説明

車両用衝突検知装置

【課題】チャンバ部材について、製品輸送時の取り回しが良く且つ肉厚の均一化が可能な車両用衝突検知装置を提供する。
【解決手段】バンパカバー3内でバンパレインフォースメント4の前面に配設され且つチャンバ空間が内部に形成されるチャンバ部材7と、チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサ8と、を備え、チャンバ部材7は、車幅方向に分割された複数の小チャンバ部材71〜73からなり、前記小チャンバ部材は、内部に小チャンバ空間71a〜73aを形成する本体部711、721、731と、前記本体部の少なくとも車幅方向一端に形成され内部が小チャンバ空間71a〜73aに連通する開口端部712、722、723、732と、を有し、複数の小チャンバ部材71〜73は、開口端部同士が連結されてチャンバ空間を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両への歩行者等の衝突を検知する衝突検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の安全性に関して、事故時に車両の搭乗者の安全性を確保するだけでなく、車両に歩行者が衝突したときに歩行者へのダメージを軽減することも求められている。そこで、歩行者の車両への衝突を検知して、例えばアクティブフードやカウルエアバッグ等の歩行者保護装置を作動させて、車両に衝突してボンネットに倒れ込んできた歩行者が受ける傷害値(歩行者が受ける衝撃)を低減するシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特開2006−117157号公報(特許文献1)に記載されているように、車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面にチャンバ部材が配設され、チャンバ空間内の圧力変化を圧力センサで検出することにより車両バンパへの歩行者等の衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置が提案されている。つまり、衝突によりチャンバ部材が変形し、それによるチャンバ空間内の圧力変化に基づいて歩行者等の衝突を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−117157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記車両用衝突検知装置において、チャンバ部材は、車両バンパ内の車幅方向のほぼ全域に設置する必要があり、チャンバ部材の形状が長ものとなっていた。その結果、製品輸送時の取り回しが悪く、余分なコストがかかっていた。また、チャンバ部材の成形では、長もののブロー成形となり、長手方向(車幅方向)の肉厚を均一にするのは困難であった。例えば、長ものを成形する際、長いが故にその自重により上方が薄く下方が厚くなってしまう。このように、肉厚が不均一となることで、性能が劣化してしまう虞がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、チャンバ部材について、製品輸送時の取り回しが良く且つ肉厚の均一化が可能な車両用衝突検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、車両バンパのバンパカバー内でバンパレインフォースメントの前面に配設され且つチャンバ空間が内部に形成されるチャンバ部材と、チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサと、を備え、当該圧力センサの検出結果に基づいてバンパカバーへの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、チャンバ部材は、車幅方向に分割された複数の小チャンバ部材からなり、小チャンバ部材は、内部に小チャンバ空間を形成する本体部と、本体部の少なくとも車幅方向一端に形成され内部が小チャンバ空間に連通する開口端部と、を有し、複数の小チャンバ部材は、開口端部同士が連結されてチャンバ空間を形成していることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、衝突が発生した際、複数の小チャンバ部材のうち一部(本体部及び/又は開口端部)が衝撃により潰れる。本構成では、複数の小チャンバ部材の開口端部同士が連結されて、複数の小チャンバ部材全体で1つのチャンバ空間を形成している。このため、衝突によってチャンバ空間全体に圧力変化が生じる。この圧力変化を圧力センサが検出し、衝突が検知される。そして、この構成によれば、車幅方向の幅が小さい小チャンバ部材ごとに製造及び輸送できるため、輸送時の取り回しが良好となり、チャンバ部材の肉厚を均一化することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、複数の小チャンバ部材が、開口端部同士が嵌合して連結されていることを特徴とする。この構成によれば、小チャンバ部材同士を容易且つ確実に連結させることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、小チャンバ部材が、開口端部に凸部を有することを特徴とする。この構成によれば、簡単な構造で小チャンバ部材同士を嵌合させ、抜け抑止効果が発揮される。
【0011】
請求項4に記載の発明は、チャンバ部材が、少なくとも3つの小チャンバ部材を備え、複数の小チャンバ部材のうち1つは、直線形状に形成され、チャンバ部材の車幅方向中央部分に配置されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、異なる種類の車両にチャンバ部材を搭載する場合も、共通するチャンバ部材中央部分、すなわち直線部分の小チャンバ部材を共用することがきる。車両バンパ等の形状が異なる車両に搭載する場合でも、例えば車幅方向端部の角度等を変更するだけで対応することができ、製造コストに優れた車両用衝突検知装置となる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、開口端部が、本体部の車幅方向端部のうち車両後方側に形成されていることを特徴とする。この構成によれば、衝突した際に、開口端部同士の連結部分に直接衝撃が加わらず、当該連結が外れにくくなる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、本体部同士の離間距離が、100mm以下であることを特徴とする。この構成によれば、小チャンバ部材同士の連結部分の幅が、衝突検知対象である歩行者の脚部の平均的な幅(直径およそ120mm)より小さくなる。これにより、衝突の際、脚部が当該連結部分(開口端部)のみに衝突することが防がれ、より確実に衝突を検知することができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、チャンバ部材の材料が、ポリエチレン(PE)であることを特徴とする。この構成によれば、チャンバ部材を成形しやすく、開口端部や凸部等も容易に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第一実施形態の車両用衝突検知装置1を平面視にて示す全体構成図である。
【図2】第一実施形態の車両用衝突検知装置1を横から見た要部断面図である。
【図3】第一実施形態の開口端部を示す要部断面図である。
【図4】第二実施形態の車両用衝突検知装置1Aを平面視にて示す全体構成図である。
【図5】第二実施形態の開口端部を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
【0018】
<第一実施形態>
第一実施形態について図1〜図3を参照して説明する。車両用衝突検知装置1は、図1に示すように、車両バンパ2内に配設されたチャンバ部材7と、圧力センサ8と、歩行者保護装置電子制御ユニット(以下、電子制御ユニットをECUと略記する)10と、を主体として構成されている。
【0019】
車両バンパ2は、図1,2に示すように、バンパカバー3、バンパレインフォースメント4、サイドメンバ5、アブソーバ6、及びチャンバ部材7を主体として構成されている。
【0020】
バンパカバー3は、車両前端にて車幅方向(左右方向)に延び、バンパレインフォースメント4、アブソーバ6、及びチャンバ部材7を覆うように車体に取り付けられる樹脂(例えば、ポリプロピレン)製カバー部材である。
【0021】
バンパレインフォースメント4は、バンパカバー3内に配設されて車幅方向に延びる金属製の構造部材であって、図2に示すように、内部中央に梁が設けられた日の字状断面を有する中空部材である。
【0022】
サイドメンバ5は、車両の左右両側に位置して車両前後方向に延びる一対の金属製部材であり、その前端に上述したバンパレインフォースメント4が取り付けられる。
【0023】
アブソーバ6は、バンパカバー3内でバンパレインフォースメント4の前面4aの下方側に取り付けられる車幅方向に延びる発泡樹脂製部材であり、車両バンパ2における衝撃吸収作用を発揮する。
【0024】
チャンバ部材7は、バンパカバー3内でバンパレインフォースメント前面4aの上方側に配置されている。チャンバ部材7は、全体として、ポリエチレンなどの軟質樹脂からなる車幅方向に延びる略箱形状の中空部材である。チャンバ部材7は、車幅方向に延びて内部に厚さ数mmの軟質樹脂の壁面によって囲まれた略密閉状のチャンバ空間7aを形成している。チャンバ部材7は、衝突により変形する部位であり、後述する圧力センサ8によりチャンバ空間7aの圧力変化が検出される。
【0025】
具体的に、チャンバ部材7は、車幅方向に分割された複数の小チャンバ部材、すなわち第一小チャンバ部材71と、第二小チャンバ部材72と、第三小チャンバ部材73と、から構成されている。
【0026】
第一小チャンバ部材71は、チャンバ部材7のうち左端部に位置する部材であり、本体部711と、開口端部712と、を有している。本体部711は、左端が底部で右端が開口した有底筒形状であり、車両バンパ2(又はバンパレインフォースメント4)の端部形状に合わせて屈曲(又は湾曲)している。本体部711は、内部に小チャンバ空間71aを形成している。
【0027】
開口端部712は、図3に示すように、本体部711の右端に形成された筒形状部位である。換言すると、開口端部712は、本体部711の開口した右端部から右方向に突出した部位である。開口端部712は、内部が小チャンバ空間71aに連通している。開口端部712中央には、自身を外方に湾曲(又は屈曲)して形成した凸部712aが設けられている。
【0028】
第二小チャンバ部材72は、チャンバ部材7のうち中央部に位置する部材であり、本体部721と、開口端部722、723と、延設部724と、を有している。本体部721は、車幅方向両端が開口した筒形状であり、車幅方向に延びる直線形状に形成されている。本体部721は、内部に小チャンバ空間72aを形成している。
【0029】
開口端部722(723)は、本体部721の左端(右端)に形成された筒形状部位である。換言すると、開口端部722(723)は、本体部721の開口した左端部(右端部)から左方向(右方向)に突出した部位である。開口端部722、723は、内部が小チャンバ空間72aに連通している。開口端部722、723中央には、自身を外方に湾曲(又は屈曲)して形成した凸部722a、723aが全周に設けられている。
【0030】
開口端部722は、図3に示すように、第一小チャンバ部材71の開口端部712の外側に重なって配置されており、凸部722a、712a同士が嵌合している。開口端部722の開口は、第一小チャンバ部材71の開口端部712の開口よりも若干大きくなっている。これにより、第一小チャンバ部材71と第二小チャンバ部材72とが連結され、両小チャンバ空間71a、72aが連通している。同様に、開口端部723は、後述する第三小チャンバ部材73の開口端部732の外側に重なって配置されている。
【0031】
延設部724は、軟質樹脂によって本体部721と一体的に成形され、本体部721の車幅方向の略中央部分からバンパレインフォースメント上面4bの上方に延び、車体前方側から車体後方側へ延設された部位である。延設部724の内部空間は、小チャンバ空間72aと連通しており、小チャンバ空間72aの一部分を形成している。また、延設部724の上部には、小チャンバ空間72a(チャンバ空間7a)を外部に連通させる差込口724aが設けられている。
【0032】
延設部724上部における差込口724a近傍には、インサート部材724bがインサート成形されている。インサート成形は、ブロー成形法の一つであり、インサート部材724bを金型内に設置し、軟質性樹脂を膨らますことにより本体部721と一体化される。インサート部材724bは、チャンバ部材7の材質である軟質性樹脂よりも硬質の材質、例えば、鉄等の金属や、ナイロン、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の硬質樹脂から成る。インサート部材724bは、後述する圧力センサ8をチャンバ部材7(本体部721)に取り付けるための部材である。つまり、圧力センサ8は、インサート部材724bにネジ止めされる。インサート部材724bには、差込口724aに対応した貫通孔が設けられている。
【0033】
第三小チャンバ部材73は、チャンバ部材7のうち右端部分に位置する部材であり、本体部731と、開口端部732と、を有している。本体部731は、右端が底部で左端が開口した有底筒形状であり、車両バンパ2(又はバンパレインフォースメント4)の端部形状に合わせて屈曲(又は湾曲)している。本体部731は、内部に小チャンバ空間73aを形成している。
【0034】
開口端部732は、本体部731の左端に形成された筒形状部位である。換言すると、開口端部732は、本体部731の開口した左端部から左方向に突出した部位である。開口端部732は、内部が小チャンバ空間73aに連通している。開口端部732中央には、自身を外方に湾曲(又は屈曲)して形成した凸部732aが設けられている。開口端部732は、第一小チャンバ部材71同様、第二小チャンバ部材72の開口端部723の内側に嵌め込まれており、凸部732a、723aにより嵌合している。
【0035】
このように、チャンバ部材7は、複数の小チャンバ部材71〜73が連結して形成されている。複数の小チャンバ部材71〜73は、開口端部712、722、723、732同士が連結し小チャンバ空間71a〜73aが互いに連通することで、1つのチャンバ空間7aを形成している。嵌め込み後の小チャンバ部材71〜73は、全体で1つのチャンバ部材7として機能する。なお、連結部分(開口端部)の内部空間もチャンバ空間7aを構成している。
【0036】
本実施形態において、各開口端部712、722、723、732は、車幅方向の長さがおよそ100mmであり、連結された状態では重なり合っている。つまり、隣り合う本体部711、721、731同士の離間距離rは、およそ100mmとなっている。なお、チャンバ部材7には、呼吸孔(図示なし)が設けられている。
【0037】
圧力センサ8は、気体圧力を検出可能なセンサ装置であり、チャンバ部材7に組付けられてチャンバ空間7a内の圧力変化を検出可能に構成されている。詳細には、圧力センサ8は、センサ本体81と圧力導入管82とを備えている。センサ本体81は、チャンバ部材7の外部にあって、圧力検出用のセンサ素子等が設けられた基板等を収容した部位である。センサ本体81は、圧力信号を出力し、信号線10aを介して歩行者保護装置ECU10へ信号送信する。センサ本体81は、フランジ部分が延設部724のインサート部材724bにネジ止めされて固定されている。
【0038】
圧力導入管82は、チャンバ空間7aの圧力をセンサ本体81に導入する略円筒状の管であり、センサ本体81から下方に伸びている。圧力導入管82は、チャンバ本部材7の延設部724に設けられた差込口724aに差し込まれている。センサ本体81は、圧力導入管82を介してチャンバ空間7aの圧力を検出する。
【0039】
歩行者保護装置ECU10は、図示しない歩行者保護装置(たとえば公知の歩行者保護用のエアバッグやフード跳ね上げ装置など)の起動制御を行うための電子制御装置であり、圧力センサ8から出力される信号が伝送線10aを介して入力されるように構成されている。歩行者保護装置ECU10は、圧力センサ8における圧力検出結果に基づいて、車両バンパ2へ歩行者(すなわち、人体)が衝突したか否かを判別する処理を実行する。
【0040】
本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、衝突が発生した際、小チャンバ部材71〜73のうち一部(本体部及び/又は開口端部)が衝撃により潰れる。本実施形態では、小チャンバ部材71〜73の開口端部712、722、723、732同士が連結されて全体で1つのチャンバ空間7aを形成しているため、衝突によってチャンバ空間7a全体に圧力変化が生じる。この圧力変化を圧力センサ8が検出し、バンパカバー3への衝突が検知される。
【0041】
ここで、本実施形態よれば、チャンバ部材7が車幅方向に分割された複数の小チャンバ部材71〜73で構成されているため、1部材の長さが短くなる。これにより、成形時には厚さの均一化が可能となり、輸送時には分割して運搬すればよく取り回しが良好となる。輸送コスト等の削減が可能となる。また、チャンバ部材7の厚さが均一化されることで、同じ衝突に対する圧力変化量を一定に近づけることができる。つまり、本実施形態によれば、衝突検知精度を向上させることができる。
【0042】
本実施形態によれば、例えばチャンバ部材7が全長1600mmと長ものである場合でも、第一小チャンバ部材71を500mm、第二小チャンバ部材72を800mm、第三小チャンバ部材73を500mmと、小さく分割して製造・輸送することができる。
【0043】
また、本実施形態では、小チャンバ空間71a〜73aが連通しているため、小チャンバ部材71〜73毎に圧力センサ8を設ける必要がなく、少なくとも1つの圧力センサ8を設置するだけで足りる。つまり、製造コストを抑えることが可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、小チャンバ部材71〜73の本体部711、721、731の離間距離rが100mmとなっている。これは、歩行者の脚部の平均的な直径(およそ120mm)を考慮したものであり、上記離間距離rは脚部直径よりも小さくなっている。これにより、衝突の際、歩行者の脚部が、本体部711、721、731の何れかを押しやすくなる。つまり、衝突の際、歩行者の脚部が、チャンバ部材7の均一化された衝突検知精度が高い部分を潰しやすくなる。本実施形態によれば、精度良く衝突検知することができる。上記離間距離rは、100mm以下が好ましいが、さらには脚部の半径より小さい50mm以下であることが好ましい。ただし、上記離間距離rを10mm以上にする、あるいは抜け防止構造を設けることで、ある程度の連結強度を保つことが好ましい。
【0045】
また、本実施形態では、チャンバ部材7の中央部分に直線形状の第二小チャンバ部材72を配置しているため、第二小チャンバ部材72については、バンパ形状が異なる他の車両にも共用することができる。つまり、搭載車種が変わっても車幅方向中央部分は共用し、第一小チャンバ部材71及び第三小チャンバ部材73のみを設計変更すれば足りる。つまり、製造コストの抑制が可能となる。
【0046】
なお、本実施形態の車両用衝突検知装置1は、上記構成に限られない。例えば、2つの圧力センサ8をチャンバ部材7に設けてもよい。この場合、チャンバ部材7に延設部724を2箇所設けてもよい。2つの圧力センサ8の一方をセーフィングセンサとして用いてもよい。
【0047】
また、小チャンバ部材71〜73の連結は、凸部のような引っかかり手段を設けず、嵌め込みや圧入のみで行ってもよい。また、各凸部は内側に湾曲(又は屈曲)しているものでもよい。また、各小チャンバ部材71〜73に凸部の代わりねじ切りを設け、より強固な抜け防止構造としてもよい。
【0048】
また、チャンバ部材7は、2以上の小チャンバ部材からなればよく、3部材に限られない。チャンバ部材7の分割位置は、チャンバ部材7搭載時にバンパレインフォースメント4の屈曲部分に対応する位置としてもよい。これにより、本体部に屈曲形状を設けずに小チャンバ部材を成形することができ、成形が容易となり得る。
【0049】
<第二実施形態>
第二実施形態の車両用衝突検知装置1Aについて、図4及び図5を参照して説明する。第二実施形態では、小チャンバ部材の開口端部が本体部の車両後方側(バンパレインフォース4側)に形成されている点で第一実施形態と異なる。したがって、異なる部分について説明し、第一実施形態と同様の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0050】
図4に示すように、第一小チャンバ部材71Aは、本体部711Aと、開口端部712Aと、を有している。本体部711Aは、略箱形状の中空部材であり、右端の車両後方が開口している。開口端部712Aは、筒形状であり、本体部711Aの右端の開口から右方向に突出している。開口端部712Aは、内部が小チャンバ空間71aに連通している。開口端部712Aには、第一実施形態同様、凸部712aが設けられている。
【0051】
第二小チャンバ部材72Aは、本体部721Aと、開口端部722A、723Aと、延設部724と、を有している。本体部721Aは、略箱形状の中空部材であり、車幅方向両端の車両後方が開口している。開口端部722A(723A)は、筒形状であり、本体部721Aの左端(右端)の開口から左方向(右方向)に突出している。開口端部722A(723A)は、内部が小チャンバ空間72aに連通している。開口端部722A、723Aには、第一実施形態同様、凸部722a、723aが設けられている。
【0052】
第三小チャンバ部材73Aは、本体部731Aと、開口端部732Aと、を有している。本体部731Aは、略箱形状の中空部材であり、左端の車両後方が開口している。開口端部732Aは、筒形状であり、本体部731Aの左端の開口から左方向に突出している。開口端部732Aは、内部が小チャンバ空間73aに連通している。開口端部732Aには、第一実施形態同様、凸部732aが設けられている。
【0053】
図5に示すように、第一小チャンバ部材71Aの開口端部712Aは、第二小チャンバ部材72Aの開口端部722Aの内側に嵌め込まれて嵌合している。開口端部712Aの凸部712aと開口端部722Aの凸部722aは重なって配置されている。同様に、第三小チャンバ部材73Aの開口端部731Aは、第二小チャンバ部材72Aの開口端部723Aの内側に嵌め込まれて嵌合している。開口端部723Aの凸部723aと開口端部732Aの凸部732aは重なって配置されている。
【0054】
複数の小チャンバ部材71A〜73Aは、小チャンバ空間71a〜73aが互いに連通することで、1つのチャンバ空間7aを形成している。隣り合う本体部711A、721A、732Aの離間距離rは、50mmとなっている。
【0055】
第二実施形態によれば、第一実施形態の効果に加えて、以下の効果が発揮される。すなわち、第二実施形態では、小チャンバ部材71A〜73A同士を連結する開口端部712A〜732Aが車両後方側に設けられているため、当該連結部分が衝突時に直接押されることがなく、連結抜けが抑制される。本構成によれば、第一実施形態よりも、連結部分の衝突検知性能への影響が小さくなる。
【0056】
さらに、チャンバ部材7Aの車両後方側は、ブロー成形時において、パーティングライン付近となる。したがって、車両後方側に位置する開口端部の肉厚を厚くすることが可能であり、これにより、より強固な連結が可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1、1A:車両用衝突検知装置、
2:車両バンパ、 3:バンパカバー、 4:バンパレインフォースメント、
5:サイドメンバ、 6:アブソーバ、 7:チャンバ部材、
71、71A:第一小チャンバ部材、
711、711A:本体部、 712、712A:開口端部、
72、72A:第二小チャンバ部材、
721、721A:本体部、 722、722A、723、723A:開口端部、
724:延設部、
73、73A:第三小チャンバ部材、
731、731A:本体部、 732、732A:開口端部、
8:圧力センサ、 10:歩行者保護装置ECU、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両バンパのバンパカバー内でバンパレインフォースメントの前面に配設され且つチャンバ空間が内部に形成されるチャンバ部材と、前記チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサと、を備え、当該圧力センサの検出結果に基づいて前記バンパカバーへの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、
前記チャンバ部材は、車幅方向に分割された複数の小チャンバ部材からなり、
前記小チャンバ部材は、内部に小チャンバ空間を形成する本体部と、前記本体部の少なくとも車幅方向一端に形成され内部が前記小チャンバ空間に連通する開口端部と、を有し、
前記複数の小チャンバ部材は、前記開口端部同士が連結されて前記チャンバ空間を形成していることを特徴とする車両用衝突検知装置。
【請求項2】
前記複数の小チャンバ部材は、前記開口端部同士が嵌合して連結されている請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項3】
前記小チャンバ部材は、前記開口端部に凸部を有する請求項2に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項4】
前記チャンバ部材は、少なくとも3つの前記小チャンバ部材を備え、
前記複数の小チャンバ部材のうち1つは、直線形状に形成され、前記チャンバ部材の車幅方向中央部分に配置されている請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項5】
前記開口端部は、前記本体部の車幅方向端部のうち車両後方側に形成されている請求項1〜4の何れか一項に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項6】
前記本体部同士の離間距離は、100mm以下である請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項7】
前記チャンバ部材の材料は、ポリエチレンである請求項1〜6の何れか一項に記載の車両用衝突検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−121523(P2012−121523A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275910(P2010−275910)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)