車両用空調装置およびその空調制御方法
【課題】車窓の防曇を達成しつつ、十分な暖房能力を発揮することが可能な空調装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】空調装置は、コンプレッサ(21)、エバポレータ(28)等で構成される冷凍サイクルと、エバポレータ(28)を経由した空気を熱するヒータコア(38)と、エバポレータ(28)の温度に関する情報を取得する第1のセンサ(53)と、ヒータコア(38)に熱供給する媒体の温度に関する情報を取得する第2のセンサ(54)と、コンプレッサ制御部(65)とを有し、コンプレッサ制御部(65)は、第1のセンサ(53)から取得した情報に基づいて推定されるエバポレータ温度が所定の閾値温度以下の場合、コンプレッサ(21)の圧縮率を低下させる。その閾値温度は、第2のセンサ(54)から取得した情報に基づいて推定される媒体温度が第1の所定値以下の場合、エバポレータ(28)のフロスト限界温度よりも高く設定される。
【解決手段】空調装置は、コンプレッサ(21)、エバポレータ(28)等で構成される冷凍サイクルと、エバポレータ(28)を経由した空気を熱するヒータコア(38)と、エバポレータ(28)の温度に関する情報を取得する第1のセンサ(53)と、ヒータコア(38)に熱供給する媒体の温度に関する情報を取得する第2のセンサ(54)と、コンプレッサ制御部(65)とを有し、コンプレッサ制御部(65)は、第1のセンサ(53)から取得した情報に基づいて推定されるエバポレータ温度が所定の閾値温度以下の場合、コンプレッサ(21)の圧縮率を低下させる。その閾値温度は、第2のセンサ(54)から取得した情報に基づいて推定される媒体温度が第1の所定値以下の場合、エバポレータ(28)のフロスト限界温度よりも高く設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置およびその制御方法に関し、特に、運転室内の暖房と窓の防曇とを同時に行う車両用空調装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の排ガス規制の強化などにより、油圧ショベルなどの建設機械に搭載されるエンジンについても、発熱量が抑制される傾向にある。そのため、エンジンの冷却用水を利用したヒータコアにより、室内に吹き出す空気を暖めて暖房を行う車両用空調装置では、特に冬場のアイドリング時において、冷却用水の温度が低く、十分な暖房温度を得難い場合がある。また、このような空調装置では、防曇のために、暖房中でも冷凍サイクルを稼動させ、冷凍サイクルを構成するエバポレータで熱交換を行わせる。この場合、エバポレータで冷却された空気がヒータコアに流入するため、さらに冷却用水の温度を下げることとなり、さらに暖房温度を低下させる原因となっていた。特に建設機械では、外気フィルタの目詰まり防止のために、空調装置に供給する空気を全て外気から取得するフル外気モードが準備されていないことが多い。そのため、空調装置には室内からも空気が吸入され、エバポレータがフロストする温度まで下がり難くなり、冷凍サイクルが稼動し続けることとなる。したがって、一般の乗用車用の空調装置と比較して、冷凍サイクルが稼動している期間が長くなり、それだけ余分にエバポレータによって冷却された空気がヒータコアに流れ込むため、冷却用水の温度がさらに低下して、暖房能力が低下する。
【0003】
上記のような問題点を解決するために、冷却水の水温が低い場合には、アイドリング時及び停車時のエンジンの回転速度を高めに調整してその水温を上昇させることにより、十分な暖房能力が得られるようにした暖機制御装置が開発されている(特許文献1参照)。しかし、特許文献1に記載された暖機制御装置は、エンジンの回転速度を上昇させるように制御を行うため、エンジンから発生する騒音が増加し、また燃費が悪くなるという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−324531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述した従来技術による問題点を解消することを可能とする空調装置およびその制御方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、車窓の防曇を達成しつつ、十分な暖房能力を発揮することが可能な空調装置およびその制御方法を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、エンジンによる騒音の増大及び燃費効率を低下させることなく、十分な暖房能力を発揮することが可能な空調装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1の記載によれば、本発明に係る車両用空調装置は、冷媒を圧縮するコンプレッサ(21)と、冷媒と空気との間で熱交換を行うエバポレータ(28)等で構成される冷凍サイクルと、エバポレータ(28)を経由した空気を熱するヒータコア(38)と、エバポレータ(28)の温度に関する情報を取得する第1のセンサ(53)と、ヒータコア(38)に熱供給する媒体の温度に関する情報を取得する第2のセンサ(54)と、コンプレッサ(21)を制御するコンプレッサ制御部(65)とを有する空調装置が提供される。その空調装置において、コンプレッサ制御部(65)は、第1のセンサ(53)から取得した情報に基づいて推定されるエバポレータ温度が、所定の閾値温度以下の場合、コンプレッサ(21)による冷媒の圧縮率を低下させ、且つ第2のセンサ(54)から取得した情報に基づいて推定される媒体温度が第1の所定値以下の場合、閾値温度をエバポレータ(28)のフロスト限界温度よりも高く設定することを特徴とする。係る構成により、ヒータコアに熱供給する媒体の温度が低い場合には、冷凍サイクルが停止し易くなるので、媒体の温度低下を抑制することができ、その結果として暖房能力が向上する。なお、冷媒の圧縮率とは、コンプレッサから出る冷媒の圧力をコンプレッサに流入する冷媒の圧力で除した値をいう。また、冷媒の圧縮率を低下させることには、冷媒の圧縮そのものを停止すること、すなわち、コンプレッサを停止することも含む。
【0009】
また、請求項2に記載のように、第1の所定値は、エバポレータ温度がフロスト限界温度の場合に空調装置から送出される空気の温度を所定値以上とすることができる媒体温度の最低温度であることが好ましい。第1の所定値を係る温度に設定することにより、媒体温度低下による暖房能力の低下を抑制しつつ、高い防曇能力を維持することができる。
【0010】
また、請求項3に記載のように、コンプレッサ制御部(65)は、閾値温度を、媒体温度が第1の所定値よりも低くなるにつれて高く設定することが好ましい。係る構成により、媒体温度が低下するほど冷凍サイクルも停止し易くなるので、媒体温度の低下による暖房能力の低下を効率よく抑制できる。
【0011】
また、請求項4に記載のように、コンプレッサ制御部(65)は、媒体温度が第1の所定値よりも低い第2の所定値以下の場合、閾値温度を一定に設定することが好ましい。
さらに、請求項5に記載のように、第2の所定値は、空調装置が空調を行う区域に設けられた窓の防曇が可能なエバポレータ(28)の最高温度であることが好ましい。係る構成により、媒体温度が非常に低い場合であっても、暖房とともに防曇を行うことができる。
【0012】
さらに、請求項6に記載のように、空調装置に対する負荷が暖房負荷か否かを判定する負荷状態判定部(64)をさらに有し、負荷状態判定部(64)が空調装置に対する負荷が暖房負荷でないと判定した場合、コンプレッサ制御部(65)は、閾値温度をエバポレータ(28)のフロスト限界温度に設定することが好ましい。係る構成により、例えば、空調装置が冷房動作をしている場合において、冷凍サイクルが頻繁に停止して十分な冷房を行えなくなることを防止することができる。
【0013】
また、本発明の請求項7の記載によれば、上記の何れかに記載の空調装置を有し、その空調装置で運転室内の空調を行う建設機械が提供される。
【0014】
また、本発明の請求項8の記載によれば、冷媒を圧縮するコンプレッサ(21)と、冷媒と空気との間で熱交換を行うエバポレータ(28)等から構成される冷凍サイクルと、エバポレータ(28)を経由した空気を熱するヒータコア(38)とを有する空調装置の制御方法が提供される。その制御方法は、エバポレータ(28)の温度を取得するステップ(S102)と、媒体温度を取得するステップ(S102)と、媒体温度に基づいてコンプレッサ(21)による冷媒の圧縮率を低下させるか否かの閾値温度を設定するステップ(S107)と、エバポレータ(28)の温度が閾値温度以下の場合、コンプレッサ(21)による冷媒の圧縮率を低下させるステップ(S109)とを有し、閾値温度を設定するステップ(S107)は、媒体温度が第1の所定値以下の場合、閾値温度をエバポレータ(28)のフロスト限界温度よりも高く設定することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の請求項9の記載によれば、閾値温度を設定するステップ(S107)は、媒体温度が第1の所定値よりも低くなるにつれて、閾値温度を高く設定することが好ましい。
【0016】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を適用した車両用空調装置について説明する。
本発明を適用した車両用空調装置は、ヒータコアに供給されるエンジン冷却水の温度を参照して、運転室の窓ガラスやドアの防曇を行える範囲で冷凍サイクルのコンプレッサが停止するエバポレータ温度をエバポレータのフロスト防止のための閾値温度よりも高い値に設定することにより、コンプレッサが停止している期間を長くする。このようにコンプレッサを制御することにより、ヒータコアへ流入する空気温度の低下を極力防止する。その結果として暖房能力を向上させることができる。また、コンプレッサが停止している期間を長くすることができるので、燃費を向上させることもできる。
【0018】
図1は、本発明を適用した車両用空調装置1を備えた建設用車両の運転室100の概略構成図である。
【0019】
図1に示すように、運転室100内には、運転者用のシート2が設けられ、その下部後方に車両用空調装置1が配置されている。そして、車両用空調装置1は、それに近接し、運転室100内に向けて開口された内気吸込口3から運転室100内の空気を取り込む。同様に、車両用空調装置1に近接して配置され、運転室100外に向けて開口された外気吸込口4から車外の空気を取り込む。そして、車両用空調装置1は、内気吸込口3又は外気吸込口4から取り込んだ空気を暖め、あるいは冷却する。また、運転室100内には、シート2の足元に設けられたフット吹き出し口(FOOT)5、フロントガラス9の近傍に設けられ、運転者に向けて開口されたフェイス吹き出し口(FACE)6、フロントガラス9に向けて開口されたデフロスタ吹き出し口(DEF)7及びシート2の後方から上方に向けて開口されたリア吹き出し口(REAR)8が設置されている。また、フェイス吹き出し口6及びデフロスタ吹き出し口7は、フロントダクト10を通じて車両用空調装置1に接続されている。同様に、リア吹き出し口8は、リアダクト11を通じて車両用空調装置1に接続されている。そして、車両用空調装置1で暖められた、あるいは冷却された空気は、運転室100内に設置された各吹き出し口から送出され、運転室100内の温度を調節し、あるいはフロントガラス9の曇りを防止する。
【0020】
図2は、車両用空調装置1の全体構成を示す構成図である。図2に示すように、車両用空調装置1は、主に機械的構成からなる空調機器20と、この空調機器20を制御する制御部60とを有する。
【0021】
まず、空調機器20の冷凍サイクルRの構成を説明する。車両用空調装置1の冷凍サイクルRは閉回路で構成され、その閉回路はコンプレッサ21より時計回りにコンデンサ25、レシーバ26、膨張弁27、およびエバポレータ28を含む。そして、コンプレッサ21は、冷媒を圧縮して高圧ガスにする。また、コンプレッサ21は、ベルト22を介して車載エンジン23より伝わる動力断続用の電磁クラッチ24を備える。コンデンサ25は、コンプレッサ21より送られてきた高温、高圧の冷媒ガスを冷却し、液化させる。レシーバ26は、液化された冷媒ガスを貯蔵し、冷凍サイクルR内を循環する冷媒の量を調節する。また、冷却性能の低下を防ぐため、液化された冷媒に含まれるガス状の気泡を取り除き、完全に液化された冷媒のみを膨張弁27へ送る。膨張弁27は、液化された冷媒を断熱膨張させて低温、低圧化し、エバポレータ28へ送る。エバポレータ28は、低温、低圧化された冷媒と、エバポレータ28に送り込まれた空気との間で熱交換を行ってその空気を冷却する。
【0022】
次に、空調機器20の空調ケース30内の構成について説明する。エバポレータ28の上流側には、ブロワファン31が配置されている。ブロワファン31は遠心式送風ファンで構成され、駆動用モータ32により回転駆動される。ブロワファン31の吸入側には、内外気切替箱34が配置される。内外気切替箱34内には、内外気サーボモータ36で駆動される内外気切替ドア35が配置される。そして内外気切替ドア35は、内気吸込口3と外気吸込口4とを切り替えて開閉する。そして、内気吸込口3又は外気吸込口4から取り込まれた空気は、内外気切替箱34を経由して、ブロアファン31によってエバポレータ28へ送られる。なお、ブロアファン31の回転速度を調整することにより、車両用空調装置1から送出される風量を調節することができる。
【0023】
エバポレータ28の下流側には、エバポレータ28側から順に、エアミックスドア37、およびヒータコア38が配置される。ヒータコア38には、ヒータコア38を通る空気を暖めるために、車載エンジン23の冷却に使用された冷却水が循環供給される。また、空調ケース30には、ヒータコア38をバイパスするバイパス通路39が形成されている。エアミックスドア37は、温調サーボモータ40により回動され、各吹き出し口から送出される空気を所定の温度にするために、ヒータコア38を通過する通路41からの温風とバイパス通路39を通過する冷風との風量割合を調整する。
【0024】
さらに、バイパス通路39を経由した冷風と、ヒータコア38を通過する通路41からの温風とが混合される空気混合部42の下流側には、フット吹き出し口5を開閉するフットドア44と、フェイス開口部6、リア開口部8などへ通じるダクト45の入口を開閉するダクト開閉ドア46が配置される。さらに、ダクト45内には、フェイス開口部6及びデフロスタ開口部7へ通じるフロントダクト10と、リア開口部8へ通じるリアダクト11へ流れる空気量を調節するフロント・リア配風調整ドア47が配置される。各ドア44、46及び47は、モードサーボモータ48により駆動される。
【0025】
次に、車両用空調装置1が有する各種センサについて説明する。内気温センサ51は、運転室内の温度Tiを測定するために、内外気切替箱34の内気吸込口3側の開口部に設置される。また、外気温センサ52は、運転室外の温度Toを測定するために、運転室の周囲に設置される。なお、外気温センサ52を、コンデンサ25の外側前面に設置してもよい。また、エバポレータ出口温度センサ53は、エバポレータ28から吹き出される空気の温度(エバポレータ吹出温度Te)を測定するために、エバポレータ28のエアミックスドア37側の空気通路の出口近傍に設置される。さらに、ヒータコア38へのエンジン冷却水の流入口近傍には、その冷却水の水温Twを測定するためのヒータ入口水温センサ54が設置される。
【0026】
また、レシーバ26の出口近傍には、冷凍サイクルR内を循環する冷媒の圧力Pを測定するための圧力センサ55が取り付けられる。さらに、運転室内に照りつける日射光の強さLを測定するために、日射センサ56が運転室内のフロントガラス近傍に取り付けられる。なお、日射センサ56は照度センサで構成される。
【0027】
上記の各センサ51〜56は、制御部60と通信可能に接続され、各センサで取得された測定値は、制御部60へ送信される。そして制御部60は、それら測定値と、A/C操作パネル(図示せず)から取得された操作信号に基づいて、電磁クラッチ24を制御してコンプレッサ21のON/OFF切り換えを行ったり、ブロアファン31の回転数調整のために駆動用モータ32を制御する。また制御部60は、内外気サーボモータ36、温調サーボモータ40及びモードサーボモータ48を制御して各ドアの開度を調節する。これらの制御を行うことによって、運転室内の温度を、運転者の設定温度に近づけるように、各吹き出し口から送出される温風又は冷風の温度及び風量を調節する。
【0028】
図3は、車両用空調装置1の制御部60の機能ブロック図である。
制御部60は、図示していないCPU,ROM,RAM等からなる1個もしくは複数個の図示してないマイクロコンピュータ、その周辺回路、および電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ等の記憶部61から構成される。
【0029】
制御部60は、このマイクロコンピュータによる機能モジュールとして、温度調節部62、風量調節部63、負荷状態判定部64、コンプレッサ制御部65及び異常検出部66を有する。以下、これら各部について説明する。
【0030】
温度調節部62は、A/C操作パネルから取得した設定温度Ts及び各温度センサ51〜53、水温センサ54及び日射センサ56の測定信号に基づいて、内外気切替ドア35、エアミックスドア37及び各吹き出し口からの風量を調節するドア44、46,47の開度を決定し、各ドアを駆動するサーボモータへ、各ドアの開度が設定された位置になるように制御信号を送信する。例えば、エアミックスドア37の開度は、内気温Tiと設定温度Tsの差を、外気温To、日射量Lなどで補正した値を入力とし、エアミックスドア37の開度を出力とする関係式に基づいて決定される。ここで、エアミックスドア37の開度を、一定の時間間隔(例えば、1秒間隔)毎に判定するものとし、過去の判定時における各測定値も考慮することで、安定した制御を行うことができる。そのような制御を行うための各測定値とエアミックスドア37の開度の関係式を以下に示す。
【数1】
上式において、Doは、エアミックスドア37の開度を表す。また、係数α、β、γ、a、bは定数であり、Tsj、Tij、Toj、Lj(j=1、2,...,n)は、それぞれ、j回目の測定時点における設定温度、内気温、外気温及び日射量を表す。ただし、エアミックスドア37の開度Doは、ヒータコア38を経由する通路41を閉じた状態(すなわち、冷房のみが動作する状態)を100%、バイパス通路39を閉じた状態(すなわち、暖房のみが動作する状態)を0%として設定される。
なお、温度調節部62は、各ドアの開度を、他の周知の制御方法を用いて決定してもよい。
【0031】
風量調節部63は、A/C操作パネルから取得した設定温度、風量設定及び各温度センサ51〜53及び日射センサ56の測定信号に基づいて、ブロアファン31の回転速度を決定する。そして、駆動モータ32へ、ブロアファン31の回転速度が設定値になるように制御信号送信する。例えば、風量設定が手動設定になっている場合には、風量調節部63は、A/C操作パネルから取得した風量設定値となるようにブロアファン31の回転速度を決定する。また、風量設定が自動設定になっている場合には、風量調節部63は、内気温、内気温と設定温度との差などと風量との関係を表す関係式にしたがってブロアファン31の回転速度を決定する。このような関係式は予め設定され、制御部60において実行されるコンピュータプログラムに組み込まれている。なお、風量調節部63は、他の周知の方法を用いて、ブロアファン31の回転速度を決定することもできる。
【0032】
負荷状態判定部64は、A/C操作パネルから取得した設定温度Ts及び各温度センサ51〜53及び日射センサ56の測定信号に基づいて、車両用空調装置1の負荷状態が、暖房を行う暖房負荷に相当するのか、冷房を行う冷房負荷に相当するのかを判定する。後述するように、車両空調装置1の負荷状態を知ることにより、車両空調装置1が暖房負荷の場合のみ、コンプレッサの停止条件を緩和するように設定できるので、冷房時において冷凍サイクルRが頻繁に停止することを防止しつつ、暖房時には可能な限り冷凍サイクルRを停止できるようになる。
【0033】
負荷状態判定部64は、例えば、設定温度Tsが内気温Tiよりも高い場合、暖房負荷と判定し、逆に内気温Tiが設定温度Ts以上であれば、暖房負荷でないと判定する。あるいは、負荷状態判定部64は、上記の温度調節部62で求めたエアミックスドア37の開度に基づいて暖房負荷か否かを判定してもよい。例えば、エアミックスドア37の開度が、バイパス通路39よりもヒータコア38側の通路41の方が広くなる状態に設定されている場合、暖房負荷と判定し、そうでない場合、暖房負荷でないと判定する。
なお、暖房/冷房の設定が運転者による手動設定となっている場合には、負荷状態判定部64は、A/C操作パネルからの暖房/冷房切替信号を参照して暖房負荷か否かを判定する。
判定結果は、例えば1ビットの2値変数として与えられ、制御部60の他の部で参照可能なように、記憶部61に記憶される。
【0034】
コンプレッサ制御部65は、車両用空調装置1の負荷状態、エバポレータ出口温度Te及びヒータコア38入口の水温Tw等に基づいて、コンプレッサのON/OFFを制御する。なお、エバポレータ28は、0℃以下に低下するとフロストする。エバポレータ28がフロストすると、エバポレータ28のフィン間に霜が生じて空気の通りが非常に悪くなるため、十分な熱交換を行うことができなくなる。そのため、コンプレッサ制御部65は、エバポレータ28をフロストさせないために、エバポレータ出口温度Teがフロスト限界温度Tfにまで低下すると、コンプレッサ21を停止する。例えば、フロスト限界温度Tfは、約1℃に設定される。
【0035】
また、暖房時においては、除湿または防曇目的のために冷凍サイクルRを稼動させると、エバポレータ28によって冷却された空気がヒータコア38を通過することにより、エンジン冷却水が冷却されて十分な暖房効果が得られなくなる場合がある。そこでコンプレッサ制御部65は、冷却水の水温Twが所定の温度Tw2以下の場合には、コンプレッサを停止する閾値温度Toffをフロスト限界温度Tfよりも高く設定する。このように、コンプレッサの停止条件を緩和することにより、暖房中に冷凍サイクルRが稼動する時間が減少し、車両用空調装置1は、十分な暖房能力を発揮することができる。さらに、コンプレッサが稼動している時間も短くなるので、その分だけ車載エンジンにかかる負荷も低減し、燃料消費量を抑制することができる。
【0036】
図4に、本実施形態における、冷却水の水温Twとコンプレッサを停止する閾値温度Toffの関係を示す。図4において、グラフの横軸は冷却水の水温Twを表し、グラフの縦軸は閾値温度を表す。実線で示されたグラフ401は、冷却水の水温Twによって求められる閾値温度Toffを表す。図4に示すように、冷却水の水温Twが、所定の水温Tw2よりも高い場合、ヒータコア38に供給される空気が冷却されていても、十分な暖房能力を得ることができるため、閾値温度Toffはフロスト限界温度Tfと等しく設定される。冷却水の水温Twが水温Tw2以下になると、閾値温度Toffは水温Twの低下にしたがって徐々に高くなる。そして、水温Twが所定の水温Tw1以下となると、閾値温度Toffは一定となる。
【0037】
本実施形態において、Tw2は、閾値温度Toffをフロスト限界温度Tfと等しくした場合に、フット吹き出し口5から送出される温風を所定の温度(例えば、40℃)以上に維持可能な最低水温に設定した。また、Tw1は、上記の温風の温度を所定の温度に保ったまま、水温Twを下げていった場合において、エバポレータ出口温度Teが運転室のフロントガラスの防曇を行うための限界温度Tdまで上昇したときの水温に設定した。特に、建設機械の場合、運転室内には通常一人しか搭乗できず、一般の乗用車と比較して水蒸気の発生源が少ない。さらに、建設機械は低速でしか移動できないため、運転室のフロントガラスが外気によって冷却される度合いも、乗用車と比べて低い。したがって、防曇のために要求される冷凍サイクルRの能力は比較的低くて済むため、上記の限界温度Tdは、比較的高くなる。そのため、本実施形態では、フロントガラスの防曇を行いつつ、暖房を行う際に、十分な暖房能力の向上を達成することができる。なお、Tw1、Tw2は、上記の温度に限られない。例えば、暖房能力を優先する場合には、Tw2を上記の値よりも数度高く設定してもよい。また、防曇能力を優先する場合には、上記の防曇可能な限界温度Tdよりもエバポレータ出口温度Teが低いところで閾値温度Toffが一定となるように、Tw1を上記の値よりも数度高く設定してもよい。
【0038】
コンプレッサ制御部65は、上記の図4のグラフに示すような関係式を組み込んだプログラムに従って動作する。そして、記憶部61に記憶された負荷状態が暖房負荷である場合、ヒータ入口水温センサ54から取得した水温Twに基づいて、上記関係式にしたがって閾値温度Toffを決定する。そして、エバポレータ出口温度Teが求めた閾値温度Toff以下の場合にはコンプレッサ21を停止させる(すなわち、電磁クラッチ24を切離して車載エンジン23からコンプレッサ21に動力が伝達されないようにする)。一方、エバポレータ出口温度Teが閾値温度Toffよりも高い場合は、コンプレッサ21の稼動を継続する。
なお、コンプレッサ制御部65は、水温Twが上記の温度Tw2よりも低い場合、閾値温度Toffを、フロスト限界温度Tfに一定のバイアス温度を加えた値に設定するようにしてもよい。
【0039】
また、記憶部61に記憶された負荷状態が暖房負荷でない場合、コンプレッサ制御部65は、エバポレータ出口温度Teがフロスト限界温度Tf以下の場合にコンプレッサ21を停止させる。一方、エバポレータ出口温度Teがフロスト限界温度Tfよりも高い場合は、コンプレッサ21の稼動を継続する。
【0040】
一度コンプレッサ21を停止させると、コンプレッサ制御部65は、エバポレータ28が或る程度暖まってからコンプレッサ21を再稼動させる(すなわち、電磁クラッチ24を接続して車載エンジン23からコンプレッサ21に動力が伝達されるようにする)。そのため、コンプレッサ制御部65は、コンプレッサ21を停止させる閾値温度よりも所定温度高くした温度を、コンプレッサ作動開始温度Tonとして設定する。例えば、コンプレッサ作動開始温度Tonは、暖房負荷時には閾値温度Toffに、暖房負荷でない場合には、フロスト限界温度Tfに5℃加えた値とすることができる。コンプレッサ制御部65は、エバポレータ出口温度Teをコンプレッサ作動開始温度Tonとを比較して、エバポレータ出口温度Teがコンプレッサ作動開始温度Tonを超えた場合、コンプレッサ21を稼動させる。
【0041】
異常検出部66は、冷凍サイクルRを循環する冷媒の圧力を調べることにより、冷凍サイクルRに生じた異常を検出する。そのために、異常検出部66は、圧力センサ55で測定された冷媒の圧力Pが、予め定められた上限閾値を超えた場合、又は予め定められた下限閾値を下回った場合、冷凍サイクルRに異常が生じたと判定する。そして、冷凍サイクルRに異常が生じたと判定した場合、異常検出部66は、電動クラッチ24を切り離し、コンプレッサ21を停止する。また、異常が生じたことを例えば運転室内の運転操作パネル(図示せず)に表示するようにしてもよい。
【0042】
以下、図5及び図6に示したフローチャートを参照しつつ、本発明を適用した車両用空調装置1のコンプレッサ21の制御動作について説明する。ここで説明する制御動作は、主として車両用空調装置1が自動運転を行う場合に実施される。なお、コンプレッサ21の制御動作は、制御部60により、制御部60に組み込まれたコンピュータプログラムにしたがって行われる。
【0043】
図5に示すように、まず、A/C操作パネルから、車両用空調装置1を稼動させる信号を受け取ると、制御部60は、車両用空調装置1を稼動させる。そして、防曇又は冷房を行うために、コンプレッサ21を作動させる(ステップS101)。車両用空調装置1の稼動開始後、制御部60は、設定温度Ts、外気温To、内気温Ti、エバポレータ出口温度Te、ヒータ入口水温Tw、冷媒圧力P、日射量Lを各センサ等から取得する(ステップS102)。そして、制御部60の異常検出部66は、上記のように、圧力センサ55から取得した冷凍サイクルRの冷媒圧力Pが、所定の範囲内に収まるか否かを判定する(ステップS103)。冷媒圧力Pが、所定の範囲内に収まらない場合、冷凍サイクルRは異常と判定し、コンプレッサ21を停止させ(ステップS104)、車両用空調装置1を停止する。一方、ステップS103において、冷媒圧力Pが所定の範囲内に収まる場合、冷凍サイクルRは正常と判定する。
【0044】
図6に示すように、冷凍サイクルRが正常と判定された場合、制御部60の負荷状態判定部64は、車両用空調装置1が暖房負荷の状態(すなわち、暖房運転を実施している状態)か否か判定する(ステップS105)。負荷状態が暖房負荷でない場合、制御部60のコンプレッサ制御部65は、エバポレータ出口温度Teとフロスト限界温度Tfとを比較する(ステップS106)。そして、エバポレータ出口温度Teがフロスト限界温度Tfよりも高ければ、制御をステップS102の前に戻す。そして、所定期間経過後、再度ステップS102以下の処理を行う。一方、エバポレータ出口温度Teがフロスト限界温度Tf以下であれば、エバポレータのフロストを避けるためにコンプレッサ21を停止させる(ステップS109)。
【0045】
また、ステップS105において、負荷状態が暖房負荷と判定されると、コンプレッサ制御部65は、上記のように、ヒータコア38の入口での冷却水の水温Twに基づいて閾値温度Toffを決定する(ステップS107)。そして、エバポレータ出口温度Teと比較する(ステップS108)。エバポレータ出口温度Teが閾値温度Toffよりも高ければ、制御をステップS102の前に戻す。そして、所定期間経過後、再度ステップS102以下の処理を行う。一方、エバポレータ出口温度Teが閾値温度Toff以下であれば、ヒータコア38を循環するエンジン冷却水の温度低下を避けるために、コンプレッサ21を停止させる(ステップS109)。
【0046】
ステップS109の後、所定時間経過後、コンプレッサ制御部65は、エバポレータ出口温度Teとコンプレッサ作動開始温度Tonとを比較する(ステップS110)。そして、エバポレータ出口温度Teがコンプレッサ作動開始温度Tonを超えた場合、コンプレッサ21を稼動させる(ステップS111)。一方、エバポレータ出口温度Teが作動開始温度Ton以下の場合、コンプレッサ21を停止させたまま、制御をステップS110の前に戻し、所定時間経過後、再度ステップS110の処理を実行する。
【0047】
以上説明してきたように、本発明を適用した車両用空調装置は、ヒータコアに供給されるエンジン冷却水の温度を参照して、コンプレッサを停止させる閾値温度をエバポレータのフロスト限界温度よりも高く設定することにより、コンプレッサが停止している期間を長くして、ヒータコアへ流入する空気温度の低下を防ぎ、その結果として暖房能力を向上させることができる。また、コンプレッサが停止している期間を長くすることができるので、燃費を向上させることができる。さらに、空調装置に掛かる負荷が暖房負荷か否かを判定して、暖房負荷でない場合には閾値温度をフロスト限界温度に固定することで、冷房時にはコンプレッサを停止し難くし、十分な冷房を行うことができる。
【0048】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、コンプレッサ21を停止する閾値温度Toffを決定する際、ヒータコア38の入口での冷却水の水温を参照する代わりに、ヒータコア38の出口での冷却水の温度、車載エンジン23の近傍での冷却水の水温あるいは車載エンジン23の回転数を用いてもよい。これらの値は、ヒータコア38の入口での冷却水の水温Twと一定の相関性を有するため、その相関関係に従ってヒータ入口水温Twを推定することにより、冷却水温度Twと同様に扱うことができる。また、エバポレータ出口温度Teの代わりに、エバポレータ28の冷却フィン又はチューブの表面温度や、エバポレータ28の冷凍サイクルRの出口近傍での冷媒圧力とコンプレッサ21の回転速度の相関関係で求まる値を用いてもよい。さらに、コンプレッサ21として可変容量コンプレッサを使用する場合には、コンプレッサの容積をエバポレータ出口温度Teの代わりに用いてもよい。これらの値も、エバポレータ出口温度Teと一定の相関性を有するため、その相関関係に従ってエバポレータ出口温度Teを推定することにより、エバポレータ出口温度Teと同様に扱うことができる。
【0049】
また、上記の実施形態では、エバポレータ出口温度Teが閾値温度Toff以下となると、コンプレッサを停止させるように制御を行ったが、エバポレータ出口温度Teが閾値温度Toff以下で且つフロスト限界温度Tfより高い場合には、コンプレッサの回転速度を低下させるなど、コンプレッサの能力を低下させるように制御するようにしてもよい。
【0050】
さらに、上記の水温がTw2以下となる場合、風量調節部63は、ブロアファン31の回転速度を低下させ、各吹き出し口から送出される風量を減らすことで、各吹き出し口から吹き出される空気の温度を上げるように制御を行ってもよい。このように制御を行うことで、暖房時の運転者のフィーリングをより向上させることができる。
【0051】
上記のように、本発明の範囲内で様々な修正を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明を適用した車両用空調装置を備えた車両の運転室の構成を示す構成図である。
【図2】本発明を適用した車両用空調装置の全体構成を示す構成図である。
【図3】車両用空調装置の制御部の機能ブロック図である。
【図4】冷却水の水温とコンプレッサを停止する閾値温度の関係を示すグラフである。
【図5】本発明を適用した車両用空調装置のコンプレッサ制御動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明を適用した車両用空調装置のコンプレッサ制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1 車両用空調装置
2 シート
3 内気吸込口
4 外気吸込口
5 フット吹き出し口
6 フェイス吹き出し口
7 デフロスタ吹き出し口
8 リア吹き出し口
9 フロントガラス
10 フロントダクト
11 リアダクト
20 空調機器
21 コンプレッサ
22 ベルト
23 車載エンジン
24 電磁クラッチ
25 コンデンサ
26 レシーバ
27 膨張弁
28 エバポレータ
30 空調ケース
31 ブロアファン
32 駆動用モータ
34 内外気切替箱
35 内外気切替ドア
36 内外気サーボモータ
37 エアミックスドア
38 ヒータコア
39 バイパス通路
40 温調サーボモータ
41 通路
42 空気混合部
44 フットドア
45 ダクト
46 ダクト開閉ドア
47 フロント・リア配風調整ドア
48 モードサーボモータ
51 内気温センサ
52 外気温センサ
53 エバポレータ出口温度センサ
54 ヒータ入口水温センサ
55 圧力センサ
56 日射センサ
60 制御部
61 記憶部
62 温度調節部
63 風量調節部
64 負荷状態判定部
65 コンプレッサ制御部
66 異常検出部
100 運転室
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置およびその制御方法に関し、特に、運転室内の暖房と窓の防曇とを同時に行う車両用空調装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の排ガス規制の強化などにより、油圧ショベルなどの建設機械に搭載されるエンジンについても、発熱量が抑制される傾向にある。そのため、エンジンの冷却用水を利用したヒータコアにより、室内に吹き出す空気を暖めて暖房を行う車両用空調装置では、特に冬場のアイドリング時において、冷却用水の温度が低く、十分な暖房温度を得難い場合がある。また、このような空調装置では、防曇のために、暖房中でも冷凍サイクルを稼動させ、冷凍サイクルを構成するエバポレータで熱交換を行わせる。この場合、エバポレータで冷却された空気がヒータコアに流入するため、さらに冷却用水の温度を下げることとなり、さらに暖房温度を低下させる原因となっていた。特に建設機械では、外気フィルタの目詰まり防止のために、空調装置に供給する空気を全て外気から取得するフル外気モードが準備されていないことが多い。そのため、空調装置には室内からも空気が吸入され、エバポレータがフロストする温度まで下がり難くなり、冷凍サイクルが稼動し続けることとなる。したがって、一般の乗用車用の空調装置と比較して、冷凍サイクルが稼動している期間が長くなり、それだけ余分にエバポレータによって冷却された空気がヒータコアに流れ込むため、冷却用水の温度がさらに低下して、暖房能力が低下する。
【0003】
上記のような問題点を解決するために、冷却水の水温が低い場合には、アイドリング時及び停車時のエンジンの回転速度を高めに調整してその水温を上昇させることにより、十分な暖房能力が得られるようにした暖機制御装置が開発されている(特許文献1参照)。しかし、特許文献1に記載された暖機制御装置は、エンジンの回転速度を上昇させるように制御を行うため、エンジンから発生する騒音が増加し、また燃費が悪くなるという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−324531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述した従来技術による問題点を解消することを可能とする空調装置およびその制御方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、車窓の防曇を達成しつつ、十分な暖房能力を発揮することが可能な空調装置およびその制御方法を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、エンジンによる騒音の増大及び燃費効率を低下させることなく、十分な暖房能力を発揮することが可能な空調装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1の記載によれば、本発明に係る車両用空調装置は、冷媒を圧縮するコンプレッサ(21)と、冷媒と空気との間で熱交換を行うエバポレータ(28)等で構成される冷凍サイクルと、エバポレータ(28)を経由した空気を熱するヒータコア(38)と、エバポレータ(28)の温度に関する情報を取得する第1のセンサ(53)と、ヒータコア(38)に熱供給する媒体の温度に関する情報を取得する第2のセンサ(54)と、コンプレッサ(21)を制御するコンプレッサ制御部(65)とを有する空調装置が提供される。その空調装置において、コンプレッサ制御部(65)は、第1のセンサ(53)から取得した情報に基づいて推定されるエバポレータ温度が、所定の閾値温度以下の場合、コンプレッサ(21)による冷媒の圧縮率を低下させ、且つ第2のセンサ(54)から取得した情報に基づいて推定される媒体温度が第1の所定値以下の場合、閾値温度をエバポレータ(28)のフロスト限界温度よりも高く設定することを特徴とする。係る構成により、ヒータコアに熱供給する媒体の温度が低い場合には、冷凍サイクルが停止し易くなるので、媒体の温度低下を抑制することができ、その結果として暖房能力が向上する。なお、冷媒の圧縮率とは、コンプレッサから出る冷媒の圧力をコンプレッサに流入する冷媒の圧力で除した値をいう。また、冷媒の圧縮率を低下させることには、冷媒の圧縮そのものを停止すること、すなわち、コンプレッサを停止することも含む。
【0009】
また、請求項2に記載のように、第1の所定値は、エバポレータ温度がフロスト限界温度の場合に空調装置から送出される空気の温度を所定値以上とすることができる媒体温度の最低温度であることが好ましい。第1の所定値を係る温度に設定することにより、媒体温度低下による暖房能力の低下を抑制しつつ、高い防曇能力を維持することができる。
【0010】
また、請求項3に記載のように、コンプレッサ制御部(65)は、閾値温度を、媒体温度が第1の所定値よりも低くなるにつれて高く設定することが好ましい。係る構成により、媒体温度が低下するほど冷凍サイクルも停止し易くなるので、媒体温度の低下による暖房能力の低下を効率よく抑制できる。
【0011】
また、請求項4に記載のように、コンプレッサ制御部(65)は、媒体温度が第1の所定値よりも低い第2の所定値以下の場合、閾値温度を一定に設定することが好ましい。
さらに、請求項5に記載のように、第2の所定値は、空調装置が空調を行う区域に設けられた窓の防曇が可能なエバポレータ(28)の最高温度であることが好ましい。係る構成により、媒体温度が非常に低い場合であっても、暖房とともに防曇を行うことができる。
【0012】
さらに、請求項6に記載のように、空調装置に対する負荷が暖房負荷か否かを判定する負荷状態判定部(64)をさらに有し、負荷状態判定部(64)が空調装置に対する負荷が暖房負荷でないと判定した場合、コンプレッサ制御部(65)は、閾値温度をエバポレータ(28)のフロスト限界温度に設定することが好ましい。係る構成により、例えば、空調装置が冷房動作をしている場合において、冷凍サイクルが頻繁に停止して十分な冷房を行えなくなることを防止することができる。
【0013】
また、本発明の請求項7の記載によれば、上記の何れかに記載の空調装置を有し、その空調装置で運転室内の空調を行う建設機械が提供される。
【0014】
また、本発明の請求項8の記載によれば、冷媒を圧縮するコンプレッサ(21)と、冷媒と空気との間で熱交換を行うエバポレータ(28)等から構成される冷凍サイクルと、エバポレータ(28)を経由した空気を熱するヒータコア(38)とを有する空調装置の制御方法が提供される。その制御方法は、エバポレータ(28)の温度を取得するステップ(S102)と、媒体温度を取得するステップ(S102)と、媒体温度に基づいてコンプレッサ(21)による冷媒の圧縮率を低下させるか否かの閾値温度を設定するステップ(S107)と、エバポレータ(28)の温度が閾値温度以下の場合、コンプレッサ(21)による冷媒の圧縮率を低下させるステップ(S109)とを有し、閾値温度を設定するステップ(S107)は、媒体温度が第1の所定値以下の場合、閾値温度をエバポレータ(28)のフロスト限界温度よりも高く設定することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の請求項9の記載によれば、閾値温度を設定するステップ(S107)は、媒体温度が第1の所定値よりも低くなるにつれて、閾値温度を高く設定することが好ましい。
【0016】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を適用した車両用空調装置について説明する。
本発明を適用した車両用空調装置は、ヒータコアに供給されるエンジン冷却水の温度を参照して、運転室の窓ガラスやドアの防曇を行える範囲で冷凍サイクルのコンプレッサが停止するエバポレータ温度をエバポレータのフロスト防止のための閾値温度よりも高い値に設定することにより、コンプレッサが停止している期間を長くする。このようにコンプレッサを制御することにより、ヒータコアへ流入する空気温度の低下を極力防止する。その結果として暖房能力を向上させることができる。また、コンプレッサが停止している期間を長くすることができるので、燃費を向上させることもできる。
【0018】
図1は、本発明を適用した車両用空調装置1を備えた建設用車両の運転室100の概略構成図である。
【0019】
図1に示すように、運転室100内には、運転者用のシート2が設けられ、その下部後方に車両用空調装置1が配置されている。そして、車両用空調装置1は、それに近接し、運転室100内に向けて開口された内気吸込口3から運転室100内の空気を取り込む。同様に、車両用空調装置1に近接して配置され、運転室100外に向けて開口された外気吸込口4から車外の空気を取り込む。そして、車両用空調装置1は、内気吸込口3又は外気吸込口4から取り込んだ空気を暖め、あるいは冷却する。また、運転室100内には、シート2の足元に設けられたフット吹き出し口(FOOT)5、フロントガラス9の近傍に設けられ、運転者に向けて開口されたフェイス吹き出し口(FACE)6、フロントガラス9に向けて開口されたデフロスタ吹き出し口(DEF)7及びシート2の後方から上方に向けて開口されたリア吹き出し口(REAR)8が設置されている。また、フェイス吹き出し口6及びデフロスタ吹き出し口7は、フロントダクト10を通じて車両用空調装置1に接続されている。同様に、リア吹き出し口8は、リアダクト11を通じて車両用空調装置1に接続されている。そして、車両用空調装置1で暖められた、あるいは冷却された空気は、運転室100内に設置された各吹き出し口から送出され、運転室100内の温度を調節し、あるいはフロントガラス9の曇りを防止する。
【0020】
図2は、車両用空調装置1の全体構成を示す構成図である。図2に示すように、車両用空調装置1は、主に機械的構成からなる空調機器20と、この空調機器20を制御する制御部60とを有する。
【0021】
まず、空調機器20の冷凍サイクルRの構成を説明する。車両用空調装置1の冷凍サイクルRは閉回路で構成され、その閉回路はコンプレッサ21より時計回りにコンデンサ25、レシーバ26、膨張弁27、およびエバポレータ28を含む。そして、コンプレッサ21は、冷媒を圧縮して高圧ガスにする。また、コンプレッサ21は、ベルト22を介して車載エンジン23より伝わる動力断続用の電磁クラッチ24を備える。コンデンサ25は、コンプレッサ21より送られてきた高温、高圧の冷媒ガスを冷却し、液化させる。レシーバ26は、液化された冷媒ガスを貯蔵し、冷凍サイクルR内を循環する冷媒の量を調節する。また、冷却性能の低下を防ぐため、液化された冷媒に含まれるガス状の気泡を取り除き、完全に液化された冷媒のみを膨張弁27へ送る。膨張弁27は、液化された冷媒を断熱膨張させて低温、低圧化し、エバポレータ28へ送る。エバポレータ28は、低温、低圧化された冷媒と、エバポレータ28に送り込まれた空気との間で熱交換を行ってその空気を冷却する。
【0022】
次に、空調機器20の空調ケース30内の構成について説明する。エバポレータ28の上流側には、ブロワファン31が配置されている。ブロワファン31は遠心式送風ファンで構成され、駆動用モータ32により回転駆動される。ブロワファン31の吸入側には、内外気切替箱34が配置される。内外気切替箱34内には、内外気サーボモータ36で駆動される内外気切替ドア35が配置される。そして内外気切替ドア35は、内気吸込口3と外気吸込口4とを切り替えて開閉する。そして、内気吸込口3又は外気吸込口4から取り込まれた空気は、内外気切替箱34を経由して、ブロアファン31によってエバポレータ28へ送られる。なお、ブロアファン31の回転速度を調整することにより、車両用空調装置1から送出される風量を調節することができる。
【0023】
エバポレータ28の下流側には、エバポレータ28側から順に、エアミックスドア37、およびヒータコア38が配置される。ヒータコア38には、ヒータコア38を通る空気を暖めるために、車載エンジン23の冷却に使用された冷却水が循環供給される。また、空調ケース30には、ヒータコア38をバイパスするバイパス通路39が形成されている。エアミックスドア37は、温調サーボモータ40により回動され、各吹き出し口から送出される空気を所定の温度にするために、ヒータコア38を通過する通路41からの温風とバイパス通路39を通過する冷風との風量割合を調整する。
【0024】
さらに、バイパス通路39を経由した冷風と、ヒータコア38を通過する通路41からの温風とが混合される空気混合部42の下流側には、フット吹き出し口5を開閉するフットドア44と、フェイス開口部6、リア開口部8などへ通じるダクト45の入口を開閉するダクト開閉ドア46が配置される。さらに、ダクト45内には、フェイス開口部6及びデフロスタ開口部7へ通じるフロントダクト10と、リア開口部8へ通じるリアダクト11へ流れる空気量を調節するフロント・リア配風調整ドア47が配置される。各ドア44、46及び47は、モードサーボモータ48により駆動される。
【0025】
次に、車両用空調装置1が有する各種センサについて説明する。内気温センサ51は、運転室内の温度Tiを測定するために、内外気切替箱34の内気吸込口3側の開口部に設置される。また、外気温センサ52は、運転室外の温度Toを測定するために、運転室の周囲に設置される。なお、外気温センサ52を、コンデンサ25の外側前面に設置してもよい。また、エバポレータ出口温度センサ53は、エバポレータ28から吹き出される空気の温度(エバポレータ吹出温度Te)を測定するために、エバポレータ28のエアミックスドア37側の空気通路の出口近傍に設置される。さらに、ヒータコア38へのエンジン冷却水の流入口近傍には、その冷却水の水温Twを測定するためのヒータ入口水温センサ54が設置される。
【0026】
また、レシーバ26の出口近傍には、冷凍サイクルR内を循環する冷媒の圧力Pを測定するための圧力センサ55が取り付けられる。さらに、運転室内に照りつける日射光の強さLを測定するために、日射センサ56が運転室内のフロントガラス近傍に取り付けられる。なお、日射センサ56は照度センサで構成される。
【0027】
上記の各センサ51〜56は、制御部60と通信可能に接続され、各センサで取得された測定値は、制御部60へ送信される。そして制御部60は、それら測定値と、A/C操作パネル(図示せず)から取得された操作信号に基づいて、電磁クラッチ24を制御してコンプレッサ21のON/OFF切り換えを行ったり、ブロアファン31の回転数調整のために駆動用モータ32を制御する。また制御部60は、内外気サーボモータ36、温調サーボモータ40及びモードサーボモータ48を制御して各ドアの開度を調節する。これらの制御を行うことによって、運転室内の温度を、運転者の設定温度に近づけるように、各吹き出し口から送出される温風又は冷風の温度及び風量を調節する。
【0028】
図3は、車両用空調装置1の制御部60の機能ブロック図である。
制御部60は、図示していないCPU,ROM,RAM等からなる1個もしくは複数個の図示してないマイクロコンピュータ、その周辺回路、および電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ等の記憶部61から構成される。
【0029】
制御部60は、このマイクロコンピュータによる機能モジュールとして、温度調節部62、風量調節部63、負荷状態判定部64、コンプレッサ制御部65及び異常検出部66を有する。以下、これら各部について説明する。
【0030】
温度調節部62は、A/C操作パネルから取得した設定温度Ts及び各温度センサ51〜53、水温センサ54及び日射センサ56の測定信号に基づいて、内外気切替ドア35、エアミックスドア37及び各吹き出し口からの風量を調節するドア44、46,47の開度を決定し、各ドアを駆動するサーボモータへ、各ドアの開度が設定された位置になるように制御信号を送信する。例えば、エアミックスドア37の開度は、内気温Tiと設定温度Tsの差を、外気温To、日射量Lなどで補正した値を入力とし、エアミックスドア37の開度を出力とする関係式に基づいて決定される。ここで、エアミックスドア37の開度を、一定の時間間隔(例えば、1秒間隔)毎に判定するものとし、過去の判定時における各測定値も考慮することで、安定した制御を行うことができる。そのような制御を行うための各測定値とエアミックスドア37の開度の関係式を以下に示す。
【数1】
上式において、Doは、エアミックスドア37の開度を表す。また、係数α、β、γ、a、bは定数であり、Tsj、Tij、Toj、Lj(j=1、2,...,n)は、それぞれ、j回目の測定時点における設定温度、内気温、外気温及び日射量を表す。ただし、エアミックスドア37の開度Doは、ヒータコア38を経由する通路41を閉じた状態(すなわち、冷房のみが動作する状態)を100%、バイパス通路39を閉じた状態(すなわち、暖房のみが動作する状態)を0%として設定される。
なお、温度調節部62は、各ドアの開度を、他の周知の制御方法を用いて決定してもよい。
【0031】
風量調節部63は、A/C操作パネルから取得した設定温度、風量設定及び各温度センサ51〜53及び日射センサ56の測定信号に基づいて、ブロアファン31の回転速度を決定する。そして、駆動モータ32へ、ブロアファン31の回転速度が設定値になるように制御信号送信する。例えば、風量設定が手動設定になっている場合には、風量調節部63は、A/C操作パネルから取得した風量設定値となるようにブロアファン31の回転速度を決定する。また、風量設定が自動設定になっている場合には、風量調節部63は、内気温、内気温と設定温度との差などと風量との関係を表す関係式にしたがってブロアファン31の回転速度を決定する。このような関係式は予め設定され、制御部60において実行されるコンピュータプログラムに組み込まれている。なお、風量調節部63は、他の周知の方法を用いて、ブロアファン31の回転速度を決定することもできる。
【0032】
負荷状態判定部64は、A/C操作パネルから取得した設定温度Ts及び各温度センサ51〜53及び日射センサ56の測定信号に基づいて、車両用空調装置1の負荷状態が、暖房を行う暖房負荷に相当するのか、冷房を行う冷房負荷に相当するのかを判定する。後述するように、車両空調装置1の負荷状態を知ることにより、車両空調装置1が暖房負荷の場合のみ、コンプレッサの停止条件を緩和するように設定できるので、冷房時において冷凍サイクルRが頻繁に停止することを防止しつつ、暖房時には可能な限り冷凍サイクルRを停止できるようになる。
【0033】
負荷状態判定部64は、例えば、設定温度Tsが内気温Tiよりも高い場合、暖房負荷と判定し、逆に内気温Tiが設定温度Ts以上であれば、暖房負荷でないと判定する。あるいは、負荷状態判定部64は、上記の温度調節部62で求めたエアミックスドア37の開度に基づいて暖房負荷か否かを判定してもよい。例えば、エアミックスドア37の開度が、バイパス通路39よりもヒータコア38側の通路41の方が広くなる状態に設定されている場合、暖房負荷と判定し、そうでない場合、暖房負荷でないと判定する。
なお、暖房/冷房の設定が運転者による手動設定となっている場合には、負荷状態判定部64は、A/C操作パネルからの暖房/冷房切替信号を参照して暖房負荷か否かを判定する。
判定結果は、例えば1ビットの2値変数として与えられ、制御部60の他の部で参照可能なように、記憶部61に記憶される。
【0034】
コンプレッサ制御部65は、車両用空調装置1の負荷状態、エバポレータ出口温度Te及びヒータコア38入口の水温Tw等に基づいて、コンプレッサのON/OFFを制御する。なお、エバポレータ28は、0℃以下に低下するとフロストする。エバポレータ28がフロストすると、エバポレータ28のフィン間に霜が生じて空気の通りが非常に悪くなるため、十分な熱交換を行うことができなくなる。そのため、コンプレッサ制御部65は、エバポレータ28をフロストさせないために、エバポレータ出口温度Teがフロスト限界温度Tfにまで低下すると、コンプレッサ21を停止する。例えば、フロスト限界温度Tfは、約1℃に設定される。
【0035】
また、暖房時においては、除湿または防曇目的のために冷凍サイクルRを稼動させると、エバポレータ28によって冷却された空気がヒータコア38を通過することにより、エンジン冷却水が冷却されて十分な暖房効果が得られなくなる場合がある。そこでコンプレッサ制御部65は、冷却水の水温Twが所定の温度Tw2以下の場合には、コンプレッサを停止する閾値温度Toffをフロスト限界温度Tfよりも高く設定する。このように、コンプレッサの停止条件を緩和することにより、暖房中に冷凍サイクルRが稼動する時間が減少し、車両用空調装置1は、十分な暖房能力を発揮することができる。さらに、コンプレッサが稼動している時間も短くなるので、その分だけ車載エンジンにかかる負荷も低減し、燃料消費量を抑制することができる。
【0036】
図4に、本実施形態における、冷却水の水温Twとコンプレッサを停止する閾値温度Toffの関係を示す。図4において、グラフの横軸は冷却水の水温Twを表し、グラフの縦軸は閾値温度を表す。実線で示されたグラフ401は、冷却水の水温Twによって求められる閾値温度Toffを表す。図4に示すように、冷却水の水温Twが、所定の水温Tw2よりも高い場合、ヒータコア38に供給される空気が冷却されていても、十分な暖房能力を得ることができるため、閾値温度Toffはフロスト限界温度Tfと等しく設定される。冷却水の水温Twが水温Tw2以下になると、閾値温度Toffは水温Twの低下にしたがって徐々に高くなる。そして、水温Twが所定の水温Tw1以下となると、閾値温度Toffは一定となる。
【0037】
本実施形態において、Tw2は、閾値温度Toffをフロスト限界温度Tfと等しくした場合に、フット吹き出し口5から送出される温風を所定の温度(例えば、40℃)以上に維持可能な最低水温に設定した。また、Tw1は、上記の温風の温度を所定の温度に保ったまま、水温Twを下げていった場合において、エバポレータ出口温度Teが運転室のフロントガラスの防曇を行うための限界温度Tdまで上昇したときの水温に設定した。特に、建設機械の場合、運転室内には通常一人しか搭乗できず、一般の乗用車と比較して水蒸気の発生源が少ない。さらに、建設機械は低速でしか移動できないため、運転室のフロントガラスが外気によって冷却される度合いも、乗用車と比べて低い。したがって、防曇のために要求される冷凍サイクルRの能力は比較的低くて済むため、上記の限界温度Tdは、比較的高くなる。そのため、本実施形態では、フロントガラスの防曇を行いつつ、暖房を行う際に、十分な暖房能力の向上を達成することができる。なお、Tw1、Tw2は、上記の温度に限られない。例えば、暖房能力を優先する場合には、Tw2を上記の値よりも数度高く設定してもよい。また、防曇能力を優先する場合には、上記の防曇可能な限界温度Tdよりもエバポレータ出口温度Teが低いところで閾値温度Toffが一定となるように、Tw1を上記の値よりも数度高く設定してもよい。
【0038】
コンプレッサ制御部65は、上記の図4のグラフに示すような関係式を組み込んだプログラムに従って動作する。そして、記憶部61に記憶された負荷状態が暖房負荷である場合、ヒータ入口水温センサ54から取得した水温Twに基づいて、上記関係式にしたがって閾値温度Toffを決定する。そして、エバポレータ出口温度Teが求めた閾値温度Toff以下の場合にはコンプレッサ21を停止させる(すなわち、電磁クラッチ24を切離して車載エンジン23からコンプレッサ21に動力が伝達されないようにする)。一方、エバポレータ出口温度Teが閾値温度Toffよりも高い場合は、コンプレッサ21の稼動を継続する。
なお、コンプレッサ制御部65は、水温Twが上記の温度Tw2よりも低い場合、閾値温度Toffを、フロスト限界温度Tfに一定のバイアス温度を加えた値に設定するようにしてもよい。
【0039】
また、記憶部61に記憶された負荷状態が暖房負荷でない場合、コンプレッサ制御部65は、エバポレータ出口温度Teがフロスト限界温度Tf以下の場合にコンプレッサ21を停止させる。一方、エバポレータ出口温度Teがフロスト限界温度Tfよりも高い場合は、コンプレッサ21の稼動を継続する。
【0040】
一度コンプレッサ21を停止させると、コンプレッサ制御部65は、エバポレータ28が或る程度暖まってからコンプレッサ21を再稼動させる(すなわち、電磁クラッチ24を接続して車載エンジン23からコンプレッサ21に動力が伝達されるようにする)。そのため、コンプレッサ制御部65は、コンプレッサ21を停止させる閾値温度よりも所定温度高くした温度を、コンプレッサ作動開始温度Tonとして設定する。例えば、コンプレッサ作動開始温度Tonは、暖房負荷時には閾値温度Toffに、暖房負荷でない場合には、フロスト限界温度Tfに5℃加えた値とすることができる。コンプレッサ制御部65は、エバポレータ出口温度Teをコンプレッサ作動開始温度Tonとを比較して、エバポレータ出口温度Teがコンプレッサ作動開始温度Tonを超えた場合、コンプレッサ21を稼動させる。
【0041】
異常検出部66は、冷凍サイクルRを循環する冷媒の圧力を調べることにより、冷凍サイクルRに生じた異常を検出する。そのために、異常検出部66は、圧力センサ55で測定された冷媒の圧力Pが、予め定められた上限閾値を超えた場合、又は予め定められた下限閾値を下回った場合、冷凍サイクルRに異常が生じたと判定する。そして、冷凍サイクルRに異常が生じたと判定した場合、異常検出部66は、電動クラッチ24を切り離し、コンプレッサ21を停止する。また、異常が生じたことを例えば運転室内の運転操作パネル(図示せず)に表示するようにしてもよい。
【0042】
以下、図5及び図6に示したフローチャートを参照しつつ、本発明を適用した車両用空調装置1のコンプレッサ21の制御動作について説明する。ここで説明する制御動作は、主として車両用空調装置1が自動運転を行う場合に実施される。なお、コンプレッサ21の制御動作は、制御部60により、制御部60に組み込まれたコンピュータプログラムにしたがって行われる。
【0043】
図5に示すように、まず、A/C操作パネルから、車両用空調装置1を稼動させる信号を受け取ると、制御部60は、車両用空調装置1を稼動させる。そして、防曇又は冷房を行うために、コンプレッサ21を作動させる(ステップS101)。車両用空調装置1の稼動開始後、制御部60は、設定温度Ts、外気温To、内気温Ti、エバポレータ出口温度Te、ヒータ入口水温Tw、冷媒圧力P、日射量Lを各センサ等から取得する(ステップS102)。そして、制御部60の異常検出部66は、上記のように、圧力センサ55から取得した冷凍サイクルRの冷媒圧力Pが、所定の範囲内に収まるか否かを判定する(ステップS103)。冷媒圧力Pが、所定の範囲内に収まらない場合、冷凍サイクルRは異常と判定し、コンプレッサ21を停止させ(ステップS104)、車両用空調装置1を停止する。一方、ステップS103において、冷媒圧力Pが所定の範囲内に収まる場合、冷凍サイクルRは正常と判定する。
【0044】
図6に示すように、冷凍サイクルRが正常と判定された場合、制御部60の負荷状態判定部64は、車両用空調装置1が暖房負荷の状態(すなわち、暖房運転を実施している状態)か否か判定する(ステップS105)。負荷状態が暖房負荷でない場合、制御部60のコンプレッサ制御部65は、エバポレータ出口温度Teとフロスト限界温度Tfとを比較する(ステップS106)。そして、エバポレータ出口温度Teがフロスト限界温度Tfよりも高ければ、制御をステップS102の前に戻す。そして、所定期間経過後、再度ステップS102以下の処理を行う。一方、エバポレータ出口温度Teがフロスト限界温度Tf以下であれば、エバポレータのフロストを避けるためにコンプレッサ21を停止させる(ステップS109)。
【0045】
また、ステップS105において、負荷状態が暖房負荷と判定されると、コンプレッサ制御部65は、上記のように、ヒータコア38の入口での冷却水の水温Twに基づいて閾値温度Toffを決定する(ステップS107)。そして、エバポレータ出口温度Teと比較する(ステップS108)。エバポレータ出口温度Teが閾値温度Toffよりも高ければ、制御をステップS102の前に戻す。そして、所定期間経過後、再度ステップS102以下の処理を行う。一方、エバポレータ出口温度Teが閾値温度Toff以下であれば、ヒータコア38を循環するエンジン冷却水の温度低下を避けるために、コンプレッサ21を停止させる(ステップS109)。
【0046】
ステップS109の後、所定時間経過後、コンプレッサ制御部65は、エバポレータ出口温度Teとコンプレッサ作動開始温度Tonとを比較する(ステップS110)。そして、エバポレータ出口温度Teがコンプレッサ作動開始温度Tonを超えた場合、コンプレッサ21を稼動させる(ステップS111)。一方、エバポレータ出口温度Teが作動開始温度Ton以下の場合、コンプレッサ21を停止させたまま、制御をステップS110の前に戻し、所定時間経過後、再度ステップS110の処理を実行する。
【0047】
以上説明してきたように、本発明を適用した車両用空調装置は、ヒータコアに供給されるエンジン冷却水の温度を参照して、コンプレッサを停止させる閾値温度をエバポレータのフロスト限界温度よりも高く設定することにより、コンプレッサが停止している期間を長くして、ヒータコアへ流入する空気温度の低下を防ぎ、その結果として暖房能力を向上させることができる。また、コンプレッサが停止している期間を長くすることができるので、燃費を向上させることができる。さらに、空調装置に掛かる負荷が暖房負荷か否かを判定して、暖房負荷でない場合には閾値温度をフロスト限界温度に固定することで、冷房時にはコンプレッサを停止し難くし、十分な冷房を行うことができる。
【0048】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、コンプレッサ21を停止する閾値温度Toffを決定する際、ヒータコア38の入口での冷却水の水温を参照する代わりに、ヒータコア38の出口での冷却水の温度、車載エンジン23の近傍での冷却水の水温あるいは車載エンジン23の回転数を用いてもよい。これらの値は、ヒータコア38の入口での冷却水の水温Twと一定の相関性を有するため、その相関関係に従ってヒータ入口水温Twを推定することにより、冷却水温度Twと同様に扱うことができる。また、エバポレータ出口温度Teの代わりに、エバポレータ28の冷却フィン又はチューブの表面温度や、エバポレータ28の冷凍サイクルRの出口近傍での冷媒圧力とコンプレッサ21の回転速度の相関関係で求まる値を用いてもよい。さらに、コンプレッサ21として可変容量コンプレッサを使用する場合には、コンプレッサの容積をエバポレータ出口温度Teの代わりに用いてもよい。これらの値も、エバポレータ出口温度Teと一定の相関性を有するため、その相関関係に従ってエバポレータ出口温度Teを推定することにより、エバポレータ出口温度Teと同様に扱うことができる。
【0049】
また、上記の実施形態では、エバポレータ出口温度Teが閾値温度Toff以下となると、コンプレッサを停止させるように制御を行ったが、エバポレータ出口温度Teが閾値温度Toff以下で且つフロスト限界温度Tfより高い場合には、コンプレッサの回転速度を低下させるなど、コンプレッサの能力を低下させるように制御するようにしてもよい。
【0050】
さらに、上記の水温がTw2以下となる場合、風量調節部63は、ブロアファン31の回転速度を低下させ、各吹き出し口から送出される風量を減らすことで、各吹き出し口から吹き出される空気の温度を上げるように制御を行ってもよい。このように制御を行うことで、暖房時の運転者のフィーリングをより向上させることができる。
【0051】
上記のように、本発明の範囲内で様々な修正を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明を適用した車両用空調装置を備えた車両の運転室の構成を示す構成図である。
【図2】本発明を適用した車両用空調装置の全体構成を示す構成図である。
【図3】車両用空調装置の制御部の機能ブロック図である。
【図4】冷却水の水温とコンプレッサを停止する閾値温度の関係を示すグラフである。
【図5】本発明を適用した車両用空調装置のコンプレッサ制御動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明を適用した車両用空調装置のコンプレッサ制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1 車両用空調装置
2 シート
3 内気吸込口
4 外気吸込口
5 フット吹き出し口
6 フェイス吹き出し口
7 デフロスタ吹き出し口
8 リア吹き出し口
9 フロントガラス
10 フロントダクト
11 リアダクト
20 空調機器
21 コンプレッサ
22 ベルト
23 車載エンジン
24 電磁クラッチ
25 コンデンサ
26 レシーバ
27 膨張弁
28 エバポレータ
30 空調ケース
31 ブロアファン
32 駆動用モータ
34 内外気切替箱
35 内外気切替ドア
36 内外気サーボモータ
37 エアミックスドア
38 ヒータコア
39 バイパス通路
40 温調サーボモータ
41 通路
42 空気混合部
44 フットドア
45 ダクト
46 ダクト開閉ドア
47 フロント・リア配風調整ドア
48 モードサーボモータ
51 内気温センサ
52 外気温センサ
53 エバポレータ出口温度センサ
54 ヒータ入口水温センサ
55 圧力センサ
56 日射センサ
60 制御部
61 記憶部
62 温度調節部
63 風量調節部
64 負荷状態判定部
65 コンプレッサ制御部
66 異常検出部
100 運転室
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮するコンプレッサ(21)と、
前記コンプレッサ(21)で圧縮された冷媒を冷却するコンデンサ(25)と、
前記コンデンサ(25)によって冷却された冷媒を断熱膨張させる膨張弁(27)と、
前記膨張弁(27)で断熱膨張された冷媒と空気との間で熱交換を行うエバポレータ(28)と、
前記エバポレータ(28)の温度に関する情報を取得する第1のセンサ(53)と、
前記エバポレータ(28)を経由した空気を熱するヒータコア(38)と、
前記ヒータコア(38)に熱供給する媒体の温度に関する情報を取得する第2のセンサ(54)と、
前記コンプレッサ(21)を制御するコンプレッサ制御部(65)とを有し、
前記コンプレッサ制御部(65)は、前記第1のセンサ(53)から取得した情報に基づいて推定される前記エバポレータ温度が、所定の閾値温度以下の場合、前記コンプレッサ(21)による前記冷媒の圧縮率を低下させ、且つ前記第2のセンサ(54)から取得した情報に基づいて推定される前記媒体温度が第1の所定値以下の場合、前記閾値温度を前記エバポレータ(28)のフロスト限界温度よりも高く設定することを特徴とする空調装置。
【請求項2】
前記第1の所定値は、前記エバポレータ温度がフロスト限界温度の場合に前記空調装置から送出される空気の温度を所定値以上とすることができる前記媒体温度の最低温度である、請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記コンプレッサ制御部(65)は、前記閾値温度を、前記媒体温度が前記第1の所定値よりも低くなるにつれて高く設定する、請求項1又は2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記コンプレッサ制御部(65)は、前記媒体温度が前記第1の所定値よりも低い第2の所定値以下の場合、前記閾値温度を一定に設定する、請求項3に記載の空調装置。
【請求項5】
前記第2の所定値は、前記空調装置が空調を行う区域に設けられた窓の防曇が可能な前記エバポレータ(28)の最高温度である、請求項4に記載の空調装置。
【請求項6】
前記空調装置に対する負荷が暖房負荷か否かを判定する負荷状態判定部(64)をさらに有し、該負荷状態判定部(64)が前記空調装置に対する負荷が暖房負荷でないと判定した場合、前記コンプレッサ制御部(65)は、前記閾値温度を前記エバポレータ(28)のフロスト限界温度に設定する、請求項1〜5の何れか一項に記載の空調装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の空調装置を有し、該空調装置で運転室内の空調を行う建設機械。
【請求項8】
冷媒を圧縮するコンプレッサ(21)と、
前記コンプレッサ(21)で圧縮された冷媒を冷却するコンデンサ(25)と、
前記コンデンサ(25)によって冷却された冷媒を断熱膨張させる膨張弁(27)と、
前記膨張弁(27)で断熱膨張された冷媒と空気との間で熱交換を行うエバポレータ(28)と、
前記エバポレータ(28)を経由した空気を熱するヒータコア(38)とを有する空調装置の制御方法であって、
前記エバポレータ(28)の温度を取得するステップ(S102)と、
前記媒体温度を取得するステップ(S102)と、
前記媒体温度に基づいて前記コンプレッサ(21)による前記冷媒の圧縮率を低下させるか否かの閾値温度を設定するステップ(S107)と、
前記エバポレータの温度が前記閾値温度以下の場合、前記コンプレッサ(21)による冷媒の圧縮率を低下させるステップ(S109)とを有し、
前記閾値温度を設定するステップ(S107)は、前記媒体温度が第1の所定値以下の場合、前記閾値温度を前記エバポレータ(28)のフロスト限界温度よりも高く設定することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記閾値温度を設定するステップ(S107)は、前記媒体温度が前記第1の所定値よりも低くなるにつれて、前記閾値温度を高く設定する、請求項8に記載の方法。
【請求項1】
冷媒を圧縮するコンプレッサ(21)と、
前記コンプレッサ(21)で圧縮された冷媒を冷却するコンデンサ(25)と、
前記コンデンサ(25)によって冷却された冷媒を断熱膨張させる膨張弁(27)と、
前記膨張弁(27)で断熱膨張された冷媒と空気との間で熱交換を行うエバポレータ(28)と、
前記エバポレータ(28)の温度に関する情報を取得する第1のセンサ(53)と、
前記エバポレータ(28)を経由した空気を熱するヒータコア(38)と、
前記ヒータコア(38)に熱供給する媒体の温度に関する情報を取得する第2のセンサ(54)と、
前記コンプレッサ(21)を制御するコンプレッサ制御部(65)とを有し、
前記コンプレッサ制御部(65)は、前記第1のセンサ(53)から取得した情報に基づいて推定される前記エバポレータ温度が、所定の閾値温度以下の場合、前記コンプレッサ(21)による前記冷媒の圧縮率を低下させ、且つ前記第2のセンサ(54)から取得した情報に基づいて推定される前記媒体温度が第1の所定値以下の場合、前記閾値温度を前記エバポレータ(28)のフロスト限界温度よりも高く設定することを特徴とする空調装置。
【請求項2】
前記第1の所定値は、前記エバポレータ温度がフロスト限界温度の場合に前記空調装置から送出される空気の温度を所定値以上とすることができる前記媒体温度の最低温度である、請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記コンプレッサ制御部(65)は、前記閾値温度を、前記媒体温度が前記第1の所定値よりも低くなるにつれて高く設定する、請求項1又は2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記コンプレッサ制御部(65)は、前記媒体温度が前記第1の所定値よりも低い第2の所定値以下の場合、前記閾値温度を一定に設定する、請求項3に記載の空調装置。
【請求項5】
前記第2の所定値は、前記空調装置が空調を行う区域に設けられた窓の防曇が可能な前記エバポレータ(28)の最高温度である、請求項4に記載の空調装置。
【請求項6】
前記空調装置に対する負荷が暖房負荷か否かを判定する負荷状態判定部(64)をさらに有し、該負荷状態判定部(64)が前記空調装置に対する負荷が暖房負荷でないと判定した場合、前記コンプレッサ制御部(65)は、前記閾値温度を前記エバポレータ(28)のフロスト限界温度に設定する、請求項1〜5の何れか一項に記載の空調装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の空調装置を有し、該空調装置で運転室内の空調を行う建設機械。
【請求項8】
冷媒を圧縮するコンプレッサ(21)と、
前記コンプレッサ(21)で圧縮された冷媒を冷却するコンデンサ(25)と、
前記コンデンサ(25)によって冷却された冷媒を断熱膨張させる膨張弁(27)と、
前記膨張弁(27)で断熱膨張された冷媒と空気との間で熱交換を行うエバポレータ(28)と、
前記エバポレータ(28)を経由した空気を熱するヒータコア(38)とを有する空調装置の制御方法であって、
前記エバポレータ(28)の温度を取得するステップ(S102)と、
前記媒体温度を取得するステップ(S102)と、
前記媒体温度に基づいて前記コンプレッサ(21)による前記冷媒の圧縮率を低下させるか否かの閾値温度を設定するステップ(S107)と、
前記エバポレータの温度が前記閾値温度以下の場合、前記コンプレッサ(21)による冷媒の圧縮率を低下させるステップ(S109)とを有し、
前記閾値温度を設定するステップ(S107)は、前記媒体温度が第1の所定値以下の場合、前記閾値温度を前記エバポレータ(28)のフロスト限界温度よりも高く設定することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記閾値温度を設定するステップ(S107)は、前記媒体温度が前記第1の所定値よりも低くなるにつれて、前記閾値温度を高く設定する、請求項8に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2008−30706(P2008−30706A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208674(P2006−208674)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]