説明

車両用空調装置

【課題】空調ユニットが運転者シートの下に配置されるリヒート方式の空調装置において、足元へ温風を吹き出し、頭部へ冷風を吹き出す、頭寒足熱の制御が達成されるようにする。
【解決手段】ヒータコア54の空気流れ下流側に、流出部511に向かう送風空気の流れを制御するガイド板8を設ける。ヒータコア54のうち温水流入側から遠い部位(左側)を通過した相対的に低温の送風空気は、矢印aで示すように、ガイド板8により流出部511の上部側に導かれる。ヒータコア54のうち温水流入側(右側)に近い部位を通過した相対的に高温の送風空気は、矢印bで示すように、流出部511の下部側に流れ込む。送風空気を運転者の上半身に向けて吹き出すダクトを流出部511の上部側に接続し、送風空気を運転者の足下に向けて吹き出すダクトを流出部511の下部側に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置に関するもので、油圧ショベル等の建設機械やトラクタ等の農業機械といった小型特殊車両に適用して有効である。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の車両に搭載される従来の空調装置として、特許文献1に示されたものがある。この空調装置は、空調ユニットは運転者シートの下に配置されている。また、空調ユニットにて温度制御された送風空気は、ダクトを介して所定の部位から吹き出される。具体的には、送風空気を運転者の上半身に向けて吹き出すダクトと、このダクトよりもキャビンの前方側に配置されて送風空気を運転者の足下に向けて吹き出すダクトとを備えており、一般的に乗降口がキャビン左側に配置されるため、それらのダクトはキャビン内の右側空間に配置されている。
【0003】
そして、ファン吸込口は空調ユニットのケースの左側面にあり、送風機によって送られる空気は、蒸発器、ヒータコアの順に通過して右側へ流れて、ダクトに導かれる。また、ヒータコアを流れる温水の流量を制御して加熱量を調節することにより車室内に吹き出す空気の温度を調節するリヒート方式を採用している。
【特許文献1】特開2006−192997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来の空調装置のようなリヒート方式においては、温水流量を少なくするとヒータコア内部に温度のバラツキが生じ、ひいてはダクト内部に温度のバラツキが発生する。具体的には、ヒータコアにおける温水配管に近い部位の温度が高くなる。
【0005】
ここで、特許文献1に示された空調装置のレイアウトの場合、ヒータコアと温水供給源とを接続する温水配管は、ケースにおけるキャビン後方側の壁面から取り出されることが多く、この場合には、ヒータコアにおけるキャビン後方側部位の温度が高くなるため、キャビン後方側のダクト内の温度が高く、キャビン前方側のダクト内の温度が低くなる。そして、前述したように、2つのダクトにうち送風空気を運転者の足下に向けて吹き出すダクトがキャビンの前方側に配置されているため、足元へ冷風が吹き出し、頭部へ温風が吹き出すことになる。
【0006】
すなわち、春秋の中間期には、足元へ温風を吹き出し、頭部へ冷風を吹き出す、頭寒足熱の制御が好まれるが、従来の空調装置では、頭寒足熱の制御が達成できないという問題があった。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、リヒート方式の空調装置において、足元へ温風を吹き出し、頭部へ冷風を吹き出す、頭寒足熱の制御が達成されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、キャビン(2)内に配置され、送風空気が流れる送風通路を形成するケース(51)と、ケース(51)内に配置され、空気流を発生させる送風機(52)と、ケース(51)内に配置され、温水供給源(3)から供給される温水と送風空気とを熱交換させて送風空気を加熱する加熱用熱交換器(54)とを備え、ケース(51)には、加熱用熱交換器(54)を通過後の送風空気をケース(51)の外に流出させる流出部(511)が設けられ、加熱用熱交換器(54)を流れる温水の流量を制御して加熱量を調節するように構成された車両用空調装置であって、加熱用熱交換器(54)は、送風空気が加熱用熱交換器(54)を通過する際にキャビン後方側からキャビン前方側に向かって流れるように配置されるとともに、ケース(51)におけるキャビン左右方向一端側寄りに配置されて、ケース(51)におけるキャビン左右方向一端側から温水が流入するように構成され、流出部(511)は、加熱用熱交換器(54)よりもキャビン前方側に配置され、加熱用熱交換器(54)の空気流れ下流側に、加熱用熱交換器(54)を通過して流出部(511)に向かう送風空気の流れを制御するガイド板(8)を備え、このガイド板(8)は、加熱用熱交換器(54)のうち温水流入側から遠い部位を通過した送風空気を、加熱用熱交換器(54)のうち温水流入側に近い部位を通過した送風空気の上側を通過させて、流出部(511)の上部側に導くように構成され、送風空気を運転者の上半身に向けて吹き出す第1ダクト(6)が流出部(511)の上部側に接続され、送風空気を運転者の足下に向けて吹き出す第2ダクト(7)が流出部(511)の下部側に接続されていることを特徴とする。
【0009】
これによると、加熱用熱交換器(54)を通過した相対的に低温の送風空気は、ガイド板(8)により流出部(511)の上部側に導かれ、第1ダクト(6)を介して運転者の上半身に向けて吹き出される。また、加熱用熱交換器(54)を通過した相対的に高温の送風空気は、流出部(511)の下部側に流れ込み、第2ダクト(7)を介して運転者の足下に向けて吹き出される。したがって、リヒート方式の空調装置において、足元へ温風を吹き出し、頭部へ冷風を吹き出す、頭寒足熱の制御が達成される。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の車両用空調装置において、加熱用熱交換器(54)は、加熱用熱交換器(54)の空気流出面(543)がキャビン前後方向に対して略垂直になるように配置され、ガイド板(8)は、加熱用熱交換器(54)の空気流出面(543)に対して略垂直方向および天地方向に延びており、さらに、ガイド板(8)は、加熱用熱交換器(54)の空気流出面(543)におけるキャビン左右方向の中間部に位置するとともに、ケース(51)の底部から加熱用熱交換器(54)の空気流出面(543)における天地方向中間部まで延びており、流出部(511)は、ガイド板(8)よりもキャビン左右方向一端側に配置されていることを特徴とする。
【0011】
これによると、加熱用熱交換器(54)を通過した相対的に低温の送風空気は、ガイド板(8)の上方を通過して、ガイド板(8)よりもキャビン左右方向一端側の空間の上部側に進んだ後に流出部(511)に至るため、流出部(511)の上部側に確実に導かれる。また、相対的に低温の送風空気は、ガイド板(8)よりもキャビン左右方向一端側の空間の下部側には流れないため、その部位は圧力が低くなる。これにより、加熱用熱交換器(54)を通過した相対的に高温の送風空気は、その圧力が低下した部位へ流れ込みやすくなり、流出部(511)の下部側に確実に導かれる。したがって、請求項1の発明の効果を確実に得ることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の車両用空調装置において、ガイド板(8)は、ケース(51)に一体に形成されていることを特徴とする。これによると、部品の増加を回避しつつ実施することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、加熱用熱交換器(54)は、温水入口側のタンク(544)から温水出口側のタンク(545)へ向かってコア部(541)内を温水が一方向に流れる全パスタイプの熱交換器であることを特徴とする。
【0014】
このような、温度のバラツキが発生しやすい全パスタイプの熱交換器を採用する車両用空調装置に好適である。
【0015】
また、請求項5に記載の発明のような、キャビン(2)内に配置された運転者シート(4)の下にケース(51)が配置される車両用空調装置に好適である。
【0016】
請求項6に記載の発明では、送風空気が流れる送風通路を形成するケース(51)と、ケース(51)内に配置され、空気流を発生させる送風機(52)と、ケース(51)内に配置され、温水供給源(3)から供給される温水と送風空気とを熱交換させて送風空気を加熱する加熱用熱交換器(54)とを備え、ケース(51)には、加熱用熱交換器(54)を通過後の送風空気をケース(51)の外に流出させる流出部(511)が設けられ、加熱用熱交換器(54)を流れる温水の流量を制御して加熱量を調節するように構成された車両用空調装置であって、加熱用熱交換器(54)は、加熱用熱交換器(54)の空気流出面(543)が水平面に対して略垂直になるように配置されるとともに、ケース(51)における水平方向一端側寄りに配置されて、ケース(51)における水平方向一端側から温水が流入するように構成され、流出部(511)は、加熱用熱交換器(54)よりも空気流れ向き前方側に配置され、加熱用熱交換器(54)の空気流れ下流側に、加熱用熱交換器(54)を通過して流出部(511)に向かう送風空気の流れを制御するガイド板(8)を備え、このガイド板(8)は、加熱用熱交換器(54)のうち温水流入側から遠い部位を通過した送風空気を、加熱用熱交換器(54)のうち温水流入側に近い部位を通過した送風空気の上側を通過させて、流出部(511)の上部側に導くように構成され、送風空気を運転者の上半身に向けて吹き出す第1ダクト(6)が流出部(511)の上部側に接続され、送風空気を運転者の足下に向けて吹き出す第2ダクト(7)が流出部(511)の下部側に接続されていることを特徴とする。
【0017】
この請求項6の発明に係る車両用空調装置を車両に搭載することにより、請求項1の発明に係る車両用空調装置を得ることができる。
【0018】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る車両用空調装置を搭載した建設機械の正面図、図2は図1の右側面図である。なお、図中の前後、上下、左右の各矢印はキャビンの前後、上下(天地)、左右の各方向を示している。
【0020】
図1、図2に示すように、建設機械は、下部走行体1上にキャビン2および温水供給源としての水冷式の内燃機関3が搭載されている。乗降口(図示せず)はキャビン2の左側に配置されている。キャビン2内には、運転者が着座するシート4が配置されている。空調装置の空調ユニット5(詳細後述)は、シート4の座面41の下方に配置され、キャビン2の床面21に固定されている。
【0021】
空調ユニット5の右側面には、2つのダクト6、7が接続されている。そして、第1ダクト6は、空調ユニット5の右側面から後方に延びた後に左右に分岐しており、空調ユニット5にて温度制御された送風空気を運転者の上半身に向けて吹き出すようになっている。第2ダクト7は、空調ユニット5の右側面から前方に延びており、空調ユニット5にて温度制御された送風空気を運転者の足下に向けて吹き出すようになっている。
【0022】
次に、空調ユニット5の具体的構成を説明する。図3は空調ユニット5の平面断面図、図4は図3のA矢視図、図5は空調ユニット5の要部の斜視図である。なお、図中の前後、上下、左右の各矢印はキャビンの前後、上下(天地)、左右の各方向を示している。
【0023】
図3〜図5に示すように、空調ユニット5は、送風通路を形成する樹脂製のケース51を備えている。ケース51内の左側の部位には、空気流を発生させる送風機52が配置されている。この送風機52は、周知の遠心ファン、それを駆動する電動機、遠心ファンを収容するスクロールケーシングとからなる。なお、ケース51の一部がスクロールケーシングを構成する。そして、送風機52によって送風された空気は、ケース51内の左側から右側に向かって流れる。
【0024】
ケース51内の右側の部位、すなわち、送風機52よりも空気流れ下流側には、冷房用熱交換器としての直方体の蒸発器53が配置されている。この蒸発器53は、冷凍サイクルの構成部品であり、冷媒が通過するチューブとこのチューブの外表面に接合されたフィンとからなるコア部531を有し、コア部531を通過する送風空気と冷媒との熱交換により送風空気が冷却される。
【0025】
また、蒸発器53は、コア部531の空気流入面532および空気流出面533がキャビン前後方向に対して略垂直になるように配置されており、送風空気がコア部531を通過する際にキャビン後方側からキャビン前方側に向かって流れるようになっている。なお、冷凍サイクルの冷媒を圧縮する圧縮機(図示せず)は、内燃機関3により駆動される。
【0026】
ケース51内の右側の部位のうち、蒸発器53よりもキャビン前方側、すなわち、蒸発器53よりも空気流れ下流側には、加熱用熱交換器としての直方体のヒータコア54が配置されている。このヒータコア54は、内燃機関3の冷却水(温水)を熱源として空気を加熱するものであって、温水が通過する複数本のチューブとこのチューブの外表面に接合されたフィンとからなるコア部541を有し、コア部541を通過する送風空気と温水との熱交換により送風空気が加熱される。
【0027】
また、ヒータコア54は、コア部541の空気流入面542および空気流出面543がキャビン前後方向に対して略垂直になるように配置されており、送風空気がコア部541を通過する際にキャビン後方側からキャビン前方側に向かって流れるようになっている。
【0028】
さらに、ヒータコア54は、複数本のチューブに対して温水を分配する温水入口側のタンク544がコア部541の下方に設けられ、複数本のチューブからの温水を集合させる温水出口側のタンク545がコア部541の上方に設けられている。
【0029】
温水入口側タンク544は、温水入口ジョイント546および温水配管(図示せず)を介して内燃機関3の冷却水回路(図示せず)に接続されており、また、温水出口側タンク545は、温水出口ジョイント547および温水配管(図示せず)を介して内燃機関3の冷却水回路(図示せず)に接続されており、これにより、内燃機関3の温水をヒータコア54に循環させるようになっている。温水入口ジョイント546および温水出口ジョイント547は、ケース51における右側端部の側壁面を貫通している。
【0030】
このように構成されたヒータコア54では、温水入口側タンク544に流入した温水は、コア部541のチューブに分配されてチューブ内を並列に通過し、温水出口側タンク545に流入して集合される。よって、本例のヒータコア54は、温水入口側タンク544から温水出口側タンク545へ向かってコア部541のチューブ内を温水が一方向に流れる全パスタイプの熱交換器である。
【0031】
なお、空調装置が建設機械に搭載される前の状態、すなわち空調装置単体の状態で、ヒータコア54の構成を表記すると、ヒータコア54は、コア部541の空気流入面542および空気流出面543が水平面に対して略垂直になるように配置されるとともに、ケース51における水平方向一端側寄りに配置されて、ケース51における水平方向一端側から温水が流入するように構成されている。
【0032】
ケース51には、ヒータコア54を通過後の送風空気をケース51の外に流出させる流出部511が設けられている。この流出部511は、ヒータコア54よりもキャビン前方側、すなわち、ヒータコア54よりも空気流れ向き前方側に位置している。より詳細には、流出部511は、ケース51における右側端部に位置し、且つ最もキャビン前方側に位置している。
【0033】
ケース51内の右側の部位のうち、ヒータコア54から流出部511に至る空間512に、ヒータコア54を通過して流出部511に向かう送風空気の流れを制御するガイド板8が設けられている。このガイド板8は、ケース51に一体に形成されていて、ヒータコア54の空気流入面542および空気流出面543に対して略垂直方向および天地方向に延びている。
【0034】
また、ガイド板8は、空気流出面543におけるキャビン左右方向の中間部に位置している。本例では、ガイド板8は、空気流出面543におけるキャビン左右方向中心よりも右寄りに配置しているが、ヒータコア54の温度分布にあわせて位置を変えても良い。
【0035】
さらに、ガイド板8は、ケース51の底部から、空気流出面543における天地方向中間部まで延びている。本例では、ガイド板8の天地方向長さは、ヒータコア54の天地方向長さの半分ほどであるが、ガイド板8の天地方向長さはヒータコア54の温度分布にあわせて変更しても良い。
【0036】
図6は空調ユニット5およびダクト6、7の斜視図である。なお、図中の前後、上下、左右の各矢印はキャビンの前後、上下(天地)、左右の各方向を示している。図6に示すように、第1ダクト6はケース51の流出部511における上部側に接続され、第2ダクト7は流出部511における下部側に接続されている。
【0037】
次に、作動を説明する。本実施形態の空調装置は、蒸発器53にて送風空気と冷媒とを熱交換させて送風空気を冷却し、この冷却された送風空気をヒータコア54にて加熱して所定温度に調節する。具体的には、ヒータコア54を流れる温水の流量を制御して加熱量を調節することにより、車室内に吹き出す空気の温度を調節する。
【0038】
ここで、春秋の中間期のような環境下では、ヒータコア54による加熱量は少なくてよいので、ヒータコア54を流れる温水の流量は少なくなる。このように、温水流量が少ない場合、ヒータコア54のコア部541を通過する温水は、コア部541のうち温水流入側に近い部位、すなわち、温水入口ジョイント546に近い部位を主に流通し、温水流入側から遠い部位は殆ど流通しない。したがって、コア部541のうち温水流入側に近い部位を通過する送風空気の温度が、温水流入側から遠い部位を通過する送風空気の温度よりも高くなる。
【0039】
そして、コア部541のうち温水流入側から遠い部位を通過した相対的に低温の送風空気は、図5に矢印aで示すように、空間512のうちガイド板8よりも左側の空間に進んだ後、ガイド板8により空間512内の上部側に案内され、空間512のうちガイド板8よりも右側の空間の上部側を通って、ケース51の流出部511における上部側に向かって流れる。
【0040】
このように、コア部541のうち温水流入側から遠い部位を通過した相対的に低温の送風空気は、空間512のうちガイド板8よりも右側の空間の下部側には流れない。そのため、空間512のうちガイド板8よりも右側の空間の下部側は圧力が低くなり、コア部541のうち温水流入側に近い部位を通過した相対的に高温の送風空気は、その圧力が低下した部位へ流れ込みやすい。したがって、その相対的に高温の送風空気は、図5に矢印bで示すように、空間512のうちガイド板8よりも右側の空間の下部側を通って、ケース51の流出部511における下部側に向かって流れる。
【0041】
そして、相対的に低温の送風空気は、相対的に高温の送風空気の上側を通過して流出部511における上部側に導かれた後に、第1ダクト6を介して運転者の上半身に向けて吹き出される。また、相対的に高温の送風空気は、流出部511における下部側に流れ込んだ後に、第2ダクト7を介して運転者の足下に向けて吹き出される。したがって、足元へ温風を吹き出し、頭部へ冷風を吹き出す、頭寒足熱の制御が達成される。
【0042】
なお、上記実施形態では、流出部511をケース51における右側端部に設けたが、ケース51におけるキャビン前方側の壁面のうちガイド板8よりも右寄りの部位に、流出部511を設けてもよい。
【0043】
また、ガイド板8による圧力損失を低減するために、空気流入面542および空気流出面543の面積が大きいヒータコア54を採用し、空間512のスペースを大きくして、送風空気の流速を落とすようにするのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用空調装置を搭載した建設機械の正面図である。
【図2】図1の右側面図である。
【図3】図1の空調ユニット5の平面断面図である。
【図4】図3のA矢視図である。
【図5】図1の空調ユニット5の要部の斜視図である。
【図6】図1の空調ユニット5およびダクト6、7の斜視図である。
【符号の説明】
【0045】
2 キャビン
3 内燃機関(温水供給源)
6 第1ダクト
7 第2ダクト
8 ガイド板
51 ケース
52 送風機
54 ヒータコア(加熱用熱交換器)
511 流出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビン(2)内に配置され、送風空気が流れる送風通路を形成するケース(51)と、
前記ケース(51)内に配置され、空気流を発生させる送風機(52)と、
前記ケース(51)内に配置され、温水供給源(3)から供給される温水と送風空気とを熱交換させて送風空気を加熱する加熱用熱交換器(54)とを備え、
前記ケース(51)には、前記加熱用熱交換器(54)を通過後の送風空気を前記ケース(51)の外に流出させる流出部(511)が設けられ、
前記加熱用熱交換器(54)を流れる温水の流量を制御して加熱量を調節するように構成された車両用空調装置であって、
前記加熱用熱交換器(54)は、送風空気が前記加熱用熱交換器(54)を通過する際にキャビン後方側からキャビン前方側に向かって流れるように配置されるとともに、前記ケース(51)におけるキャビン左右方向一端側寄りに配置されて、前記ケース(51)におけるキャビン左右方向一端側から温水が流入するように構成され、
前記流出部(511)は、前記加熱用熱交換器(54)よりもキャビン前方側に配置され、
前記加熱用熱交換器(54)の空気流れ下流側に、前記加熱用熱交換器(54)を通過して前記流出部(511)に向かう送風空気の流れを制御するガイド板(8)を備え、
このガイド板(8)は、前記加熱用熱交換器(54)のうち温水流入側から遠い部位を通過した送風空気を、前記加熱用熱交換器(54)のうち温水流入側に近い部位を通過した送風空気の上側を通過させて、前記流出部(511)の上部側に導くように構成され、
送風空気を運転者の上半身に向けて吹き出す第1ダクト(6)が前記流出部(511)の上部側に接続され、
送風空気を運転者の足下に向けて吹き出す第2ダクト(7)が前記流出部(511)の下部側に接続されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記加熱用熱交換器(54)は、前記加熱用熱交換器(54)の空気流出面(543)がキャビン前後方向に対して略垂直になるように配置され、
前記ガイド板(8)は、前記加熱用熱交換器(54)の空気流出面(543)に対して略垂直方向および天地方向に延びており、
さらに、前記ガイド板(8)は、前記加熱用熱交換器(54)の空気流出面(543)におけるキャビン左右方向の中間部に位置するとともに、前記ケース(51)の底部から前記加熱用熱交換器(54)の空気流出面(543)における天地方向中間部まで延びており、
前記流出部(511)は、前記ガイド板(8)よりもキャビン左右方向一端側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記ガイド板(8)は、前記ケース(51)に一体に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記加熱用熱交換器(54)は、温水入口側のタンク(544)から温水出口側のタンク(545)へ向かってコア部(541)内を温水が一方向に流れる全パスタイプの熱交換器であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記ケース(51)は、キャビン(2)内に配置された運転者シート(4)の下に配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
【請求項6】
送風空気が流れる送風通路を形成するケース(51)と、
前記ケース(51)内に配置され、空気流を発生させる送風機(52)と、
前記ケース(51)内に配置され、温水供給源(3)から供給される温水と送風空気とを熱交換させて送風空気を加熱する加熱用熱交換器(54)とを備え、
前記ケース(51)には、前記加熱用熱交換器(54)を通過後の送風空気を前記ケース(51)の外に流出させる流出部(511)が設けられ、
前記加熱用熱交換器(54)を流れる温水の流量を制御して加熱量を調節するように構成された車両用空調装置であって、
前記加熱用熱交換器(54)は、前記加熱用熱交換器(54)の空気流出面(543)が水平面に対して略垂直になるように配置されるとともに、前記ケース(51)における水平方向一端側寄りに配置されて、前記ケース(51)における水平方向一端側から温水が流入するように構成され、
前記流出部(511)は、前記加熱用熱交換器(54)よりも空気流れ向き前方側に配置され、
前記加熱用熱交換器(54)の空気流れ下流側に、前記加熱用熱交換器(54)を通過して前記流出部(511)に向かう送風空気の流れを制御するガイド板(8)を備え、
このガイド板(8)は、前記加熱用熱交換器(54)のうち温水流入側から遠い部位を通過した送風空気を、前記加熱用熱交換器(54)のうち温水流入側に近い部位を通過した送風空気の上側を通過させて、前記流出部(511)の上部側に導くように構成され、
送風空気を運転者の上半身に向けて吹き出す第1ダクト(6)が前記流出部(511)の上部側に接続され、
送風空気を運転者の足下に向けて吹き出す第2ダクト(7)が前記流出部(511)の下部側に接続されていることを特徴とする車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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