車両用表示装置
【課題】気づきやすくかつ煩わしさを与えることなく情報を報知することを課題とする。
【解決手段】車両で得られた各種情報を取得する車両情報取得手段102と、予め設定された所定の時間周波数に基づいて、輝度または色相を変化させながら発光して、車両情報取得手段102で取得された情報を報知する発光ユニット101と、発光ユニット101における輝度または色相を制御して変化させるコントローラ103とを有することを特徴とする。
【解決手段】車両で得られた各種情報を取得する車両情報取得手段102と、予め設定された所定の時間周波数に基づいて、輝度または色相を変化させながら発光して、車両情報取得手段102で取得された情報を報知する発光ユニット101と、発光ユニット101における輝度または色相を制御して変化させるコントローラ103とを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両で得られた情報を乗員に報知する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば以下に示す文献に記載されたものが知られている(特許文献1参照)。この文献1には、警報表示の注視を促すシンボルマークを設け、このシンボルマークを点灯、点滅、消灯制御する車両用表示ユニットの技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−90810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記車両用表示ユニットにおいては、シンボルマークを点灯、点滅、消灯させることで運転者に警報表示の注視を促している。このため、運転者の視線や焦点を引きつけてしまいやすく、運転者に煩わしさを与えてしまうといった不具合を招くおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、気づきやすくかつ煩わしさを与えることなく情報を報知することができる車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車両で得られた各種情報を、予め設定された所定の時間周波数に基づいて、輝度または色相を変化させて発光して、報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示制御手段の制御の下に、輝度または色相を変化させて発光し、車両で得られた各種情報が報知されるので、運転者にとって気づきやすくかつ煩わしさを与えることなく情報を報知することができる
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態1に係る車両用表示装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る車両用表示装置の一配置例を示す図である。
【図3】発光ユニットの構造を示す断面図である。
【図4】発光ユニットの視認状態、ならびにこの視認状態における輝度と発光幅との関係を示す図である。
【図5】発光ユニットの他の視認状態、ならびにこの視認状態における輝度と発光幅との関係を示す図である。
【図6】運転者と発光ユニットとの位置関係を示す側面図ならびに上面図である。
【図7】従来の車両用表示装置における輝度変化を示す図である。
【図8】本発明の実施形態1に係る車両用表示装置における輝度変化を示す図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る車両用表示装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態2に係る車両用表示装置の一配置例を示す図である。
【図11】表示部の視認状態、ならびにこの視認状態における輝度と発光幅との関係を示す図である。
【図12】表示部の他の視認状態、ならびにこの視認状態における輝度と発光幅との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明を実施するための実施形態を説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る車両用表示装置の構成を示す図である。図1に示す実施形態1の車両用表示装置は、発光ユニット101、車両情報取得手段102ならびにコントローラ103を備えて構成されている。
【0011】
発光ユニット101は、車両の乗員、特に運転者に報知しようとする情報を表示する表示手段として機能して構成される。発光ユニット101は、図2に示すように、運転者により視認可能な、例えばスピードメーターやウォーニングランプ等が配置された車両のインストルメントパネル内に設けられている。なお、発光ユニット101は、インストルメントパネル内に限らず、運転者が視認可能な位置に適宜配置される。
【0012】
発光ユニット101は、図2の断面A−Aを表す図3に示すように、ケース201と、基板202と、LED(発光ダイオード)203と、拡散板204とを備えて構成されている。ケース201の内部に基板202が設置され、この基板202にLED203が取り付けられて支持されている。ケース201の表示面側には、拡散板204がケース201に固定されて設けられている。LED203から発せられた光は、拡散板204で例えば円形に拡散され、拡散板204を透過して車室内に向けて発光する。
【0013】
LED203の光は、拡散板204によって拡散され、図4(a)に示すように、輝度変化を生じさせて発光する。すなわち、運転者が拡散板204を視認した場合に、図4(a)に示すように、中心部の輝度が最も高く、同心円上に周方向に向かうにつれて輝度が徐々に低くなる(緩やかな輝度変化となる)ように発光した見え方となる。
【0014】
図4(b)は、同図(a)に示す発光状態における、輝度(縦軸)と発光幅(横軸 円形の場合には直径)との関係を示す図である。図4(b)に示す発光幅は、5mm〜30mm程度に設定され、この範囲内で用途やデザインに応じて適宜設定される。
【0015】
図4(a)では、光点を中心に周方向の全方向に向けて緩やかな輝度変化をしているが、いずれか一方向(左右方向、上下方向等)にゆるやかに輝度が変化しているような表示形態であってもよい、例えば、図5(a)に示すように、拡散板204にスリットを設け、このスリットを介してLED203から発せられた光を車室内に向け発光させる。これにより、発光による表示形態が左右を長手方向とする矩形となる。この結果、運転者が発光ユニット101を視認した場合に、横方向に緩やかに輝度変化した表示形態が可能となる。
【0016】
図5(b)は、同図(a)に示す発光状態における輝度(縦軸)と発光幅(横軸)との関係を示す図である。このような表示形態の場合に、発光幅は、緩やかに輝度変化している方向に5mm〜30mm程度の大きさがあればよい。一方、横方向以外の他の方向(例えば縦方向)における発光幅は、横方向に比べて小さくてよい。
【0017】
この発光幅の大きさは、空間周波数に基づいて設定されている。この空間周波数は、図6に示すように、LED203の発光幅(W)と角度(θ)とにより、W/θとして算出される。図6(a)は、着座した運転者601が発光ユニット101を視認した際の様子を模式的に示す側面図であり、同図(b)は同図(b)の上面図である。上記角度(θ)は、着座した運転者601が発光ユニット101を視認したときに、運転者601のアイポイント(眼)602を基点としたLED203の水平方向の発光幅(W)に対する水平方向における角度である。
【0018】
このように表現される空間周波数は、発光幅が5mm〜30mm程度の大きさであれば、運転者の着座位置や発光ユニット101の配置位置を考慮し、運転者が周辺視で視認することが可能な表示形態とすることができる。ここで、周辺視とは、網膜の周辺部を使って視野の周辺部を漠然と見る視野であり、この周辺視は、動きや位置を捉えるのに適している。
【0019】
車両情報取得手段102は、車載された各種センサーやカメラ類、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)、車間維持支援システムやインテリジェントクルーズコントロールシステム、ナビゲーションシステムなどの車両の走行を制御する車両走行制御装置などで構成される。これらの構成で得られた各種情報、例えば燃料の残量低下、他車両の接近、経路案内情報の提示開始タイミングなどは、コントローラ103に与えられる。
【0020】
コントローラ103は、発光ユニット101におけるLED203の発光を制御する表示制御手段として機能する。コントローラ103は、プログラムに基づいて動作処理を制御するコンピュータに必要な、CPU、記憶装置、入出力装置等の資源を備えた例えばマイクロコンピュータ等により実現される。コントローラ103は、車両情報取得手段102で得られた各種情報を読み込み、読み込んだ各種情報ならびに予め内部に保有する制御ロジック(プログラム)に基づいて、LED203の輝度を制御する。
【0021】
LED203の輝度の変化は、LED203に供給される電流を制御することで実現される。例えば、公知の技術として知られている、パルス幅変調(PWM)方式を用いてLED203を駆動制御する際に、そのデューティ比を変えることで輝度を変化させることが可能となる。このような手法は、例えばPWM方式によりLEDの電流を制御するように構成された、既存のLEDドライバユニットなどを用いることで実現することができる。
【0022】
先の特許文献1に記載されているような、従来車両のインジケータなどで用いられている点滅動作では、図7に示すように、エッジのある輝度変化となり、コントラストの高い表示形態となる。すなわち、LEDのON(点灯)とOFF(消灯)の繰り返しとなる。これに対して、本実施形態1における輝度は、連続的に徐々に変化して、コントラストの低い表示形態となる。例えば、図8に示すように、サインカーブのような変化となる。すなわち、図7に示すような単純なON/OFFの変化ではなく、時間変化に対して緩やかに(徐々に)連続的に輝度変化している。輝度変化の時間周波数は、例えば図8に示すように、0.1〜5sec程度の範囲内で設定され、この範囲内で用途やデザインに応じて適宜設定される。
【0023】
このように輝度変化させることで、従来車両のインジケータに比べて、輝度変化カーブを構成する時間周波数を低くすることができる。コントローラ103は、発光ユニット101のLED203が上述したような輝度変化カーブを描くように、LED203に供給する電流を制御することで輝度を制御する。
【0024】
一方、上記ではLED203の輝度を変化させたが、輝度変化に代えて、図4、図5および図8に示す輝度(縦軸)を色相とし、色相を時間周波数で制御して、色相を変化させるようにしてもよい。例えばRGBのフルカラーLEDの場合には、赤、黄、緑、青などで各輝度を制御することで色相(発光色)を制御して変化させることができる。これにより、制御するチャンネルを増加することができる。
【0025】
このような色相変化では、時間周波数で制御しながら色相を変化させるため、運転者の注意を必要以上に引きつけることなく、運転操作をしながら周辺視で発光ユニット101の表示を視認することが可能となる。
【0026】
このように、上記実施形態1においては、発光ユニット101が提供する発光は、空間周波数および時間周波数の点で、従来車両のインジケータとは異なるものとなる。すなわち上記実施形態1では、人間の視覚特性上、周辺視でも認識が容易で、かつ視線および焦点を必要以上に引きつけない発光を提供することができる。この結果、発光ユニット101は、運転者に対して気付きやすく煩わしくない発光により、車両で得られた各種情報を運転者に報知することが可能となる。
【0027】
(実施形態2)
図9は本発明の実施形態2に係る車両用表示装置の構成を示す図である。この実施形態2の特徴とするところは、先の実施形態1で採用した発光ユニット101に代えて、表示手段として機能して構成される表示部901を複数設けたことにあり、他は先の実施形態1と同様である。
【0028】
この実施形態2では、表示部901が2つ(901−1,901−2)設けられ、2つの表示部901は、例えば図10に示すように、インストルメントパネルの左右のダッシュボードの上部に配置されている。なお、表示部901の個数ならびにその配置位置は、上記に限ることはなく、報知する情報や用途、デザインに応じて運転者が視認可能な位置に適宜配置される。
【0029】
各表示部901は、図9に示すように、先の実施形態1で採用した発光ユニット101が4つ配列されてモジュール化されて構成されている。もしくは、表示部901は、図示していないが、先の実施形態1と同様に1つのケースの内部に設置された1枚の基板にLED等で構成された4つの発光部を取り付けて支持し、ケースの表示面側に拡散板を設けて構成してもよい。
【0030】
コントローラ103は、図9に示すように、8個の発光ユニット101のそれぞれと接続され、先の実施形態1と同様にして各発光ユニット101をそれぞれ個別に独立して、輝度もしくは色相を制御する。
【0031】
図11(a)は、4つのLEDを備えた1つの上記表示部901における発光状態を拡散板側から見た図であり、同図(b)は、同図(a)に示す発光状態における輝度(縦軸)と発光幅(横軸)との関係を示す図である。図11に示すように、輝度変化の緩やかな発光点が4つ存在し、それぞれの輝度は個別に独立して制御されている。
【0032】
この実施形態2でも、緩やかな輝度変化は、先の実施形態1で説明したと同様に発光点の全方向ではなく、少なくとも一方向で実現されていればよい。複数の発光点を並べて配置する場合には、隣接する発光点の配列方向と、緩やかな輝度変化が実現されている方向とが一致していることが望ましい。例えば、図12に示すように、発光ユニットの拡散板側に左右方向に開口したスリットを設けることで、発光点が配列された左右方向と同方向に緩やかな輝度変化を実現することができる。
【0033】
先の実施形態1で説明したように、発光点の空間周波数はある程度規定されている。このため、発光点のサイズと間隔によっては、特に間隔が狭い場合には、拡散板上で発光点同士が重なる場合がある。図11もしくは図12に示すような発光点の配置例において、発光点のサイズに比べて発光点同士の間隔が狭い場合には、輝度と発光幅との関係は例えば図12(b)に示すようになる。これは、低い空間周波数の合成となるため、このような場合においても、実施形態1と同様に、従来のインジケータなどに比べて、視線や焦点を必要以上に引きつけることがない発光表示を行うことができる。
【0034】
図10に示すステアリング1001に対して、例えば右側のダッシュボード上に配置された1つの表示部901−1の発光パターンは、以下に示すようなものがある。先ず、最初に車両の外側(図10の右側)に配置された発光ユニット101を発光させた後、時差を設けて隣接する内側(図10の左側)の発光ユニット101を順次発光させる(発光パターン1)。これにより、外側から内側(図10のステアリングの中心向き)に流れるような発光パターンを提供することができる。一方、発光パターン1とは逆に、最初に内側の発光ユニット101を発光させ、時差を設けて隣接する外側の発光ユニット101を順次発光させる(発光パターン2)。これにより、内側から外側(ステアリングの外周向き)に流れるような発光パターンを提供することができる。
【0035】
また、隣接する発光点が発光する間隔となる上記時差を様々に変更して、発光点が流れるスピードを変えるようにしてもよい。さらに、上記発光パターン1もしくは発光パターン2のいずれか一方の発光パターンを所定の回数連続して繰り返したり、発光パターン1の後に発光パターン2を行い、もしくはその逆を行うことも可能である。またさらに、上記発光パターン1,2を2つの表示部901−1,901−2でそれぞれ独立して個別に行ったり、もしくは同時に行うことも可能である。これらの発光パターン、ならびにこれらの発光パターンで発光する表示部901の組み合わせは、用途やデザインに応じて適宜設定され、例えば運転者に報知する各種情報に応じて適宜設定することができる。
【0036】
このような各種の発光パターンは、コントローラ103の制御下で、各発光パターンに対応して予め用意されたソフトウェアに基づいて、各発光ユニット101を制御することで実現することができる。
【0037】
ここで、例えばコントローラ103が、車両情報取得手段102を介して自車両に接近する他車両を検出するセンサの出力と、ナビゲーションシステムからの情報提示開始のタイミングを取得している場合の表示形態の一例を説明する。コントローラ103が、他車両の接近を検知した情報を取得した場合には、表示部901を外側から内側に流れる発光パターン(上記発光パターン1)で発光させる。一方、コントローラ103が、車両情報取得手段102を介してナビゲーションシステムが情報提示を開始する情報を取得した場合には、表示部901を内側から外側に流れる発光パターン(上記発光パターン2)で発光させる。
【0038】
このように発光させることにより、この実施形態2では、運転者が運転に集中しながらも、周辺視で表示部901を視認することが可能となる。この結果、運転操作に支障を及ぼすことなく、各種情報を報知することができる。例えば、ナビゲーションシステムからの経路案内の情報を入手したときには、左折あるいは右折時に周辺視で視認できるような右あるいは左方向に光が流れる上記発光パターンで表示して報知することができる。また、報知しようとする情報の内容を視覚的に表現した表示形態、上記の場合では例えば右折案内時には発光点が右折に合わせて右方向に流れる発光パターンで表示する。これにより、運転者は報知された情報の内容(右折案内)を周辺視であっても迅速に認知することが可能となる。
【0039】
運転者は、表示部901が行う発光パターンの差異を認識することで、情報の種別(内容)を判断することができる。また、本実施形態2で採用した発光パターンは、上記空間周波数および時間周波数の点で、従来車両のインジケータとは異なるものとなるので、人間の視覚特性上、周辺視でも報知された情報の認識が容易となる。さらに、本実施形態2で採用した発光パターンは、運転者の視線および焦点を必要以上に引きつけない特徴をもっている。これらのことから、本実施形態2では、先の実施形態1で得られる効果と同様の効果を得ることが可能となり、運転者に気付きやすくかつ煩わしくない表示形態で各種情報を報知することができる。
【符号の説明】
【0040】
101…発光ユニット
102…車両情報取得手段
103…コントローラ
201…ケース
202…基板
203…LED
204…拡散板
601…運転者
901…表示部
1001…ステアリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両で得られた情報を乗員に報知する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば以下に示す文献に記載されたものが知られている(特許文献1参照)。この文献1には、警報表示の注視を促すシンボルマークを設け、このシンボルマークを点灯、点滅、消灯制御する車両用表示ユニットの技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−90810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記車両用表示ユニットにおいては、シンボルマークを点灯、点滅、消灯させることで運転者に警報表示の注視を促している。このため、運転者の視線や焦点を引きつけてしまいやすく、運転者に煩わしさを与えてしまうといった不具合を招くおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、気づきやすくかつ煩わしさを与えることなく情報を報知することができる車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車両で得られた各種情報を、予め設定された所定の時間周波数に基づいて、輝度または色相を変化させて発光して、報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示制御手段の制御の下に、輝度または色相を変化させて発光し、車両で得られた各種情報が報知されるので、運転者にとって気づきやすくかつ煩わしさを与えることなく情報を報知することができる
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態1に係る車両用表示装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る車両用表示装置の一配置例を示す図である。
【図3】発光ユニットの構造を示す断面図である。
【図4】発光ユニットの視認状態、ならびにこの視認状態における輝度と発光幅との関係を示す図である。
【図5】発光ユニットの他の視認状態、ならびにこの視認状態における輝度と発光幅との関係を示す図である。
【図6】運転者と発光ユニットとの位置関係を示す側面図ならびに上面図である。
【図7】従来の車両用表示装置における輝度変化を示す図である。
【図8】本発明の実施形態1に係る車両用表示装置における輝度変化を示す図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る車両用表示装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態2に係る車両用表示装置の一配置例を示す図である。
【図11】表示部の視認状態、ならびにこの視認状態における輝度と発光幅との関係を示す図である。
【図12】表示部の他の視認状態、ならびにこの視認状態における輝度と発光幅との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明を実施するための実施形態を説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る車両用表示装置の構成を示す図である。図1に示す実施形態1の車両用表示装置は、発光ユニット101、車両情報取得手段102ならびにコントローラ103を備えて構成されている。
【0011】
発光ユニット101は、車両の乗員、特に運転者に報知しようとする情報を表示する表示手段として機能して構成される。発光ユニット101は、図2に示すように、運転者により視認可能な、例えばスピードメーターやウォーニングランプ等が配置された車両のインストルメントパネル内に設けられている。なお、発光ユニット101は、インストルメントパネル内に限らず、運転者が視認可能な位置に適宜配置される。
【0012】
発光ユニット101は、図2の断面A−Aを表す図3に示すように、ケース201と、基板202と、LED(発光ダイオード)203と、拡散板204とを備えて構成されている。ケース201の内部に基板202が設置され、この基板202にLED203が取り付けられて支持されている。ケース201の表示面側には、拡散板204がケース201に固定されて設けられている。LED203から発せられた光は、拡散板204で例えば円形に拡散され、拡散板204を透過して車室内に向けて発光する。
【0013】
LED203の光は、拡散板204によって拡散され、図4(a)に示すように、輝度変化を生じさせて発光する。すなわち、運転者が拡散板204を視認した場合に、図4(a)に示すように、中心部の輝度が最も高く、同心円上に周方向に向かうにつれて輝度が徐々に低くなる(緩やかな輝度変化となる)ように発光した見え方となる。
【0014】
図4(b)は、同図(a)に示す発光状態における、輝度(縦軸)と発光幅(横軸 円形の場合には直径)との関係を示す図である。図4(b)に示す発光幅は、5mm〜30mm程度に設定され、この範囲内で用途やデザインに応じて適宜設定される。
【0015】
図4(a)では、光点を中心に周方向の全方向に向けて緩やかな輝度変化をしているが、いずれか一方向(左右方向、上下方向等)にゆるやかに輝度が変化しているような表示形態であってもよい、例えば、図5(a)に示すように、拡散板204にスリットを設け、このスリットを介してLED203から発せられた光を車室内に向け発光させる。これにより、発光による表示形態が左右を長手方向とする矩形となる。この結果、運転者が発光ユニット101を視認した場合に、横方向に緩やかに輝度変化した表示形態が可能となる。
【0016】
図5(b)は、同図(a)に示す発光状態における輝度(縦軸)と発光幅(横軸)との関係を示す図である。このような表示形態の場合に、発光幅は、緩やかに輝度変化している方向に5mm〜30mm程度の大きさがあればよい。一方、横方向以外の他の方向(例えば縦方向)における発光幅は、横方向に比べて小さくてよい。
【0017】
この発光幅の大きさは、空間周波数に基づいて設定されている。この空間周波数は、図6に示すように、LED203の発光幅(W)と角度(θ)とにより、W/θとして算出される。図6(a)は、着座した運転者601が発光ユニット101を視認した際の様子を模式的に示す側面図であり、同図(b)は同図(b)の上面図である。上記角度(θ)は、着座した運転者601が発光ユニット101を視認したときに、運転者601のアイポイント(眼)602を基点としたLED203の水平方向の発光幅(W)に対する水平方向における角度である。
【0018】
このように表現される空間周波数は、発光幅が5mm〜30mm程度の大きさであれば、運転者の着座位置や発光ユニット101の配置位置を考慮し、運転者が周辺視で視認することが可能な表示形態とすることができる。ここで、周辺視とは、網膜の周辺部を使って視野の周辺部を漠然と見る視野であり、この周辺視は、動きや位置を捉えるのに適している。
【0019】
車両情報取得手段102は、車載された各種センサーやカメラ類、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)、車間維持支援システムやインテリジェントクルーズコントロールシステム、ナビゲーションシステムなどの車両の走行を制御する車両走行制御装置などで構成される。これらの構成で得られた各種情報、例えば燃料の残量低下、他車両の接近、経路案内情報の提示開始タイミングなどは、コントローラ103に与えられる。
【0020】
コントローラ103は、発光ユニット101におけるLED203の発光を制御する表示制御手段として機能する。コントローラ103は、プログラムに基づいて動作処理を制御するコンピュータに必要な、CPU、記憶装置、入出力装置等の資源を備えた例えばマイクロコンピュータ等により実現される。コントローラ103は、車両情報取得手段102で得られた各種情報を読み込み、読み込んだ各種情報ならびに予め内部に保有する制御ロジック(プログラム)に基づいて、LED203の輝度を制御する。
【0021】
LED203の輝度の変化は、LED203に供給される電流を制御することで実現される。例えば、公知の技術として知られている、パルス幅変調(PWM)方式を用いてLED203を駆動制御する際に、そのデューティ比を変えることで輝度を変化させることが可能となる。このような手法は、例えばPWM方式によりLEDの電流を制御するように構成された、既存のLEDドライバユニットなどを用いることで実現することができる。
【0022】
先の特許文献1に記載されているような、従来車両のインジケータなどで用いられている点滅動作では、図7に示すように、エッジのある輝度変化となり、コントラストの高い表示形態となる。すなわち、LEDのON(点灯)とOFF(消灯)の繰り返しとなる。これに対して、本実施形態1における輝度は、連続的に徐々に変化して、コントラストの低い表示形態となる。例えば、図8に示すように、サインカーブのような変化となる。すなわち、図7に示すような単純なON/OFFの変化ではなく、時間変化に対して緩やかに(徐々に)連続的に輝度変化している。輝度変化の時間周波数は、例えば図8に示すように、0.1〜5sec程度の範囲内で設定され、この範囲内で用途やデザインに応じて適宜設定される。
【0023】
このように輝度変化させることで、従来車両のインジケータに比べて、輝度変化カーブを構成する時間周波数を低くすることができる。コントローラ103は、発光ユニット101のLED203が上述したような輝度変化カーブを描くように、LED203に供給する電流を制御することで輝度を制御する。
【0024】
一方、上記ではLED203の輝度を変化させたが、輝度変化に代えて、図4、図5および図8に示す輝度(縦軸)を色相とし、色相を時間周波数で制御して、色相を変化させるようにしてもよい。例えばRGBのフルカラーLEDの場合には、赤、黄、緑、青などで各輝度を制御することで色相(発光色)を制御して変化させることができる。これにより、制御するチャンネルを増加することができる。
【0025】
このような色相変化では、時間周波数で制御しながら色相を変化させるため、運転者の注意を必要以上に引きつけることなく、運転操作をしながら周辺視で発光ユニット101の表示を視認することが可能となる。
【0026】
このように、上記実施形態1においては、発光ユニット101が提供する発光は、空間周波数および時間周波数の点で、従来車両のインジケータとは異なるものとなる。すなわち上記実施形態1では、人間の視覚特性上、周辺視でも認識が容易で、かつ視線および焦点を必要以上に引きつけない発光を提供することができる。この結果、発光ユニット101は、運転者に対して気付きやすく煩わしくない発光により、車両で得られた各種情報を運転者に報知することが可能となる。
【0027】
(実施形態2)
図9は本発明の実施形態2に係る車両用表示装置の構成を示す図である。この実施形態2の特徴とするところは、先の実施形態1で採用した発光ユニット101に代えて、表示手段として機能して構成される表示部901を複数設けたことにあり、他は先の実施形態1と同様である。
【0028】
この実施形態2では、表示部901が2つ(901−1,901−2)設けられ、2つの表示部901は、例えば図10に示すように、インストルメントパネルの左右のダッシュボードの上部に配置されている。なお、表示部901の個数ならびにその配置位置は、上記に限ることはなく、報知する情報や用途、デザインに応じて運転者が視認可能な位置に適宜配置される。
【0029】
各表示部901は、図9に示すように、先の実施形態1で採用した発光ユニット101が4つ配列されてモジュール化されて構成されている。もしくは、表示部901は、図示していないが、先の実施形態1と同様に1つのケースの内部に設置された1枚の基板にLED等で構成された4つの発光部を取り付けて支持し、ケースの表示面側に拡散板を設けて構成してもよい。
【0030】
コントローラ103は、図9に示すように、8個の発光ユニット101のそれぞれと接続され、先の実施形態1と同様にして各発光ユニット101をそれぞれ個別に独立して、輝度もしくは色相を制御する。
【0031】
図11(a)は、4つのLEDを備えた1つの上記表示部901における発光状態を拡散板側から見た図であり、同図(b)は、同図(a)に示す発光状態における輝度(縦軸)と発光幅(横軸)との関係を示す図である。図11に示すように、輝度変化の緩やかな発光点が4つ存在し、それぞれの輝度は個別に独立して制御されている。
【0032】
この実施形態2でも、緩やかな輝度変化は、先の実施形態1で説明したと同様に発光点の全方向ではなく、少なくとも一方向で実現されていればよい。複数の発光点を並べて配置する場合には、隣接する発光点の配列方向と、緩やかな輝度変化が実現されている方向とが一致していることが望ましい。例えば、図12に示すように、発光ユニットの拡散板側に左右方向に開口したスリットを設けることで、発光点が配列された左右方向と同方向に緩やかな輝度変化を実現することができる。
【0033】
先の実施形態1で説明したように、発光点の空間周波数はある程度規定されている。このため、発光点のサイズと間隔によっては、特に間隔が狭い場合には、拡散板上で発光点同士が重なる場合がある。図11もしくは図12に示すような発光点の配置例において、発光点のサイズに比べて発光点同士の間隔が狭い場合には、輝度と発光幅との関係は例えば図12(b)に示すようになる。これは、低い空間周波数の合成となるため、このような場合においても、実施形態1と同様に、従来のインジケータなどに比べて、視線や焦点を必要以上に引きつけることがない発光表示を行うことができる。
【0034】
図10に示すステアリング1001に対して、例えば右側のダッシュボード上に配置された1つの表示部901−1の発光パターンは、以下に示すようなものがある。先ず、最初に車両の外側(図10の右側)に配置された発光ユニット101を発光させた後、時差を設けて隣接する内側(図10の左側)の発光ユニット101を順次発光させる(発光パターン1)。これにより、外側から内側(図10のステアリングの中心向き)に流れるような発光パターンを提供することができる。一方、発光パターン1とは逆に、最初に内側の発光ユニット101を発光させ、時差を設けて隣接する外側の発光ユニット101を順次発光させる(発光パターン2)。これにより、内側から外側(ステアリングの外周向き)に流れるような発光パターンを提供することができる。
【0035】
また、隣接する発光点が発光する間隔となる上記時差を様々に変更して、発光点が流れるスピードを変えるようにしてもよい。さらに、上記発光パターン1もしくは発光パターン2のいずれか一方の発光パターンを所定の回数連続して繰り返したり、発光パターン1の後に発光パターン2を行い、もしくはその逆を行うことも可能である。またさらに、上記発光パターン1,2を2つの表示部901−1,901−2でそれぞれ独立して個別に行ったり、もしくは同時に行うことも可能である。これらの発光パターン、ならびにこれらの発光パターンで発光する表示部901の組み合わせは、用途やデザインに応じて適宜設定され、例えば運転者に報知する各種情報に応じて適宜設定することができる。
【0036】
このような各種の発光パターンは、コントローラ103の制御下で、各発光パターンに対応して予め用意されたソフトウェアに基づいて、各発光ユニット101を制御することで実現することができる。
【0037】
ここで、例えばコントローラ103が、車両情報取得手段102を介して自車両に接近する他車両を検出するセンサの出力と、ナビゲーションシステムからの情報提示開始のタイミングを取得している場合の表示形態の一例を説明する。コントローラ103が、他車両の接近を検知した情報を取得した場合には、表示部901を外側から内側に流れる発光パターン(上記発光パターン1)で発光させる。一方、コントローラ103が、車両情報取得手段102を介してナビゲーションシステムが情報提示を開始する情報を取得した場合には、表示部901を内側から外側に流れる発光パターン(上記発光パターン2)で発光させる。
【0038】
このように発光させることにより、この実施形態2では、運転者が運転に集中しながらも、周辺視で表示部901を視認することが可能となる。この結果、運転操作に支障を及ぼすことなく、各種情報を報知することができる。例えば、ナビゲーションシステムからの経路案内の情報を入手したときには、左折あるいは右折時に周辺視で視認できるような右あるいは左方向に光が流れる上記発光パターンで表示して報知することができる。また、報知しようとする情報の内容を視覚的に表現した表示形態、上記の場合では例えば右折案内時には発光点が右折に合わせて右方向に流れる発光パターンで表示する。これにより、運転者は報知された情報の内容(右折案内)を周辺視であっても迅速に認知することが可能となる。
【0039】
運転者は、表示部901が行う発光パターンの差異を認識することで、情報の種別(内容)を判断することができる。また、本実施形態2で採用した発光パターンは、上記空間周波数および時間周波数の点で、従来車両のインジケータとは異なるものとなるので、人間の視覚特性上、周辺視でも報知された情報の認識が容易となる。さらに、本実施形態2で採用した発光パターンは、運転者の視線および焦点を必要以上に引きつけない特徴をもっている。これらのことから、本実施形態2では、先の実施形態1で得られる効果と同様の効果を得ることが可能となり、運転者に気付きやすくかつ煩わしくない表示形態で各種情報を報知することができる。
【符号の説明】
【0040】
101…発光ユニット
102…車両情報取得手段
103…コントローラ
201…ケース
202…基板
203…LED
204…拡散板
601…運転者
901…表示部
1001…ステアリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両で得られた各種情報を取得する車両情報取得手段と、
前記車両情報取得手段で取得された情報を報知する表示手段と、
前記表示手段で表示する情報を、予め設定された所定の時間周波数に基づいて輝度または色相を制御して、前記表示手段を発光制御する表示制御手段と
を有することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、予め設定された所定の空間周波数となるように配置され、
前記空間周波数は、前記表示手段の水平方向の発光幅(W)と、前記車両に着座した乗員が前記表示手段を視認した際に、前記乗員の眼と発光幅(W)との水平方向の角度(θ)とに基づいて、W/θとして算出される
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記表示手段は、複数設けら、それぞれの前記表示手段は、それぞれ独立して個別に輝度または色相が制御されて変化する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記複数の表示手段毎に輝度または色相を変化させる発光タイミングを変えて、前記複数の表示手段を発光制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項1】
車両で得られた各種情報を取得する車両情報取得手段と、
前記車両情報取得手段で取得された情報を報知する表示手段と、
前記表示手段で表示する情報を、予め設定された所定の時間周波数に基づいて輝度または色相を制御して、前記表示手段を発光制御する表示制御手段と
を有することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、予め設定された所定の空間周波数となるように配置され、
前記空間周波数は、前記表示手段の水平方向の発光幅(W)と、前記車両に着座した乗員が前記表示手段を視認した際に、前記乗員の眼と発光幅(W)との水平方向の角度(θ)とに基づいて、W/θとして算出される
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記表示手段は、複数設けら、それぞれの前記表示手段は、それぞれ独立して個別に輝度または色相が制御されて変化する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記複数の表示手段毎に輝度または色相を変化させる発光タイミングを変えて、前記複数の表示手段を発光制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−240767(P2011−240767A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113009(P2010−113009)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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