説明

車両用表示装置

【課題】照明用の専用光源の個数を低減して、コスト増大を抑え、車両の電量消費量を低減することができる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】前照灯101が照射する光の一部を光ファイバー12によってコンビネーションメータ2へ導き、その光によって速度計Sを照明して発光表示させるとともに、コンビネーションメータ2が備える左右各ターンシグナルインジケータ43、44を、各ターンシグナルランプ103、104が作動中において発する光の一部を各光ファイバー13、14により導き、この光により発光表示させている。これにより、従来の車両用表示装置が備えている速度計照明用、左右ターンシグナルインジケータ照明用の光源を省略できる。したがって、コスト増大を抑えるとともに、車両の電力消費量を低減することができる車両用表示装置を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて当該車両の作動状態に関する情報を運転者が視認可能に表示する車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用表示装置として、たとえば、透過照明される表示板に複数の警告表示部を設け、すべての警告表示部を共通に透過照明するための第1バルブと、警告表示部から離れた場所に設置され対応する警告表示部だけを透過照明するための第2バルブと、第2バルブが発する光を対応する警告表示部へ導く光ファイバーと、を備えたものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上述の車両用表示装置においては、すべての警告表示部は第1バルブが発する光により共通に透過照明されるとともに、車両上で何らかの異常事態が生じると、そのことに対応した警告表示部を照明する第2バルブが点灯され、第2バルブが発する光が光ファイバーを介して導かれて当該警告表示部のみが透過照明される。運転者は、複数の警告表示部の中から異常事態に対応した警告表示部を識別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−198191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の車両用表示装置は、透過照明用の光源(たとえば、バルブ、発光ダイオード等)を備えている。このように表示板照明用に専用の光源を備えることは、車両の電量消費量を増大させることになる。
【0006】
本発明は、上述した事情を背景になされたものであり、その目的は、車両用表示装置を照明するための専用光源の個数を低減することにより、車両の電量消費量を低減可能な車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の車両用表示装置は、車両前方に光を照射する前照灯と、車両の作動状態を表示する表示手段と、前照灯が発する光である前照光の一部を表示手段へ導く導光手段と、を備え、導光手段により導かれた前照光を用いて表示手段を照明することを特徴としている。
【0008】
上述の構成によれば、表示手段は導光手段により導かれた前光を用いて透過照明されるため、従来の車両用表示装置が備えている表示手段照明専用の光源を省略できる。したがって、車両用表示装置を照明するための専用光源を不要として、車両の電量消費量を低減可能な車両用表示装置を実現できる。
【0009】
本発明の請求項2に記載の車両用表示装置は、車両の進行方向を変えるときに点滅作動するターンシグナルランプと、ターンシグナルランプが発する光である信号光の一部を表示手段へ導くためのものであり且つ導光手段とは別の第2導光手段と、を備え、表示手段は、ターンシグナルランプの点滅作動に連動して点滅表示されるターンシグナルインジケータを有し、導光手段により導かれた信号光を用いてターンシグナルインジケータを点滅表示することを特徴としている。
【0010】
従来の車両用表示装置の表示手段では、ターンシグナルインジケータを透過照明するための専用光源を備え、車両のターンシグナルランプの点滅作動時において車両のターンシグナルランプの点滅作動に連動して専用光源を点滅駆動している。これに対して、本発明の請求項2に記載の車両用表示装置によれば、ターンシグナルインジケータは、車両のターンシグナルランプの点滅作動時において車両のターンシグナルランプが発する光により直接透過照明される。したがって、車両用表示装置を照明するための専用光源を不要として、車両の電量消費量を低減可能な車両用表示装置を実現できる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の車両用表示装置は、車両の作動状態を表示する表示手段と、
車両の進行方向を変えるときに点滅作動するターンシグナルランプと、ターンシグナルランプが発する光である信号光の一部を表示手段へ導くためのものであり且つ導光手段とは別の第2導光手段と、を備え、表示手段は、ターンシグナルランプの点滅作動に連動して点滅表示されるターンシグナルインジケータを有し、導光手段により導かれた信号光を用いてターンシグナルインジケータを点滅表示することを特徴としている。
【0012】
従来の車両用表示装置の表示手段では、ターンシグナルインジケータを透過照明するための専用光源を備え、車両のターンシグナルランプの点滅作動時において車両のターンシグナルランプの点滅作動に連動して専用光源を点滅駆動している。これに対して、本発明の請求項2に記載の車両用表示装置によれば、ターンシグナルインジケータは、車両のターンシグナルランプの点滅作動時において車両のターンシグナルランプが発する光により直接透過照明される。したがって、車両用表示装置を照明するための専用光源を不要として、車両の電量消費量を低減可能な車両用表示装置を実現できる。
【0013】
本発明の請求項4に記載の車両用表示装置は、導光手段における表示手段側端部に光着色手段を設けることを特徴としている。
【0014】
これにより、前照灯が発する光である前照光、ターンシグナルランプが発する光である信号光を容易に所望の色の光に変えて、表示手段の照明に利用することができる。
【0015】
本発明の請求項5に記載の車両用表示装置は、導光手段は光ファイバーを有することを特徴としている。
【0016】
光ファイバーは高効率で光を伝達することができるとともに、それ自体が柔軟である。したがって、導光手段として、光ファイバーを用いれば、車両の前照灯あるいはターンシグナルランプの発する光を高効率で表示手段へ導くことができる。また、車両の前照灯あるいはターンシグナルランプと表示手段との位置関係如何によらず、車両の前照灯あるいはターンシグナルランプの発する光を高効率で表示手段へ導くことができる。たとえば、車両の走行中において、車両の前照灯あるいはターンシグナルランプと、表示手段との位置関係が変化する場合においても両者の相対位置変化を吸収することができる。
【0017】
本発明の請求項6に記載の車両用表示装置は、車両は二輪車であることを特徴としている。
【0018】
二輪車においては、自動車の場合と比べると、車両の前照灯およびターンシグナルランプと、表示手段との距離は短く互いに近接して配置されている。したがって、車両の前照灯あるいはターンシグナルランプの発する光を表示手段の照明に利用するような構成とすることが容易に実現できる。したがって、車両用表示装置を照明するための専用光源を不要として、コスト増大を抑え、車両の電量消費量を低減することができる車両用表示装置を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1が搭載される自動二輪車の外観図である。
【図2】図1中のII矢視図である。
【図3】図1中のIII矢視図である。
【図4】図2中のIV−IV線断面図である。
【図5】図4中のV−V線断面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1の変形例の断面図であり、図4に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による車両用表示装置の一実施形態を、車両である自動二輪車(オートバイ)に適用した場合を例に、図面に基づいて説明する。
【0021】
本発明の一実施形態による車両用表示装置1は、図2に示すように、表示手段としてのコンビネーションメータ2と、車両前方に光を照射する前照灯101と、車両の進行方向を変えるときに運転者の操作により点滅作動されるターンシグナルランプとしてのライトターンシグナルランプ103およびレフトターンシグナルランプ104と、を備えている。
【0022】
車両である自動二輪車100は、図1および図2に示すように、一般的な構造のものである。すなわち、図2に示すように、ハンドルバー102の自動二輪車100の幅方向における中央部に、表示手段としてのコンビネーションメータ2が取り付けられている。ハンドルバー102に一体的に固定されるフロントフォーク105には、図1に示すように前照灯101が取り付けられている。また、ハンドルバー102には、図2に示すように、自動二輪車100の前進方向における右側に、ターンシグナルランプとしてのライトターンシグナルランプ103が、左側にはターンシグナルランプとしてのレフトターンシグナルランプ104が、それぞれ取り付けられている。ハンドルバー102とフロントフォーク105とは一体的に固定されているので、運転者がハンドルバー102を左右どちらかへ回転操作しても、コンビネーションメータ2と前照灯101との相対位置関係は変わらない。また、コンビネーションメータ102、ライトターンシグナルランプ103、およびレフトターンシグナルランプ104の三者の相対位置関係も常に一定で変わらない。
【0023】
先ず、コンビネーションメータ2の構成について説明する。コンビネーションメータ2は、図3に示すように、自動二輪車100の作動状態の一つとしての自動二輪車の走行速度を指示する速度計S、自動二輪車100の作動状態の一つとしての左右各ターンシグナルランプが作動中であることを表示するライトターンシグナルインジケータ43およびレフトターンシグナルインジケータ44を備えている。
【0024】
速度計Sは、文字板4の表面に沿って回転する指針6の回動角度により速度を指示する指針計器として構成されている。
【0025】
文字板4は、透光性材質、たとえば透明なポリカーボネート等の薄板から形成されている。また、文字板4は、図3に示すように、目盛41、文字42(数字を含む)、ライトターンシグナルインジケータ43およびレフトターンシグナルインジケータ44が形成されている。これら目盛41、文字42、ライトターンシグナルインジケータ43およびレフトターンシグナルインジケータ44は、文字板4の表面(図4において右側の面)あるいは裏面(図4において左側の面)に印刷あるいはホットスタンプ等を施すことにより形成されている。すなわち、目盛41や文字42を包含する部分に透光性着色層を設け、その上から、目盛41、文字42、ライトターンシグナルインジケータ43およびレフトターンシグナルインジケータ44の輪郭線の外側領域に遮光性着色層を設ける処理を施してある。すなわち、目盛41、文字42、ライトターンシグナルインジケータ43およびレフトターンシグナルインジケータ44は透光性着色層により形成され、目盛41、文字42、ライトターンシグナルインジケータ43およびレフトターンシグナルインジケータ44の外側である背景領域は遮光性着色層により形成される。本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1においては、目盛41および文字42は透光性の白色に、また、ライトターンシグナルインジケータ43およびレフトターンシグナルインジケータ44は透光性の緑色にそれぞれ着色されている。そして、目盛41、文字42、ライトターンシグナルインジケータ43およびレフトターンシグナルインジケータ44を除いた背景領域は遮光性艶消し黒色に着色されている。これにより、文字板4がその背後、つまり図4において左側から、何らかの光源の光により照射されると、目盛41および文字42は白色で発光表示され、ライトターンシグナルインジケータ43およびレフトターンシグナルインジケータ44は緑色で発光表示される。
【0026】
文字板4の裏側(図2において左側)には、回路基板10が配置されている。回路基板10は、たとえばガラスエポキシ基板等からなり、コンビネーションメータ1の電気回路部を形成している。回路基板10には、図4に示すように、指針6を回動させるためのムーブメント8が実装されている。ムーブメント8は、ステッピングモータ、あるいは交差コイル式回転機等の電気アクチュエータからなり、外部からの電気信号(本発明の一実施形態によるコンビネーションメータ1においては自動二輪車100の速度信号)に対応した角度だけシャフト81を回動させるものである。ムーブメント8のシャフト81は、文字板4の貫通孔を通して文字板4の表面側(図4において右側)へ延出し、その先端には指針6が固定されている。指針6は、透光性材料、たとえばアクリル樹脂等により形成されている。指針6も、文字板4の場合と同様に、文字板4の背後、つまり図4において左側から何らかの光源の光により照射されると、発光表示される。指針6の回転中心部分には、図4に示すように、キャップ7が装着されている。キャップ7は、指針6を照明するための光が、直接運転者の視認方向へ進むことを阻止するためのものであり、遮光性材質により形成されている。
【0027】
文字板4、ムーブメント8が実装された回路基板10は、図4に示すように、ケーシング3内に収容固定されている。ケーシング2の運転者側の開口には、図4に示すように、透明なフロントグラス17が固定されている。ケーシング2の運転者側と反対側には、図4に示すように、ロアケース11が装着されている。フロントグラス17およびロアケース11により、ケーシング3内への異物、たとえば水分、塵埃等の浸入が阻止され、コンビネーションメータ1内が清浄に保たれる。
【0028】
次に、本発明の一実施形態による車両用表示装置1の特長である、コンビネーションメータ2の照明構造について説明する。本発明の一実施形態による車両用表示装置1では、コンビネーションメータ2の照明に、前照灯101の光、ライトターンシグナルランプ103の光、およびレフトターンシグナルランプ104の光を利用している。すなわち、文字板4において、速度計S、つまり、指針6、目盛41および文字42の透過照明のために前照灯101が発する光である前照光の一部を用い、ライトターンシグナルインジケータ43の透過照明のためにライトターンシグナルランプ103が発する光である信号光の一部を用い、レフトターンシグナルインジケータ44の透過照明のためにライトターンシグナルランプ104が発する光である信号光の一部を用いている。それでは、以下に具体的な照明構造について説明する。
【0029】
文字板4の裏側、つまり図4において左側には、図4に示すように、導光板5が設置されている。導光板5は、透明な樹脂材質から形成されている。導光板5は、文字板4の目盛41および文字42を透過照明するためのものであり、文字板4の目盛41および文字42を包含する円環状に形成されている。導光板5は、図4に示すように、外周の一部が文字板4と反対側に延出されてなる導光部51を備えている。
【0030】
文字板4の裏側、すなわち図4において左側には、図4に示すように、導光体9が設置されている。導光体9は、指針6を透過照明するためのものであり、透明な樹脂材質から形成されている。導光体9は、断面が円形あるいは四角形の棒状且つ略L字状に形成され、その一端は、図4に示すように、指針6の回転中心部に対向し、導光体9の他端は、図4に示すように、導光板5の導光部51に隣接している。
【0031】
前照灯101が発する前照光の一部をコンビネーションメータ2へ導くための導光手段である光ファイバー12がコンビネーションメータ2および前照灯101間に設置されている。光ファイバー12は樹脂材料等から形成され柔軟性を有している。光ファイバー12のコンビネーションメータ2側の端面は、導光板5の導光部51および導光体9に光を入射可能にロアケース11に接続されている。一方、光ファイバー12の前照灯101側の端面は、前照灯101のバルブ101bから発せられた光が入射可能なように、前照灯101のハウジング101aに接続されている。
【0032】
文字板4のライトターンシグナルインジケータ43およびレフトターンシグナルインジケータ44の裏側、つまり図5において左側には、図5に示すように、それぞれ導光体16が設置されている。導光体16は、透明な樹脂材質から形成されている。導光体16は、図5に示すように、遮光カバー17内に収容されている。遮光カバー17は遮光性材質、たとえば樹脂あるいは金属等から形成されている。遮光カバー17は、遮光カバー17外部の光が導光体16に入射し、その光により対応するターンシグナルインジケータを照明されることを防止するものである。
【0033】
ターンシグナルランプが発する信号光の一部をコンビネーションメータ2へ導くための導光手段である光ファイバー13および光ファイバー14が各ターンシグナルランプおよびコンビネーションメータ2間に設置されている。すなわち、ライトターンシグナルランプ103およびライトターンシグナルインジケータ43間に光ファイバー13が、レフトターンシグナルランプ104およびレフトターンシグナルインジケータ44間に光ファイバー14が、それぞれ設置されている。光ファイバー13、14は樹脂材料等から形成され柔軟性を有している。光ファイバー13のコンビネーションメータ2側の端面は、図5に示すように、ライトターンシグナルインジケータ43に対応した導光体16に光を入射可能にロアケース11に接続されている。一方、光ファイバー13のライトターンシグナルランプ103側の端面は、図5に示すように、ライトターンシグナルランプ103のバルブ103bから発せられた光が入射可能なように、ライトターンシグナルランプ103のハウジング103aに接続されている。同様に、光ファイバー14のコンビネーションメータ2側の端面は、図5に示すように、レフトターンシグナルインジケータ44に対応した導光体16に光を入射可能にロアケース11に接続されている。一方、光ファイバー14のレフトターンシグナルランプ104側の端面は、図5に示すように、レフトターンシグナルランプ104のバルブ104bから発せられた光が入射可能なように、レフトターンシグナルランプ104のハウジング104aに接続されている。コンビネーションメータ2の各ターンシグナルランプの照明においては、導光体16および光ファイバー13、あるいは導光体16および光ファイバー14が、それぞれ導光手段の役目を果たしている。
【0034】
以上説明したような構成において、運転者の操作により前照灯101が点灯されると、バルブ101bが発する光の一部は、光ファイバー12を介してコンビネーションメータ2へ導かれ、さらに導光板5により文字板4へ導かれて文字板4の目盛41および文字42が照明され発光表示される。また、光ファイバー12から導光体9へ導かれた光に照射されて、指針6が発光表示される。
【0035】
また、以上説明したような構成において、運転者の操作によりライトターンシグナルランプ103が点滅動作すると、バルブ103bが発する光の一部は、光ファイバー13を介してコンビネーションメータ2へ導かれ、さらに導光体16により文字板4のライトターンシグナルインジケータ43へ導かれ、ライトターンシグナルインジケータ43は、ライトターンシグナルランプ103の点滅動作に同期して点滅発光表示される。
【0036】
また、以上説明したような構成において、運転者の操作によりレフトターンシグナルランプ104が点滅動作すると、バルブ104bが発する光の一部は、光ファイバー14を介してコンビネーションメータ2へ導かれ、さらに導光体16により文字板4のレフトターンシグナルインジケータ44へ導かれ、レフトターンシグナルインジケータ44は、レフトターンシグナルランプ104の点滅動作に同期して点滅発光表示される。すなわち、ライトターンシグナルランプ103が点灯すると同時にライトターンシグナルインジケータ43が発光表示され、ライトターンシグナルランプ103が消灯すると同時にライトターンシグナルインジケータ43が消灯される。したがって、運転者は、ライトターンシグナルインジケータ43の点滅を見て、ライトターンシグナルランプ103が正常に点滅動作していることを確認することができる。
【0037】
以上説明したように、本発明の一実施形態による車両用表示装置1では、前照灯101が照射する前照光の一部を光ファイバー12によってコンビネーションメータ2へ導き、その光によって速度計Sを照明して発光表示させている。これにより、従来の車両用表示装置が備えている表示手段を照明するための光源を省略できる。したがって、車両の電力消費量を低減可能な車両用表示装置を実現できる。
【0038】
さらに、本発明の一実施形態による車両用表示装置1では、コンビネーションメータ2が備えるライトターンシグナルインジケータ43を、ライトターンシグナルランプ103が作動中においてライトターンシグナルランプ103が照射する光の一部を光ファイバー13により導き、この光により発光表示させ、また、コンビネーションメータ2が備えるレフトターンシグナルインジケータ44を、レフトターンシグナルランプ104が作動中においてレフトターンシグナルランプ104が照射する光の一部を光ファイバー14により導き、この光により発光表示させている。これにより、従来の車両用表示装置が備えている左右ターンシグナルインジケータを照明するための光源を省略できる。したがって、車両の電力消費量を低減可能な車両用表示装置を実現できる。
【0039】
さらに、本発明の一実施形態による車両用表示装置1では、前照灯101、ライトターンシグナルランプ103、レフトターンシグナルランプ104が発する信号光の一部をコンビネーションメータ2へ導く導光手段として光ファイッバー12、13、14を用いている。光ファイバーは高効率で光を伝達することができるとともに、それ自体が柔軟である。したがって、導光手段として、光ファイバーを用いることにより、各ランプが発する光を高効率でコンビネーションメータ2へ導いて、コンビネーションメータ2の発光輝度を高め視認性を向上することができる。また、光ファイバーが柔軟であるので、車両の各ランプとコンビネーションメータ2との位置関係によらず、各ランプが発する光を容易にコンビネーションメータ2へ導くことができるので、各ランプ、コンビネーションメータ2の配置設計自由度を高めることができる。さらには、車両の作動中において、車両の各ランプと、コンビネーションメータ2との位置関係が変化する場合においても、各ランプが発する光を高効率でコンビネーションメータ2へ導いて、コンビネーションメータ2の発光輝度を高め視認性を向上することができる。
【0040】
図6に、本発明の一実施形態による車両用表示装置1の変形例の断面図を示す。図6は、図4に相当するものである。
【0041】
この変形例では、光ファイバー12のコンビネーションメータ2側先端に、図6に示すように、光着色手段としてのカラーフィルタ18を装着している。カラーフィルタ18は、透明樹脂に染料粒子を混入させる、あるいは透明樹脂表面に透光性着色層を施す等により形成されている。前照灯101のバルブ101bの発光色は一般に白色に近いが、カラーフィルタ18を装着することにより、速度計Sの照明色、つまり発光色を所望の色に設定することができる。
【0042】
なお、以上説明した本発明の一実施形態による車両用表示装置1では、前照灯101が発する光を利用して発光表示される自動二輪車100の作動状態を指示する表示手段として速度計Sを例に挙げているが、速度計S以外の計器、たとえばエンジンタコメータ、時計、燃料計等を追加する、あるいは置き換える等してもよい。さらには、
また、前照灯101が発する光をコンビネーションメータ2に導いて発光表示される表示手段として、前照灯101がアッパービーム照射状態であることを表示するハイビームインジケータに適用しても良い。この場合、前照灯101がロービーム照射状態のときにコンビネーションメータ2へ導かれる光量は、前照灯101がハイビーム照射状態のときにコンビネーションメータ2へ導かれる光量よりも少ない。したがって、前照灯101がロービーム照射状態のときに前照灯101がハイビーム照射状態に切換えられると、コンビネーションメータ2中のハイビームインジケータの発光輝度は格段に高くなり、これにより、運転者は、前照灯101がハイビーム状態に切換えられハイビーム照射状態であることを認識することができる。
【0043】
また、以上説明した本発明の一実施形態による車両用表示装置1は、車両として自動二輪車に適用した場合を例にとったが、適用対象を自動二輪車に限る必要は無く、他の種類の車両、たとえば原動機付き自転車等であっても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 車両用表示装置
2 コンビネーションメータ(表示手段)
3 ケーシング
4 文字板
41 目盛
42 文字
43 ライトターンシグナルインジケータ(インジケータ)
44 レフトターンシグナルインジケータ(インジケータ)
5 導光板
6 指針
7 キャップ
8 ムーブメント
81 シャフト
9 導光体
10 回路基板
11 ロアケース
12 光ファイバー
13 光ファイバー(第2導光手段)
14 光ファイバー(第2導光手段)
15 フロントグラス
16 導光体
17 遮光カバー
18 カラーフィルタ(光着色手段)
100 自動二輪車(車両)
101 前照灯
101a ハウジング
101b バルブ
101c レンズ
102 ハンドル
103 ライトターンシグナルランプ(ターンシグナルランプ)
103a ハウジング
103b バルブ
103c レンズ
104 レフトターンシグナルランプ(ターンシグナルランプ)
104a ハウジング
104b バルブ
104c レンズ
S 速度計(表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方に光を照射する前照灯と、
車両の作動状態を表示する表示手段と、
前記前照灯が発する光である前照光の一部を前記表示手段へ導く導光手段と、を備え、
前記導光手段により導かれた前記前照光を用いて前記表示手段を照明することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
車両の進行方向を変えるときに点滅作動するターンシグナルランプと、
前記ターンシグナルランプが発する光である信号光の一部を前記表示手段へ導くためのものであり且つ前記導光手段とは別の第2導光手段と、を備え、
前記表示手段は、前記ターンシグナルランプの点滅作動に連動して点滅表示されるターンシグナルインジケータを有し、
前記導光手段により導かれた前記信号光を用いて前記ターンシグナルインジケータを点滅表示することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
車両の作動状態を表示する表示手段と、
車両の進行方向を変えるときに点滅作動するターンシグナルランプと、
前記ターンシグナルランプが発する光である信号光の一部を前記表示手段へ導くためのものであり且つ前記導光手段とは別の第2導光手段と、を備え、
前記表示手段は、前記ターンシグナルランプの点滅作動に連動して点滅表示されるターンシグナルインジケータを有し、
前記導光手段により導かれた前記信号光を用いて前記ターンシグナルインジケータを点滅表示することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項4】
前記導光手段における前記表示手段側端部に光着色手段を設けることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記導光手段は光ファイバーを有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記車両は二輪車であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−152857(P2011−152857A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15765(P2010−15765)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】