説明

車両用表示装置及びその表示方法

【課題】 小さい表示領域であっても認識性の高い警告表示が可能な車両用表示装置及びその表示方法を提供する。
【解決手段】 車両に関する各種警告状態を示す警告マークW1〜W4を表示する車両用表示装置100であって、複数の警告マークW1〜W4を順次切り換えて表示可能な警告表示部230を少なくとも有し、新たに発生した前記警告状態を示す警告マークW4を第1の表示動作にて表示し、解除された前記警告状態を示す警告マークW4を前記第1の表示動作とは異なる第2の表示動作にて表示してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示器などのフラットパネルディスプレイと呼ばれる表示器を備えた車両用表示装置及びその表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示器などのフラットパネルディスプレイと呼ばれる表示器を備え、このフラットパネルディスプレイにメータ画像やワーニング画像などの種々の画像を表示する車両用表示装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−21574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両の多機能化に伴い画像表示が可能な車両用表示装置において表示するべきコンテンツは増加傾向にあり、各コンテンツの表示領域を十分に確保することが困難となっている。一方、車両用表示装置の表示コンテンツのひとつとして、車両において発生する各種警告状態を運転者に報知する警告表示があげられる。かかる警告表示は、認識性が高いことから、従来のアナログメータにおける警告ランプと同様に各警告状態の内容を示すシンボルマーク(警告マーク)それぞれ各警告状態毎に定められた位置に画像で表示するのが一般的である。しかしながら、前述のように車両の多機能化により警告状態の種類も増加することに伴って警告表示のための表示領域が拡大し、他の表示コンテンツの表示領域の確保を困難にするという問題があり、フラットパネルディスプレイを用いた車両用表示装置の警告表示としてはなお改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、前述した問題点に着目し、フラットパネルディスプレイを用いた車両用表示装置において、小さい表示領域であっても認識性の高い警告表示が可能な車両用表示装置及びその表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するために、車両に関する各種警告状態を示す警告マークを表示する車両用表示装置であって、
複数の前記警告マークを順次切り換えて表示可能な警告表示部を少なくとも有し、
新たに発生した前記警告状態を示す警告マークを第1の表示動作にて表示し、
解除された前記警告状態を示す警告マークを前記第1の表示動作とは異なる第2の表示動作にて表示してなることを特徴とする。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために、車両に関する各種警告状態を示す警告マークを表示する車両用表示装置の表示方法であって、
複数の前記警告マークを順次切り換えて表示可能な警告表示部を少なくとも有し、
新たに発生した前記警告状態を示す警告マークを第1の表示動作にて表示し、
解除された前記警告状態を示す警告マークを前記第1の表示動作とは異なる第2の表示動作にて表示してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、小さい表示領域であっても認識性の高い警告表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態である車両用表示装置を示す正面図及び断面図
【図2】同上の車両用表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】同上の車両用表示装置の表示例を示す図。
【図4】同上の車両用表示装置の表示例を示す図。
【図5】同上の車両用表示装置の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を図を用いて説明する。
【0011】
本発明の一実施形態としての車両用表示装置100は、図1に示すように制御手段110と、表示器120と、ケース130と、を備え、表示器120に車両情報表示を行うフルグラフィックスメータである。
【0012】
制御手段110は、表示器120と電気的に接続され、車両側より入力される各種車両情報(車両の走行速度、エンジン回転数など)を、図形や数値などによって人間に視認し易く構成した画像信号として表示器120へ伝送する。
【0013】
表示器120は、液晶表示器や有機EL表示器等のフラットパネルディスプレイが用いられ、制御手段110からの画像データに応じた画像を表示することで車両情報を運転者に提供する。なお、図1においては、画像として、車両の走行速度を指標部と指針とで示すアナログ計器からなる速度計部210と、車両のエンジン回転数を指標部と指針とで示すアナログ計器からなる回転計部220と、車両の警告状態(機器の作動状態や異常状態)を示す警告マークの複数を順次切り換えて表示可能な警告表示部230と、を表示している。また、警告表示部230に隣接して、後述する警告発生表示部240と警告解除表示部250とが設けられている。
【0014】
ケース130は、合成樹脂からなる制御手段110であるプリント基板と表示器120を収納するものであり、プリント基板を運転者が直接視認できないように表示器120の背面側に配置し、表示器120の画面を少なくとも運転者から視認できる位置に配置する。また、ケース130の前面側(運転者側)であって表示器120の画面以外の部分は黒などの暗色系樹脂材料からなる前面カバー131で覆われている。
【0015】
図2は、制御手段110と表示器120の電気的構成を示すものである。
【0016】
制御手段110は、CPU(Central Processing Unit)111と、イグニッションI/O回路112と、データI/O回路113と、CPU電源114と、GPU(Graphics Processing Unit)115と、から構成される。
CPU111は、イグニッション(IGN)信号をイグニッションI/O回路112を介して受信する。また、車両側より各種車両信号(例えば、走行速度、エンジン回転数や各種機器の作動及び異常を示す各種検出信号)をデータI/O回路113を介して受信して、これらを演算処理によって速度計部210、回転計部220、警告表示部230として構成し、さらにこれらを警告発生表示部240及び警告解除表示部250などと組み合わせて1画面分の画像データを生成し、その画像データをGPU115のDRAM(Dynamic Random Access Memory)116へ供給することで、表示器120の駆動制御を行う。
イグニッションI/O回路112は、押圧式ボタンまたは、キーシリンダなどによって、イグニッションのON状態あるいはOFF状態を検知する。
データI/O回路113は、CAN(Controller Area Network)と呼ばれる相互接続された機器間のデータ通信仕様に基づいて、車両内の各システムと相互に各種車両信号をやりとりする。なお、データI/O回路113の通信仕様は、予め車両内の各システムと取り決めを行い相互に信号をやりとりできるものであれば、CANに限らない。
CPU電源114は、車両のバッテリーと接続され、CPU111に電力を供給する。
GPU115は、CPU111から伝送されDRAM116に格納してある画像データを、CPU111からの制御信号によって予め設定された垂直、水平方向の同期信号と共に表示器120の表示制御回路122に対し伝送する。
【0017】
表示器120は、表示パネル121と、表示制御回路122と、表示電源123と、から構成される。
表示パネル121は、例えばTFT型の液晶表示パネルや有機EL表示パネルなどのフラットパネルが適用され、表示器120の表示領域を構成する。
表示制御回路122は、GPU115のDRAM116から入力される垂直、水平方向の同期信号のタイミングに応じて、入力される画像データを表示パネル121に対して画像信号として順次出力することで、表示パネル121に画像を表示させる。
表示電源123は、車両のバッテリーと接続され、表示パネル121及び表示制御回路122に電力を供給する。
【0018】
次に、本発明の特徴である警告表示の表示方法の一例を、図3〜5を用いて説明する。
【0019】
図3は、既に発生した警告状態が継続中である場合の警告表示の表示例を示すものである。警告表示部230は、ドラム状の図形231上に継続中の警告状態を示す警告マークW1〜W3を最大3つ表示し、図形231が回転してこれらの表示位置が第1の方向(図中における縦方向)に順次切り換わるように描画するものである(図3(a)、(b))。また、警告表示部230は、図形231上に継続中の警告状態の数量を数字232にて表示する。図3においては警告マークとして、シートベルト非着用を示す警告マークW1、エンジンオイルの圧力異常を示す警告マークW2及び車幅灯及び尾灯の点灯を示す警告マークW3がそれぞれ表示され、継続中の警告状態の数量を示す数字232として「3」が表示されている。
【0020】
図4は、新たに警告状態が発生した場合の第1の表示動作の表示例を示すものである。このとき、まず警告表示部230の図4における左側に隣接する警告発生表示部240に、新たに発生した警告状態を示す警告マークW4が表示される(図4(a))。図4においては、SRSエアバックまたはプリテンショナー付きシートベルトの異常を示す警告マークW4を表示している。次に、警告発生表示部240に表示した警告マークW4を徐々に警告表示部230に移動させる(図4(b)から(d))。すなわち、新たに発生した警告状態を示す警告マークW4を警告発生表示部240に表示させた後に前記第1の方向と異なる第2の方向(図中における横方向)に徐々に警告表示部230内に移動させる(第1の表示動作)。警告マークW4の移動が完了すると、警告マークW4は他の警告マークW1〜W3と同様に警告表示部230において順次表示位置を切り換えて表示される(図4(d))。また、発生した警告状態が増加することから、継続している警告状態の数量を示す数字232として「4」が表示される。
【0021】
図5は、ある警告状態が解除された場合の第2の表示動作の表示例を示すものである。図5においては警告マークW4で示すSRSエアバックまたはプリテンショナー付きシートベルトの異常が解除された場合を示している。このとき、まず警告表示部230にて順次切り換えて表示されていた警告マークW4を警告表示部230から徐々に警告表示部230の図5における右側に隣接する警告解除表示部250に徐々に移動させる(図4(a)から(b))。次に、警告解除表示部250に表示した警告マークW4を徐々に消失させる(図4(c))。また、継続している警告状態が減少することから、継続している警告状態の数量を示す数字232として「3」が表示される。すなわち、解除された警告状態を示す警告マークW4を警告表示部230から前記第1の方向とは異なる前記第2の方向(図中における横方向)に移動させた後に消失させる(第2の表示動作)。
【0022】
以上のように、本車両用表示装置100及びその表示方法によれば、警告表示部230にて複数の警告マークW1〜W4を順次切り換えて表示するとともに、新たな警告状態の発生を新たに発生した警告状態を示す警告マークW4を前記第1の表示動作にて表示することで報知し、さらに、警告状態の解除を解除された警告状態を示す警告マークW4を前記第1の表示動作とは異なる前記第2の表示動作にて表示することで報知することによって、警告状態の数量にかかわらず一定の領域で警告表示を行うことができ表示領域全体における省スペース化を実現でき、また、警告状態の発生、継続、解除をそれぞれ異なる表示動作で認識することができ小さい表示領域であっても認識性の高い警告表示が可能となる。
【0023】
また、警告表示部230に継続中の警告状態の数量を表示することによって、全ての警告マークW1〜W4を同時に表示しない場合でも車両の状況を把握することができ認識性の高い警告表示が可能となる。
【0024】
また、前記第1の表示動作において、新たに発生した警告状態を示す警告マークW1を徐々に警告表示部230内に移動させることによって、警告状態の発生から継続への推移を認識することができ認識性の高い警告表示が可能となる。
【0025】
また、警告表示部230に隣接する警告発生表示部240を有し、前記第1の表示動作において、新たに発生した警告状態を示す警告マークW4を警告発生表示部240に表示した後に警告表示部230への移動を開始させることによって、新たに発生した警告状態を強調して表示することができ認識性の高い警告表示が可能となる。
【0026】
また、前記第2の表示動作において、解除された警告状態を示す警告マークW4を警告表示部230から徐々に移動させることによって、警告状態の継続から解除への推移を認識することができ認識性の高い警告表示が可能となる。
【0027】
また、警告表示部230に隣接する警告解除表示部250を有し、前記第2の表示動作において、解除された警告状態を示す警告マークW4を警告解除表示部250に移動させた後に消失させることによって、解除された警告状態を強調して表示することができ認識性の高い警告表示が可能となる。
【0028】
なお、本発明の警告マークの切り換え表示、第1の表示動作及び第2の表示動作は本実施形態に示したものに限定されるものではなく発明の範囲内で種々の変更が可能であることは言うまでもない。警告マークW1〜W4の切り換え表示は図形231や切り換え方向を伴うものでなくともよく、単に警告マークW1〜W4が1つずつ順次切り替えて表示されるものであってもよい。また、第1の表示動作は警告発生表示部240を有しないものであってもよく、単に警告表示部230内に新たに発生した警告状態を示す警告マークW4を徐々に移動させる(スライドイン)表示動作を行ってもよい。また、第2の表示動作は警告解除表示部250を有しないものであってもよく、単に警告表示部230から解除された警告状態を示す警告マークW4を徐々に移動させる(スライドアウト)表示動作を行ってもよい。また、継続中の警告状態の数量は、数字232以外の方法で表示してもよく、図形の数や形状変化によって示しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、液晶表示器などのフラットパネルディスプレイと称される表示器を備えた車両用表示装置及びその表示方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
100 車両用表示装置
110 制御手段
120 表示器
130 ケース
210 速度計部
220 回転計部
230 警告表示部
240 警告発生表示部
250 警告解除表示部
W1〜W4 警告マーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関する各種警告状態を示す警告マークを表示する車両用表示装置であって、
複数の前記警告マークを順次切り換えて表示可能な警告表示部を少なくとも有し、
新たに発生した前記警告状態を示す警告マークを第1の表示動作にて表示し、
解除された前記警告状態を示す警告マークを前記第1の表示動作とは異なる第2の表示動作にて表示してなることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記警告表示部に継続中の前記警告状態の数量を表示することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記第1の表示動作において、新たに発生した前記警告状態を示す前記警告マークを徐々に前記警告表示部内に移動させること特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記警告表示部に隣接する警告発生表示部を有し、前記第1の表示動作において、新たに発生した前記警告状態を示す前記警告マークを前記警告発生表示部に表示した後に前記警告表示部への移動を開始させることを特徴とする請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記第2の表示動作において、解除された前記警告状態を示す前記警告マークを前記警告表示部から徐々に移動させること特徴とする請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記警告表示部に隣接する警告解除表示部を有し、前記第2の表示動作において、解除された前記警告状態を示す前記警告マークを前記警告解除表示部に移動させた後に消失させることを特徴とする請求項5に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
車両に関する各種警告状態を示す警告マークを表示する車両用表示装置の表示方法であって、
複数の前記警告マークを順次切り換えて表示可能な警告表示部を少なくとも有し、
新たに発生した前記警告状態を示す警告マークを第1の表示動作にて表示し、
解除された前記警告状態を示す警告マークを前記第1の表示動作とは異なる第2の表示動作にて表示してなることを特徴とする車両用表示装置の表示方法。
【請求項8】
前記警告表示部に継続中の前記警告状態の数量を表示することを特徴とする請求項7に記載の車両用表示装置の表示方法。
【請求項9】
前記第1の表示動作において、新たに発生した前記警告状態を示す前記警告マークを徐々に前記警告表示部内に移動させること特徴とする請求項7に記載の車両用表示装置の表示方法。
【請求項10】
前記警告表示部に隣接する警告発生表示部を有し、前記第1の表示動作において、新たに発生した前記警告状態を示す前記警告マークを前記警告発生表示部に表示した後に前記警告表示部への移動を開始させることを特徴とする請求項9に記載の車両用表示装置の表示方法。
【請求項11】
前記第2の表示動作において、解除された前記警告状態を示す前記警告マークを前記警告表示部から徐々に移動させること特徴とする請求項9に記載の車両用表示装置の表示方法。
【請求項12】
前記警告表示部に隣接する警告解除表示部を有し、前記第2の表示動作において、解除された前記警告状態を示す前記警告マークを前記警告解除表示部に移動させた後に消失させることを特徴とする請求項11に記載の車両用表示装置の表示方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−49294(P2013−49294A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186707(P2011−186707)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】