説明

車両用空調装置

【課題】ヒートポンプ式冷凍サイクルの室外熱交換器に発生した霜を除霜しうるとともに、エンジンを具備しない電気自動車にも適用可能な車両用空調装置を提供する。
【解決手段】車両用空調装置のヒートポンプ式冷凍サイクルの暖房用配管9は、暖房時に室内熱交換器6を通過した冷媒を第2膨張弁7に送るメイン配管部分14と、メイン配管部分14に並列状に設けられかつ暖房時に室内熱交換器6を通過した冷媒を、メイン配管部分14を迂回して第2膨張弁7に送るバイパス配管部分15とを有する。バイパス配管部分15に、室外熱交換器3に熱を伝えうるように除霜用熱交換器16を配置する。暖房用配管9に、メイン配管部分14およびバイパス配管部分15のうちいずれか一方に選択的に冷媒を流す三方弁17を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や、電気自動車などの比較的廃熱の少ない車両に用いられる車両用空調装置として、図4に示すヒートポンプ式冷凍サイクル(40)を備えたものが知られている。図4に示すヒートポンプ式冷凍サイクル(40)は、圧縮機(41)と、車室外に配置されかつ冷房時に圧縮機(41)で圧縮された冷媒から熱を放熱するとともに、暖房時に減圧された冷媒に受熱させる室外熱交換器(42)と、冷房時に室外熱交換器(42)を通過した冷媒を減圧する第1減圧器としての第1膨張弁(43)と、車室内に配置されかつ冷房時に第1膨張弁(43)で減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータ(44)と、車室内に配置されかつ暖房時に圧縮機(41)で圧縮された冷媒から熱を放熱して冷媒を凝縮させる室内熱交換器(45)と、暖房時に室内熱交換器(45)を通過した冷媒を減圧する第2減圧器としての第2膨張弁(46)と、圧縮機(41)、室内熱交換器(45)、室外熱交換器(42)、第1膨張弁(43)およびエバポレータ(44)を、この順序で冷媒が流れるように接続する冷房用配管(47)と、圧縮機(41)、室内熱交換器(45)、第2膨張弁(46)および室外熱交換器(42)を、この順序で冷媒が流れるように接続する暖房用配管(48)とを備えたものが知られている。冷房用配管(47)および暖房用配管(48)は共有部分を有しており、両配管(47)(48)における室内熱交換器(45)よりも下流側の部分に冷媒の流れ方向を制御する第1三方弁(49)が設けられ、冷房用配管(47)における室外熱交換器(42)と第1膨張弁(43)とを接続する配管部分(47a)に、第1電磁弁(50)および第1膨張弁(43)が、前者が室外熱交換器(42)側に位置するように設けられ、暖房用配管(48)における第1三方弁(49)と室外熱交換器(42)とを接続する配管部分(48a)に第2膨張弁(46)が設けられている。また、暖房用配管(48)における室外熱交換器(42)と圧縮機(41)とを接続する配管部分(48b)に第2電磁弁(51)が設けられている。第1三方弁(49)および両電磁弁(50)(51)の働きによって、冷媒が、冷房用配管(47)および暖房用配管(48)のいずれか1つに流れるように切り替えられる。
【0003】
しかしながら、図4に示す車両用空調装置のヒートポンプ式冷凍サイクル(40)においては、冬季などの暖房時に外気温が低くなると、室外熱交換器(42)で発生した結露水が凍結して着霜し、熱交換不能になることがある。
【0004】
ところで、エンジンを具備した車両用空調装置に用いられるヒートポンプ式冷凍サイクルにおいては、上述した室外熱交換器への着霜の発生を防止するために、ヒートポンプ式冷凍サイクルの圧縮機および室外熱交換器が配置されるエンジンルーム内で発生する熱、たとえばエンジンから発生する熱や、エンジンを冷却して高温となった冷却液が有する熱を放熱するラジエータから発生する熱を利用して、室外熱交換器に発生した霜を除霜する車両用空調装置が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献2記載の車両用空調装置は、エンジンを具備しない電気自動車には適用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−170733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的は、上記問題を解決し、ヒートポンプ式冷凍サイクルの室外熱交換器に発生した霜を除霜しうるとともに、エンジンを具備しない電気自動車にも適用可能な車両用空調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0009】
1)圧縮機と、車室外に配置されかつ冷房時に冷媒から熱を放熱させるとともに暖房時に冷媒に熱を受熱させる室外熱交換器と、冷房時に室外熱交換器を通過した冷媒を減圧する第1減圧器と、車室内に配置されかつ冷房時に第1減圧器で減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータと、車室内に配置されかつ暖房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱して冷媒を凝縮させる室内熱交換器と、暖房時に室内熱交換器を通過した冷媒を減圧する第2減圧器と、圧縮機、室内熱交換器、室外熱交換器、第1減圧器およびエバポレータを、この順序で冷媒が流れるように接続する冷房用配管と、圧縮機、室内熱交換器、第2減圧器および室外熱交換器を、この順序で冷媒が流れるように接続する暖房用配管とを有するヒートポンプ式冷凍サイクルを備えた車両用空調装置であって、
ヒートポンプ式冷凍サイクルの暖房用配管が、暖房時に室内熱交換器を通過した冷媒を第2減圧器に送るメイン配管部分と、メイン配管部分に並列状に設けられかつ暖房時に室内熱交換器を通過した冷媒を、メイン配管部分を迂回して第2減圧器に送るバイパス配管部分とを有し、バイパス配管部分に、室外熱交換器に熱を伝えうるように除霜用熱交換器が配置され、暖房用配管に、メイン配管部分およびバイパス配管部分のうちいずれか一方に選択的に冷媒を流す切り替え部材が設けられている車両用空調装置。
【0010】
2)除霜用熱交換器が、室外熱交換器の風上側に間隔をおいて配置されている上記1)記載の車両用空調装置。
【0011】
3)室外熱交換器が、相互に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管を備えており、除霜用熱交換器が、相互に間隔をおいて並列状に配置されかつ室内熱交換器を通過した冷媒が流れる複数の除霜用熱交換管を備えており、除霜用熱交換管の全長のうちの少なくとも一部が、室外熱交換器の隣り合う熱交換管どうしの間に熱交換管と間隔をおいて配置され、隣り合う熱交換管と除霜用熱交換管との間にフィンが配置されている上記1)記載の車両用空調装置。
【発明の効果】
【0012】
上記1)の車両用空調装置によれば、冬季などの暖房時には、冷媒は、圧縮機で圧縮された後に、室内熱交換器において室内熱交換器を通過する空気に熱を放熱して凝縮させられ、空気が加熱される。加熱された空気は車室内に吹き出される。
【0013】
室外熱交換器に着霜が発生していない場合には、室内熱交換器を通過した冷媒は、切り替え部材の働きによって、メイン配管部分を通して第2減圧器に送られ、第2減圧器により減圧された後室外熱交換器で熱を奪って蒸発し、その後圧縮機に戻される。
【0014】
室外熱交換器に着霜が発生した場合には、室内熱交換器を通過した冷媒は、切り替え部材の働きによって、バイパス配管部分を通して除霜用熱交換器に送られ、冷媒の有する熱が室外熱交換器に伝えられて、室外熱交換器に発生した霜が除霜される。除霜用熱交換器を通過した冷媒は第2減圧器に送られて第2減圧器により減圧され、ついで室外熱交換器で熱を奪って蒸発した後圧縮機に戻される。
【0015】
したがって、室外熱交換器に発生した霜を除霜する際にも、車室内の暖房は停止することなく継続して行うことが可能になる。しかも、室外熱交換器に発生した霜の除霜は、ヒートポンプ式冷凍サイクルを循環して流れる冷媒の熱を利用して行われるので、エンジンを具備しない電気自動車にも適用可能となる。さらに、第2減圧器において減圧される前の冷媒が、除霜用熱交換器において過冷却されることになり、ヒートポンプ式冷凍サイクルの性能が向上する。
【0016】
上記2)の車両用空調装置によれば、室外熱交換器に発生した霜の除霜時には、除霜用熱交換管内を流れる冷媒の有する熱により、除霜用熱交換器を通過する空気が加熱され、加熱された空気が室外熱交換器に当たり、空気の有する熱により室外熱交換器に発生した霜が除霜される。
【0017】
上記3)に車両用空調装置によれば、室外熱交換器に発生した霜の除霜時には、除霜用熱交換器の除霜用熱交換管内を流れる冷媒の有する熱が、フィンに伝えられるとともにフィンを介して室外熱交換器の熱交換管に伝えられ、この熱により室外熱交換器に発生した霜が除霜される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明による車両空調装置のヒートポンプ式冷凍サイクルを示す概略図である。
【図2】図1のヒートポンプ式冷凍サイクルに用いられる室外熱交換器および除霜用熱交換器の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】図1のヒートポンプ式冷凍サイクルに用いられる室外熱交換器および除霜用熱交換器の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】従来の車両空調装置のヒートポンプ式冷凍サイクルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1はこの発明による車両空調装置のヒートポンプ式冷凍サイクルを示し、図2は図1のヒートポンプ式冷凍サイクルに用いられる室外熱交換器および除霜用熱交換器の構成を示す
図1において、車両用空調装置のヒートポンプ式冷凍サイクル(1)は、圧縮機(2)と、車室外に配置されかつ冷房時に圧縮機(2)で圧縮された冷媒から熱を放熱するとともに、暖房時に減圧された冷媒に受熱させる室外熱交換器(3)と、冷房時に室外熱交換器(3)を通過した冷媒を減圧する第1減圧器としての第1膨張弁(4)と、車室内に配置されかつ冷房時に第1膨張弁(4)で減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータ(5)と、車室内に配置されかつ暖房時に圧縮機(2)で圧縮された冷媒から熱を放熱して冷媒を凝縮させる室内熱交換器(6)と、暖房時に室内熱交換器(6)を通過した冷媒を減圧する第2減圧器としての第2膨張弁(7)と、圧縮機(2)、室内熱交換器(6)、室外熱交換器(3)、第1膨張弁(4)およびエバポレータ(5)を、この順序で冷媒が流れるように接続する冷房用配管(8)と、圧縮機(2)、室内熱交換器(6)、第2膨張弁(7)および室外熱交換器(3)を、この順序で冷媒が流れるように接続する暖房用配管(9)とを備えている。
【0021】
ヒートポンプ式冷凍サイクル(1)の室外熱交換器(3)は、暖房時に、第2膨張弁(7)で減圧された冷媒を蒸発させる。エバポレータ(5)および室内熱交換器(6)は、空気吸入口および空気吹き出し口を有し、かつ空気を吸い込むとともに車室内に空気を吹き出す空調ケースの空気通路(10)内に、エバポレータ(5)が空気の流れ方向上流側に位置するように配置されている。
【0022】
冷房用配管(8)および暖房用配管(9)は共有部分を有しており、両配管(8)(9)における室内熱交換器(6)よりも下流側の部分に冷媒の流れ方向を制御する第1三方弁(11)が設けられ、冷房用配管(8)における室外熱交換器(3)とエバポレータ(5)とを接続する配管部分(8a)に、第1電磁弁(12)および第1膨張弁(4)が、前者が室外熱交換器(3)側に位置するように設けられ、暖房用配管(9)における第1三方弁(11)と室外熱交換器(3)とを接続する配管部分(9a)に第2膨張弁(7)が設けられている。また、暖房用配管(9)における室外熱交換器(3)と圧縮機(2)とを接続する配管部分(9b)に第2電磁弁(13)が設けられている。第1三方弁(11)および両電磁弁(12)(13)の働きによって、冷媒が、冷房用配管(8)および暖房用配管(9)のいずれか1つに流れるように切り替えられる。
【0023】
暖房用配管(9)は、暖房時に室内熱交換器(6)を通過した冷媒を第2膨張弁(7)に送るメイン配管部分(14)と、メイン配管部分(14)に並列状に設けられかつ暖房時に室内熱交換器(6)を通過した冷媒を、メイン配管部分(14)を迂回して第2膨張弁(7)に送るバイパス配管部分(15)とを有している。バイパス配管部分(15)に、室外熱交換器(6)に熱を伝えうるように除霜用熱交換器(16)が配置されている。また、暖房用配管(9)に、メイン配管部分(14)およびバイパス配管部分(15)のうちいずれか一方に選択的に冷媒を流す切り替え部材としての第2三方弁(17)が設けられている。なお、メイン配管部分(14)は、第1三方弁(11)と室外熱交換器(3)とを接続する配管部分(9a)の一部を構成している。
【0024】
図2に示すように、室外熱交換器(3)は、長手方向を上下方向に向けるとともに相互に間隔をおいて配置された1対のヘッダタンク(18)と、長手方向を左右方向に向けるとともに両ヘッダタンク(18)間に上下方向に間隔をおいて並列状に配置され、かつ両端部が両ヘッダタンク(18)に接続された複数の熱交換管(19)と、隣り合う熱交換管(19)どうしの間および上下両端の熱交換管(19)の外側に配置されて熱交換管(19)にろう付されたコルゲートフィン(20)とを備えており、冷媒が流入する入口ヘッダ部および冷媒が流出する出口ヘッダ部を有している。入口ヘッダ部と出口ヘッダ部とは同一のヘッダタンク(18)に設けられていてもよいし、異なるヘッダタンク(18)に設けられていてもよい。そして、入口ヘッダ部内に流入した冷媒が、すべての熱交換管(19)を流れた後に、出口ヘッダ部から流出するようになっている。
【0025】
除霜用熱交換器(16)は室外熱交換器(3)の風上側に間隔をおいて配置されている。除霜用熱交換器(16)は、長手方向を上下方向に向けるとともに相互に間隔をおいて配置された1対のヘッダタンク(21)と、長手方向を左右方向に向けるとともに両ヘッダタンク(21)間に上下方向に間隔をおいて並列状に配置され、かつ両端部が両ヘッダタンク(21)に接続された複数の除霜用熱交換管(22)と、隣り合う除霜用熱交換管(22)どうしの間および上下両端の除霜用熱交換管(22)の外側に配置されて除霜用熱交換管(22)にろう付されたコルゲートフィン(23)とを備えており、室内熱交換器(6)を通過した冷媒が流入する入口ヘッダ部および冷媒が流出する出口ヘッダ部を有している。入口ヘッダ部と出口ヘッダ部とは同一のヘッダタンク(21)に設けられていてもよいし、異なるヘッダタンク(21)に設けられていてもよい。そして、入口ヘッダ部内に流入した冷媒が、すべての熱交換管(22)を流れた後に、出口ヘッダ部から流出するようになっている。
【0026】
なお、室外熱交換器(3)および除霜用熱交換器(16)の構成は、上述したものに限定されない。
【0027】
夏季などの冷房時には、第1三方弁(11)および2つの電磁弁(12)(13)の働きによって、冷媒が、冷房用配管(8)を流れるようになっている。冷媒は、圧縮機(2)で圧縮された後に室内熱交換器(6)を通過し、ついで室外熱交換器(3)で熱を放熱して凝縮した後に第1膨張弁(4)により減圧され、ついでエバポレータ(5)において空気通路(10)を流れる空気(図1矢印X参照)から熱を奪って蒸発し、その後圧縮機(2)に戻される。エバポレータ(5)により熱を奪われた空気は、空気通路(10)を通って空気吹き出し口から車室内に吹き出される。
【0028】
冬季などの暖房時には、第1三方弁(11)、2つの電磁弁(12)(13)および第2三方弁(17)の働きにより、通常、冷媒が暖房用配管(9)のメイン配管部分(14)を流れるようになっている。冷媒は、圧縮機(2)で圧縮された後に、室内熱交換器(6)において空気通路(10)を流れる空気に熱を放熱して凝縮させられ、空気が加熱される。空気通路(10)を流れる間に加熱された空気は空気吹き出し口から車室内に吹き出される。室内熱交換器(6)において熱を放熱して凝縮させられた冷媒は、第2膨張弁(7)により減圧され、ついで室外熱交換器(3)で熱を奪って蒸発した後に圧縮機(2)に戻される。
【0029】
冬季などの暖房時に、外気温が低くなって室外熱交換器(3)で発生した結露水が凍結して着霜した場合、第2三方弁(17)の働きにより、冷媒が、暖房用配管(9)のバイパス配管部分(15)に流されて除霜用熱交換器(16)に送られ、除霜用熱交換器(16)の除霜用熱交換管(22)内を流れる。除霜用熱交換管(22)内を流れる冷媒の有する熱は、コルゲートフィン(23)を介して隣り合う除霜用熱交換管(22)間および両端の除霜用熱交換管(22)の外側を流れる空気(図1矢印Y参照)に伝えられ、空気が加熱される。そして、加熱された空気が室外熱交換器(3)に当たるとともに、室外熱交換器(3)の隣り合う熱交換管(19)間および両端の熱交換管(19)の外側を流れ、加熱された空気の有する熱により室外熱交換器(3)に発生した霜が除霜される。
【0030】
また、冷媒は、除霜用熱交換器(16)の除霜用熱交換管(22)内を流れる間に過冷却される。過冷却された冷媒は、第2膨張弁(7)により減圧され、ついで室外熱交換器(3)で熱を奪って蒸発した後に圧縮機(2)に戻される。
【0031】
図3は車両空調装置のヒートポンプ式冷凍サイクル(1)に用いられる室外熱交換器および除霜用熱交換器の変形例を示す。
【0032】
図3において、室外熱交換器(30)は、長手方向を上下方向に向けるとともに相互に間隔をおいて配置された1対のヘッダタンク(31)と、長手方向を左右方向に向けるとともに両ヘッダタンク(31)間に上下方向に間隔をおいて並列状に配置され、かつ両端部が両ヘッダタンク(31)に接続された複数の熱交換管(32)とを備えており、冷媒が流入する入口ヘッダ部および冷媒が流出する出口ヘッダ部を有している。入口ヘッダ部と出口ヘッダ部とは同一のヘッダタンク(31)に設けられていてもよいし、異なるヘッダタンク(31)に設けられていてもよい。そして、入口ヘッダ部内に流入した冷媒が、すべての熱交換管(32)を流れた後に、出口ヘッダ部から流出するようになっている。
【0033】
除霜用熱交換器(33)は、長手方向を上下方向に向けるとともに相互に間隔をおいて配置された1対のヘッダタンク(34)と、長手方向を左右方向に向けるとともに両ヘッダタンク(34)間に上下方向に間隔をおいて並列状に配置され、かつ両端部が両ヘッダタンク(34)に接続された複数の除霜用熱交換管(35)とを備えており、冷媒が流入する入口ヘッダ部および冷媒が流出する出口ヘッダ部を有している。入口ヘッダ部と出口ヘッダ部とは同一のヘッダタンク(34)に設けられていてもよいし、異なるヘッダタンク(34)に設けられていてもよい。そして、入口ヘッダ部内に流入した冷媒が、すべての除霜用熱交換管(35)を流れた後に、出口ヘッダ部から流出するようになっている。除霜用熱交換管(35)の両端寄りの部分は曲げられており、曲げられた部分を除いた大部分は、室外熱交換器(30)の隣り合う熱交換管(32)どうしの間に熱交換管(32)と間隔をおいて配置されている。隣り合う熱交換管(32)と除霜用熱交換管(35)との間および上下両端の熱交換管(32)(36)の外側にコルゲートフィン(36)が配置されて両熱交換管(32)(36)にろう付されている。
【0034】
なお、室外熱交換器(30)および除霜用熱交換器(33)の構成は、除霜用熱交換管の全長のうちの少なくとも一部が、室外熱交換器の隣り合う熱交換管どうしの間に熱交換管と間隔をおいて配置され、隣り合う熱交換管と除霜用熱交換管との間にフィンが配置されるのであれば、上述したものに限定されない。
【0035】
冬季などの暖房時に、外気温が低くなって室外熱交換器(3)で発生した結露水が凍結して着霜した場合、第2三方弁(17)の働きにより、冷媒が、暖房用配管(9)のバイパス配管部分(15)に流されて除霜用熱交換器(33)に送られ、除霜用熱交換器(33)の除霜用熱交換管(35)内を流れる。除霜用熱交換管(35)内を流れる冷媒の有する熱は、コルゲートフィン(36)に伝わるとともに、コルゲートフィン(36)を介して室外熱交換器(30)の熱交換管(32)に伝わり、この熱により室外熱交換器(30)の熱交換管(32)およびコルゲートフィン(36)に発生した霜が除霜される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明による車両空調装置は、比較的廃熱の少ない電気自動車に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0037】
(1):ヒートポンプ式冷凍サイクル
(2):圧縮機
(3):室外熱交換器
(4):第1膨張弁(第1減圧器)
(5):エバポレータ
(6):室内熱交換器
(7):第2膨張弁(第2減圧器)
(8):冷房用配管
(9):暖房用配管
(14):メイン配管部分
(15):バイパス配管部分
(16):除霜用熱交換器
(17):第2三方弁(切り替え部材)
(30):室外熱交換器
(32):熱交換管
(33):除霜用熱交換器
(35):除霜用熱交換管
(36):コルゲートフィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、車室外に配置されかつ冷房時に冷媒から熱を放熱させるとともに暖房時に冷媒に熱を受熱させる室外熱交換器と、冷房時に室外熱交換器を通過した冷媒を減圧する第1減圧器と、車室内に配置されかつ冷房時に第1減圧器で減圧された冷媒を蒸発させるエバポレータと、車室内に配置されかつ暖房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱して冷媒を凝縮させる室内熱交換器と、暖房時に室内熱交換器を通過した冷媒を減圧する第2減圧器と、圧縮機、室内熱交換器、室外熱交換器、第1減圧器およびエバポレータを、この順序で冷媒が流れるように接続する冷房用配管と、圧縮機、室内熱交換器、第2減圧器および室外熱交換器を、この順序で冷媒が流れるように接続する暖房用配管とを有するヒートポンプ式冷凍サイクルを備えた車両用空調装置であって、
ヒートポンプ式冷凍サイクルの暖房用配管が、暖房時に室内熱交換器を通過した冷媒を第2減圧器に送るメイン配管部分と、メイン配管部分に並列状に設けられかつ暖房時に室内熱交換器を通過した冷媒を、メイン配管部分を迂回して第2減圧器に送るバイパス配管部分とを有し、バイパス配管部分に、室外熱交換器に熱を伝えうるように除霜用熱交換器が配置され、暖房用配管に、メイン配管部分およびバイパス配管部分のうちいずれか一方に選択的に冷媒を流す切り替え部材が設けられている車両用空調装置。
【請求項2】
除霜用熱交換器が、室外熱交換器の風上側に間隔をおいて配置されている請求項1記載の車両用空調装置。
【請求項3】
室外熱交換器が、相互に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管を備えており、除霜用熱交換器が、相互に間隔をおいて並列状に配置されかつ室内熱交換器を通過した冷媒が流れる複数の除霜用熱交換管を備えており、除霜用熱交換管の全長のうちの少なくとも一部が、室外熱交換器の隣り合う熱交換管どうしの間に熱交換管と間隔をおいて配置され、隣り合う熱交換管と除霜用熱交換管との間にフィンが配置されている請求項1記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−112001(P2013−112001A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256974(P2011−256974)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(512025676)株式会社ケーヒン・サーマル・テクノロジー (25)
【Fターム(参考)】