説明

車両用空調装置

【課題】車両用空調装置において、簡素且つ安価な構成で、アイドリングストップ時における停止時においても車室内へ冷風を送風可能とする。
【解決手段】エバポレータ30の下流側には、第2通路36と第3通路38を流通する空気を混合させる割合を調整するためのエアミックスダンパ54が設けられると共に、前記第2通路36と第3通路38との連通状態を切換可能な切換ダンパ60が設けられる。そして、エバポレータ30に蓄冷を行う場合には、蓄冷機構24を構成する切換ダンパ60によって第2通路36と第3通路38との連通を遮断し、前記エバポレータ30を通過した空気を前記第3通路38内に滞留させることで、該エバポレータ30に付着した凝縮水を凍結させ蓄冷体Rを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、熱交換器によって温度調整のなされた空気を車室内へと送風して車室内の温度調整を行う車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される車両用空調装置は、送風機によって内外気をケース内へと取り込み、冷却手段である蒸発器により冷却された空気と、加熱手段であるヒータコアにより加熱された空気とを前記ケース内で所望の混合比率で混合した後、車室内に設けられた複数の吹出口から選択的に送風することで前記車室内の温度及び湿度の調整を行っている。
【0003】
近年、車両の燃費向上や環境負荷の低減を目的として、前記車両が停止した際にエンジンを停止させるアイドリングストップ機構が普及し始めている。
【0004】
しかしながら、冷媒を圧縮して蒸発器に供給される冷媒を圧縮するための圧縮機は、一般的に、エンジンの駆動力を利用して駆動させているため、アイドリングストップ時において前記エンジンを停止させることで前記圧縮機が停止してしまうこととなり、圧縮された前記冷媒の蒸発器への供給が停止し、それに伴って、前記蒸発器による冷却が行われずに車室内へ冷風を送風することができなくなるという問題が生じる。
【0005】
そのため、エンジン停止時(アイドリングストップ時)における空調を行って車室内の快適性を維持する目的で、例えば、電動式圧縮機を採用して該エンジン停止時においても冷媒を圧縮して蒸発器へと供給することで、車室内への冷風を送風可能としたり、または、特許文献1に開示されているように、蒸発器近傍に蓄冷器を設け、エンジン稼動時に供給される冷風によって該蓄冷器に予め冷気を蓄えておき、エンジン停止時に前記冷気から冷風を発生させて車室内へと供給することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−139201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した構成でエンジン停止時における空調を行おうとした場合に、電動式圧縮機はコストが高く、一方、蓄冷器は、車両用空調装置のケース内に設ける必要があるため、該車両用空調装置の大型化を招くと共に、該蓄冷器を設けることでコスト増加を招くという問題がある。
【0008】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、簡素且つ安価な構成で、エンジン停止時においても車室内へ冷風を送風可能な車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、冷媒を圧縮する圧縮機と、送風機からの空気が流通する通路が内部に形成される空調ケースと、前記圧縮機により圧縮した冷媒と前記通路を通る空気とを熱交換することで前記空気を冷却する蒸発器と、前記蒸発器により冷却された空気を加熱するヒータコアと、車室内への送風空気の調整を制御する空調制御部とを有する車両用空調装置において、
前記空調ケースにおける前記蒸発器の下流側には、前記ヒータコアが配置される温風通路と、前記温風通路を回避して設けられる冷風通路と、前記蒸発器の表面に冷気を有した蓄冷体を蓄える蓄冷機構と、
を備え、
前記蓄冷機構は、前記蓄冷体を蓄える蓄冷部と、
前記蓄冷部の下流側に設けられ、前記蓄冷部と前記温風通路及び前記冷風通路との連通を切り換える切換手段と、
を備え、
前記空調制御部は、前記蓄冷体を蓄える蓄冷モードと、前記蓄冷体の冷気を放出する放冷モードとの実行を判定するモード判定手段を有し、前記蓄冷モードと判定された場合に、前記切換手段によって前記蓄冷部の下流側と冷風通路との連通を遮断することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、空調ケースのおける蒸発器の下流側には、該蒸発器の表面に冷気を有した蓄冷体を蓄える蓄冷機構を備え、前記蓄冷機構が、前記蒸発器の内部に設けられ前記蓄冷体を蓄える蓄冷部と、前記蓄冷部の下流側に設けられ、前記蓄冷部と前記温風通路及び前記冷風通路との連通を切り換える切換手段とから構成される。そして、空調制御部は、蓄冷体を蓄える蓄冷モードと、蓄冷体の冷気を放出する放冷モードとの実行を判定するモード判定手段を備えており、前記モード判定手段によって前記蓄冷モードと判定された場合に、前記切換手段によって前記蓄冷部の下流側と冷風通路との連通を遮断し、前記蒸発器を通過した空気を前記蓄冷部の下流側に滞留させることで、前記蒸発器に付着した凝縮水を凍結させて蓄冷体を生成する。
【0011】
従って、切換手段を含む蓄冷機構を設けるという簡素且つ安価な構成で、蒸発器内に蓄冷体を生成して蓄えておくことができると共に、エンジンを停止させたアイドリングストップ時には、前記蓄冷体を融解させることで空気の熱交換を行って冷却し、冷却された空気を車室内へと送風することで好適に冷房を行うことができる。
【0012】
また、切換手段は、温風通路と冷風通路へのそれぞれの送風割合を調整するエアミックスダンパと、
蒸発器と前記エアミックスダンパとの間に設けられ、前記蓄冷部から前記冷風通路への連通を切り換える切換ダンパとから構成するとよい。
【0013】
さらに、蓄冷部は、冷風通路に対して車両の下方側に設けるとよい。
【0014】
さらにまた、空調制御部は、乗員によって予め設定された車室内の設定温度に対して冷房能力の余裕がある否かを判定する冷房能力判定手段を備え、前記冷房能力判定手段によって前記冷房能力に余裕があると判定された場合に、モード判定手段によって蓄冷モードを実行するとよい。
【0015】
またさらに、空調制御部は、車両における車室内の温度、外気温度、日照に基づいて車室内への送風温度を設定する送風温度設定手段を有し、設定温度に対して前記送風温度が一定以上近くなった場合に、モード判定手段によって蓄冷モードを実行するとよい。
【0016】
また、空調制御部は、車両に搭載されるエンジンを制御するエンジン制御部からの制御信号に基づき、車両の走行状態を判定する走行状態判定手段を有し、前記走行状態判定手段によって前記車両が高速走行状態であると判定された場合に、前記冷房能力判定手段によって前記冷房能力に余裕があると判定するとよい。
【0017】
さらに、冷房能力判定手段が、冷房能力に余裕がないと判定した場合には、切換手段によって蓄冷部の下流側と冷風通路とを連通させるとよい。
【0018】
さらにまた、空調制御部は、車両に搭載されるエンジンを制御するエンジン制御部からの制御信号に基づきアイドリングストップ判定を行うアイドリングストップ判定手段を備え、
前記アイドリングストップ判定手段がアイドリングストップ状態と判定した際に、モード判定手段によって放冷モードを実行するとよい。
【0019】
またさらに、車両用空調装置は、空調ケース内部に導入する空気を外気又は内気のいずれか一方へと選択的に切り換える内外気切換手段を有し、モード判定手段によって放冷モードが実行された場合に、前記内外気切換手段によって内気を導入するとよい。
【0020】
また、蒸発器には、該蒸発器において凝固水を凝固させて蓄冷体を形成するための蓄冷領域を検出する検出センサが設けられ、
蓄冷モードにおいて、空調制御部は検出センサから得られた検出結果が予め設定された蓄冷設定値以上である場合に圧縮機を停止させるとよい。
【0021】
さらに、蒸発器には、該蒸発器の表面温度を測定する温度センサが設けられており、
蓄冷モードにおいて、空調制御部は前記温度センサから得られた温度が設定温度以下である場合に圧縮機を停止させるとよい。
【0022】
さらにまた、蒸発器は、該蒸発器に付着する凝縮水を凝固させて蓄冷体を形成するための蓄冷領域と、
前記蓄冷体の形成を許容しない非蓄冷領域と、
を有し、
蓄冷領域と非蓄冷領域との境界線近傍に蒸発器の表面温度を測定する第1温度センサを設けると共に、前記蓄冷領域の前記境界線とは反対側となる端部近傍に前記蒸発器の表面温度を測定する第2温度センサを設け、
前記蓄冷モードにおいて、前記空調制御部は前記第1温度センサと前記第2温度センサから得られた温度の差が予め設定された範囲内になった場合に前記圧縮機を停止させるとよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0024】
すなわち、空調ケースにおいて蒸発器の下流側には、該蒸発器の表面に冷気を有した蓄冷体を蓄える蓄冷機構を備え、空調制御部のモード判定手段によって前記蓄冷モードと判定された際、切換手段によって蓄冷部と温風通路及び冷風通路との連通を遮断し、前記蒸発器を通過した空気を前記蓄冷部の下流側に滞留させることで、前記蒸発器に付着した凝縮水を凍結させ蓄冷体を生成することができる。その結果、切換手段を含む蓄冷機構を設けるという簡素且つ安価な構成で、蒸発器内に蓄冷体を生成して蓄えておくことができ、しかも、エンジンを停止させたアイドリングストップ時には、前記蓄冷体を融解させることで空気の熱交換を行って冷却し、冷却された空気を車室内へと送風することで好適に冷房を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用空調装置を含む空調制御システムの概略構成図である。
【図2】図1の車両用空調装置における冷房モード時を示す構成図である。
【図3】図2の車両用空調装置において、切換ダンパを回動させた蓄冷モード時を示す構成図である。
【図4】図3の車両用空調装置において、蓄冷モードを解除して蓄冷された蓄冷体に空気を通過させることで車室内へと冷風を送風する放冷モード時を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る車両用空調装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用空調装置を駆動させるためのエンジンを含む空調制御システムの概略構成図を示す。先ず、図1を参照しながら、この空調制御システム10について簡単に説明する。
【0028】
空調制御システム10は、図1に示されるように、車両におけるエンジンルーム内に搭載されるエンジン12と、該エンジン12の駆動状態を制御するエンジン制御部14と、前記車両の車室内へと調温された空気を送風する車両用空調装置16と、該車両用空調装置16の駆動状態を制御する空調制御部18と、前記エンジン12の駆動作用下に駆動して冷媒を圧縮する圧縮機20とを備える。
【0029】
エンジン制御部14は、エンジン12や車両に設けられた各センサ(図示せず)と電気的に接続され、前記各センサによって検出された検出値(例えば、エンジン12の回転数、車速信号)がそれぞれ入力される。また、エンジン制御部14は、後述する空調制御部18に対して上述した検出値を出力している。
【0030】
空調制御部18は、例えば、車室内の温度、外気温、日照等の条件に応じて、車両用空調装置16を構成するダンパ機構22、蓄冷機構24、送風機46及び内外気切換ダンパ52へと制御信号を出力し、前記車両用空調装置16から車室内へと送風される空気の送風量、送風温度等を制御する。
【0031】
また、空調制御部18は、エンジン制御部14から入力された検出値に基づいて、空調制御システム10における圧縮機20の駆動制御を行う。
【0032】
圧縮機20は、エンジン12の駆動力が伝達されることによって駆動し、後述する車両用空調装置16に供給する冷媒を圧縮する。
【0033】
この車両用空調装置16は、図1〜図4に示されるように、空気の各通路を構成するケーシング(空調ケース)26と、前記ケーシング26の側部に連結され、車室内へ送風するための送風機ユニット28と、前記ケーシング26の内部に配設され前記空気を冷却するエバポレータ(蒸発器)30と、該空気を加熱するヒータコア32と、前記各通路内を流通する空気の流れを切り換えるダンパ機構22と、エンジン12の停止時(アイドリングストップ時)に冷風を送風するために冷気を蓄えておく蓄冷機構24とを含む。
【0034】
ケーシング26は、中空の箱状に形成され、その内部には、送風機ユニット28と連通しエバポレータ30の上流側に形成される第1通路34と、前記エバポレータ30を挟んで前記第1通路34の下流側に形成される第2通路(冷風通路)36と、前記エバポレータ30の下流側において、ヒータコア32との間に形成される第3通路(温風通路)38と、前記ヒータコア32を挟んで前記第3通路38の下流側に形成される第4通路40とを有する。また、第2通路36と第3通路38とは、ケーシング26において上下方向に略平行に設けられる。
【0035】
なお、ケーシング26には、第1通路34と連通して開口した接続部42が形成され、該接続部42には後述する送風機ユニット28が連結される。
【0036】
送風機ユニット28は、ケーシング26の接続部42に接続され連通する中空状のハウジング44と、前記ハウジング44の下部に設けられる送風機46とを含み、前記送風機46は、図示しない回転駆動源に対する通電作用下に回転するファンを備える。
【0037】
また、ハウジング44には、車両の外部から空気(外気)を取り入れるための外気導入口48と、車室内の空気(内気)を取り入れるための内気導入口50とが開口し、前記外気導入口48及び内気導入口50のいずれか一方とハウジング44の内部との連通状態を切り換える内外気切換ダンパ(内外気切換手段)52が設けられる。内外気切換ダンパ52は、ハウジング44の内部に回動自在に設けられ、例えば、空調制御部18からの制御信号に基づいて外気を導入する場合には内気導入口50に臨む位置まで回動して該内気導入口50を閉塞し、一方、内気を導入する場合には外気導入口48に臨む位置まで回動して該外気導入口48を閉塞する。
【0038】
そして、送風機46に通電することによってファンが回転し、開口している外気導入口48又は内気導入口50から空気を取り込んで、ハウジング44を通じてケーシング26へと送風する。
【0039】
エバポレータ30は、ケーシング26の略中央部に上下方向に直立するように配置され、その一側面が送風機46側となる上流側に臨み、他側面が、ヒータコア32側となる下流側に臨むように設けられる。このエバポレータ30には、図示しない複数のチューブと、該チューブの間に設けられ波状に折曲されたフィン(図示せず)とを有し、前記チューブの内部に圧縮機20の駆動作用下に圧縮された冷媒が供給され、送風機46から供給された空気が前記フィンを通過することで、前記冷媒と空気との熱交換が行われて前記空気が所定温度に冷却される。そして、エバポレータ30によって冷却された空気が、下流側となる第2及び第3通路36、38へと流通する。
【0040】
ヒータコア32は、ケーシング26の内部においてエバポレータ30の下流側、且つ、第3通路38に臨むように設けられ、前記エバポレータ30を通過した空気が通過することにより所定温度に加温され、第4通路40へと流通する。
【0041】
ダンパ機構22は、エバポレータ30の下流側となる第2通路36と第3通路38との間を移動自在に設けられ、前記エバポレータ30の下流側における空気の流通状態を切り換えるエアミックスダンパ54を有する。このエアミックスダンパ54は、図示しない回転駆動源の駆動作用下に回転駆動する駆動機構56と、前記駆動機構56の回転作用下に前記エバポレータ30に沿って鉛直方向にスライド変位するプレート体58とを含む。
【0042】
駆動機構56は、断面円形状に形成され、第2通路36と第3通路38との境界部近傍に設けられ、且つ、エバポレータ30及びヒータコア32のいずれからも所定距離だけ離間した位置に設けられる。そして、駆動機構56は、ケーシング26を貫通しエバポレータ30及びヒータコア32と略平行に設けられる。
【0043】
プレート体58は、例えば、エバポレータ30から離間する方向に向かって凸状に湾曲した断面円弧状に形成され、ケーシング26の内壁面に設けられたガイド溝(図示せず)に沿って第2通路36と第3通路38との間において移動可能に設けられると共に、そのエバポレータ30に臨む側面には、ラックギア(図示せず)が形成され、駆動機構56に設けられるピニオンギア(図示せず)が噛合している。
【0044】
また、プレート体58の高さ寸法は、第2及び第3通路36、38の高さ寸法と略同等若しくは若干だけ大きくなるように形成される。
【0045】
そして、駆動機構56が回転することにより、その外周面との接触作用下にプレート体58が鉛直方向に送り出され、例えば、該プレート体58が上方へと移動することで、第1通路34と第2通路36との連通が遮断されると同時に前記第1通路34と第3通路38とが連通し、反対に、前記プレート体58が下方へと移動することで、前記第1通路34と第3通路38との連通が遮断されると同時に前記第1通路34と第2通路36とが連通する。
【0046】
蓄冷機構24は、エバポレータ30とヒータコア32との間に回動自在に設けられ、第2通路36と第3通路38との連通状態を切換可能な切換ダンパ(切換手段)60と、前記エバポレータ30の他側面(表面)に装着され、該エバポレータ30の温度を検出可能な一対の第1及び第2検出センサ62、64とを含む。
【0047】
切換ダンパ60は、例えば、支軸66を中心として一直線上に突出した一対の板部材68を有するバタフライバルブからなり、ケーシング26に対して回動自在に支持され、空調制御部18からの制御信号に基づいて、図示しない回転駆動源が駆動することで所定角度だけ回動する。また、切換ダンパ60は、その支軸66がエアミックスダンパ54の駆動機構56と隣接するように配置される。
【0048】
そして、切換ダンパ60は、支軸66を中心として板部材68が略水平な状態(図3参照)となることで、第2通路36と第3通路38との連通を遮断する。すなわち、切換ダンパ60において一方の板部材68から他方の板部材68までの幅寸法は、エバポレータ30の他側面とエアミックスダンパ54との離間距離と略同等若しくは若干だけ小さく設定されている。
【0049】
一方、切換ダンパ60は、支軸66を中心として板部材68が略鉛直方向に延在した状態(図1及び図2参照)へと回動させることで、第2通路36と第3通路38とを連通状態とする。
【0050】
第1及び第2検出センサ62、64は、例えば、サーミスタ等からなり、下流側となるエバポレータ30の他側面において、前記第1検出センサ(第2温度センサ)62が該エバポレータ30の下端部近傍に装着され、前記第2検出センサ(第1温度センサ)64が、前記第1検出センサ62に対して所定高さだけ上方に装着される。そして、第1及び第2検出センサ62、64は、エバポレータ30の表面温度を検出可能に設けられる。
【0051】
この第2検出センサ64の設置位置は、エバポレータ30を通過する空気を冷却する際に発生する凝縮水を凍結させ蓄冷体Rを生成する際に、前記エバポレータ30による空気の冷却に支障のない蓄冷体Rのフロスト限界高さとなる位置に設けられる。なお、エバポレータ30で発生した凝縮水は、一般的に、重力作用下に前記エバポレータ30の下方に向かって移動するため、前記エバポレータ30の下端部側から凍結し始め蓄冷体Rが生成されることとなる。
【0052】
すなわち、エバポレータ30の下部は、蓄冷機構24による蓄冷が行われる際に、蓄冷体Rが蓄えられる蓄冷領域Sとして機能する。換言すれば、エバポレータ30において、蓄冷領域Sより上方となる領域は、蓄冷体Rの生成不可な非蓄冷領域となる。
【0053】
そして、第1及び第2検出センサ62、64は、それぞれ空調制御部18に対して配線を介して接続され、例えば、前記第1検出センサ62によって予め設定されたフロスト温度(例えば、0℃)が検出されることで、該第1検出センサ62の装着されたエバポレータ30の下端部近傍が凍結し始めたことが確認され、一方、前記第2検出センサ64によってフロスト温度(例えば、0℃)が検出されることで、該第2検出センサ64の装着されたエバポレータ30におけるフロスト限界高さ近傍まで凍結したことが確認され、それぞれ検出信号として前記空調制御部18へと出力される。
【0054】
本発明の実施の形態に係る車両用空調装置16は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、エンジン12の始動時を初期状態として説明する。
【0055】
先ず、図2に示されるように車両用空調装置16が始動され、例えば、車室内の温度を低下させるべく通常の冷房モードが選択された場合、エンジン12からの駆動力を利用して圧縮機20が駆動し、該圧縮機20によって圧縮された冷媒が凝縮器70、膨張弁72を通ってエバポレータ30へと供給される(図1参照)。一方、空調制御部18から送風機ユニット28へと制御信号が出力され、例えば、内外気切換ダンパ52を駆動させて内気導入口50を開口させると共に、エアミックスダンパ54を下降させ第3通路38と第4通路40との連通を遮断する。
【0056】
これにより、車室内の空気が内気導入口50からハウジング44内へと導入され、送風機46の回転作用下に前記ハウジング44からケーシング26へと供給されることで、第1通路34からエバポレータ30を通過して冷却された後に第2通路36へと流通し、ベント開口部26aから車室内における乗員の顔近傍に臨む吹出口へ冷却された空気が送風される。
【0057】
なお、上述したようなエンジン12の始動直後や、車両用空調装置16の設定温度と車室内の温度との差が大きい場合には、空調制御部18における冷房能力判定手段や送風温度設定手段(図示せず)によって蓄冷モードへの切り換えが選択されず、蓄冷機構24による蓄冷を行わずに前記車室内の冷房を優先させる通常の冷房モードが実施される。
【0058】
次に、例えば、車室内の温度が予め設定された設定温度に到達した場合や、エンジン12が高稼働状態にある場合に、上述した冷房モードからエバポレータ30の蓄冷領域Sに蓄冷を行う蓄冷モードへと切り換える。
【0059】
先ず、空調制御部18において、車室内の温度が予め設定された設定温度に到達しているか否かが判定されると共に、エンジン制御部14から前記空調制御部18へと出力された車両の車速信号、エンジン12の回転数等に基づいて該空調制御部18の走行状態判定手段(図示せず)で前記エンジン12の稼動状態、車両の走行状態等が判定される。車室内の温度が設定温度に到達しているかの判定は、設定温度に対し車室内への送風温度が一定以上近づいた際、例えば、設定温度を25℃に設定し、送風温度設定手段(図示せず)によって設定された送風温度が20℃以上のときに車室内の温度が設定温度に到達したと判定する。なお、ここでは車両の高速走行状態とは、例えば、車両の車速が80km以上の場合を示し、エンジン12の高稼働状態とは、例えば、回転数が2500rpm以上の場合を示す。
【0060】
そして、空調制御部18の走行状態判定手段(図示せず)において、例えば、車両の走行状態が高速状態であり、エンジン12が高稼働状態であると判定され、または、空調制御部18によって車室内の温度が設定温度にすでに到達していると判定された場合に、車室内に対する冷房に余裕のあることが冷房能力判定手段(図示せず)によって判定され、それに伴って、モード切換手段(図示せず)によって蓄冷モードに切り換えられる。そこで、図3に示されるように、モード切換手段から蓄冷機構24を構成する切換ダンパ60に対して制御信号が出力され、それに伴って、切換ダンパ60が所定角度だけ回動することにより第2通路36と第3通路38との連通を遮断する。
【0061】
この場合、エアミックスダンパ54は、上述した通常の冷房モードと同様に、第3通路38と第4通路40との連通を遮断した状態のままとする。また、送風機ユニット28では、内外気切換ダンパ52によって外気導入口48を閉塞し、内気導入口50を開口させた状態とする。
【0062】
そして、車室内の空気が内気導入口50から送風機ユニット28からケーシング26の第1通路34へと供給され、第1通路34からエバポレータ30を通過して冷却された後、その一部が第2通路36へと流通し、ベント開口部26aから車室内における乗員の顔近傍に臨む吹出口へと送風される。一方、エバポレータ30を通過した空気の一部が、第3通路38へと流通するが、該第3通路38は、切換ダンパ60によって第2通路36との連通が遮断され、エアミックスダンパ54によってヒータコア32との連通が遮断されているため、該第3通路38に導入された空気(冷風)は、エバポレータ30と前記第3通路38との間で滞ることとなる。その結果、エバポレータ30における蓄冷領域Sは、空気と熱交換されなくなるため該蓄冷領域S自体の温度が低下し、前記エバポレータ30に付着した凝縮水が下方へと集まることで、前記凝縮水が前記空気によって徐々に凍結し始めて蓄冷体Rが生成される。
【0063】
また、第1検出センサ62によってエバポレータ30の下端部近傍の温度を連続的に検出することで、前記エバポレータ30の蓄冷領域Sに蓄冷体Rが生成され始めたことが空調制御部18において確認される。
【0064】
そして、送風機ユニット28から供給される空気の一部をエバポレータ30を通じて連続的に第3通路38へと供給し続けることで、前記エバポレータ30で生成される蓄冷体Rが上方に向かって徐々に大きくなっていく。
【0065】
なお、この蓄冷モードでは、第2検出センサ64で検出される温度が、予め設定されたフロスト温度に到達することで、前記蓄冷体Rがフロスト限界高さまで到達したことが確認され、前記フロスト温度が第2検出センサ64で検出された後に、空調制御部18から切換ダンパ60へと駆動信号を出力し、前記切換ダンパ60を回動させて第3通路38と第2通路36とを連通状態とする。これにより、蓄冷モードが解除され、蓄冷体Rがさらに大きくなって蓄冷領域Sの外側へと生成されてしまうことが回避される。
【0066】
また、第1検出センサ62で検出された温度と、第2検出センサ64で検出された温度とが略同一温度となった際に、空調制御部18からエンジン制御部14へと制御信号を出力し、圧縮機20の駆動を停止させることで冷媒の圧縮を停止する。これにより、蓄冷体Rが、エバポレータ30の下端部から上方に向かって大きくなり蓄冷領域Sの上端を超えることで、該エバポレータ30を通じて第1通路34から第2通路36へと流通する空気の流れを妨げてしまうことが防止される。
【0067】
次に、走行中の車両が停車してエンジン12の停止したアイドリングストップ状態において、蓄冷機構24によって蓄冷された蓄冷体Rを利用して車室内の空調を行う。この場合には、図4に示されるように、先ず、エンジン制御部14から空調制御部18へと出力される車速信号、エンジン12の回転数に基づいて、アイドリングストップ判定手段(図示せず)によって前記車両及びエンジン12の停止したアイドリングストップ状態であることが判定される。例えば、車両の車速が0kmで、エンジン12の回転数が0rpmの場合に、アイドリングストップ状態にあると判定する。この際、エンジン12の停止に伴って圧縮機20の駆動も停止しているため、圧縮された冷媒がエバポレータ30に供給されることがない。
【0068】
そして、空調制御部18のモード判定手段(図示せず)において、蓄冷モードから放冷モードへと切り換えるために、図示しない回転駆動源へと制御信号を出力し、図4に示されるように、板部材68が略水平状態から略鉛直状態となるように切換ダンパ60を所定角度だけ回動させることで第3通路38と第2通路36とを連通させる。また、同時に、空調制御部18から送風機46へと制御信号を出力し、前記送風機46を駆動させて車室内の空気(内気)を取り込んでケーシング26の内部へと送風を行う。なお、送風機ユニット28では、内外気切換ダンパ52が外気導入口48を閉塞し、内気導入口50を開口した内気導入状態としておく。
【0069】
これにより、車室内の空気(内気)が送風機46の駆動作用下に第1通路34へと供給され、冷媒が循環されていないエバポレータ30を通過して第2通路36へと流通すると同時に、前記エバポレータ30の蓄冷領域Sに蓄えられた蓄冷体Rに当たり、該蓄冷体Rを徐々に融解させることで融解熱により空気が所定温度に冷却される。このエバポレータ30を通過して冷却された空気が、互いに連通している第3通路38から第2通路36へと流通して、例えば、ベント開口部26aを通じて車室内における乗員の顔近傍へと供給される。
【0070】
その結果、エンジン12が停止することで圧縮機20の駆動が停止したアイドリングストップ状態においても、予めエバポレータ30の蓄冷領域Sに蓄冷体Rを生成して蓄えておき、前記蓄冷領域Sに空気を通過させることで蓄冷体Rの融解熱により該空気を好適に冷却して車室内へと供給することが可能となる。
【0071】
また、車両の停車状態が解除されエンジン12が再び稼動(再始動)する場合には、例えば、前記エンジン12の回転数がエンジン制御部14から空調制御部18へと出力されることで、アイドリングストップ判定手段(図示せず)によって該エンジン12が再始動したと判定される。次に、空調制御部18の冷房能力判定手段及び送風温度設定手段において、例えば、車室内の温度、外気温、日照等の諸条件との関係より、車室内への冷房能力に余裕があるか否かが判定される。
【0072】
そして、冷房能力に余裕があると判定された場合には、再び蓄冷を行うためにモード切換手段からの制御信号に基づいて切換ダンパ60を回動させ第2通路36と第3通路38との連通を遮断した蓄冷モードとし、再びエバポレータ30の蓄冷領域Sに蓄冷体Rを生成し始める。
【0073】
一方、車室内への冷房能力に余裕が小さいと判定された場合には、蓄冷モードへと切り換えずに、優先的に車室内の冷房を行う通常の冷房モードへと切り換える。すなわち、蓄冷機構24を構成する切換ダンパ60による第2通路36と第3通路38との連通遮断状態を解除し、エバポレータ30を通過した空気の全てを第2通路36を通じてベント開口部26aから車室内へと送風することで、前記車室内の冷房を行う。
【0074】
なお、上述した本発明の実施の形態においては、エバポレータ30における蓄冷体Rの温度を検出するために一対の第1及び第2検出センサ62、64を設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、前記蓄冷体Rのフロスト限界高さにおける温度を検出するための第2検出センサ64のみを前記エバポレータ30に設けるようにしてもよい。このような構成とすることにより、検出センサに要するコストの低減を図ることができると共に、部品点数の削減を図ることも可能となる。
【0075】
また、第1及び第2検出センサ62、64に温度センサを用いる代わりに、例えば、前記エバポレータ30に蓄冷体Rが生成された際の圧力変化を検知可能な圧力センサを用いるようにしてもよい。
【0076】
以上のように、本実施の形態では、ケーシング26内におけるエバポレータ30の下流側において、エアミックスダンパ54近傍に切換ダンパ60を設け、車室内に対する冷房能力に余裕がある条件下で前記切換ダンパ60の切換作用下に第2通路36と第3通路38との連通を遮断し、エバポレータ30に付着した凝縮水を凍結させて蓄冷体Rを生成することができる。すなわち、切換ダンパ60を含む蓄冷機構24を設け、エバポレータ30を蓄冷領域Sとして利用するという簡素な構成で、蓄冷を行うことができると共に、該蓄冷された蓄冷体Rを利用することでエンジン12の停止時、すなわち、アイドリングストップ時における車室内の冷房を好適に行うことができる。
【0077】
また、蓄冷を行う蓄冷領域Sをエバポレータ30の内部に設けているため、該蓄冷領域である蓄冷材(蓄冷器)を前記エバポレータ30と別体で設ける従来技術と比較し、ケーシング26を含む車両用空調装置16の小型化を図ることができる。その結果、限られたダッシュボード内のスペースを有効活用することができる。
【0078】
さらに、蓄冷領域Sをエバポレータ30の下端部側に設け、且つ、エバポレータ30を通過させた空気を滞留させるための第3通路38をケーシング26の下方に設けることで、凝縮水を前記エバポレータ30の下方に溜まらせて凍結させやすくすることが可能である。
【0079】
さらにまた、車両用空調装置16による冷房能力に余裕がある低負荷時において、切換ダンパ60を回動させ第2通路36と第3通路38との連通を遮断することで、エバポレータ30の蓄冷領域Sに蓄冷を開始することが可能となる。
【0080】
またさらに、空調制御部18において、車室内へ送風を行う送風口からの送付温度が予め設定された設定温度に対して一定以上高くなった場合には、冷房能力判定手段によって冷房能力に余裕があると判断し、エバポレータ30の蓄冷領域Sに蓄冷を開始することが可能となる。
【0081】
また、エンジン12の高回転時、又は、車両の高速走行時には、エンジン制御部14から空調制御部18へと出力される該回転数や車速信号に基づいて、走行状態判定手段や冷房能力判定手段によって冷房能力に余裕があると判断して、エバポレータ30の蓄冷領域Sに蓄冷を開始することが可能となる。
【0082】
さらに、切換ダンパ60を回動させ第3通路38と第2通路36とを連通させた放冷モード時には、車室内において所定温度に冷却され外気と比較して温度の低い内気を導入することで、前記外気を導入して蓄冷した蓄冷体Rが急速に溶けてしまうことが防止され、徐々に溶かして車室内へと好適に送風することが可能となる。
【0083】
さらにまた、エバポレータ30が一定以上凍結し、該エバポレータ30の内部を送風がまったく通過しなくなるのを防ぐために、第2検出センサ64が設定温度(フロスト温度)以下になった場合には圧縮機20を停止し、前記エバポレータ30に対する圧縮された冷媒の供給を停止する。
【0084】
またさらに、エバポレータ30において、凍結しやすい下端部近傍と、凍結させる蓄冷領域Sの上端部近傍にそれぞれ第1及び第2検出センサ62、64を設け、先に凍結し始めるエバポレータ30の下端部と上端部近傍の温度の差が予め設定した温度差以内、例えば、それぞれの第1及び第2検出センサ62、64が検出した温度差が1℃以内の場合に、フロスト限界高さに到達したと判断し、圧縮機20を停止して前記エバポレータ30に対する圧縮された冷媒の供給を停止することで、蓄冷体Rが前記エバポレータ30を通過して第2通路36へと流通する空気の妨げとなることが防止される。
【0085】
なお、本発明に係る車両用空調装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0086】
10…空調制御システム 12…エンジン
14…エンジン制御部 16…車両用空調装置
18…空調制御部 20…圧縮機
22…ダンパ機構 24…蓄冷機構
26…ケーシング 28…送風機ユニット
30…エバポレータ 32…ヒータコア
34…第1通路 36…第2通路
38…第3通路 40…第4通路
44…ハウジング 46…送風機
52…内外気切換ダンパ 54…エアミックスダンパ
60…切換ダンパ 62…第1検出センサ
64…第2検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、送風機からの空気が流通する通路が内部に形成される空調ケースと、前記圧縮機により圧縮した冷媒と前記通路を通る空気とを熱交換することで前記空気を冷却する蒸発器と、前記蒸発器により冷却された空気を加熱するヒータコアと、車室内への送風空気の調整を制御する空調制御部とを有する車両用空調装置において、
前記空調ケースにおける前記蒸発器の下流側には、前記ヒータコアが配置される温風通路と、前記温風通路を回避して設けられる冷風通路と、前記蒸発器の表面に冷気を有した蓄冷体を蓄える蓄冷機構と、
を備え、
前記蓄冷機構は、前記蓄冷体を蓄える蓄冷部と、
前記蓄冷部の下流側に設けられ、前記蓄冷部と前記温風通路及び前記冷風通路との連通を切り換える切換手段と、
を備え、
前記空調制御部は、前記蓄冷体を蓄える蓄冷モードと、前記蓄冷体の冷気を放出する放冷モードとの実行を判定するモード判定手段を有し、前記蓄冷モードと判定された場合に、前記切換手段によって前記蓄冷部の下流側と冷風通路との連通を遮断することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用空調装置において、
前記切換手段は、前記温風通路と前記冷風通路へのそれぞれの送風割合を調整するエアミックスダンパと、
前記蒸発器と前記エアミックスダンパとの間に設けられ、前記蓄冷部から前記冷風通路への連通を切り換える切換ダンパからなることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項3】
請求項1記載の車両用空調装置において、
前記蓄冷部は、前記冷風通路に対して前記車両の下方側に設けられることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用空調装置において、
前記空調制御部は、乗員によって予め設定された前記車室内の設定温度に対して冷房能力の余裕がある否かを判定する冷房能力判定手段を備え、前記冷房能力判定手段によって前記冷房能力に余裕があると判定された場合に、前記モード判定手段によって蓄冷モードが実行されることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項5】
請求項4記載の車両用空調装置において、
前記空調制御部は、前記車両における車室内の温度、外気温度、日照に基づいて前記車室内への送風温度を設定する送風温度設定手段を有し、前記設定温度に対して前記送風温度が一定以上近くなった場合に、前記モード判定手段によって蓄冷モードが実行されることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項6】
請求項4記載の車両用空調装置において、
前記空調制御部は、前記車両に搭載されるエンジンを制御するエンジン制御部からの制御信号に基づき、前記車両の走行状態を判定する走行状態判定手段を有し、前記走行状態判定手段によって前記車両が高速走行状態であると判定された場合に、前記冷房能力判定手段によって前記冷房能力に余裕があると判定することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項7】
請求項4記載の車両用空調装置において、
前記冷房能力判定手段が、前記冷房能力に余裕がないと判定した場合には、前記切換手段によって前記蓄冷部の下流側と冷風通路とを連通させることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用空調装置において、
前記空調制御部は、前記車両に搭載されるエンジンを制御するエンジン制御部からの制御信号に基づきアイドリングストップ判定を行うアイドリングストップ判定手段を備え、
前記アイドリングストップ判定手段がアイドリングストップ状態と判定した際に、前記モード判定手段によって放冷モードが実行されることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用空調装置において、
前記車両用空調装置は、前記空調ケース内部に導入する空気を外気又は内気のいずれか一方へと選択的に切り換える内外気切換手段を有し、前記モード判定手段によって放冷モードが実行された場合に、前記内外気切換手段によって内気が導入されることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用空調装置において、
前記蒸発器には、該蒸発器において凝固水を凝固させて前記蓄冷体を形成するための蓄冷領域を検出する検出センサが設けられ、
前記蓄冷モードにおいて、前記空調制御部は前記検出センサから得られた検出結果が予め設定された蓄冷設定値以上である場合に前記圧縮機を停止させることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用空調装置において、
前記蒸発器には、該蒸発器の表面温度を測定する温度センサが設けられており、
前記蓄冷モードにおいて、前記空調制御部は前記温度センサから得られた温度が設定温度以下である場合に前記圧縮機を停止させることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用空調装置において、
前記蒸発器は、該蒸発器に付着する凝縮水を凝固させて前記蓄冷体を形成するための蓄冷領域と、
前記蓄冷体の形成を許容しない非蓄冷領域と、
を有し、
前記蓄冷領域と前記非蓄冷領域との境界線近傍に前記蒸発器の表面温度を測定する第1温度センサを設けると共に、前記蓄冷領域の前記境界線とは反対側となる端部近傍に前記蒸発器の表面温度を測定する第2温度センサを設け、
前記蓄冷モードにおいて、前記空調制御部は前記第1温度センサと前記第2温度センサから得られた温度の差が予め設定された範囲内になった場合には前記圧縮機を停止させることを特徴とする車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−112317(P2013−112317A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263176(P2011−263176)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】