車両用衝突検知装置
【課題】車両バンパの車幅方向端部への衝突を検知可能な車両用衝突検知装置を提供する。
【解決手段】車両バンパ2のバンパカバー3内でバンパレインフォースメント4の前面に配設され且つチャンバ空間が内部に形成されるチャンバ部材7と、チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサ8と、を備え、圧力センサ8の検出結果に基づいてバンパカバー3への衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、バンパカバー3内の車幅方向端部に配置され、バンパカバー3の車幅方向端部への衝突に対して、チャンバ空間を圧縮する方向にチャンバ部材7を変形させる補強部9を備える。
【解決手段】車両バンパ2のバンパカバー3内でバンパレインフォースメント4の前面に配設され且つチャンバ空間が内部に形成されるチャンバ部材7と、チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサ8と、を備え、圧力センサ8の検出結果に基づいてバンパカバー3への衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、バンパカバー3内の車幅方向端部に配置され、バンパカバー3の車幅方向端部への衝突に対して、チャンバ空間を圧縮する方向にチャンバ部材7を変形させる補強部9を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両への歩行者等の衝突を検知する衝突検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の安全性に関して、事故時に車両の搭乗者の安全性を確保するだけでなく、車両に歩行者が衝突したときに歩行者へのダメージを軽減することも求められている。そこで、歩行者の車両への衝突を検知して、例えばアクティブフードやカウルエアバッグ等の歩行者保護装置を作動させて、車両に衝突してボンネットに倒れ込んできた歩行者が受ける傷害値(歩行者が受ける衝撃)を低減するシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特開2006−117157号公報(特許文献1)に記載されているように、車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面にチャンバ部材が配設され、チャンバ空間内の圧力変化を圧力センサで検出することにより車両バンパへの歩行者等の衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置が提案されている。つまり、衝突によりチャンバ部材が変形し、それによるチャンバ空間内の圧力変化に基づいて歩行者等の衝突を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−117157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような車両用衝突検知装置において、チャンバ部材は、車両要件により車両バンパの車幅方向端部に設置することができない場合が多い。この場合、車両バンパの車幅方向端部への衝突に対し、バンパカバーの当該衝突部分のみが変形し(凹み)、そこに延在しないチャンバ部材は当該衝突により変形しがたい。つまり、チャンバ部材を用いた車両用衝突検知装置では、チャンバ部材が延在しない車両バンパの車幅方向端部への衝突を検知することが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、車両バンパの車幅方向端部への衝突を検知可能な車両用衝突検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、車両バンパのバンパカバー内でバンパレインフォースメントの前面に配設され且つチャンバ空間が内部に形成されるチャンバ部材と、チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサと、を備え、当該圧力センサの検出結果に基づいてバンパカバーへの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、バンパカバー内の車幅方向端部に配置され、バンパカバーの車幅方向端部への衝突に対して、チャンバ空間を圧縮する方向にチャンバ部材を変形させる補強部を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、補強部が車幅方向端部に配置されていることにより、バンパカバーの車幅方向端部への衝突に対して、補強部がチャンバ部材を圧縮方向に変形させる。補強部は、少なくとも、チャンバ部材が延在しないバンパカバー内の車幅方向端部に配置されている。これにより、チャンバ空間内の圧力が変化し、車両バンパの車幅方向端部への衝突を検知することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、補強部が、チャンバ部材以上の剛性を有し、チャンバ部材の車幅方向端部前面からバンパカバーの車幅方向端部に向かって延在していることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、補強部は、車幅方向の一方側(チャンバ部材)にのみ接続されているため、衝突に対して、自身の形状を保ちつつ全体的に車両後方へ移動する。すなわち、補強部は、衝突に対して、変形する(凹む)よりも全体的に車両後方へ移動する。この補強部の移動に伴い、チャンバ部材の車幅方向端部前面も車両後方へ移動する。つまり、衝突に対して、チャンバ部材の車幅方向端部が車両後方に押し潰され、チャンバ空間は圧縮される。これにより、車幅方向端部への衝突が検知される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、補強部が、チャンバ部材と同じ材料によりチャンバ部材と一体成形されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、部品点数や作業工数を増やすことなく補強部を形成することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、補強部が、硬質樹脂または金属であり、チャンバ部材と一体成形されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、軟質樹脂からなるチャンバ部材よりも剛性が大きくなり、衝突に対して補強部の形状が変化しがたく、より確実に衝突を検知することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、補強部が、車両前方側及び車両後方側の少なくとも一方に延びるリブを有することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、補強部の延伸部分の剛性が大きくなり、車幅方向端部に対するより確実な衝突検知が可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、補強部が、チャンバ部材の車幅方向端部からバンパカバーの車幅方向端部に向かう延伸部分の延伸方向直交断面がコの字形状となっていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、補強部の成形が容易である上、補強部の剛性を大きくできる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、補強部が、バンパカバーに設けられ、補強部は、バンパカバーの車幅方向端部における車両前方部位、車両上方部位、及び、車両下方部位の少なくとも一部位に配置されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、バンパカバーの車幅方向端部の剛性が大きくなり、当該端部への衝突に対して、補強部が延在する部分が全体的に車両後方に移動する。これに伴い、チャンバ部材の車両方向端部は、直接的又は間接的車両後方に押し潰される。直接的とは、補強部とチャンバ部材が当接して、補強部が直接チャンバ部材を押し潰すことである。間接的とは、補強部とチャンバ部材は当接しないものの、補強部が全体的に車両後方へ移動することで、チャンバ部材前方のバンパカバーが車両後方へ引っ張られ、バンパカバーによりチャンバ部材を押し潰すことである。この構成によっても、車幅方向端部への衝突を検知することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項7における補強部が、硬質樹脂又は金属を材料とした補強部材であることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、バンパカバーの車幅方向端部の剛性が大きくなり、より確実に衝突検知が可能となる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項7における補強部が、バンパカバーと同じ材料によりバンパカバーと一体成形されてもよい。
【0024】
この構成によれば、部品点数や作業工数の増加が防止されると共に、バンパカバー車幅方向端部の剛性が大きくなり、衝突検知が可能となる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、チャンバ部材の車幅方向端部が、バンパレインフォースメントの車幅方向端部から車両前方に離間していることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、チャンバ部材の車幅方向端部が車両後方に押し潰された際における、バンパレインフォースメントの車幅方向端部の角とチャンバ部材とが強く接触することによるチャンバ部材の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第一実施形態の車両用衝突検知装置1を平面視にて示す全体構成図である。
【図2】第一実施形態の車両用衝突検知装置1を横から見た要部断面図である。
【図3】第一実施形態における衝突時の車両バンパの車幅方向端部を示す模式平面図である。
【図4】第二実施形態の車両バンパの車幅方向端部を示す模式平面図である。
【図5】図4におけるA−A線断面図である。
【図6】第二実施形態のその他の態様の図4におけるA−A線断面図である。
【図7】第三実施形態の車両バンパの車幅方向端部を示す模式平面図である。
【図8】第四実施形態の車両バンパの車幅方向端部を示す模式平面図である。
【図9】車両後方側から見た第四実施形態の車両バンパの車幅方向端部を示す模式図である。
【図10】第四実施形態のその他の態様を示す模式平面図である。
【図11】車両後方側から見た第四実施形態のその他の態様を示す模式図である。
【図12】車両後方側から見た第四実施形態のその他の態様を示す模式図である。
【図13】車両後方側から見た第四実施形態のその他の態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
【0029】
<第一実施形態>
第一実施形態について図1〜図3を参照して説明する。車両用衝突検知装置1は、図1に示すように、車両バンパ2内に配設されたチャンバ部材7と、圧力センサ8と、補強部9と、歩行者保護装置電子制御ユニット(以下、電子制御ユニットをECUと略記する)10と、を主体として構成されている。
【0030】
車両バンパ2は、図1,2に示すように、バンパカバー3、バンパレインフォースメント4、サイドメンバ5、アブソーバ6、チャンバ部材7、及び補強部9を主体として構成されている。
【0031】
バンパカバー3は、車両前端にて車幅方向(左右方向)に延び、バンパレインフォースメント4、アブソーバ6、及びチャンバ部材7を覆うように車体に取り付けられる樹脂(例えば、ポリプロピレン)製カバー部材である。
【0032】
バンパレインフォースメント4は、バンパカバー3内に配設されて車幅方向に延びる金属製の構造部材であって、図2に示すように、内部中央に梁が設けられた日の字状断面を有する中空部材である。
【0033】
サイドメンバ5は、車両の左右両側に位置して車両前後方向に延びる一対の金属製部材であり、その前端に上述したバンパレインフォースメント4が取り付けられる。
【0034】
アブソーバ6は、バンパカバー3内でバンパレインフォースメント4の前面4aの下方側に取り付けられる車幅方向に延びる発泡樹脂製部材であり、車両バンパ2における衝撃吸収作用を発揮する。
【0035】
チャンバ部材7は、バンパカバー3内でバンパレインフォースメント前面4aの上方側に配置され、ポリエチレンなどの軟質樹脂からなる車幅方向に延びる略箱状の中空部材である。チャンバ部材7の後端部には下方へ延設された舌状片11が設けられ、チャンバ部材7は、その舌状片11を介してリベット止め等によってバンパレインフォースメント前面4aに対して固定される。より詳細には、チャンバ部材7は、本体部71と、延設部72とを備えている。
【0036】
本体部71は、チャンバ部材7の大部分を占めており、車幅方向に延びて内部に厚さ数mmの軟質樹脂の壁面によって囲まれた略密閉状のチャンバ空間7aを形成している。本体部71は、衝突により変形する部位であり、本体部71内の圧力変化がチャンバ空間7aの圧力変化として検出される。本体部71がチャンバ部材7の機能を発揮する本質的部分である。
【0037】
ここで、本体部71の車幅方向端部は、外方に凸状に膨らんだ形状となっている。つまり、チャンバ部材7(本体部71)の車幅方向の一端及び他端は、バンパレインフォースメント前面4aから車両前方に離間している。両者が離間して配置されていることにより、チャンバ部材7の車幅方向端部での変形があった際、チャンバ部材7の当該端部がバンパレインフォースメント4の角部により損傷することが軽減又は防止される。
【0038】
延設部72は、軟質樹脂によって本体部71と一体的に成形され、本体部71の車幅方向の略中央部分からバンパレインフォースメント上面4bの上方に延び、車体前方側から車体後方側へ延設された部位である。延設部71aの内部空間は、本体部71の内部空間と連通しており、チャンバ空間7aの一部分を形成している。また、延設部72の上部には、内部空間(すなわち、チャンバ空間7a)を外部に連通させる差込口72aが設けられている。
【0039】
延設部72上部における差込口72a近傍には、インサート部材72bがインサート成形されている。インサート成形は、射出成形法の一つであり、インサート部材72bを金型内に設置し、軟質性樹脂を注入することによりチャンバ部材7と一体化される。インサート部材72bは、チャンバ部材7の材質である軟質性樹脂よりも硬質の材質、例えば、鉄等の金属や、ナイロン、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の硬質樹脂から成る。インサート部材72bは、後述する圧力センサ8をチャンバ部材7に取り付けるための部材である。つまり、圧力センサ8は、インサート部材72bにネジ止めされる。インサート部材72bには、差込口72aに対応した貫通孔が設けられている。
【0040】
圧力センサ8は、気体圧力を検出可能なセンサ装置であり、チャンバ部材7に組付けられてチャンバ空間7a内の圧力変化を検出可能に構成されている。詳細には、圧力センサ8は、センサ本体81と圧力導入管82とを備えている。センサ本体81は、チャンバ部材7の外部にあって、圧力検出用のセンサ素子等が設けられた基板等を収容した部位である。センサ本体81は、圧力に比例した電圧信号を出力し、信号線10aを介して歩行者保護装置ECU10へ信号送信する。センサ本体81は、フランジ部分が延設部72のインサート部材72bにネジ止めされて固定されている。
【0041】
圧力導入管82は、チャンバ空間7aの圧力をセンサ本体81に導入する略円筒状の管であり、センサ本体81から下方に伸びている。圧力導入管82は、チャンバ部材7の延設部72に設けられた差込口72aに差し込まれている。センサ本体81は、圧力導入管82を介してチャンバ空間7aの圧力を検出する。
【0042】
歩行者保護装置ECU10は、図示しない歩行者保護装置(たとえば公知の歩行者保護用のエアバッグやフード跳ね上げ装置など)の起動制御を行うための電子制御装置であり、圧力センサ8から出力される信号が伝送線10aを介して入力されるように構成されている。歩行者保護装置ECU10は、圧力センサ8における圧力検出結果に基づいて、車両バンパ2へ歩行者(すなわち、人体)が衝突したか否かを判別する処理を実行する。
【0043】
補強部9は、板状であり、チャンバ部材7と同じ材料(ポリエチレン)により、チャンバ部材7と一体成形されている。補強部9は、図1及び図3に示すように、チャンバ部材7の車幅方向端部前面からバンパカバー3の車幅方向端部に向けて延在している。つまり、補強部9は、チャンバ部材7の前面に位置する接続部91と、チャンバ部材7の車幅方向端部からバンパカバー3の車幅方向端部に向かって延伸する延伸部92と、を有している。補強部9の剛性は、チャンバ部材7の剛性以上となっている。つまり、補強部9の厚みは、チャンバ部材7の肉厚以上に形成されている。
【0044】
ここで、本実施形態における補強部9とチャンバ部材7の成形方法を説明する。チャンバ部材7は、ブロー成形により形成される。本実施形態では、チャンバ部材7は、ブロー成形におけるパーティングライン(PL)がチャンバ部材7(本体部71)の車両後方側に位置するように形成される。つまり、チャンバ部材7は、深さ(パーティングラインの位置)が異なる1組の金型を用いて成形する。チャンバ部材7は、金型内の樹脂に空気を入れ込み、樹脂を膨張させて成形するため、金型深さが浅い方(パーティングラインから近い方)に形成される壁面の肉厚が大きくなる。
【0045】
ここで、本実施形態において、このパーティングラインが、チャンバ部材7の車幅方向端部でチャンバ部材7の車両前方に移動するように金型を配置し、ブロー成形する。つまり、パーティングラインが車幅方向端部でチャンバ部材7の前面(車両前方側)に移動するように金型を配置することで、肉厚部分を前面側に移動させることができる。チャンバ部材7は、パーティングラインが車幅方向中央部で車両後方側に位置し、車幅方向端部で車両前方側に位置している。そして、この肉厚部分をさらに車幅方向に延長して形成することで、チャンバ部材7の前面及び車幅方向端部に向かって延伸する補強部9が形成される。これによれば、チャンバ部材7の作製と同時に、容易に補強部9を形成することができる。なお、補強部9の厚みは、チャンバ部材7(本体部71)の最大肉厚と同等のおよそ3〜4mmとなる。また、接続部91の車幅方向の幅は、およそ150mmとなるように形成するのが好ましい。
【0046】
第一実施形態の作用効果について説明する。図3に示すように、本実施形態において車両バンパ2の車幅方向端部に衝突物Xが衝突した場合、バンパカバー3の衝突した部位が車両後方に凹む。同時に、チャンバ部材7にのみ接続され且つチャンバ部材7以上の剛性を有する補強部9は、バンパカバー3の凹みにより全体的に車両後方に押し込まれる。衝突では、最初にバンパカバー3に衝突するため、補強部9が受ける衝撃は小さくなる。また、補強部9は、両端固定されておらず且つ自身の剛性以下のチャンバ部材7の前面に接続されているため、車両後方への移動が可能となっている。このような構成により、衝突に対して補強部9は全体的に車両後方に移動する。なお、衝突により補強部9が多少変形する場合もあり得るが、その場合でも補強部9は全体として車両後方に移動する。
【0047】
そして、補強部9の接続部91は、チャンバ部材7の前面を車両後方に押し込み、チャンバ部材7の車幅方向端部が変形(凹み)する。つまり、チャンバ空間7aは圧縮され、チャンバ空間7a内の圧力は上昇する。圧力センサ8は、この圧力変化を検出し、歩行者保護装置ECU10に送信する。このように、補強部9は、車幅方向端部への衝突に対して、チャンバ部材7をチャンバ空間7aが圧縮する方向に変形させる。これにより、チャンバ空間7a内の圧力が変化し、歩行者保護装置ECU10は、衝突を検知することができる。本実施形態によれば、歩行者検出範囲をチャンバ部材7の延在しない範囲にまで拡大することができる。
【0048】
また、本実施形態では、補強部9とチャンバ部材7とが同じ材料で一体成形されるため、工数の増加を防ぎ、製造効率の面でも有利である。さらに、車幅方向端部でバンパレインフォースメント4とチャンバ部材7が離間して配置されているため、補強部9により車幅方向端部への衝突に対してもチャンバ部材7が変形する本構成において、チャンバ部材7の当該端部の損傷を軽減・防止することができる。
【0049】
なお、補強部9がない場合、バンパカバー3が部分的に変形する(凹む)だけで、チャンバ部材7はほとんど変形せず、チャンバ空間7aに衝突の有無を判別できるほどの圧力変化は生じない。
【0050】
<第二実施形態>
第二実施形態について図4及び図5を参照して説明する。第二実施形態は、第一実施形態と補強部9の形状が異なるだけであり、第一実施形態と同構成については同符号を付して説明は省略する。
【0051】
図4及び図5に示すように、補強部90は、接続部91と、延伸部921と、を備えている。補強部90は、チャンバ部材7と同じ材料によりチャンバ部材7と一体成形されている。延伸部921は、チャンバ部材7の車幅方向端部からバンパカバー3の車幅方向端部に向かって延伸している。
【0052】
延伸部921は、図5に示すように、リブ921aを2つ有している。両リブ921aは、延伸部921に沿って延びる板状であり、延伸部921の車両上下方向端部から車両後方側に向かって突出している。つまり、延伸部92Aの延伸方向直交断面(図4のA−A線断面図)の形状は、コの字形状となっている。形状により断面二次モーメントを大きくすることで延伸部921の剛性は大きくなり、車幅方向端部への衝突に対して補強部90が全体的に車両後方に移動しやすくなる。つまり、衝突に対して、より確実にチャンバ部材7を変形させることができる。また、上記コの字形状は比較的成形しやすく、成形性の面でも適している。
【0053】
なお、延伸部921は、リブ921aを1つ以上有すればよく、例えば、延伸方向直交断面がT字形状となっていてもよい。また、延伸部921はリブ921aを3つ以上有していてもよく、例えば図6に示すように、延伸方向直交断面が櫛歯形状となっていてもよい。これにより、延伸部921の剛性をより大きくすることができる。
【0054】
<第三実施形態>
第三実施形態について図7を参照して説明する。第三実施形態は、第一又は第二実施形態の補強部と比べ、材料及び成形方法が異なっている。したがって、構成としては、図1及び図3と同様である。第一実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明は省略する。
【0055】
第三実施形態の補強部900は、図7に示すように、板状であり、第一実施形態と異なり、硬質樹脂を材料としている。硬質樹脂とは、チャンバ部材7に用いられる樹脂よりも剛性(ここではヤング率)が大きい樹脂であり、例えばポリプロピレン(PP)やポリブチレンテレフタレート(PBT)である。
【0056】
補強部900とチャンバ部材7とは、インサート成形により一体成形される。インサート成形は、射出成形法の一つであり、予め成形された補強部900を金型内に設置し、軟質樹脂を注入することによりチャンバ部材7と一体化される。補強部900の配置は、図1及び図7に示すように、第一実施形態と同様(接続部と延伸部を有する)である。これにより、第一実施形態と同様の効果が得られる。また、補強部900の剛性を大きくすることができる。なお、補強部900の材料は、硬質樹脂に限られず、アルミニウム等の金属でもよい。これによっても、補強部900の剛性を大きくすることができる。
【0057】
また、補強部900は、第二実施形態のように、延伸部にリブ921aを設けてもよい。これにより、第二実施形態と同様の効果が得られる。補強部900の延伸方向直交断面は、例えば、コの字形状、T字形状、又は、櫛歯形状であってもよい。
【0058】
<第四実施形態>
第四実施形態について図8及び図9を参照して説明する。なお、第一実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明は省略する。
【0059】
第三実施形態における補強部9Aは、図8及び図9に示すように、バンパカバー3の内側で、バンパカバー3に取り付けられている。取り付けは、例えば、ねじ止めや嵌め込みなどでよい。補強部9Aは、板状の補強部材であり、硬質樹脂を材料としている。補強部9Aは、バンパカバー3の車幅方向端部であって、車両前方部位に配置されている。換言すると、補強部9Aは、バンパカバー3の前面内側において、チャンバ部材7の車幅方向端部の車両側方側に配置されている。補強部9Aは、左右の長さがチャンバ部材7の車幅方向端部からバンパカバー3の車幅方向端部まで延在し、上下の幅はチャンバ部材7と同等となっている。
【0060】
補強部9Aは、バンパカバー3の車幅方向端部におけるチャンバ部材7が延在しない部分の剛性を大きくする。これにより、車幅方向端部への衝突に対し、部分的ではなく、バンパカバー3の車幅方向端部が全体的に車両後方に押し込まれやすくなる。当該車幅方向端部が全体的に車両後方へ移動することで、チャンバ部材7の前方に位置するバンパカバー3も車両後方に引っ張られる。これにより、チャンバ部材7の車幅方向端部がバンパカバー3に押され、潰れる方向に変形する。つまり、チャンバ部材7は、チャンバ空間7aが圧縮する方向に変形し、衝突が検知される。
【0061】
バンパカバー3に設けられる補強部9Aは、上記に限られない。例えば、図10及び図11に示すように、補強部9Aは、バンパカバー3の車幅方向端部における車両上方部位に配置されてもよい。これによっても、衝突の際、バンパカバー3の車幅方向端部が全体的に後方に移動しやすくなる。また、同様に、図12に示すように、補強部9Aは、バンパカバー3の車幅方向端部における車両下方部位に配置されてもよい。
【0062】
また、図13に示すように、補強部9Aは、バンパカバー3の車幅方向端部における車両前方部位、車両上方部位、及び、車両下方部位に配置されてもよい。これにより、バンパカバー3の車幅方向端部の剛性がさらに大きくなり、衝突に対して当該端部全体が後方に移動するようになる。そして、チャンバ部材7前方のバンパカバー3が後方に引っ張られ、チャンバ部材7は潰れる方向に変形する。
【0063】
なお、補強部9Aは、チャンバ部材7の車幅方向端部前方にまで延伸していてもよい。補強部9Aがチャンバ部材7端部の前方にまで位置することで、延伸部分(位置として延伸部92に相当する部分)が後方に移動した際、チャンバ部材7前方の補強部9Aが直接チャンバ部材7を車両後方へ押し込み、チャンバ部材7を変形させることができる。補強部9、90、900、9Aは、少なくとも一部が、チャンバ部材7の延在しないバンパカバー3内の車幅方向端部に配置されている。
【0064】
また、車両前方部位に補強部9Aを設ける場合、補強部9Aの上下方向の幅は、上記に限られず、例えばチャンバ部材7の幅以上でチャンバ部材7及びアブソーバ6の幅以下であってもよい。図13に示すように、補強部9Aの上下方向の幅は、例えばチャンバ部材7及びアブソーバ6の幅に揃えてもよい。ただし、図9に示すように、チャンバ部材7の幅に揃えるのが効率的である。また、補強部9Aの材料は、アルミニウム等の金属でもよい。
【0065】
また、補強部9Aは、バンパカバー3と一体成形されていてもよい。このとき、補強部9Aは、バンパカバー3と同じ材料であってもよい。これにより、部品点数や作業工数の増加が防止される。
【符号の説明】
【0066】
1:車両用衝突検知装置、 2:車両バンパ、
3:バンパカバー、 4:バンパレインフォースメント、
5:サイドメンバ、 6:アブソーバ、
7:チャンバ部材、 8:圧力センサ、
9,90,900,9A:補強部、 91:接続部、 92,921:延伸部、
921a:リブ、 10:歩行者保護装置ECU
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両への歩行者等の衝突を検知する衝突検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の安全性に関して、事故時に車両の搭乗者の安全性を確保するだけでなく、車両に歩行者が衝突したときに歩行者へのダメージを軽減することも求められている。そこで、歩行者の車両への衝突を検知して、例えばアクティブフードやカウルエアバッグ等の歩行者保護装置を作動させて、車両に衝突してボンネットに倒れ込んできた歩行者が受ける傷害値(歩行者が受ける衝撃)を低減するシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特開2006−117157号公報(特許文献1)に記載されているように、車両バンパ内でバンパレインフォースメントの前面にチャンバ部材が配設され、チャンバ空間内の圧力変化を圧力センサで検出することにより車両バンパへの歩行者等の衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置が提案されている。つまり、衝突によりチャンバ部材が変形し、それによるチャンバ空間内の圧力変化に基づいて歩行者等の衝突を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−117157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような車両用衝突検知装置において、チャンバ部材は、車両要件により車両バンパの車幅方向端部に設置することができない場合が多い。この場合、車両バンパの車幅方向端部への衝突に対し、バンパカバーの当該衝突部分のみが変形し(凹み)、そこに延在しないチャンバ部材は当該衝突により変形しがたい。つまり、チャンバ部材を用いた車両用衝突検知装置では、チャンバ部材が延在しない車両バンパの車幅方向端部への衝突を検知することが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、車両バンパの車幅方向端部への衝突を検知可能な車両用衝突検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、車両バンパのバンパカバー内でバンパレインフォースメントの前面に配設され且つチャンバ空間が内部に形成されるチャンバ部材と、チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサと、を備え、当該圧力センサの検出結果に基づいてバンパカバーへの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、バンパカバー内の車幅方向端部に配置され、バンパカバーの車幅方向端部への衝突に対して、チャンバ空間を圧縮する方向にチャンバ部材を変形させる補強部を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、補強部が車幅方向端部に配置されていることにより、バンパカバーの車幅方向端部への衝突に対して、補強部がチャンバ部材を圧縮方向に変形させる。補強部は、少なくとも、チャンバ部材が延在しないバンパカバー内の車幅方向端部に配置されている。これにより、チャンバ空間内の圧力が変化し、車両バンパの車幅方向端部への衝突を検知することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、補強部が、チャンバ部材以上の剛性を有し、チャンバ部材の車幅方向端部前面からバンパカバーの車幅方向端部に向かって延在していることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、補強部は、車幅方向の一方側(チャンバ部材)にのみ接続されているため、衝突に対して、自身の形状を保ちつつ全体的に車両後方へ移動する。すなわち、補強部は、衝突に対して、変形する(凹む)よりも全体的に車両後方へ移動する。この補強部の移動に伴い、チャンバ部材の車幅方向端部前面も車両後方へ移動する。つまり、衝突に対して、チャンバ部材の車幅方向端部が車両後方に押し潰され、チャンバ空間は圧縮される。これにより、車幅方向端部への衝突が検知される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、補強部が、チャンバ部材と同じ材料によりチャンバ部材と一体成形されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、部品点数や作業工数を増やすことなく補強部を形成することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、補強部が、硬質樹脂または金属であり、チャンバ部材と一体成形されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、軟質樹脂からなるチャンバ部材よりも剛性が大きくなり、衝突に対して補強部の形状が変化しがたく、より確実に衝突を検知することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、補強部が、車両前方側及び車両後方側の少なくとも一方に延びるリブを有することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、補強部の延伸部分の剛性が大きくなり、車幅方向端部に対するより確実な衝突検知が可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、補強部が、チャンバ部材の車幅方向端部からバンパカバーの車幅方向端部に向かう延伸部分の延伸方向直交断面がコの字形状となっていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、補強部の成形が容易である上、補強部の剛性を大きくできる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、補強部が、バンパカバーに設けられ、補強部は、バンパカバーの車幅方向端部における車両前方部位、車両上方部位、及び、車両下方部位の少なくとも一部位に配置されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、バンパカバーの車幅方向端部の剛性が大きくなり、当該端部への衝突に対して、補強部が延在する部分が全体的に車両後方に移動する。これに伴い、チャンバ部材の車両方向端部は、直接的又は間接的車両後方に押し潰される。直接的とは、補強部とチャンバ部材が当接して、補強部が直接チャンバ部材を押し潰すことである。間接的とは、補強部とチャンバ部材は当接しないものの、補強部が全体的に車両後方へ移動することで、チャンバ部材前方のバンパカバーが車両後方へ引っ張られ、バンパカバーによりチャンバ部材を押し潰すことである。この構成によっても、車幅方向端部への衝突を検知することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項7における補強部が、硬質樹脂又は金属を材料とした補強部材であることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、バンパカバーの車幅方向端部の剛性が大きくなり、より確実に衝突検知が可能となる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項7における補強部が、バンパカバーと同じ材料によりバンパカバーと一体成形されてもよい。
【0024】
この構成によれば、部品点数や作業工数の増加が防止されると共に、バンパカバー車幅方向端部の剛性が大きくなり、衝突検知が可能となる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、チャンバ部材の車幅方向端部が、バンパレインフォースメントの車幅方向端部から車両前方に離間していることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、チャンバ部材の車幅方向端部が車両後方に押し潰された際における、バンパレインフォースメントの車幅方向端部の角とチャンバ部材とが強く接触することによるチャンバ部材の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第一実施形態の車両用衝突検知装置1を平面視にて示す全体構成図である。
【図2】第一実施形態の車両用衝突検知装置1を横から見た要部断面図である。
【図3】第一実施形態における衝突時の車両バンパの車幅方向端部を示す模式平面図である。
【図4】第二実施形態の車両バンパの車幅方向端部を示す模式平面図である。
【図5】図4におけるA−A線断面図である。
【図6】第二実施形態のその他の態様の図4におけるA−A線断面図である。
【図7】第三実施形態の車両バンパの車幅方向端部を示す模式平面図である。
【図8】第四実施形態の車両バンパの車幅方向端部を示す模式平面図である。
【図9】車両後方側から見た第四実施形態の車両バンパの車幅方向端部を示す模式図である。
【図10】第四実施形態のその他の態様を示す模式平面図である。
【図11】車両後方側から見た第四実施形態のその他の態様を示す模式図である。
【図12】車両後方側から見た第四実施形態のその他の態様を示す模式図である。
【図13】車両後方側から見た第四実施形態のその他の態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
【0029】
<第一実施形態>
第一実施形態について図1〜図3を参照して説明する。車両用衝突検知装置1は、図1に示すように、車両バンパ2内に配設されたチャンバ部材7と、圧力センサ8と、補強部9と、歩行者保護装置電子制御ユニット(以下、電子制御ユニットをECUと略記する)10と、を主体として構成されている。
【0030】
車両バンパ2は、図1,2に示すように、バンパカバー3、バンパレインフォースメント4、サイドメンバ5、アブソーバ6、チャンバ部材7、及び補強部9を主体として構成されている。
【0031】
バンパカバー3は、車両前端にて車幅方向(左右方向)に延び、バンパレインフォースメント4、アブソーバ6、及びチャンバ部材7を覆うように車体に取り付けられる樹脂(例えば、ポリプロピレン)製カバー部材である。
【0032】
バンパレインフォースメント4は、バンパカバー3内に配設されて車幅方向に延びる金属製の構造部材であって、図2に示すように、内部中央に梁が設けられた日の字状断面を有する中空部材である。
【0033】
サイドメンバ5は、車両の左右両側に位置して車両前後方向に延びる一対の金属製部材であり、その前端に上述したバンパレインフォースメント4が取り付けられる。
【0034】
アブソーバ6は、バンパカバー3内でバンパレインフォースメント4の前面4aの下方側に取り付けられる車幅方向に延びる発泡樹脂製部材であり、車両バンパ2における衝撃吸収作用を発揮する。
【0035】
チャンバ部材7は、バンパカバー3内でバンパレインフォースメント前面4aの上方側に配置され、ポリエチレンなどの軟質樹脂からなる車幅方向に延びる略箱状の中空部材である。チャンバ部材7の後端部には下方へ延設された舌状片11が設けられ、チャンバ部材7は、その舌状片11を介してリベット止め等によってバンパレインフォースメント前面4aに対して固定される。より詳細には、チャンバ部材7は、本体部71と、延設部72とを備えている。
【0036】
本体部71は、チャンバ部材7の大部分を占めており、車幅方向に延びて内部に厚さ数mmの軟質樹脂の壁面によって囲まれた略密閉状のチャンバ空間7aを形成している。本体部71は、衝突により変形する部位であり、本体部71内の圧力変化がチャンバ空間7aの圧力変化として検出される。本体部71がチャンバ部材7の機能を発揮する本質的部分である。
【0037】
ここで、本体部71の車幅方向端部は、外方に凸状に膨らんだ形状となっている。つまり、チャンバ部材7(本体部71)の車幅方向の一端及び他端は、バンパレインフォースメント前面4aから車両前方に離間している。両者が離間して配置されていることにより、チャンバ部材7の車幅方向端部での変形があった際、チャンバ部材7の当該端部がバンパレインフォースメント4の角部により損傷することが軽減又は防止される。
【0038】
延設部72は、軟質樹脂によって本体部71と一体的に成形され、本体部71の車幅方向の略中央部分からバンパレインフォースメント上面4bの上方に延び、車体前方側から車体後方側へ延設された部位である。延設部71aの内部空間は、本体部71の内部空間と連通しており、チャンバ空間7aの一部分を形成している。また、延設部72の上部には、内部空間(すなわち、チャンバ空間7a)を外部に連通させる差込口72aが設けられている。
【0039】
延設部72上部における差込口72a近傍には、インサート部材72bがインサート成形されている。インサート成形は、射出成形法の一つであり、インサート部材72bを金型内に設置し、軟質性樹脂を注入することによりチャンバ部材7と一体化される。インサート部材72bは、チャンバ部材7の材質である軟質性樹脂よりも硬質の材質、例えば、鉄等の金属や、ナイロン、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の硬質樹脂から成る。インサート部材72bは、後述する圧力センサ8をチャンバ部材7に取り付けるための部材である。つまり、圧力センサ8は、インサート部材72bにネジ止めされる。インサート部材72bには、差込口72aに対応した貫通孔が設けられている。
【0040】
圧力センサ8は、気体圧力を検出可能なセンサ装置であり、チャンバ部材7に組付けられてチャンバ空間7a内の圧力変化を検出可能に構成されている。詳細には、圧力センサ8は、センサ本体81と圧力導入管82とを備えている。センサ本体81は、チャンバ部材7の外部にあって、圧力検出用のセンサ素子等が設けられた基板等を収容した部位である。センサ本体81は、圧力に比例した電圧信号を出力し、信号線10aを介して歩行者保護装置ECU10へ信号送信する。センサ本体81は、フランジ部分が延設部72のインサート部材72bにネジ止めされて固定されている。
【0041】
圧力導入管82は、チャンバ空間7aの圧力をセンサ本体81に導入する略円筒状の管であり、センサ本体81から下方に伸びている。圧力導入管82は、チャンバ部材7の延設部72に設けられた差込口72aに差し込まれている。センサ本体81は、圧力導入管82を介してチャンバ空間7aの圧力を検出する。
【0042】
歩行者保護装置ECU10は、図示しない歩行者保護装置(たとえば公知の歩行者保護用のエアバッグやフード跳ね上げ装置など)の起動制御を行うための電子制御装置であり、圧力センサ8から出力される信号が伝送線10aを介して入力されるように構成されている。歩行者保護装置ECU10は、圧力センサ8における圧力検出結果に基づいて、車両バンパ2へ歩行者(すなわち、人体)が衝突したか否かを判別する処理を実行する。
【0043】
補強部9は、板状であり、チャンバ部材7と同じ材料(ポリエチレン)により、チャンバ部材7と一体成形されている。補強部9は、図1及び図3に示すように、チャンバ部材7の車幅方向端部前面からバンパカバー3の車幅方向端部に向けて延在している。つまり、補強部9は、チャンバ部材7の前面に位置する接続部91と、チャンバ部材7の車幅方向端部からバンパカバー3の車幅方向端部に向かって延伸する延伸部92と、を有している。補強部9の剛性は、チャンバ部材7の剛性以上となっている。つまり、補強部9の厚みは、チャンバ部材7の肉厚以上に形成されている。
【0044】
ここで、本実施形態における補強部9とチャンバ部材7の成形方法を説明する。チャンバ部材7は、ブロー成形により形成される。本実施形態では、チャンバ部材7は、ブロー成形におけるパーティングライン(PL)がチャンバ部材7(本体部71)の車両後方側に位置するように形成される。つまり、チャンバ部材7は、深さ(パーティングラインの位置)が異なる1組の金型を用いて成形する。チャンバ部材7は、金型内の樹脂に空気を入れ込み、樹脂を膨張させて成形するため、金型深さが浅い方(パーティングラインから近い方)に形成される壁面の肉厚が大きくなる。
【0045】
ここで、本実施形態において、このパーティングラインが、チャンバ部材7の車幅方向端部でチャンバ部材7の車両前方に移動するように金型を配置し、ブロー成形する。つまり、パーティングラインが車幅方向端部でチャンバ部材7の前面(車両前方側)に移動するように金型を配置することで、肉厚部分を前面側に移動させることができる。チャンバ部材7は、パーティングラインが車幅方向中央部で車両後方側に位置し、車幅方向端部で車両前方側に位置している。そして、この肉厚部分をさらに車幅方向に延長して形成することで、チャンバ部材7の前面及び車幅方向端部に向かって延伸する補強部9が形成される。これによれば、チャンバ部材7の作製と同時に、容易に補強部9を形成することができる。なお、補強部9の厚みは、チャンバ部材7(本体部71)の最大肉厚と同等のおよそ3〜4mmとなる。また、接続部91の車幅方向の幅は、およそ150mmとなるように形成するのが好ましい。
【0046】
第一実施形態の作用効果について説明する。図3に示すように、本実施形態において車両バンパ2の車幅方向端部に衝突物Xが衝突した場合、バンパカバー3の衝突した部位が車両後方に凹む。同時に、チャンバ部材7にのみ接続され且つチャンバ部材7以上の剛性を有する補強部9は、バンパカバー3の凹みにより全体的に車両後方に押し込まれる。衝突では、最初にバンパカバー3に衝突するため、補強部9が受ける衝撃は小さくなる。また、補強部9は、両端固定されておらず且つ自身の剛性以下のチャンバ部材7の前面に接続されているため、車両後方への移動が可能となっている。このような構成により、衝突に対して補強部9は全体的に車両後方に移動する。なお、衝突により補強部9が多少変形する場合もあり得るが、その場合でも補強部9は全体として車両後方に移動する。
【0047】
そして、補強部9の接続部91は、チャンバ部材7の前面を車両後方に押し込み、チャンバ部材7の車幅方向端部が変形(凹み)する。つまり、チャンバ空間7aは圧縮され、チャンバ空間7a内の圧力は上昇する。圧力センサ8は、この圧力変化を検出し、歩行者保護装置ECU10に送信する。このように、補強部9は、車幅方向端部への衝突に対して、チャンバ部材7をチャンバ空間7aが圧縮する方向に変形させる。これにより、チャンバ空間7a内の圧力が変化し、歩行者保護装置ECU10は、衝突を検知することができる。本実施形態によれば、歩行者検出範囲をチャンバ部材7の延在しない範囲にまで拡大することができる。
【0048】
また、本実施形態では、補強部9とチャンバ部材7とが同じ材料で一体成形されるため、工数の増加を防ぎ、製造効率の面でも有利である。さらに、車幅方向端部でバンパレインフォースメント4とチャンバ部材7が離間して配置されているため、補強部9により車幅方向端部への衝突に対してもチャンバ部材7が変形する本構成において、チャンバ部材7の当該端部の損傷を軽減・防止することができる。
【0049】
なお、補強部9がない場合、バンパカバー3が部分的に変形する(凹む)だけで、チャンバ部材7はほとんど変形せず、チャンバ空間7aに衝突の有無を判別できるほどの圧力変化は生じない。
【0050】
<第二実施形態>
第二実施形態について図4及び図5を参照して説明する。第二実施形態は、第一実施形態と補強部9の形状が異なるだけであり、第一実施形態と同構成については同符号を付して説明は省略する。
【0051】
図4及び図5に示すように、補強部90は、接続部91と、延伸部921と、を備えている。補強部90は、チャンバ部材7と同じ材料によりチャンバ部材7と一体成形されている。延伸部921は、チャンバ部材7の車幅方向端部からバンパカバー3の車幅方向端部に向かって延伸している。
【0052】
延伸部921は、図5に示すように、リブ921aを2つ有している。両リブ921aは、延伸部921に沿って延びる板状であり、延伸部921の車両上下方向端部から車両後方側に向かって突出している。つまり、延伸部92Aの延伸方向直交断面(図4のA−A線断面図)の形状は、コの字形状となっている。形状により断面二次モーメントを大きくすることで延伸部921の剛性は大きくなり、車幅方向端部への衝突に対して補強部90が全体的に車両後方に移動しやすくなる。つまり、衝突に対して、より確実にチャンバ部材7を変形させることができる。また、上記コの字形状は比較的成形しやすく、成形性の面でも適している。
【0053】
なお、延伸部921は、リブ921aを1つ以上有すればよく、例えば、延伸方向直交断面がT字形状となっていてもよい。また、延伸部921はリブ921aを3つ以上有していてもよく、例えば図6に示すように、延伸方向直交断面が櫛歯形状となっていてもよい。これにより、延伸部921の剛性をより大きくすることができる。
【0054】
<第三実施形態>
第三実施形態について図7を参照して説明する。第三実施形態は、第一又は第二実施形態の補強部と比べ、材料及び成形方法が異なっている。したがって、構成としては、図1及び図3と同様である。第一実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明は省略する。
【0055】
第三実施形態の補強部900は、図7に示すように、板状であり、第一実施形態と異なり、硬質樹脂を材料としている。硬質樹脂とは、チャンバ部材7に用いられる樹脂よりも剛性(ここではヤング率)が大きい樹脂であり、例えばポリプロピレン(PP)やポリブチレンテレフタレート(PBT)である。
【0056】
補強部900とチャンバ部材7とは、インサート成形により一体成形される。インサート成形は、射出成形法の一つであり、予め成形された補強部900を金型内に設置し、軟質樹脂を注入することによりチャンバ部材7と一体化される。補強部900の配置は、図1及び図7に示すように、第一実施形態と同様(接続部と延伸部を有する)である。これにより、第一実施形態と同様の効果が得られる。また、補強部900の剛性を大きくすることができる。なお、補強部900の材料は、硬質樹脂に限られず、アルミニウム等の金属でもよい。これによっても、補強部900の剛性を大きくすることができる。
【0057】
また、補強部900は、第二実施形態のように、延伸部にリブ921aを設けてもよい。これにより、第二実施形態と同様の効果が得られる。補強部900の延伸方向直交断面は、例えば、コの字形状、T字形状、又は、櫛歯形状であってもよい。
【0058】
<第四実施形態>
第四実施形態について図8及び図9を参照して説明する。なお、第一実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明は省略する。
【0059】
第三実施形態における補強部9Aは、図8及び図9に示すように、バンパカバー3の内側で、バンパカバー3に取り付けられている。取り付けは、例えば、ねじ止めや嵌め込みなどでよい。補強部9Aは、板状の補強部材であり、硬質樹脂を材料としている。補強部9Aは、バンパカバー3の車幅方向端部であって、車両前方部位に配置されている。換言すると、補強部9Aは、バンパカバー3の前面内側において、チャンバ部材7の車幅方向端部の車両側方側に配置されている。補強部9Aは、左右の長さがチャンバ部材7の車幅方向端部からバンパカバー3の車幅方向端部まで延在し、上下の幅はチャンバ部材7と同等となっている。
【0060】
補強部9Aは、バンパカバー3の車幅方向端部におけるチャンバ部材7が延在しない部分の剛性を大きくする。これにより、車幅方向端部への衝突に対し、部分的ではなく、バンパカバー3の車幅方向端部が全体的に車両後方に押し込まれやすくなる。当該車幅方向端部が全体的に車両後方へ移動することで、チャンバ部材7の前方に位置するバンパカバー3も車両後方に引っ張られる。これにより、チャンバ部材7の車幅方向端部がバンパカバー3に押され、潰れる方向に変形する。つまり、チャンバ部材7は、チャンバ空間7aが圧縮する方向に変形し、衝突が検知される。
【0061】
バンパカバー3に設けられる補強部9Aは、上記に限られない。例えば、図10及び図11に示すように、補強部9Aは、バンパカバー3の車幅方向端部における車両上方部位に配置されてもよい。これによっても、衝突の際、バンパカバー3の車幅方向端部が全体的に後方に移動しやすくなる。また、同様に、図12に示すように、補強部9Aは、バンパカバー3の車幅方向端部における車両下方部位に配置されてもよい。
【0062】
また、図13に示すように、補強部9Aは、バンパカバー3の車幅方向端部における車両前方部位、車両上方部位、及び、車両下方部位に配置されてもよい。これにより、バンパカバー3の車幅方向端部の剛性がさらに大きくなり、衝突に対して当該端部全体が後方に移動するようになる。そして、チャンバ部材7前方のバンパカバー3が後方に引っ張られ、チャンバ部材7は潰れる方向に変形する。
【0063】
なお、補強部9Aは、チャンバ部材7の車幅方向端部前方にまで延伸していてもよい。補強部9Aがチャンバ部材7端部の前方にまで位置することで、延伸部分(位置として延伸部92に相当する部分)が後方に移動した際、チャンバ部材7前方の補強部9Aが直接チャンバ部材7を車両後方へ押し込み、チャンバ部材7を変形させることができる。補強部9、90、900、9Aは、少なくとも一部が、チャンバ部材7の延在しないバンパカバー3内の車幅方向端部に配置されている。
【0064】
また、車両前方部位に補強部9Aを設ける場合、補強部9Aの上下方向の幅は、上記に限られず、例えばチャンバ部材7の幅以上でチャンバ部材7及びアブソーバ6の幅以下であってもよい。図13に示すように、補強部9Aの上下方向の幅は、例えばチャンバ部材7及びアブソーバ6の幅に揃えてもよい。ただし、図9に示すように、チャンバ部材7の幅に揃えるのが効率的である。また、補強部9Aの材料は、アルミニウム等の金属でもよい。
【0065】
また、補強部9Aは、バンパカバー3と一体成形されていてもよい。このとき、補強部9Aは、バンパカバー3と同じ材料であってもよい。これにより、部品点数や作業工数の増加が防止される。
【符号の説明】
【0066】
1:車両用衝突検知装置、 2:車両バンパ、
3:バンパカバー、 4:バンパレインフォースメント、
5:サイドメンバ、 6:アブソーバ、
7:チャンバ部材、 8:圧力センサ、
9,90,900,9A:補強部、 91:接続部、 92,921:延伸部、
921a:リブ、 10:歩行者保護装置ECU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両バンパのバンパカバー内でバンパレインフォースメントの前面に配設され且つチャンバ空間が内部に形成されるチャンバ部材と、前記チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサと、を備え、当該圧力センサの検出結果に基づいて前記バンパカバーへの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、
前記バンパカバー内の車幅方向端部に配置され、前記バンパカバーの車幅方向端部への衝突に対して、前記チャンバ空間を圧縮する方向に前記チャンバ部材を変形させる補強部を備えることを特徴とする車両用衝突検知装置。
【請求項2】
前記補強部は、前記チャンバ部材以上の剛性を有し、前記チャンバ部材の車幅方向端部前面から前記バンパカバーの車幅方向端部に向かって延在している請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項3】
前記補強部は、前記チャンバ部材と同じ材料により前記チャンバ部材と一体成形されている請求項2に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項4】
前記補強部は、硬質樹脂または金属であり、前記チャンバ部材と一体成形されている請求項2に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項5】
前記補強部は、車両前方側及び車両後方側の少なくとも一方に延びるリブを有する請求項2〜4の何れか一項に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項6】
前記補強部は、前記チャンバ部材の車幅方向端部から前記バンパカバーの車幅方向端部に向かう延伸部分の延伸方向直交断面がコの字形状となっている請求項5に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項7】
前記補強部は、前記バンパカバーに設けられ、前記バンパカバーの車幅方向端部における車両前方部位、車両上方部位、及び、車両下方部位の少なくとも一部位に配置される請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項8】
前記補強部は、硬質樹脂又は金属を材料とした補強部材である請求項7に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項9】
前記補強部は、前記バンパカバーと同じ材料により前記バンパカバーと一体成形されている請求項7に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項10】
前記チャンバ部材の車幅方向端部は、前記バンパレインフォースメントの車幅方向端部から車両前方に離間している請求項1〜9の何れか一項に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項1】
車両バンパのバンパカバー内でバンパレインフォースメントの前面に配設され且つチャンバ空間が内部に形成されるチャンバ部材と、前記チャンバ空間内の圧力を検出する圧力センサと、を備え、当該圧力センサの検出結果に基づいて前記バンパカバーへの衝突を検知するように構成された車両用衝突検知装置において、
前記バンパカバー内の車幅方向端部に配置され、前記バンパカバーの車幅方向端部への衝突に対して、前記チャンバ空間を圧縮する方向に前記チャンバ部材を変形させる補強部を備えることを特徴とする車両用衝突検知装置。
【請求項2】
前記補強部は、前記チャンバ部材以上の剛性を有し、前記チャンバ部材の車幅方向端部前面から前記バンパカバーの車幅方向端部に向かって延在している請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項3】
前記補強部は、前記チャンバ部材と同じ材料により前記チャンバ部材と一体成形されている請求項2に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項4】
前記補強部は、硬質樹脂または金属であり、前記チャンバ部材と一体成形されている請求項2に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項5】
前記補強部は、車両前方側及び車両後方側の少なくとも一方に延びるリブを有する請求項2〜4の何れか一項に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項6】
前記補強部は、前記チャンバ部材の車幅方向端部から前記バンパカバーの車幅方向端部に向かう延伸部分の延伸方向直交断面がコの字形状となっている請求項5に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項7】
前記補強部は、前記バンパカバーに設けられ、前記バンパカバーの車幅方向端部における車両前方部位、車両上方部位、及び、車両下方部位の少なくとも一部位に配置される請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項8】
前記補強部は、硬質樹脂又は金属を材料とした補強部材である請求項7に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項9】
前記補強部は、前記バンパカバーと同じ材料により前記バンパカバーと一体成形されている請求項7に記載の車両用衝突検知装置。
【請求項10】
前記チャンバ部材の車幅方向端部は、前記バンパレインフォースメントの車幅方向端部から車両前方に離間している請求項1〜9の何れか一項に記載の車両用衝突検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【公開番号】特開2012−56452(P2012−56452A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201862(P2010−201862)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
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