説明

車両用空調装置

【課題】車室内目標露点温度を参照して車室内湿度を適切に制御することにより、乗員の快適性向上や、窓ガラスの曇りを防ぐことができる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】蒸気圧縮式冷凍サイクルを有し、蒸発器温度検知手段、目標吹出温度演算手段、車室内温湿度検知手段、車室内露点温度演算手段、車室内温度設定手段を備えた車両用空調装置において、車室内湿度設定手段により設定される車室内湿度設定値と、車室内温度設定値とを参照することにより車室内露点温度目標値を算出し、該車室内露点温度目標値と、車室内露点温度演算手段により演算された車室内露点温度との偏差により演算される車室内露点温度補正値と、車室内露点温度目標値とを参照することにより、蒸発器の冷却量を調節することを特徴とする車両用空調装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置に関し、とくに、空調装置の省動力化を達成し、さらに車室内の確実な除湿が得られることで乗員の快適性向上ひいては窓ガラスの曇り防止を行うことが可能な車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車室内に設置した湿度検出手段により検出される湿度に応じて可変容量圧縮機の吐出容量を調節するという技術が特許文献1等により提案されている。また、車室内の湿度が目標の湿度となるように、フィードバック制御を行う技術が特許文献2により提案されている。しかしながら、いわゆる湿度センサは、相対湿度センサであるから、その値は空気温度に依存することになるため、相対湿度を参照し目標となる相対湿度へと制御することは、常に空気温度の影響を考慮する必要があり、制御が煩雑になることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−124139号公報
【特許文献2】特開2003−237341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように相対湿度を検知して、相対湿度に応じて蒸発器温度をコントロールする方法では、車室内の設定温度に対して最適となる相対湿度を参照し、その相対湿度となるように湿度をコントロールすることがある。しかしながら、車室内温度が設定温度ではないときには、車室内空気温度が設定温度となるように車室内空気温度をコントロールすることになり、相対湿度は空気温度である車室内空気温度に依存してしまうため、目標とする湿度へと適切なコントロールができなくなる恐れがある。そのため、空気温度が低く相対湿度が高いというような除湿する必要がない条件にも関わらず、蒸発器の温度を低下させることで無駄な消費エネルギーが生じることや、空気温度が高く相対湿度が低いというような本来除湿するべき条件であるのに、除湿しないため乗員の快適性を損なったり、ひいては、窓ガラスの曇りが発生することも考えられる。
【0005】
そこで本発明の課題は、上記のような問題点を除去あるいは軽減するために、車室内目標露点温度を参照して車室内温湿度を制御することで、適切に車室内湿度を制御できるようにし、それによって、乗員の快適性向上や、窓ガラスの曇りを防ぐことができるようにした車両用空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用空調装置は、少なくとも、冷媒を圧縮する圧縮機と、高温高圧の冷媒を放熱させる放熱器と、冷却器として車室内に吹き出す空気を冷却する冷媒の蒸発器とを備えた蒸気圧縮式冷凍サイクルを有するとともに、蒸発器出口空気温度または蒸発器温度を検知することのできる蒸発器温度検知手段、車室内への目標吹出温度を演算する目標吹出温度演算手段、車室内温度を検知することのできる車室内温度検知手段、車室内湿度を検知することのできる車室内湿度検知手段、車室内温度および車室内湿度より車室内の露点温度を算出する車室内露点温度演算手段、車室内温度設定値を設定することのできる車室内温度設定手段を備えた車両用空調装置において、
車室内湿度設定値を設定することのできる車室内湿度設定手段を持ち、該車室内湿度設定手段により設定される車室内湿度設定値と、前記車室内温度設定手段により設定される車室内温度設定値とを参照することにより、車室内露点温度目標値を算出することのできる車室内露点温度目標値演算手段を持ち、該車室内露点温度目標値演算手段により演算された車室内露点温度目標値と、前記車室内露点温度演算手段により演算された車室内露点温度との偏差を演算する車室内露点温度補正値演算手段を持ち、該偏差により演算される車室内露点温度補正値と、前記車室内露点温度目標値とを参照することにより、蒸発器の冷却量を調節することを特徴とするものからなる。
【0007】
すなわち、車室内露点温度目標値演算手段により演算された車室内露点温度目標値と、車室内露点温度演算手段により演算された車室内露点温度との偏差を演算し、該偏差により車室内露点温度補正値を演算し、その車室内露点温度補正値と上記車室内露点温度目標値とを参照して、車室内露点温度が最適な露点温度になるように蒸発器の冷却量を調節し、車室内湿度を適切な湿度に制御して窓ガラスの曇りを防止するとともに、乗員の快適性を確保できるようにしたものである。
【0008】
上記本発明に係る車両用空調装置においては、とくに、上記車室内露点温度補正値演算手段は、車室内露点温度目標値から車室内露点温度を減じた車室内露点温度補正値を演算し、上記車室内露点温度目標値に上記の演算された車室内露点温度補正値を加えた値を車室内目標露点温度修正値としてそれを参照することにより、蒸発器の冷却量を調節することが好ましい。つまり、車室内露点温度が、最終的に求められた車室内目標露点温度修正値に制御されるよう、蒸発器の冷却量を調節するのである。これにより、より確実に、車室内湿度を最適な湿度に制御して窓ガラスの曇りを防止するとともに、乗員の快適性を確保できるようになる。
【0009】
また、このような構成を備えた車両用空調装置においては、上記車室内露点温度目標値に車室内露点温度補正値を加えた値を車室内目標露点修正値とし、該車室内目標露点修正値と、上記目標吹出温度演算手段により演算された目標吹出温度より設定される蒸発器出口空気温度目標値または蒸発器温度目標値とを参照し、どちらか小さいほうを選択して蒸発器の冷却量を調節し、上記吹出温度制御手段により車室内へ吹き出す空調風の吹出温度を制御し、車室内を空調するようにすることができる。
【0010】
また、本発明に係る車両用空調装置においては、上記車室内湿度設定手段は、外部からの設定または自動設定とし、設定範囲は相対湿度40%〜60%とすることが好ましい。また、車室内露点温度目標値は、10℃〜17℃の間で設定することが好ましい。このような範囲内で相対湿度および車室内露点温度目標値を設定することにより、窓ガラスの曇り防止は勿論のこと、とくに乗員の快適性向上に一層確実に寄与できることになる。
【0011】
また、上記のような構成を備えた車両用空調装置においては、窓ガラスの温度を検知または推定することのできるガラス温度取得手段を持ち、取得されたガラス温度を参照することで演算されるガラス露点温度値を算出し、上記車室内目標露点温度修正値と、上記蒸発器出口空気温度目標値または蒸発器温度目標値と、上記ガラス露点温度値とを参照することにより、蒸発器の冷却量を調節することができる。
【0012】
この場合、窓ガラスの温度を検知または推定することのできるガラス温度取得手段を持ち、取得されたガラス温度を参照することで演算されるガラス露点温度値を算出し、ガラス露点温度値と前記車室内露点温度とを参照することで演算されるガラス露点温度修正値と、車室内目標露点温度修正値と、目標吹出温度より演算される蒸発器出口空気温度目標値または蒸発器温度目標値とを参照し、そのうち最も小さいものを用いて蒸発器温度制御目標値を設定する構成とすることができる。上記ガラス露点温度修正値は、ガラス温度から車室内露点温度を減じ、上記ガラス露点温度値を加えた値とすることができる。
【0013】
また、上記のような構成を備えた車両用空調装置においては、さらに、車室外湿度を検知または推定することのできる外気湿度検知手段と車室外温度を検知または推定することのできる外気温度検知手段を有し、前記外気湿度検知手段により検知または推定される外気湿度と、前記外気温度検知手段により検知または推定される外気温度を参照することで、車室外露点温度を算出し、該車室外露点温度と、前記車室内露点温度との偏差を参照し、蒸発器の冷却量を調節することもできる。すなわち、窓ガラスの曇りは、車室内露点温度とガラス露点温度との高低関係で発生する場合もあれば、車室外露点温度とガラス露点温度との高低関係で発生する場合もあるので、後者の場合についても考慮し、その場合には車室外露点温度と車室内露点温度との偏差を利用して蒸発器の冷却量を調節するようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る車両用空調装置によれば、車室内湿度を、相対湿度を直接検出する湿度センサの検出値ではなく、車室内露点温度に基づいて制御するため、車室内空気温度に左右される煩雑な制御とすることなく、簡便な制御方法で確実に湿度調節することができるようになり、乗員の快適性向上に貢献するとともに、より適切に窓ガラスの曇りを防ぐことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施態様に係る車両用空調装の機器系統図である。
【図2】本発明における制御例を示す制御ブロック図である。
【図3】本発明における制御例を示す制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る車両用空調装の機械的な構成部分全体を示しており、通風回路と冷凍回路(蒸気圧縮式冷凍サイクル)が設けられている。この蒸気圧縮式冷凍サイクル11には、駆動源としての車両のエンジン1(但し、電動モータ等、他の駆動源も可能である)により、プーリ2、3を介してベルト12によって駆動される可変容量圧縮機4を有しており、圧縮機4は、エンジン1からの駆動力の伝達をコントロールするクラッチ13を介して駆動されるようになっている。冷凍サイクル11は、さらに、圧縮機4から吐出される高温、高圧の冷媒と外部空気との熱交換により冷媒を冷却する放熱器6と、放熱器冷却ファン7と、圧縮機4から吐出される高圧冷媒の圧力を放熱器6の出口側で検出する高圧側圧力検出手段5と、放熱器6から流出した高圧冷媒を気液分離する受液器8(レシーバ)と、受液器8から流出した冷媒を断熱膨張させる膨張手段9(膨張弁)と、膨張手段9からの冷媒を蒸発させ送られてくる空調風を冷却する蒸発器10とを備えており、蒸発器10から流出した冷媒は、圧縮機4に送られて再び圧縮される。冷凍サイクル11の高圧側圧力は、図示のように、圧縮機吐出冷媒圧力から放熱器出口冷媒圧力に至る冷媒圧力を検知することが好ましい。
【0017】
蒸発器10は、車室内へと空調風を送る空気通路を形成する通風ダクト14内に配置されている。通風ダクト14には、外気導入口15と内気導入口16から、内外気切替ダンパ17を介して空気が導入され、内外気切替ダンパ17は内外気切替ダンパアクチュエータ18によって作動が制御される。導入された空気は送風機としてのブロワファン19によって吸入され下流側の蒸発器10に向けて圧送される。蒸発器10の出口側には、蒸発器出口空気温度センサ20(または蒸発器温度センサ)が設けられており、蒸発器10の下流側には、加熱器としてのヒータコア21が設けられている。このヒータコア21を通過する空気とバイパスする空気の割合がエアミックスダンパ22によって調節され、エアミックスダンパ22の開度はエアミックスダンパアクチュエータ23によって制御される。温調された空気は、各ダンパ24、25、26を介して各吹出口27、28、29から車室内に向けて吹き出される。
【0018】
31は、空調制御装置を示しており、空調制御装置31には、外気温度センサ32からの外気温度信号、日射センサ33からの車室内への日射量信号、車室内温度センサ34からの車内温度信号、湿度センサ35からの車室内湿度信号、高圧側圧力検出手段5の高圧側冷媒圧力信号36、蒸発器出口空気温度センサ20からの蒸発器出口空気温度信号(蒸発器温度信号)37が、それぞれ入力される。空調制御装置31からは、圧縮機4の駆動を制御するクラッチコントローラ38へクラッチ制御信号39が、圧縮機4の容量を制御可能な外部信号としての圧縮機容量制御信号40が圧縮機4へ、エアミックスダンパアクチュエータ23へエアミックスダンパ制御信号41が、内外気切替ダンパアクチュエータ18へ内外気切替ダンパ制御信号42が、ブロワファン19の駆動用電圧信号43(ブロワ電圧信号)が、それぞれ出力される。
【0019】
なお、上記実施態様では、蒸気圧縮式冷凍サイクルはフロン系冷媒を適用しているが、二酸化炭素冷媒としてもよい。また、上記蒸気圧縮式冷凍サイクルでは、圧縮機の駆動をコントロールできるクラッチを装備しているが、クラッチレスとしてもよい。また、上記圧縮式冷凍サイクルの膨張手段としては、機械式膨張弁の他、電子膨張弁あるいは温度式膨張弁あるいは差圧式膨張弁などを用いてもよい。また、上記の蒸気圧縮式冷凍サイクルでは、外部制御信号により圧縮機の容量を変化させることのできる外部可変容量圧縮機としているが、固定容量圧縮機であってもよい。さらに、蒸気圧縮式冷凍サイクルの圧縮機として、エンジンにより駆動するもの、あるいは電動モータにより駆動するもの、さらには両駆動源により選択的にあるいは同時に駆動可能なハイブリッド式圧縮機であってもよい。
【0020】
上記のような車両用空調装置についての制御ブロック図の一例を図2に、制御フローの一例を図3に、それぞれ示す。以下に、図3に示す制御フローを中心に説明する。
・車室内温湿度設定手段により、車室内温度設定値(Tset)、車室内湿度設定値(Hset)が設定される。
・車室内温度(Tin)、車室内湿度(Hin)、外気温度(Tamb)、日射量(Rsun)が検知され、読み込まれる。
・車室内露点温度目標値演算手段により、車室内温度設定値(Tset)、車室内湿度設定値(Hset)を参照することで車室内露点温度目標値(Tdset)が演算される。
・車室内露点温度演算手段により、車室内温度(Tin)と、車室内湿度(Hin)とを参照することで、車室内露点温度(Tdin)が算出される。
・車室内露点温度補正値演算手段により、車室内露点温度目標値(Tdset)と車室内露点温度(Tdin)とにより、車室内露点温度補正値(Tde)が算出される。
・車室内目標露点温度修正値演算手段により、車室内露点温度目標値(Tdset)と、車室内露点温度補正値(Tde)とを参照することにより、車室内目標露点温度修正値(Tdh)が算出される。
【0021】
・目標吹出温度(Toc)は、従来の空調システムと同様に、目標車室内温度である車室内温度設定値(Tset)と、車室内温度(Tin)と、外気温度(Tamb)と、日射量(Rsun)等を参照することにより演算され、次式で算出される。また、目標吹出温度(Toc)より演算される蒸発器出口空気温度目標値あるいおは蒸発器温度目標値(図においては、蒸発器温度目標値と表記してある。)(Toff)が算出される。
Toc=f(Tset , Tin , Tamb , Rsun)
Toff=f(Toc)
・ガラス温度取得手段により、推定または検知されるガラス温度(Tglass)を取得する。 Tglass=f(Tamb , Rsun)
・ガラス露点温度修正値演算手段により、ガラス温度(Tglass)から車室内露点温度(Tdin)とを参照することにより、ガラス露点温度修正値(Tgh)が算出される。
【0022】
上記車室内露点温度修正値(Tdh)と、上記蒸発器温度目標値(Toff)と、ガラス露点温度修正値(Tgh)とを参照し、最も小さい値を蒸発器温度制御目標値(Tet)とする。したがって、蒸発器温度制御目標値(Tet)は、本例では、車室内露点温度修正値(Tdh)、蒸発器温度目標値(Toff)、ガラス露点温度修正値(Tgh)のいずれかとされる。
・蒸発器温度制御目標値(Tet)となるように、蒸発器温度(Teva)が制御され、蒸発器の冷却量が調節される。
【0023】
ここで、蒸発器温度の制御は、固定容量圧縮機システムであれば、クラッチの断続により制御する。また、外部信号による可変容量圧縮機であれば、容量制御信号により、蒸発器温度の制御を実施することが望ましい。また、電動圧縮機システムであれば、回転数制御により、蒸発器温度の制御を実施することが望ましい。
【0024】
このような制御により、車室内露点温度が最適な露点温度になるように蒸発器の冷却量が調節され、車室内湿度が適切な湿度に制御されて、窓ガラスの曇りが防止されるとともに、乗員の快適性が確保される。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、車室内露点温度演算手段を備えた、従来通常の空調制御を行うあらゆる車両用空調装置に適用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 エンジン
2、3 プーリ
4 圧縮機
5 高圧側圧力検出手段
6 放熱器
7 放熱器冷却ファン
8 受液器
9 膨張手段
10 蒸発器
11 蒸気圧縮式冷凍サイクル
12 ベルト
13 クラッチ
14 通風ダクト
15 外気導入口
16 内気導入口
17 内外気切替ダンパ
18 内外気切替ダンパアクチュエータ
19 ブロワファン
20 蒸発器出口空気温度センサ
21 ヒータコア
22 エアミックスダンパ
23 エアミックスダンパアクチュエータ
24、25、26 ダンパ
27、28、29 吹出口
31 空調制御装置
32 外気温度センサ
33 日射センサ
34 車室内温度センサ
35 湿度センサ
36 高圧側冷媒圧力信号
37 蒸発器出口空気温度信号(蒸発器温度信号)
38 クラッチコントローラ
39 クラッチ制御信号
40 圧縮機容量制御信号
41 エアミックスダンパ制御信号
42 内外気切替ダンパ制御信号
43 ブロワ電圧信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、冷媒を圧縮する圧縮機と、高温高圧の冷媒を放熱させる放熱器と、冷却器として車室内に吹き出す空気を冷却する冷媒の蒸発器とを備えた蒸気圧縮式冷凍サイクルを有するとともに、蒸発器出口空気温度または蒸発器温度を検知することのできる蒸発器温度検知手段、車室内への目標吹出温度を演算する目標吹出温度演算手段、車室内温度を検知することのできる車室内温度検知手段、車室内湿度を検知することのできる車室内湿度検知手段、車室内温度および車室内湿度より車室内の露点温度を算出する車室内露点温度演算手段、車室内温度設定値を設定することのできる車室内温度設定手段を備えた車両用空調装置において、
車室内湿度設定値を設定することのできる車室内湿度設定手段を持ち、該車室内湿度設定手段により設定される車室内湿度設定値と、前記車室内温度設定手段により設定される車室内温度設定値とを参照することにより、車室内露点温度目標値を算出することのできる車室内露点温度目標値演算手段を持ち、該車室内露点温度目標値演算手段により演算された車室内露点温度目標値と、前記車室内露点温度演算手段により演算された車室内露点温度との偏差を演算する車室内露点温度補正値演算手段を持ち、該偏差により演算される車室内露点温度補正値と、前記車室内露点温度目標値とを参照することにより、蒸発器の冷却量を調節することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記車室内露点温度補正値演算手段は、車室内露点温度目標値から車室内露点温度を減じた車室内露点温度補正値を演算し、前記車室内露点温度目標値に演算された車室内露点温度補正値を加えた車室内目標露点温度修正値を参照することにより、蒸発器の冷却量を調節することを特徴とする、請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記車室内露点温度目標値に車室内露点温度補正値を加えた値を車室内目標露点修正値とし、該車室内目標露点修正値と、前記目標吹出温度演算手段により演算された目標吹出温度より設定される蒸発器出口空気温度目標値または蒸発器温度目標値とを参照し、どちらか小さいほうを選択して蒸発器の冷却量を調節し、前記吹出温度制御手段により車室内へ吹き出す空調風の吹出温度を制御し、車室内を空調することを特徴とする、請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記車室内湿度設定手段は、外部からの設定または自動設定とし、設定範囲は相対湿度40%〜60%とすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項5】
車室内露点温度目標値は、10℃〜17℃の間で設定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項6】
窓ガラスの温度を検知または推定することのできるガラス温度取得手段を持ち、取得されたガラス温度を参照することで演算されるガラス露点温度値を算出し、前記車室内目標露点温度修正値と、前記蒸発器出口空気温度目標値または蒸発器温度目標値と、前記ガラス露点温度値とを参照することにより、蒸発器の冷却量を調節することを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項7】
窓ガラスの温度を検知または推定することのできるガラス温度取得手段を持ち、取得されたガラス温度を参照することで演算されるガラス露点温度値を算出し、ガラス露点温度値と前記車室内露点温度とを参照することで演算されるガラス露点温度修正値と、車室内目標露点温度修正値と、目標吹出温度より演算される蒸発器出口空気温度目標値または蒸発器温度目標値とを参照し、そのうち最も小さいものを用いて蒸発器温度制御目標値を設定することを特徴とする、請求項6に記載の車両用空調装置。
【請求項8】
前記ガラス露点温度修正値は、ガラス温度から車室内露点温度を減じ、前記ガラス露点温度値を加えた値とすることを特徴とする、請求項7に記載の車両用空調装置。
【請求項9】
さらに、車室外湿度を検知または推定することのできる外気湿度検知手段と車室外温度を検知または推定することのできる外気温度検知手段を有し、前記外気湿度検知手段により検知または推定される外気湿度と、前記外気温度検知手段により検知または推定される外気温度を参照することで、車室外露点温度を算出し、該車室外露点温度と、前記車室内露点温度との偏差を参照し、蒸発器の冷却量を調節することを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−167891(P2010−167891A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11855(P2009−11855)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】