説明

車両用空調装置およびその制御方法

【課題】運転室の窓またはドアを開けた場合でも、運転室内の空調を効果的に行うことが可能な車両用空調装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】空調装置(1)は、空調部(20)で温度調整された空調空気を運転者の前面から運転者に向けて送出する第1の吹き出し口(6)と、その空調空気を送出する第2の吹き出し口(5,8)と、運転室が開閉されたことを検知する開閉センサ(57、58)と、開閉センサ(57、58)によって運転室が開放されたことが検知された場合、各吹き出し口から送出される空調空気に占める第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の割合が、運転室が閉じられた場合における、第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の割合よりも高くなるように風量比を設定する風量比調節部(65)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置およびその制御方法に関し、特に、建設車両用空調装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パワーショベルのような建設車両においても、運転室内を快適に保つために、空調装置が搭載されている。しかし、建設車両では、運転者が車外の作業者と連絡を取り合ったり、視界を確保するために、運転室のフロントガラス又は乗降用ドアを開けたまま作業を行うことが頻繁に行われる。このように、フロントガラスなどを開けて作業を行う場合には、当然ながら大量の外気が運転室内に入ってくるため、効果的な空調を行うことができず、運転室内を快適に保つことが困難であった。
【0003】
上記のような問題点を解決するために、運転室のドア又は窓の開放を検知した場合、冷房能力や暖房能力を上昇させた空気を送風する建設機械用空調装置が開発されている(特許文献1参照)。係る空調装置は、窓等の開閉を検知する検知手段から、窓等が開放されたことを検知すると、能力の最大限度で冷房又は暖房を行い、送風量を増大させ、あるいは、運転者へ直接吹き付けるスポット吹き出し口から送風を行うことによって、空調装置の設定を変更することなく、快適な冷房状態または暖房状態を得ようとするものである。
【0004】
しかし、視界確保といった目的で窓等を開けて作業する場合、運転者はその窓を全開にすることが多い。そのため、窓が開放されたときに、たんに空調能力を上げ、送風量を増加させても、空調空気の大半は直ちに運転室外へ出てしまい、空調効果はあまり改善されない。逆に、空調装置の作動音が大きくなることにより、運転者がより不快感を強める場合もある。また、運転者は、作業中、視界確保などの目的で上体を前後に移動させることがある。そのため、上記のスポット吹き出し口のように、運転者の側面に配置される吹き出し口では、運転者の作業姿勢によっては空調空気を運転者の周囲に供給することができない場合もある。また、スポッと吹き出し口を別途設けることは、それだけ余分なコストの増加にもつながる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−052742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述した従来技術による問題点を解消することを可能とする車両用空調装置およびその制御方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、運転室の窓またはドアを開けた場合でも、効果的に空調を行うことが可能な車両用空調装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1の記載によれば、本発明に係る車両用空調装置は、空調部(20)で温度調整された空調空気を運転者の前面から運転者に向けて送出する第1の吹き出し口(6)と、その空調空気を送出する第2の吹き出し口(5,8)と、運転室が開閉されたことを検知する開閉センサ(57、58)と、開閉センサ(57、58)によって運転室が開放されたことが検知された場合、各吹き出し口から送出される空調空気に占める第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の割合が、運転室が閉じられた場合における、第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の割合よりも高くなるように風量比を設定する風量比調節部(65)とを有することを特徴とする。係る構成により、運転室が開放された場合には、運転者の周囲に空調空気を集中させるので、効果的に空調を行うことができる。特に、空調効果を感じ易い顔などに吹き付ける空調空気の量が多くなるので、運転者のフィーリングを向上させることができる。
【0009】
また、請求項2に記載のように、本発明に係る車両用空調装置は、開閉センサ(57、58)によって運転室が開放されたことが検知された場合、運転室が閉じられていることを検知した場合よりも、少なくとも第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の風量を増加させる送風量設定部(67)を有することが好ましい。
【0010】
さらに、請求項3に記載のように、本発明に係る車両用空調装置は、開閉センサ(57、58)によって運転室が開放されたことが検知された場合、運転室が閉じられていることを検知した場合よりも、第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の温度を低下させる温度調節部(67)を有することが好ましい。
【0011】
また、請求項4に記載のように、第2の吹き出し口は、運転者が座るシートの後部に配置される吹き出し口(8)であることが好ましい。
【0012】
さらに、請求項5に記載のように、第2の吹き出し口は、運転者が座るシートの後部に配置される吹き出し口(8)であり、風量比調節部(65)は、開閉センサ(57、58)によって運転室が開放されたことが検知されると、第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の風量が、第2の吹き出し口(8)から送出される空調空気の風量以上となるように風量比を設定し、開閉センサ(57、58)によって運転室が閉じられたことを検知すると、第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の風量が、第2の吹き出し口(8)から送出される空調空気の風量未満となるように風量比を設定することが好ましい。係る構成とすることにより、空調装置から送出される空調空気を無駄なく利用することができる。
【0013】
さらに、請求項6に記載のように、本発明に係る車両用空調装置は、運転室内の内気温を測定する内気温センサ(51)又は運転室外の外気温を測定する外気温センサ(52)を有し、風量比調節部(65)は、開閉センサ(57、58)によって運転室が開放されたことが検知され、測定された外気温又は内気温が所定温度以上である場合、第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の割合が、運転室が閉じられた場合における、第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の割合よりも高くなるように風量比を設定することが好ましい。外気温または内気温を参照して、第1の吹き出し口から送出される空調空気の割合を高く設定することを特に暑い場合などに限定することにより、空調効果が強くなりすぎることを防止できる。
【0014】
また、請求項7の記載によれば、上記の何れかに記載の車両用空調装置は、建設機械に用いられる。建設機械では、通常一人乗りのため、運転室が狭く、運転室の開放による温度変化が顕著であるため、本発明の車両用空調装置を適用することにより、運転室開放時の空調効果を飛躍的に改善することができる。
【0015】
また、本発明の請求項8の記載によれば、温度調整された空調空気を生じる空調部(20)と、空調部(20)で温度調整された空調空気を運転者の前面から運転者に向けて送出する第1の吹き出し口(6)と、空調空気を送出する第2の吹き出し口(5、8)とを有する車両用空調装置の制御方法が提供される。係る制御方法は、運転室の開閉状態を検知するステップと、運転室が開放されたことを検知した場合における第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の割合が、運転室が閉じられたことを検知した場合におけるその空調空気の割合よりも大きくなるように風量比を設定するステップとを有することを特徴とする。
【0016】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を適用した車両用空調装置について説明する。
本発明を適用した車両用空調装置は、運転室のフロントガラスや乗降用のドアが開けられたことを検知すると、各吹き出し口から送出される空調空気の風量比を変更して運転者の周囲に空調空気を集中させるものである。特に、前面から運転者に向けて空調空気を送出する吹き出し口からの風量を増加させることにより、運転室内で運転者が上体を前後に動かしても、運転者の周囲に空調空気を集中させることができる。そのため、運転室が開放された状態で運転者が作業を行う場合であっても、効果的に空調を行うことができ、運転者は、空調の効いた状態で快適に作業を行うことができる。
【0018】
図1は、本発明を適用した車両用空調装置1を備えた建設用車両の運転室100の概略構成図である。
【0019】
図1に示すように、運転室100内には、運転者用のシート2が設けられ、その下部後方に車両用空調装置1が配置されている。そして、車両用空調装置1は、それに近接し、運転室100内に向けて開口された内気吸込口3から運転室100内の空気を取り込む。同様に、車両用空調装置1に近接して配置され、運転室100外に向けて開口された外気吸込口4から車外の空気を取り込む。そして、車両用空調装置1は、内気吸込口3又は外気吸込口4から取り込んだ空気を暖め、あるいは冷却する。また、運転室100内には、シート2の足元に設けられたフット吹き出し口(FOOT)5、フロントガラス9の近傍に設けられ、運転者に向けて開口されたフェイス吹き出し口(FACE)6、フロントガラス9に向けて開口されたデフロスタ吹き出し口(DEF)7及びシート2の後方から上方に向けて開口されたリア吹き出し口(REAR)8が設置されている。このうち、フェイス吹き出し口6及びリア吹き出し口8は、運転者の上半身に向けて空調空気を送出し、運転者の上半身に対する空調手段として機能するものである。また、フェイス吹き出し口6及びデフロスタ吹き出し口7は、フロントダクト10を通じて車両用空調装置1に接続されている。同様に、リア吹き出し口8は、リアダクト11を通じて車両用空調装置1に接続されている。そして、車両用空調装置1で暖められた、あるいは冷却された空気は、運転室100内に設置された各吹き出し口から送出され、運転室100内の温度を調節し、あるいはフロントガラス9の曇りを防止する。
【0020】
また、運転室前面のフロントガラス9は、その両側面に配置されたレール12に沿って上下方向にスライドさせることが可能であり、運転者が持ち上げることによって開放することができる。そして、レール12の一方には、開閉センサ57が設置され、フロントガラス9が開放されたか否かを検知する。さらに、運転室100の側面には、乗降用のドア13が配置され、フロント側の一端を回転軸として回動可能となっている。そして、ドア13を閉じたときにドア13と接触する運転室のフレーム部分にも、開閉センサ58が設置され、ドア13が開放されたか否かを検知する。
【0021】
図2は、車両用空調装置1の全体構成を示す構成図である。図2に示すように、車両用空調装置1は、主に機械的構成からなる空調機器20と、この空調機器20を制御する制御部60とを有する。
【0022】
まず、空調機器20の冷凍サイクルRの構成を説明する。車両用空調装置1の冷凍サイクルRは閉回路で構成され、その閉回路はコンプレッサ21より時計回りにコンデンサ25、レシーバ26、膨張弁27、およびエバポレータ28を含む。そして、コンプレッサ21は、冷媒を圧縮して高圧ガスにする。また、コンプレッサ21は、ベルト22を介して車載エンジン23より伝わる動力断続用の電磁クラッチ24を備える。コンデンサ25は、コンプレッサ21より送られてきた高温、高圧の冷媒ガスを冷却し、液化させる。レシーバ26は、液化された冷媒ガスを貯蔵する。また、冷却性能の低下を防ぐため、液化された冷媒に含まれるガス状の気泡を取り除き、完全に液化された冷媒のみを膨張弁27へ送る。膨張弁27は、液化された冷媒を断熱膨張させて低温、低圧化し、エバポレータ28へ送る。エバポレータ28は、低温、低圧化された冷媒と、エバポレータ28に送り込まれた空気との間で熱交換を行ってその空気を冷却する。
【0023】
次に、空調機器20の空調ケース30内の構成について説明する。エバポレータ28の上流側には、ブロワファン31が配置されている。ブロワファン31は遠心式送風ファンで構成され、駆動用モータ32により回転駆動される。ブロワファン31の吸入側には、内外気切替箱34が配置される。内外気切替箱34内には、内外気サーボモータ36で駆動される内外気切替ドア35が配置される。そして内外気切替ドア35は、内気吸込口3と外気吸込口4とを切り替えて開閉する。そして、内気吸込口3又は外気吸込口4から取り込まれた空気は、内外気切替箱34を経由して、ブロアファン31によってエバポレータ28へ送られる。なお、ブロアファン31の回転速度を調整することにより、車両用空調装置1から送出される風量を調節することができる。
【0024】
エバポレータ28の下流側には、エバポレータ28側から順に、エアミックスドア37、およびヒータコア38が配置される。ヒータコア38には、ヒータコア38を通る空気を暖めるために、車載エンジン23の冷却に使用された冷却水が循環供給される。また、空調ケース30には、ヒータコア38をバイパスするバイパス通路39が形成されている。エアミックスドア37は、温調サーボモータ40により回動され、各吹き出し口から送出される空気を所定の温度にするために、ヒータコア38を通過する通路41からの温風とバイパス通路39を通過する冷風との風量割合を調整する。
【0025】
さらに、バイパス通路39を経由した冷風と、ヒータコア38を通過する通路41からの温風とが混合される空気混合部42の下流側には、フット吹き出し口5を開閉するフットドア44と、フェイス吹き出し口6、リア吹き出し口8などへ通じるダクト45の入口を開閉するダクト開閉ドア46が配置される。さらに、ダクト45内には、フェイス吹き出し口6及びデフロスタ吹き出し口7へ通じるフロントダクト10と、リア吹き出し口8へ通じるリアダクト11へ流れる空気量を調節するフロント・リア配風調整ドア47が配置される。各ドア44、46及び47は、モードサーボモータ48により駆動される。なお、フットドア44及びダクト開閉ドア46は、ドアの一端を軸として開閉する通常のドアの代わりに、スライドドアで構成してもよい。また、フロント・リア配風調整ドア47についても、ロータリードアまたはフィルムドアで構成してもよく、あるいは、フロントダクト10の入口とリアダクト11の入口に別個に設けられたスライドドアで構成してもよい。
【0026】
次に、車両用空調装置1が有する各種センサについて説明する。内気温センサ51は、運転室内の温度Tiを測定するために、内外気切替箱34の内気吸込口3側の開口部に設置される。また、外気温センサ52は、運転室外の温度Toを測定するために、運転室の周囲に設置される。なお、外気温センサ52を、コンデンサ25の外側前面に設置してもよい。また、エバポレータ出口温度センサ53は、エバポレータ28から吹き出される空気の温度(エバポレータ吹出温度Te)を測定するために、エバポレータ28のエアミックスドア37側の空気通路の出口近傍に設置される。さらに、ヒータコア38へのエンジン冷却水の流入口近傍には、その冷却水の水温Twを測定するためのヒータ入口水温センサ54が設置される。
【0027】
また、レシーバ26の出口近傍には、冷凍サイクルR内を循環する冷媒の圧力Pを測定するための圧力センサ55が取り付けられる。さらに、運転室内に照りつける日射光の強さLを測定するために、日射センサ56が運転室内のフロントガラス近傍に取り付けられる。なお、日射センサ56は照度センサで構成される。
【0028】
さらに、上記のように、開閉センサ57及び58が、フロントガラス9及びドア13の開閉を検知するために設置される。開閉センサ57は、フロントガラス9の開閉信号Sfを制御部60に送信し、制御部60では、開閉信号Sfを、フロントガラス9が開放されている場合は‘1’、閉じられている場合は‘0’の値を有する1ビット信号として取得する。同様に、開閉センサ58は、ドア13の開閉信号Sdを制御部60に送信し、制御部60では、開閉信号Sdを、ドア13が開放されている場合は‘1’、閉じられている場合は‘0’の値を有する1ビット信号として取得する。なお、開閉センサ57及び58として、機械式の接触センサ、光学式近接センサなど、対象物の接触又は接近を検知する周知の様々なセンサを用いることができる。そして、開閉センサ57及び58は、フロントガラス9やドア13が接触したか否か、あるいは所定範囲内に近づいたか否かにより、それらの開閉を判断することができる。
【0029】
上記の各センサ51〜58は、制御部60と通信可能に接続され、各センサで取得された測定値は、制御部60へ送信される。そして制御部60は、それら測定値と、A/C操作パネル(図示せず)から取得された操作信号に基づいて、電磁クラッチ24を制御してコンプレッサ21のON/OFF切り換えを行ったり、ブロアファン31の回転数調整のために駆動用モータ32を制御する。また制御部60は、内外気サーボモータ36、温調サーボモータ40及びモードサーボモータ48を制御して各ドアの開度を調節する。これらの制御を行うことによって、運転室内の温度を、運転者の設定温度に近づけるように、各吹き出し口から送出される空調空気の風量比、全体の風量及び温度を調節する。
【0030】
図3は、車両用空調装置1の制御部60の機能ブロック図である。
制御部60は、図示していないCPU,ROM,RAM等からなる1個もしくは複数個の図示してないマイクロコンピュータ、その周辺回路、および電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ等の記憶部61から構成される。
【0031】
制御部60は、このマイクロコンピュータによる機能モジュールとして、温度調節部62、コンプレッサ制御部63、負荷状態判定部64、風量比調節部65、吸気比調節部66及び送風量設定部67を有する。以下、これら各部について説明する。
【0032】
温度調節部62は、A/C操作パネルから取得した設定温度Ts及び各温度センサ51〜53、水温センサ54及び日射センサ56の測定信号に基づいて、エアミックスドア37の開度を決定し、温調サーボモータ40へ、エアミックスドア37の開度が設定された位置になるように制御信号を送信する。例えば、エアミックスドア37の開度は、内気温Tiと設定温度Tsの差を、外気温To、日射量Lなどで補正した値を入力とし、エアミックスドア37の開度を出力とする関係式に基づいて決定される。ここで、エアミックスドア37の開度を、一定の時間間隔(例えば、1秒間隔)毎に判定するものとし、過去の判定時における各測定値も考慮することで、安定した制御を行うことができる。そのような制御を行うための各測定値とエアミックスドア37の開度の関係式を以下に示す。
【数1】

上式において、Doは、エアミックスドア37の開度を表す。また、係数α、β、γ、a、bは定数であり、Ts、Ti、To、L(j=1、2,...,n)は、それぞれ、j回目の測定時点における設定温度、内気温、外気温及び日射量を表す。ただし、エアミックスドア37の開度Doは、ヒータコア38を経由する通路41を閉じた状態(すなわち、冷房のみが動作する状態)を100%、バイパス通路39を閉じた状態(すなわち、暖房のみが動作する状態)を0%として設定される。
なお、温度調節部62は、空調温度及びエアミックスドア37の開度を、他の周知の制御方法を用いて決定してもよい。算出されたエアミックスドア37の開度は、制御部60の他の部で参照できるように、記憶部61に保存される。
【0033】
負荷状態判定部64は、A/C操作パネルから取得した設定温度Ts及び各温度センサ51〜53の測定信号に基づいて、車両用空調装置1の負荷状態が、冷房を行う冷房負荷に相当するのか、暖房を行う暖房負荷に相当するのかを判定する。
【0034】
負荷状態判定部64は、例えば、設定温度Tsが内気温Tiよりも高い場合、暖房負荷と判定し、逆に内気温Tiが設定温度Ts以上であれば、冷房負荷と判定する。あるいは、負荷状態判定部64は、上記の温度調節部62で求めたエアミックスドア37の開度に基づいて暖房負荷か否かを判定してもよい。例えば、エアミックスドア37の開度が、バイパス通路39よりもヒータコア38側の通路41の方が広くなる状態に設定されている場合、暖房負荷と判定し、そうでない場合、冷房負荷と判定する。
なお、暖房/冷房の設定が運転者による手動設定となっている場合には、負荷状態判定部64は、A/C操作パネルからの暖房/冷房切替信号を参照して暖房負荷か否かを判定する。
判定結果は、例えば1ビットの2値変数として与えられ、制御部60の他の部で参照可能なように、記憶部61に記憶される。
【0035】
コンプレッサ制御部63は、負荷状態判定部64で判定された車両用空調装置1の負荷状態及びエバポレータ出口温度Teに基づいて、コンプレッサのON/OFFを制御する。例えば、コンプレッサ制御部63は、負荷状態判定部64による判定結果が冷房負荷の場合、原則としてコンプレッサ21を作動させる。なお、エバポレータ28は、0℃以下に低下するとフロストする。エバポレータ28がフロストすると、エバポレータ28のフィン間に霜が生じて空気の通りが非常に悪くなるため、十分な熱交換を行うことができなくなる。そのため、コンプレッサ制御部63は、エバポレータ28をフロストさせないために、エバポレータ出口温度Teがフロスト限界温度Tfにまで低下すると、コンプレッサ21を停止する(すなわち、電磁クラッチ24を切離して車載エンジン23からコンプレッサ21に動力が伝達されないようにする)。例えば、フロスト限界温度Tfは、約1℃に設定される。一方、エバポレータ出口温度Teがフロスト限界温度Tfよりも高い場合は、コンプレッサ21の稼動を継続する。
【0036】
一度コンプレッサ21を停止させると、コンプレッサ制御部63は、エバポレータ28がある程度暖まってからコンプレッサ21を再稼動させる(すなわち、電磁クラッチ24を接続して車載エンジン23からコンプレッサ21に動力が伝達されるようにする)。そのため、コンプレッサ制御部63は、コンプレッサ21を停止させる閾値温度よりも所定温度高くした温度を、コンプレッサ作動開始温度Tonとして設定する。例えば、コンプレッサ作動開始温度Tonは、フロスト限界温度Tfに5℃加えた値とすることができる。コンプレッサ制御部63は、エバポレータ出口温度Teをコンプレッサ作動開始温度Tonとを比較して、エバポレータ出口温度Teがコンプレッサ作動開始温度Tonを超えた場合、コンプレッサ21を稼動させる。
なお、コンプレッサ制御部63は、負荷状態判定部64で判定された負荷状態が暖房負荷の場合、原則としてコンプレッサ21を停止する。ただし、A/C操作パネルよりデフロスタを作動させる操作信号を受信した場合、フロントガラス9の防曇のために、コンプレッサ21を作動させる。
【0037】
風量比調節部65は、上記の負荷状態判定部64で求めた判定結果及び開閉センサ57から取得したフロントガラス9の開閉信号Sf及び開閉センサ58から取得したドア13の開閉信号Sdを参照して、各吹き出し口から送出される空調空気の風量比を求め、その風量比に対応するように、フットドア44、ダクト開閉ドア46及びフロント・リア配風調整ドア47の開度を決定する。そして、各ドアが決定された開度となるように、モードサーボモータ48を制御する。
【0038】
例えば、風量比調節部65は、車両用空調装置1の負荷状態が暖房負荷の場合、フロントガラス9及びドア13の何れもが閉じられていると(Sf=0且つSd=0、すなわち、運転室が閉じられている場合)、フット吹き出し口5からのみ空調空気を送出するように、フットドア44のみを開け、ダクト開閉ドア46を閉じる。一方、フロントガラス9が開けられたか(Sf=1)、ドア13が開けられたこと(Sd=1)を検知すると(すなわち、運転室が開放されたことを検知した場合)、フェイス吹き出し口6、リア吹き出し口8及びフット吹き出し口5から空調空気を送出するように、ダクト開閉ドア46及びフットドア44の両方を開ける。
また、例えば、風量比調節部65は、車両用空調装置1の負荷状態が冷房負荷の場合、フェイス吹き出し口6及びリア吹き出し口8から空調空気が送出されるように、フットドア44を閉じ、ダクトドア46を開放する。さらに、運転室が開放されたことを検知すると、運転室が閉じられている場合よりもフェイス吹き出し口6から送出される空調空気の割合が増加するように、フロント・リア配風調整ドア47の開度を調節する。
【0039】
なお、風量比調節部65は、内気温センサ51から取得した運転室内の内気温Ti、外気温センサ52から取得した運転室外の外気温Toなども参照して、風量比を調節するようにしてもよい。本実施形態では、車両用空調装置1の負荷状態が暖房負荷の場合において、フェイス吹き出し口6から送風される空調空気の割合を増加させるための条件を、フロントガラス9又はドア13の開放に加えて、外気温Toが0℃以下の場合とした。なお、内気温Tiが低下するにつれて、フェイス吹き出し口6から送風される風量の割合が増加するようにしてもよい。開閉信号Sd、Sf、外気温Toなどとダクト開閉ドア46及びフロント・リア配風調整ドア47の開度との関係は、例えばルックアップテーブルとして予め記憶部61に保存される。そして、風量比調節部65は、開閉信号Sd、Sf、外気温Toなどを取得すると、そのルックアップテーブルを参照してダクト開閉ドア46及びフロント・リア配風調整ドア47の開度を決定する。
【0040】
吸気比調節部66は、A/C操作パネルから取得した吸気設定、設定温度Ts、内気温Tiなどに基づいて、車両用空調装置1が内気吸気口3から吸気する空気と外気吸気口4から吸気する空気の比率を設定する。吸気比調節部66は、内気温Ti、内気温Tiと設定温度Tsとの差などと吸気比との関係を表す関係式にしたがって内外気切替ドア35の開度を決定する。このような関係式は予め設定され、制御部60において実行されるコンピュータプログラムに組み込まれている。なお、吸気比調節部66は、他の周知の方法を用いて、内外気切替ドア35の開度を決定することもできる。吸気比調節部66は、内外気サーボモータ36を制御し、内外気切替ドア35を求めた吸気比となるように回動させる。
【0041】
送風量設定部67は、A/C操作パネルから取得した設定温度、風量設定及び各温度センサ51〜53及び日射センサ56の測定信号に基づいて、ブロアファン31の回転速度を決定する。そして、駆動用モータ32へ、ブロアファン31の回転速度が設定値になるように制御信号送信する。例えば、風量設定が手動設定になっている場合には、送風量設定部67は、A/C操作パネルから取得した風量設定値となるようにブロアファン31の回転速度を決定する。また、風量設定が自動設定になっている場合には、送風量設定部67は、内気温、内気温と設定温度との差などと風量との関係を表す関係式にしたがってブロアファン31の回転速度を決定する。このような関係式は予め設定され、制御部60において実行されるコンピュータプログラムに組み込まれている。なお、送風量設定部67は、他の周知の方法を用いて、ブロアファン31の回転速度を決定することもできる。
【0042】
以下、図4に示したフローチャートを参照しつつ、本発明を適用した車両用空調装置1の空調制御動作について説明する。なお、空調制御動作は、制御部60により、制御部60に組み込まれたコンピュータプログラムにしたがって行われる。
【0043】
図4に示すように、まず、A/C操作パネルから、車両用空調装置1を稼動させる信号を受け取ると、制御部60は、車両用空調装置1を稼動させる。そして、各センサからの測定信号を取得する(ステップS101)。次に、制御部60の温度調節部62は、上記のとおり、A/C操作パネルから取得した設定温度及び各センサ信号に基づいて、各吹き出し口から送出される空調空気が所定の温度になるようにエアミックスドア37の開度を決定する(ステップS102)。そして温調サーボモータ40を駆動して、エアミックスドア37を求めた開度になるように回動させる。
【0044】
次に、制御部60のコンプレッサ制御部63は、負荷状態判定部64による車両用空調装置1の負荷状態判定結果及び防曇を行うか否かに基づいて、あるいは、エバポレータ28の温度に基づいてコンプレッサ21を作動あるいは停止させる(ステップS103)。
その後、制御部60の風量比調節部65は、各吹き出し口から送出される空調空気の風量比を決定する(ステップS104)。なお、風量比の決定については後で詳述する。
風量比が決定されると、制御部60の吸気比調節部66は、車両用空調装置1が運転室内から吸気する空気と運転室外から吸気する空気の比率を設定する(ステップS105)。そして、その比率にしたがって、内外気サーボモータ36を制御し、内外気切替ドア35を所定の開度になるように回動させる。
最後に、制御部60の送風量設定部67は、車両用空調装置1から送出される送風量を決定する(ステップS106)。そして、その送風量に基づいてブロアファン31の回転速度を決定する。以後、車両用空調装置1は、稼動停止となるまで上記のステップS101〜S106の制御を所定の時間間隔で繰り返す。
【0045】
図5は、図4のステップS104の風量比決定の制御の詳細を示したフローチャートである。
【0046】
図5に示すように、まず、負荷状態判定部64により、車両用空調装置1の負荷状態が暖房負荷なのか冷房負荷なのかを判定する(ステップS201)。そして、暖房負荷と判定した場合、制御部60の風量比調節部65は、外気温Toが0℃以下か否か判定する(ステップS202)。ステップS202で、外気温Toが0℃より高い場合、風量比調節部65は、フット吹き出し口5からのみ温風を送風するように、ダクト開閉ドア46を閉じる(ステップS203)。一方、ステップS202において、外気温Toが0℃以下と判定された場合、風量比調節部65は、開閉センサ57から取得したフロントガラス9の開閉信号Sf及び開閉センサ58から取得したドア13の開閉信号Sdに基づいて、フロントガラス9又はドア13が開放されているか否かを判定する(ステップS204)。
【0047】
ステップS204において、Sd=0且つSf=0の場合、すなわち、フロントガラス9及びドア13の何れも閉められていると判定された場合、風量比調節部65は、上記のように、フット吹き出し口5からのみ温風を送風するようにダクト開閉ドア46を閉じる(ステップS203)。一方、ステップS204において、Sd=1又はSf=1の場合、すなわち、フロントガラス9又はドア13の何れかが開けられている場合、風量比調節部65は、フェイス吹き出し口6、リア吹き出し口8及びフット吹き出し口5から温風を送風するようにダクト開閉ドア46を開放する(ステップS205)。なお、この場合において、フェイス吹き出し口6から送出される風量とリア吹き出し口8から送出される風量の比は、1:1に設定される。
【0048】
また、ステップS201において、負荷状態判定部64が車両用空調装置1の負荷状態を冷房負荷であると判定した場合、風量比調節部65は、開閉センサ57から取得したフロントガラス9の開閉信号Sf及び開閉センサ58から取得したドア13の開閉信号Sdに基づいて、フロントガラス9又はドア13が開放されているか否かを判定する(ステップS206)。
【0049】
ステップS206において、Sd=0且つSf=0の場合、すなわち、フロントガラス9及びドア13の何れも閉められていると判定された場合、風量比調節部65は、上記のように、フェイス吹き出し口6及びリア吹き出し口8から冷風を送風するようにダクト開閉ドア46を開放し、フットドア44を閉じる。さらに、フェイス吹き出し口6から送風される風量と、リア吹き出し口8から送風される風量の比が3:7になるようにフロント・リア配風調整ドア47を回動させる(ステップS207)。一方、ステップS206において、Sd=1又はSf=1の場合、すなわち、フロントガラス9又はドア13の何れかが開放されている場合、風量比調節部65は、同様にフットドア44を閉じ、ダクト開閉ドア46を開放する。そして、フェイス吹き出し口6から吹き出す冷風を増加させるように、フェイス吹き出し口6から送風される風量と、リア吹き出し口8から送風される風量の比が7:3になるようにフロント・リア配風調整ドア47を回動させる(ステップS208)。
【0050】
以上説明してきたように、本発明を適用した車両用空調装置は、運転室のフロントガラスやドアが開放されたことを検知して、フェイス吹き出し口6から送風される空調空気の風量割合を増加させる。これにより、運転者が前後に上体を移動させても運転者の周囲に空調空気を集中的に供給することができる。そのため、効率的に空調を行うことができ、運転者は、フロントガラス等を開放しても、快適に作業を行うことができる。
【0051】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、各吹き出し口から送出される空調空気の比率は、運転室の構造などに応じて様々に設定することができる。例えば、上記のステップS205及びS208において、フェイス吹き出し口6から送出される空調空気の風量と、リア吹き出し口8から送出される空調空気の風量の比を10:0としてもよい。また、暖房負荷の場合においても、運転室が開放された場合には、フェイス吹き出し口6から送出される空調空気の風量とリア吹き出し口8から送出される空調空気の風量の比を、フェイス吹き出し口6から送出される風量の割合が大きくなるように設定してもよい。
【0052】
また、上記の実施形態では、各吹き出し口から送出される空調空気の風量比を決定する際に、暖房負荷の場合のみ、外気温Toを参照したが、冷房時にも外気温Toあるいは内気温Tiを参照するようにしてもよい。そして、運転室の開放に加えて、外気温Toあるいは内気温Tiが例えば30℃以上の場合のみ、フェイス吹き出し口6から送風される風量割合が高くなるようにしてもよい。
【0053】
さらに、運転者がドア13を開けて乗り込んだだけの場合には、運転者が暑過ぎる又は寒過ぎると感じることを避けるために、フェイス吹き出し口6からの風量を増加させない方が好ましい。そこで、風量比調節部65は、開閉センサ58からドア13が開いたことを示す信号(Sd=1)を取得した場合には、ドア13が開放された状態(Sd=1)が所定期間(例えば2分間)継続した場合にのみ、フェイス吹き出し口6から送出される風量割合を増加させるようにモードサーボモータ48を制御してもよい。
【0054】
また、本発明の構成に加えて、温度調節部62は、運転室が開放されたことを検知した場合、空調能力を上昇させるよう制御を行ってもよい。例えば、コンプレッサ21の回転速度を上げたり、エアミックスドア37の開度を変更する。さらに、送風量設定部67も、運転室が開放された場合、各吹き出し口から送出される風量を増加するようにブロアファン31の回転速度を上げる制御を行ってもよい。さらに、このような制御を、外気温Toあるいは内気温Tiが所定の条件を満たす場合(例えば、外気温Toが30℃以上の場合)のみ行うようにしてもよい。これらの回転速度の増加量、開度の変更量などは、予め制御部60で実行されるコンピュータプログラムに設定される。
【0055】
上記のように、本発明の範囲内で様々な修正を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明を適用した車両用空調装置を備えた車両の運転室の構成を示す構成図である。
【図2】本発明を適用した車両用空調装置の全体構成を示す構成図である。
【図3】車両用空調装置の制御部の機能ブロック図である。
【図4】本発明を適用した車両用空調装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明を適用した車両用空調装置の風量比調節動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1 車両用空調装置
5 フット吹き出し口(第2の吹き出し口)
6 フェイス吹き出し口(第1の吹き出し口)
7 デフロスタ吹き出し口
8 リア吹き出し口(第2の吹き出し口)
9 フロントガラス
10 フロントダクト
11 リアダクト
13 乗降用ドア
20 空調機器
44 フットドア
45 ダクト
46 ダクト開閉ドア
47 フロント・リア配風調整ドア
48 モードサーボモータ
51 内気温センサ
52 外気温センサ
57、58 開閉センサ
60 制御部
61 記憶部
62 温度調節部
63 コンプレッサ制御部
64 負荷状態判定部
65 風量比調節部
66 吸気比調節部
67 送風量設定部
100 運転室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室内の空調を行う車両用空調装置であって、
温度調整された空調空気を生じる空調部(20)と、
前記空調部(20)で温度調整された空調空気を運転者の前面から運転者に向けて送出する第1の吹き出し口(6)と、
前記空調部(20)で温度調整された空調空気を送出する第2の吹き出し口(5、8)と、
運転室の開閉を検知する開閉センサ(57、58)と、
前記開閉センサ(57、58)によって運転室が開放されたことが検知された場合、前記各吹き出し口から送出される空調空気に占める前記第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の割合が、運転室が閉じられた場合における、該空調空気の割合よりも高くなるように風量比を設定する風量比調節部(65)と、
を有することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記開閉センサ(57、58)によって運転室が開放されたことが検知された場合、運転室が閉じられていることを検知した場合よりも、少なくとも前記第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の風量を増加させる送風量設定部(67)をさらに有する、請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記開閉センサ(57、58)によって運転室が開放されたことが検知された場合、運転室が閉じられていることを検知した場合よりも、前記第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の温度を低下させる温度調節部(62)をさらに有する、請求項1又は2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記第2の吹き出し口は、運転者が座るシートの後部に配置される吹き出し口(8)である、請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記第2の吹き出し口は、運転者が座るシートの後部に配置される吹き出し口(8)であり、
前記風量比調節部(65)は、前記開閉センサ(57、58)によって運転室が開放されたことが検知されると、前記第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の風量が、前記第2の吹き出し口(8)から送出される空調空気の風量以上となるように風量比を設定し、前記開閉センサ(57、58)によって運転室が閉じられたことを検知すると、前記第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の風量が、前記第2の吹き出し口(8)から送出される空調空気の風量未満となるように風量比を設定する、請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
運転室内の内気温を測定する内気温センサ(51)又は運転室外の外気温を測定する外気温センサ(52)をさらに有し、
前記風量比調節部(65)は、前記開閉センサ(57、58)によって運転室が開放されたことが検知され、測定された外気温又は内気温が所定温度以上である場合、前記第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の割合が、運転室が閉じられた場合における、該空調空気の割合よりも高くなるように風量比を設定する、請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記車両は、建設機械である請求項1〜6の何れか一項に記載の車両用空調装置。
【請求項8】
温度調整された空調空気を生じる空調部(20)と、
前記空調部(20)で温度調整された空調空気を運転者の前面から運転者に向けて送出する第1の吹き出し口(6)と、
空調空気を送出する第2の吹き出し口(5、8)とを有する車両用空調装置の制御方法であって、
運転室の開閉状態を検知するステップと、
前記開閉状態を検知するステップにおいて、運転室が開放されたことを検知した場合、前記各吹き出し口から送出される空調空気に占める前記第1の吹き出し口(6)から送出される空調空気の割合が、運転室が閉じられたことを検知した場合における該空調空気の割合よりも高くなるように風量比を設定するステップと、
を有することを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate