車両用緊急車両接近検出システム
【課題】 通信に頼ることなく緊急車両の接近認知を問題なく実施でき、その接近に係る認知支援や運転誘導を的確に実施できる車両用緊急車両接近検出システムを提供する。
【解決手段】 車両上の異なる位置にマイクロフォン15を設置し、各マイクロフォン15で抽出されるサイレン音の音量や位相の差に基づいて、緊急車両の接近方向を特定することにより、接近方向に応じた緊急車両の認知支援ないし運転支援を的確に行なうことができる。さらに、空中を伝播するサイレン音をマイクロフォンで直接捉えて接近方向検知するので、通信インフラ整備が不要であり、通信途絶等の影響を受けない車両用緊急車両接近検出システムを安価に構築できる。
【解決手段】 車両上の異なる位置にマイクロフォン15を設置し、各マイクロフォン15で抽出されるサイレン音の音量や位相の差に基づいて、緊急車両の接近方向を特定することにより、接近方向に応じた緊急車両の認知支援ないし運転支援を的確に行なうことができる。さらに、空中を伝播するサイレン音をマイクロフォンで直接捉えて接近方向検知するので、通信インフラ整備が不要であり、通信途絶等の影響を受けない車両用緊急車両接近検出システムを安価に構築できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用緊急車両接近検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】実開平6 − 44640号公報
【特許文献2】特開平6 −328980号公報
【特許文献3】特開2000−172988号公報
【特許文献4】特開2002−117484号公報
【特許文献5】特開2005−100097号公報
【特許文献6】特開2008− 52341号公報
【特許文献7】特開平11 − 48886号公報
【特許文献8】特開2004−355272号公報
【特許文献9】特開2004−168085号公報
【特許文献10】特開2004− 42777号公報
【特許文献11】特開2002− 59796号公報
【特許文献12】特開2005− 9883号公報
【0003】
消防車、救急車、パトカーなどの緊急車両は、道路交通法上その緊急走行時には優先走行権があり、一般車はこれを支援するため、緊急車両接近時には自車を路肩に寄せて徐行または停止して緊急車両に走行路を譲る義務がある。自動車の運転手は緊急車両の接近を、緊急車両の発するサイレン音や赤色灯の点燈により認知するが、この認知を支援するために種々の方式が提案されている(特許文献1〜8)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記先行技術においては、緊急車両の位置情報を車外情報源から無線取得し、緊急車両位置情報と自車の現在位置情報とに基づいて緊急車両の接近方向を特定する方式を採用していた。具体的には、VICS等による緊急車両のGPS位置情報(特許文献3,5)、車車間通信(特許文献4,8)、交差点に設置された静止監視カメラからの緊急車両撮影情報(特許文献6)などを緊急車両の位置情報として無線取得し、これに基づいて自車に対する緊急車両の接近把握を行なうものである。無線通信が正常に実行でき、取得情報のリアルタイム性が担保されてさえいれば、緊急車両の接近方向に係る情報を比較的高精度に特定でき、緊急車両の接近認知支援や運転誘導を適切に実行できる。
【0005】
しかしながら、上記方式の場合、緊急車両のGPS位置情報の無線配信が遅れたり、あるいは通信途絶が発生したり、無線配信の対象地域外を走行中の場合は、緊急車両の接近検知が実行できず、適切な接近認知支援や運転誘導が不能となる場合がある。また、緊急車両へのGPS搭載や、交差点等への緊急車両検出装置の配設、無線通信網の整備など、インフラ構築に多大なコストを要する問題もある。
【0006】
本発明の課題は、通信に頼ることなく緊急車両の接近認知を問題なく実施でき、その接近に係る認知支援や運転誘導を的確に実施できる車両用緊急車両接近検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の車両用緊急車両接近検出システムは、車両上の異なる位置に設けられ、緊急車両が発するサイレン音を各々検出する複数のマイクロフォンと、それら複数のマイクロフォンによるサイレン音の検出状態に基づいて、緊急車両の接近方向を特定する緊急車両接近方向特定手段と、特定された緊急車両の接近方向に応じた認知支援及び運転誘導の少なくともいずれかにかかる対応出力を行なう対応出力手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
緊急車両が発するサイレン音は出力音の種類や周波数帯が比較的限られており、マイクロフォンによる検出波形を周波数解析する周知の手法により、比較的簡単かつ正確に検出・特定することができる(特許文献1,7)。しかしながら、単一のマイクロフォンでは、検出されるサイレン音成分の音量により接近レベルは特定できても、接近方向の情報までは得ることができない。そこで、車両上の異なる位置にマイクロフォンを設置すれば、各マイクロフォンで抽出されるサイレン音の音量や位相の差に基づいて、緊急車両の接近方向を特定することが可能となり、ひいてはその接近方向に応じて認知支援ないし運転支援を的確に行なうことができる。さらに、空中を伝播するサイレン音をマイクロフォンで直接捉えて接近方向検知するので、通信インフラ整備が不要であり、通信途絶等の影響を受けない車両用緊急車両接近検出システムを安価に構築できる。
【0009】
なお、車両上に設けられたカメラの撮影画像に基づいて緊急車両の接近方向を特定する方式では、緊急車両を正確に特定するためには、かなり複雑な画像解析を行なう必要があるし、例えばパトライトの点灯検出は緊急車両を特定する上で有効であるが、緊急車両以外のパトライトを誤認しやすい問題もある。従って、緊急車両の特定精度に関しては、上記複数のマイクロフォンによりサイレン音検出する方式を採用するほうがより有利であるといえる。なお、複数のマイクロフォンによりサイレン音検出する方式に、カメラの撮影画像に基づいて緊急車両の接近方向を特定する方式を補助的に組み合わせることで、緊急車両の接近方向の特定精度をさらに向上させることが可能である。また、 緊急車両の接近方向、距離、接近速度等に関する検出精度をさらに高めるために、従来のごとく、緊急車両の位置情報を車外情報源から無線取得する方式、例えば、VICS等による緊急車両のGPS位置情報(特許文献3,5)、車車間通信(特許文献4,8)、交差点に設置された静止監視カメラからの緊急車両撮影情報(特許文献6)などを緊急車両の位置情報として無線取得し、これに基づいて自車に対する緊急車両の接近把握を行なう方式を、上記複数のマイクロフォンによりサイレン音検出する方式に組み合わせることも可能である。
【0010】
上記本発明の車両用緊急車両接近検出システムは、車両の運転者の視線方向を特定する視線方向特定手段と、運転者の視線方向と緊急車両の接近方向との一致度を特定する一致度特定手段とを備え、対応出力手段は、一致度が予め定められた許容範囲を逸脱することを条件として、緊急車両の接近に対する認知支援出力を行なうように構成できる。この構成によると、運転者の視線方向が緊急車両の接近方向と一致していなければ、該緊急車両を認知できていない蓋然性が高く、この場合に支援出力を行なうことで緊急車両の接近を的確に認知させることができ、緊急車両の通行円滑化に寄与することができる。
【0011】
対応出力手段は、具体的には、音声、光、画像、振動ないしそれらの2以上の組合せにより、緊急車両の接近を報知する出力を行なうものとして構成できる。例えば、音声出力の場合は音量を上げたり周波数レベルを上げた甲高い音声出力とし、光や画像の場合は輝度を上げたり点滅動作を加えるなど、さらには振動の場合は振動振幅を増加させるなど、聴覚的、視覚的ないし触覚的な刺激効果を高めた出力とすることが有効である。
【0012】
次に、本発明の車両用緊急車両接近検出システムは、自車の走行路形状を推定する走行路形状推定手段と、推定された走行路形状と緊急車両の接近方向とに応じて運転誘導内容を決定する運転誘導内容決定手段とを有し、対応出力手段は、決定された運転誘導内容を出力するように構成できる。緊急車両に走行路を譲るためには、走行中の道路のどこで緊急車両と遭遇するか、具体的には緊急車両と遭遇したときの走行路形状がどのようなものであるかに応じて、走行路を譲るための適正な運転内容も変化する。しかし、熟練者を除けば、緊急車両と遭遇したときに咄嗟の運転対応をとれないこともありえる。そこで、推定された走行路形状と緊急車両の接近方向とに応じて(適切な)運転誘導内容を決定し、これを出力することで、熟練したドライバーでなくとも、緊急車両の通行を優先させるための、走行路形状に応じた最適の運転対応に適切に導くことができる。
【0013】
走行路形状推定手段がカーナビゲーションシステムから取得する走行路形状情報は、具体的には、カーナビゲーションシステムが地図上に特定する現在走行路に係る、車両現在位置よりも前方に位置する走行予定路の線形情報とすることができる。運転誘導内容決定手段は、走行予定路が道なり形状であるか交差点形状であるかを区別した形で運転誘導内容を決定するように構成できる。道なり形状の場合は道路横方向(左右いずれか)から緊急車両が接近してくることはありえず、車々間通信やサイレン音による接近方向特定の誤差や、情報の配信遅れ等により横方向からの緊急車両接近を誤って検出してしまった場合にも、その可能性を排除することができる。他方、交差点形状であれば、該交差点にちょうど差し係るタイミングで、見通しの悪い左右(横)いずれかの方向から緊急車両が急接近してくることは逆に多々発生する可能性があり、接近方向特定手段により横方向からの緊急車両接近が特定された場合に、接近認知支援出力や運転誘導の処理強化を意識的に図ることが可能となる。
【0014】
対応出力手段は、上記の運転誘導内容を音声、画像又はそれらの組合せにより出力するように構成することができる。特に、前方を注視している運転者に対しては、音声による運転誘導が有効であり、ヘッドアップディスプレイ等を利用した運転注視方向への画像出力(例えば「徐行」や「一旦停止」等の文字出力)を行なうことも、これに準じて有効である(もちろん、両者を組み合わせてもよい)。
【0015】
以下、本発明にて採用可能な、具体的な運転誘導形態について説明する。
(1)緊急車両の接近方向が自車後方であった場合は、運転誘導内容決定手段は、道なり路及び交差点形状のいずれにおいても(つまり、走行予定路の形状によらず)、道路端寄せ(路片寄せ)又はレーン変更を運転誘導内容として決定する。これにより、後続の緊急車両に進路を譲ることができる。
【0016】
(2)走行予定路が道なり形状であって、緊急車両の接近方向が自車前方であった場合に、運転誘導内容決定手段は徐行運転を運転誘導内容として決定する。追い越し等のために、緊急車両が自車レーン側にはみ出して走行してきた場合等においても、徐行誘導することで的確に対応することができる。
【0017】
(3)走行予定路が交差点形状であって、緊急車両の接近方向が自車横方向であった場合に、運転誘導内容決定手段は、交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定する。交差点内には信号が赤であっても緊急車両が進入してくるため、当該交差点に向けて自車が進行中のとき、横方向から接近する緊急車両が検知された場合は、交差点内への進入を制限する誘導を行なうことで、緊急車両は交差点内へ円滑に進入することができる。
【0018】
(4)走行予定路が交差点形状であって、緊急車両の接近方向が自車前方であった場合に、運転誘導内容決定手段は、緊急車両が右折するか否かを推定するとともに、右折すると推定された場合に交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定する。交差点を右折しようとする緊急車両は、交差点に入ってくる直進一般対向車に優先して右折することができる。従って、前方から接近する緊急車両が検出され、かつ、(例えば自車に搭載された前方撮影カメラにより対向車両のウインカー点灯を検出する等の公知の技術により)、該緊急車両の右折が検出された場合は、交差点内への進入を制限する誘導を行なうことで、緊急車両は交差点内を円滑に右折することができる。他方、緊急車両が右折しないと推定された場合には、運転誘導内容決定手段は、緊急車両の急な右折や右折待ちの一般車追い越し等に備えて、交差点内の徐行運転を運転誘導内容として決定するように構成しておくとよい。
【0019】
なお、(3)、(4)いずれの場合も、交差点内への進入を制限する運転誘導内容は、交差点手前での一旦停止とすることが望ましい(ただし、一旦停止が困難な状況下では、交差点に進入してからの一旦停止誘導や、徐行誘導を行なうことももちろん可能である)。
【0020】
また、運転誘導内容決定手段が交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定した場合に、自車の走行を抑制する走行抑制手段を設けておくと、緊急車両を優先させる状況下で交差点内に高速で進入してしまう不具合をより確実に予防することができる。特に、自動車に前述の電子エンジン制御装置が搭載されている場合、走行抑制手段は、アクセルペダルの踏下量に応じたエンジン出力を通常時よりも制限するエンジン出力制限手段を有するものとして構成できる。これにより、アクセルペダルを大きく踏み込んでもエンジン出力は通常時よりも小さくなり、加速が鈍るので上記不具合を効果的に抑制できる。
【0021】
電子スロットル制御装置を搭載した自動車の場合、上記のエンジン出力制限手段は、アクセルペダルの踏下に応じたスロットルバルブの開度増加を通常時よりも制限するスロットルバルブ制限手段を有するものとして構成できる。また、電子燃焼噴射制御装置が搭載されている場合は、燃焼噴射を中断ないし抑制する燃焼噴射制限手段を有するものとして構成できる。
【0022】
運転誘導内容決定手段が交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定した場合に、自動車の制動を支援する制動支援手段が設けておくこともできる。エンジン出力を制限しても、既に車速が一定以上に上がってしまった場合は、如何に制動を早く行なうかが緊急車両との干渉回避を行なう上での鍵となる。従って、上記のような制動支援手段を設けることで、緊急車両との干渉を効果的に防止又は抑制できる。制動支援手段は、例えば制動支援時において、ブレーキペダルの踏下反力を通常時よりも増加させる踏下反力制御手段と、ブレーキペダルの踏下量に対するブレーキ圧の増加率を通常時よりも増加させるブレーキ圧制御手段とを有するものとして構成することができる。制動支援時において、ブレーキペダルの踏下量に対するブレーキ圧の増加率を通常時よりも増加させつつ、ブレーキペダルの踏下反力を通常時よりも増加させると、ブレーキ踏下力がほぼ同等であれば、制動支援を特に行なわない場合と比較して、少ない踏下量でほぼ同等の制動効果が得られる。ところが、運転者は、ブレーキペダルの踏下反力が普段よりも大きい分、急ブレーキのために踏み込み量が不足していると感じてさらにブレーキペダルを踏み込もうとする。その結果、制動効果が増強され、緊急車両との干渉回避ないし抑制をより確実に行なうことができる。もちろん、アクセルペダルの踏下量に応じたエンジン出力を通常時よりも制限する処理と併用すれば、さらに効果的であることはいうまでもない。
【0023】
上記のような認知支援出力や運転誘導により、運転者に緊急車両を優先させるための自発的な運転操作(以下、緊急車両優先運転操作ともいう)を促すことができる。なお、緊急車両優先運転操作を失念している状態で運転者が認知支援出力を受けると、アクセルペダルから足を離す→ブレーキペダルを踏み込む、という一連の動作流れにて緊急車両接近回避操作を行なおうとする。このとき、
A:ブレーキペダルを踏み込む。
B:ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込む。
の2つの可能性がある。後者に対応するためには、アクセルペダルの踏下量に応じたエンジン出力を通常時よりも制限する処理を併用することが効果的であり、前者においても、ブレーキペダルの踏下反力を通常時よりも増加させ、かつ、ブレーキペダルの踏下量に対するブレーキ圧の増加率を通常時よりも増加させる処理を併用すると効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態を示す車両用緊急車両接近検出システムの電気的構成の一例を示すブロック図である。該車両用緊急車両接近検出システム1の制御主体をなすのはECU2である。ECU2は、CPU3、RAM4、ROM5及び入出力インターフェース6とを内部バスにて接続したマイクロプロセッサを主体に構成されている。
【0025】
入出力インターフェース6には、発進設定方向特定手段ひいてはシフトポジション検出手段をなすシフトポジションセンサ7、アクセルペダル51の踏下量(踏下角度)を検出するアクセルセンサ8、ブレーキペダル61の踏下量(踏下角度)を検出するブレーキセンサ9、運転席に着座する運転者の顔を撮影する顔カメラ10及び該顔の両眼付近を拡大撮影し瞳孔位置により視線方向を特定するための視線カメラ11が接続されている(ただし、視線カメラ11は省略してもよい)。アクセルセンサ8は、アクセルペダルの踏下角度を検出する角度センサとして構成されている。また、ブレーキセンサ9もブレーキペダルの踏下角度を検出する角度センサとして構成されている(なお、ブレーキ踏下の有無のみを検出すればよい場合には、テールランプ駆動等に使用するブレーキスイッチを流用してもよい)。
【0026】
また、入出力インターフェース6には、外部ステレオカメラ14、外部ステレオマイク15及びカーナビゲーションシステム16が接続されている。外部ステレオカメラ11(11L,11R)及び外部ステレオマイク15(15L,15R)の組は、図3に示す自動車のフロントバンパFBPと、図4に示すリアバンパRBPに、それぞれ左右1対にて都合4個ずつ取り付けられている。
【0027】
さらに、入出力インターフェース6には、電子スロットル制御装置21(ドライバー21d)と燃料噴射制御装置25(ドライバー21d)とが接続されている。電子スロットル制御装置21は、アクセルセンサ8によるアクセルペダル踏下量(アクセル位置)を参照したECU2からの開度指示値により、スロットルバルブ23が指示開度となるように、その駆動モータ22を作動させる。燃料噴射制御装置25は、ECU2からの指示により、燃料噴射装置のソレノイド噴射バルブ26の開度を調整する。
【0028】
さらに、入出力インターフェース6には、緊急車両(消防車、救急車、パトカーなど)の接近に対する認知支援出力を行なう認知支援出力手段(対応出力手段)として次のような種々のデバイスが対応するドライバーを介して接続されている。
・アクセルペダル振動部53(ドライバー51d):アクセルペダル51に乗っている運転者の足に向け振動を出力する。アクセルペダルに通常では有り得ないような振動を与え、咄嗟にペダルから足を離させる効果を有する。偏心式加振装置などの周知の振動発生器で構成される。このアクセルペダル振動部53の振動はアクセルペダル51に伝達されるが、電子スロットル制御装置21に受け渡されるアクセルセンサ8の角度出力に対しては不感となるように、その周波数ならびに振幅が設定される(アクセルセンサ8の角度出力に振動変位が重畳される場合は、フィルタリング等によりこれを除去してもよい)。
【0029】
・ブレーキ反力モータ62(ドライバー62d):ブレーキペダル61の旋回軸に取り付けられ、ブレーキペダル61に対し踏下方向と逆向きの反力を発生させる。
・シートバイブレータ71(ドライバー71d):運転席シート72に埋設され、緊急車両接近認知を促すための振動出力を行なう。偏心式加振装置や圧電式加振装置などの周知の振動発生器で構成される。
【0030】
・メータ81M及びモニタ110(ドライバー81d)、ミラー内表示装置82(ドライバー82d)、ヘッドアップディスプレイ83(ドライバー83d):緊急車両の認知を促すための表示を行なうことで、注意を喚起する。なお、モニタ110はカーナビゲーションシステム16の表示出力部に兼用される。
【0031】
インナーミラーとアウターミラーは、例えばハーフミラーとし、ミラー裏面よりLED等により表示を行なう。または、透明ELディスプレイをミラー表面に重畳させ、表示を行なってもよい。フロントウィンドウでは、ヘッドアップディスプレイ(透明ELディスプレイでもよい)により緊急車両の認知支援表示を行なう。また、メータ81Mの場合、緊急車両の接近をアイコン表示したり、文字盤や画面全体を赤系統の警告色で点滅させたりすることで、緊急車両接近に対する注意喚起を行なう。メータ81MのバックライトがフルカラーLEDで構成されている場合は、その出力で警告色点灯出力を行なうこともできる。
【0032】
・スピーカー91(ドライバー91d):緊急車両接近認知を促すための音声出力を行なう。
・匂い発生器93(ドライバー93d):危険を感じ、動作を止める香りを発生する。一瞬に、集中できる匂いを発生する。この場合、空気の流れに乗って香りは伝達されることから、空気砲または気流コントロールとセットで考慮するとよい。
【0033】
ROM5には、車両用緊急車両接近検出システム1の主制御プログラム5mと、該主制御プログラム5mが使用する種々のエンジンが格納されている。
・緊急車両特定エンジン5d:外部ステレオマイク15及び外部ステレオカメラ11の検出信号に基づいて、自車に接近する緊急車両と、その接近方向を特定する(緊急車両接近方向検出手段)。
【0034】
・視線特定エンジン5c:視線カメラ11が撮影する運転者の両眼の画像から、周知のアルゴリズムにより視線方向、具体的には車両周囲のどのエリアに視線が向いているかを特定する(視線方向検出手段)。視線カメラ11を省略する場合は、該エンジンは不要である。
・運転誘導制御エンジン5g:カーナビゲーションシステム16から地図上の走行路形状と車両現在位置とを取得して、現在位置前方の走行予定路の線形を特定するとともに、特定された走行予定路が道なり形状であるか交差点形状であるかを区別し、さらに、緊急車両特定エンジン5dが特定する緊急車両の接近方向に応じて個別に運転誘導内容を決定する(運転誘導内容決定手段)。そして、該誘導内容を、スピーカー91から音声出力させる制御と、モニタ110、ミラー内表示装置82、あるいはヘッドアップディスプレイ83等の表示部に表示出力させる制御指令を行なう。
【0035】
・認知ミス判定エンジン5e:緊急車両特定エンジン5dが緊急車両の接近(及びその方向)を検知したとき、運転者の視線方向を考慮して、緊急車両接近に対する認知ミスが発生しているかどうかを判定する。視線カメラ11を省略する場合は、該エンジンは不要である。
・認知支援出力制御エンジン5e:前述の種々の認知支援出力手段に対し認知支援出力指令を行なう。
【0036】
図2は、カーナビゲーションシステム16の構成例を示すブロック図である。該カーナビゲーションシステム16は、位置検出器101、地図データ入力器106、操作スイッチ群107、リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ111、音声案内等のための音声合成回路124、音声出力用のスピーカー115、不揮発メモリであるフラッシュメモリ109、LCD等からなるモニタ110、これらの接続された主制御部をなす情報系ECU51及び主記憶装置をなすHDD(ハードディスク装置)121等を備えるものである。
【0037】
位置検出器101は、周知の地磁気センサ102、ジャイロスコープ103、距離センサ104、および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPSのためのGPS受信機105を有している。これらのセンサ等102,103,104,105は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0038】
操作スイッチ群107は、メカニカルなスイッチ等を使用できるが、本実施形態では、モニタ110と一体になったタッチパネル122を併用しており、モニタ110上に表示されるボタン画像に対応するタッチパネル領域を指で触れることにより、操作状態を認識できるようにしている(いわゆるソフトボタン)。これら操作スイッチ群107によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0039】
操作スイッチ群107の他に、音声認識ユニット130を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、音声認識ユニット130に接続される前述のマイク131(図2参照)から音声を入力することによって、その音声信号を周知の音声認識技術により音声認識処理して、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。
【0040】
情報系ECU51は、CPU181、ROM182、RAM183、前述のフラッシュメモリ109、入出力インターフェース184がバス515により接続されたマイコンハードウェアを主体とするものである。入出力インターフェース184には、位置検出器101、地図データ入力器106、操作スイッチ群107、車車間通信部108及びVICS受信部109が接続されている。
【0041】
HDD121はインターフェース129fを介してバス接続されている。また、地図やナビ操作画面を表示する描画情報に基づいて、モニタ110に画像出力する機能を担う描画LSI187と、描画処理用のグラフィックメモリ187Mとが同様にバス接続され、前述のモニタ110がこれに接続されている。CPU181は、フラッシュメモリ109に記憶されたナビソフトウェア109a(被提供情報収集手段)およびデータにより、目的地検索や経路案内に係る制御を行なう。また、HDD121へのデータの読み書きの制御はCPU181によって行なわれる。
【0042】
HDD121には、道路データを含む地図データ21mと、目的地データや目的地の案内情報からなるナビデータ21pとが記憶されている。また、出力履歴データ21dとコンテンツデータ21uも記憶されている。これらのデータは、操作スイッチ群107の操作あるいは音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、外部情報入出力装置(地図データ入力器)106を用いて記憶媒体120からデータを読み込んでHDD121の内容を更新することも可能である。なお、本実施形態では、通信インターフェース126を介して、情報系ECU51が車内ネットワークをなすシリアル通信バス127に接続され、ボデー系ECUやエンジン制御ECU(図示せず)などの、車内の他の制御装置との間でデータの遣り取りを行なうようになっている。また、シリアル通信バス127にはインターネット1170に接続するための無線送受信部を有した通信ECU190(無線アクセス手段)が接続されており、更新用の地図データや、その他の情報を受信できるようになっている。
【0043】
車車間通信部108は、自車の周囲に存在する他車両と直接通信を行ない、周囲車両情報(車両位置、走行方向、車種(具体的には、緊急車両であるか否か)、車両サイズ、速度、ブレーキ、アクセルなど)の送受信を行なうように構成されている。また、VICS受信部109は、図示しないVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタから道路交通情報やFM多重放送を受信するための装置であり、本発明では、緊急車両の位置情報(あるいは走行方向)を取得することを目的とする。
【0044】
モニタ110(被提供情報出力手段)はカラー液晶表示器により構成されており、その画面には位置検出器101から入力された車両の現在位置マークと、HDD121から入力された地図データ21mと、さらに地図上に表示する誘導経路等付加データとを重ね合わせて表示する。また、前述のごとくタッチパネル122が重ね合わされており、必要に応じて、目的地設定、表示設定、種々の機能呼び出し、画面切替操作等のための機能ボタンも表示する。
【0045】
カーナビゲーションシステム16は、情報系ECU51のCPU181によりナビプログラム21pが起動される。運転者は、操作スイッチ群107の操作あるいはマイク131からの音声入力によって、目的地データベース21dから所望の目的地を選択する。例えば、モニタ110上に表示されるメニューから目的地経路をモニタ110に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。即ち、運転者がモニタ110上の地図あるいは目的地選択画面に基づいて目的地を入力すると、GPS受信機105から得られる衛星のデータに基づき車両の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な経路を求める処理が行われる。そして、モニタ110上の道路地図に誘導経路を重ねて表示し、運転者に適切な経路を案内する。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、モニタ110およびスピーカー115の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。なお、経路案内を行なわない場合は、地図上の走行路を特定し、周知のマップマッチング処理により該走行路上に自車の現在位置を表示・更新する処理を行なう。
【0046】
以下、車両用緊急車両接近検出システム1の制御の流れを、フローチャートを用いて説明する。図11は、主制御プログラム5m(図1)の処理の流れを示すものである。まず、S100では、車両使用状況に係る現在シーンを推定する。図12は、該シーン推定処理の流れを示すものであり、S201では、運転席に人が着座したかどうかを顔カメラ10(図1)により撮影判定する。また、S202では、イグニッションスイッチの操作状態を参照し、車両の現在操作状態を特定する。そして、S203で、現在操作状態が運転状態であるか否かを判定し、運転状態であれば現在シーンを運転シーンとして特定する。
【0047】
図11に戻り、S101で現在シーンが運転シーンであればS102に進み、緊急車両特定処理となる。図13は、その詳細を示すものである。まず、S401では、外部ステレオマイク15の入力波形を規定時間(例えば0.1秒〜1秒)だけサンプリングし、さらにS402でフーリエ変換処理を行なって波形スペクトルプロファイルを得る。図3及び図4に示すように、外部ステレオマイク15は、車両の前左右に1対(15FR,15FL)及び後左右に1対(15RR,15RL)の計4つが設けられているが、緊急車両の接近によりサイレン音が入力されると、車両に対する音源の接近方向により音量や位相は異なるものの、各マイクとも共通の特徴を有した入力波形となる。この段階では、緊急車両の接近方向は不明であり、どのマイクの入力音量が最大化も不明であるから、S403では、個別のマイク入力波のスペクトラムを保存しつつ、上記4つのスペクトラムを加算合成して合成入力波スペクトルを演算する。
【0048】
そして、種々の参照サイレン音のスペクトルデータを図1のROM5等に予め記憶しておき、入力波スペクトルをそれら参照スペクトルデータと照合する。図5に示すように、参照サイレン音のスペクトル(以下、参照スペクトルという)には、個々のスペクトルの主要素波成分を特徴付ける複数の周波数ピークが特徴点として存在し、入力波スペクトル中において、参照スペクトルの各特徴点と同じ周波数域に、それぞれ対応する特徴点が存在するか否か(S405)、かつ、各特徴点間のピーク高さ比が一致するか否か(S405)により、入力波にサイレン音の成分が存在しているかどうか、つまり、参照サイレン音のそれかとスペクトルが一致したか否か、を判定する(S406)。一致と判定された場合はS407に進み、各マイクの入力波スペクトルにおいて、予め定められた代表特徴点(例えば、特徴点を示す複数の周波数ピークの打ち、最も強度の高いもの)のピーク高さを演算する。そして、S408にて、少なくともいずれかのマイクの入力スペクトルにおいて、その代表特徴点ピーク高さが予め定められた閾値(規定レベル)を超えていれば、緊急車両が接近中であると判定してS409に進む。それ以外の場合は処理を終了する。
【0049】
S409では、各マイクの入力波スペクトルの代表特徴点ピーク高さをそれぞれ演算し、S410その結果からサイレン音の音源方向(つまり、緊急車両の接近方向)を特定する。図6に示すように、前右、前左、後右、後左の各マイクの代表特徴点ピーク高さを、それぞれIFR,IFL,IRR,IRLとする。車両の走行方向を基準として、前後方向をY、左右方向をXと定めれば、緊急車両の接近方向に応じて各代表特徴点ピーク高さIFR,IFL,IRR,IRL間には次のような関係が成立すると考えられる。
(A)Y方向真正面からサイレン音が近づいてくる場合:IFR=IFL(>IRR,IRL)
(B)Y方向真後ろからサイレン音が近づいてくる場合:IRR=IRL(>IFR,IFL)
(C)X方向真右からサイレン音が近づいてくる場合:IFR=IRR(>IFL,IRL)
(D)X方向真右からサイレン音が近づいてくる場合:IFL=IRL(>IFR,IRR)
【0050】
そこで、図6に示すように、X−Y平面上にて自車位置をその原点に合わせ、各代表特徴点ピーク高さを、(1)〜(4)の関係を満足する次の4つの音量ベクトルに対応させる。
SFR=(IFR,IFR)
SFL=(−IFL,IFL)
SRL=(−IRL,−IRL)
SRR=(IRR,−IRR)
すると、サイレン音(緊急車両)の推定接近方向は、上記4つの音量ベクトルのベクトル和SNの方向、すなわち、
SN=SFR+SFL+SRL+SRR
=(IFR−IFL−IRLIRR,IFR+IFL−IRLIRR)≡(INX,INY)
の方向として求めることができる。原点周りに動径がX軸と一致する角度を0゜として定義すれば、緊急車両の接近方向を示す角度θは、
θ=Tan−1(INY/INX) ‥(1)
として演算される。この場合、IFR,IFL,IRR,IRLの最大のものがどれであるかにより特定でき、図6のX−Y座標平面の第1/第2象限にSNが位置する場合(つまり、INY>0の場合)は、(1)式の演算結果をθの値としてそのまま用い、第3/第4象限にSNが位置する場合(つまり、INY<0の場合)は、(1)式の演算結果に180゜を加算した値をθの値として用いる。
【0051】
なお、緊急車両が接近中であることをより精密に判定するために、一定のサンプリング時間間隔をおいて2回ないしそれ以上、入力波をサンプリングして上記と同様のスペクトル解析を行なうこともできる。この場合、それぞれ同一のサイレン音が検出され、かつ、代表特徴点ピーク高さが、後でサンプリングされるものほど高くなる場合に、緊急車両が接近中であると特定する。
【0052】
また、マイクの数及び配設位置は図3及び図4に例示したものに限定されず、例えば、車両前後の各車幅方向中央位置、及び車両左右側面の車長方向中央位置に配設してもよいし、これらと図3,4に例示した態様とを組合せ、6個ないし8個のマイクを配設することも可能である。この場合も、個々のマイクのスペクトル上で特定される代表特徴点ピーク高さを、X−Y平面上の音量ベクトルに置き換え、該音量ベクトルのベクトル和を演算することにより、サイレン音の音源方向を特定できる。
【0053】
さらに、車両周囲の三次元撮影を行なう外部ステレオカメラ14により、自動車の前後に存在する緊急車両の接近方向(距離を特定してもよい)を画像情報から特定するようにしてもよいステレオカメラ14を用いた緊急車両特の定方法は、特許文献9〜12に開示されている技術を流用すれば実現可能である。このとき、緊急車両の接近方向を特定する主体はあくまで外部ステレオマイク15とし、外部ステレオマイク15による方向特定の精度が十分に確保できなかった場合に、補助的にステレオカメラ14を用いることも可能である。
【0054】
また、車両現在位置よりも前方に位置する走行予定路の線形情報をカーナビゲーションシステム16から取得し、これを参照することで、緊急車両の接近方向の特定精度をより向上できる場合がある。例えは、図17に示すように、走行予定路が道なり形状の場合は、道路横方向(左右いずれか)から緊急車両が接近してくることはありえない。従って、横方向からのサイレン音が検出されたとき、走行予定路が道なり形状であれば、緊急車両非接近と修正判定することができる。他方、図18に示すように、走行予定路が交差点形状であれば、該交差点にちょうど差し係るタイミングで、見通しの悪い左右(横)いずれかの方向から緊急車両が接近してくることは逆に多々発生する可能性がある。従って、一定未満の弱レベルでサイレン音が検出されたときも、カーナビゲーションシステム16からの情報により交差点へ接近中であることが特定され、かつ、サイレン音の検出方向が斜め前方向であれば、該交差点へ接近中の緊急車両のサイレン音を検出している可能性が高く、緊急車両接近と修正判定することができる。
【0055】
図11に戻り、S103で緊急車両接近中であればS104に進み、運転者がこれを認知可能な状態になっているか否かを判定する処理を行なう。その詳細を図14に示す。S301では、運手者の視線方向を視線カメラ11の撮影結果に基づいて特定する。図7に示すように、フロントウィンドウFW上及びサイドウィンドウSW上の領域を見込む向きに視線方向EDが現れていれば、運転者の視線が車両の前方エリアと側方(左右)エリアに向けられていると判定できる。他方、バックミラーBMを見込む向きに視線方向EDが現れていれば、運転者の視線が車両の直後方に向けられていると判定できる。さらに、サイドミラーSMを見込む向きに視線方向EDが現れていれば、運転者の視線が車両の左右斜め後方に向けられていると判定できる。
【0056】
S302では、運転者が図7の特定エリア(方向)を注視するに伴い視線方向EDの位置変動が一定レベル未満となる特定エリア視線滞在時間を計測し、該滞在時間が一定時間以上となる視線方向EDを、運転者の現在の注視方向として特定する。S304では、緊急車両の接近方向周辺の一定領域内に運転者の注視方向が入っていれば緊急車両への注意があり、逆に入っていなければ緊急車両への注意がないと判断する。
【0057】
図11に戻り、S105で、緊急車両への注意がないと判断された場合はS106に進み、緊急車両の認知支援出力ないし運転誘導出力を行なう。認知支援出力として最も簡単なものは、図15に示すように、緊急車両が接近してくることを、モニタ100Nに報知メッセージを文字表示したり、あるいは図16に示すように音声出力する方式である。音声出力の場合は、報知メッセージ(「緊急車両です」)の出力に先立って、アラーム音(「POON」)を出力すれば注意を促す効果が高められる。
【0058】
また、上記の報知メッセージ出力を主体とした基本認知支援出力に対し、以下のものから選ばれる1ないし2以上の強調認知支援出力を組み合わせて実施することも効果的である。
・緊急車両接近時は徐行を促すことが効果的だから、図1のアクセルペダル振動部53によりアクセルペダル51に乗っている運転者の足に向け振動を出力する。アクセルペダルに通常では有り得ないような振動を与え、咄嗟にペダルから足を離させる効果を有する。
・運転席シート72に埋設されたシートバイブレータ71(ドライバー71d)に、緊急車両接近認知を促すための振動出力を行なわせる。
・メータ81M、ミラー内表示装置82、ヘッドアップディスプレイ83の少なくともいずれかに、赤や黄色などの警告色の光を出力させ、注意を喚起する。また、バックミラーとサイドミラーを、例えばハーフミラーとし、ミラー裏面よりLED等により警告点灯表示を行なう。透明ELディスプレイをミラー表面に重畳させ、表示を行なってもよい。フロントウィンドウでは、ヘッドアップディスプレイ(透明ELディスプレイでもよい)により緊急車両の認知支援表示を行なう。また、メータ81Mの場合、緊急車両の接近をアイコン表示したり、文字盤や画面全体を赤系統の警告色で点滅させることで、緊急車両接近に対する注意喚起を行なう。メータ81MのバックライトがフルカラーLEDで構成されている場合は、その出力で警告色点灯出力を行なうこともできる。
・匂い発生器93から、危険を感じ、動作を止める香りを発生する。一瞬に、集中できる匂いを発生する。この場合、空気の流れに乗って香りは伝達されることから、空気砲または気流コントロールとセットで考慮するとよい。
【0059】
なお、視線方向により緊急車両への注意が十分あると判定される場合は、緊急車両の接近中であっても認知支援出力を敢えて行なわないようにすることで、S304で緊急車両への注意がないと判断された場合を受けてS106で実行される特有の認知支援出力がより目立つように、メリハリを持たせることが効果的である。ただち、緊急車両への注意が十分ある場合においても、バックグラウンド認知支援出力としては次のような処理形態が可能である。
・図1のマイク15で取り込んだ車外音に緊急車両のサイレン音が含まれていた場合、これを増幅してスピーカー91から車内に出力する。また、車外音の増幅出力に代え、合成サイレン音をスピーカー91から出力するようにしてもよい。
・S106で実行される特有の認知支援出力にて、基本認知支援出力と併用されていた前述の強調認知支援出力を、バックグラウンド認知支援出力においては休止する。
【0060】
他方、視線方向検知による緊急車両への注意判定を行なわない場合は、運転者の注意状態によらず常時認知支援出力を行なうように構成することも可能であるし、逆に、上記内容の認知支援出力の一部又は全てを行なわないようにし、代わって、以下に説明する運転誘導処理を行なうように構成することもできる。
【0061】
以下、運転誘導出力処理の実例について説明する。前述のごとく、カーナビゲーションシステム16からは、車両現在位置よりも前方に位置する走行予定路の線形情報を取得できる。そして、この走行予定路が、道なり形状であるか交差点形状であるかを区別した形で運転誘導内容を定めることができる。運転誘導は、図19〜図23に示すように、基本的にはスピーカー91から誘導メッセージを音声出力することにより行なうが、ヘッドアップディスプレイHUDを利用した文字画像出力を併用してもよい。
【0062】
以下、運転誘導の具体的な処理流れについて図24のフローチャートを用いて説明する。該処理は、図11のS106にて実施されるものである。S501では、走行予定路が道なり形状か交差点形状かを判定する。道なり形状の場合はS502に進み、既に特定されている緊急車両の接近方向が前方か後方かを判定する(横方向の場合は、図示はしていないが処理を終了する)。前方の場合はS503に進み、図19のごとく、前方からの緊急車両の接近報知メッセージを出力する。なお、徐行を促す運転誘導メッセージを出力してもよい。
【0063】
次に、S502において、緊急車両の接近方向が後方の場合はS504に進み、前方を撮影するカメラ15の撮影画像か、カーナビゲーションシステム16の地図情報を参照することにより、走行中の道路のレーン数を周知の方法にて特定する。レーン数が2以上のときはS505に進み、接近中の緊急車両の走行レーンが、自車の走行レーンと同じかどうかを判定する。自車の走行レーンと同じでなければS503に進み、後方からの緊急車両の接近報知メッセージの出力のみを行なう(認知支援出力:徐行を促す運転誘導メッセージを出力してもよい)。一方、自車の走行レーンと同じであった場合は、図20に示すように、後方からの緊急車両の接近報知メッセージを出力するとともに、レーン変更により緊急車両に進路を譲る運転誘導メッセージを出力する。
【0064】
次に、S504にてレーン数が1のときはS507に進み、図21に示すように、後方からの緊急車両の接近報知メッセージを出力するとともに、路肩側への幅寄せ(左側通行の場合は左端寄せ、右側通行の場合は右端寄せ)により、緊急車両に進路を譲る運転誘導メッセージを出力する。
【0065】
S501に戻り、走行予定路が交差点形状の場合はS509に進み、既に特定されている緊急車両の接近方向が前方、後方及び横方向のいずれであるかを判定する。前方の場合はS510に進み、図18に示すように、対向車両として接近してくる緊急車両ABのウインカーWKの点灯を、カメラ15の撮影画像等から特定する。そのウインカーWKの点灯から、緊急車両ABが右折してくると判定された場合はS511に進み、図22のごとく、前方からの緊急車両が右折してくる内容の接近報知メッセージを出力するとともに(認知支援出力)、交差点への進入禁止あるいは一旦停止を促す運転誘導メッセージを出力する。他方、緊急車両が右折しないと判定された場合はS513に進み、徐行運転を促す運転誘導メッセージを出力する。
【0066】
次に、S509において、緊急車両の接近方向が後方の場合はS514に進み、走行中の道路のレーン数を周知の方法にて特定する。該S514以下、S515、S516、S517及びS518の処理は、S504、S505、S503、S506及びS507の各処理と同じである。
【0067】
そして、S509において、緊急車両の接近方向が横方向(左右)の場合はS519に進み、図23のごとく、右(左)から緊急車両が交差点内に入る内容の接近報知メッセージを出力するとともに(認知支援出力)、交差点への進入禁止あるいは一旦停止を促す運転誘導メッセージを出力する。
【0068】
なお、S511あるいはS511のごとく、交差点内への進入を制限する運転誘導内容を行なった場合、これに引き続いて、自車の加速(走行)を抑制する走行抑制制御、あるいは制動を支援する制動支援制御を行なうことができる(S512、S520)。
【0069】
走行抑制制御は、例えば次のようにして実施できる。まず、図1の電子スロットル制御装置21は、アクセルセンサ8によるアクセルペダル踏下量(アクセル位置)に応じた開度指示値を受け、スロットルバルブ23が指示開度となるように、駆動モータ22を作動制御する。図8に示すように、アクセル位置に応じてスロットル開度は破線のように変化するが、走行抑制処理時には、実線で示すごとく、アクセル位置に応じたスロットル開度の増加率を上記通常時よりも縮小し、アクセルを踏み込んでもスロットルバルブが大きく開かないようにする。なお、図8では、走行抑制処理時においても微動発進は可能となるよう、アクセルペダルを踏み込んだとき、通常時よりは小さい開度にてスロットルバルブが開くように制御しているが、自動車が全く進まなくなるように、走行抑制処理時においてはアクセルペダルの踏下量と無関係にスロットルバルブの開度がゼロとなるように制御してもよい。
【0070】
また、燃料噴射制御装置25による走行抑制制御を行なうことも可能である。具体的には、走行抑制制御時には、ソレノイド噴射バルブの開度を通常時よりも縮小し、アクセルを踏み込んだときの燃料噴射を禁止又は噴射量を低くする。なお、緊急車両接近予防時に走行抑制手段として機能させるのは、電子スロットル制御装置21と燃料噴射制御装置25との双方としても良いし、電子スロットル制御装置21のみ、あるいは燃料噴射制御装置25のみとすることも可能である。
【0071】
次に、制動支援制御は、例えば次のようにして実施できる。すなわち、ブレーキペダル61に対する踏下反力は、通常時はペダルバックアップスプリング61sにより発生するが、緊急車両接近予防時にはブレーキ反力モータ62を作動させ、ブレーキペダル61の踏下反力を通常時よりも増加させる(踏下反力制御手段)。また、これと合わせ、ECU2は、ブレーキペダル61の踏下量に対するブレーキ圧の増加率を通常時よりも増加させるよう、ブレーキ圧指示値を変更する(ブレーキ圧制御手段)。
【0072】
ブレーキペダル61の踏下量に対するブレーキ圧の増加率を通常時よりも増加させつつ、ブレーキペダル61の踏下反力を通常時よりも増加させると、ブレーキ踏下力がほぼ同等であれば、制動支援を特に行なわない場合と比較して、少ない踏下量で通常時に近い制動効果が得られる。ところが、ブレーキペダル61の踏下反力が普段より大きくなっているので踏み込み不足の違和感を生じ、運転者はブレーキペダル61をさらに踏み込もうとする。その結果、ブレーキ圧が上昇し制動支援効果が得られる。
【0073】
理解を容易にするために、図9に示すように、ブレーキ位置θ1,θ2,‥に対して、ブレーキ圧指示値が通常時はπ1,π2,‥となるように設定されているところ、制動支援時には、同じブレーキθ1,θ2,‥に対して、ブレーキ圧指示値が通常時の2倍の2π1,2π2,‥に設定されているとする。また、ブレーキ位置θ1,θ2,‥に対するブレーキ反力の値も通常時の2倍になっているとする(つまり、制動支援時のブレーキ圧指示値の拡大倍率がブレーキ反力の拡大倍率と等しくなっている)。
【0074】
図10に示すごとく、ある踏力f0でブレーキペダルを踏下した場合の、通常時(つまり、ブレーキ反力モータ62による反力増加なし:実線)のブレーキ位置をθAとし、このときのブレーキ圧指示値をπ0とする。他方、上記のパラメータ設定で制動支援を行なう場合、反力が増加しているので破線のごとく踏力fに対するブレーキ位置θの増加率が半分に縮小し、他方、ブレーキ位置θに対するブレーキ圧の増加率は倍に拡大している。従って、同じ踏力f0でのブレーキ位置は半分のθBとなるが、ブレーキ圧の増加率拡大により相殺され、ブレーキ圧指示値は同じπ0となる。しかし、運転者は、普段と同じ力でブレーキペダルを踏んでいるのにペダルが下がらず、これを踏み込み不足と感じする。そこで、いつもの踏み込み量に近づくよう踏力をf1に増加させる(一点鎖線)。その結果、ブレーキ位置はθBからθCに増加し、ブレーキ圧指示値もπ1に増加する。
【0075】
なお、制動支援処理として、反力拡大処理を行なわず、ブレーキ位置に対するブレーキ圧指示値の拡大のみを行なうことも可能である。しかし、この場合は制動支援時において通常の踏下力でブレーキ圧が急激に増大することになり、過剰制動につながる懸念もある。他方、上記のように反力拡大処理を行なえば、通常の踏下力ではブレーキの効きにそれほど変化が生じず、踏み込み不足を感じてそこからブレーキを増し踏みする形になるので、制動力も段階的に増加し、過剰制動を抑制できる利点がある。
【0076】
なお、上記の走行抑制処理及び制動支援処理は、一方又は両方を省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の車両用緊急車両接近検出システムに係る一実施例の電気的構成を示すブロック図。
【図2】図1の車両用緊急車両接近検出システムに組み込まれたカーナビゲーションシステムの電気的構成を示すブロック図。
【図3】フロントバンパのセンサ取付形態を示す斜視図。
【図4】リアバンパのセンサ取付形態を示す斜視図。
【図5】不注意により緊急車両と衝突するシーンの一例を示す図。
【図6】マイクの音量から緊急車両の接近方向を計算する原理説明図。
【図7】車両前方及び車両側方の視線特定状況を説明する図。
【図8】スロットル開度制限により走行抑制を行なう事例を示す説明図。
【図9】制動支援処理の第一の説明図。
【図10】同じく第二の説明図。
【図11】車両用緊急車両接近検出システムの主処理の流れを示すフローチャート。
【図12】シーン推定処理の流れを示すフローチャート。
【図13】緊急車両特定処理の流れを示すフローチャート。
【図14】状態推定処理の流れを示すフローチャート。
【図15】表示による認知支援出力の一例を示す図。
【図16】音声による認知支援出力の一例を示す図。
【図17】道なり路走行時の緊急車両との遭遇形態を示す模式図。
【図18】交差点接近時の緊急車両との遭遇形態を示す模式図。
【図19】音声のみによる運転誘導出力の一例を示す図。
【図20】表示と音声とを組み合わせた運転誘導出力の第一例を示す図。
【図21】同じく第二例を示す図。
【図22】同じく第三例を示す図。
【図23】同じく第四例を示す図。
【図24】走行路形状に応じて運転誘導出力内容を決定する処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0078】
1 車両用緊急車両接近検出システム
2 ECU(運転誘導内容決定手段)
11 視線カメラ(視線方向検出手段)
14 外部ステレオカメラ(緊急車両接近方向検出手段)
15 外部ステレオマイク(緊急車両接近方向検出手段)
16 カーナビゲーションシステム(走行路形状推定手段)
21 電子スロットル制御装置(走行抑制手段)
23 スロットルバルブ
51 アクセルペダル
53 アクセルペダル振動部(対応出力手段)
61 ブレーキペダル
62 ブレーキ反力モータ(制動支援手段、踏下反力制御手段)
71 シートバイブレータ(対応出力手段)
91 スピーカー(対応出力手段)
93 匂い発生器(対応出力手段)
110 モニタ(対応出力手段)
MC 自車
AB 緊急車両
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用緊急車両接近検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】実開平6 − 44640号公報
【特許文献2】特開平6 −328980号公報
【特許文献3】特開2000−172988号公報
【特許文献4】特開2002−117484号公報
【特許文献5】特開2005−100097号公報
【特許文献6】特開2008− 52341号公報
【特許文献7】特開平11 − 48886号公報
【特許文献8】特開2004−355272号公報
【特許文献9】特開2004−168085号公報
【特許文献10】特開2004− 42777号公報
【特許文献11】特開2002− 59796号公報
【特許文献12】特開2005− 9883号公報
【0003】
消防車、救急車、パトカーなどの緊急車両は、道路交通法上その緊急走行時には優先走行権があり、一般車はこれを支援するため、緊急車両接近時には自車を路肩に寄せて徐行または停止して緊急車両に走行路を譲る義務がある。自動車の運転手は緊急車両の接近を、緊急車両の発するサイレン音や赤色灯の点燈により認知するが、この認知を支援するために種々の方式が提案されている(特許文献1〜8)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記先行技術においては、緊急車両の位置情報を車外情報源から無線取得し、緊急車両位置情報と自車の現在位置情報とに基づいて緊急車両の接近方向を特定する方式を採用していた。具体的には、VICS等による緊急車両のGPS位置情報(特許文献3,5)、車車間通信(特許文献4,8)、交差点に設置された静止監視カメラからの緊急車両撮影情報(特許文献6)などを緊急車両の位置情報として無線取得し、これに基づいて自車に対する緊急車両の接近把握を行なうものである。無線通信が正常に実行でき、取得情報のリアルタイム性が担保されてさえいれば、緊急車両の接近方向に係る情報を比較的高精度に特定でき、緊急車両の接近認知支援や運転誘導を適切に実行できる。
【0005】
しかしながら、上記方式の場合、緊急車両のGPS位置情報の無線配信が遅れたり、あるいは通信途絶が発生したり、無線配信の対象地域外を走行中の場合は、緊急車両の接近検知が実行できず、適切な接近認知支援や運転誘導が不能となる場合がある。また、緊急車両へのGPS搭載や、交差点等への緊急車両検出装置の配設、無線通信網の整備など、インフラ構築に多大なコストを要する問題もある。
【0006】
本発明の課題は、通信に頼ることなく緊急車両の接近認知を問題なく実施でき、その接近に係る認知支援や運転誘導を的確に実施できる車両用緊急車両接近検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の車両用緊急車両接近検出システムは、車両上の異なる位置に設けられ、緊急車両が発するサイレン音を各々検出する複数のマイクロフォンと、それら複数のマイクロフォンによるサイレン音の検出状態に基づいて、緊急車両の接近方向を特定する緊急車両接近方向特定手段と、特定された緊急車両の接近方向に応じた認知支援及び運転誘導の少なくともいずれかにかかる対応出力を行なう対応出力手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
緊急車両が発するサイレン音は出力音の種類や周波数帯が比較的限られており、マイクロフォンによる検出波形を周波数解析する周知の手法により、比較的簡単かつ正確に検出・特定することができる(特許文献1,7)。しかしながら、単一のマイクロフォンでは、検出されるサイレン音成分の音量により接近レベルは特定できても、接近方向の情報までは得ることができない。そこで、車両上の異なる位置にマイクロフォンを設置すれば、各マイクロフォンで抽出されるサイレン音の音量や位相の差に基づいて、緊急車両の接近方向を特定することが可能となり、ひいてはその接近方向に応じて認知支援ないし運転支援を的確に行なうことができる。さらに、空中を伝播するサイレン音をマイクロフォンで直接捉えて接近方向検知するので、通信インフラ整備が不要であり、通信途絶等の影響を受けない車両用緊急車両接近検出システムを安価に構築できる。
【0009】
なお、車両上に設けられたカメラの撮影画像に基づいて緊急車両の接近方向を特定する方式では、緊急車両を正確に特定するためには、かなり複雑な画像解析を行なう必要があるし、例えばパトライトの点灯検出は緊急車両を特定する上で有効であるが、緊急車両以外のパトライトを誤認しやすい問題もある。従って、緊急車両の特定精度に関しては、上記複数のマイクロフォンによりサイレン音検出する方式を採用するほうがより有利であるといえる。なお、複数のマイクロフォンによりサイレン音検出する方式に、カメラの撮影画像に基づいて緊急車両の接近方向を特定する方式を補助的に組み合わせることで、緊急車両の接近方向の特定精度をさらに向上させることが可能である。また、 緊急車両の接近方向、距離、接近速度等に関する検出精度をさらに高めるために、従来のごとく、緊急車両の位置情報を車外情報源から無線取得する方式、例えば、VICS等による緊急車両のGPS位置情報(特許文献3,5)、車車間通信(特許文献4,8)、交差点に設置された静止監視カメラからの緊急車両撮影情報(特許文献6)などを緊急車両の位置情報として無線取得し、これに基づいて自車に対する緊急車両の接近把握を行なう方式を、上記複数のマイクロフォンによりサイレン音検出する方式に組み合わせることも可能である。
【0010】
上記本発明の車両用緊急車両接近検出システムは、車両の運転者の視線方向を特定する視線方向特定手段と、運転者の視線方向と緊急車両の接近方向との一致度を特定する一致度特定手段とを備え、対応出力手段は、一致度が予め定められた許容範囲を逸脱することを条件として、緊急車両の接近に対する認知支援出力を行なうように構成できる。この構成によると、運転者の視線方向が緊急車両の接近方向と一致していなければ、該緊急車両を認知できていない蓋然性が高く、この場合に支援出力を行なうことで緊急車両の接近を的確に認知させることができ、緊急車両の通行円滑化に寄与することができる。
【0011】
対応出力手段は、具体的には、音声、光、画像、振動ないしそれらの2以上の組合せにより、緊急車両の接近を報知する出力を行なうものとして構成できる。例えば、音声出力の場合は音量を上げたり周波数レベルを上げた甲高い音声出力とし、光や画像の場合は輝度を上げたり点滅動作を加えるなど、さらには振動の場合は振動振幅を増加させるなど、聴覚的、視覚的ないし触覚的な刺激効果を高めた出力とすることが有効である。
【0012】
次に、本発明の車両用緊急車両接近検出システムは、自車の走行路形状を推定する走行路形状推定手段と、推定された走行路形状と緊急車両の接近方向とに応じて運転誘導内容を決定する運転誘導内容決定手段とを有し、対応出力手段は、決定された運転誘導内容を出力するように構成できる。緊急車両に走行路を譲るためには、走行中の道路のどこで緊急車両と遭遇するか、具体的には緊急車両と遭遇したときの走行路形状がどのようなものであるかに応じて、走行路を譲るための適正な運転内容も変化する。しかし、熟練者を除けば、緊急車両と遭遇したときに咄嗟の運転対応をとれないこともありえる。そこで、推定された走行路形状と緊急車両の接近方向とに応じて(適切な)運転誘導内容を決定し、これを出力することで、熟練したドライバーでなくとも、緊急車両の通行を優先させるための、走行路形状に応じた最適の運転対応に適切に導くことができる。
【0013】
走行路形状推定手段がカーナビゲーションシステムから取得する走行路形状情報は、具体的には、カーナビゲーションシステムが地図上に特定する現在走行路に係る、車両現在位置よりも前方に位置する走行予定路の線形情報とすることができる。運転誘導内容決定手段は、走行予定路が道なり形状であるか交差点形状であるかを区別した形で運転誘導内容を決定するように構成できる。道なり形状の場合は道路横方向(左右いずれか)から緊急車両が接近してくることはありえず、車々間通信やサイレン音による接近方向特定の誤差や、情報の配信遅れ等により横方向からの緊急車両接近を誤って検出してしまった場合にも、その可能性を排除することができる。他方、交差点形状であれば、該交差点にちょうど差し係るタイミングで、見通しの悪い左右(横)いずれかの方向から緊急車両が急接近してくることは逆に多々発生する可能性があり、接近方向特定手段により横方向からの緊急車両接近が特定された場合に、接近認知支援出力や運転誘導の処理強化を意識的に図ることが可能となる。
【0014】
対応出力手段は、上記の運転誘導内容を音声、画像又はそれらの組合せにより出力するように構成することができる。特に、前方を注視している運転者に対しては、音声による運転誘導が有効であり、ヘッドアップディスプレイ等を利用した運転注視方向への画像出力(例えば「徐行」や「一旦停止」等の文字出力)を行なうことも、これに準じて有効である(もちろん、両者を組み合わせてもよい)。
【0015】
以下、本発明にて採用可能な、具体的な運転誘導形態について説明する。
(1)緊急車両の接近方向が自車後方であった場合は、運転誘導内容決定手段は、道なり路及び交差点形状のいずれにおいても(つまり、走行予定路の形状によらず)、道路端寄せ(路片寄せ)又はレーン変更を運転誘導内容として決定する。これにより、後続の緊急車両に進路を譲ることができる。
【0016】
(2)走行予定路が道なり形状であって、緊急車両の接近方向が自車前方であった場合に、運転誘導内容決定手段は徐行運転を運転誘導内容として決定する。追い越し等のために、緊急車両が自車レーン側にはみ出して走行してきた場合等においても、徐行誘導することで的確に対応することができる。
【0017】
(3)走行予定路が交差点形状であって、緊急車両の接近方向が自車横方向であった場合に、運転誘導内容決定手段は、交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定する。交差点内には信号が赤であっても緊急車両が進入してくるため、当該交差点に向けて自車が進行中のとき、横方向から接近する緊急車両が検知された場合は、交差点内への進入を制限する誘導を行なうことで、緊急車両は交差点内へ円滑に進入することができる。
【0018】
(4)走行予定路が交差点形状であって、緊急車両の接近方向が自車前方であった場合に、運転誘導内容決定手段は、緊急車両が右折するか否かを推定するとともに、右折すると推定された場合に交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定する。交差点を右折しようとする緊急車両は、交差点に入ってくる直進一般対向車に優先して右折することができる。従って、前方から接近する緊急車両が検出され、かつ、(例えば自車に搭載された前方撮影カメラにより対向車両のウインカー点灯を検出する等の公知の技術により)、該緊急車両の右折が検出された場合は、交差点内への進入を制限する誘導を行なうことで、緊急車両は交差点内を円滑に右折することができる。他方、緊急車両が右折しないと推定された場合には、運転誘導内容決定手段は、緊急車両の急な右折や右折待ちの一般車追い越し等に備えて、交差点内の徐行運転を運転誘導内容として決定するように構成しておくとよい。
【0019】
なお、(3)、(4)いずれの場合も、交差点内への進入を制限する運転誘導内容は、交差点手前での一旦停止とすることが望ましい(ただし、一旦停止が困難な状況下では、交差点に進入してからの一旦停止誘導や、徐行誘導を行なうことももちろん可能である)。
【0020】
また、運転誘導内容決定手段が交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定した場合に、自車の走行を抑制する走行抑制手段を設けておくと、緊急車両を優先させる状況下で交差点内に高速で進入してしまう不具合をより確実に予防することができる。特に、自動車に前述の電子エンジン制御装置が搭載されている場合、走行抑制手段は、アクセルペダルの踏下量に応じたエンジン出力を通常時よりも制限するエンジン出力制限手段を有するものとして構成できる。これにより、アクセルペダルを大きく踏み込んでもエンジン出力は通常時よりも小さくなり、加速が鈍るので上記不具合を効果的に抑制できる。
【0021】
電子スロットル制御装置を搭載した自動車の場合、上記のエンジン出力制限手段は、アクセルペダルの踏下に応じたスロットルバルブの開度増加を通常時よりも制限するスロットルバルブ制限手段を有するものとして構成できる。また、電子燃焼噴射制御装置が搭載されている場合は、燃焼噴射を中断ないし抑制する燃焼噴射制限手段を有するものとして構成できる。
【0022】
運転誘導内容決定手段が交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定した場合に、自動車の制動を支援する制動支援手段が設けておくこともできる。エンジン出力を制限しても、既に車速が一定以上に上がってしまった場合は、如何に制動を早く行なうかが緊急車両との干渉回避を行なう上での鍵となる。従って、上記のような制動支援手段を設けることで、緊急車両との干渉を効果的に防止又は抑制できる。制動支援手段は、例えば制動支援時において、ブレーキペダルの踏下反力を通常時よりも増加させる踏下反力制御手段と、ブレーキペダルの踏下量に対するブレーキ圧の増加率を通常時よりも増加させるブレーキ圧制御手段とを有するものとして構成することができる。制動支援時において、ブレーキペダルの踏下量に対するブレーキ圧の増加率を通常時よりも増加させつつ、ブレーキペダルの踏下反力を通常時よりも増加させると、ブレーキ踏下力がほぼ同等であれば、制動支援を特に行なわない場合と比較して、少ない踏下量でほぼ同等の制動効果が得られる。ところが、運転者は、ブレーキペダルの踏下反力が普段よりも大きい分、急ブレーキのために踏み込み量が不足していると感じてさらにブレーキペダルを踏み込もうとする。その結果、制動効果が増強され、緊急車両との干渉回避ないし抑制をより確実に行なうことができる。もちろん、アクセルペダルの踏下量に応じたエンジン出力を通常時よりも制限する処理と併用すれば、さらに効果的であることはいうまでもない。
【0023】
上記のような認知支援出力や運転誘導により、運転者に緊急車両を優先させるための自発的な運転操作(以下、緊急車両優先運転操作ともいう)を促すことができる。なお、緊急車両優先運転操作を失念している状態で運転者が認知支援出力を受けると、アクセルペダルから足を離す→ブレーキペダルを踏み込む、という一連の動作流れにて緊急車両接近回避操作を行なおうとする。このとき、
A:ブレーキペダルを踏み込む。
B:ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込む。
の2つの可能性がある。後者に対応するためには、アクセルペダルの踏下量に応じたエンジン出力を通常時よりも制限する処理を併用することが効果的であり、前者においても、ブレーキペダルの踏下反力を通常時よりも増加させ、かつ、ブレーキペダルの踏下量に対するブレーキ圧の増加率を通常時よりも増加させる処理を併用すると効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態を示す車両用緊急車両接近検出システムの電気的構成の一例を示すブロック図である。該車両用緊急車両接近検出システム1の制御主体をなすのはECU2である。ECU2は、CPU3、RAM4、ROM5及び入出力インターフェース6とを内部バスにて接続したマイクロプロセッサを主体に構成されている。
【0025】
入出力インターフェース6には、発進設定方向特定手段ひいてはシフトポジション検出手段をなすシフトポジションセンサ7、アクセルペダル51の踏下量(踏下角度)を検出するアクセルセンサ8、ブレーキペダル61の踏下量(踏下角度)を検出するブレーキセンサ9、運転席に着座する運転者の顔を撮影する顔カメラ10及び該顔の両眼付近を拡大撮影し瞳孔位置により視線方向を特定するための視線カメラ11が接続されている(ただし、視線カメラ11は省略してもよい)。アクセルセンサ8は、アクセルペダルの踏下角度を検出する角度センサとして構成されている。また、ブレーキセンサ9もブレーキペダルの踏下角度を検出する角度センサとして構成されている(なお、ブレーキ踏下の有無のみを検出すればよい場合には、テールランプ駆動等に使用するブレーキスイッチを流用してもよい)。
【0026】
また、入出力インターフェース6には、外部ステレオカメラ14、外部ステレオマイク15及びカーナビゲーションシステム16が接続されている。外部ステレオカメラ11(11L,11R)及び外部ステレオマイク15(15L,15R)の組は、図3に示す自動車のフロントバンパFBPと、図4に示すリアバンパRBPに、それぞれ左右1対にて都合4個ずつ取り付けられている。
【0027】
さらに、入出力インターフェース6には、電子スロットル制御装置21(ドライバー21d)と燃料噴射制御装置25(ドライバー21d)とが接続されている。電子スロットル制御装置21は、アクセルセンサ8によるアクセルペダル踏下量(アクセル位置)を参照したECU2からの開度指示値により、スロットルバルブ23が指示開度となるように、その駆動モータ22を作動させる。燃料噴射制御装置25は、ECU2からの指示により、燃料噴射装置のソレノイド噴射バルブ26の開度を調整する。
【0028】
さらに、入出力インターフェース6には、緊急車両(消防車、救急車、パトカーなど)の接近に対する認知支援出力を行なう認知支援出力手段(対応出力手段)として次のような種々のデバイスが対応するドライバーを介して接続されている。
・アクセルペダル振動部53(ドライバー51d):アクセルペダル51に乗っている運転者の足に向け振動を出力する。アクセルペダルに通常では有り得ないような振動を与え、咄嗟にペダルから足を離させる効果を有する。偏心式加振装置などの周知の振動発生器で構成される。このアクセルペダル振動部53の振動はアクセルペダル51に伝達されるが、電子スロットル制御装置21に受け渡されるアクセルセンサ8の角度出力に対しては不感となるように、その周波数ならびに振幅が設定される(アクセルセンサ8の角度出力に振動変位が重畳される場合は、フィルタリング等によりこれを除去してもよい)。
【0029】
・ブレーキ反力モータ62(ドライバー62d):ブレーキペダル61の旋回軸に取り付けられ、ブレーキペダル61に対し踏下方向と逆向きの反力を発生させる。
・シートバイブレータ71(ドライバー71d):運転席シート72に埋設され、緊急車両接近認知を促すための振動出力を行なう。偏心式加振装置や圧電式加振装置などの周知の振動発生器で構成される。
【0030】
・メータ81M及びモニタ110(ドライバー81d)、ミラー内表示装置82(ドライバー82d)、ヘッドアップディスプレイ83(ドライバー83d):緊急車両の認知を促すための表示を行なうことで、注意を喚起する。なお、モニタ110はカーナビゲーションシステム16の表示出力部に兼用される。
【0031】
インナーミラーとアウターミラーは、例えばハーフミラーとし、ミラー裏面よりLED等により表示を行なう。または、透明ELディスプレイをミラー表面に重畳させ、表示を行なってもよい。フロントウィンドウでは、ヘッドアップディスプレイ(透明ELディスプレイでもよい)により緊急車両の認知支援表示を行なう。また、メータ81Mの場合、緊急車両の接近をアイコン表示したり、文字盤や画面全体を赤系統の警告色で点滅させたりすることで、緊急車両接近に対する注意喚起を行なう。メータ81MのバックライトがフルカラーLEDで構成されている場合は、その出力で警告色点灯出力を行なうこともできる。
【0032】
・スピーカー91(ドライバー91d):緊急車両接近認知を促すための音声出力を行なう。
・匂い発生器93(ドライバー93d):危険を感じ、動作を止める香りを発生する。一瞬に、集中できる匂いを発生する。この場合、空気の流れに乗って香りは伝達されることから、空気砲または気流コントロールとセットで考慮するとよい。
【0033】
ROM5には、車両用緊急車両接近検出システム1の主制御プログラム5mと、該主制御プログラム5mが使用する種々のエンジンが格納されている。
・緊急車両特定エンジン5d:外部ステレオマイク15及び外部ステレオカメラ11の検出信号に基づいて、自車に接近する緊急車両と、その接近方向を特定する(緊急車両接近方向検出手段)。
【0034】
・視線特定エンジン5c:視線カメラ11が撮影する運転者の両眼の画像から、周知のアルゴリズムにより視線方向、具体的には車両周囲のどのエリアに視線が向いているかを特定する(視線方向検出手段)。視線カメラ11を省略する場合は、該エンジンは不要である。
・運転誘導制御エンジン5g:カーナビゲーションシステム16から地図上の走行路形状と車両現在位置とを取得して、現在位置前方の走行予定路の線形を特定するとともに、特定された走行予定路が道なり形状であるか交差点形状であるかを区別し、さらに、緊急車両特定エンジン5dが特定する緊急車両の接近方向に応じて個別に運転誘導内容を決定する(運転誘導内容決定手段)。そして、該誘導内容を、スピーカー91から音声出力させる制御と、モニタ110、ミラー内表示装置82、あるいはヘッドアップディスプレイ83等の表示部に表示出力させる制御指令を行なう。
【0035】
・認知ミス判定エンジン5e:緊急車両特定エンジン5dが緊急車両の接近(及びその方向)を検知したとき、運転者の視線方向を考慮して、緊急車両接近に対する認知ミスが発生しているかどうかを判定する。視線カメラ11を省略する場合は、該エンジンは不要である。
・認知支援出力制御エンジン5e:前述の種々の認知支援出力手段に対し認知支援出力指令を行なう。
【0036】
図2は、カーナビゲーションシステム16の構成例を示すブロック図である。該カーナビゲーションシステム16は、位置検出器101、地図データ入力器106、操作スイッチ群107、リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ111、音声案内等のための音声合成回路124、音声出力用のスピーカー115、不揮発メモリであるフラッシュメモリ109、LCD等からなるモニタ110、これらの接続された主制御部をなす情報系ECU51及び主記憶装置をなすHDD(ハードディスク装置)121等を備えるものである。
【0037】
位置検出器101は、周知の地磁気センサ102、ジャイロスコープ103、距離センサ104、および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPSのためのGPS受信機105を有している。これらのセンサ等102,103,104,105は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0038】
操作スイッチ群107は、メカニカルなスイッチ等を使用できるが、本実施形態では、モニタ110と一体になったタッチパネル122を併用しており、モニタ110上に表示されるボタン画像に対応するタッチパネル領域を指で触れることにより、操作状態を認識できるようにしている(いわゆるソフトボタン)。これら操作スイッチ群107によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0039】
操作スイッチ群107の他に、音声認識ユニット130を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、音声認識ユニット130に接続される前述のマイク131(図2参照)から音声を入力することによって、その音声信号を周知の音声認識技術により音声認識処理して、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。
【0040】
情報系ECU51は、CPU181、ROM182、RAM183、前述のフラッシュメモリ109、入出力インターフェース184がバス515により接続されたマイコンハードウェアを主体とするものである。入出力インターフェース184には、位置検出器101、地図データ入力器106、操作スイッチ群107、車車間通信部108及びVICS受信部109が接続されている。
【0041】
HDD121はインターフェース129fを介してバス接続されている。また、地図やナビ操作画面を表示する描画情報に基づいて、モニタ110に画像出力する機能を担う描画LSI187と、描画処理用のグラフィックメモリ187Mとが同様にバス接続され、前述のモニタ110がこれに接続されている。CPU181は、フラッシュメモリ109に記憶されたナビソフトウェア109a(被提供情報収集手段)およびデータにより、目的地検索や経路案内に係る制御を行なう。また、HDD121へのデータの読み書きの制御はCPU181によって行なわれる。
【0042】
HDD121には、道路データを含む地図データ21mと、目的地データや目的地の案内情報からなるナビデータ21pとが記憶されている。また、出力履歴データ21dとコンテンツデータ21uも記憶されている。これらのデータは、操作スイッチ群107の操作あるいは音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、外部情報入出力装置(地図データ入力器)106を用いて記憶媒体120からデータを読み込んでHDD121の内容を更新することも可能である。なお、本実施形態では、通信インターフェース126を介して、情報系ECU51が車内ネットワークをなすシリアル通信バス127に接続され、ボデー系ECUやエンジン制御ECU(図示せず)などの、車内の他の制御装置との間でデータの遣り取りを行なうようになっている。また、シリアル通信バス127にはインターネット1170に接続するための無線送受信部を有した通信ECU190(無線アクセス手段)が接続されており、更新用の地図データや、その他の情報を受信できるようになっている。
【0043】
車車間通信部108は、自車の周囲に存在する他車両と直接通信を行ない、周囲車両情報(車両位置、走行方向、車種(具体的には、緊急車両であるか否か)、車両サイズ、速度、ブレーキ、アクセルなど)の送受信を行なうように構成されている。また、VICS受信部109は、図示しないVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタから道路交通情報やFM多重放送を受信するための装置であり、本発明では、緊急車両の位置情報(あるいは走行方向)を取得することを目的とする。
【0044】
モニタ110(被提供情報出力手段)はカラー液晶表示器により構成されており、その画面には位置検出器101から入力された車両の現在位置マークと、HDD121から入力された地図データ21mと、さらに地図上に表示する誘導経路等付加データとを重ね合わせて表示する。また、前述のごとくタッチパネル122が重ね合わされており、必要に応じて、目的地設定、表示設定、種々の機能呼び出し、画面切替操作等のための機能ボタンも表示する。
【0045】
カーナビゲーションシステム16は、情報系ECU51のCPU181によりナビプログラム21pが起動される。運転者は、操作スイッチ群107の操作あるいはマイク131からの音声入力によって、目的地データベース21dから所望の目的地を選択する。例えば、モニタ110上に表示されるメニューから目的地経路をモニタ110に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。即ち、運転者がモニタ110上の地図あるいは目的地選択画面に基づいて目的地を入力すると、GPS受信機105から得られる衛星のデータに基づき車両の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な経路を求める処理が行われる。そして、モニタ110上の道路地図に誘導経路を重ねて表示し、運転者に適切な経路を案内する。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、モニタ110およびスピーカー115の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。なお、経路案内を行なわない場合は、地図上の走行路を特定し、周知のマップマッチング処理により該走行路上に自車の現在位置を表示・更新する処理を行なう。
【0046】
以下、車両用緊急車両接近検出システム1の制御の流れを、フローチャートを用いて説明する。図11は、主制御プログラム5m(図1)の処理の流れを示すものである。まず、S100では、車両使用状況に係る現在シーンを推定する。図12は、該シーン推定処理の流れを示すものであり、S201では、運転席に人が着座したかどうかを顔カメラ10(図1)により撮影判定する。また、S202では、イグニッションスイッチの操作状態を参照し、車両の現在操作状態を特定する。そして、S203で、現在操作状態が運転状態であるか否かを判定し、運転状態であれば現在シーンを運転シーンとして特定する。
【0047】
図11に戻り、S101で現在シーンが運転シーンであればS102に進み、緊急車両特定処理となる。図13は、その詳細を示すものである。まず、S401では、外部ステレオマイク15の入力波形を規定時間(例えば0.1秒〜1秒)だけサンプリングし、さらにS402でフーリエ変換処理を行なって波形スペクトルプロファイルを得る。図3及び図4に示すように、外部ステレオマイク15は、車両の前左右に1対(15FR,15FL)及び後左右に1対(15RR,15RL)の計4つが設けられているが、緊急車両の接近によりサイレン音が入力されると、車両に対する音源の接近方向により音量や位相は異なるものの、各マイクとも共通の特徴を有した入力波形となる。この段階では、緊急車両の接近方向は不明であり、どのマイクの入力音量が最大化も不明であるから、S403では、個別のマイク入力波のスペクトラムを保存しつつ、上記4つのスペクトラムを加算合成して合成入力波スペクトルを演算する。
【0048】
そして、種々の参照サイレン音のスペクトルデータを図1のROM5等に予め記憶しておき、入力波スペクトルをそれら参照スペクトルデータと照合する。図5に示すように、参照サイレン音のスペクトル(以下、参照スペクトルという)には、個々のスペクトルの主要素波成分を特徴付ける複数の周波数ピークが特徴点として存在し、入力波スペクトル中において、参照スペクトルの各特徴点と同じ周波数域に、それぞれ対応する特徴点が存在するか否か(S405)、かつ、各特徴点間のピーク高さ比が一致するか否か(S405)により、入力波にサイレン音の成分が存在しているかどうか、つまり、参照サイレン音のそれかとスペクトルが一致したか否か、を判定する(S406)。一致と判定された場合はS407に進み、各マイクの入力波スペクトルにおいて、予め定められた代表特徴点(例えば、特徴点を示す複数の周波数ピークの打ち、最も強度の高いもの)のピーク高さを演算する。そして、S408にて、少なくともいずれかのマイクの入力スペクトルにおいて、その代表特徴点ピーク高さが予め定められた閾値(規定レベル)を超えていれば、緊急車両が接近中であると判定してS409に進む。それ以外の場合は処理を終了する。
【0049】
S409では、各マイクの入力波スペクトルの代表特徴点ピーク高さをそれぞれ演算し、S410その結果からサイレン音の音源方向(つまり、緊急車両の接近方向)を特定する。図6に示すように、前右、前左、後右、後左の各マイクの代表特徴点ピーク高さを、それぞれIFR,IFL,IRR,IRLとする。車両の走行方向を基準として、前後方向をY、左右方向をXと定めれば、緊急車両の接近方向に応じて各代表特徴点ピーク高さIFR,IFL,IRR,IRL間には次のような関係が成立すると考えられる。
(A)Y方向真正面からサイレン音が近づいてくる場合:IFR=IFL(>IRR,IRL)
(B)Y方向真後ろからサイレン音が近づいてくる場合:IRR=IRL(>IFR,IFL)
(C)X方向真右からサイレン音が近づいてくる場合:IFR=IRR(>IFL,IRL)
(D)X方向真右からサイレン音が近づいてくる場合:IFL=IRL(>IFR,IRR)
【0050】
そこで、図6に示すように、X−Y平面上にて自車位置をその原点に合わせ、各代表特徴点ピーク高さを、(1)〜(4)の関係を満足する次の4つの音量ベクトルに対応させる。
SFR=(IFR,IFR)
SFL=(−IFL,IFL)
SRL=(−IRL,−IRL)
SRR=(IRR,−IRR)
すると、サイレン音(緊急車両)の推定接近方向は、上記4つの音量ベクトルのベクトル和SNの方向、すなわち、
SN=SFR+SFL+SRL+SRR
=(IFR−IFL−IRLIRR,IFR+IFL−IRLIRR)≡(INX,INY)
の方向として求めることができる。原点周りに動径がX軸と一致する角度を0゜として定義すれば、緊急車両の接近方向を示す角度θは、
θ=Tan−1(INY/INX) ‥(1)
として演算される。この場合、IFR,IFL,IRR,IRLの最大のものがどれであるかにより特定でき、図6のX−Y座標平面の第1/第2象限にSNが位置する場合(つまり、INY>0の場合)は、(1)式の演算結果をθの値としてそのまま用い、第3/第4象限にSNが位置する場合(つまり、INY<0の場合)は、(1)式の演算結果に180゜を加算した値をθの値として用いる。
【0051】
なお、緊急車両が接近中であることをより精密に判定するために、一定のサンプリング時間間隔をおいて2回ないしそれ以上、入力波をサンプリングして上記と同様のスペクトル解析を行なうこともできる。この場合、それぞれ同一のサイレン音が検出され、かつ、代表特徴点ピーク高さが、後でサンプリングされるものほど高くなる場合に、緊急車両が接近中であると特定する。
【0052】
また、マイクの数及び配設位置は図3及び図4に例示したものに限定されず、例えば、車両前後の各車幅方向中央位置、及び車両左右側面の車長方向中央位置に配設してもよいし、これらと図3,4に例示した態様とを組合せ、6個ないし8個のマイクを配設することも可能である。この場合も、個々のマイクのスペクトル上で特定される代表特徴点ピーク高さを、X−Y平面上の音量ベクトルに置き換え、該音量ベクトルのベクトル和を演算することにより、サイレン音の音源方向を特定できる。
【0053】
さらに、車両周囲の三次元撮影を行なう外部ステレオカメラ14により、自動車の前後に存在する緊急車両の接近方向(距離を特定してもよい)を画像情報から特定するようにしてもよいステレオカメラ14を用いた緊急車両特の定方法は、特許文献9〜12に開示されている技術を流用すれば実現可能である。このとき、緊急車両の接近方向を特定する主体はあくまで外部ステレオマイク15とし、外部ステレオマイク15による方向特定の精度が十分に確保できなかった場合に、補助的にステレオカメラ14を用いることも可能である。
【0054】
また、車両現在位置よりも前方に位置する走行予定路の線形情報をカーナビゲーションシステム16から取得し、これを参照することで、緊急車両の接近方向の特定精度をより向上できる場合がある。例えは、図17に示すように、走行予定路が道なり形状の場合は、道路横方向(左右いずれか)から緊急車両が接近してくることはありえない。従って、横方向からのサイレン音が検出されたとき、走行予定路が道なり形状であれば、緊急車両非接近と修正判定することができる。他方、図18に示すように、走行予定路が交差点形状であれば、該交差点にちょうど差し係るタイミングで、見通しの悪い左右(横)いずれかの方向から緊急車両が接近してくることは逆に多々発生する可能性がある。従って、一定未満の弱レベルでサイレン音が検出されたときも、カーナビゲーションシステム16からの情報により交差点へ接近中であることが特定され、かつ、サイレン音の検出方向が斜め前方向であれば、該交差点へ接近中の緊急車両のサイレン音を検出している可能性が高く、緊急車両接近と修正判定することができる。
【0055】
図11に戻り、S103で緊急車両接近中であればS104に進み、運転者がこれを認知可能な状態になっているか否かを判定する処理を行なう。その詳細を図14に示す。S301では、運手者の視線方向を視線カメラ11の撮影結果に基づいて特定する。図7に示すように、フロントウィンドウFW上及びサイドウィンドウSW上の領域を見込む向きに視線方向EDが現れていれば、運転者の視線が車両の前方エリアと側方(左右)エリアに向けられていると判定できる。他方、バックミラーBMを見込む向きに視線方向EDが現れていれば、運転者の視線が車両の直後方に向けられていると判定できる。さらに、サイドミラーSMを見込む向きに視線方向EDが現れていれば、運転者の視線が車両の左右斜め後方に向けられていると判定できる。
【0056】
S302では、運転者が図7の特定エリア(方向)を注視するに伴い視線方向EDの位置変動が一定レベル未満となる特定エリア視線滞在時間を計測し、該滞在時間が一定時間以上となる視線方向EDを、運転者の現在の注視方向として特定する。S304では、緊急車両の接近方向周辺の一定領域内に運転者の注視方向が入っていれば緊急車両への注意があり、逆に入っていなければ緊急車両への注意がないと判断する。
【0057】
図11に戻り、S105で、緊急車両への注意がないと判断された場合はS106に進み、緊急車両の認知支援出力ないし運転誘導出力を行なう。認知支援出力として最も簡単なものは、図15に示すように、緊急車両が接近してくることを、モニタ100Nに報知メッセージを文字表示したり、あるいは図16に示すように音声出力する方式である。音声出力の場合は、報知メッセージ(「緊急車両です」)の出力に先立って、アラーム音(「POON」)を出力すれば注意を促す効果が高められる。
【0058】
また、上記の報知メッセージ出力を主体とした基本認知支援出力に対し、以下のものから選ばれる1ないし2以上の強調認知支援出力を組み合わせて実施することも効果的である。
・緊急車両接近時は徐行を促すことが効果的だから、図1のアクセルペダル振動部53によりアクセルペダル51に乗っている運転者の足に向け振動を出力する。アクセルペダルに通常では有り得ないような振動を与え、咄嗟にペダルから足を離させる効果を有する。
・運転席シート72に埋設されたシートバイブレータ71(ドライバー71d)に、緊急車両接近認知を促すための振動出力を行なわせる。
・メータ81M、ミラー内表示装置82、ヘッドアップディスプレイ83の少なくともいずれかに、赤や黄色などの警告色の光を出力させ、注意を喚起する。また、バックミラーとサイドミラーを、例えばハーフミラーとし、ミラー裏面よりLED等により警告点灯表示を行なう。透明ELディスプレイをミラー表面に重畳させ、表示を行なってもよい。フロントウィンドウでは、ヘッドアップディスプレイ(透明ELディスプレイでもよい)により緊急車両の認知支援表示を行なう。また、メータ81Mの場合、緊急車両の接近をアイコン表示したり、文字盤や画面全体を赤系統の警告色で点滅させることで、緊急車両接近に対する注意喚起を行なう。メータ81MのバックライトがフルカラーLEDで構成されている場合は、その出力で警告色点灯出力を行なうこともできる。
・匂い発生器93から、危険を感じ、動作を止める香りを発生する。一瞬に、集中できる匂いを発生する。この場合、空気の流れに乗って香りは伝達されることから、空気砲または気流コントロールとセットで考慮するとよい。
【0059】
なお、視線方向により緊急車両への注意が十分あると判定される場合は、緊急車両の接近中であっても認知支援出力を敢えて行なわないようにすることで、S304で緊急車両への注意がないと判断された場合を受けてS106で実行される特有の認知支援出力がより目立つように、メリハリを持たせることが効果的である。ただち、緊急車両への注意が十分ある場合においても、バックグラウンド認知支援出力としては次のような処理形態が可能である。
・図1のマイク15で取り込んだ車外音に緊急車両のサイレン音が含まれていた場合、これを増幅してスピーカー91から車内に出力する。また、車外音の増幅出力に代え、合成サイレン音をスピーカー91から出力するようにしてもよい。
・S106で実行される特有の認知支援出力にて、基本認知支援出力と併用されていた前述の強調認知支援出力を、バックグラウンド認知支援出力においては休止する。
【0060】
他方、視線方向検知による緊急車両への注意判定を行なわない場合は、運転者の注意状態によらず常時認知支援出力を行なうように構成することも可能であるし、逆に、上記内容の認知支援出力の一部又は全てを行なわないようにし、代わって、以下に説明する運転誘導処理を行なうように構成することもできる。
【0061】
以下、運転誘導出力処理の実例について説明する。前述のごとく、カーナビゲーションシステム16からは、車両現在位置よりも前方に位置する走行予定路の線形情報を取得できる。そして、この走行予定路が、道なり形状であるか交差点形状であるかを区別した形で運転誘導内容を定めることができる。運転誘導は、図19〜図23に示すように、基本的にはスピーカー91から誘導メッセージを音声出力することにより行なうが、ヘッドアップディスプレイHUDを利用した文字画像出力を併用してもよい。
【0062】
以下、運転誘導の具体的な処理流れについて図24のフローチャートを用いて説明する。該処理は、図11のS106にて実施されるものである。S501では、走行予定路が道なり形状か交差点形状かを判定する。道なり形状の場合はS502に進み、既に特定されている緊急車両の接近方向が前方か後方かを判定する(横方向の場合は、図示はしていないが処理を終了する)。前方の場合はS503に進み、図19のごとく、前方からの緊急車両の接近報知メッセージを出力する。なお、徐行を促す運転誘導メッセージを出力してもよい。
【0063】
次に、S502において、緊急車両の接近方向が後方の場合はS504に進み、前方を撮影するカメラ15の撮影画像か、カーナビゲーションシステム16の地図情報を参照することにより、走行中の道路のレーン数を周知の方法にて特定する。レーン数が2以上のときはS505に進み、接近中の緊急車両の走行レーンが、自車の走行レーンと同じかどうかを判定する。自車の走行レーンと同じでなければS503に進み、後方からの緊急車両の接近報知メッセージの出力のみを行なう(認知支援出力:徐行を促す運転誘導メッセージを出力してもよい)。一方、自車の走行レーンと同じであった場合は、図20に示すように、後方からの緊急車両の接近報知メッセージを出力するとともに、レーン変更により緊急車両に進路を譲る運転誘導メッセージを出力する。
【0064】
次に、S504にてレーン数が1のときはS507に進み、図21に示すように、後方からの緊急車両の接近報知メッセージを出力するとともに、路肩側への幅寄せ(左側通行の場合は左端寄せ、右側通行の場合は右端寄せ)により、緊急車両に進路を譲る運転誘導メッセージを出力する。
【0065】
S501に戻り、走行予定路が交差点形状の場合はS509に進み、既に特定されている緊急車両の接近方向が前方、後方及び横方向のいずれであるかを判定する。前方の場合はS510に進み、図18に示すように、対向車両として接近してくる緊急車両ABのウインカーWKの点灯を、カメラ15の撮影画像等から特定する。そのウインカーWKの点灯から、緊急車両ABが右折してくると判定された場合はS511に進み、図22のごとく、前方からの緊急車両が右折してくる内容の接近報知メッセージを出力するとともに(認知支援出力)、交差点への進入禁止あるいは一旦停止を促す運転誘導メッセージを出力する。他方、緊急車両が右折しないと判定された場合はS513に進み、徐行運転を促す運転誘導メッセージを出力する。
【0066】
次に、S509において、緊急車両の接近方向が後方の場合はS514に進み、走行中の道路のレーン数を周知の方法にて特定する。該S514以下、S515、S516、S517及びS518の処理は、S504、S505、S503、S506及びS507の各処理と同じである。
【0067】
そして、S509において、緊急車両の接近方向が横方向(左右)の場合はS519に進み、図23のごとく、右(左)から緊急車両が交差点内に入る内容の接近報知メッセージを出力するとともに(認知支援出力)、交差点への進入禁止あるいは一旦停止を促す運転誘導メッセージを出力する。
【0068】
なお、S511あるいはS511のごとく、交差点内への進入を制限する運転誘導内容を行なった場合、これに引き続いて、自車の加速(走行)を抑制する走行抑制制御、あるいは制動を支援する制動支援制御を行なうことができる(S512、S520)。
【0069】
走行抑制制御は、例えば次のようにして実施できる。まず、図1の電子スロットル制御装置21は、アクセルセンサ8によるアクセルペダル踏下量(アクセル位置)に応じた開度指示値を受け、スロットルバルブ23が指示開度となるように、駆動モータ22を作動制御する。図8に示すように、アクセル位置に応じてスロットル開度は破線のように変化するが、走行抑制処理時には、実線で示すごとく、アクセル位置に応じたスロットル開度の増加率を上記通常時よりも縮小し、アクセルを踏み込んでもスロットルバルブが大きく開かないようにする。なお、図8では、走行抑制処理時においても微動発進は可能となるよう、アクセルペダルを踏み込んだとき、通常時よりは小さい開度にてスロットルバルブが開くように制御しているが、自動車が全く進まなくなるように、走行抑制処理時においてはアクセルペダルの踏下量と無関係にスロットルバルブの開度がゼロとなるように制御してもよい。
【0070】
また、燃料噴射制御装置25による走行抑制制御を行なうことも可能である。具体的には、走行抑制制御時には、ソレノイド噴射バルブの開度を通常時よりも縮小し、アクセルを踏み込んだときの燃料噴射を禁止又は噴射量を低くする。なお、緊急車両接近予防時に走行抑制手段として機能させるのは、電子スロットル制御装置21と燃料噴射制御装置25との双方としても良いし、電子スロットル制御装置21のみ、あるいは燃料噴射制御装置25のみとすることも可能である。
【0071】
次に、制動支援制御は、例えば次のようにして実施できる。すなわち、ブレーキペダル61に対する踏下反力は、通常時はペダルバックアップスプリング61sにより発生するが、緊急車両接近予防時にはブレーキ反力モータ62を作動させ、ブレーキペダル61の踏下反力を通常時よりも増加させる(踏下反力制御手段)。また、これと合わせ、ECU2は、ブレーキペダル61の踏下量に対するブレーキ圧の増加率を通常時よりも増加させるよう、ブレーキ圧指示値を変更する(ブレーキ圧制御手段)。
【0072】
ブレーキペダル61の踏下量に対するブレーキ圧の増加率を通常時よりも増加させつつ、ブレーキペダル61の踏下反力を通常時よりも増加させると、ブレーキ踏下力がほぼ同等であれば、制動支援を特に行なわない場合と比較して、少ない踏下量で通常時に近い制動効果が得られる。ところが、ブレーキペダル61の踏下反力が普段より大きくなっているので踏み込み不足の違和感を生じ、運転者はブレーキペダル61をさらに踏み込もうとする。その結果、ブレーキ圧が上昇し制動支援効果が得られる。
【0073】
理解を容易にするために、図9に示すように、ブレーキ位置θ1,θ2,‥に対して、ブレーキ圧指示値が通常時はπ1,π2,‥となるように設定されているところ、制動支援時には、同じブレーキθ1,θ2,‥に対して、ブレーキ圧指示値が通常時の2倍の2π1,2π2,‥に設定されているとする。また、ブレーキ位置θ1,θ2,‥に対するブレーキ反力の値も通常時の2倍になっているとする(つまり、制動支援時のブレーキ圧指示値の拡大倍率がブレーキ反力の拡大倍率と等しくなっている)。
【0074】
図10に示すごとく、ある踏力f0でブレーキペダルを踏下した場合の、通常時(つまり、ブレーキ反力モータ62による反力増加なし:実線)のブレーキ位置をθAとし、このときのブレーキ圧指示値をπ0とする。他方、上記のパラメータ設定で制動支援を行なう場合、反力が増加しているので破線のごとく踏力fに対するブレーキ位置θの増加率が半分に縮小し、他方、ブレーキ位置θに対するブレーキ圧の増加率は倍に拡大している。従って、同じ踏力f0でのブレーキ位置は半分のθBとなるが、ブレーキ圧の増加率拡大により相殺され、ブレーキ圧指示値は同じπ0となる。しかし、運転者は、普段と同じ力でブレーキペダルを踏んでいるのにペダルが下がらず、これを踏み込み不足と感じする。そこで、いつもの踏み込み量に近づくよう踏力をf1に増加させる(一点鎖線)。その結果、ブレーキ位置はθBからθCに増加し、ブレーキ圧指示値もπ1に増加する。
【0075】
なお、制動支援処理として、反力拡大処理を行なわず、ブレーキ位置に対するブレーキ圧指示値の拡大のみを行なうことも可能である。しかし、この場合は制動支援時において通常の踏下力でブレーキ圧が急激に増大することになり、過剰制動につながる懸念もある。他方、上記のように反力拡大処理を行なえば、通常の踏下力ではブレーキの効きにそれほど変化が生じず、踏み込み不足を感じてそこからブレーキを増し踏みする形になるので、制動力も段階的に増加し、過剰制動を抑制できる利点がある。
【0076】
なお、上記の走行抑制処理及び制動支援処理は、一方又は両方を省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の車両用緊急車両接近検出システムに係る一実施例の電気的構成を示すブロック図。
【図2】図1の車両用緊急車両接近検出システムに組み込まれたカーナビゲーションシステムの電気的構成を示すブロック図。
【図3】フロントバンパのセンサ取付形態を示す斜視図。
【図4】リアバンパのセンサ取付形態を示す斜視図。
【図5】不注意により緊急車両と衝突するシーンの一例を示す図。
【図6】マイクの音量から緊急車両の接近方向を計算する原理説明図。
【図7】車両前方及び車両側方の視線特定状況を説明する図。
【図8】スロットル開度制限により走行抑制を行なう事例を示す説明図。
【図9】制動支援処理の第一の説明図。
【図10】同じく第二の説明図。
【図11】車両用緊急車両接近検出システムの主処理の流れを示すフローチャート。
【図12】シーン推定処理の流れを示すフローチャート。
【図13】緊急車両特定処理の流れを示すフローチャート。
【図14】状態推定処理の流れを示すフローチャート。
【図15】表示による認知支援出力の一例を示す図。
【図16】音声による認知支援出力の一例を示す図。
【図17】道なり路走行時の緊急車両との遭遇形態を示す模式図。
【図18】交差点接近時の緊急車両との遭遇形態を示す模式図。
【図19】音声のみによる運転誘導出力の一例を示す図。
【図20】表示と音声とを組み合わせた運転誘導出力の第一例を示す図。
【図21】同じく第二例を示す図。
【図22】同じく第三例を示す図。
【図23】同じく第四例を示す図。
【図24】走行路形状に応じて運転誘導出力内容を決定する処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0078】
1 車両用緊急車両接近検出システム
2 ECU(運転誘導内容決定手段)
11 視線カメラ(視線方向検出手段)
14 外部ステレオカメラ(緊急車両接近方向検出手段)
15 外部ステレオマイク(緊急車両接近方向検出手段)
16 カーナビゲーションシステム(走行路形状推定手段)
21 電子スロットル制御装置(走行抑制手段)
23 スロットルバルブ
51 アクセルペダル
53 アクセルペダル振動部(対応出力手段)
61 ブレーキペダル
62 ブレーキ反力モータ(制動支援手段、踏下反力制御手段)
71 シートバイブレータ(対応出力手段)
91 スピーカー(対応出力手段)
93 匂い発生器(対応出力手段)
110 モニタ(対応出力手段)
MC 自車
AB 緊急車両
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両上の異なる位置に設けられ、前記緊急車両が発するサイレン音を各々検出する複数のマイクロフォンと、
それら複数のマイクロフォンによる前記サイレン音の検出状態に基づいて、前記緊急車両の接近方向を特定する緊急車両接近方向特定手段と、
特定された前記緊急車両の接近方向に応じた認知支援及び運転支援の少なくともいずれかにかかる対応出力を行なう対応出力手段と、
を有することを特徴とする車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項2】
前記車両の運転者の視線方向を特定する視線方向特定手段と、
前記運転者の視線方向と前記緊急車両の接近方向との一致度を特定する一致度特定手段とを備え、
前記対応出力手段は、前記一致度が予め定められた許容範囲を逸脱することを条件として、前記緊急車両の接近に対する認知支援出力を行なう請求項1記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項3】
前記対応出力手段は、音声、光、画像、振動ないしそれらの2以上の組合せにより、前記緊急車両の接近を報知する出力を行なう請求項1又は請求項2に記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項4】
前記自車の走行路形状を推定する走行路形状推定手段と、
推定された前記走行路形状と前記緊急車両の接近方向とに応じて運転誘導内容を決定する運転誘導内容決定手段とを有し、
前記対応出力手段は、決定された前記運転誘導内容を出力するものである請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項5】
前記走行路形状推定手段は、前記車両に搭載されたカーナビゲーションシステムから走行路形状情報を取得する請求項4記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項6】
前記走行路形状推定手段が前記カーナビゲーションシステムから取得する走行路形状情報は、前記カーナビゲーションシステムが地図上に特定する現在走行路に係る、車両現在位置よりも前方に位置する走行予定路の線形情報であり、
前記運転誘導内容決定手段は、前記走行予定路が道なり形状であるか交差点形状であるかを区別した形で前記運転誘導内容を決定する請求項5記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項7】
前記走行予定路の形状によらず、前記緊急車両の接近方向が自車後方であった場合に、前記運転誘導内容決定手段は、道路端寄せ又はレーン変更を前記運転誘導内容として決定する請求項6記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項8】
前記走行予定路が道なり形状であって、前記緊急車両の接近方向が自車前方であった場合に、前記運転誘導内容決定手段は徐行運転を前記運転誘導内容として決定する請求項6記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項9】
前記走行予定路が交差点形状であって、前記緊急車両の接近方向が自車横方向であった場合に、前記運転誘導内容決定手段は、前記交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定する請求項6記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項10】
前記走行予定路が交差点形状であって、前記緊急車両の接近方向が自車前方であった場合に、前記運転誘導内容決定手段は、前記緊急車両が右折するか否かを推定するとともに、右折すると推定された場合に前記交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定する請求項6記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項11】
前記運転誘導内容決定手段は、前記緊急車両が右折しないと推定された場合に、前記交差点内の徐行運転を運転誘導内容として決定する請求項6記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項12】
前記運転誘導内容決定手段は、前記交差点手前での一旦停止を前記運転誘導内容として決定する請求項10又は請求項11に記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項13】
前記運転誘導内容出力手段は、前記運転誘導内容を音声、画像又はそれらの組合せにより出力するものである請求項4ないし請求項12のいずれか1項に記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項14】
前記運転誘導内容決定手段が交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定した場合に、前記自車の走行を抑制する走行抑制手段が設けられている請求項4ないし請求項13のいずれか1項に記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項15】
前記自動車は、前記アクセルペダルの踏下位置を検出するアクセルペダル踏下位置検出手段と、検出された踏下位置に応じてエンジン出力を電子制御するエンジン出力制御手段とを備えた電子エンジン制御装置を有するものであり、
前記走行抑制手段は、前記アクセルペダルの踏下量に応じたエンジン出力を通常時よりも制限するエンジン出力制限手段を有する請求項14記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項16】
前記運転誘導内容決定手段が交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定した場合に、前記自動車の制動を支援する制動支援手段が設けられている請求項4ないし請求項15のいずれか1項に記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項17】
前記制動支援手段は、制動支援時において、前記ブレーキペダルの踏下反力を通常時よりも増加させる踏下反力制御手段と、前記ブレーキペダルの踏下量に対するブレーキ圧の増加率を通常時よりも増加させるブレーキ圧制御手段とを有する請求項16に記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項1】
車両上の異なる位置に設けられ、前記緊急車両が発するサイレン音を各々検出する複数のマイクロフォンと、
それら複数のマイクロフォンによる前記サイレン音の検出状態に基づいて、前記緊急車両の接近方向を特定する緊急車両接近方向特定手段と、
特定された前記緊急車両の接近方向に応じた認知支援及び運転支援の少なくともいずれかにかかる対応出力を行なう対応出力手段と、
を有することを特徴とする車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項2】
前記車両の運転者の視線方向を特定する視線方向特定手段と、
前記運転者の視線方向と前記緊急車両の接近方向との一致度を特定する一致度特定手段とを備え、
前記対応出力手段は、前記一致度が予め定められた許容範囲を逸脱することを条件として、前記緊急車両の接近に対する認知支援出力を行なう請求項1記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項3】
前記対応出力手段は、音声、光、画像、振動ないしそれらの2以上の組合せにより、前記緊急車両の接近を報知する出力を行なう請求項1又は請求項2に記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項4】
前記自車の走行路形状を推定する走行路形状推定手段と、
推定された前記走行路形状と前記緊急車両の接近方向とに応じて運転誘導内容を決定する運転誘導内容決定手段とを有し、
前記対応出力手段は、決定された前記運転誘導内容を出力するものである請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項5】
前記走行路形状推定手段は、前記車両に搭載されたカーナビゲーションシステムから走行路形状情報を取得する請求項4記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項6】
前記走行路形状推定手段が前記カーナビゲーションシステムから取得する走行路形状情報は、前記カーナビゲーションシステムが地図上に特定する現在走行路に係る、車両現在位置よりも前方に位置する走行予定路の線形情報であり、
前記運転誘導内容決定手段は、前記走行予定路が道なり形状であるか交差点形状であるかを区別した形で前記運転誘導内容を決定する請求項5記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項7】
前記走行予定路の形状によらず、前記緊急車両の接近方向が自車後方であった場合に、前記運転誘導内容決定手段は、道路端寄せ又はレーン変更を前記運転誘導内容として決定する請求項6記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項8】
前記走行予定路が道なり形状であって、前記緊急車両の接近方向が自車前方であった場合に、前記運転誘導内容決定手段は徐行運転を前記運転誘導内容として決定する請求項6記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項9】
前記走行予定路が交差点形状であって、前記緊急車両の接近方向が自車横方向であった場合に、前記運転誘導内容決定手段は、前記交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定する請求項6記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項10】
前記走行予定路が交差点形状であって、前記緊急車両の接近方向が自車前方であった場合に、前記運転誘導内容決定手段は、前記緊急車両が右折するか否かを推定するとともに、右折すると推定された場合に前記交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定する請求項6記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項11】
前記運転誘導内容決定手段は、前記緊急車両が右折しないと推定された場合に、前記交差点内の徐行運転を運転誘導内容として決定する請求項6記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項12】
前記運転誘導内容決定手段は、前記交差点手前での一旦停止を前記運転誘導内容として決定する請求項10又は請求項11に記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項13】
前記運転誘導内容出力手段は、前記運転誘導内容を音声、画像又はそれらの組合せにより出力するものである請求項4ないし請求項12のいずれか1項に記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項14】
前記運転誘導内容決定手段が交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定した場合に、前記自車の走行を抑制する走行抑制手段が設けられている請求項4ないし請求項13のいずれか1項に記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項15】
前記自動車は、前記アクセルペダルの踏下位置を検出するアクセルペダル踏下位置検出手段と、検出された踏下位置に応じてエンジン出力を電子制御するエンジン出力制御手段とを備えた電子エンジン制御装置を有するものであり、
前記走行抑制手段は、前記アクセルペダルの踏下量に応じたエンジン出力を通常時よりも制限するエンジン出力制限手段を有する請求項14記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項16】
前記運転誘導内容決定手段が交差点内への進入を制限する運転誘導内容を決定した場合に、前記自動車の制動を支援する制動支援手段が設けられている請求項4ないし請求項15のいずれか1項に記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【請求項17】
前記制動支援手段は、制動支援時において、前記ブレーキペダルの踏下反力を通常時よりも増加させる踏下反力制御手段と、前記ブレーキペダルの踏下量に対するブレーキ圧の増加率を通常時よりも増加させるブレーキ圧制御手段とを有する請求項16に記載の車両用緊急車両接近検出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−67165(P2010−67165A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234950(P2008−234950)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
2.パトライト
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
2.パトライト
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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