説明

車両用表示装置及び産業車両

【課題】表示画面の大型化を抑制し、視認性を良好としたバーグラフ表示を行うことができる車両用表示装置及び産業車両を提供する。
【解決手段】表示装置30は、表示画面Dに8つのバーグラフ表示用セグメントSを配列させたバーグラフ表示部40を備えている。そして、バーグラフ表示用セグメントSの点灯表示個数を変化させることでチューニング項目の設定レベルをバーグラフ表示部40でバーグラフBにより表示する。加えて、設定レベルを示す数字Hを、バーグラフBを形成するバーグラフ表示用セグメントSに重ねて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する各種情報が数値化されて表示画面にバーグラフ表示され、そのバーグラフを読み取るための読取値が前記表示画面に併記される車両用表示装置及び該表示装置を備えた産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、フォークリフトのような産業車両の運転室には表示装置が設けられている。この表示装置の表示画面では、動力装置(エンジン)の回転数といった各種情報がバーグラフによって表示されるようになっている。すなわち、表示画面では、前記回転数の変化に追従してバーグラフが伸び縮みし、そのバーグラフの大きさから前記回転数を表示するようになっている(例えば、特許文献1参照)。この表示画面において、バーグラフの上側には、バーグラフの伸縮方向に沿って目盛りが表示されている。そして、作業者は目盛りを参照してバーグラフの示す数値、すなわち、特許文献1の場合には動力装置の回転数を読み取るようになっている。
【特許文献1】特開平10−90010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に記載の表示装置は、バーグラフの上側に該バーグラフの示す数値を読み取るための目盛りが表示された構成となっており、表示画面にはバーグラフの表示領域と目盛りの表示領域(目盛り)を別々に設けなければならない。このため、一画面内に複数の情報をバーグラフ表示する場合には、特許文献1のようにバーグラフの表示領域毎に目盛りの表示領域を設けると、表示画面が大きくなり、その結果として表示装置の大型化を招いてしまう。そこで、バーグラフの表示領域を複数設ける場合には、バーグラフの表示領域毎に1つずつ目盛りの表示領域を設けるのではなく、目盛りの表示領域を例えば1つだけ設け、複数のバーグラフで共通化することが考えられる。しかしながら、この場合には、バーグラフに対して目盛りが離れた位置に表示されることになるので、バーグラフの読み間違いなどが頻発し、表示装置の視認性の低下に繋がる。
【0004】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、表示画面の大型化を抑制し、視認性を良好としたバーグラフ表示を行うことができる車両用表示装置及び産業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車両用表示装置は、車両に関する各種情報が数値化されて表示画面にバーグラフ表示され、そのバーグラフを読み取るための読取値が前記表示画面に併記される車両用表示装置において、前記表示画面には、情報毎にバーグラフを表示するバーグラフ表示領域を設け、該バーグラフ表示領域は複数のバーグラフ表示用セグメントを配列して構成し、前記バーグラフ表示領域に表示されるバーグラフの読取値を該バーグラフ表示領域に配列された前記バーグラフ表示用セグメントに重ねて表示した。
【0006】
これによれば、バーグラフの読取値がバーグラフ表示領域を構成するバーグラフ表示用セグメントに重ねて表示されるので、バーグラフ表示領域とは別に読取値を表示する表示領域を表示画面内に設ける必要がない。このため、表示画面には、バーグラフ表示領域のみを設ければ良く、表示画面の大型化を抑制し得る。また、バーグラフの読取値は、バーグラフ表示領域に表示されたバーグラフに対応し、そのバーグラフ表示と該バーグラフ表示の読取値とが一対一の関係で表示される。このため、視認性を良好としたバーグラフ表示を行うことができる。
【0007】
また、前記表示画面には、一画面内に複数のバーグラフ表示領域が設けられていても良い。これによれば、複数のバーグラフ表示領域を設ける場合においても、読取値の表示領域を別に設ける場合に比して表示画面の大型化を抑制し得る。また、表示画面の大きさを一定とした場合には、読取値の表示領域を別に設ける場合に比して一画面内に多数のバーグラフ表示領域を設けることが可能となる。すなわち、一画面内に多数の情報を表示させることが可能となる。
【0008】
また、前記バーグラフ表示領域には、前記バーグラフ表示用セグメントが予め定めたグラフ形成表示態様になることでバーグラフ表示がなされ、前記読取値は、前記グラフ形成表示態様とされたバーグラフ表示用セグメントのうち、前記バーグラフ表示の伸長方向先頭に位置するバーグラフ表示用セグメントに常に表示されていても良い。
【0009】
これによれば、読取値は、常にバーグラフ表示の先頭に位置するバーグラフ表示用セグメントに表示される。すなわち、情報に対応する数値の変化に伴ってバーグラフ表示の長さが変化した場合には、その変化に追従して読取値の表示位置も変化する。このため、情報に対応する数値が変化したことを視覚的に捉えやすく、その変化に対する意識を高めさせることが可能となる。
【0010】
また、前記バーグラフ表示される情報は車両の作動態様の調整レベルを示す情報であり、前記読取値は調整レベルを示す数値としても良い。これによれば、調整レベルを示すバーグラフを読み取るための数値がバーグラフ表示用セグメントに重ねて表示される。このため、特に、一画面内に多数の情報が表示される場合には、良好な視認性が維持された状態で一度に多数の調整レベルを確認できるので、調整レベルの確認作業の効率化が図られる。
【0011】
また、本発明の車両用表示装置は産業車両に搭載しても良い。これによれば、車両用表示装置によって産業車両の運転者の視界が狭められることを抑制し得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表示画面の大型化を抑制し、視認性を良好としたバーグラフ表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の車両用表示装置をリーチ式フォークリフト(以下、単に「フォークリフト」と示す)が備える車両用表示装置(以下、単に「表示装置」と示す)に具体化した一実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。以下の説明において「前」「後」「左」「右」「上」「下」は、フォークリフトの運転者がフォークリフトの前方(前進方向)を向いた状態を基準とした場合の「前」「後」「左」「右」「上」「下」を示すものとする。
【0014】
図1に示すように、産業車両としてのフォークリフト11の車体12には、左右一対のリーチレグ13(図1では左方のリーチレグ13のみ図示)が前方に向かって延設されている。各リーチレグ13の前方にはそれぞれ前輪14(図1では左方の前輪14のみ図示)が設けられている。一方、車体12の後方には、操舵駆動輪を兼ねた後輪16とキャスタホイール(図示せず)が配設されている。また、車体12の前方には、各リーチレグ13に沿ってリーチシリンダ(図示しない)の駆動により前後動作するマスト17が立設されている。マスト17の前面側には、左右一対のフォーク20(図1では左方のフォーク20のみ図示)がリフトブラケット21を介して設けられている。そして、フォーク20は、マスト17に沿って上下に昇降するようになっている。また、車体12の後部には、立席タイプの運転室24が設けられている。運転室24内のステアリングテーブル25には、前記後輪16の操舵操作を行うステアリングハンドル26が設けられている。
【0015】
図2に示すように、運転室24内のインストルメントパネル29にはマスト17の動作を操作する複数本の操作レバー28が設けられている。そして、操作レバー28の操作により、マスト17の前後動操作及びマスト17に沿ったフォーク20の昇降動操作が可能となっている。
【0016】
また、インストルメントパネル29には、フルドット液晶からなる表示画面Dを備えた表示装置30が配設されている。表示画面Dは、横長長方形状に形成されている。表示装置30(表示画面D)は、フォークリフト11のチューニング(車両を良好に作動させるように調整する作業)時にはチューニング項目やチューニングの設定レベル(調整レベル)を表示し、フォークリフト11の運転時には運転者に知らせるべき情報(例えば、車速や各種警告)を表示するものである。表示装置30はインストルメントパネル29上にコンパクトに設けられている。また、表示装置30は、運転室24に入った作業者の視線よりも低い位置に配置されている。これは、運転室24からの作業者の視野を広く確保し、表示装置30がマスト17及びフォーク20の視認の妨げとならないようにするためである。また、表示装置30は、車体12内に設けられた制御ユニット(制御手段)CUに接続されており、制御ユニットCUによって表示装置30の表示内容が制御される。
【0017】
また、上記構成のフォークリフト11は、前記チューニングによってフォークリフト11の各種作動が行われるようになっている。本実施形態のフォークリフト11では、前記チューニング項目が複数種類(本実施形態では予備を含めた15種類)設定されている。チューニング項目としては、例えば、図3に示すように、「走行パワー」を設定する項目や「車速リミッター」を設定する項目がある。そして、図3に示すように、各チューニング項目には、それぞれ番号(チューニングNo.)が対応付けられている。例えば、「走行パワー」を設定するチューニング項目には番号1(チューニングNo.1)が対応付けられ、「荷役パワー」を設定するチューニング項目には番号2(チューニングNo.2)が対応付けられている。そして、本実施形態において各チューニング項目は、その設定レベル(大小、低速高速)が予め8段階に分けられている。なお、各チューニング項目には、初期設定レベルが予め決められている。
【0018】
次に、本実施形態のフォークリフト11にてチューニングを行う際に表示装置30の表示画面Dに表示される内容を図4に基づき詳細に説明する。
表示画面Dには、その一方(左方)の短辺側に現在表示されている画面がチューニング(TUNING)を行うための画面であること示す「TUNE」の文字が表示されている。表示画面Dにおいて前記「TUNE」の文字表示の右側には、チューニング項目の番号を示す番号表示Nが5つ表示されている。すなわち、本実施形態の表示画面Dには、一画面内に5つのチューニング項目が表示されるようになっている。また、本実施形態の表示画面Dでは、例えば、「チューニングNo.1」に対応して「No.1」からなる番号表示Nを表示し、「チューニングNo.2」に対応して「No.2」からなる番号表示Nを表示するようになっている。
【0019】
また、表示画面Dには、各番号表示Nの右側にバーグラフ表示領域としてのバーグラフ表示部40が設けられている。すなわち、表示画面Dには、5つの番号表示N(5つのチューニング項目)に対応して5つのバーグラフ表示部40が設けられている。そして、各バーグラフ表示部40は、複数(本実施形態では8つ)のバーグラフ表示用セグメントSを配列して構成されている。8つのバーグラフ表示用セグメントSは、表示画面Dの長辺方向(バーグラフ表示部40に表示されるバーグラフBの伸長方向)に沿って配列されている。本実施形態の各チューニング項目は、前述のように設定レベルが8段階に分けられているので、その段階数に対応して8つのバーグラフ表示用セグメントSが配列されている。すなわち、1段階の設定レベルが1つのバーグラフ表示用セグメントSに対応している。
【0020】
そして、バーグラフ表示部40には、バーグラフ表示用セグメントSが点灯表示されることにより、バーグラフBが表示されるようになっている。点灯表示とは、ランプなどの発光体が灯されたかのように表示されることである。なお、図4〜図6では、点灯表示されたバーグラフ表示用セグメントSを黒塗りで示し、点灯表示されていないバーグラフ表示用セグメントSを白塗りで示している。本実施形態では、点灯表示が、バーグラフ表示用セグメントにおける予め定めたグラフ形成表示態様となる。
【0021】
また、バーグラフ表示部40は、該バーグラフ表示部40の左端に配設されたバーグラフ表示用セグメントSをバーグラフBの始端としている。また、バーグラフ表示部40は、前記始端のバーグラフ表示用セグメントSからバーグラフ表示部40の右側へ向かってバーグラフ表示用セグメントSが点灯表示されるようになっている。すなわち、バーグラフ表示部40において、8つのバーグラフ表示用セグメントSは始端のバーグラフ表示用セグメントSからバーグラフ表示部40の右側へ向かって1個ずつ点灯表示されていき、右端のバーグラフ表示用セグメントSが点灯表示されたら、始端のバーグラフ表示用セグメントSが点灯表示される構成とされている。
【0022】
そして、バーグラフ表示部40には、チューニング項目の設定レベルに応じた数のバーグラフ表示用セグメントSが点灯表示され、該設定レベルの大きさがバーグラフBによって表示されるようになっている。例えば、設定レベルが「3」の場合には、始端から数えて3つ目までのバーグラフ表示用セグメントSが点灯表示され、その3つのバーグラフ表示用セグメントSによるバーグラフBがバーグラフ表示部40に表示される。すなわち、バーグラフ表示部40には、チューニング項目(車両に関する情報)が設定レベルにより数値化されてバーグラフBとして表示される。
【0023】
また、バーグラフ表示部40において、バーグラフBの先頭で点灯表示されるバーグラフ表示用セグメントSには、チューニング項目の設定レベルが数字Hによって表示されるようになっている。バーグラフBの先頭で点灯表示されるバーグラフ表示用セグメントSは、複数のバーグラフ表示用セグメントSのうち、バーグラフBの伸長方向先頭に位置するバーグラフ表示用セグメントSである。この数字Hは、バーグラフ表示部40に表示されたバーグラフBを形成するバーグラフ表示用セグメントSの点灯表示個数(すなわち、チューニング項目の設定レベルの数値)と一致し、バーグラフBを読み取るための読取値となる。
【0024】
このように本実施形態の表示装置30では、前記数字Hが、バーグラフ表示部40を構成するバーグラフ表示用セグメントSに重ねて表示される。すなわち、バーグラフ表示部40は、該バーグラフ表示部40に表示されたバーグラフBを読み取るための構成(チューニング項目の設定レベルを読み取るための構成)を備え、バーグラフBの表示領域と該バーグラフBの読取値の表示領域とを兼用している。そして、本実施形態の表示装置30は、数字Hの表示位置が、バーグラフ表示用セグメントSの点灯個数の増加に追従して変化する構成(設定レベルの増加(又は減少)に追従して変化する構成)とされている。すなわち、数字Hは、バーグラフBを形成するバーグラフ表示用セグメントSの先頭に常に表示される。
【0025】
また、表示画面Dにおいて最下列のバーグラフ表示部40の下側には、チューニングを行う際の操作ガイダンスを表示する第1ガイダンス部41と第2ガイダンス部42の表示領域が定められている。第1ガイダンス部41は横長長方形状をなしている。そして、この第1ガイダンス部41の左側であって、前記番号表示Nの下側となる位置には、下方を指す矢印Yが表示されている。また、第1ガイダンス部41の右側であって、前記バーグラフ表示部40の下側となる位置には、左側から右側に向かって段階的に先細となるレベルメータMが表示されている。さらに、第2ガイダンス部42には、「NEXT」の文字が表示されている。そして、表示画面Dには、前記「TUNE」の文字と、5つの番号表示N及びバーグラフ表示部40と、第1及び第2ガイダンス部41,42が表示されている。
【0026】
また、表示装置30において、前記表示画面Dの下側であって、前記第1ガイダンス部41の矢印Yの下側には選択キー31が配設されている。この選択キー31は、表示画面D中に表示された番号表示Nの中からチューニングを行う項目(番号表示N)を選択するために設けられている。そして、第1ガイダンス部41では、矢印Yの表示により、選択キー31の操作によって選択カーソルが下方へ移動することをガイダンス(表示説明)している。
【0027】
また、表示画面Dの下側であって、前記第1ガイダンス部41のレベルメータMの下側にはレベル調整キー32が配設されている。このレベル調整キー32は、設定レベルを変更するために設けられている。そして、第1ガイダンス部41では、レベルメータMの表示により、レベル調整キー32の操作によってバーグラフBが伸長方向に長くなる(すなわち、設定レベルが1上がる)ことをガイダンス(表示説明)している。
【0028】
また、表示画面Dの下側であって、前記第2ガイダンス部42の下側には次頁キー33が配設されている。この次頁キー33は、表示画面Dの表示内容を次頁の表示内容へ変更するために設けられている。次頁キー33を操作することにより、表示画面Dでは、次の5つのチューニング項目に対応する番号表示Nが表示されるようになっている。そして、第2ガイダンス部42では、「NEXT」の表示により、次頁キー33の操作によってチューニング項目が次の5項目に先送りされることをガイダンス(表示説明)している。そして、選択キー31、レベル調整キー32及び次頁キー33を操作してチューニング項目の設定レベルが調整される。
【0029】
次に、上記構成の表示装置30の動作について説明する。
以下の説明では、図4に示すように表示画面Dに図3の一覧表における「チューニングNo.1」〜「チューニングNo.5」の5項目が表示され、チューニングNo.1の設定レベルを調整する場合を例にして説明する。なお、調整前の設定レベルを「3」とし、調整後の設定レベルを「5」とする。
【0030】
調整前の表示画面Dにおいて「チューニングNo.1(番号表示Nが「No.1」)」に対応するバーグラフ表示部40では、3つのバーグラフ表示用セグメントSが点灯表示されている。そして、バーグラフ表示用セグメントSの点灯表示によって表示されるバーグラフBの先頭(始端から数えて3番目のバーグラフ表示用セグメントS)には、設定レベル「3」を示す数字Hがバーグラフ表示用セグメントS中に表示されている。
【0031】
この状態で、レベル調整キー32を1回操作すると、その操作信号が制御ユニットCUに送信され、該制御ユニットCUはチューニングNo.1に対応する設定レベルの値を「3」に1加算して「4」に変更する。そして、制御ユニットCUは、変更後の設定レベルの表示を指示する表示信号を表示装置30に送信する。表示信号を受信した表示装置30では、図5に示すように表示画面Dの表示内容が書き換えられる。すなわち、表示画面D(チューニングNo.1に対応するバーグラフ表示部40)では、バーグラフ表示用セグメントSの点灯表示個数が「3」から「4」に変更され、4つのバーグラフ表示用セグメントSからなるバーグラフBが表示される。加えて、バーグラフBの先頭(始端から数えて4番目のバーグラフ表示用セグメントS)には、バーグラフBの伸長に追従して設定レベル「4」を示す数字Hがバーグラフ表示用セグメントS中に表示される。
【0032】
続いて、レベル調整キー32をさらに1回操作すると、前述同様に制御ユニットCUは設定レベルを「5」に変更し、表示信号を表示装置30に送信する。そして、表示信号を受信した表示装置30では、図6に示すように表示画面Dの表示内容が書き換えられる。すなわち、表示画面D(チューニングNo.1に対応するバーグラフ表示部40)では、バーグラフ表示用セグメントSの点灯表示個数が「4」から「5」に変更され、5つのバーグラフ表示用セグメントSからなるバーグラフBが表示される。加えて、バーグラフBの先頭(始端から数えて5番目のバーグラフ表示用セグメントS)には、バーグラフBの伸長に追従して設定レベル「5」を示す数字Hがバーグラフ表示用セグメントS中に表示される。
【0033】
また、各チューニング項目の設定レベルを確認する際には、表示画面Dにチューニングを行うための画面(例えば、図4に示す画面)を表示させる。そして、前記画面を表示させると、表示画面Dには、各チューニング項目に対応するバーグラフ表示部40に各設定レベルに応じたバーグラフBが表示されるとともに、各バーグラフBの先頭に数字Hが表示される。このため、作業者は、各チューニング項目の設定レベルを確認する際、バーグラフBを形成するバーグラフ表示用セグメントSの点灯表示個数を数えなくても、各バーグラフBの先頭に表示された数字Hから各チューニング項目の設定レベルを確認し得る。
【0034】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)バーグラフBによって示されるチューニング項目の設定レベル(数字H)は、バーグラフ表示部40を構成するバーグラフ表示用セグメントSに重ねて表示される。このため、バーグラフ表示部40とは別に設定レベルを表示する表示領域を表示画面D内に設ける必要がない。このため、表示画面Dには、バーグラフ表示部40(バーグラフ表示用セグメントS)のみを設ければ良く、表示画面Dの大型化が抑制される。また、バーグラフ表示部40には、バーグラフBと設定レベル(数値H)とが一対一の関係(1項目に対して1つの数値)で表示される。このため、視認性を良好としたバーグラフBの表示を行うことができる。すなわち、読み間違いが起こり難い表示を行うことができる。
【0035】
(2)また、バーグラフBによって示されるチューニング項目の設定レベルをバーグラフ表示部40のバーグラフ表示用セグメントSに重ねて表示することで、表示画面Dを大きくすることなく一画面内に多数のバーグラフBを表示させることができる。すなわち、一画面内に多数の情報を表示させることができる。また、多数のチューニング項目を表示させる場合において、表示装置30を大きくする必要がないので、表示装置30の製造コスト増を抑制できる。その結果として、フォークリフト11の製造コスト増も抑制できる。
【0036】
(3)また、フォークリフト11では、運転中の運転者が表示装置30の表示内容を見る機会が少なく、マスト17及びフォーク20の動作(荷役具の動作)を見やすくするために運転者の視界を広くした車両構造が望まれる。一方で、チューニング時には、チューニング項目が多数項目(本実施形態のフォークリフト11では説明の便宜上15項目としたが、60項目や90項目に亘る場合もある)存在するので、一画面内に多数のチューニング項目を表示させて作業効率の向上を図った車両構造が望まれる。したがって、本実施形態の表示装置30は、視覚を広げる目的で表示装置30(表示画面D)の大型化を抑制し、チューニング作業の効率を向上させる目的で一画面内に視認性を維持した状態で多数のチューニング項目を表示しており、フォークリフト11に搭載する表示装置30として適している。
【0037】
(4)また、チューニング作業を行い易くするために、本実施形態の表示装置30のように表示画面D内に操作ガイダンスを表示させる場合がある。この操作ガイダンスを表示画面Dの大きさを変更しない前提で表示した場合には、表示画面Dにおいてチューニング項目を表示可能な領域は小さくなる。このような場合でも、本実施形態のようにチューニング項目の設定レベルをバーグラフ表示用セグメントSに重ねて表示すれば、限られた表示領域に多数のチューニング項目を表示させることができる。
【0038】
(5)数字Hを、バーグラフBの伸長方向先頭に位置するバーグラフ表示用セグメントに常に表示させている。すなわち、バーグラフBの変化(設定レベルの変化)に追従させて数字Hの表示位置を変化させている。このため、設定レベルが変化したこと(設定レベルが変更されたこと)を視覚的に捉えやすく、その変化に対する意識を高めさせることができる。
【0039】
(6)数字Hを、バーグラフBを形成するバーグラフ表示用セグメントSに重ねて表示させている。このため、チューニング作業時にバーグラフBに注視する作業者の視覚に数字Hも同時に捉えさせることができ、チューニング作業の効率化を図ることができる。
【0040】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、表示装置30にフォークリフト11の車速等の情報をバーグラフBで表示させても良い。この場合、車速を示す数値をバーグラフ表示用セグメントSに重ねて表示させる。
【0041】
○ 実施形態では、表示装置30を備えた産業車両としてフォークリフト11に具体化したが、表示装置30を備えた産業車両としてトーイングトラクタ、コンバイン、建設機械等に具体化してもよい。
【0042】
○ 実施形態において、図7に示すように、数字Hを、バーグラフ表示部40を構成するバーグラフ表示用セグメントSのうち、最も右端のバーグラフ表示用セグメントSに固定的に表示させてもよい。この場合、数字Hの表示位置は固定され、バーグラフBの変化(設定レベルの変化)に追従して数字Hのみが変化する。
【0043】
○ 実施形態において、図8に示すように、数字Hを、バーグラフ表示部40を構成するバーグラフ表示用セグメントSのうち、最も左端のバーグラフ表示用セグメントS(バーグラフBの始端となるバーグラフ表示用セグメントS)に固定的に表示させてもよい。この場合、数字HがバーグラフBの始端側に表示されることで、一画面内に多数のチューニング項目を表示させる場合において数字Hが読み取り易くなる。すなわち、バーグラフBは、各設定レベルに応じて長さが異なるものである。このため、バーグラフBの始端側に数字Hを表示させれば、一画面内のバーグラフBの長さが不揃いであっても、数字Hを読み取る作業者の目線移動量が抑えられ、読み取り易くなる。
【0044】
○ 実施形態において、1つのバーグラフ表示部40を構成するバーグラフ表示用セグメントSの数を変更しても良い。すなわち、実施形態で示したバーグラフ表示用セグメントSの数に対して増減させても良い。なお、バーグラフ表示用セグメントSの数は、チューニング項目の設定レベルの段階数に応じて決定される。また、一画面内に表示されるチューニング項目毎にバーグラフ表示部40を構成するバーグラフ表示用セグメントSの数を異ならせても良い。
【0045】
○ 実施形態において、バーグラフBの伸長方向は表示画面Dの左から右に向かう方向としたが、番号表示Nを右側に配置し、バーグラフBの伸長方向を表示画面Dの右から左に向かう方向としても良い。また、番号表示Nを左右方向に配列し、バーグラフBの伸長方向を表示画面Dの上から下に向かう方向又は下から上に向かう方向としても良い。
【0046】
○ 実施形態において、表示画面Dをセグメント液晶製としてもよい。
○ 実施形態において、第1及び第2ガイダンス部41,42を表示画面Dから省略しても良い。
【0047】
○ 実施形態では、点灯表示されたバーグラフ表示用セグメントSによりバーグラフBが形成されているが、消灯表示されたバーグラフ表示用セグメントSによりバーグラフBを形成しても良い。この場合、消灯表示が、バーグラフ表示用セグメントSにおけるグラフ形成表示態様となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施形態のフォークリフトを示す側面図。
【図2】実施形態の車両用表示装置を示す部分斜視図。
【図3】チューニング項目と番号を対応付けた一覧表の一部を示す図。
【図4】実施形態の表示画面の使用例を示す図。
【図5】実施形態の表示画面の使用例を示す図。
【図6】実施形態の表示画面の使用例を示す図。
【図7】別例の表示画面を示す図。
【図8】別例の表示画面を示す図。
【符号の説明】
【0049】
B…バーグラフ、D…表示画面、S…バーグラフ表示用セグメント、11…産業車両としてのフォークリフト、30…車両用表示装置、40…バーグラフ表示領域としてのバーグラフ表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関する各種情報が数値化されて表示画面にバーグラフ表示され、そのバーグラフを読み取るための読取値が前記表示画面に併記される車両用表示装置において、
前記表示画面には、情報毎にバーグラフを表示するバーグラフ表示領域を設け、該バーグラフ表示領域は複数のバーグラフ表示用セグメントを配列して構成し、
前記バーグラフ表示領域に表示されるバーグラフの読取値を該バーグラフ表示領域に配列された前記バーグラフ表示用セグメントに重ねて表示したことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示画面には、一画面内に複数のバーグラフ表示領域が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記バーグラフ表示領域には、前記バーグラフ表示用セグメントが予め定めたグラフ形成表示態様になることでバーグラフ表示がなされ、
前記読取値は、前記グラフ形成表示態様とされたバーグラフ表示用セグメントのうち、前記バーグラフ表示の伸長方向先頭に位置するバーグラフ表示用セグメントに常に表示されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記バーグラフ表示される情報は車両の作動態様の調整レベルを示す情報であり、前記読取値は調整レベルを示す数値であることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載に車両用表示装置を搭載した産業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−281991(P2006−281991A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−105022(P2005−105022)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】