説明

車両用空調装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、冷媒圧縮機のオン・オフ制御によって冷房能力が制御されるようにしたオートエアコンにおいて、特にクールダウン時におけるエアミックスダンパの制御態様を改善した車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用の空調装置においては、この車両に搭載されたエンジンによって駆動される冷媒圧縮機を備え、この圧縮機で圧縮された冷媒を膨脹弁を介してエバポレータに循環し、このエバポレータ部を通過した空気を冷却して車室内に冷房空気として放出するようにしている。
【0003】この場合、エバポレータを通過した冷却空気の通路にヒータコアを設定すると共に、エバポレータを通過した冷却空気とヒータコアを通過した加熱空気との混合割合を、その開度によって制御するエアミックスダンパ(以下、A/Mタンパと略称する)が設けられている。このA/Mダンパの開度は、例えば図7で示すように必要吹出し温度TAO に対応して決定される。あるいは、必要吹出し温度から算出される、車室内への各吹出し口の目標温度と、各吹出し口に設定された吹出し温度センサの値との差に基づいて、A/Mダンパの開度が決定される。
【0004】この様なA/Mダンパの作動においては、このA/Mダンパの作動ハンチングを抑える目的で、あるいは不必要にA/Mダンパを作動させないようにする目的で、その作動に一定のヒステリシスを設定することは知られている。そして、この作動ヒステリシスは、作動精度、作動回数、A/Mダンパを駆動するモータの耐久性等を考慮して、なるべく小さな値を持つように設計される。
【0005】しかしながら、冷媒圧縮機のオン・オフ制御によって冷房能力を制御するようにした空調装置においては、決定されたヒステリシスを越えて、A/Mダンパが不必要に作動されるようになることがある。
【0006】図8はこの様なA/Mダンパの作動状態の例を示すもので、この例は外気温度が30℃、日射量が430Kcal/m2 ・h 、初期車室内温度が50℃の実車のクールダウン時の、A/Mダンパの作動状態、車室内(FACE)吹出し温度、およびエバポレータ出口温度の状態を示している。
【0007】この図において、エバポレータの出口温度が斜線で示す範囲のように大きく変動しているのは、冷媒圧縮機がオン・オフ繰り返し制御されているためである。また、A/Mダンパの開度は、必要吹出し温度から決定される車室内各吹出し口の目標吹出し温度と実際の各吹出し口の測定温度との差と、その積分項によって制御される。
【0008】この様なクールダウン時においては、A/Mダンパは本来常に開度“0°”でなければならないものであるが、実際は冷媒圧縮機のオン・オフ状態に対応する冷房能力の変動に対応して、設定されたヒステリシスを越えて作動している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上記のような点に鑑みなされたもので、冷媒圧縮機が短かい時間間隔でオン・オフ繰り返し制御されるような状態においては、A/Mダンパが不必要に作動されるようになることを避けるようにすると共に、クールダウンも確実に保障されるようにして、安定した動作制御が実行されるようにする車両用空調装置を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明に係る車両用空調装置は、要求冷房能力に対応してオン・オフ動作制御される冷媒圧縮機を備え、エアミックスダンパによって吹出し空気温度が制御されるようにした空調装置において、必要吹出し空気温度に対応して前記エアミックスダンパの開度を決定するエアミックスダンパ開度決定手段、および前記圧縮機のオン・オフ繰り返し時間を計測し、この繰り返し時間が短い状態で前記エアミックスダンパ開度決定手段の作動ヒステリシスを大きく設定するヒステリシス制御手段を備えるものである。
【0011】
【作用】この様に構成される車両用空調装置において、例えばクールダウン時において短い時間内で冷媒圧縮機がオン・オフを繰り返すような状態となったときに、エアミックスダンパの作動ヒステリシスが大きく設定されるものであり、冷媒圧縮機のオン・オフ動作に対応する吹出し温度の変動に伴うエアミックスダンパの不要な開度変更の動作が抑制される。クールダウン時において、この様なエアミックスダンパの不要な作動を無くすことによって、クールダウンが効果的に保障されるようになる。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の一実施例を説明する。図1はその概略的な構成を示すもので、車室内外の温度等の環境条件を検出する環境条件検出手段11、車室内への空気吹出し口の温度を検出する吹出し温度検出手段12を備え、これらの検出手段11および12からの検出信号が供給されるA/Mダンパ開度決定手段13において、これらの検出信号に基づいて、A/Mダンパの開度(SW)を決定する。
【0013】このA/Mダンパ開度決定手段13からの信号は、A/Mダンパ位置検出手段14からのA/Mタンパの位置信号と共にA/Mダンパ位置制御手段15に供給し、この制御手段15によってA/Mダンパ駆動手段16を制御して、A/Mダンパを駆動する。
【0014】また、冷媒圧縮機のオン・オフ検出手段17を設けると共に、タイマー18を設定し、圧縮機のオン・オフ繰り返し時間を計測させるようにする。そして、ヒステリシス決定手段19において、例えば圧縮機のオン・オフ繰り返し時間が、特定される時間幅よりも短くなったような状態で、ヒステリシスを大きくするように決定する。このヒステリシス決定手段19において決定されたヒステリシスは、A/Mダンパ制御手段15に対して供給され、A/Mダンパの作動ヒステリシスが設定されるようにする。
【0015】すなわち、短い時間範囲内で冷媒圧縮機がオン・オフ繰り返し制御されるような状態が、ヒステリシス決定手段19において検出されたときに、具体的には所定の時間内に圧縮機が所定回数以上オン・オフ繰り返されたときに、A/Mダンパの作動ヒステリシスが大きくされるように変更される。
【0016】短い時間内に圧縮機がオン・オフ繰り返し作動される場合には、A/Mダンパの作動ヒステリシスが大きく設定されるものであるため、圧縮機のオン・オフ動作に対応する吹出し口温度の変動に伴って、A/Mダンパが不要に作動されなくなるものであり、したがってクールダウン時において、不要なA/Mダンパの作動を無くすことによって、効果的にクールダウンを保障するように作動されるようになる。
【0017】図2は実際の車両用空調装置の構成を示すもので、冷媒圧縮機21で圧縮された冷媒は、コンデンサ22で熱交換された後レシーバ23に供給され、さらに膨脹弁24を介してエバポレー25に供給される。そして、エバポレータ25からの出力冷媒は圧縮機21に帰還されて、冷凍サイクルが構成される。
【0018】エバポレータ25は、ブロワ26によって発生された空気流が供給されるダクト27内に設定されるもので、内外気切替えダンパ28によって選択された車室外の空気あるいは車室内空気が、ブロワ26によってダクト27内に供給される。
【0019】ダクト27内のエバポレータ25の下流側には、ダクト27内の空気通路の一部を塞ぐようにしてヒータコア29が設けられる。このヒータコア29には、詳細は図示していないがエンジンの冷却水が循環されるもので、このヒータコア29部を通過した空気を加熱するようになる。
【0020】そして、このヒータコア29部に対応してA/Mダンパ30が設定される。このA/Mダンパ30は、モータ31等によるアクチュエータ機構によって開閉制御されるもので、ヒータコア29部に導入される空気通路を閉じ、またこのヒータコア29部以外の空気通路部を閉じるような動作を行う。すなわち、ヒータコア29に対する導入空気を閉じる状態では、エバポレータ25で冷却された空気のみが下流側に送られ、またヒータコア29以外の通路を閉じる状態では、エバポレータ25を通過した空気が全てヒータコア29を通過し、過熱された状態で下流側に送られる。
【0021】ダクト27の下流には、車室内の上部(FACE)に開口する第1の吹出し口32、および足元(FOOT)に開口する第2の吹出し口33が形成されるもので、これらの吹出し口32および33はモードダンパ34によって適宜選択され、吹出しモードが設定される。
【0022】そして、これらの吹出し口32および33には、それぞれ吹出し口温度センサ35および36が設定され、これらの温度センサ35および36それぞれからの温度検出信号TAV およびTAH は、電子制御ユニット(ECU)37に供給される。このECU37は例えばマイクロコンピュータによって構成されるもので、演算動作を行うCPU371 、プログラムデータ等を記憶するROM372 、入力データや演算データ等を記憶するRAM373 を備える。
【0023】ECU37に対しては、空調温度設定器38で設定された温度Tset 、車室内に設定された内気センサ39で検出された温度データTR、車室外温度を検出する外気センサ40からの温度データTAM 、日射センサ41からの検出データTs 、さらにエアコンスイッチ42からの信号等が入力される。さらに、エバポレータ25の下流側に温度センサ43を設定し、この温度センサ43で検出したエバポレータ出口温度TEをECU37に入力する。
【0024】そして、このECU37から圧縮機21に動作指令を与えるようにすると共に、A/Mダンパ30を駆動するモータ31に動作指令を与える。さらに、内外気切替えダンパ28を駆動するモータ43、モードダンパ34を駆動するモータ44がECU37によって制御されるようにすると共に、ブロワ26のモータ45を駆動するモータ駆動回路46に指令を与えている。
【0025】このECU37においては、内気センサ39からの検出信号TR、外気センサ40からの検出信号TAM 、日射量センサ41からの検出信号Ts 、さらに温度設定器38で設定された温度信号Tset に基づき、次の(1)式に基づき必要吹出し温度TAO を演算する。
【0026】
TAO=Kset ・Tset −Kr ・TR−Kam・TAM−Ks ・Ts +C ……… (1)但し、Kset : 温度設定ゲインKr :内気温度ゲインKam :外気温度ゲインKs :日射量ゲインC :補正定数これに対して、例えばECU37からの指令に基づいてモータ44によって駆動されるモードダンパ34が、上部に設定される第1の吹出し口32を選択している状態で、この吹出し口32に対応する温度センサ35からの信号TAV に対応する実際の吹出し口温度をTAO ′とすると、必要吹出し温度TAO と実吹出し温度TAO ′との偏差En を求め、(2) で示すPID制御式によって、A/Mダンパ30の開度SWnを求める。そして、この求められた開度SWn に基づいてモータ31を制御し、A/Mダンパ30を駆動する。
【0027】同様に、モードダンパ34によって第2の吹出し口33が選択されている場合は、この吹出し口33に設定された温度センサ36からの信号TAH に対応する実吹出し温度をTAO ′とし、同様に(2) 式によってA/Mダンパ30の開度SWn が求められる。
【0028】
SWn =SWn-1 +Kp {(En −En-1 )+(θ/Ti )En +(Td /θ)En −2En-1 +En-2 )……… (2) ここで、上部吹出しモード時 TAO′=TAV 下部吹出しモード時 TAO′=TAH 上下吹出しモード時 TAO′=(TAV+TAH)/2 但し、Kp はゲイン、Ti は積分時間、Td は微分時間、θはサンプリング時間である。
【0029】また、エバポレータ25、冷媒圧縮機21、コンデンサ22、膨脹弁24等は、ECU37によって構成される冷凍サイクルは、ECU37によって圧縮機21をオン・オフ制御することによって制御される。
【0030】この様な冷凍サイクルの制御は、エアコンスイッチ42がオンされると圧縮機21がオン制御されるようにするもので、スイッチ42がオフされると圧縮機21もオフ制御されるようになる。
【0031】また、エアコンスイッチ42がオンされている状態において、エバポレータ25の下流側のエバポレータ出口温度TEを温度センサ43で検出しているもので、この温度TEが設定された第1の温度TE1 より低い時は、エバポレータ25のフロストを防止するために冷媒圧縮機21をオフする。また、エバポレータ25の出口温度TEが設定された第2の温度TE2 (TE1 <TE2 )よりも高くなれば、再び圧縮機21がオン制御されるようにする。
【0032】すなわち、図3で示したようなクールダウン時において、エバポレータ25の出口温度TEが設定温度TE1 以下になると圧縮機21がオフされ、エバポレータ出口温度TEが設定温度TE2 以上となると圧縮機21がオンサされるようになり、この様なオン・オフ制御が短時間に繰り返されるようになることがある。この様な圧縮機21のオン・オフの繰り返しによって、エバポレータ25の出口温度TE(FACE吹出し温度)が大きく変動する。
【0033】この様にエバポレータ25の出口温度TEが変化すると、A/Mダンパ30を駆動制御する制御式である(2) 式で示したPID制御式の積分項(I項)が大きく変化するようになり、A/Mダンパ30が不要に作動されるようになる。
【0034】したがって、この実施例においては、この様な短い時間内に圧縮機21がオン・オフ動作を繰り返すような状態のときに、A/Mダンパ30の作動のヒステリシスSWH を大きく設定するようにしているもので、不要なA/Mダンパ30の作動を回避するようにしている。
【0035】図4はこの様なA/Mダンパ30の制御を実行するためのECU37における動作の流れを示すもので、空調制御の開始に伴ってまずステップ100 で以降の処理の実行に使用するカウンタやフラグを初期設定する初期化処理を行う。そして、ステップ101 で温度設定器38で設定された温とTset を読み込むと共に、ステップ102 で内気センサ39、外気センサ40、日射センサ41等において検出された車両環境状態を読み込む。
【0036】ステップ103 では、ステップ101 および102 において読み込まれた各種センサからの検出値を用いて、(1) 式に基づいて必要吹出し温度TAO を算出する。そして、ステップ104 ではこの様にして算出された必要吹出し温度TAO に基づいて、ブロワモータ45に印加するブロワ電圧を決定し、モータ駆動回路46に対して出力する。さらにステップ105 では、ステップ103 で求められた必要吹出し温度TAOに基づいて吹出し口モードを決定し、モータ44によってモードダンパ34を駆動制御する。
【0037】ステップ106 では必要吹出し温度TAO および温度センサ35あるいは36によって検出された実際の吹出し温度を基にしてA/Mダンパ30の開度SWn を決定し、モータ31に指令を与えてA/Mダンパ30を制御する。このステップ106 における処理については、さらに後述する。
【0038】ステップ107 では、必要吹出し温度TAO に基づいて内外気導入モードを決定するもので、モータ43に指令を与えて内外気切替えダンパ28を駆動して、内気あるいは外気が導入されるようにする。そしてステップ108 では、これまでの各ステップで決定された各モータの制御信号、あるいは圧縮機21に対する制御信号を出力する。ステップ109 では所定の制御周期τの経過を待ち、再びステップ101 に戻る制御を行う。
【0039】この様なECU37の動作において、ステップ106 で実行されるA/Mダンパ30の開度SWn を算出決定する処理について、さらに図5を用いて説明する。まずステップ201 においては、現在の吹出しモードが第1の吹出し口32を選択しているFACEモードか、第2の吹出し口33を選択しているFOOTモードか、あるいはこの両方の吹出し口32および33の両方から吹出すB/L モードであるかを判定する。
【0040】このステップ201 で吹出しモードがFACEモードであると判定されたときには、ステップ202 に進んで実吹出し温度TAO ′を、温度センサ35で検出された温度情報TAV とする。また、ステップ201 でFOOTモードであると判定されたときは、ステップ203 で実吹出し温度TA′を温度センサ36からの検出値信号TAH にセットするもので、ステップ201 でB/L モードと判定されたときは、ステップ204 で実吹出し温度TAO ′を“(TAV +TAH)/2”にセットする。
【0041】この様に吹出しモードが設定されたならば、ステップ205 でセットされた実吹出し温度TAO ′と、図4で示したステップ103 で設定された必要吹出し温度TAOに基づいて、前記(2) 式を用いてA/Mダンパ30の開度SWn を算出する。
【0042】次に、ステップ206 において冷媒圧縮機21がオン設定されているか否かを判定する。圧縮機21がオンされていることが確認されたならば、ステップ207 に進んで圧縮機21の状態を示すフラグCFnew を“0”に設定する。ステップ206 で圧縮機21がオフ状態であることが確認されたならば、ステップ208 に進んでフラグCFnew を“1”に設定する。
【0043】この様にして圧縮機フラグが設定されたならば、次のステップ209 に進んでステップ207 あるいは208 で設定されたフラグCFnew と、1回前の制御サイクルにおける圧縮機フラグCFold とを比較する。そして、このステップ209 でフラグCFnew とCFold が一致していると判定されたとき、すなわち圧縮機21がオン・オフ切替え動作されていないと判定されたときは、ステップ210 に進んでタイマーカウンタ(Timer )に“1”を加算する。またこの制御サイクルの間にオン・オフ切り替えられたと判定されたときは、ステップ211 に進んでタィマーカウンの値が設定された値TL より大きいか否かを判定する。
【0044】すなわち、圧縮機21がオンあるいはオフの状態が継続している場合は、その経過時間を計測するタイマーカウンタの値が増加され、圧縮機21の作動状態が切り替わった時には、それまでのタイマーカウンタの経過計測時間を設定値TL と比較する。ここで、このタイマーカウンタはECU37に設定された発振器371 の発振信号を計数する手段によって構成されるもので、ECU37に割り込みをかけることによって計数処理される。
【0045】ステップ210 でタイマーカウンタが計数された後は、図6で示すステップ221に進むものであり、またステップ211 でタイマーカウンタ計数値が設定値TL より小さいと判定されたときは同じくステップ222 に進むものであり、さらにステップ211 でタイマーカウンタの計数値が設定値TL より大きいと判定されたときはステップ223 に進む。
【0046】圧縮機21のオン・オフ切替え間隔が充分であればステップ223 に進んでA/Mダンパ30の作動ヒステリシスSHW を所定の値SWS に設定する。また圧縮機21のオン・オフ切替え周期がTL より小さい状態でステップ222 に進むもので、このステップ222 ではA/Mダンパ30の作動ヒステリシスSWH をSWB に設定する。この場合、“SWB >SWS ”に設定されるもので、圧縮機21のオン・オフ切替え作動周期が短い状態で、A/Mダンパ30の作動ヒステリシスが通常の値SWS よりも大きな値SWB に設定されるようになる。
【0047】ステップ222 あるいは223 によってA/Mダンパ30の作動ヒステリシスが設定されたならば、ステップ224 でタイマーカウンタの値を“0”に設定し、ステップ221 に進む。
【0048】ステップ221 ではタイマーカウンタの値を設定値TL と比較するもので、タイマーカウンタの値が所定の時間TL を経過していればステップ225 でA/Mダンパ30の作動ヒステリシスSWH を小さい方の値SWS に変更する。これは、ヒステリシスSWH が大きい値であるSWB のままで制御が続けられることを防止するために設けられたステップである。
【0049】ステップ221 でタイマーカウンタの値がTL より小さいと判定された後、あるいはステップ225 でヒステリシスがSWS に設定された後は、ステップ226 に進んで今回の圧縮機21の作動フラグCFnew を1回前の作動フラグCFold として、ECU37のRAM373 に記憶し、次回の制御サイクルに備える。
【0050】ステップ226 ではA/Mダンパ30の開度SWn とSWH とを比較するもので、ダンパ開度SWn がSWH より大きければステップ227 でA/Mダンパ30を駆動し、そうでなければそのまま前記ステップ107 に進む。
【0051】
【発明の効果】以上のようにこの発明に係る車両用空調装置によれば、冷凍サイクルの冷媒圧縮機が、所定の短い周期内でオン・オフ繰り返し制御されるような状態のときは、A/Mダンパの作動ヒステリシスが通常時より大きく設定されるものであり、例えばクールダウン時において不要なA/Mダンパの作動を避けるようにすることができる。したがって、冷房動作制御が安定して実行されるものであり、特にクールダウンが効果的に保障されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る車両用空調装置を説明する構成図。
【図2】上記実施例装置の全体的な構成を示す図。
【図3】冷媒圧縮機の作動ヒステリシスを説明する図。
【図4】上記実施例装置の動作の流れを説明するフローチャート。
【図5】上記フローチャートのA/Mダンパの開度算出処理を説明するフローチャート。
【図6】図5の処理に続く処理の流れを説明するフローチャート。
【図7】空調装置における必要吹き出し温度とA/Mダンパの開度との関係を説明する図。
【図8】同じく空調装置におけるクールダウン時のFACE吹き出し温度の変化状況と、エバポレータ出口温度の変化状態を対応して示す図。
【符号の説明】
11…環境条件検出手段、12…吹き出し温度検出手段、13…A/Mダンパ開度決定手段、14…A/Mダンパ位置検出手段、15…A/Mダンパ位置制御手段、16…A/Mダンパ駆動手段、17…圧縮機オン・オフ検出手段、18…ヒステリシス決定手段、21…冷媒圧縮機、25…エバポレータ、26…ブロワ、29…ヒータコア、30…A/Mダンパ、32、33…吹き出し口、35、36、43…温度センサ、37…電子制御ユニット、38…温度設定機、39…内気センサ、40…外気センサ、41…日射センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 要求冷房能力に対応してオン・オフ動作制御され、冷媒を圧縮する圧縮機と、この圧縮機で圧縮された冷媒が循環されるエバポレータと、このエバポレータを通過した冷却空気通路に設定されたヒータコアと、前記エバポレータを通過した冷却空気とヒータコアを通過する加熱空気との混合割合を、その開度に対応して制御するエアミックスダンパと、必要吹出し空気温度に対応して前記エアミックスダンパの開度を決定するエアミックスダンパ開度決定手段と、前記圧縮機のオン・オフ繰り返し時間を計測し、この繰り返し時間が短い状態で前記エアミックスダンパ開度決定手段の作動のヒステリシスを大きく設定するヒステリシス制御手段と、を具備したことを特徴とする車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【特許番号】特許第3306891号(P3306891)
【登録日】平成14年5月17日(2002.5.17)
【発行日】平成14年7月24日(2002.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−20130
【出願日】平成4年2月5日(1992.2.5)
【公開番号】特開平5−213042
【公開日】平成5年8月24日(1993.8.24)
【審査請求日】平成10年5月22日(1998.5.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【参考文献】
【文献】特開 平2−234830(JP,A)
【文献】特開 平1−204814(JP,A)
【文献】特開 昭61−211110(JP,A)