説明

車両用空調装置

【課題】高さの増加を抑えつつ空調ケース内での圧損を低減できる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】ほぼ水平な回転軸76cを中心として回転する遠心式ファン76と、回転軸76cより下方側からほぼ水平な方向に空気を吹き出す吹出口78を備えた渦巻状のスクロールケース70と、遠心式ファン76よりも下流側に設けられたエバポレータ20と、エバポレータ20よりも下流側に設けられたヒータコア30と、ヒータコア30よりも上方に設けられ、エバポレータ20で冷却された空気をヒータコア30を迂回して流通させるバイパス通路32とを有し、遠心式ファン76、エバポレータ20及びヒータコア30は、ほぼ水平な一直線上に配列され、エバポレータ20は、上端部20aが上流側に傾斜するように配置され、ヒータコア30は、上端部30aが下流側に傾斜するように配置されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、車室内の空調を行う車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建設機械用の車両に搭載される車両用空調装置が開示されている。この車両用空調装置は、操縦者用シートの架台下のほぼ直方体状の空間に配置されている。この車両用空調装置では、送風機、エバポレータ及びヒータコアが車両左右方向に横並びに配置されている。エバポレータ及びヒータコアはいずれも鉛直面に平行かつ互いに平行に立てて配置されている。
【特許文献1】特開2006−192997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
建設用の車両では、操縦者の居住空間を確保する必要があるため、シート架台下の空間の高さや幅に制約がある。このため、車両用空調装置の高さや幅にも上限があるのでエバポレータやヒータコアを大型化することが困難である。したがって、上記の車両用空調装置では高い冷暖房能力が得られないという問題が生じていた。
【0004】
図6は、上記の問題を解決し得る車両用空調装置の構成の例を模式的に示す断面図である。図6に示すように、車両用空調装置101は、送風機110、エバポレータ120及びヒータコア130が車両左右方向に横並びに配置された構成を有している。エバポレータ120及びヒータコア130は、いずれも上端部が空気流れ下流側に傾斜するように配置されている。これにより、エバポレータ120及びヒータコア130を大型化しても車両用空調装置101の高さの増加を抑えられるため、高さに上限のある車両用空調装置101であっても高い冷暖房能力を得られるようになる。
【0005】
しかしながら車両用空調装置101では、図中の矢印A2で示すように空調空気(冷風)の流路が曲折してしまうため、空気流れが円滑でなく空調ケース内での圧損が増加してしまうという問題が生じる。空調ケース内での圧損が増加すると、吹出風量の減少や送風機110のブロワモータの負荷の増大等の問題も生じる。
【0006】
本発明の目的は、高さの増加を抑えつつ空調ケース内での圧損を低減できる車両用空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0008】
請求項1に記載の発明は、車両に搭載され、車室(60)内の空調を行う車両用空調装置であって、ほぼ水平な回転軸(76c)を中心として回転する遠心式ファン(76)と、遠心式ファン(76)を収容し、車室(60)内に向かう空気を回転軸(76c)より下方側からほぼ水平な方向に吹き出す吹出口(78)を備えた渦巻状のスクロールケース(70)と、遠心式ファン(76)に接続された出力軸を備え、遠心式ファン(76)を回転駆動するブロワモータ(77)と、遠心式ファン(76)よりも空気流れ下流側に設けられ、熱交換により空気を冷却する冷却用熱交換器(20)と、冷却用熱交換器(20)よりも空気流れ下流側に設けられ、冷却用熱交換器(20)で冷却された空気を熱交換により加熱する加熱用熱交換器(30)と、加熱用熱交換器(30)よりも上方に設けられ、冷却用熱交換器(20)で冷却された空気を加熱用熱交換器(30)を迂回して流通させるバイパス通路(32)とを有し、遠心式ファン(76)、冷却用熱交換器(20)及び加熱用熱交換器(30)は、ほぼ水平な一直線上に配列され、冷却用熱交換器(20)は、上端部(20a)が空気流れ上流側に傾斜するように配置され、加熱用熱交換器(30)は、上端部(30a)が空気流れ下流側に傾斜するように配置されていることを特徴としている。
【0009】
これにより、吹出口(78)から吹き出された空気は冷却用熱交換器(20)を円滑に通過し、冷却用熱交換器(20)を通過した空気はバイパス通路(32)又は加熱用熱交換器30を円滑に通過する。したがって、車両用空調装置の空気通路での圧損を低減することができる。また、冷却用熱交換器(20)及び加熱用熱交換器(30)が傾斜して配置されるため、車両用空調装置の高さの増加を抑えられる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、車室(60)内の乗員が着座するシート(61)の下方に配置され、回転軸(76c)は車両の前後方向にほぼ平行に配置され、遠心式ファン(76)、冷却用熱交換器(20)及び加熱用熱交換器(30)は、車両の左右方向に配列されていることを特徴としている。これにより、車室(60)内のスペースを有効に利用できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、ブロワモータ(77)は、出力軸が片側に延びる片軸型であり、遠心式ファン(76)よりも車両の前方側に設けられていることを特徴としている。
【0012】
これにより、ブロワモータ(77)をメンテナンスする際に、ブロワモータ(77)を容易に取り外すことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明のように、車両は建設機械用車両又は農業機械用車両であってもよい。
【0014】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係の一例を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1乃至図5を用いて説明する。本実施形態の車両用空調装置は、水冷式のエンジンを備えた油圧ショベルカー等の建設機械用車両のキャビン(車室)内に搭載されるものである。図1は、本実施形態における車両用空調装置が搭載される車両のキャビンのレイアウトを模式的に示す斜視図である。図1の上下方向は概ね鉛直上下方向を表し、図1の左下方向は車両前方を表している。図1に示すように、建設機械用車両や農業機械用車両のキャビン60は、鉛直上下方向に長い箱型の形状を有している。キャビン60内の車両後方寄りには、操縦者(乗員)が車両前方を向いて着座する着座部62と、着座した操縦者の背中を支持する背もたれ部63とを備えたシート61が設けられている。本実施形態の車両用空調装置1は、シート61の着座部62を支持するシート架台(図示せず)下方の空調装置配置スペース64に設けられている。
【0016】
図2は、空調装置配置スペース64を鉛直上方向から見た状態を示している。図2の下方向は車両前方を表している。図2に示すように、空調装置配置スペース64の車両左右方向の長さはキャビン60の車両左右方向の幅が上限となる。空調装置配置スペース64の車両前後方向の幅は、シート61に着座した操縦者の足元スペース65を確保するために、着座部62の奥行きが上限となる。空調装置配置スペース64の鉛直上下方向の高さは、シート61に着座した操縦者の頭上スペースを確保できるように設定されるシート架台の高さが上限となる。一般に空調装置配置スペース64は、車両左右方向の長さが比較的長く車両前後方向の幅がそれより狭い横長の長方形状の平面形状を有している。また空調装置配置スペース64は、車両前後方向の幅よりもさらに鉛直上下方向の高さが低い扁平な直方体状の形状を有している。
【0017】
図3は、空調装置配置スペース64に配置される車両用空調装置1の構成を示す外観図である。図4は鉛直上方から見た車両用空調装置1の構成を示す模式図であり、図5は図4のV−V線で切断した車両用空調装置1の構成を示す断面図である。図3乃至図5に示すように、車両用空調装置1は、空調装置配置スペース64に配置できるように全体として扁平な直方体状の外形状を有している。
【0018】
車両用空調装置1は、空気流れを発生させる送風ユニット2と、送風ユニット2の空気流れ下流側に設けられた空調ユニット3とを有している。送風ユニット2は、渦巻状のスクロールケース70と、スクロールケース70の車両後方側に延び、キャビン60内の空気(内気)又はキャビン60外の空気(外気)をスクロールケース70内に切替導入する内外気切替部71とを有している。
【0019】
内外気切替部71は、概ね箱型の形状を有している。内外気切替部71は、例えば車両左側の表面に設けられ、内気を導入する内気導入部72と、内気導入部72の設けられた表面に隣接する例えば車両後方側の表面に設けられ、外気を導入する外気導入部73とを有している。内気導入部72及び外気導入部73は、それらの間に設けられた板状の内外気切替ドア74により開閉されるようになっている。内外気切替ドア74は、吸込口モードに基づき設定された所定のドア角度に不図示の駆動機構によって駆動され、内気又は外気を切替導入するようになっている。切替導入された内気又は外気は、吸込ダクト75を介してスクロールケース70内に流入するようになっている。なお、内外気切替ドア74はロータリードアであってもよい。
【0020】
スクロールケース70内には、周方向に複数のブレードが設けられた遠心式ファン76が収容されている。遠心式ファン76の回転軸76cは車両前後方向にほぼ平行に配置されている。
【0021】
スクロールケース70は、遠心式ファン76の外周を覆い、回転軸76cに対して渦巻状に形成されたスクロール壁80と、遠心式ファン76の側面を覆い、スクロール壁80を挟んで互いに対向する2つの平面状の側壁81、82とを有している。スクロール壁80は、車両前方側(後述するブロワモータ77側)から見て右巻きの渦巻状に形成されている。車両後方側の側壁82には、吸込ダクト75に接続され、内外気切替部71から供給される空気をスクロールケース70内側に吸い込む吸込口(図示せず)が形成されている。
【0022】
遠心式ファン76の外周とスクロール壁80との間には、スクロール壁80の巻き始め部分80a付近を始点とし、巻き終わり部分80b付近を終点とする渦巻状の通風路83が形成されている。スクロール壁80外側表面のうち巻き始め部分80aは車両右側を向いており、巻き終わり部分80bは鉛直下方を向いている。渦巻方向とは逆方向に見て巻き始め部分80aと巻き終わり部分80bとの間には、渦巻の接線方向である車両右側に向かって開口された吹出口78が形成されている。吹出口78は、回転軸76cよりも鉛直下方側に位置している。
【0023】
遠心式ファン76の車両前方側には、遠心式ファン76を回転駆動する片軸型のブロワモータ77が配置されている。ブロワモータ77は、遠心式ファン76の回転軸76cと同軸に配置されて遠心式ファン76に接続された出力軸(図示せず)を備えている。ブロワモータ77は、スクロールケース70の側壁81の外側表面に取り付けられている。ブロワモータ77は、側壁81に対する固定を解除して車両前方側(足元スペース65側)に引き抜くことにより取り外すことができるようになっている。図3では、ブロワモータ77の着脱方向を白抜きの太両矢印で示している。
【0024】
一方、空調ユニット3は、空気を流通させる空気通路11を画定する空調ケース10を有している。送風ユニット2の吹出口78から吹き出された空気は、空気通路11を通ってキャビン60側に向かって流れるようになっている。空気通路11の断面積は吹出口78の断面積よりも大きいため、空調ケース10の吹出口78との接続部分の壁面は、風速分布をほぼ均一化できる形状に形成されている。
【0025】
空気通路11内には、遠心式ファン76の車両右方向に位置し、内部を流通する冷媒との熱交換により空調空気を冷却するエバポレータ(冷却用熱交換器)20が設けられている。エバポレータ20は、冷媒が循環する冷凍サイクルの一部を構成している。例えばエバポレータ20は、冷媒が流通するアルミニウム製の扁平チューブをコルゲートフィンを介して複数積層した構成を有し、空気の流通方向には比較的薄型に形成されている。またエバポレータ20は、その上端部20aが空気流れ上流側(遠心式ファン76側)に傾斜し、下端部20bが空気流れ下流側(後述するヒータコア30側)に傾斜するように配置されている。
【0026】
エバポレータ20の空気流れ下流側には、内部を流通するエンジン冷却水との熱交換により、エバポレータ20で冷却された空気を加熱するヒータコア30が設けられている。ヒータコア30は、エバポレータ20の車両右方向に位置している。すなわち遠心式ファン76、エバポレータ20及びヒータコア30は、ほぼ水平な一直線上に配列している。例えばヒータコア30は、エンジン冷却水が流通するアルミニウム製の扁平チューブをコルゲートフィンを介して複数積層した構成を有し、空気の流通方向には比較的薄型に形成されている。またヒータコア30は、その上端部30aが空気流れ上流側(エバポレータ20側)に傾斜し、下端部30bが空気流れ下流側に傾斜するように配置されている。
【0027】
ヒータコア30の上方には、エバポレータ20で冷却された空気をヒータコア30を迂回して流通させるバイパス通路32が形成されている。エバポレータ20の空気流れ下流側であってヒータコア30及びバイパス通路32の空気流れ上流側には、エアミックスドア31が設けられている。エアミックスドア31は、不図示の駆動機構により駆動され、ヒータコア30を通過して再加熱される高温の空気と、ヒータコア30を迂回してバイパス通路32を通過する低温の空気との流量比率を調節できるようになっている。またヒータコア30及びバイパス通路32の空気流れ下流側のうち比較的上方には、ヒータコア30を通過した空気とバイパス通路32を通過した空気とを混合するエアミックス領域33が形成されている。高温の空気と低温の空気とがエアミックス領域33で混合されることにより、キャビン60内に吹き出される所望温度の空調空気が生成される。図5では、バイパス通路32を通過する低温の空気の流量比率が最大になる最大冷房状態を表している。
【0028】
エアミックス領域33の下流側には、フット開口部40、デフロスタ開口部41、フロントフェイス開口部42及びリア開口部43が設けられている。フット開口部40、デフロスタ開口部41、フロントフェイス開口部42及びリア開口部43は、不図示のモードドアによってそれぞれ開閉されるようになっている。各モードドアは、空調装置用のECUによって吹出口モードに基づき開閉制御されるようになっている。
【0029】
フット開口部40には、フット開口部40から流出する空調空気を流通させるフットダクト44が接続されている(図1参照)。フットダクト44の下流端側にはフット吹出口45が設けられている。フット吹出口45からは、操縦者の足元等の下半身側に空調空気が吹き出されるようになっている。
【0030】
デフロスタ開口部41には、デフロスタ開口部41から流出する空調空気を流通させるデフロスタダクト46が接続されている。デフロスタダクト46の下流端側にはデフロスタ吹出口47が設けられている。デフロスタ吹出口47からは、車両のフロントガラス内面等に空調空気が吹き出されるようになっている。
【0031】
フロントフェイス開口部42には、フロントフェイス開口部42から流出する空調空気を流通させるフロントフェイスダクト48が接続されている。フロントフェイスダクト48の下流端側にはフロントフェイス吹出口49が設けられている。フロントフェイス吹出口49からは、操縦者の前方の上半身側に空調空気が吹き出されるようになっている。
【0032】
リア開口部43には、リア開口部43から流出する空調空気を流通させるリアダクト50が接続されている。リアダクト50の下流端側にはリア吹出口51が設けられている。リア吹出口51からは、操縦者の後方又は上方に空調空気が吹き出されるようになっている。
【0033】
各吹出口45、47、49、51には、向きを調節可能なグリルが設けられている。これにより操縦者は、グリルの向きを例えば手動で調節することにより、各吹出口45、47、49、51からの空調空気の吹出方向を調節できるようになっている。
【0034】
次に、本実施形態における車両用空調装置の作動について図5を参照して説明する。ここで、図5の矢印A1は、空気通路11において冷風が主に流れる流路を表している。
【0035】
遠心式ファン76がブロワモータ77の駆動により回転すると、遠心式ファン76は、吸込ダクト75を介して回転軸76c近傍に供給される空気を吸引して径方向外側の通風路83側に圧送する。通風路83には、スクロール壁80の巻き始め部分80aからまず上方に向かい、スクロール壁80内側表面に沿って徐々に流れ方向を変えながら順に車両左方、下方及び車両右方に向かい、巻き終わり部分80bを経て吹出口78から車両右方に向かう空気の流れが形成される。
【0036】
吹出口78から車両右方に向かって吹き出された空気は、空調ユニット3の空気通路11に流入する。吹出口78は空調ケース10に対して下方側に偏って設けられているため、吹出口78から吹き出された直後の空気は、図5の矢印A1で示すように空気通路11の下方側を主に流れる。
【0037】
その後空気は、エバポレータ20の扁平チューブ間の空間を通過し、扁平チューブ内を流通する冷媒との熱交換により冷却される。エバポレータ20は上端部20aが空気流れ上流側に傾斜するように配置されているため、エバポレータ20の上流側表面は下方を向いている。したがって、空気通路11の下方側を主に流れている空気は、比較的円滑にエバポレータ20を通過する。エバポレータ20を通過した後の空気は、矢印A1で示すように空気通路11の上方側を主に流れる。
【0038】
エバポレータ20で冷却された空気は、エアミックスドア31によりバイパス通路32側又はヒータコア30側に振り分けられる。すなわち、冷風となる空気は空気通路11の上方に形成されたバイパス通路32を通過し、暖風となる空気は空気通路11の下方に配置されたヒータコア30を通過する。エバポレータ20を通過した後の空気は空気通路11の上方側を主に流れているため、冷風となる空気は比較的円滑にバイパス通路32を通過する。
【0039】
また、ヒータコア30は上端部30aが下流側に傾斜するように配置されているため、ヒータコア30の上流側表面は上方を向いている。したがって、温風となる空気も比較的円滑にヒータコア30を通過する。
【0040】
バイパス通路32を通過した冷風とヒータコア30を通過した暖風はエアミックス領域33で混合され、吹出口モードに基づいて開閉するフット開口部40、デフロスタ開口部41、フロントフェイス開口部42又はリア開口部43のうち少なくともいずれか1つから流出し、キャビン60内に吹き出される。
【0041】
本実施形態では、遠心式ファン76、エバポレータ20及びヒータコア30が横並びに配置された車両用空調装置1において、遠心式ファン76の吹出口78を下方に配置し、エバポレータ20を上端部20aが上流側に傾斜するように配置し、ヒータコア30を上端部30aが下流側に傾斜するように配置し、バイパス通路32をヒータコア30の上方に配置している。これにより、図5の矢印A1で示す冷風の流路は、図6の矢印A2で示した冷風の流路と比較して滑らかになる。このため、特に冷風において空気通路11での圧損を低減することができる。したがって本実施形態によれば、送風ユニット2のブロワモータ77の負荷を低減できるとともに、キャビン60内に吹き出される吹出風量の減少を防止できる。
【0042】
また本実施形態では、エバポレータ20及びヒータコア30を傾斜して配置しているため、冷暖房能力を高めるためにエバポレータ20及びヒータコア30を大型化しても、車両用空調装置1の高さの増加を抑えられる。
【0043】
さらに本実施形態では、車両用空調装置1がシート61下方の空調装置配置スペース64に配置されているため、キャビン60内のスペースを有効に利用できる。
【0044】
また本実施形態では、片軸型のブロワモータ77が遠心式ファン76の車両前方側に配置されている。ブロワモータ77のさらに車両前方側には足元スペース65が設けられているため、ブロワモータ77をメンテナンスする際には、車両用空調装置1全体を取り外すことなく、ブロワモータ77をスクロールケース70から容易に取り外すことができる。
【0045】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、車両のシート下に配置される車両用空調装置を例に挙げたが、車両用空調装置は車両の他の場所に配置されていてもよい。
【0046】
また上記実施形態では、建設機械用車両に搭載される車両用空調装置を例に挙げたが、農業機械用車両やその他の車両に搭載される車両用空調装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1実施形態における車両用空調装置が搭載される車両のキャビンのレイアウトを模式的に示す図である。
【図2】空調装置配置スペースを鉛直上方向から見た状態を示す図である。
【図3】第1実施形態における車両用空調装置の構成を示す外観図である。
【図4】第1実施形態における車両用空調装置の構成を示す模式図である。
【図5】図4のV−V線で切断した車両用空調装置の構成を示す断面図である。
【図6】車両用空調装置の構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 車両用空調装置
2 送風ユニット
3 空調ユニット
10 空調ケース
11 空気通路
20 エバポレータ(冷却用熱交換器)
20a 上端部
30 ヒータコア(加熱用熱交換器)
30a 上端部
32 バイパス通路
60 キャビン(車室)
61 シート
70 スクロールケース
76 遠心式ファン
76c 回転軸
77 ブロワモータ
78 吹出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、車室(60)内の空調を行う車両用空調装置であって、
ほぼ水平な回転軸(76c)を中心として回転する遠心式ファン(76)と、
前記遠心式ファン(76)を収容し、前記車室(60)内に向かう空気を前記回転軸(76c)より下方側からほぼ水平な方向に吹き出す吹出口(78)を備えた渦巻状のスクロールケース(70)と、
前記遠心式ファン(76)に接続された出力軸を備え、前記遠心式ファン(76)を回転駆動するブロワモータ(77)と、
前記遠心式ファン(76)よりも空気流れ下流側に設けられ、熱交換により空気を冷却する冷却用熱交換器(20)と、
前記冷却用熱交換器(20)よりも空気流れ下流側に設けられ、前記冷却用熱交換器(20)で冷却された空気を熱交換により加熱する加熱用熱交換器(30)と、
前記加熱用熱交換器(30)よりも上方に設けられ、前記冷却用熱交換器(20)で冷却された空気を前記加熱用熱交換器(30)を迂回して流通させるバイパス通路(32)とを有し、
前記遠心式ファン(76)、前記冷却用熱交換器(20)及び前記加熱用熱交換器(30)は、ほぼ水平な一直線上に配列され、
前記冷却用熱交換器(20)は、上端部(20a)が空気流れ上流側に傾斜するように配置され、
前記加熱用熱交換器(30)は、上端部(30a)が空気流れ下流側に傾斜するように配置されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記車室(60)内の乗員が着座するシート(61)の下方に配置され、
前記回転軸(76c)は前記車両の前後方向にほぼ平行に配置され、
前記遠心式ファン(76)、前記冷却用熱交換器(20)及び前記加熱用熱交換器(30)は、前記車両の左右方向に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記ブロワモータ(77)は、前記出力軸が片側に延びる片軸型であり、前記遠心式ファン(76)よりも前記車両の前方側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記車両は建設機械用車両又は農業機械用車両であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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