説明

車両用空調装置

【課題】アイドルストップ実行時における快適な暖房を実現する車両用空調装置を提供すること。
【解決手段】車室R内の温度調節をする空調空気を該車室内に送風する送風ファン12と、エンジンの冷却水との間で熱交換させて空調空気を加熱するヒータコア14と、ヒータコアとの間で熱交換する空調空気量を調整して車室内の温度調節制御を実行するオートエアコンコントローラ18と、を具備して、アイドルストップ機能を備える車両に搭載される車両用空調装置10であって、オートエアコンコントローラは、アイドルストップ中の暖房時に、外気温度センサ22aが検出する外気温度に応じた風量になるように送風ファンの駆動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置に関し、詳しくは、所謂、アイドルストップの実行中における空調制御に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギの達成や環境汚染の低減の観点からエンジン(内燃機関)の駆動により走行する各種車両において、走行を停止している所定のタイミングにエンジンの稼働を停止するアイドルストップ機能を備えることが知られている(なお、アイドルストップは、アイドリングストップと称されている場合もある)。
【0003】
また、車両では、車室内を過ごし易い環境にするために暖房する際、エンジンの冷却水との間で熱交換した温風を車室内に導入することが行われている。しかし、アイドルストップ時には、熱交換器内の冷却水を循環させるポンプも停止することから、温風の加熱に使用した蓄熱量が補充されることなく、アイドルストップからの時間経過に応じて熱交換器の温度も低下し、十分に加熱した温風を車室内に吹き出すことができなくなる。
【0004】
この種の車両では、アイドルストップ時のエンジン停止(温風温度低下)に伴って、外気温度が所定温度よりも低い場合には暖房が不十分になるので、アイドルストップの実行を禁止することが提案されている(例えば、特許文献1)。また、アイドルストップ時には、低温の外気を十分に加熱することが難しくなることから、外気を取り込んで暖房する外気導入から車室内の空気を循環させる内気循環に切り換えることが提案されている(例えば、特許文献2)。また、アイドルストップの実行を禁止しない場合には、送風を停止してしまうと低温の外気が侵入して来るため、風量を抑えた内気循環に切り換えることが提案されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−140442号公報
【特許文献2】特開昭59−57010号公報
【特許文献3】特開2001−341515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両の暖房としては、車室内の温度に応じた温風が最適な風量で乗員の肌に触れる場合に快適さを感じるものであり、外気と比較すると温風であっても、車室内の温度よりも低い温風が強く吹き付けられると涼しく感じてしまい、また、風量が足りないと物足りなくなるなど快適性が損なわれるときがある。
【0007】
要するに、このようなアイドルストップ時の暖房にあっては、特許文献1に記載のようにアイドルストップを禁止しない場合に、特許文献2、3に記載のように温風の温度が低下しているのにも拘わらずに一定風量の送風を継続すると、車室内の室温に合っていない温風が乗員に吹き付けられることになり、不快に感じてしまう場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、アイドルストップ実行時における快適な暖房を実現する車両用空調装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する車両用空調装置に係る発明の第1の態様は、車室内の温度調節をする空調空気を該車室内に送風する送風機と、エンジンの冷却水との間で熱交換させて前記空調空気を加熱する熱交換器と、前記空調空気の前記熱交換器との間の熱交換量を調整して前記車室内の温度調節制御を実行する温調制御部と、を具備して、自動停止条件成立時に前記エンジンを自動停止させた後の再始動条件成立時に当該エンジンを再始動させる機能を備えた車両に搭載される車両用空調装置であって、前記熱交換器で加熱する前の前記空調空気の温度を検出する温度検出部と、前記エンジンの自動停止中の暖房時に前記温度検出部が検出する前記空調空気温度に応じた風量になるように前記送風機の駆動を制御する風量制御部と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
上記課題を解決する車両用空調装置に係る発明の第2の態様は、上記第1の態様の特定事項に加え、前記空調空気として前記車室外部の外気を取り込む外気流路を備えて、前記温度検出部は前記外気流路を介して前記空調空気として取り込む前記外気の温度を検出することを特徴とするものである。
【0011】
上記課題を解決する車両用空調装置に係る発明の第3の態様は、上記第1の態様の特定事項に加え、前記空調空気として前記車室内部の内気を取り込む内気流路を備えて、前記温度検出部は前記内気流路を介して前記空調空気として取り込む前記内気の温度を検出することを特徴とするものである。
【0012】
上記課題を解決する車両用空調装置に係る発明の第4の態様は、上記第2の態様の特定事項に加え、前記空調空気として前記車室内部の内気を取り込む内気流路と、前記外気流路または前記内気流路のいずれか一方を選択するように切り替える流路切替部と、を備えて、前記温度検出部は選択された前記外気流路または前記内気流路を介して取り込む前記空調空気の温度を検出することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明の上記の一態様によれば、エンジンを一時的に再始動可能に停止させる、所謂、アイドルストップの実行時に、熱交換器で加熱する前の温調空気(外気または内気)の温度に応じた風量で、加熱した温風を車室内に送風することができる。したがって、温度に合っていない風量で温風が吹き付けられて不快に感じてしまうことなく、アイドルストップ時にも可能な範囲で暖房を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る車両用空調装置の第1実施形態を示す図であり、その全体構成を示す概念ブロック図である。
【図2】その各種情報のやり取りを示すブロック図である。
【図3】その風量制御で使用する外気温度との関係を示す制御マップである。
【図4】その空調制御手順(方法)を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る車両用空調装置の第2実施形態を示す図であり、その各種情報のやり取りを示すブロック図である。
【図6】その風量制御で追加使用する内気温度との関係を示す制御マップである。
【図7】その空調制御手順(方法)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1〜図4は本発明に係る車両用空調装置の第1実施形態を示す図である。
【0016】
図1において、空調装置10は、エンジン付き自動車(車両)の車室R内の暖房・換気・空調を行うHVAC(Heating,Ventilating,and Air Conditioning)システムである。この空調装置10は、空気流路11内に上流側から強制的に空気を引き込んで下流側に向かって吹き出させることにより空気の流れを形成する送風ファン(送風機)12と、空気流路11内を通過する空気を冷却するエバポレータ13と、空気流路11内を通過する空気を加熱するヒータコア14と、送風ファン12が空気流路11内に空気を取り込む流路を車室Rの外部側吸込口(外気流路)Toまたは内部側吸込口(内気流路)Tiに切り換える吸込口ダンパ(流路切替部)15と、空気流路11内を通過する空気の一部をヒータコア14に接触する流路に流し込むように調整するエアミックスダンパ16と、空気流路11から吹き出させる流路を車室R内に設置されている吹出口B1〜B3のいずれかに切り換える吹出口ダンパ17と、これら装置各部を統括制御して車室R内を快適な環境に維持するオートエアコンコントローラ(温調制御部)18と、を備えている。
【0017】
ここで、エバポレータ13は、空気流路11内に設置されて冷媒の蒸発による気化熱を利用することにより、通過する(接触する)空気を冷却するようになっており、不図示のコンプレッサがコンデンサ(復水器)で液化した冷媒を導入する前に膨張弁で膨張気化させるように循環させることにより、その冷媒の気化熱で熱交換冷却するようになっている。
【0018】
ヒータコア14は、不図示のエンジンの冷却水を循環させるラジエータ部の熱交換を利用して、通過する空気を加熱するように空気流路11内に設置されており、このヒータコア14が熱交換器を構成している。
【0019】
オートエアコンコントローラ18(以下単に空調コントローラ18ともいう)は、各種空調条件等の入力設定を行う空調操作パネル21と、エバポレータ温度センサ、内気温度センサ、外気温度センサ、日射センサ、水温センサ、車速センサ、冷媒圧センサ、湿度センサなどの各種状況などを検出するオートエアコン制御用センサ群22が接続されており、一般的な空調コントローラ18と同様に、予め準備されている制御プログラムに従って空調操作パネル21から入力される各種空調操作パネル情報やオートエアコン制御用センサ群22が取得する各種検出情報に基づいて上記装置各部12〜17を統括制御して車室R内の空調制御を実行する。なお、空気流路11内の各ダンパ15〜17は、空調コントローラ18が不図示の駆動モータに通電させることにより動作させて所望の流路を形成するように制御している。また、図1中、13aはエバポレータ13の温度を検出する温度センサである。
【0020】
ところで、空調装置10は、空調コントローラ18が車両本体側の装置各部を統括制御する不図示の本体コントローラ(制御装置)と協調動作して車室R内を快適環境に維持するようになっており、所定の条件が揃ったときにエンジンを直ちに再始動可能な状態にして一時的に停止させるアイドルストップを本体コントローラが実行する際に、空調コントローラ18は、そのアイドルストップに則した空調制御を実行するようになっている。
【0021】
この空調コントローラ18は、アイドルストップの実行中の暖房時には、オートエアコン制御用センサ群22の内の外気温度センサ(温度検出部)22aが車室R内に外気を引き込む外部側吸込口Toを通過する空気温度を検出する外気温度(空調空気温度)情報に応じた風量になるように送風ファン12の駆動を制御するようになっている。すなわち、この空調コントローラ18が風量制御部を構成している。なお、外気温度センサ22aは、車両外部の気温を直接検出するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0022】
詳細には、空調コントローラ18は、車室R内の空調を行う際には空調操作パネル21から入力指示されない限り、新鮮な外気を取り込みつつ快適な室内環境になるように空調制御を行うようになっており、図2に示すように、上記制御プログラムに従って、空調条件算出部18a、空調条件制限部18b、風量算出部18cとして機能することにより、各種情報の入出力制御を行って装置各部の駆動制御を実行するようになっている。
【0023】
この空調コントローラ18の空調条件算出部18aとしては、空調操作パネル21から入力設定されて指示される車室R内温度や自動空調または手動空調などの空調操作パネル情報I2や、オートエアコン制御用センサ群22の検出するエバポレータ温度、車室内(内気)温度、日射量、水温、車速、冷媒圧、湿度などの外気温度Otを含む各種検出情報I3に基づいて、吹出口B1〜B3から車室R内に吹き出させる空調風の目標吹出温度Ftおよび目標吹出風量Fsを算出する。
【0024】
空調条件制限部18bとしては、この空調制御の実行開始時あるいは実行中に、本体コントローラからアイドルストップ実行に伴う制御命令を通知するアイドルストップ情報I1を受け取った場合に、外気温度センサ22aが検出する外気温度Otに応じた制限風量Xnを取得するようになっている。この制限風量Xnは、例えば、図3に示すように、−20℃から30℃までの10℃毎の外気温度Otに応じて低温ほど小さな風量Xn(X1〜X6)となるように予め設定されており、その風量マップに示す傾斜風量に基づいて外気温度Otに応じた風量値を算出する。なお、この制限風量Xnの算出は、これに限るものではなく、外気温度Otや目標吹出温度Ftや目標吹出風量Fsなどのパラメータ情報を演算式内に代入して算出するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0025】
風量算出部18cとしては、空調条件算出部18aが算出した目標吹出風量Fsまたは空調条件制限部18bが算出した制限風量Xnの内の最低風量で送風ファン12を駆動させるブロアファン駆動風量情報を選択取得してブロアファン駆動信号Sfを生成し送風ファン12の駆動モータを動作させる。
【0026】
具体的には、空調コントローラ18は、図4のフローチャートで示す空調制御手順(方法)を実行する。まず、空調操作パネル21から乗員が操作した空調開始指示入力を受けると、外気温度Otを含む検出情報I3を受け取るとともに(ステップS11)、その空調操作パネル21から入力設定されている空調操作パネル情報I2を受け取って、風量を自動設定するオート風量が選択されているか否かを確認し(ステップS13)、オート風量が選択されている場合には、その空調操作パネル情報I2の車室R内の設定温度やオートエアコン制御用センサ群22が検出する各種検出情報I3に基づいて空調風の目標吹出温度Ftおよび目標吹出風量Fsを算出する(ステップS15)。
【0027】
この後に、アイドルストップの実行中であるか否かを確認して(ステップS17)、アイドルストップの実行中が確認された場合には、算出した目標吹出温度Ftと暖房判定温度Htとを比較して(ステップS19)、目標吹出温度Ftが暖房判定温度Ht以上であるときに、風量制限制御を実行する。ここで、暖房判定温度Htは、暖房が必要と判定される、空調制御毎に利用される条件を使用すればよく、例えば、現在の吹出温度(車室R内温度でもよい)Btとして目標吹出温度Ftと比較し、目標吹出温度Ftが現在の吹出温度Bt以上であるときに、風量制限制御を実行するようにしてもよい。
【0028】
この風量制限制御では、取得済みの外気温度Otに応じた制限風量Xnを算出取得して(ステップS21)、目標吹出風量Fsと比較し(ステップS23)、その目標吹出風量Fsが制限風量Xn以上である場合には、ブロアファン駆動風量としてその制限風量Xnを選択し(ステップS25)、また、目標吹出風量Fsが制限風量Xn未満である場合には、ブロアファン駆動風量としてその目標吹出風量Fsを選択して(ステップS27)、ブロアファン駆動信号を生成出力し(ステップS29)、送風ファン12の駆動モータを動作させる。
【0029】
これにより、送風ファン12は、アイドルストップ実行時には、ヒータコア14で加熱した温調空気を最低風量となる目標吹出風量Fsまたは制限風量Xnで車室R内に吹き込むことができる。このため、アイドルストップの実行によりエンジンが停止してラジエータ部が高温状態を維持できないために、ヒータコア14が空気流路11内を通過する温調空気を目標吹出温度Ftまで加熱することができない場合にも、大きな目標吹出風量Fsで吹出口B1〜B3から低温の温風が吹き出して車室R内の乗員に吹き付けてしまうことを回避することができ、不快に感じさせてしまうことを防止することができる。また、外気温度Otが低いほど制限風量Xnを小さくしているので、吹出口B1〜B3から低温の温風が吹き出して車室R内の乗員に吹き付けてしまうことを回避することができ、不快に感じさせてしまうことを防止することができる。さらに、風量制限することにより、無駄に風量を維持することを防止し、電力消費を抑えることができる。
【0030】
なお、ステップS13において、オート風量が選択設定されていないことを確認した場合には、ブロアファン駆動風量として、そのまま空調操作パネル21で設定されている風量を設定する(ステップS31)。また、ステップS17において、アイドルストップの実行中が確認されなかった場合や、ステップS19において、目標吹出温度Ftが暖房判定温度Ht未満である場合や、ステップS23において、目標吹出風量Fsが制限風量Xn未満である場合には、ブロアファン駆動風量を強制的に制限する必要はないことから、そのまま目標吹出風量Fsに応じたブロアファン駆動信号を生成出力して送風ファン12を駆動させる(ステップS27、S29)。
【0031】
このように本実施形態においては、エンジンを一時的に再始動可能に停止させるアイドルストップを実行中であるためにヒータコア14で温調風を十分に加熱することが難しい場合には、外気温に応じて抑えた制限風量Xnで車室R内に温調風を吹き出させることができ、低温の温調風が乗員に吹き付けられて不快に感じさせてしまったり、車室R内の温度を却って低下させてしまったり、電力消費を不必要に大きくしてしまうことを回避することができる。
【0032】
次に、図5〜図7は本発明に係る車両用空調装置の第2実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述実施形態と略同様に構成されているので、同様の構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
【0033】
図5において、空調装置10の空調コントローラ18は、アイドルストップの実行中の暖房時には、オートエアコン制御用センサ群22の内の外気温度センサ22aが検出する外部側吸込口To内の外気温度情報だけでなく、内気温度センサ(温度検出部)22bが検出する車室R内に内気を引き込む内部側吸込口Ti内の内気温度(空調空気温度)情報も考慮した風量になるように送風ファン12の駆動を制御するようになっている。
【0034】
詳細には、空調コントローラ18は、空調条件算出部18a、空調条件制限部18bおよび風量算出部18cに加えて、上記制御プログラムに従って、空調条件制限部18dおよび空調条件制限決定部18eとしても機能して、各種情報の入出力制御を行って装置各部の駆動制御を実行するようになっている。
【0035】
空調条件制限部18dとしては、空調条件制限部18bと同様に、この空調制御の実行開始時あるいは実行中に、本体コントローラからアイドルストップ実行に伴う制御命令を通知するアイドルストップ情報I1を受け取った場合に、内気温度センサ22bが検出する内気温度Rtに応じた制限風量Ynを取得するようになっており、制限風量Xn、Ynは、空調操作パネル21から入力された空調操作パネル情報I2に含まれる暖房時の外気導入または内気循環の設定に応じて選択されて算出される。制限風量Ynは、例えば、図6に示すように、−20℃から30℃までの10℃毎の内気温度Rtに応じて低温ほど小さな風量Yn(Y1〜Y6)となるように予め設定されており、その風量マップに示す傾斜風量に基づいて内気温度Rtに応じた風量値を算出する。なお、この制限風量Ynの算出は、これに限るものではなく、内気温度Rtや目標吹出温度Ftや目標吹出風量Fsなどのパラメータ情報を演算式内に代入して算出するようにしてもよいことは言うまでもない。また、この制限風量Xn、Ynは、選択して算出する場合を一例にして説明するが、これに限らず、算出後に選択するようにしてもよい。
【0036】
空調条件制限決定部18eは、空調操作パネル21から入力された空調操作パネル情報I2に含まれる暖房時の外気導入または内気循環の設定に応じて選択されて算出された制限風量Xn、Ynの一方を制限風量Znとして採用し、風量算出部18cがその制限風量Znまたは目標吹出風量Fsの内の最低風量で送風ファン12を駆動させるブロアファン駆動風量情報を選択取得してブロアファン駆動信号Sfを生成し送風ファン12の駆動モータを動作させる。
【0037】
具体的には、空調コントローラ18は、図7のフローチャートで示す空調制御手順(方法)を実行する。まず、上述実施形態と同様に、空調操作パネル21から乗員が操作した空調開始指示入力を受けると、外気温度Otや内気温度Rtを含む検出情報I3を受け取るとともに(ステップS11、S12)、空調操作パネル情報I2を受け取って、オート風量が選択されているか否かを確認し(ステップS13)、オート風量が選択されている場合には、各種検出情報I3に基づいて空調風の目標吹出温度Ftおよび目標吹出風量Fsを算出する(ステップS15)。この後も、上述実施形態と同様に、アイドルストップの実行中であるか否かを確認して(ステップS17)、アイドルストップの実行中が確認された場合には、算出した目標吹出温度Ftと暖房判定温度Htとを比較して(ステップS19)、目標吹出温度Ftが暖房判定温度Ht以上であるときに、風量制限制御を実行する。
【0038】
この風量制限制御では、空調操作パネル情報I2に含まれる外気導入または内気循環の設定指示に従って、吸込口ダンパ15による吸込口が外気流路に切り換えられて外部側吸込口Toから外気を導入しての暖房が選択されているか確認し(ステップS20)、外気導入が選択されている場合には上述実施形態と同様に、取得済みの外気温度Otに応じた制限風量Xnを算出取得した後に、この制限風量Xnを制限風量Znとする(ステップS21)。一方、外気導入が選択されておらず、内気流路の内部側吸込口Tiから車室R内の空気を吸い込んで循環させる内気循環が選択されている場合には取得済みの内気温度Rtに応じた制限風量Ynを算出取得した後に、この制限風量Xnを制限風量Znとする(ステップS22)。
【0039】
この後には、以下、上述実施形態と同様に、選択されて算出取得された制限風量Xn、Ynの一方の制限風量Znを目標吹出風量Fsと比較し(ステップS23)、その目標吹出風量Fsが制限風量Zn以上である場合には、ブロアファン駆動風量としてその制限風量Znを選択し(ステップS25)、また、目標吹出風量Fsが制限風量Zn未満である場合には、ブロアファン駆動風量としてその目標吹出風量Fsを選択して(ステップS27)、ブロアファン駆動信号を生成出力し(ステップS29)、送風ファン12の駆動モータを動作させる。
【0040】
これにより、送風ファン12は、アイドルストップ実行時に内気循環を選択指示された場合にも、ヒータコア14で加熱した温調空気を、車室R内の内気温度Rtに応じて選択した最低風量となる目標吹出風量Fsまたは制限風量Znで車室R内に吹き込むことができる。
【0041】
このように本実施形態においては、上述実施形態による作用効果に加えて、外気導入しての暖房時だけでなく、内気循環させる暖房時にも対応して、不快に感じさせてしまうことなどの不都合を防止することができる。
【0042】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0044】
10 空調装置
11 空気流路
12 送風ファン
13 エバポレータ
14 ヒータコア
15 吸込口ダンパ
16 エアミックスダンパ
17 吹出口ダンパ
18 オートエアコンコントローラ
18a 空調条件算出部
18b、18d 空調条件制限部
18c 風量算出部
18e 空調条件制限決定部
21 空調操作パネル
22 オートエアコン制御用センサ群
22a 外気温度センサ
22b 内気温度センサ
B1〜B3 吹出口
R 車室
Ti 内部側吸込口
To 外部側吸込口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の温度調節をする空調空気を該車室内に送風する送風機と、エンジンの冷却水との間で熱交換させて前記空調空気を加熱する熱交換器と、前記空調空気の前記熱交換器との間の熱交換量を調整して前記車室内の温度調節制御を実行する温調制御部と、を具備して、自動停止条件成立時に前記エンジンを自動停止させた後の再始動条件成立時に当該エンジンを再始動させる機能を備えた車両に搭載される車両用空調装置であって、
前記熱交換器で加熱する前の前記空調空気の温度を検出する温度検出部と、前記エンジンの自動停止中の暖房時に前記温度検出部が検出する前記空調空気温度に応じた風量になるように前記送風機の駆動を制御する風量制御部と、を備えることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記空調空気として前記車室外部の外気を取り込む外気流路を備えて、
前記温度検出部は前記外気流路を介して前記空調空気として取り込む前記外気の温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両空調装置。
【請求項3】
前記空調空気として前記車室内部の内気を取り込む内気流路を備えて、
前記温度検出部は前記内気流路を介して前記空調空気として取り込む前記内気の温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両空調装置。
【請求項4】
前記空調空気として前記車室内部の内気を取り込む内気流路と、前記外気流路または前記内気流路のいずれか一方を選択するように切り替える流路切替部と、を備えて、
前記温度検出部は選択された前記外気流路または前記内気流路を介して取り込む前記空調空気の温度を検出することを特徴とする請求項2に記載の車両空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−18351(P2013−18351A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152908(P2011−152908)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】