説明

車両用空調ユニットの空調ユニット本体及び車両用空調ユニット

【課題】 乗員側から操作・利用可能な機器・器具を収納することのできる設置スペースを確保し、冷却用熱交換器から垂下したドレン水のブロアユニット部への浸入を防止し、更には、冷却用熱交換器に溜まるドレン水量を減少して冷却用熱交換器から風下側へドレン水が飛び上がるのを防止する。
【解決手段】 冷却用熱交換器8を、車両上下方向の上端部よりも下端部が車両進行方向の前方に位置するように30度から60度の確度で傾倒させて配置することで、空調ユニット本体3の車両進行方向のうちの後方側隅部位を斜めにカットすると共に、この冷却用熱交換器8の風下側通風面と、エアミックスドア10のうちの温風ドア10Aと、ファイヤーウォール4と対峙する側面部4Bとで、その頂部が冷風通路25と連続する三角形状の空域を画成し、空気取入口7をユニットケース11の側面部11B’のうち傾斜面部11Dの高位側に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車両に搭載されるセミ一体型縦置形式の車両用空調ユニットの特に空調ユニット本体の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用のセミ一体型縦置形式の空調ユニットにおいて、車両の前後方向の幅を圧縮するために、ユニットケースの側部の最下部側にブロアユニット部から空気が送り込まれる空気取入口が開口し、この空気取入口よりも上方に、傾倒した状態でエバポレータが収納され、更に、このエバポレータの上方に、略横倒しの状態でヒータコアが収納された構造とすることで、ブロアユニット部からの風を空調ユニット本体に対し下から入れて上に向けて流れるようにしたものは既に公知となっている(例えば、特許文献1及び2を参照。)。
【特許文献1】特開2001−39144号公報
【特許文献2】特開平10−244820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の発明では、エバポレータを車両進行方向の後方側(車室内側)が下端部となるように傾倒して配置されていると共に、ヒータコアもエンジンルーム側に寄った位置に配置されている。このため、近年において、カップホルダー、灰皿、オーディオ機器等をセンターコンソールの下方にて車室内側に引出し可能に収納することを望む傾向があるところ、センターコンソールの下方域には、エバポレータの下端部が存するので、これらカップホルダー等の搭載に必要な空間をコンソール内に確保することができないという不具合を有する。
【0004】
また、特許文献1及び特許文献2に記載の発明では、空気取入口の下縁がユニットケースの底面部に略沿うように開口し、しかも特許文献2では傾斜面部の下位側にて開口しているので、エバポレータから垂下したドレン水が、ユニットケースの底面部上を車両上下方向或いは車両幅方向に沿って流動して、空気取入口からブロアユニット部内に浸入するという不具合を生ずる。
【0005】
更に、特許文献1及び特許文献2に記載の発明では、エバポレータとその上方に位置するエアミックスドアとの距離が比較的短いと、エバポレータにドレン水が溜まることにより、当該エバポレータから風下側にドレン水が飛び上がり、その結果、エアミックスドアを通過して空気流通部領域、更には吹出用開口部にまでドレン水が達するという不都合も有する。
【0006】
そこで、本発明は、乗員側から操作・利用可能な機器・器具を収納することのできる設置スペースを得ることができ、冷却用熱交換器から垂下したドレン水のブロアユニット部への浸入を防止し、更には、冷却用熱交換器から風下側へのドレン水が飛び上がるのを防止することができる車両用空調ユニットの空調ユニット本体及び車両用空調ユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用空調ユニットの空調ユニット本体は、別体より成るブロアユニット部から空気取入口を介して送られてきた空気を冷却する冷却用熱交換器、この冷却用熱交換器で冷却された空気を再加熱する加熱用熱交換器、及び前記冷却用熱交換器と前記加熱用熱交換器との間に配置されて前記加熱用熱交換器に送られる空気とバイパスする空気との割合を調整するエアミックスドアをユニットケース内に収納して構成され、前記加熱用熱交換器について、前記冷却用熱交換器よりも車両上方にあって通風面が車両進行方向に沿うように配置すると共に、前記冷却用熱交換器について、車両上下方向の上端部よりも下端部が車両進行方向の前方に位置するように傾倒させて配置したことを特徴としている(請求項1)。ブロアユニット部と空調ユニット本体とは車両幅方向に沿ってオフセットで配置されている。また、デフロスト吹出用開口部とベント吹出用開口部とは、ユニットケースの上面部に開口している。更に、ユニットケースのファイヤーウォール側の側面部は、当該ファイヤーウォールに近接して空調ユニット本体を配置することが可能なように車両上下方向に略垂直的に立設したものとなっている。
【0008】
本発明に係る車両用空調ユニットの空調ユニット本体について、前記エアミックスドアは、前記加熱用熱交換器の風上側に配されて、前記加熱用熱交換器に送られる空気量を調整する温風ドアと、冷風通路に配されて、前記加熱用熱交換器をバイパスする空気量を調整する冷風ドアとから成り、前記温風ドアが前記加熱用熱交換器の風上側を閉塞する際には、前記冷却用熱交換器の風下側通風面と、前記温風ドアと、前記ユニットケースの側面部とで略三角形状の空間が画成され、この略三角形状の空間の頂部と前記冷風通路とが連続していることを特徴としている(請求項2)。
【0009】
また、本発明に係る車両用空調ユニットの空調ユニット本体について、前記ユニットケースは、前記冷却用熱交換器の風上側で且つ傾倒方向の下端部側よりも車両下方となる底面部に、ドレン水排出口部が形成されていると共に、前記冷却用熱交換器の風上側で且つ前記ドレン水排出口部から当該冷却用熱交換器に対し車両進行方向の後方に向けて相対的に離れた側の側面部に、前記空気取入口が開口していることを特徴としている(請求項3)。
【0010】
更にまた、本発明に係る車両用空調ユニットの空調ユニット本体は、前記冷却用熱交換器の傾倒角度を30度から60度までとしていることを特徴としている(請求項4)。尚、冷却用熱交換器の最も理想的な傾倒角度は45度である。
【0011】
その一方で、本発明に係る車両用空調ユニットは、送風機が収納されたブロアユニット部と請求項1乃至4のいずれかに記載の空調ユニット本体とを連接して構成され、前記ブロアユニット部は、スクロール状のユニットケースの巻回始端部を前記冷却用熱交換器の傾倒方向に対し下端部側に位置させると共に前記ユニットケースの巻回終端部を前記冷却用熱交換器の傾倒方向に対し上端部側に位置させていることを特徴としている(請求項5)。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、空調ユニット本体に対しブロアユニット部を車両前後方向に突出しないように配置でき、空調ユニット本体も、ブロアユニット部からの空気について、空調ユニット本体に対し下(空気取入口)から入れて上(吹出用開口部)に向けて流れる構造が維持され、しかも、ユニットケースのファイヤーウォール側の側面部を車両上下方向に略垂直的に立設することでファイヤーウォールに近接して配置することができるので、車両用空調ユニット全体として見てもその車両前後方向の幅を相対的に縮めることができ、車両用空調ユニット内の無駄空間を解消することができる。
【0013】
そして、この発明によれば、冷却用熱交換器について車両上下方向の上端部よりも下端部が車両進行方向の前方に位置するように傾倒させて配置させることにより、空調ユニット本体の車両進行方向のうちの後方側隅部位を斜めにカットすることができるので、カップホルダー等の車室内側から操作・利用する機器・器具等を設置するために、前記カットで生じた空間を利用することが可能である。また、この発明によれば、インストルメントパネルはその下端を車室内床面に達するまで延設することが困難なところ、空調ユニット本体の車両進行方向のうちの後方側隅部位を斜めにカットすることで、空調ユニット本体がインストルメントパネルの下方から見え難くなるので、車両としての見栄えを良くすることができる。
【0014】
特に、請求項2に記載の発明によれば、加熱用熱交換器を通過する空気と加熱用熱交換器をバイパスする空気とについて、各々温風ドアと冷風ドアとを用いてその風量を独立制御できるので、きめこまやかな吹出空気の温度制御が可能である。また、請求項2に記載の発明によれば、冷却用熱交換器の風下側面から冷風通路の入口への通風面積の縮小率を緩やかなものとすることができると共に、加熱用熱交換器の風上側を閉塞した状態の温風ドアとユニットケースのファイヤーウォール側の側面部とがエアガイドとなって円滑に空気を冷風通路に送ることができるので、フルクールモード時においても、通気抵抗の減少、フルクールモード時の大風量の確保及び騒音の低減を図ることが可能である。
【0015】
特に請求項3に記載の発明によれば、空調ユニット本体の車両進行方向のうちの後方側隅部位を斜めにカットすることによりユニットケースの冷却用熱交換器の風上側通風面と対峙する部位が傾斜面部となるところ、この傾斜面部の傾斜方向最下端側にドレン水排出口部が配置されるので、冷却用熱交換器の下方からドレン水が前記傾斜面部上に垂下した後、ドレン水排出口部から排出される。このため、冷却用熱交換器の風下側にドレン水が溜まることを回避できるので、ドレン水が風圧で風下側に飛び上がるのを防止することが可能となる。また、空気取入口は、側面部のうち傾斜面部の傾斜方向高位側に形成されるので、冷却用熱交換器から垂下したドレン水が空気取入口側を介してブロアユニット部に浸入するのを防止することができる。
【0016】
特に、請求項4に記載の発明によれば、冷却用熱交換器を略水平に近い状態で設置した場合のように空気取入口の開口面積を大きく取れないことを回避することができると共に、冷却用熱交換器を略鉛直方向に沿って立設するのに近い状態で設置した場合のように、空気取入口から冷却用熱交換器を空気が通過する際に当該空気の流れに曲がりが生じて通気抵抗が生ずるのを防止することができる。
【0017】
特に、請求項5に記載の発明によれば、傾倒した冷却用熱交換器の傾倒方向上端側近傍部位では、ブロアユニット部のスクロール部終端側からの空気の主流が通過すると共に、傾倒した冷却用熱交換器の傾倒方向下端側近傍部位では、前記主流からずれた相対的に風速の遅いスクロール部始端側からの空気が通過する。このため、冷却用熱交換器の傾倒方向の下端部側に向けてドレン水が垂下するにあたり、このドレン水の垂下が当該冷却用熱交換器の下方からの風圧により妨げられるのを防止して、ドレン水の垂下の効率を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態を図面により説明する。
【0019】
図1から図3に示される空調ユニット1は、例えば車両に搭載されるセミ一体型縦置形式のもので、図1、図2に示されるように、ブロアユニット部2と空調ユニット本体3とで基本的に構成されており、このブロワユニット部2と空調ユニット本体3とはファイヤーウォール4に沿って車両幅方向にオフセットで並設されており、後述する空気取入口7を介して連通されている。
【0020】
このうち、ブロアユニット部2は、例えば助手席の足元に位置するインストルメントパネル奥に配置されているもので、図1に示されるように、内気導入口5と外気導入口(図示せず)とが適宜開口され、この内気導入口5から導入する空気と外気導入口から導入する空気とを適宜選択するための内外気切換ドア(図示せず)と送風機6とがユニットケース2Aに収納されたものである。送風機6は、この実施形態では、遠心式多翼ファン(シロッコファン)と称されるファン6Aと、このファン6Aを駆動するモータ6Bとから構成されている。
【0021】
これに対し、空調ユニット本体3は、車両の幅方向の中央に位置するセンターコンソールの奥側に配置されるもので、図3に示されるように、前記送風機6により送られてきた空気を冷却するエバポレータ等の冷却用熱交換器8、この冷却用熱交換器8で冷却された空気を再加熱するヒータコア等の加熱用熱交換器9、及び冷却用熱交換器8と加熱用熱交換器9との間に配置されて加熱用熱交換器9に送られる空気とバイパスする空気との割合を調整するエアミックスドア10(10A、10B)をユニットケース11内に収納している。前記冷却用熱交換器8は、膨張装置12や図示しない圧縮機等と配管13、14を介して適宜接続されて冷凍サイクルを構成している。
【0022】
そして、空調ユニット本体3の下流側において、図3に示されるように、ベント吹出用開口部16、デフロスト吹出用開口部17及びフット吹出用開口部18が、ユニットケース11の上面部11Aに適宜開口している。前記吹出用開口部16、17、18は、その開口部周縁近傍に当該開口部16、17、18を適宜開閉する吹出モード切換ドア19、20、21が揺動可能に配置されている。
【0023】
ところで、冷却用熱交換器8は、図3に示されるように、車両上下方向の上端部よりも下端部が車両進行方向の前方側に位置するように傾倒した状態で配置されているもので、この傾倒確度は、空気取入口7の開口面積を大きく取れるようにしつつ、この空気取入口7から冷却用熱交換器8を通過した空気が更に下流側に向かうにあたり当該空気の流れに大きな曲がりが生じて通気抵抗が生ずるのを防止する必要性から、30度から60度までの範囲であり、更に理想的には45度である。
【0024】
これにより、空調ユニット本体3について、車両進行方向の後方下隅部を、図3の破線のようにカットすることができ、このカットにより生じた空間Sについて、カップホルダー、灰皿、オーディオ機器等を搭載するために用いることができる。また、インストルメントパネルの下端がある程度短くても、空調ユニット本体3の車両進行方向の後方下隅部をカットしたことから、当該空調ユニット本体3の下部がインストルメントパネルの下方から見えてしまうことを防止することができ、空調ユニット1としての見栄えを向上することができる。
【0025】
そして、空間Sと空調ユニット本体3内とを仕切るための傾斜面部11Dが、車両進行方向の奥側に向かうに従い上方に傾斜するように形成されているところ、この傾斜面部11Dの傾斜方向の最下端側となる底面部11Cにドレン水排出口部22が形成されている。これにより、冷却用熱交換器8により生じたドレン水は、当該冷却用熱交換器8が傾倒しているので風上側通風面に沿ってある程度流れた後、重力に従って傾斜面部11D上に垂下し、更に傾斜面部11D上を下方に流れてドレン水排出口部22から外部に効率良好く排出される。このため、冷却用熱交換器8の特に風下側にドレン水が溜まるのを防止することができる。
【0026】
空気取入口7は、側面部11B’のうち、冷却用熱交換器8の風下側通風面よりも相対的に下方であって、且つ前記傾斜面部11Dの傾斜方向の上位側となる部位に形成されている。この空気取入口7の車両進行方向幅は、その車両進行方向の前方側縁が上述の冷却用熱交換器8からドレン水が垂下する領域にかからないものとなっている。これにより、冷却用熱交換器8から垂下したドレン水が空気取入口7側を介してブロアユニット部2内に浸入するのを防止することができる。
【0027】
加熱用熱交換器9は、この実施形態では、車両進行方向の後方に寄った位置において、通風面が車両進行方向に沿うように水平方向に設置されているが、通風面の多少の車両の上下方向への傾斜は許容される。
【0028】
そして、この加熱用熱交換器9の風上側には前記エアミックスドア10のうちの温風ドア10Aが配置されていると共に、加熱用熱交換器9が車両進行方向の後方に寄って配置されることで車両進行方向の前方側に形成された冷風通路25上には冷風ドア10Bが配置されている。この温風ドア10A、冷風ドア10Bの構造は、特に図3に示すバタフライ式のものに限定されず、スライドドア式のもの等であっても良い。しかるに、この加熱用熱交換器9とエアミックスドア10、特に冷風ドア10Bとの配置により、冷却用熱交換器8からエアミックスドア10までの距離を相対的に大きく取ることができるので、冷却用熱交換器8からドレン水が風下側に飛び上がるのを防止することができる。
【0029】
更に、加熱用熱交換器9の下流側には、冷風通路25の下流側に温風を案内するエアガイド26を設けることで、温風通路24が形成されている。このエアガイド26は、加熱用熱交換器9とは反対側面にて混合空気をフット吹出用開口部18側に案内する役割も有する。そして、この冷風通路25と温風通路24との合流側よりも車両上方には、前記吹出モード切換ドア19、20、21が配置された空気流通部(ディストリービューション部)27が配置されている。この空気流通部27の領域も、加熱用熱交換器9を水平方向に設置したことで加熱用熱交換器9を立設した場合に比し相対的に大きく採られている。
【0030】
ユニットケース11のファイヤーウォール4側の側面部11Bは、ファイヤーウォール4の上下方向に沿って略垂直方向に立設されていると共に、この側面部11Bの外面に膨張装置12を配置し、更に膨張装置12から外部に延びる配管13、14をファイヤーウォール4の開口部4Aよりエンジンルーム側に引き出すことにより、空調ユニット本体3をファイヤーウォール4に近接させて車両に搭載することができる。これにより、空調ユニット本体3の搭載時において、車両前後方向の無駄な空間を解消することができる。尚、ユニットケース11内の配管13、14は、図1に示されるように、車両幅方向から見て冷却用熱交換器8の通風面から略外れた位置で引き回され、且つ図3に示されるように、車両前後方向から見ても冷却用熱交換器8の通風面から略外れた位置で引き回されていることから、空気の主流部分からは外れており、配管13、14が通気抵抗となることはないし、配管13、14の表面に生じた結露水が風圧で風下側に飛ぶこともない。
【0031】
そして、温風ドア10Aを、加熱用熱交換器9の閉塞時において、車両進行方向の前方側が上方を向くように傾斜した状態とすることにより、前記冷却用熱交換器8の風下側通風面と、加熱用熱交換器9の閉塞時の温風ドア10A(及びその延長線)と、ファイヤーウォール4と対峙した側面部11Bとで、図3に示されるように略三角形状の空域が画成され、この三角形状の空域の頂部は、冷風通路25と連続している。尚、この三角形状の形は各辺に多少の凹凸を有していても良い。
【0032】
これにより、冷却用熱交換器8の風下側通風面から冷風通路25の入口への通風面積の縮小率を緩やかなものとすることができると共に、加熱用熱交換器9の風上側を閉塞した状態の温風ドア10Aとファイヤーウォール4側の側面部11Bとがエアガイドとなって円滑に空気を冷風通路25に送ることが可能なので、フルクールモード時においても、通気抵抗の減少を図ると共に、当該フルクールモード時での大風量の確保及び騒音の低減を図ることができる。
【0033】
しかも、この空調ユニット本体3の構成においても、ブロアユニット部2からの空気は、ユニットケース11に対し相対的に下側に位置する空気取入口7から取り入れて、相対的に上側に位置する吹出用開口部16、17、18に向けて、車両上下方向に沿って流れるので、無駄な空気の通路の画成を不要とし、車両の前後方向に沿った幅を狭めることができる。更には、この空気の流れにおいて、冷風通路25とデフロスト吹出用開口部17とが車両上下方向において略直線的な位置にあるので、冷風の流れが円滑となり、空気抵抗を減少させることもできる。
【0034】
そして、ブロアユニット部2は、図2に示されるように、スクロール状のユニットケース2Aの巻回始端部23Aを前記冷却用熱交換器8の傾倒方向に対し下端部側に位置させると共にユニットケース2Aの巻回終端部23Bを冷却用熱交換器8の傾倒方向に対し上端部側に位置させたものとなっている。これにより、冷却用熱交換器3の上端部側の近傍部位では、ブロアユニット部2のユニットケース2Aの巻回終端部23B側からの空気の主流部分が通過すると共に、冷却用熱交換器8の下端部側の近傍部位では、主流部分からずれた相対的に風速の遅いユニットケース2Aの巻回始端部23A側からの空気が通過する。よって、冷却用熱交換器8の傾倒方向の下端部側に向けてドレン水が垂下するにあたり、このドレン水の垂下が冷却用熱交換器8の空気主流部分による風圧で上方に押し上げられるのを防止するので、ドレン水の垂下をより一層効率良くすることができる。
【0035】
また、空気取入口7は、図3に示されるように、車両進行方向の後方側で開口面積が広く、車両進行方向の前方で開口面積が狭く形成されている。これに伴い、上記した構成のブロワユニット部2との関係によれば、ユニットケース2Aの巻回始端部23A側で開口面積が大きく、ユニットケース2Aの巻回終端部23B側で開口面積が小さくなるので、ユニットケース2Aの巻回始端部23A側の空気の主流部分は、空気取入口7のうち車両進行方向の後方側の開口面積が相対的に大きな側を相対的に小さな圧力損失で通過できる。よって、ブロワユニット部2から空調ユニット本体3への空気量を増加することができるので、空調ユニット1の性能の向上を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、この発明に係る車両用空調ユニットを正面から見た状態の簡略図である。
【図2】図2は、同上の車両用空調ユニットを上方から見た状態の簡略図である。
【図3】図3は、同上の車両用空調ユニットの空調ユニット本体の断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 車両用空調ユニット
2 ブロアユニット部
2A スクロール状のユニットケース
3 空調ユニット本体
4 ファイヤーウォール
4A 開口部
6 送風機
7 空気取入口
8 冷却用熱交換器
9 加熱用熱交換器
10 エアミックスドア
10A 温風ドア
10B 冷風ドア
11 ユニットケース
11A 上面部
11B 側面部
11B’ 側面部
11C 底面部
11D 傾斜面部
12 膨張装置
13 配管
14 配管
16 ベント吹出用開口部
17 デフロスト吹出用開口部
18 フット吹出用開口部
22 ドレン水排出口部
23A 巻回始端部
23B 巻回終端部
25 冷風通路
27 空気流通部
S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
別体より成るブロアユニット部から空気取入口を介して送られてきた空気を冷却する冷却用熱交換器、この冷却用熱交換器で冷却された空気を再加熱する加熱用熱交換器、及び前記冷却用熱交換器と前記加熱用熱交換器との間に配置されて前記加熱用熱交換器に送られる空気とバイパスする空気との割合を調整するエアミックスドアをユニットケース内に収納して構成され、
前記加熱用熱交換器について、前記冷却用熱交換器よりも車両上方にあって通風面が車両進行方向に沿うように配置すると共に、
前記冷却用熱交換器について、車両上下方向の上端部よりも下端部が車両進行方向の前方に位置するように傾倒させて配置したことを特徴とする車両用空調ユニットの空調ユニット本体。
【請求項2】
前記エアミックスドアは、前記加熱用熱交換器の風上側に配されて、前記加熱用熱交換器に送られる空気量を調整する温風ドアと、冷風通路に配されて、前記加熱用熱交換器をバイパスする空気量を調整する冷風ドアとから成り、
前記温風ドアが前記加熱用熱交換器の風上側を閉塞する際には、前記冷却用熱交換器の風下側通風面と、前記温風ドアと、前記ユニットケースの側面部とで略三角形状の空間が画成され、この略三角形状の空間の頂部と前記冷風通路とが連続していることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調ユニットの空調ユニット本体。
【請求項3】
前記ユニットケースは、前記冷却用熱交換器の風上側で且つ傾倒方向の下端部側よりも車両下方となる底面部に、ドレン水排出口部が形成されていると共に、前記冷却用熱交換器の風上側で且つ前記ドレン水排出口部から当該冷却用熱交換器に対し車両進行方向の後方に向けて相対的に離れた側の側面部に、前記空気取入口が開口していることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用空調ユニットの空調ユニット本体。
【請求項4】
前記冷却用熱交換器の傾倒角度を30度から60度までとしていることを特徴とする請求項3に記載の車両用空調ユニットの空調ユニット本体。
【請求項5】
送風機が収納されたブロアユニット部と請求項1乃至4のいずれかに記載の空調ユニット本体とを連接して構成され、
前記ブロアユニット部は、スクロール状のユニットケースの巻回始端部を前記冷却用熱交換器の傾倒方向に対し下端部側に位置させると共に前記ユニットケースの巻回終端部を前記冷却用熱交換器の傾倒方向に対し上端部側に位置させていることを特徴とする車両用空調ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−15767(P2006−15767A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192381(P2004−192381)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(500309126)株式会社ゼクセルヴァレオクライメートコントロール (282)