車両用空調装置のシール構造
【課題】空気通路を形成するケースに空調用の機能部品が組み付けられている空調装置のシール構造において、シール性と組付性との両立を図る。
【解決手段】ケース1とブロワコントローラ2とを接触させることにより、ケース1とブロワコントローラ2との間をシールし、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1ブロワコントローラ2とのシール方向とを略直交させる。これにより、ケース1とブロワコントローラ2との組付性と、ケース1とブロワコントローラ2との間のシール性とを、独立して調整することができる。したがって、シール性と組付性との両立を図ることが可能となる。
【解決手段】ケース1とブロワコントローラ2とを接触させることにより、ケース1とブロワコントローラ2との間をシールし、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1ブロワコントローラ2とのシール方向とを略直交させる。これにより、ケース1とブロワコントローラ2との組付性と、ケース1とブロワコントローラ2との間のシール性とを、独立して調整することができる。したがって、シール性と組付性との両立を図ることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置のシール構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気通路を形成するケースに、ブロワコントローラ等の空調用の機能部品が組み付けられた車両用空調装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−052924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブロワコントローラはケースに次のように組み付けられる。すなわち、図14(a)に示すように、ケースJ1に設けられた貫通孔J11にブロワコントローラJ2を挿入した後、図14(b)に示すように、ブロワコントローラJ2を回転させる。これにより、図15に示すように、ブロワコントローラJ2に設けられたフランジJ21とケースJ1に設けられた爪部J15とが係合し、ケースJ1からブロワコントローラJ2が脱落しないようになる、すなわちケースJ1にブロワコントローラJ2が固定される。
【0005】
このとき、図16に示すように、ブロワコントローラJ2におけるフランジJ21のケース内方側の面(以下、フランジ側シール面という)と、ケースJ1に設けられたケース側シール面J10とが直接接触することにより、ケースJ1とブロワコントローラJ2との間をシールしている。
【0006】
ここで、図17に示すように、爪部J15におけるフランジJ21のケース外方側の面と対向する部位には、フランジJ21に向けて突出する断面三角形状の三角リブJ14が設けられている。この三角リブは、ケースJ1とブロワコントローラJ2との組付方向(図17の紙面上下方向)のガタツキを抑制する機能と、フランジ側シール面をケース側シール面J10に押しつける機能とを兼ね備えている。
【0007】
ところで、ブロワコントローラをケースに組み付ける工程は、人間の手によって行われる場合もある。この場合、組付荷重が高いと、作業者の負担が大きくなり組み付け難くなるため、三角リブの高さを調整して組み付け易くしている。
【0008】
しかしながら、三角リブの高さを低くすると、組付荷重が低くなり組付性が向上するが、シール性が低下してしまう。一方、シール性を向上させるために三角リブの高さを高くすると、組付荷重が高くなり組付性が悪化してしまう。このため、シール性および組付性の双方を考慮して三角リブの高さを調整することが困難となっている。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、空気通路を形成するケースに空調用の機能部品が組み付けられている空調装置のシール構造であって、シール性と組付性との両立を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ケース(1)と機能部品(2)とを接触させることにより、ケース(1)と機能部品(2)との間がシールされており、ケース(1)と機能部品(2)との組付方向と、ケース(1)と機能部品(2)とのシール方向とが略直交していることを特徴としている。
【0011】
このように、ケース(1)と機能部品(2)との組付方向と、ケース(1)と機能部品(2)とのシール方向とが略直交させることにより、ケース(1)と機能部品(2)との組付性と、ケース(1)と機能部品(2)との間のシール性とを、独立して調整することができる。したがって、ケース(1)と機能部品(2)との組付性を向上させつつ、ケース(1)と機能部品(2)との間のシール性を確保することができる。すなわち、シール性と組付性との両立を図ることが可能となる。
【0012】
なお、本発明における「略直交」とは、完全に直交していることのみを意味するものではなく、製造誤差、組付誤差によって微小に異なるものも「略直交」という用語の範囲内に含むものとする。また、本発明における「シール方向」とは、ケース(1)と機能部品(2)との接触部におけるケース(1)および機能部品(2)の配置方向をいう。
【0013】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の車両用空調装置のシール構造において、ケース(1)には、機能部品(2)が挿入されて固定される貫通孔(11)が形成されており、ケース(1)における貫通孔(11)の外周縁部には、機能部品(2)と当接して貫通孔(11)の外方側または内方側に向かって変形可能な撓み部(12)が設けられており、機能部品(2)がケース(1)に組み付けられた状態では、撓み部(2)が変形した状態で機能部品(2)が固定されており、機能部品(2)のケース(1)への挿入方向と、撓み部(12)の変形方向とが略直交していることを特徴としている。
【0014】
このように、機能部品(2)のケース(1)への挿入方向と、撓み部(12)の変形方向とを略直交させることにより、ケース(1)と機能部品(2)との組付方向と、ケース(1)と機能部品(2)とのシール方向とを略直交させることができる。このため、ケース(1)と機能部品(2)との組付性と、ケース(1)と機能部品(2)との間のシール性とを、独立して調整することができるので、シール性と組付性との両立を図ることが可能となる
また、請求項3に記載の発明のように、請求項2に記載の車両用空調装置のシール構造において、撓み部は、ケース(1)の外部または内側へ突出して設けられたシールリブ(12)であってもよい。
【0015】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置のシール構造において、ケース(1)には、ケース(1)の外部へ突出して設けられたケース側爪部(15)が設けられており、機能部品(2)には、ケース側爪部(15)と係合可能な機能部品側爪部(26)が設けられており、機能部品(2)は、ケース側爪部(15)に機能部品側爪部(26)が係合した状態で、ケース(2)に固定されていることを特徴としている。
【0016】
このように、ケース側爪部(15)に機能部品側爪部(26)が係合した状態で、機能部品(2)をケース(1)に固定することにより、機能部品(2)をケース(1)に固定するための部材を別途設ける必要がなくなる。このため、部品点数の増加を抑制することが可能となる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置のシール構造において、ケース(1)および機能部品(2)は、締結部材(3)により締結固定されていてもよい。
【0018】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態におけるケース1およびブロワコントローラ2を示す斜視図であり、(a)が組み付け前の状態を示しており、(b)が組み付け後の状態を示している。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2のB部拡大図である。
【図4】第2実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図である。
【図5】図4のC部拡大図である。
【図6】第3実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図である。
【図7】図6のD部拡大図である。
【図8】第4実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図である。
【図9】図8のE部拡大図である。
【図10】第5実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図である。
【図11】図10のF部拡大図である。
【図12】第6実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図である。
【図13】図12のG部拡大図である。
【図14】従来のケース1およびブロワコントローラ2を示す斜視図であり、(a)が組み付け前の状態を示しており、(b)が組み付け後の状態を示している。
【図15】図14のH−H断面図である。
【図16】図14のI−I断面図である。
【図17】図15のJ部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。本第1実施形態では、本発明の車両用空調装置のシール構造を、ケース1と機能部品としてのブロワコントローラ2とのシール構造に適用している。
【0022】
図1は本第1実施形態におけるケース1およびブロワコントローラ2を示す斜視図であり、(a)が組み付け前の状態を示しており、(b)が組み付け後の状態を示している。
【0023】
ケース1は、空気通路を形成するものであり、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。本実施形態のケース1は、スクロールケーシング(図示せず)の出口側に接続されている。ここで、スクロールケーシングとは、車室内に向けて空気を送風する送風機(図示せず)のファン(図示せず)を収容するとともに、このファンから流出した空気が通過する流出通路を形成するものである。
【0024】
送風機は、上述したファンと、ファンを回転駆動する電動モータ(図示せず)とを有している。送風機は、電動モータによって回転駆動されるものであり、ブロワコントローラ2によって送風機の回転数が制御されている。このブロワコントローラ2は、ケース1に組み付けられている。
【0025】
図2は図1のA−A断面図、図3は図2のB部拡大図である。図1〜図3に示ように、ブロワコントローラ2は、略円板状の第1フランジ部21と、第1フランジ部21の外周縁部からケース1の外方側に向かって略直角に折り曲げられて第1フランジ部21の板面と略垂直な方向に延びる内側壁部22と、内側壁部22から第1フランジ部21とは反対側に向かって略直角に折り曲げられて第1フランジ部21の板面と略平行な方向に延びる第2フランジ部23と、第2フランジ部23からケース1の内方側に向かって略直角に折り曲げられて第2フランジ部23の板面と略垂直な方向に延びる外側壁部24とを有している。
【0026】
第2フランジ部23には、貫通穴25が複数(本実施形態では3つ)形成されている。複数の貫通穴25は、第2フランジ部23の周方向に等間隔に配置されている。外側壁部24のうち貫通穴25と隣接する部位には、外側壁部24のケース1側の端部から第1フランジ部21側に向かって略直角に折り曲げられて第2フランジ部23の板面と略平行な方向に延びるブロワ側爪部26が設けられている。
【0027】
ケース1には、円形状の貫通孔11が形成されており、この貫通孔11からブロワコントローラ2が挿入されて固定されるようになっている。より詳細には、貫通孔11は、ブロワコントローラ2のうち第1フランジ部21および内側壁部22が挿入可能で、かつ、第2フランジ部23、外側壁部24およびブロワ側爪部26が入り込まない大きさに形成されている。
【0028】
ケース1の貫通孔11の外周縁部には、ケース1の外方側(図2の紙面上側)に向かって突出するシールリブ12が設けられている。シールリブ12は、ブロワコントローラ2の外側壁部24と当接して貫通孔11の外周側に向かって弾性変形可能になっている。また、ブロワコントローラ2がケース1に組み付けられた状態では、シールリブ12が弾性変形した状態でブロワコントローラ2が固定されている。このため、本実施形態のシールリブ12は、本発明の撓み部に相当している。本実施形態では、シールリブ12は、ケース1と一体に形成されている。
【0029】
ケース1におけるシールリブ12の外周側には、ケース1の外方側に向かって突出する円筒状の円筒リブ13が設けられている。円筒リブ13におけるケース1の外方側の端面には、ケース1の外方側に向かって突出する断面三角形状の三角リブ14が設けられている。三角リブ14は、ブロワコントローラ2がケース1に組み付けられた状態では、ブロワコントローラ2の第2フランジ部23と接触している。この三角リブ14を設けることにより、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向(図2の紙面上下方向)のガタツキを抑制することができる。
【0030】
円筒リブ13のうちブロワ側爪部26と対応する部位には、円筒リブ13のケース1外方側の端部から貫通孔11の径方向外側に向かって略直角に折り曲げられてケース1における円筒リブ13が設けられている面の板面と略平行な方向に延びるケース側爪部15が設けられている。このケース側爪部15は、ブロワ側爪部26と係合可能に構成されている。
【0031】
図1に戻り、ブロワコントローラ2の第2フランジ部23には、第1フランジ部21の径方向外側に向かって延びる回り止め部27が設けられている。ケース1には、ブロワコントローラ2の回り止め部27と係合可能なストッパ16が設けられている。
【0032】
続いて、上記構成のケース1およびブロワコントローラ2の組み付け方法について説明する。
【0033】
まず、図1(a)に示すように、ケース側爪部15とブロワ側爪部26とが干渉しないように、ブロワコントローラ2をケース1の貫通孔11に挿入する。このとき、ケース1のシールリブ12が、ブロワコントローラ2の外側壁部24と当接して貫通孔11の径方向外側に向かって弾性変形する。
【0034】
続いて、図1(b)に示すように、ブロワコントローラ2を貫通孔11に挿入した状態で時計回りに回転させる。これにより、図2および図3に示すように、ブロワ側爪部26がケース側爪部15と係合し、ブロワコントローラ2がケース1から脱落しないように固定される。このとき、ブロワコントローラ2の回り止め部27がストッパ16と係合し、ブロワコントローラ2の回転が防止される。
【0035】
ブロワコントローラ2がケース1に組み付けられた状態では、シールリブ12が貫通孔11の径方向外側に変形した状態でブロワコントローラ2が固定されている。このとき、シールリブ12は外側壁部24と接触しており、これによりケース1とブロワコントローラ2との間がシールされている。また、ブロワコントローラ2のケース1への挿入方向と、シールリブ12の変形方向とが直交している。換言すると、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とが直交している。
【0036】
ここで、ケース1とブロワコントローラ2との間のシール性は、シールリブ12の形状や板厚を変更することにより、適宜調整することができる。また、ケース1とブロワコントローラ2との組付性は、三角リブ14の高さ(ブロワコントローラ2のケース1への挿入方向の長さ)を変更することにより、適宜調整することができる。具体的には、三角リブ14の高さを低くすることで、組付荷重が低くなるので、組付性を向上させることができる。
【0037】
以上説明したように、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とを直交させることにより、ケース1とブロワコントローラ2との組付性と、ケース1とブロワコントローラ2との間のシール性とを、独立して調整することができる。すなわち、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とを直交させることにより、組付性を向上させるために三角リブ14の高さを変更したとしても、シールリブ12とブロワコントローラ2の内側壁部22との接触面積を充分に確保することができるので、ケース1とブロワコントローラ2との間シール性を確保することができる。
【0038】
したがって、ケース1とブロワコントローラ2との組付性を向上させつつ、ケース1とブロワコントローラ2との間のシール性を確保することができる。すなわち、シール性と組付性との両立を図ることが可能となる。
【0039】
ところで、上述した従来の車両用空調装置のシール構造では、組付性を向上させるために三角リブ14の高さを変更した場合、シール性が低下するため、シール性の確認評価を実施していた。これに対し、本実施形態では、組付性とシール性とを独立して調整することができるので、三角リブ14の高さを変更した場合であっても、シール性の確認評価の実施を省略することができる。
【0040】
また、ケース側爪部15とブロワ側爪部26とを係合させることによりブロワコントローラ2をケース1に固定することで、ブロワコントローラ2をケース1に固定するための部材を別途設ける必要がなくなる。このため、部品点数の増加を抑制することが可能となる。
【0041】
ところで、本実施形態では、ケース側爪部15を円筒リブ13に設けている。仮にケース側爪部15をシールリブ12に設けた場合、シールリブ12が弾性変形したときにケース側爪部15もシールリブ12と一緒に弾性変形してしまい、組付性が悪化するという問題がある。これに対し、本実施形態のようにケース側爪部15を円筒リブ13に設けることにより、シールリブ12が弾性変形したときにケース側爪部15もシールリブ12と一緒に弾性変形することを防止できるので、組付性を向上することが可能となる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4および図5に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して、シールリブ12の変形方向が異なるものである。
【0043】
図4は本第2実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。また、図5は図4のC部拡大図であり、第1実施形態の図3に対応する図面である。
【0044】
図4および図5に示すように、ブロワコントローラ2の第2フランジ部23には、ケース1側(図4の紙面下側)に向かって延びる円筒状のシール用円筒リブ28が設けられている。シール用円筒リブ28は、ブロワコントローラ2をケース1の貫通孔11に挿入した際に、当該シール用円筒リブ28がケース1のシールリブ12と円筒リブ13との間に位置するように、第2フランジ部23における貫通穴25より内側壁部22側に接続されている。
【0045】
シールリブ12は、ブロワコントローラ2のシール用円筒リブ28と当接して貫通孔11の内周側に向かって弾性変形可能になっている。また、ブロワコントローラ2がケース1に組み付けられた状態では、シールリブ12が弾性変形した状態でブロワコントローラ2が固定されている。
【0046】
このとき、シールリブ12はシール用円筒リブ28と接触しており、これによりケース1とブロワコントローラ2との間がシールされている。また、ブロワコントローラ2のケース1への挿入方向と、シールリブ12の変形方向とが直交している。換言すると、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とが直交している。
【0047】
本実施形態においても、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とを直交させることができるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0048】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図6および図7に基づいて説明する。本第3実施形態は、上記第1実施形態と比較して、外側壁部24、ブロワ側爪部26およびケース側爪部15を廃止するとともに、ケース1とブロワコントローラ2とをボルト3によって締結固定した点が異なるものである。
【0049】
図6は本第3実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。また、図7は図6のD部拡大図であり、第1実施形態の図3に対応する図面である。
【0050】
図6および図7に示すように、ケース1における円筒リブ13の径方向外側、かつ、ブロワコントローラ2の貫通穴25と対応する部位には、ブロワコントローラ2の挿入方向に延びるボルト用孔17が形成されている。ボルト用孔17は、ブロワコントローラ2の貫通穴25と対向する側の端部が開口している。これによれば、ケース1の貫通孔11にブロワコントローラ2を挿入した後、ブロワコントローラ2の貫通穴25およびケース1のボルト用孔17に貫通穴25側からボルト3を挿入することで、ケース1とブロワコントローラ2とをボルト3にて締結固定することができる。
【0051】
本実施形態においても、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とを直交させることができるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0052】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図8および図9に基づいて説明する。本第4実施形態は、上記第2実施形態と比較して、外側壁部24、ブロワ側爪部26およびケース側爪部15を廃止するとともに、ケース1とブロワコントローラ2とをボルト3によって締結固定した点が異なるものである。
【0053】
図8は本第4実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。また、図9は図8のE部拡大図であり、第1実施形態の図3に対応する図面である。
【0054】
図8および図9に示すように、ケース1における円筒リブ13の径方向外側、かつ、ブロワコントローラ2の貫通穴25と対応する部位には、ブロワコントローラ2の挿入方向に延びるボルト用孔17が形成されている。ボルト用孔17は、ブロワコントローラ2の貫通穴25と対向する側の端部が開口している。これによれば、ケース1の貫通孔11にブロワコントローラ2を挿入した後、ブロワコントローラ2の貫通穴25およびケース1のボルト用孔17に貫通穴25側からボルト3を挿入することで、ケース1とブロワコントローラ2とをボルト3にて締結固定することができる。
【0055】
本実施形態においても、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とを直交させることができるので、上記第2実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0056】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図10および図11に基づいて説明する。本第5実施形態は、上記第1実施形態と比較して、シールリブ12をケース1の内方側に向かって突出させた点が異なるものである。
【0057】
図10は本第5実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。また、図11は図10のF部拡大図であり、第1実施形態の図3に対応する図面である。
【0058】
図10および図11に示すように、ブロワコントローラ2の第1フランジ部21の外周縁部には、ケース1の内方側(図10の紙面下側)に向かって突出するとともに、第1フランジ部21の板面と略垂直な方向に延びるシール用壁部29が設けられている。本実施形態では、シール用壁部29は、第1フランジ部21と一体に形成されている。
【0059】
ケース1の貫通孔11の外周縁部には、ケース1の内方側に向かって突出するシールリブ12が設けられている。シールリブ12は、ブロワコントローラ2のシール用壁部29と当接して貫通孔11の外周側に向かって弾性変形可能になっている。また、ブロワコントローラ2がケース1に組み付けられた状態では、シールリブ12が弾性変形した状態でブロワコントローラ2が固定されている。
【0060】
このとき、シールリブ12はシール用壁部29と接触しており、これによりケース1とブロワコントローラ2との間がシールされている。また、ブロワコントローラ2のケース1への挿入方向と、シールリブ12の変形方向とが直交している。換言すると、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とが直交している。
【0061】
本実施形態においても、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とを直交させることができるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0062】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図12および図13に基づいて説明する。本第6実施形態は、上記第5実施形態と比較して、外側壁部24、ブロワ側爪部26およびケース側爪部15を廃止するとともに、ケース1とブロワコントローラ2とをボルト3によって締結固定した点が異なるものである。
【0063】
図12は本第6実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。また、図13は図12のG部拡大図であり、第1実施形態の図3に対応する図面である。
【0064】
図12および図13に示すように、ケース1における円筒リブ13の径方向外側、かつ、ブロワコントローラ2の貫通穴25と対応する部位には、ブロワコントローラ2の挿入方向に延びるボルト用孔17が形成されている。ボルト用孔17は、ブロワコントローラ2の貫通穴25と対向する側の端部が開口している。これによれば、ケース1の貫通孔11にブロワコントローラ2を挿入した後、ブロワコントローラ2の貫通穴25およびケース1のボルト用孔17に貫通穴25側からボルト3を挿入することで、ケース1とブロワコントローラ2とをボルト3にて締結固定することができる。
【0065】
本実施形態においても、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とを直交させることができるので、上記第5実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0066】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、機能部品としてブロワコントローラ2を適用した例について説明したが、これに限らず、例えば車室内に向けて空気を送風する送風機の電動モータを適用してもよい。
【0067】
また、上記各実施形態では、ケース1の円筒リブ13に三角リブ14を設けた例について説明したが、三角リブ14を設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 ケース
2 ブロワコントローラ(機能部品)
3 ボルト(締結部材)
11 貫通孔
12 シールリブ(撓み部)
15 ケース側爪部
26 ブロワ側爪部(機能部品側爪部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置のシール構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気通路を形成するケースに、ブロワコントローラ等の空調用の機能部品が組み付けられた車両用空調装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−052924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ブロワコントローラはケースに次のように組み付けられる。すなわち、図14(a)に示すように、ケースJ1に設けられた貫通孔J11にブロワコントローラJ2を挿入した後、図14(b)に示すように、ブロワコントローラJ2を回転させる。これにより、図15に示すように、ブロワコントローラJ2に設けられたフランジJ21とケースJ1に設けられた爪部J15とが係合し、ケースJ1からブロワコントローラJ2が脱落しないようになる、すなわちケースJ1にブロワコントローラJ2が固定される。
【0005】
このとき、図16に示すように、ブロワコントローラJ2におけるフランジJ21のケース内方側の面(以下、フランジ側シール面という)と、ケースJ1に設けられたケース側シール面J10とが直接接触することにより、ケースJ1とブロワコントローラJ2との間をシールしている。
【0006】
ここで、図17に示すように、爪部J15におけるフランジJ21のケース外方側の面と対向する部位には、フランジJ21に向けて突出する断面三角形状の三角リブJ14が設けられている。この三角リブは、ケースJ1とブロワコントローラJ2との組付方向(図17の紙面上下方向)のガタツキを抑制する機能と、フランジ側シール面をケース側シール面J10に押しつける機能とを兼ね備えている。
【0007】
ところで、ブロワコントローラをケースに組み付ける工程は、人間の手によって行われる場合もある。この場合、組付荷重が高いと、作業者の負担が大きくなり組み付け難くなるため、三角リブの高さを調整して組み付け易くしている。
【0008】
しかしながら、三角リブの高さを低くすると、組付荷重が低くなり組付性が向上するが、シール性が低下してしまう。一方、シール性を向上させるために三角リブの高さを高くすると、組付荷重が高くなり組付性が悪化してしまう。このため、シール性および組付性の双方を考慮して三角リブの高さを調整することが困難となっている。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、空気通路を形成するケースに空調用の機能部品が組み付けられている空調装置のシール構造であって、シール性と組付性との両立を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ケース(1)と機能部品(2)とを接触させることにより、ケース(1)と機能部品(2)との間がシールされており、ケース(1)と機能部品(2)との組付方向と、ケース(1)と機能部品(2)とのシール方向とが略直交していることを特徴としている。
【0011】
このように、ケース(1)と機能部品(2)との組付方向と、ケース(1)と機能部品(2)とのシール方向とが略直交させることにより、ケース(1)と機能部品(2)との組付性と、ケース(1)と機能部品(2)との間のシール性とを、独立して調整することができる。したがって、ケース(1)と機能部品(2)との組付性を向上させつつ、ケース(1)と機能部品(2)との間のシール性を確保することができる。すなわち、シール性と組付性との両立を図ることが可能となる。
【0012】
なお、本発明における「略直交」とは、完全に直交していることのみを意味するものではなく、製造誤差、組付誤差によって微小に異なるものも「略直交」という用語の範囲内に含むものとする。また、本発明における「シール方向」とは、ケース(1)と機能部品(2)との接触部におけるケース(1)および機能部品(2)の配置方向をいう。
【0013】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の車両用空調装置のシール構造において、ケース(1)には、機能部品(2)が挿入されて固定される貫通孔(11)が形成されており、ケース(1)における貫通孔(11)の外周縁部には、機能部品(2)と当接して貫通孔(11)の外方側または内方側に向かって変形可能な撓み部(12)が設けられており、機能部品(2)がケース(1)に組み付けられた状態では、撓み部(2)が変形した状態で機能部品(2)が固定されており、機能部品(2)のケース(1)への挿入方向と、撓み部(12)の変形方向とが略直交していることを特徴としている。
【0014】
このように、機能部品(2)のケース(1)への挿入方向と、撓み部(12)の変形方向とを略直交させることにより、ケース(1)と機能部品(2)との組付方向と、ケース(1)と機能部品(2)とのシール方向とを略直交させることができる。このため、ケース(1)と機能部品(2)との組付性と、ケース(1)と機能部品(2)との間のシール性とを、独立して調整することができるので、シール性と組付性との両立を図ることが可能となる
また、請求項3に記載の発明のように、請求項2に記載の車両用空調装置のシール構造において、撓み部は、ケース(1)の外部または内側へ突出して設けられたシールリブ(12)であってもよい。
【0015】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置のシール構造において、ケース(1)には、ケース(1)の外部へ突出して設けられたケース側爪部(15)が設けられており、機能部品(2)には、ケース側爪部(15)と係合可能な機能部品側爪部(26)が設けられており、機能部品(2)は、ケース側爪部(15)に機能部品側爪部(26)が係合した状態で、ケース(2)に固定されていることを特徴としている。
【0016】
このように、ケース側爪部(15)に機能部品側爪部(26)が係合した状態で、機能部品(2)をケース(1)に固定することにより、機能部品(2)をケース(1)に固定するための部材を別途設ける必要がなくなる。このため、部品点数の増加を抑制することが可能となる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置のシール構造において、ケース(1)および機能部品(2)は、締結部材(3)により締結固定されていてもよい。
【0018】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態におけるケース1およびブロワコントローラ2を示す斜視図であり、(a)が組み付け前の状態を示しており、(b)が組み付け後の状態を示している。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2のB部拡大図である。
【図4】第2実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図である。
【図5】図4のC部拡大図である。
【図6】第3実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図である。
【図7】図6のD部拡大図である。
【図8】第4実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図である。
【図9】図8のE部拡大図である。
【図10】第5実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図である。
【図11】図10のF部拡大図である。
【図12】第6実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図である。
【図13】図12のG部拡大図である。
【図14】従来のケース1およびブロワコントローラ2を示す斜視図であり、(a)が組み付け前の状態を示しており、(b)が組み付け後の状態を示している。
【図15】図14のH−H断面図である。
【図16】図14のI−I断面図である。
【図17】図15のJ部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図3に基づいて説明する。本第1実施形態では、本発明の車両用空調装置のシール構造を、ケース1と機能部品としてのブロワコントローラ2とのシール構造に適用している。
【0022】
図1は本第1実施形態におけるケース1およびブロワコントローラ2を示す斜視図であり、(a)が組み付け前の状態を示しており、(b)が組み付け後の状態を示している。
【0023】
ケース1は、空気通路を形成するものであり、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。本実施形態のケース1は、スクロールケーシング(図示せず)の出口側に接続されている。ここで、スクロールケーシングとは、車室内に向けて空気を送風する送風機(図示せず)のファン(図示せず)を収容するとともに、このファンから流出した空気が通過する流出通路を形成するものである。
【0024】
送風機は、上述したファンと、ファンを回転駆動する電動モータ(図示せず)とを有している。送風機は、電動モータによって回転駆動されるものであり、ブロワコントローラ2によって送風機の回転数が制御されている。このブロワコントローラ2は、ケース1に組み付けられている。
【0025】
図2は図1のA−A断面図、図3は図2のB部拡大図である。図1〜図3に示ように、ブロワコントローラ2は、略円板状の第1フランジ部21と、第1フランジ部21の外周縁部からケース1の外方側に向かって略直角に折り曲げられて第1フランジ部21の板面と略垂直な方向に延びる内側壁部22と、内側壁部22から第1フランジ部21とは反対側に向かって略直角に折り曲げられて第1フランジ部21の板面と略平行な方向に延びる第2フランジ部23と、第2フランジ部23からケース1の内方側に向かって略直角に折り曲げられて第2フランジ部23の板面と略垂直な方向に延びる外側壁部24とを有している。
【0026】
第2フランジ部23には、貫通穴25が複数(本実施形態では3つ)形成されている。複数の貫通穴25は、第2フランジ部23の周方向に等間隔に配置されている。外側壁部24のうち貫通穴25と隣接する部位には、外側壁部24のケース1側の端部から第1フランジ部21側に向かって略直角に折り曲げられて第2フランジ部23の板面と略平行な方向に延びるブロワ側爪部26が設けられている。
【0027】
ケース1には、円形状の貫通孔11が形成されており、この貫通孔11からブロワコントローラ2が挿入されて固定されるようになっている。より詳細には、貫通孔11は、ブロワコントローラ2のうち第1フランジ部21および内側壁部22が挿入可能で、かつ、第2フランジ部23、外側壁部24およびブロワ側爪部26が入り込まない大きさに形成されている。
【0028】
ケース1の貫通孔11の外周縁部には、ケース1の外方側(図2の紙面上側)に向かって突出するシールリブ12が設けられている。シールリブ12は、ブロワコントローラ2の外側壁部24と当接して貫通孔11の外周側に向かって弾性変形可能になっている。また、ブロワコントローラ2がケース1に組み付けられた状態では、シールリブ12が弾性変形した状態でブロワコントローラ2が固定されている。このため、本実施形態のシールリブ12は、本発明の撓み部に相当している。本実施形態では、シールリブ12は、ケース1と一体に形成されている。
【0029】
ケース1におけるシールリブ12の外周側には、ケース1の外方側に向かって突出する円筒状の円筒リブ13が設けられている。円筒リブ13におけるケース1の外方側の端面には、ケース1の外方側に向かって突出する断面三角形状の三角リブ14が設けられている。三角リブ14は、ブロワコントローラ2がケース1に組み付けられた状態では、ブロワコントローラ2の第2フランジ部23と接触している。この三角リブ14を設けることにより、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向(図2の紙面上下方向)のガタツキを抑制することができる。
【0030】
円筒リブ13のうちブロワ側爪部26と対応する部位には、円筒リブ13のケース1外方側の端部から貫通孔11の径方向外側に向かって略直角に折り曲げられてケース1における円筒リブ13が設けられている面の板面と略平行な方向に延びるケース側爪部15が設けられている。このケース側爪部15は、ブロワ側爪部26と係合可能に構成されている。
【0031】
図1に戻り、ブロワコントローラ2の第2フランジ部23には、第1フランジ部21の径方向外側に向かって延びる回り止め部27が設けられている。ケース1には、ブロワコントローラ2の回り止め部27と係合可能なストッパ16が設けられている。
【0032】
続いて、上記構成のケース1およびブロワコントローラ2の組み付け方法について説明する。
【0033】
まず、図1(a)に示すように、ケース側爪部15とブロワ側爪部26とが干渉しないように、ブロワコントローラ2をケース1の貫通孔11に挿入する。このとき、ケース1のシールリブ12が、ブロワコントローラ2の外側壁部24と当接して貫通孔11の径方向外側に向かって弾性変形する。
【0034】
続いて、図1(b)に示すように、ブロワコントローラ2を貫通孔11に挿入した状態で時計回りに回転させる。これにより、図2および図3に示すように、ブロワ側爪部26がケース側爪部15と係合し、ブロワコントローラ2がケース1から脱落しないように固定される。このとき、ブロワコントローラ2の回り止め部27がストッパ16と係合し、ブロワコントローラ2の回転が防止される。
【0035】
ブロワコントローラ2がケース1に組み付けられた状態では、シールリブ12が貫通孔11の径方向外側に変形した状態でブロワコントローラ2が固定されている。このとき、シールリブ12は外側壁部24と接触しており、これによりケース1とブロワコントローラ2との間がシールされている。また、ブロワコントローラ2のケース1への挿入方向と、シールリブ12の変形方向とが直交している。換言すると、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とが直交している。
【0036】
ここで、ケース1とブロワコントローラ2との間のシール性は、シールリブ12の形状や板厚を変更することにより、適宜調整することができる。また、ケース1とブロワコントローラ2との組付性は、三角リブ14の高さ(ブロワコントローラ2のケース1への挿入方向の長さ)を変更することにより、適宜調整することができる。具体的には、三角リブ14の高さを低くすることで、組付荷重が低くなるので、組付性を向上させることができる。
【0037】
以上説明したように、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とを直交させることにより、ケース1とブロワコントローラ2との組付性と、ケース1とブロワコントローラ2との間のシール性とを、独立して調整することができる。すなわち、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とを直交させることにより、組付性を向上させるために三角リブ14の高さを変更したとしても、シールリブ12とブロワコントローラ2の内側壁部22との接触面積を充分に確保することができるので、ケース1とブロワコントローラ2との間シール性を確保することができる。
【0038】
したがって、ケース1とブロワコントローラ2との組付性を向上させつつ、ケース1とブロワコントローラ2との間のシール性を確保することができる。すなわち、シール性と組付性との両立を図ることが可能となる。
【0039】
ところで、上述した従来の車両用空調装置のシール構造では、組付性を向上させるために三角リブ14の高さを変更した場合、シール性が低下するため、シール性の確認評価を実施していた。これに対し、本実施形態では、組付性とシール性とを独立して調整することができるので、三角リブ14の高さを変更した場合であっても、シール性の確認評価の実施を省略することができる。
【0040】
また、ケース側爪部15とブロワ側爪部26とを係合させることによりブロワコントローラ2をケース1に固定することで、ブロワコントローラ2をケース1に固定するための部材を別途設ける必要がなくなる。このため、部品点数の増加を抑制することが可能となる。
【0041】
ところで、本実施形態では、ケース側爪部15を円筒リブ13に設けている。仮にケース側爪部15をシールリブ12に設けた場合、シールリブ12が弾性変形したときにケース側爪部15もシールリブ12と一緒に弾性変形してしまい、組付性が悪化するという問題がある。これに対し、本実施形態のようにケース側爪部15を円筒リブ13に設けることにより、シールリブ12が弾性変形したときにケース側爪部15もシールリブ12と一緒に弾性変形することを防止できるので、組付性を向上することが可能となる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4および図5に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して、シールリブ12の変形方向が異なるものである。
【0043】
図4は本第2実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。また、図5は図4のC部拡大図であり、第1実施形態の図3に対応する図面である。
【0044】
図4および図5に示すように、ブロワコントローラ2の第2フランジ部23には、ケース1側(図4の紙面下側)に向かって延びる円筒状のシール用円筒リブ28が設けられている。シール用円筒リブ28は、ブロワコントローラ2をケース1の貫通孔11に挿入した際に、当該シール用円筒リブ28がケース1のシールリブ12と円筒リブ13との間に位置するように、第2フランジ部23における貫通穴25より内側壁部22側に接続されている。
【0045】
シールリブ12は、ブロワコントローラ2のシール用円筒リブ28と当接して貫通孔11の内周側に向かって弾性変形可能になっている。また、ブロワコントローラ2がケース1に組み付けられた状態では、シールリブ12が弾性変形した状態でブロワコントローラ2が固定されている。
【0046】
このとき、シールリブ12はシール用円筒リブ28と接触しており、これによりケース1とブロワコントローラ2との間がシールされている。また、ブロワコントローラ2のケース1への挿入方向と、シールリブ12の変形方向とが直交している。換言すると、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とが直交している。
【0047】
本実施形態においても、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とを直交させることができるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0048】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図6および図7に基づいて説明する。本第3実施形態は、上記第1実施形態と比較して、外側壁部24、ブロワ側爪部26およびケース側爪部15を廃止するとともに、ケース1とブロワコントローラ2とをボルト3によって締結固定した点が異なるものである。
【0049】
図6は本第3実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。また、図7は図6のD部拡大図であり、第1実施形態の図3に対応する図面である。
【0050】
図6および図7に示すように、ケース1における円筒リブ13の径方向外側、かつ、ブロワコントローラ2の貫通穴25と対応する部位には、ブロワコントローラ2の挿入方向に延びるボルト用孔17が形成されている。ボルト用孔17は、ブロワコントローラ2の貫通穴25と対向する側の端部が開口している。これによれば、ケース1の貫通孔11にブロワコントローラ2を挿入した後、ブロワコントローラ2の貫通穴25およびケース1のボルト用孔17に貫通穴25側からボルト3を挿入することで、ケース1とブロワコントローラ2とをボルト3にて締結固定することができる。
【0051】
本実施形態においても、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とを直交させることができるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0052】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図8および図9に基づいて説明する。本第4実施形態は、上記第2実施形態と比較して、外側壁部24、ブロワ側爪部26およびケース側爪部15を廃止するとともに、ケース1とブロワコントローラ2とをボルト3によって締結固定した点が異なるものである。
【0053】
図8は本第4実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。また、図9は図8のE部拡大図であり、第1実施形態の図3に対応する図面である。
【0054】
図8および図9に示すように、ケース1における円筒リブ13の径方向外側、かつ、ブロワコントローラ2の貫通穴25と対応する部位には、ブロワコントローラ2の挿入方向に延びるボルト用孔17が形成されている。ボルト用孔17は、ブロワコントローラ2の貫通穴25と対向する側の端部が開口している。これによれば、ケース1の貫通孔11にブロワコントローラ2を挿入した後、ブロワコントローラ2の貫通穴25およびケース1のボルト用孔17に貫通穴25側からボルト3を挿入することで、ケース1とブロワコントローラ2とをボルト3にて締結固定することができる。
【0055】
本実施形態においても、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とを直交させることができるので、上記第2実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0056】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図10および図11に基づいて説明する。本第5実施形態は、上記第1実施形態と比較して、シールリブ12をケース1の内方側に向かって突出させた点が異なるものである。
【0057】
図10は本第5実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。また、図11は図10のF部拡大図であり、第1実施形態の図3に対応する図面である。
【0058】
図10および図11に示すように、ブロワコントローラ2の第1フランジ部21の外周縁部には、ケース1の内方側(図10の紙面下側)に向かって突出するとともに、第1フランジ部21の板面と略垂直な方向に延びるシール用壁部29が設けられている。本実施形態では、シール用壁部29は、第1フランジ部21と一体に形成されている。
【0059】
ケース1の貫通孔11の外周縁部には、ケース1の内方側に向かって突出するシールリブ12が設けられている。シールリブ12は、ブロワコントローラ2のシール用壁部29と当接して貫通孔11の外周側に向かって弾性変形可能になっている。また、ブロワコントローラ2がケース1に組み付けられた状態では、シールリブ12が弾性変形した状態でブロワコントローラ2が固定されている。
【0060】
このとき、シールリブ12はシール用壁部29と接触しており、これによりケース1とブロワコントローラ2との間がシールされている。また、ブロワコントローラ2のケース1への挿入方向と、シールリブ12の変形方向とが直交している。換言すると、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とが直交している。
【0061】
本実施形態においても、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とを直交させることができるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0062】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図12および図13に基づいて説明する。本第6実施形態は、上記第5実施形態と比較して、外側壁部24、ブロワ側爪部26およびケース側爪部15を廃止するとともに、ケース1とブロワコントローラ2とをボルト3によって締結固定した点が異なるものである。
【0063】
図12は本第6実施形態におけるケース1およびブロワコントローラを示す断面図であり、第1実施形態の図2に対応する図面である。また、図13は図12のG部拡大図であり、第1実施形態の図3に対応する図面である。
【0064】
図12および図13に示すように、ケース1における円筒リブ13の径方向外側、かつ、ブロワコントローラ2の貫通穴25と対応する部位には、ブロワコントローラ2の挿入方向に延びるボルト用孔17が形成されている。ボルト用孔17は、ブロワコントローラ2の貫通穴25と対向する側の端部が開口している。これによれば、ケース1の貫通孔11にブロワコントローラ2を挿入した後、ブロワコントローラ2の貫通穴25およびケース1のボルト用孔17に貫通穴25側からボルト3を挿入することで、ケース1とブロワコントローラ2とをボルト3にて締結固定することができる。
【0065】
本実施形態においても、ケース1とブロワコントローラ2との組付方向と、ケース1とブロワコントローラ2とのシール方向とを直交させることができるので、上記第5実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0066】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、機能部品としてブロワコントローラ2を適用した例について説明したが、これに限らず、例えば車室内に向けて空気を送風する送風機の電動モータを適用してもよい。
【0067】
また、上記各実施形態では、ケース1の円筒リブ13に三角リブ14を設けた例について説明したが、三角リブ14を設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 ケース
2 ブロワコントローラ(機能部品)
3 ボルト(締結部材)
11 貫通孔
12 シールリブ(撓み部)
15 ケース側爪部
26 ブロワ側爪部(機能部品側爪部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気通路を形成するケース(1)と、前記ケース(1)に組み付けられる空調用の機能部品(2)とを備える車両用空調装置のシール構造であって、
前記ケース(1)と前記機能部品(2)とを接触させることにより、前記ケース(1)と前記機能部品(2)との間がシールされており、
前記ケース(1)と前記機能部品(2)との組付方向と、前記ケース(1)と前記機能部品(2)とのシール方向とが略直交していることを特徴とする車両用空調装置のシール構造。
【請求項2】
前記ケース(1)には、前記機能部品(2)が挿入されて固定される貫通孔(11)が形成されており、
前記ケース(1)における前記貫通孔(11)の外周縁部には、前記機能部品(2)と当接して前記貫通孔(11)の外方側または内方側に向かって変形可能な撓み部(12)が設けられており、
前記機能部品(2)が前記ケース(1)に組み付けられた状態では、前記撓み部(2)が変形した状態で前記機能部品(2)が固定されており、
前記機能部品(2)の前記ケース(1)への挿入方向と、前記撓み部(12)の変形方向とが略直交していることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置のシール構造。
【請求項3】
前記撓み部は、前記ケース(1)の外部または内側へ突出して設けられたシールリブ(12)であることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置のシール構造。
【請求項4】
前記ケース(1)には、前記ケース(1)の外部へ突出して設けられたケース側爪部(15)が設けられており、
前記機能部品(2)には、前記ケース側爪部(15)と係合可能な機能部品側爪部(26)が設けられており、
前記機能部品(2)は、前記ケース側爪部(15)に前記機能部品側爪部(26)が係合した状態で、前記ケース(2)に固定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置のシール構造。
【請求項5】
前記ケース(1)および前記機能部品(2)は、締結部材(3)により締結固定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置のシール構造。
【請求項1】
空気通路を形成するケース(1)と、前記ケース(1)に組み付けられる空調用の機能部品(2)とを備える車両用空調装置のシール構造であって、
前記ケース(1)と前記機能部品(2)とを接触させることにより、前記ケース(1)と前記機能部品(2)との間がシールされており、
前記ケース(1)と前記機能部品(2)との組付方向と、前記ケース(1)と前記機能部品(2)とのシール方向とが略直交していることを特徴とする車両用空調装置のシール構造。
【請求項2】
前記ケース(1)には、前記機能部品(2)が挿入されて固定される貫通孔(11)が形成されており、
前記ケース(1)における前記貫通孔(11)の外周縁部には、前記機能部品(2)と当接して前記貫通孔(11)の外方側または内方側に向かって変形可能な撓み部(12)が設けられており、
前記機能部品(2)が前記ケース(1)に組み付けられた状態では、前記撓み部(2)が変形した状態で前記機能部品(2)が固定されており、
前記機能部品(2)の前記ケース(1)への挿入方向と、前記撓み部(12)の変形方向とが略直交していることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置のシール構造。
【請求項3】
前記撓み部は、前記ケース(1)の外部または内側へ突出して設けられたシールリブ(12)であることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置のシール構造。
【請求項4】
前記ケース(1)には、前記ケース(1)の外部へ突出して設けられたケース側爪部(15)が設けられており、
前記機能部品(2)には、前記ケース側爪部(15)と係合可能な機能部品側爪部(26)が設けられており、
前記機能部品(2)は、前記ケース側爪部(15)に前記機能部品側爪部(26)が係合した状態で、前記ケース(2)に固定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置のシール構造。
【請求項5】
前記ケース(1)および前記機能部品(2)は、締結部材(3)により締結固定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置のシール構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−144215(P2012−144215A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5965(P2011−5965)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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