な種類の光源を使用することができる。
【0070】
(5)上記実施形態においては、加飾パネル41の一部(下側パネル50)を光透過性の高い部材とすることで投光部54B(第1投光部54B1及び第2投光部54B2)を形成したが、この構成に限定されない。投光部54Bは、導光体63からの光をハンドル収容部30、又は本体部12における被照射面22に投光可能な構成のものであればよい。例えば、下側パネル50に光を通過可能な貫通孔を形成し、これを投光部としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…車両用ドアトリム(車両用内装材)、22…被照射面(第2被照射部)、23…被照射面における下端縁(第2被照射部における下端縁)、24…被照射面における上端縁(第2被照射部における上端縁)、30…ハンドル収容部(第1被照射部)、40…車両用照明装置、41…加飾パネル(パネル部材)、54B1…第1投光部、54B2…第2投光部、55…突出壁部、61…LED(光源)、63…導光体、63A…導光体の端面(光入射部)、63D…導光体の外周面(光出射部)、D1,D2…第2被照射部の水平方向に対する傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用内装材に設けられ、前記車両用内装材が備える第1被照射部及び第2被照射部を照らすことが可能な車両用照明装置であって、
光源と、
長手状をなし、前記車両用内装材の少なくとも一部を構成するパネル部材と、
前記光源からの光が入射される光入射部と、前記パネル部材の長手方向に沿って延びるとともに前記光入射部から入射された光を出射させる光出射部と、を有し、前記パネル部材に設けられる導光体と、
前記パネル部材に設けられ、前記光出射部からの光を前記第1被照射部に投光可能とする第1投光部と、
前記パネル部材において、前記第1投光部よりも前記光源から遠い側に設けられ、前記光出射部からの光を前記第2被照射部に投光可能とする第2投光部と、を備え、
前記第2投光部及び前記第2被照射部は、それぞれ前記光出射部の長手方向に沿って延び、
前記導光体と前記第2被照射部とは、前記光源から遠くなるにつれて接近する形で設けられていることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記パネル部材は、車室内側へ突き出す形状をなす突出壁部を有し、
前記突出壁部は、前記導光体の長手方向に沿うとともに前記光源から遠ざかるにつれて前記第2被照射部に向かって湾曲する形で延びており、
前記導光体は、前記突出壁部における車室外側に配置されており、前記突出壁部の延設方向に沿う形で前記光源から遠ざかるにつれて前記第2被照射部に向かって湾曲する形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記第2被照射部は、前記導光体の下方に配されるとともに、車室内側に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面とされ、
前記第2被照射部は、水平方向に対する傾斜角度が前記光源から遠ざかるにつれて小さくなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記第2被照射部は、前記導光体の下方に配されるとともに、車室内側に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面とされ、
前記第2被照射部における上端縁は、前記第2被照射部の延設方向に亘って同じ高さで配され、
前記第2被照射部における下端縁は、前記光源から遠ざかるにつれて、前記導光体に向かう形で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−86532(P2013−86532A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225767(P2011−225767)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【上記1名の代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
【Fターム(参考)】