説明

車両用空調システム

【課題】 本発明の目的は、通常の車両使用時でも有用に機能する車両用空調システムとすると共に、危機的な状態でも有用性を発揮することができることにより、全体としてコストパフォーマンスの高い車両用空調システムを提供することにある。
【解決手段】 車両内部の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段としての第1酸素センサ10及び第2酸素センサ11を設け、この第1酸素センサ10、第2酸素センサ11の情報に基づき酸素濃度に応じ判断を行う制御手段としての制御部20が設けられており、この制御部20に基づき動作する警告手段30及び、空調手段40を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の空調システムに関するもので、特に酸素濃度に応じた空調システムの制御及び、乗員に対する車室内の状況を伝える車両用空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の異常を検出して危険通知処置を行うシステムとして色々な異常状態検出手段を用い危険を判断し、通知及び処置を行うシステムが考えられている。
【0003】
例えば、異常検出手段として温度センサ、煙センサを用い、これらの情報から制御部により危険を判断し、乗員への通知手段、通報手段、周囲への通知手段、処置手段を制御するものや、水没センサを用い、前記と同様な手段を制御するもの、又は生物検出手段、生命危機状態検出手段を用い、前記と同様な手段を制御するものが考えられている。
【特許文献1】特開2006−23862
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のシステムは乗員の危機的状況を判断し制御、処置を行うもので、通常の使用では用いられることがなく、一般のユーザにとっては、高価であるが有用なシステムとは言えなかった。
【0005】
本発明は、上記のような従来の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、通常の車両使用時でも有用に機能する車両用空調システムとすると共に、危機的な状態でも有用性を発揮することができることにより、全体としてコストパフォーマンスの高い車両用空調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本件発明の請求項1に記載の発明は、車両内部の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段と、酸素濃度検出手段からの酸素濃度の情報に基づき判断を行う制御手段と、制御手段に基づき動作する警告手段及び、空調手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2発明は、請求項1記載の車両用空調システムにおいて、警告手段は、乗員に対する警告ブザー又は、警告メッセージであることを特徴とする。
【0008】
請求項3発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両用空調システムにおいて、空調手段は、ブロアモータ及び、内外気切替えダンパであることを特徴とする。
【0009】
請求項4発明は、請求項1乃至請求項3に記載の車両用空調システムにおいて、外部に車両の状態を通報する通報手段を更に有することを特徴とする。
【0010】
請求項5発明は、請求項4に記載の車両用空調システムにおいて、通報手段は、車載の電話装置又は、通信装置であることを特徴とする。
【0011】
請求項6発明は、請求項4に記載の車両用空調システムにおいて、通報手段は、ハザードランプを点滅させて車両の状態を車両の周囲に通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本件発明によれば、車両内部の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段と、前記酸素濃度検出手段からの酸素濃度の情報に基づき判断を行う制御手段と、前記制御手段に基づき動作する警告手段及び、空調手段を設けたことにより通常の車両使用時でも有用に機能する車両用空調システムであると共に、危機的な状態でも有用性を発揮することができることにより、全体としてコストパフォーマンスの高い車両用空調システムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0014】
本発明の警告手段としては、乗員に対する警告音として警告ブザーのみでもよく、「酸素濃度が低下しています。」、「換気を行ってください。」等の、警告メッセージでも良い。また、両方の警告を同時に行うことにより、乗員への警告の内容を確実に伝えることができる。
【0015】
制御手段の判断に基づき動作させる空調手段としては、外気を車室内に導くために、少なくともブロアモータのONと、内外気切替えダンパの外気側開とすればよく、車室内の酸素濃度が低下した場合に、確実に酸素濃度を増加させることができる。このとき、外気の酸素濃度を高めるために、酸素富化膜により酸素濃度を高めたものを導入するような構成としても良い。
【0016】
また、酸素濃度の状態に応じ、外部に車両の状態を通報する通報手段を設けても良く、この通報手段としては、車載の電話装置又は、これ以外の社外と無線又は赤外線、可視光等で情報の伝達を行うことが可能な通信装置により、車両の状態を伝達するような構成としても良い。さらに、通報手段としては、単に車両の周囲に車両の異常を示す手段として、ハザードランプを点滅するような構成としても良く、ヘッドランプ、ブレーキランプを単独又は、連動して点灯させるか、点滅させる構成としても良い。
【実施例】
【0017】
次に、本件発明の実施の形態について、図を参照して説明を行う。図1に本実施形態の車両用空調システムの構成を示すブロック図、図2に本実施形態の車両用空調システムの動作を示すフローチャートを示す。
【0018】
図1の本実施形態の車両用空調システムは、空調のダクト内に設けられた酸素濃度検出手段としての第1酸素センサ10と、前席の足元に設けられた内気吸入口内に設けられた第2酸素センサ11を有している。この第1酸素センサ10と第2酸素センサ11の出力は制御部20に入力される。これらの酸素センサのデータに基づき、酸素濃度が低下していると判断した場合は、制御部の判断基準に基づき各種の装置を動作させる。
【0019】
初めに、第1酸素センサ10及び第2酸素センサ11の出力に基づき制御部20での判断の結果、酸素濃度が18%〜16%程度(第1段階)と判断された場合は、警告手段30としての警告ブザー31及び警告メッセージ32に出力がなされ、予め設定された警告音(ブザー音)及び、「酸素濃度が低下しています。」又は、「換気を行ってください。」などのメッセージを発するように設定されている。
【0020】
次に制御部20での判断の結果、酸素濃度が16%〜12%程度(第2段階)と判断された場合は、警告手段30としての警告ブザー31及び警告メッセージ32に出力がなされ、酸素濃度が18%〜16%程度(第1段階)と異なり緊急度を増すため短いか間隔でブザー音を発すると共に、「酸素濃度が低下」又は「換気注意」などの短いメッセージを繰り返すように設定されている。また、空調手段40に出力がなされ、内外気切替えダンパ42が外気側開に、ブロアモータ41がOFFになっている場合はONに切替えられる。これにより外気が積極的に取入れられ、車室内酸素濃度の低下を防ぐことができる。このとき、酸素濃度を積極的に高める手段として、酸素富化膜により酸素濃度を高める構成を設けても良い。また、市販されている携帯用の酸素供給器を取付け、酸素を供給するような構成としても良い。
【0021】
更に制御部20での判断結果、酸素濃度が12%以下(第3段階)と判断された場合は、警告手段30としての警告ブザー31及び警告メッセージ32に出力がなされ、酸素濃度が16%〜12%程度(第2段階)よりも更に緊急度を増すため更に短いか間隔でブザー音を発すると共に、「酸素濃度低下」又は「退避」などの更に短いメッセージを繰り返すように設定されている。同時に外部に対する通報を行う通報手段50としての電話装置51により救急への通報が行われる。このとき、電話装置51に設けられたGPS又は、カーナビのGPSのデータに基づき、車両の現在位置情報も同時に発信される。また、通報手段50としてのハザードランプ52を点滅させることにより、車両の周囲に車両の異常状態を通報するようになっている。さらに、パワーウインド60が開き救急の処置を容易に行えるようになっている。
【0022】
次に、図2の本実施形態の車両用空調システムの動作を示すフローチャートにより、判断のフローを説明する。
【0023】
始めに、ステップS201で酸素濃度が18%以下と判断された場合は、ステップS202に移行し、酸素濃度が16%以下か否かが判断される。酸素濃度が16%より高いと判断された場合(第1段階)は、ステップS208により、第1段階の警告音(ブザー音)及び警告メッセージは発せられ、乗員に警告を行い処理を終了する。
【0024】
次に、酸素濃度が16%以下と判断された場合は、ステップS203に移行し、酸素濃度が12%以下か否かが判断される。酸素濃度が12%より高いと判断された場合(第2段階)は、ステップS209により前記第1段階より短い警告音(ブザー音)及び警告メッセージが発せられ乗員に警告を行い、ステップS210により内外気切替えダンパ42が外気側に切替えられる。更に、ステップS211によりブロアモータがOFFになっている場合はONに切替えられ処理を終了する。
【0025】
更に、酸素濃度が12%以下と判断された場合は、車両が危険な状態(第3段階)と判断し、ステップS204により前記第2段階より更に短い警告音(ブザー音)及び警告メッセージは発せられ、乗員に警告すると共に、ステップS205により車両の位置情報と共に救急への通報が通報手段50としての電話装置51より行われる。次に、ステップS206により通報手段50としてのハザードランプ52を点滅させ、ステップS207でパワーウインド60が開く。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態の車両用空調システムの構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態の車両用空調システムの動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0027】
10…第1酸素センサ
11…第2酸素センサ
20…制御部
30…警告手段
31…警告ブザー
32…警告メッセージ
40…空調手段
41…ブロアモータ
42…内外気切替えダンパ
50…通報手段
51…電話装置
52…ハザードランプ
60…パワーウインド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内部の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段と、
前記酸素濃度検出手段からの酸素濃度の情報に基づき判断を行う制御手段と、
前記制御手段に基づき動作する警告手段及び、空調手段を設けたことを特徴とする車両用空調システム。
【請求項2】
前記警告手段は、乗員に対する警告ブザー又は、警告メッセージであることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調システム。
【請求項3】
前記空調手段は、ブロアモータ及び、内外気切替えダンパであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用空調システム。
【請求項4】
外部に車両の状態を通報する通報手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両用空調システム。
【請求項5】
前記通報手段は、車載の電話装置又は、通信装置であることを特徴とする請求項4に記載の車両用空調システム。
【請求項6】
前記通報手段は、ハザードランプを点滅させて車両の状態を車両の周囲に通知することを特徴とする請求項4に記載の車両用空調システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−81072(P2008−81072A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266407(P2006−266407)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】